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トラックの後輪が2つになっているのはなぜ?その理由とメリット・デメリットを解説

トラックはなぜ後ろがWタイヤなのか?今回は、大型トラックの後ろのタイヤ、後輪が2つ付いている理由について詳しく解説をしたいと思います。

ダブルタイヤの特徴

ダブルタイヤは、後軸(駆動軸)のホイールを並列に2本並べ、1輪につき同サイズのタイヤを2本使用しています。これに対し1つの車輪に1本のタイヤとホイールを使用しているものはシングルタイヤと呼ばれます。

トラックをはじめとした車の駆動方式で「4×4(4WD/四輪駆動)」や「4×2(二輪駆動)」などが挙げられますが、ダブルタイヤの場合物理的なタイヤの本数は数えず、ダブルタイヤ1つをタイヤ1本としてカウントします。例えば、後輪2軸のダブルタイヤの場合、タイヤの数としては2x4x4ですが、表記は6×2(後1軸駆動)、6×4(後2軸駆動)、6×6(六輪駆動)と表記されます。

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ダブルタイヤのメリット

積載物の重さを分散させる!

普段道路を歩いたり車で走ったりしていると、トラックの後輪は必ず2つずつくっついていることに気づかれると思います。
これはダブルタイヤ(Wタイヤ)、ツインタイヤ、デュアルタイヤなどと呼ばれるもので、主にトラックやバスで用いられるタイヤの装着形態のひとつです。このトラックのタイヤが2本ずつついている主な理由としては、積載する荷物の荷重を2つのタイヤで分散するためという目的があります。

つまり、重たい荷物を積んだときに1つのタイヤよりも2つのタイヤの方が左右のタイヤで半分ずつの重量を担うことができるので、1つあたりのタイヤにかかる重さを半分に分散することができるということです。
ちょうどお神輿を担ぐとき、1人で担うよりも2人で持ったほうが軽くて1人あたりの負担が少なく、より速く遠くまで運ぶことができるというような理屈と非常によく似ています。

例えば、大型トレーラーだと、荷物を満載の状態にすると、重さとしては20トン以上の重量がタイヤにかかっていることになります。
こういった非常に重たい荷物を積む時、タイヤの数を増やすことで、トラックがその荷重に耐えられるように作られているんですね。

つまり、大型トラックのタイヤの数だけ、そのトラックが積載可能な荷物の重さに耐えることができるということです。
積み込むことができる荷物の重さに応じてそのタイヤの本数を増やすという特性が、大型トラックにはあります。

荷物の積み下ろしがしやすくなる

ダブルタイヤにするとタイヤの外径が小さくなるため、荷台の低床化につながります。
そうするとドライバーは荷物の積み下ろし作業が楽になります。

安全性・走行性能を確保!

シングルタイヤの場合はどれかひとつがパンクしてしまった場合すぐに走れなくなってしまいますが、ダブルタイヤであれば片方がパンクしてももう片方が無事であればある程度の距離を走ることができますので、万が一パンクしてもそこでストップ!ということになりません。

単価が安い

ダブルタイヤで使用されるタイヤは細めなので、単価が安いためシングルタイヤよりも安く購入ができます。

ダブルタイヤのデメリット

乗り心地の低下

ダブルタイヤはシングルタイヤに比べて地面との接地面積が広くなるため、その分走行時の振動がダイレクトに伝わりやすくなります。

交換費用が高くなる

タイヤの総数が増えるため、すべてのタイヤを交換する際は交換費用が高くなってしまいます。

車輌総重量が重くなる

ダブルタイヤにするとその分車両総重量が増えるため、その分の積載量が減ることになります。
また、総重量が増えることで多少燃費が悪くなるということも考えられます。

将来ダブルタイヤはなくなる?

大きな荷重がかかるトラックに対しては、そのタイヤの数と太さというものが大きくなる傾向があります。

そんな中で、もしかしたら近い将来、大型トラックのタイヤというのは2本でなく1本にまとめられるかもしれません。
というのは、今トラック業界の中にスーパーシングルタイヤと呼ばれている特殊なタイヤが導入され始めているためです。

ブリヂストンのスーパーシングルタイヤ

今まで2本のタイヤが必要だった荷重に対して、1本のタイヤでその重さに耐えることができるタイヤが開発されたのです。

このようなスーパーシングルタイヤを使えば、1本で2本分の働きをすることが出来ますので、2本別々にタイヤを購入するより費用も安くなり、2本のタイヤから1本のタイヤになる分、その重量も軽減されます。
通常今まで2本のタイヤを用いていたトラックであれば、このスーパーシングルタイヤを導入すると一軸あたり100kgの軽量化になるため、燃費の向上にも寄与するという、非常に優れたコンセプトのタイヤになっています。

ちなみに、このスーパーシングルタイヤのトレッド幅(接地面の幅)は450以上となっていて、つまり1本のタイヤの幅が50cm以上あるという超極太タイヤなんです。

イタリアのスーパーカーメーカーであるランボルギーニの現在のフラッグシップモデルであるウラカンのリアタイヤのサイズが305となっていますので、なんとあのランボルギーニ・ウラカンのリアタイヤよりも、15センチも幅がある、とてつもないサイズのトレッド幅を誇っています。

スーパーシングルタイヤは今後普及の兆し

現在は、各メーカーが新車のトラックを購入するとき、こちらのタイヤを選択することができるようになっています。
そのため今後おそらく物流業界の中でどんどん普及していくタイプのタイヤになるものと思われます。

やはり2本のタイヤが1本になればタイヤのローテーションも楽ですし、その分タイヤを保管していく倉庫のスペースも小さくすることができますので、非常に効率的なタイヤであると言えそうです。

タイヤの数が圧倒的な世界最大のコンクリート圧送車

コンクリート圧送車

(引用元:https://www.dailymail.co.uk)

ちなみに、ある中国の企業が開発したコンクリートポンプ車は、単一のシャシーで構成されているコンクリート圧送車の中では世界最大サイズのものとして、ギネス記録にも登録されています。
スカニアと呼ばれているトラックメーカーの中の、最も長いタイプのシャシーを使っているトラックなのですが、単一のトラックとしては世界最大のサイズ、世界最長のシャシーのサイズを誇ります。
この車の場合ですと、コンクリート圧送という非常に荷重がかかる仕事を請け負う関係上、たくさんの本数のタイヤが装着されているわけですね。

実は、東日本大震災の時に福島第一原子力発電所の格納容器に注水するために、ドイツのプツマイスターという会社から、これも世界最大サイズと呼ばれているコンクリート圧送車が輸入されたんですね。
こちらの車両の方が実際インパクトは強くて、サイズとしてはこちらが世界最大サイズになります。
ただこのプツマイスターのコンクリート圧送車の場合は、途中で折れているトレーラー式、いわゆる連結式のコンクリート圧送車になるんです。
先ほどの中国の企業が開発しているコンクリート圧送車は単一のシャシー、つまり継ぎ目のない一本のシャシーによる1つの大型トラックとして最も長いサイズを誇っている、という意味でギネス記録に認定されているわけです。

まとめ

今回は、大型トラックの後ろのタイヤ、後輪が2つ付いている理由について詳しく見てきましたが、いかがでしたか?
現在は後輪が2つというトラックが圧倒的に多いですが、スーパーシングルタイヤの登場で、このあたりの事情も今後かなり変わっていきそうです。

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