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道路保全だけではない!災害時にも活躍する散水車の構造やおすすめメーカーなどを大紹介!

道路保全だけではない!災害時にも活躍する散水車の構造やおすすめメーカーなどを大紹介!
訪日外国人の間では「清潔に保たれている」と高く評価される国内の道路ですが、夜間の清掃作業などでメンテナンスを行うことで道路が綺麗に保たれていると言えます。道路清掃作業で大活躍するのが作業車両の散水車で、散水車は誰もが1度は目にしたことがあるといっても過言ではないほどポピュラーな車両ですが、散水車の構造などは知られていないようですので、散水車の構造やおすすめメーカーなどを紹介します。

路面清掃や保守・管理に欠かせない散水車とは?

路面清掃や保守・管理に欠かせない散水車とは?
散水車は「名は体を表す」の典型例で、文字どおり水撒き作業に用いられる作業車両です。最も目にする機会が多いのは道路清掃作業で水撒き作業を行う散水車ですが、散水車は道路清掃作業専用車両として開発されたものではなく、使用用途の一つに道路清掃作業が含まれていると考えるべきだと言えます。

しかし散水車は貯水タンクと散水用ポンプを搭載したシンプルな構造ですので、水を貯めて搬送し散水するという単純な作業しか行えないため、使用用途はやはり限定的であるのも事実です。

同様の機能を搭載した類似車両に給水車が存在しますが、散水車と給水車の相違点は散水車が水撒き作業を目的に製造されているのに対し、給水車は飲料水の輸送と給水を目的に製造されている点だと言えます。

誤解されがち?道路清掃での散水は清掃が目的ではない!

道路作業の際に散水車が水を撒きながら走行している姿を目にすると、散水車が道路を洗い流しながら汚れを掃除しているように感じますが、実際に道路清掃を行っているのは散水車の後方を走行する路面清掃車が行います。

道路清掃は先行車・散水車・路面清掃車・ダンプカーの4台がチームとなって行われるのが一般的で、先行車の作業員が歩道や駐車車両周辺など路面清掃車が作業できない場所の土砂を清掃作業帯に掃き出し、飛散しそうな紙屑や大きいゴミなどを収集します。

次に散水車が清掃作業帯に散水を行いますが、路面清掃車の回転ブラシによって土埃が舞い上がらないようにすることを主な目的として水撒き作業を行います。散水車が水を撒いた後を路面清掃車が清掃作業を行い、路面清掃車に貯まったゴミはダンプカーに乗せ換えられダンプカーが搬送します。

道路清掃作業に散水車は欠かせない存在ですが、実は道路を洗い流すのが目的ではなく路面清掃車によって土埃が舞い上がらないように水を撒くのが目的として用いられているのですね。

散水車の構造や散水システムは?

散水車の構造や散水システムは?
既にふれたとおり散水車は車両後方に搭載する貯水タンクと散水用ポンプを用いて水撒き作業を行う車両で、基本構造は非常にシンプルな作業車両だと言えます。散水車の運転に必要となる資格や免許、散水車の構造や散水システムを紹介します。

散水車の運転には準中型免許以上の免許区分が必要?

散水車は作業車両ですが運転や水撒き作業を行うために特別な資格や免許を取得する必要はありません。自動車運転免許を保有していれば散水車の運転や水撒き作業を行うことは可能です。

しかし水撒き作業では大量の水を散水する必要があり、散水車は2,000リットル以上の貯水タンク容量を持つものが一般です。散水車に搭載する水の比重は1であるため、100リットルで100kg、1,000リットルで1,000kg(1トン)の重量が生じるので、散水車の車体重量は通常3.5トンを超えると言えるでしょう。

運転資格が車両総重量3.5トン未満・最大積載量2.0トン未満に定められている普通免許では散水車の運転資格を満たすことができないため、>散水車の運転には準中型免許以上の免許区分が必要となります。

散水システムは2つに大別される

散水車は貯水タンクに貯めた水を散水用ポンプを介して水撒き作業を行う、非常にシンプルな構造で造られています。貯水タンクに貯めた水はタンク内の液面と散水口との高低差で生じる水頭圧(落差圧)を利用して自然散水することも可能ですが、散水車には効率的に水撒き作業を行うために散水用ポンプが搭載されています。

散水用ポンプには動力が必要となりますが、散水車に搭載される散水用ポンプは動力源によって2つのタイプに分類することができます。

PTO式散水システム

作業車両に搭載される作業機器の動力をエンジン出力から取りだす装置がPTOで、クレーン付トラックやダンプカー、パッカー車などにも搭載され、各機能に動力供給を行う動力供給システムです。

PTOはシステムによって次に挙げる3つに分類されます。

  • トランスミッションPTO:停車状態でのみ動力供給が行えるPTO
  • フライホイールPTO:走行しながら動力供給が行えるPTO
  • フルパワーPTO:エンジン出力を100%利用して強力動力供給が行えるPTO

走行しながら水撒き作業を行うために、散水車にはフライホイールPTOが搭載されています。

外部エンジン式散水システム

外部エンジン式散水システムはエンジン動力を使用せず散水用ポンプの動力源用に搭載した専用エンジンから散水用ポンプの動力を供給する動力供給システムです。PTO式の動力供給は散水ポンプの出力が散水車のエンジン回転数の影響を受けますが、専用動力源となる外部エンジン式動力供給は散水車のエンジン回転数や車速に関係なく一定量の散水が行えます

散水車は特殊車両!製造はトラックメーカーではない?

散水車は特殊車両!製造はトラックメーカーではない?
散水車の貯水タンクや散水用ポンプを搭載するベース車両にはトラックメーカーの製造する一般的なトラックが採用されます。しかし、散水車に搭載する機能は架装メーカーやボディメーカーと呼ばれるメーカーで製造・搭載されるため散水車を製造するのはトラックメーカーではありません。

トラックメーカーの製造するキャブ付き裸シャーシに散水機能を搭載し散水車を製造販売する架装メーカーで、大きなシェアを占めるメーカーを紹介します。

散水車を製造する主要メーカーは?

トラックメーカーが製造したキャブ付き裸シャーシに貯水タンクや散水用ポンプを搭載し、散水車を完成させて販売する架装メーカーの中で大きなシェアを占めるメーカーとして新明和工業・極東開発工業・マツモト・三和運輸工業などが挙げられます。

新明和工業

散水車以外にもダンプカー・ミキサー車・パッカー車・バキュームカーなど多くの作業車両や特殊車両の製造販売を行う架装メーカーの1つが新明和工業です。PTO式と外部エンジン式の両方式の散水車を製造販売しています。

極東開発工業

ダンプ・ミキサー車・コンクリートポンプ車などの製造販売を行う特殊車両メーカーでPTO式と外部エンジン式の両方式の散水車を製造販売しています。

マツモト

散水車を中心に製造を行う特殊車両メーカーで、全自動逆流吸引方式の自動急速給水システムで特許を取得しています。PTO式と外部エンジン式の両方式の散水車を製造販売しています。

三輪運輸工業

クレーン車・特殊大型トレーラー・高所作業車などの製造販売を行う特殊車両メーカーで、製鉄所構内の環境改善を行うために用いる放水銃など特殊な散水機能を搭載した散水車を製造販売しています。

散水車の活躍するフィールドは?

散水車の活躍するフィールドは?
水撒き作業を行う散水車は道路清掃作業に用いられているのを目にする機会が多いですが、散水車は道路清掃以外でも幅広いフィールドで使用され活躍する作業車両です。

清掃・保守管理のフィールドが散水車の主戦場

散水車が最も活躍するのは道路清掃の際の砂埃防止用の散水作業ですが、次に挙げるフィールドでも散水車が活躍しています。

  • 街路樹への水やりなどの保守作業
  • トンネルの壁面清掃作業
  • 工事現場や競馬場などの砂塵防止作業
  • 凍結防止剤散布での道路保守作業
  • 制定所の設備冷却などの環境保全作業
  • 舗装工事現場でのアスファルト冷却作業

もしも!の時には給水車としても活躍する散水車

被災地では水の確保が深刻な問題となりますが、貯水タンクを搭載する散水車はもしもの時に被災地に水を運べる頼もしい存在でもあります。もちろん飲料水としては使用できませんが、生活用水として使用する水を散水車で供給することで貴重な飲料水を生活用水に転用することなく効果的に被災地支援を行うことも可能です。

中古散水車購入の際のチェックポイントとは?

中古散水車購入の際のチェックポイントとは?
散水車の導入によってビジネスチャンスの拡大が期待できますが、散水車は特殊車両であるため新車で購入すると一般的なトラックよりも納車期間が必要となりますし、車両価格も安いものではなく経済的負担は決して小さなものではありません。

しかし、中古トラック販売店を利用して中古散水車を購入することで、納期や導入コストの問題をクリアすることが可能となるので散水車の導入の際には中古トラック販売店の利用を視野に入れて検討することをおすすめします。

中古の散水車を購入する際のチェックポイントは次のとおりです。

ベース車両のチェックポイント

既にふれたとおり散水車の貯水タンクや散水用ポンプは架装メーカーが製造・取付けを行いますが、ベース車両はトラックメーカーが製造する通常のトラックのキャブ付き裸シャーシが使用されます。

散水車を効果的に運行するためにはベース車両が良好なコンディションであることが求められるため、ベース車両の年式・走行距離・メンテナンス履歴・各機関からの油漏れのないことなどを確認することをおすすめします。

また貯水タンクの容量によって散水車の車両区分が異なり、運転に必要となる免許区分も異なってくるので購入を検討している散水車の車両区分の確認も忘れずに行って下さい。

散水機能のチェックポイント

散水車に搭載される貯水タンクが経年劣化で腐食していると、せっかく散水車を購入してもすぐに修理することになりかねません。また散水用ポンプの原動力供給がPTO式か外部エンジン式かで散水車の運行スタイルが異なりますので、原動力の供給方法も確認しておきましょう。

タンク付属のバルブ類も劣化して締めきれないものや動きが悪いものは、水撒きの作業効率に影響しますのでチェックしておきましょう。

まとめ

道路の保守管理などのフィールドでニーズの高い散水車は中古トラック販売店で中古車両を購入するのが効果的な導入方法だと言えます。中古散水車の選択時には次の点に注意しながら良質な中古車両を手に入れて下さいね。

  • ベース車両の年式などのコンディションチェック
  • ポンプの原動力供給方式がPTO式か外部エンジン式かの確認
  • タンク本体の腐食の有無や付属バルブ類のコンディションチェック

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