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緑ナンバーを取得できる事業には何があるの?会社を立ち上げるための申請方法や必要免許もご紹介!


運送業と切っても切れない関係なのが「緑ナンバー」です。個人事業主でも法人でも、運送を生業とするのであれば、必ず必要になります。そのため、個人で取得することはできず、何らかの事業を立ち上げなければなりません。事業を立ち上げるためには、事業計画書の作成や書類の提出、法令試験などさまざまな条件があります。このように、緑ナンバー取得までの道のりは険しいですが、これから運送業を始めようとする方には、避けて通れない道です。そこで、今回は緑ナンバーが必要な場面からその取得方法まで、一つ一つ詳しく解説していきます。

筆者・太田さん

太田 りく著者のTwitterはこちら

整備士として現場で働いている現役整備士ライターです。
所有資格は整備士3級。

現役で働いているという強みを活かし、読みやすく読者の疑問を解決できるような記事になるよう心がけています。

緑ナンバーとはどんな場面で使用されるナンバーなの?

緑ナンバーは一般貨物自動車運送事業社が使用するナンバーです
運送事業という名の通り、「モノや人を運ぶ対価として、報酬をもらう仕事」に使うナンバーということになります。

つまり、運賃をもらって運送をするトラックには、緑ナンバーが必要だということです。

例えば自社製品をトラックに載せて運搬、納品する場合、緑ナンバーは必要ありません。
運搬することが主な業務ではなく、自社製品を納品する一環として、運搬しているからです。
しかし、多くの場合は、運送事業として運搬業務を行うため、ほとんどのトラックが緑ナンバーを取得しています。
緑ナンバーは、運送事業をしている証であり、運送を主な業務としている場面では、必須といえます。

日本で使われているナンバーの種類

日本で使われているナンバーの種類は、主に4種類あります。
それぞれの違いを見ていきましょう。

ナンバープレートの色 文字色 取り付けられている車両
主に自家用登録自動車
事業用登録自動車
軽自動車
事業用軽自動車

このように、軽自動車かそれ以外か、自家用か事業用かでナンバーの種類は変わってきます。
そのなかで、緑ナンバーは「事業用」に該当し、車で事業を行う場合、緑ナンバーが必要であることが、ナンバーの種類の違いを見ても分かるでしょう。

トラックを使用した緑ナンバーの取得ができる事業形態は大きく4種類!

では具体的にどのような業種で緑ナンバーの取得が必要なのか、または取得できるのかをご紹介していきます。
・特別積合せ貨物運送事業・・・不特定多数の荷主の荷物を1台の車両に積載し、全国規模で運送する事業形態(例:宅配便)
・一般貨物自動車運送事業・・・荷主からの依頼を受け、荷物を運送し、運賃を受け取る事業形態(例:引越し業者、チャーター便)
・特定貨物自動車運送事業・・・特定の荷主の荷物のみを運送し、運賃を受ける事業形態(例:メーカー(親会社)の製品のみを運送する子会社)
・霊柩運送事業・・・遺体の運送のみを行う事業形態(例:霊柩車)
大きく分けると、緑ナンバーを取得できる事業形態はこの4種類になります。
それぞれ使用目的が違い、緑ナンバーだからといって貨物だけを運送しているわけではないのです。

緑ナンバーと白ナンバーとの違いとは?

緑ナンバーを取得すると、実際どのようなことが変わってくるのでしょうか。

白ナンバーとの違いを表にまとめました。
ちなみに、税金や車検頻度は、トラックの場合のことを記載しています。

運搬物 自動車税
(1t超~8t以下)
自動車重量税
(1t超~8t未満)
車検頻度
緑ナンバー 物や人
(運賃をもらうことができる)
年間9,000円~29,500円 年間10,400円~41,600円 車両総重量8トン未満は、初回2年、その後1年毎
車両総重量8トン以上は、初回1年、その後も1年毎
白ナンバー 物や人
(運賃をもらうことができない)
年間11,500円~40,500円 年間13,200円~65,600円 緑ナンバーと同じ

大きく違うのは、やはりお金をもらって運搬ができるかどうかの部分です。
運賃をもらうためには、緑ナンバーでないといけないということになります。
そして、税金面でも、緑ナンバーの方が割安になっています。

緑ナンバーのメリット3選!

車を使った事業をするために必要な緑ナンバーですが、自家用とは違う、事業用ならではのメリットが多くあるのが特徴です。
そこで、車を緑ナンバーに変更するメリットを3つ厳選してご紹介します。

運送事業としても使用できる

緑ナンバーを取得する主な目的として「運送事業ができる」という点が挙げられます。
緑ナンバーを取得すると、自社の荷物を運ぶだけでなく、お金をもらって他社や他人の荷物を運ぶことができます。

白ナンバーの場合、他社の製品を買い取って自社のものにすれば、運ぶことができますが運送業として車を使用することはできません。

緑ナンバーは、ただ単にナンバープレートの色が緑になったわけではなく、運送事業をする許可を国から受けた証です。
そのため、料金をもらって物や人を運ぶ際は必ず緑ナンバーを取得しましょう。
結果的に仕事の幅を広げるためにも、緑ナンバーの取得は必要不可欠なのです。

税金が安い

「緑ナンバーと白ナンバーの違いとは?」の項目でもふれたように、緑ナンバーにすると重量税、自動車税が自家用車より安くなります

後ほど解説しますが、緑ナンバーを取得するには、5台以上の車両を保有している必要があります。
保有台数の多い事業用車は、点検や車両の入れ替え、新規購入などのサイクルが自家用車よりも早いスパンで行わなければなりません。

そして、走行距離や使用時間がどうしても長くなってしまうため、過酷な環境で使われている車だといえます。
そのため、自家用車以上にしっかり点検、整備を行わなければなりません。
点検やメンテナンスのような整備代が、自家用車よりもかかるため代わりに、税金面は安く設定されているという一面もあるのです。

任意保険加入時に貨物に対しても保険をかけることができる

緑ナンバーの場合、事業用の任意保険に加入することになります。
事故に合うリスクが自家用車に比べて高い分、任意保険の加入は絶対にしておくべきでしょう。

加入する事業用の任意保険ですが、プランによっては貨物に対しても保険をかけることができます
同じ事故でも、積んでいる荷物によって、賠償額は大きく変わります。
高額な商品を搬送している場合、払いきれないような多額の賠償金になる可能性もあるでしょう。
そういった場合でも、保険をかけていることによって、保険金にて支払いが行われます。

事故を起こしてもいいということにはなりませんが、万が一に備えて、貨物の保証もしてくれる任意保険に入っておくことをオススメします。

緑ナンバー取得に関しての注意点

メリットも多い緑ナンバーの取得ですが、注意しておかなければならないこともあります。
主な注意点は3つです。
ではそれぞれ詳しくご紹介していきます。

税金が安いからといって維持費が安くなるわけではない

メリットの部分でご紹介した通り、重量税、自動車税が安くなります。
しかし、車両を維持するためには、税金だけでなく、燃料費や整備費用なども必要になってきます。
トラックの場合、燃料タンクの容量も200Lや大型になると300Lのタンクが2つ付いている場合もあり、燃費も自家用車ほどよくありません。

点検整備の費用も普通車に比べて高くなるので、税金が安いからといって、トータルの維持費が安くなるわけではないということを理解しておきましょう。

任意保険や自賠責は逆に高くなる

緑ナンバーは事業用車両になります。
事業用車両は一般的に、自家用車に比べて走行距離も多くなります。
その分、事故に合うリスクも多くなると考えられるので、保険料は自家用車に比べて割高です。
しかし、共済やフリート契約というものを使えば、普通に加入するより安く抑えられる可能性もあるので、保険加入の際は、しっかり調べることをオススメします。

法定点検頻度も3ヶ月に1度と頻度はかなり高い

事業用車の場合、1年間に受ける法定点検の頻度が自家用車よりも多くなります
法定点検とは、車検とは別に受ける必要のある点検のことです。
法定点検は、法律で定められた義務であり、自家用普通自動車の場合、12ヶ月ごとですが、緑ナンバーである事業用車は、3ヶ月ごとの点検が必要となります。

また、法定点検を受けなくても罰則が発生しない自家用車に対し、事業用車の場合、罰金や運行停止命令まで出される可能性があります。
短期間で多くの距離を走る事業用車は、しっかり整備をされていないと危険です。
そのため、点検の頻度が高くなっています。

このように緑ナンバーの場合、税金は割安ですが、総合的にみると維持費はあまり安くなく、むしろ高くなる可能性もあります。
運送事業を始めて、緑ナンバーを取得するのであれば、収支計画もしっかり立てておきましょう。

緑ナンバーの取得方法

緑ナンバーを取得するにはまず、一般貨物運送事業を始める必要があります。
緑ナンバー取得までの流れとしては、
➀一般貨物運送事業者の登録
②車両の登録(緑ナンバーへの変更手続き)
となります。

事業用である緑ナンバーは、運送に関する何らかの事業をしていないと取得できません。
つまり誰でも「簡単に」取得できるわけではないのです。
しかし、この手順をしっかり踏んでいけば、誰でも緑ナンバーを取得し、運送業としてスタートできます。
それでは、緑ナンバー取得までの方法を、順を追って解説していきます。

一般貨物運送事業を立ち上げる際の登録手順

まず、一般貨物運送事業を立ち上げましょう
立ち上げましょうと一口に言っても、多くの書類を準備し、さまざまな条件をクリアしていかなければなりません。

しかし、これから事業を立ち上げるにあたり、しっかり計画を立て、準備を行うことは、自分自身で事業を行うためにも重要になってくるでしょう。
では、登録までの手順を解説していきます。

➀事業計画

事業計画とは、その事業を始めるにあたり、資金や規模などを具体的に計画したものとなります。
そして、一般貨物運送事業の申請をするには、事業計画を立てる必要があるのです。
なぜなら、申請書の記入事項が、事業計画を立てていないと記入できないような内容だからです。

事業計画の内容は、国土交通省が示す審査項目の適合基準を満たしている必要があります。
後ほど詳しく解説しますが、審査項目には、車両台数や営業所、車庫などの施設規模についてなど、多くの基準があり複雑です。
それらすべての基準をクリアできるように、事業計画の作成を行います。
そして、その事業計画に沿って、車両や施設の手配などの事前準備を行っていきましょう。

②運輸支局へ申請

事業計画を立てたら、申請書の記入をしていきます。
申請書の原本は、ネットでダウンロードして使用することもできますし、各地方の運輸支局でも入手することができます。

申請書を記入していくのと並行して、申請書の内容を証明する書類を集めていくことも大切です。
例えば、資金の調達方法などを記入する項目があるのですが、そのなかに、預貯金額を記入する欄があります。
そこに記入した金額が間違いないことを運輸支局側が確認するために、金融機関などが証明する「残高証明書」の添付が必要になります。
このように、申請書の内容に、嘘や間違いがないことを確認するため、各証明書を一緒に提出しなければならないのです。

申請書の作成と添付書類がそろったら、各地方の運輸支局へ提出します。
書類の審査期間は、3~5ヶ月ほどです。

【各申請書ダウンロードページ】

その間に、次の項目に進んでいきましょう。

③法令試験を受検

書類の提出が終わったら、法令試験を受験しなければなりません。
この試験に合格しなければ、一般貨物運送事業の許可は下りないからです。
試験は2ヶ月に1回実施されており、基本的には、書類を提出した月の翌月以降に受験することになります。
試験内容は、30問ある問題を50分の制限時間内で回答し、正解率80%以上で合格となります。

また受験者は、1つの申請に対し1名のみです。
申請者が個人事業主の場合、申請者本人が受験をし、法人の場合は運送事業に専従する役員が受験をします。
ですので、雇用しているアルバイトや一般社員に試験を受けさせることはできません。

④運輸支局からの合否連絡

法令試験の合格発表は、通常約1週間後に郵送にて通知が届きます
地域によっては即日発表されるところもありますので、受験する地方の運輸支局へ確認を行ってください。
法令試験が不合格だった場合、2ヶ月後に実施される試験に、再度受験しなければなりません
もし、2回目も不合格だった場合は、申請自体を却下されますので、そのようなことにならないよう、しっかり勉強して受験しましょう。

また、申請した書類に不備があった場合、申請日から約2ヶ月後に郵送か電話にて連絡が来るので、指示に従い訂正を行ってください。
法令試験に合格し、申請書類も審査が終了すれば、許可証が発行され、許可取得の通知が入ります。
ここまでくれば、事業開始は目の前です。
次の項目の手続きへ進んでいきましょう。

⑤各手続きを行う

許可証を取得したら、まず登録免許税の納付をしましょう。

登録免許税は、許可取得後1ヶ月以内に、12万円を納付しなければなりません。

次に、運行管理者と整備管理者の選任届を提出します。
運行管理者は、運転手のスケジュール管理を行う者のことをいい、適切な労働時間や休憩時間を確保、管理する目的があります。
整備管理者は、車両の状態を管理、点検する者のことです。
それぞれの責任者を選任し届出を行います。

その次に、「運輸開始前の確認報告書」も必要書類を添付して、提出します。
こちらは、社会保険や労災保険に加入していることを証明する書類の添付が必要なので、提出前に加入を済ませておきましょう。

そして、車両の登録を行います。
この車両登録を行うと、緑ナンバーを取得できます。
各手続きが完了したら、晴れて事業を開始することができるのです。

⑥事業開始

許可取得後の各手続きから事業開始までは、1年以内に行うことが義務付けられています
そして、事業開始後は遅滞なく、運輸開始届を提出しなければなりません。
また、運輸開始届と同時に、運賃料金設定届も提出しましょう。
これで、提出する書類はすべて完了となります。
その後は、住所や役員などの変更があった場合に、そのつど届出をするような形でOKです。

緑ナンバーを取得するための車両の手続き

それでは、許可証取得後の「車両の登録」について、掘り下げていきます。

まず、「事業用自動車連絡書(以下連絡書)」に必要事項を記入し、運輸支局へ提出します。
連絡書は2部で1セットとし、登録する車両の台数分必要になります。
その他の提出書類は、
・手数料納付書
・車検証のコピー
この2つです。

そして、提出した連絡書に運輸支局の確認印が押され、返却されます。
それを持って次は、運輸支局内の自動車検査関係の窓口、もしくは自動車検査登録事務所へ出向きます。
このとき、登録する車両を必ず持ち込んでください
なぜなら、今付いているナンバーを返却し、新たに緑ナンバーを取り付ける必要があるからです。
車検証の変更とナンバープレートの付け替えが終わったら、緑ナンバー取得の手続きは完了です。

ちなみに軽自動車の場合、ナンバープレートの交付は軽自動車検査協会で行いますが、事前に運輸支局で、同じように「事業用自動車連絡書」を提出し、押印をもらわなければならないため注意しましょう。
これで車両登録の手続きが完了し、軽自動車は黒ナンバーへ、その他は緑ナンバーへの変更ができるのです。

緑ナンバーを取得する際の費用

緑ナンバーを取得する際に、必ず必要になってくる費用をご紹介します。
・登録免許税・・・12万円
・ナンバープレート代・・・1,500円~1,900円程度
地域によって変わる場合がありますが、基本的にこの2つの費用がかかります。

また、ナンバープレートを字光式や希望ナンバーにする場合は、もちろん別途費用が必要です。
その他にも、提出する証明書関係の取得にも費用がかかる場合があるので、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。

緑ナンバーの取得条件とは?

「事業計画」の項目でも触れましたが、緑ナンバーを取得するには、審査項目の基準に適合していなければなりません
運輸局の審査項目は、大きく9つの項目から構成されています。

ちなみに、営業所などの各施設は、「使用権原を有しており、農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しないものであること」という条件が必ずあります。
簡単にいうと「土地や建物を使用する権利を証明できて、適切な場所に適切な形である施設じゃないとダメ」ということです。

それでは、各審査項目をまとめながら解説していきます。

営業所

業務の拠点となる事務所になります。
具体的な基準はありませんが、先程書いた通り、一般貨物運送事業として使用する権原を有しており、関係法令に抵触しないものであることが条件です。

その他の基準として、
・規模が適切であること
・必要な備品を備えているなど、業務遂行上適切なものであること
というものがあります。

規模に関しては、例えば常駐する従業員が5人いるのに、3人分のスペースしかないなど、必要以上に狭かったりせず、適切な広さや大きさにするということです。
事業に必要な設備や備品は、例えば帳簿関係やアルコールチェッカーなどのことを指します。
拠点として、円滑に業務ができるような施設にしましょう。

車庫

車庫は原則として、営業所に併設するものでなければなりません
もし併設できない場合は、平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合するものである必要があります。
この告示は、営業所から車庫までの距離を定めており、営業所から5km~10km以内(地域により異なる)の距離に車庫が設けられていなければなりません

そして、広さや場所に関しても条件があり、
・車両と車庫の間隔、車両同士の間隔がそれぞれ50cm以上確保されていること
・計画する車両をすべて収容できるものであること

車両の出入りに支障のないものであり、接道に関して車両制限令に抵触しないこと
となっています。

車庫の出入り口と接する道路が私道の場合、通行に関する使用権原を有する者の承認が必要です。

また、車両制限令に抵触しないものでなければなりません。
ここでいう車両制限令とは、簡単にいうと、車両の大きさに応じて、適切な幅の道路と接している必要があるということです。

その他の条件として、車庫以外の使用はせず、他の用途に使用される部分と明確に区分けされている必要があります。

車両数

営業所ごとに事業用自動車の数が5台以上ある必要があります。

ですので、例えば営業所を2ヶ所設置する場合は、10台以上の事業用自動車が必要になるということです。
ただし、霊柩運送などの一般的に需要の少ないと認められる事業の場合は、車両数の基準は適用されません。

事業用自動車として認められる車両に関しては、大きさや構造などが、輸送する貨物に対して適切なものである必要があります。

休憩・睡眠施設

昼夜問わず物流を支える運送業は、休憩・睡眠施設を設置しなければなりません
この施設は、乗務員が有効に利用することができる、適切な施設である必要があります。
また、睡眠スペースは1人当たり2.5平方メートル以上の広さを確保し、営業所または車庫に併設することが条件となります

ただし、営業所ではなく車庫に併設するときは、休憩・睡眠施設を設置している車庫の所在地と、設置していない車庫の所在地との距離が10km~20km(地域により異なる)を超えないようにする必要があるため注意しましょう。

<h3>管理者や人員の確保

事業の適正な運営を確保するための人員に関しても、基準があります。
まず、登録する車両の運転者を、常に確保できる状態でなければなりません。
運送事業は、運転者がいないと成り立たないので、このような基準を設けています。
例えばガソリンを運ぶタンクローリーなど、危険物を運送する場合は、消防法などの関係法令に定める取扱い資格を持った者を確保する必要があります。

運転者の勤務を管理する、運行管理者も必ず確保しなければなりません。
安全に運行させるために、運行管理者の責任は重大ですので、指揮命令系統が明確である必要があります。

車両の整備不良を起こさないために、整備管理者の確保も必要です。
こちらも点検及び整備管理に関する指揮命令系統が明確である必要があります。
このようにさまざまな役割を持つ従業員や役員を選任し、事業がうまく回るようにしなければならないのです。

その他にも事業を行うにあたりさまざまなことを決めなければならない

上記で説明した条件以外にも
・従業員の給料や車両の維持費など、各費用を計算し、所要資金を見積もった資金計画書
・営業所とは別に、積卸施設を設ける場合に必要な荷扱所
・貨物の仕分けや一時保管をするために必要な、積卸施設
・従業員の福利厚生に関する法令遵守
・事故を起こした場合の保険などに関する、損害賠償能力
など、多くのことを決めていかなければなりません。
事業を立ち上げる経営者として、必ず計画を立てなければならないことばかりなので、責任をもって1つずつ計画をしていきましょう。

緑ナンバーを運転するためにはどんな免許が必要なの?

緑ナンバーだからといって、特別な免許が必要なわけではありません。
運転できるかどうかはナンバーの色ではなく、車両の大きさや何を運搬するかによって変わります
それにより、必要な免許が変わるのです。

例えば、AT限定の免許の人はMT車を運転できません。
ですが、白ナンバーの普通車でも黄色ナンバーの軽自動車でも運転できます。
これと同じように、緑ナンバーの車でも運転免許の種類に当てはまっていれば、誰でも運転はできるのです。

しかし、車両総重量や最大積載量が免許の種類に当てはまっていても、何を運搬するかによって必要免許の種類が違います。
その違いを解説していきます。

貨物(人以外)を運ぶ場合

物を運ぶ場合は、車両の大きさに応じた第一種運転免許で運転することができます
例えば、車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満のトラックで貨物を運ぶ場合、緑ナンバーであっても第一種普通免許で構いません。
そもそも免許の種類とは、自動車の大きさによって
・普通免許
・準中型免許
・中型免許
・大型免許

というように分かれています。

つまりそれぞれの大きさに対応した運転免許を持っていれば、問題ないのです。
ただし、トレーラーを運転する場合はけん引免許が必要ですし、危険物を運搬する場合は運転免許とは別に「危険物取扱者」の資格が必要です。
何を運ぶかによって、別途で免許や資格が必要になりますので、注意しましょう。

旅客など人を運ぶ場合

物ではなく人を運ぶ場合、第二種運転免許が必要になります
ここで、「家族や友人を乗せてドライブする場合も、第二種運転免許が必要なのか」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
答えは、「必要ない」です。
第二種運転免許とは、運賃をもらって人を運ぶ、旅客運送を業務として行う場合に必要な免許となっており、バスやタクシーの運転手などがこれに当てはまります。

第二種運転免許にも、普通第二種免許~大型第二種免許まであり、第一種よりも取得条件が厳しくなります。
・21歳以上であること
・第一種運転免許を取得していること
・第一種運転免許の取得から、通算して3年以上経過していること
物ではなく人を運ぶということは、その人の命を預かっているということなので、より厳格な制度を設けているのです。

まとめ

一般貨物運送事業を開始するには、さまざまな基準と法令試験をクリアしていかなければなりません。
一般的に、申請から緑ナンバーを取得し、事業を開始するまで半年から1年ほどの期間がかかるかといわれています。
なぜこのような厳しい基準が設けられているのでしょうか。
たくさんの理由があるなかでもっとも重要なのは、安全に運行を行う必要があるからという理由です。
今までトラックによる、数々の悲惨な事故が発生しています。

運転手の運行行程や時間の管理、体調や持病などの健康管理が十分でなかったことが原因とする事故も多く起こっています。
このようなことがあってはならないため、細かく厳しい基準が設けられているのです。

これから一般貨物運送事業を始めようとしている方は、「トラックは、時として凶器になる」ということを自覚し、責任をもって緑ナンバーを取得してください。
そして、今回解説したように、順を追ってしっかり進めていき、誇りをもって事業を始めましょう。

  • 緑ナンバーとは賃料をもらい貨物や人を運ぶ際に必要なナンバー
  • 取得するためには運送事業を立ち上げる必要がある
  • 緑ナンバーのメリットは車両を事業として使用できる点
  • 貨物のみを取り扱う緑ナンバーの場合、運転免許は第一種で運転できる

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