日野自動車の人気シリーズ「レンジャー」の特徴や人気の秘密を大紹介!

(引用元:日野自動車)
商業車専門メーカーとしてトラックやバスの製造販売を行い45年間もの間、国内の中型・大型トラック販売数トップシェアを誇る日野自動車の人気シリーズがレンジャーです。
物流業務に活用される一方で1991年以降日本で唯一ダカール・ラリーのカミオン(トラック)部門にレンジャーFT(4トンフルキャブ4輪駆動車)で連続参戦し国内外から高い評価を得ているトラックです。
1964年の初代日野レンジャーのリリースから長年日本の物流業界に貢献しながら、国外でも大いに活躍する日野レンジャーの特徴や人気の秘密に迫ります。
目次
人気の高い中型トラック「日野レンジャー」を知ろう!
初代日野レンジャーの20年を筆頭に19年の3代目、16年の5代目、12年の4代目、11年の2代目と日野レンジャーはモデルサイクルが長い傾向にあると言えます。新型モデルをリリースした後に適切なタイミングでマイナーチェンジを行い、完成度を高めていくことでモデルサイクルが長くても国内最大の販売台数を保ち続けることができていると考えられます。
日本の物流を支え続けてきた「日野レンジャー」の歴史
初代レンジャー(1964年~1984年)
マル目2灯で前開きのキャブドアの3.5トントラックとして1964年に初代日野レンジャーがリリースされました。1967年・1969年・1978年に大小3度のマイナーチェンジが量られ、キャブドアが後ろ開きでマル目4灯、エンジン出力110psに変更された初代レンジャーは2代目レンジャー登場後にも生産され続けました。
2代目レンジャー(1969年~1980年)
2代目レンジャーは新開発した120 psのエンジンを搭載して登場しましたが、1972年には145psのEH100型エンジン、1974年には155psのEH300型エンジン、1977年には165psのEH700型エンジンが投入されました。後にEH700型が170psに強化されるなど日野レンジャーの高出力化が図られたモデルだと言えるでしょう。
3代目レンジャー(1980年~1989年)
従来モデルのKLシリーズを一新し4L・4S・4Dシリーズとして1980年にリリースされた3代目日野レンジャーはアジアなどの海外仕様車として1995年まで継続生産されるモデルとなりました。1982・1984・1986・1988年の4度のマイナーチェンジが行われ、1984年にはマル目4灯から角目4灯、助手席セーフティウインドウが標準装備されるなどの変更が施されました。
4代目レンジャー(1989年~2001年)
異型2灯のヘッドライトと平成元年排出ガス規制適合のH07Dエンジンを搭載し1989年にリリースされたのが4代目日野レンジャーです。最大積載量7トンのFF、8トンのFG、3軸低床のGK(6×4)、高床パートタイム4WDのFT、低床4トンフルタイム4WDのFXなど多くの車種が投入されラインナップが充実します。
カーゴ系全車にチューブレスラジアルタイヤを標準装備、4トンのFDにリヤエアサスペンション車・ABS・車間距離警報装置・代替フロンガス使用のエアコンをオプション設定するなど、近代的な装備品が採用され1995~1999年の4年間トヨタにOEM供給が行われています。運転席エアバッグが標準装備やドアハンドルが金属製から樹脂製に変更されたのも4代目日野レンジャーでした。
5代目レンジャー(2001年~2017年)
2001年にリリースされた5代目日野レンジャーは低公害車LEタイプや超低PM車の設定、FC(ショートキャブ)にハイブリッド車の投入、エアサス車の拡大や全車にエンジンイモビライザーとマルチインフォメーションシステムを標準装備するなど自然環境や運転環境を大きく改善したモデルだと言えます。
直噴コモンレール式インタークーラーターボエンジンJ05D・J07E・J08Eを投入し、外観も中型トラッククラスとして初めて、バンパー埋め込み型のロアヘッドライトを採用するなど斬新なデザインとなりました。
6代目レンジャー(2017年~現在)
16年ものロングセラーとなった5代目を廃し新開発の5.1リットル直列4気筒SOHC16バルブ直噴ディーゼルのA05C型エンジンや プリクラッシュセーフティ・車線逸脱警報装置・VSC(車両安定制御装置)を搭載し2017年にリリースされたのが現行モデル6代目日野レンジャーです。
ドライバーモニターを採用し車両情報を通信で日野に送るICTサービス機能を一部車両に標準装備(該当車以外はオプション設定)するなど、最先端技術が投入されています。
現行モデル6代目レンジャーの特徴
(引用元:日野自動車)
長めのモデルサイクルの中で各モデルの完成度を高めながら後継モデルに継承していく、日野レンジャーは完成度の高いトラックであることから45年もの間、国内の中型・大型トラック販売数トップシェアを守り続けることができていると考えられます。
6代目日野レンジャーは初代から50年以上培ってきた日野の技術を惜しげもなく投入され2017年にリリースされたトラックテクノロジーの結晶あると言っても過言ではないでしょう。
日野レンジャーの燃費や走行性能
6代目日野レンジャーの直列4気筒SOHC16バルブ直噴ディーゼルのA05C型エンジンは2段過給ターボのTC(A5-3)、単段過給ターボのTD(A5-4)・TE(A5-5)・TF(A5-6)・TG(A5-7)の5タイプが用意され、車両区分で搭載エンジンが異なります。
各エンジンの出力は以下の通りです。
- TC(A5-3):191KW(260PS)/2,300rpm、882N.m(90kgf.m)/1,400rpm
- TD(A5-4):177KW(240PS)/2,300rpm、833N.m(85kgf.m)/1,400rpm
- TE(A5-5):177KW(240PS)/2,300rpm、794N.m(81kgf.m)/1,400rpm
- TF(A5-6):155KW(210PS)/2,300rpm、706N.m(72kgf.m)/1,600rpm
- TG(A5-7):140KW(190PS)/2,000rpm、706N.m(72kgf.m)/1,600rpm
※TC(A5-3)・TD(A5-4)・TE(A5-5)はDPR+尿素SCR、TF(A5-6)・TG(A5-7)はDPR-2を採用
またマニュアルトランスミッションには6MT・7MT、オートマチックトランスミッションには6ATを採用、ワイドレンジ化を行うことで力強い走行性能と低燃費の両立を実現しています。
さらに吸気構造にスタックダクトを採用することでエンジン効率を向上させる低温の空気を吸気させ、燃比の向上を図っています。
日野レンジャーの安全性能
(引用元:日野自動車)
6代目日野レンジャーには距離認識に強いミリ波レーダーと形状認識に強い画像センサーで先行車両や歩行者を検知し、警報ブザーとディスプレイ表示でドライバーに警告を行い、衝突の可能性が高くなったと判断すると自動ブレーキが発動し衝突を回避するプリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ)を標準装備しています。
先行車両との距離を計測し適切な車間距離を自動維持するスキャンニングクルーズやわき見や目を閉じた状態が続くと警報で注意喚起を行うドライバーモニターは一部オプションとなるものの、時速約60km以上で走行中の車両のフラツキを検知すると警報で注意喚起を行う車両フラツキ警報、走行車線から車両がはみ出すと警報で注意喚起を行う車線逸脱警報は標準装備されています。
また車線からのはみ出しや横転、スリップやスピンをエンジン出力生業や自動ブレーキで抑制する車両安定制御システムVSCやブレーキング時のタイヤロックを防止するABS・SRSエアバッグ・プリテンショナー付シートベルト・衝撃吸収機能付ステアリング&可倒式ステアリングコラムの装備でドライバーの安全を守ります。
日野レンジャーのグレードとラインナップ
6代目日野レンジャーは平ボディのカーゴ、パネルシリーズのVQプラス・VQウィングバン・VQクールバン・ダンプ・ミキサーなどのボディバリエーションがラインナップされています。
キャブタイプは標準ルーフ・標準バンパーの標準幅キャブ、標準ルーフ・ロングバンパーのワイドキャブ、ハイルーフ・ロングバンパーの標準幅キャブにショートキャブ・ベッド付きキャブ・ダブルキャブが用意されています。
荷台長も非常に多くのバリエーションが用意されていますので4トンショートキャブFCと4トンベッド付きFDを例に紹介します。
ホイールベース (リアボデー内寸長) |
ショート (標準幅) |
ショート (ワイド) |
ベッド付 (標準幅) |
ベッド付 (ワイド) |
4,355mm | ○ | 設定なし | 設定なし | 設定なし |
4,605mm | 設定なし | 設定なし | ○ | 設定なし |
5,005mm | ○ | ○ | ○ | ○ |
5,305mm | ○ | ○ | ○ | ○ |
5,755mm | ○ | ○ | ○ | ○ |
6,205mm | ○ | ○ | ○ | ○ |
7,205mm | ○ | ○ | ○ | ○ |
8,500mm | 設定なし | ○ | 設定なし | ○ |
9,750mm | 設定なし | 設定なし | 設定なし | ○ |
日野レンジャーが中古トラック市場で人気を集める訳とは?
商用車専門メーカーとして45年間もの間、国内の中型・大型トラック販売数トップシェアを誇る人気シリーズが日野レンジャーです。既に紹介したように世界一過酷なレースだと言われるダカール・ラリーのカミオン部門に連続出場を続けることで世界中から高い評価を受けています。
歴代の日野レンジャーに投入されてきた高出力エンジンは業界屈指のパワフルさを実現し、業務用車両に求められる必要不可欠な条件である耐久性の高さはラリーに出場しながら日野レンジャーに投入され続ける得意分野であると言えるでしょう。
また販売網や整備拠点も広く展開し、メンテナンス費用がリーズナブルである点も日野レンジャーが支持される理由だと言えます。日野の技術力の高さが信用に繋がり日野レンジャーの人気を支えていると考えられます。
国内の中古トラック市場で流通する日野レンジャー
非常に数多くの車両が中古トラック市場に流入している日野レンジャーですが、5代目レンジャーが約16年のロングセラーモデルであったため、それ以前のモデルを目にすることは多くないと言えます。
しかし6代目日野レンジャーのリリースが2017年であることから、中古トラック販売店での取扱台数は決して多くは無く、ボリュームゾーンは2001~2017年に製造販売された5代目日野レンジャーだと言えるでしょう。
中古日野レンジャーおすすめ車両!
中古トラック市場でも高い支持を得る日野レンジャーのまとめ
45年間もの間、国内の中型・大型トラックの市場を牽引し続けていると言っても過言ではない日野レンジャーは1964年の初代レンジャーから現行モデル6代目レンジャーまで高い支持を得続けています。
日野レンジャーが広く支持され中古トラック市場でも人気が高い理由として次の3つのポイントが大きく影響していると言えるでしょう。
業界トップクラスの高出力エンジンで低燃費を実現する技術力
高い耐久性と整備拠点が多くメンテナンス費用が安い安心感
長いモデルサイクルの中で的確にバージョンアップが行われる信頼性
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