フォークリフトの免許を取るには|免許の種類や必要な講習時間と費用・試験の難易度などを解説

運送会社等に勤めている方が、倉庫から荷下ろしや積み荷をおこなう際に必要となるのがフォークリフト免許です。免許を取得していれば、業務の効率もアップするため、先んじて取っておくと何かと便利です。記事では、そんなフォークリフト免許の概要や種類・免許取得の条件や更新時期を解説します。
そもそもフォークリフトとは?
フォークリフトとは、トラックやラックからの荷下ろし、積み込み、収納、荷物の運搬に幅広く用いられる産業車両のことです。日本産業規格では「フォークなどを上下させるマストを備えた自走式荷役運搬車両全般の呼称」と規定されています。
荷役機能と小回りが効く旋回性能を兼ね備えているため、工場や倉庫内で主に使用されます。また、機種によりますが、数百キログラムから数トンの荷物を持ち上げたまま走行できるという特徴をもっています。
フォークリフトは主に2種類ある
フォークリフトには「カウンターリフト」と「リーチリフト」の2種類に大きく分けられます。
カウンターリフト
「ツメを左右、手前に傾けることが可能」「座って操作する」「重たいものを安定して運べる」のが特徴です。
原動機による分類は、ディーゼルエンジンで動き、故障が少なく大きな力を出すことができる「エンジン式フォークリフト」です。
リーチリフト
「ツメを前後に動かすことができる」「立って操作する」「狭い場所でも小回りが効く」のが特徴です。
原動機による分類は、バッテリーに電気をためてモーターを動かし、排気ガスがなく音が静かな「バッテリー式フォークリフト」です。
フォークリフトに関する免許は2種類ある
フォークリフトに関する免許は、積載量1トン未満のフォークリフトで作業できる「フォークリフト運転特別教育修了証」と、積載量1トン以上のフォークリフトで作業できる「フォークリフト運転技能講習修了証」の2つに分けられます。
これらの免許は労働安全衛生法によって定められており、この点が普通自動車免許や自動二輪免許と違います。また、免許を取得すると免許証に記載がされるのではなく、修了証としてカードが渡されます。修了証のカード発行によって、対応する主要なフォークリフトは全て運転できるようになります。
公道を運転するには特殊免許が必要
フォークリフトで公道を運転する場合には、先述した修了証に加えて特殊免許が必要となります。
まずはじめに、国土交通省や市区町村へ登録をおこない、ナンバープレートの交付を受けなければなりません。最高速度が15km/h以下のフォークリフトを運転する際は「小型特殊免許」、それ以上のサイズを運転する際は「大型特殊免許」が必要です。
「小型特殊免許」に該当する場合は普通自動車免許を取得していれば、追加で免許を取得する必要はありません。「大型特殊免許」に該当する場合は改めて教習所で取得する必要があります。なお、私有地での運転でも無資格での運転は禁止されているので注意が必要です。
無資格でフォークリフトを運転した際の罰則
もし、無資格でフォークリフトを運転してしまった場合は、労働安全衛生法第61条に基づき罰金刑が課されます。刑罰は「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
なお、「実際に無資格で運転した人」「監督不行き届きだった管理会社」「管理会社の代表者」が連帯して罰金刑に問われるので、くれぐれも違反しないようにしてください。
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フォークリフト免許取得の条件や流れ
フォークリフトに関する2つの免許には、以下のような条件の違いがあります。
▼フォークリフト運転特別教育修了証
受講資格は18歳以上
各事業所で実施される
講習を受けて修了すれば取得可能
▼フォークリフト運転技能講習修了証
・労働安全衛生法管轄の国家資格
・年齢制限はないが、運転が認められるのは18歳以上
・都道府県労働局長登録教習機関で実施
・学科試験及び実技試験に合格後、修了証が交付
・各都道府県の登録機関は厚生労働省のホームページに記載されている
フォークリフト免許取得にかかる講習時間と費用
■フォークリフト運転特別教育修了証
フォークリフト運転特別教育修了証を取得するまでにかかる講習時間と費用は以下のとおりです。
【フォークリフト運転特別教育修了証】 | |
必要な講習時間 | 取得にかかる費用 |
講習時間:12時間(平均日数 2日) | 平均 約15,000円 |
■フォークリフト運転技能講習修了証
フォークリフト運転技能講習修了証を取得するまでにかかる講習時間と費用は以下のとおりです。
なお、講習時間や費用は現時点でどの免許を取得しているかによって異なります。
【フォークリフト運転技能講習修了証】 | ||
現在保有している運転免許 | 必要な講習時間 | 取得にかかる費用 |
大型特殊免許保持者及び最大荷重1t未満フォークリフト3ヶ月以上経験者 | 講習時間:11時間(平均日数 2日) | 平均 約15,000円 |
最大荷重1t未満フォークリフト3ヶ月以上経験者 | 講習時間:15時間(平均日数2〜3日) | 平均 約25,000円 |
普通免許保持者 | 講習時間:31時間(平均日数5日) | 平均 約40,000円 |
全ての免許がなく、現場経験もない方 | 講習時間:35時間(平均日数5日) | 平均 約50,000円 |
※ 参考元:免許取得お役立ちマガジン「フォークリフトの資格取得完全ガイド!必要な条件や費用、期間、流れを徹底解説」
フォークリフトの免許取得は費用補助がある
フォークリフト免許の取得費用は「教育訓練給付制度」に該当すれば、一部費用が補助されます。該当条件は以下の通りです。
在職者の方は、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間が3年以上あること
離職中の方は離職の翌日から受講開始日までが1年以内であり、かつ雇用されていた期間が3年以上であること
上記の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または一般被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合、本人が教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額(上限10万円)がハローワーク(公共職業安定所)から支給されます。
※ 参考元:コベルコ教習所「助成金・給付金について」
フォークリフト免許の学科試験の難易度
フォークリフト免許の学科試験はそれほど難しくありません。過去の合格率は90%を超えています。合格基準は、各科目の得点が配点の40%以上であり全科目の得点を60%以上取得できていることです。試験の方式はマークシートであり、問題文の4つの選択肢から正しいものを選びます。
以下は各教科別の配点です。
各教科 | 点数 | 設問数 |
走行に関する知識(最低4割) | 30点 | 15問 |
荷役に関する知識(最低6割) | 30点 | 15問 |
力学に関する知識(最低4割) | 20点 | 10問 |
法令に関する知識(最低4割) | 20点 | 10問 |
フォークリフト免許の実技試験の内容とコツ
フォークリフト免許の実技試験内容は、「点検」「乗車」「発進」「周回走行」に分けられます。特に最大の評価ポイントは、安全に荷物を運べるかどうかです。実技試験は、100点満点からの減点方式(70点以上で合格)です。
「シートベルトのし忘れ」「バレットへのフォークの差し込み不足」「フォークの先で荷物をついてしまう」等は即失格なので注意してください。
試験項目 | チェック内容 | 減点ポイント |
指差し点検 | ・乗車前に点検を忘れる ・点検箇所が抜ける |
− 3点 |
レバー操作ミス | ・前後の入れ間違いなど | − 3点 |
安全確認不足 | ・指差し不十分 ・確認忘れなど |
− 3点 |
接触 | ・壁にぶつかる | − 5点 |
脱輪 | ・コースの白線を踏む | − 5点 |
偏荷重 | ・荷物を傾けて持った | − 3点 |
エンスト | ・途中でエンジンが止まる | − 5点 |
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フォークリフト免許の更新時期は?
フォークリフトの免許は普通自動車免許とは違い、一度取得をすれば更新は必要ありません。ただし、氏名が変わった場合は、免許の書き換え手続きが必要です。
フォークリフト免許の再発行
フォークリフト免許の原本や修了証を紛失した場合は再発行の手続きが必要です。再発行手続きは平成26年4月23日から、厚生労働省労働基準局の指導により、技能講習修了証明書発行事務局にておこなうことになっています。
フォークリフト免許を取得すべき8つの業種
フォークリフトの免許取得で、役に立つことの多い業種は以下の8業種です。
・鉄骨/鉄工業
・木材業
・食品業
・解体業
・土木/建築業
・水道管工事 関係業
・電気/電話工事 関係業
・産業廃棄物 関係業
これらの業種は積極的に取得を目指すことで、仕事の可能性が広がるでしょう。
まとめ
フォークリフトの免許は必要とする目的や条件に応じて取得する必要があります。また、公道を走る場合は特殊免許が必要となることも事前に認識しておきましょう。
業務で今後使用する可能性が高い免許は、先んじて取得すると仕事の幅を広げせてくれます。仕事場でフォークリフトを使う機会がある方は、免許取得をご検討してみてはいかがでしょうか。
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- フォークリフトの免許には「フォークリフト運転特別教育修了証」と「フォークリフト運転技能講習修了証」がある
- フォークリフトで公道を走る場合は「小型特殊免許」または「大型特殊免許」が必要
- フォークリフトの免許取得に必要な期間は11〜35時間、必要な費用は1.5〜5.0万円ほど
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