【最新】デジタコの装着義務はいつから?背景・罰則・メリットを解説

デジタコの導入は運行管理の効率化や安全運転の強化につながる一方で、「義務化されているのか?」という疑問を持つ方も多いはずです。
そこで本記事では、デジタコの義務化についての見解や背景を解説します。
目次
デジタコとは?
デジタコとは、「デジタルタコグラフ」の略で、正式名称は「デジタル式運行記録計」といいます。その名のとおり、トラックの運行を記録する装置です。記録をする項目は、主に下記の3つです。
・速度 ・走行時間 ・走行距離 |
デジタコの目的
デジタコの目的は、適切な運行管理のためです。
例えば、制限速度をオーバーした危険な運転をしていないか、適切な走行時間、距離で休憩をしているかなど、ドライバーと周囲の安全のために、重要な役割を担っています。
特に、中距離や長距離を走るトラックは、ドライバーの負担も大きいので、運行管理がとても大切です。主に4t以上のトラックに取り付けられている装置ですが、場合によっては、2tトラックでも使用されています。
デジタコの進化が目覚ましい
これまでのデジタコは、基本的な情報をSDカードなどにデジタルデータで保存する方法が一般的でした。しかし、近年のデジタコも進化し、ドライブレコーダーやETCと連携して、より細かなデータを保存するモデルも普及しています。
また、急発進や急加速、急減速などを記録するモデルもあります。そのため、運行管理者がドライバーに対し、エコドライブの指導や注意喚起をおこなうことが可能となりました。
今後は、「次世代型運行記録計(スマートタコグラフ(仮))」が、一般的になる時代もやってくるかもしれません。
スマートタコグラフでは、今まで紹介した機能はもちろん、アルコールチェッカーやドライバーの健康状態もモニタリングする予定です。
また、ドライバーが急な発作で意識を失ったり、居眠りをした場合、自動でトラックのブレーキをかける機能も追加されるかもしれません。
このように、車両だけでなく関連する装置も進化し続けることによって、より安全な車社会が構築されていきます。
アナタコとの違いは?
アナタコとは、「アナログタコグラフ」の略です。アナタコとデジタコは、記録方法に違いがあります。デジタコでは、SDカードなどにデジタルデータで保存しますが、アナタコでは、円形の「チャート紙」を使って記録します。つまり、「デジタルで記録」するのか、「アナログで記録」するのかの違いです。
かつては、「アナタコ」と呼ばれる装置が、運行記録計の主流でした。現在でも、アナタコの使用は認められていますが、技術の進歩により、今はほとんどのトラックでデジタコを装着しています。
チャート紙は、1回転で24時間になるように作られていて、チャート紙には走行速度に応じて上下に動く針が取り付けられています。針が記録紙に線を引くことで、何時にどのくらいのスピードで走っていたかを記録できるようになっています。このように、アナタコではアナログな技術を使用していたため、記録できる情報が限られていました。
また、チャート紙に線で記録されているため、知らない人が見ても理解できず、解読のスキルも必要です。そのため現代では、より多くの情報をわかりやすく記録できるデジタコが主流となっています。
デジタコのシステムは改ざん不可能
デジタコは、デジタルデータで保存されるようになったため、改ざんは実質不可能です。アナタコが主流の時代には、「記録の改ざん」という大きな問題点がありました。
アナタコでは、チャート紙や線を引く針を曲げたり戻したりすることで、実際より遅いスピードで走っていたことにするなど、改ざんが容易でした。
また、初期のデジタコでも、道路の種類を選ぶことが可能だったので、一般道を走っているのに高速道路を走っていると勘違いさせ、スピード超過をするドライバーもいました。
現在では、技術の進歩により、GPSなどを使って道路の種類を自動で判断してくれるものも出てきたので、データの改ざんはできなくなっています。不正を働くことは、会社にとっても自分にとってもよくありません。
会社や社会のルールを守り、安全に走行することを意識して運転をおこないましょう。
デジタコの装着は法律で義務化されている?
「デジタコの義務化はいつから始まったのか?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。実際に「デジタコ」の装着が法律で義務付けられたのは、2024年4月1日からです。ただし、この義務は「貸切バス事業者」のみが対象で、すべての車両に当てはまるわけではありません。
トラックについては、現在も「デジタコ」の装着義務はなく、法律で求められているのは「タコグラフ」の装着です。タコグラフにはアナログ式(アナタコ)とデジタル式(デジタコ)の2種類があり、どちらを使用しても法令上は問題ありません。とはいえ、運行データの保存や運行管理のしやすさといった面でデジタコを採用する事業者が圧倒的に多く、結果として「デジタコ義務化」という表現が広まっています。
タコグラフ義務化の背景
タコグラフの装着が義務付けられた背景には、事業用トラックによる重大な交通事故の多発があります。特に長距離輸送や長時間労働による疲労運転が、事故の大きな原因とされてきました。こうした状況を受けて、ドライバーの運転時間や速度を正確に記録・管理できるタコグラフの導入が進められたのです。
平成27年には、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の改正により、対象車両の範囲が拡大され、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上のトラックにも装着が義務化されました。これにより、運転者の過労や速度超過を防ぎ、輸送の安全性を高めることが目的とされています。
タコグラフの装着義務化の範囲が拡大しているのはなぜ?
タコグラフの装着義務が広がっている理由は、事業用車両による重大事故の多さと、長距離・長時間輸送によるリスクの高さが背景にあります。とくに死亡事故や重傷事故の抑制が重要視されており、運行状況の「見える化」によって安全管理を強化する目的があります。
平成27年には規制が見直され、従来よりも軽い車両にも装着義務が拡大しました。さらに平成29年には、対象が車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の事業用トラックにも広がっています。
こうした段階的な拡大は、安全性の確保を最優先に考えた結果であり、今後も対象範囲の見直しが進む可能性があります。
装着義務に違反した場合の罰則
法律でタコグラフの装着が義務付けられている車両に、タコグラフが付いていない場合は違法となり、罰金などの処分を受ける可能性があります。
タコグラフを設置していない場合と、設置しているが不備や記録不備がある場合とでは、罰則の内容が異なります。
それぞれの場合についての罰則を解説します。
デジタコ・アナタコを設置していなかった場合
デジタコやアナタコの装着が義務付けられているにもかかわらず、車両に設置されていなかった場合は「記録義務違反」として扱われ、最大で30日間の車両使用停止処分を受ける可能性があります。また、再違反があった場合には停止期間が60日間に延びるなど、さらに重い処分が科される可能性もあります。
これは運転手個人だけでなく、企業全体にも大きな影響を及ぼす重大な行政処分です。特に、タコグラフの未装着は、安全運行への意識の欠如とみなされ、社会的信用の低下や取引先との関係悪化にもつながるおそれがあります。業務継続に支障をきたさないためにも、対象車両には必ず適切な機器を装着し、義務を確実に果たすことが重要です。
デジタコ・アナタコに不備や故障があった場合
デジタコやアナタコが設置されていても、故障や不備があれば「運行記録計不備違反」となり、罰則金が科されます。例えば、メモリーカードの挿入忘れや時計機能の不具合がよくあるトラブルです。
これらの場合、中型・大型車では約6,000円、普通車では約4,000円の反則金が課せられます。ただし、車両の使用停止などの行政処分はありません。とはいえ、故障や不備があると事故やトラブル発生時に重要な運行記録が残らず、証拠が失われるリスクが高まります。
安全運行を守るためにも、出発前にデジタコ・アナタコが正常に作動しているかを必ず確認し、定期的な点検をおこなうことが大切です。
デジタコで記録される項目
デジタコで記録される基本の項目は、「速度・時間・距離」です。最低限、この項目はデジタコにて記録することが義務付けられています。
その他に、乗務等の記録として法律で定められているのは、以下のとおりです。
・運転者の氏名 |
デジタコでは、上記の項目も記録できる機能を持ったものが多くあるので、デジタコで一括記録している会社が多くを占めます。
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トラックに使われているデジタコの使い方
デジタコは、トラックのドライバーが、現在どのような状態なのか、その状況に応じたボタンを押して記録します。
例えば、荷物を下ろす作業のときは「荷卸」のボタンを押し、休憩の際は「休憩」のボタンを押す、といった流れです。ドライバーが何にどのくらい時間を使ったのか、1日の業務の記録ができます。
ドライバーがすることは、今の状態を選んでボタンを押すだけなので、業務への支障もなくスムーズな業務を遂行できます。
デジタコの種類
デジタコの種類は大きくわけて下記の4つがあります。
1.単機能型デジタコ 2.標準デジタコ 3.多機能デジタコ 4.次世代多機能型デジタコ |
それぞれのデジタコについて紹介します。
1.単機能型デジタコ
単機能型デジタコは、運行記録に必要な基本機能に特化したモデルです。主に「走行速度」「走行距離」「走行時間」の3つの情報だけを記録します。機能はシンプルで操作も簡単なため、初めてデジタコを導入する方や、コストを抑えたい事業者に適しています。多機能タイプに比べて価格が安価で、必要最低限のデータを確実に管理したい場合におすすめのタイプです。
2.標準デジタコ
標準デジタコは、基本の「走行速度」「走行距離」「走行時間」に加え、ドライブレコーダーとの連携機能を備えています。単機能型と多機能型の中間にあたるバランスの良いモデルで、価格も比較的抑えられているのが特徴です。
事故時にはドライブレコーダーと連動して映像を記録できるため、安全管理やトラブル対応に役立ちます。また、日報の作成や帳票出力など、運行管理を効率化する機能も搭載されており、多くの事業者にとって使いやすい仕様となっています。
3.多機能デジタコ
多機能デジタコは、標準型よりもさらに多彩な機能を備えた高性能モデルです。基本の速度・距離・時間のほかに、燃費の詳細な分析やドライバーのアルコールチェック機能も搭載されており、業務の効率化や安全管理に大きく貢献します。
ドライバーの健康管理や運行状況の把握に役立つため、運送業務の質向上に繋がります。ただし、導入費用は比較的高額で、機種によっては数十万円に達することもあるため、導入時にはコスト面の検討が必要です。
4.次世代多機能型デジタコ
多機能デジタコは、高度な連動機能を持つ最上位モデルで、詳細な運行データを一元管理したい方に適しています。クラウド対応やドライブレコーダーとの一体型が主流で、アルコールチェッカー連携だけでなく、居眠り防止や車線逸脱、荷室温度、タイヤ空気圧の監視・警告システムとも連動します。
多彩な画面表示や帳票で運行管理が効率化され、今後も対応機器が増えていくため、将来的な拡張性も高いのが特徴です。
デジタコのメリット・デメリット
デジタコのメリット
デジタコのメリットは下記の2つが挙げられます。
①速度・時間・距離」などの詳細なデータを記録として残せる ②ドラレコなど他の媒体との接続も可能 |
1つ目のメリットは、誰が見ても理解できるデータとして記録できることです。
アナタコのようにチャート紙を解読する必要はなく、一目でわかるデータである点がデジタコの特徴です。
データには、「速度・時間・距離」など1日の動きをリアルタイムで細かく記録でき、GPSによる位置情報や急加速、急減速なども記録できるものもあります。
2つ目のメリットは、ドラレコなど他の媒体との接続も可能で、拡張性も充実しています。
万が一事故にあってしまっても十分な証拠を提出でき、事故処理がスムーズに進められます。
この豊富なデータをもとに、荷下ろしに時間がかかりすぎている、などの問題点を洗い出し、ドライバーへ教育、指導をすることも可能です。
このように、デジタコはよりよい業務のためにも役立っています。
デジタコのデメリット
①導入コストがかかる ②豊富なデータが運転手側からはストレスを感じる可能性がある |
デメリット1つ目は、導入コストの高さです。2024年におこなわれた、「トラック運送事業者に対するデジタコ装着率のアンケート」では、安いものだと約3.5万円、高いものだと約29万円と言われており、平均するとおよそ15.8万円となっています。
トラックを数十台所有している場合は、数百万円の費用が必要となってきます。
(引用元:貨物自動車運送事業におけるデジタコの搭載状況アンケート結果等)
2つ目のデメリットは、ドライバーへの束縛が強いことがあげられます。多くの情報を記録し、業務改善に貢献するデジタコですが、ドライバーの視点からすると、常に監視されているようなプレッシャーを感じてしまいます。このプレッシャーが、逆にストレスとなってしまうかもしれません。
しかし、タコグラフの設置が義務化となっている以上、安全運転や業務の効率化のためと割り切って、プラスにとらえていく必要があります。
デジタコの普及率
デジタルタコグラフ(デジタコ)の普及率は、2024年の国土交通省の調査結果によると、最大積載量4トン以上の事業用トラックにおける装着率は71.7%に達しています。
また、運行形態別では長距離運行が最も高く、80.5%の装着率となっています。地域別では、太平洋ベルト地帯を中心に高い装着率が見られ、特に89.0%の装着率を記録した地域もあります。
このように、デジタコの普及は進んでいますが、国土交通省は2027年までに装着率を85%に引き上げる目標を掲げています。普及の背景には、安全運転の推進や労務管理の効率化、事務作業の省力化など、デジタコの導入による多くのメリットが挙げられます。
今後、補助金制度の活用や義務化の議論を通じて、デジタコのさらなる普及が期待されます。
デジタコ導入に関する国や自治体の支援
デジタコの導入は初期費用がかかるため、国や自治体が補助金や助成金を用意して支援しています。国土交通省をはじめ経済産業省やトラック協会などの団体が、導入費用の一部を補助する制度を設けており、1台あたり数万円から最大で10万円以上の支援が受けられます。事業者ごとの上限額も設定されており、小規模事業者の負担軽減に役立っています。
また、国はデジタコの普及促進のために、操作方法や導入のメリットを解説するセミナーや動画配信もおこなっており、デジタル機器に不慣れな事業者でも理解しやすいようサポートしています。こうした支援を活用し、効率的で安全な運行管理を目指すことが重要です。
よくある質問
デジタコの義務化について、よくある質問をまとめました。
デジタコとドラレコの違いは?
デジタコ(デジタルタコグラフ)とドラレコ(ドライブレコーダー)は、車両に搭載される機器ですが、その目的は大きく異なります。デジタコは主に走行速度や距離、運行時間などの詳細な運行データを記録し、業務の効率化やドライバーの管理に役立てる装置です。
一方でドラレコは、事故やあおり運転などの危険な状況を映像や音声で記録し、安全対策や証拠保存を目的としています。最近では、両者の機能を組み合わせたドラレコ搭載型デジタコや、連携可能なモデルも登場しており、用途に合わせて選択が可能です。目的に応じた機器選びが重要となっています。
タコグラフの保存期間はどれくらい?
タコグラフのデータ保存期間は、国土交通省が定める規則により基本的に1年間の保存が義務付けられています。これは「旅客自動車運送事業運輸規則」や「貨物自動車運送事業輸送安全規則」、「道路交通法施行規則」など複数の法律で定められており、運転速度や走行距離、運行時間などの記録を保存することが求められています。
しかし、実際の運送業務では労働基準法の観点から、ドライバーの労働情報を含む関連書類は5年間保存することが推奨されています。タコグラフの記録も労働関係の重要な資料とみなされるため、事故やトラブル対応のために5年程度の保存が安全といえるでしょう。事業者は法律の最低基準を守りつつ、長期間の保存を意識することが望ましいです。
デジタコの義務化はいつから始まる?
2023年6月の関係閣僚会議では、トラック輸送の安全強化のため、より高度な運行管理が必要であるとし、デジタコの普及促進が正式に表明されました。将来的には、事業用トラックへのデジタコ装着義務化も検討されていますが、現時点では義務化の具体的な開始時期は明示されていません。
現在はアナログ式の運行記録計の使用も認められており、法的な義務化はまだ実施されていません。しかし、国は補助金制度を設けるなど導入を強力に推進しており、今後義務化が現実のものとなる可能性は高いと考えられます。海外ではすでに類似の装置義務化が進んでいることから、日本でも近い将来、義務化の動きが加速すると予想されます。物流業界では、早めの対応準備が重要となるでしょう。
デジタコ義務化に向けて企業は何をすべき?
デジタコの義務化に備えるには、早めの対応がカギとなります。まずはドライバーや管理者に対して、機器の操作方法やデータの扱い方を理解させる研修を実施することが大切です。ただ導入するだけでなく、データを活用した運行改善に取り組む体制が求められます。
また、現行の運行管理体制も見直しが必要です。リアルタイムで状況を把握し、的確な判断や指示が出せるような仕組みを整えましょう。さらに、導入費用に不安がある場合は、国や自治体の補助金制度を活用することで負担を軽減できます。準備を怠らず、スムーズな導入と運用を目指しましょう。
中古トラックの検索・提案・購入は「トラック流通センター」
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まとめ
デジタコは、事故のない車社会のためや運送の業務改善のために重要な役割を持っています。ドライバーからすると、プレッシャーやストレスを感じる部分もあるかもしれませんが、データとして残ることで安全や業務効率への意識が高まります。
また、自分自身では気付いていなかった運転のクセなどに気付くきっかけも与えてくれます。ぜひデジタコの機能を活用していきましょう。
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- デジタコとは、デジタルタコグラフの略で、走行状態を記録する運行記録計
- 使い方は、現在おこなっている状態のボタンを押すだけととても簡単
- デジタコではなく、タコグラフの装着が法律で義務化されている
- デジタコには、ドラレコや燃費の分析、アルコールチェックなど多機能なモデルもある
- アナタコの違いは、アナログでの記録かデジタルでの記録かの違い