トラックのキャビンとは?種類・特徴・交換場所・費用を解説
運転席や助手席などドライバーが乗るスペースの「キャビン」には、さまざまな種類があり形状によって使いやすさが異なります。居住性が悪いキャブでは肉体的負担が増加し、トラックの安全な運行にも支障をきたしかねません。そのため、居心地が良く業務内容に合ったキャビンの選定が求められます。
この記事では、キャビンの基本的な役割から5種類の特徴、交換費用を解説します。トラックの購入の検討時に参考にしてください。
目次
トラックのキャビン(キャブ)とは?
トラックのキャビンとは、運転席と助手席を含むドライバーが乗車する空間を指します。
トラックは、キャビンと荷台で構成され、架装メーカーが製作する特殊車両もキャビンとシャーシはトラックメーカーが製造しています。キャビンの外装や内装、搭載する装備は、トラックメーカーが持つ技術を注ぎ込みながら設計、制作するもので、メーカーごとの特徴が現れる部分です。
一般的なキャビンは、エンジンの上に設けられた「キャブオーバー型」と呼ばれる構造をとり、全長を抑えながら荷台を確保できるメリットがあります。また、キャビンの上部にベッドスペースを備えたタイプや、複数名が乗れるよう座席が追加されたタイプもあります。
トラックのキャビン(キャブ)は5種類
トラックのキャビンの居住性は、運送業務の多様化でトラックに対する現場からのニーズも多種多様なものへと変化しました。現場のニーズに応えるべくトラックメーカーもさまざまなタイプのキャブを開発しています。
次の5種類に分類されます。
・ショートキャブ ・フルキャブ ・ダブルキャブ ・ワイドキャブ ・ハイルーフキャブ |
それぞれの特徴や活躍する場所、メリットデメリットを紹介します。
1.ショートキャブ
ショートキャブは、5つの中で最もコンパクトで、運転席と助手席の背後にキャブの後部壁が迫る居住空間が小さなキャブタイプです。休憩スペースや荷物置き場はありません。「標準キャブ」とも呼ばれ、小型クラスから大型クラスまで、車両区分を問わず多くのトラックへの採用例が見られます。
また、荷役性が高いことから宅配便の集配業務、近距離や中距離の業務などに使用されます。
ショートキャブのメリット・デメリット
ショートキャブのメリットは、キャビンの居住スペースを最小限にすることで荷台や荷室の長さを確保し最大限に活用できます。フルキャブやダブルキャブよりも長い荷台を搭載でき、キャブ部分を軽量化することで最大積載量を増やせます。
デメリットは、居住空間が狭いので居住性に欠けることです。物を置くスペースも限られ、仮眠や休憩も不向きです。長距離輸送では、ドライバーの疲労も溜まりやすくなります。
2.フルキャブ
フルキャブは、運転席の後方に小さなスペースを備えたタイプです。この後部スペースは、休憩用の簡易ベッドを設けたり、工具や荷物を置いたりと用途に応じて活用できます。スペースを設けた分、ショートキャブよりもキャブの全長が長く、中型トラックや大型トラックへの採用例が多い傾向にあります。
また、キャブ後部の寝台で睡眠を取りながら運行する中距離や長距離の引越し業務、運送業務での使用が多いです。
フルキャブのメリット・デメリット
フルキャブのメリットは、寝台スペースにより車内で短時間の休憩をとれ、ドライバーの肉体的負担が軽減される点です。しかし、キャブの全長が長くなり、大型化することでキャブの重量が増加します。同じモデルでも最大積載量はショートキャブに劣るのがデメリットです。
そのほか、長時間の就寝にはやや狭く、本格的な寝台スペースとしては不十分かもしれません。
3.ダブルキャブ
ダブルキャブは、前席だけでなく後部座席も備えた4ドアタイプのキャビンで、最大で5〜6人まで乗車可能です。複数人での現場移動や作業員の送迎に使える仕様です。建築現場や引っ越し業務といった人と道具を同時に運ぶ業種で広く利用されます。
ダブルキャブのメリット・デメリット
ダブルキャブトラックは、荷物と作業員を同時に運べるのがメリットです。助手席と後部座席を分けて使えるため、荷物も積み分けしやすいです。ただし、キャビンの分荷台の長さが短く、最大積載量は小さくなってしまいます。車体全長が伸びることで、狭い場所での取り回しも難しいです。
ほかにも中古市場での登録台数が少ないため、選択肢が限られます。
4.ワイドキャブ
ワイドキャブは、標準キャブよりも横幅が広く設計されたタイプです。標準幅約1.7〜1.9メートルに対して、ワイドキャブは約2.1メートルになるため、車内のゆとりが大幅に向上します。長時間の運転でも快適に過ごせて、車内で着替えや軽作業をしやすいです。
小回りは苦手なため、市街地の業務よりも中距離や長距離の運送業務に用いられます。
ワイドキャブのメリット・デメリット
ワイドキャブのトラックは、幅が広い分、積載容積が増加することがメリットです。また、キャビン内に余裕が生まれ、ドライバーなどの乗務員の肉体的負担が小さくなるのも魅力です。
しかし、幅が広いと小回りが利きにくく、操作性は低下します。さらに、標準キャブに比べると車両価格が高価になるのもデメリットかもしれません。
5.ハイルーフキャブ
ハイルーフキャブは、キャビンの天井が高く設計されたタイプで、車内の立ち上がり空間が大きく確保されているのが特徴です。室内高があることで、ドライバーが中で立ち上がれるほどの広さを持ち、車中泊を伴う業務に適します。
ハイルーフキャブの多くは大型トラックのため、長距離の運送業務に用いられるケースがほとんどです。長距離トラックのドライバーにとって、ハイルーフキャブのトラックは、まさに「第二の我が家」といった存在かもしれません。
ハイルーフキャブのメリット・デメリット
ハイルーフキャブは、他のキャブタイプとは比べ物にならないほど高い居住性を実現するのが大きな魅力です。さらに、キャブ上部に寝台を接地しているタイプは、広い就寝スペースを確保できることから十分にドライバーの疲労回復が期待できます。
デメリットは、車両の全高が増し、高さ制限のある場所では配慮が必要なことです。重心も上がるため、カーブや横風での安定性が低下します。そのほか、車両価格やカスタム費用は、高くなる傾向です。
トラックキャビンの交換費用・交換場所
キャビンは、トラックの中でも事故や劣化の影響を受けやすいです。エンジンやフレームに問題がなければ、キャビンのみを交換することで車両を再利用できます。
本章では、キャビン交換にかかる費用の目安、交換できる場所を解説します。
交換費用
キャビンの交換にかかる費用は、「キャビン本体の交換」と「部分的なパーツ交換」で大きく異なります。適切な方法は、状態や修理箇所によって変わります。それぞれの費用相場を紹介するので参考にしてください。
キャビン本体の交換費用
種類 | 費用 |
新品キャビンの本体価格 | 約60〜120万円 |
中古キャビンの本体価格 | 約20〜50万円 |
工賃 | 約10〜30万円 |
キャビン本体の値段に加え、交換作業の費用がかかるため、高額になります。コストを抑えたい場合は、中古キャビンやリビルト品を活用するのが一般的です。
キャビンのパーツ交換費用
部品 | 費用 |
フロントガラス | 約3〜8万円 |
ドア本体(片側) | 約5〜15万円 |
バンパー(前面) | 約2〜7万円 |
サイドミラー | 約1〜3万円 |
キャビンステップ | 約1〜2.5万円 |
一部だけが破損している場合は、部分的な修理の方が安く済みます。ただし、骨格やフレームまで歪んでいる場合は、キャビン全体の交換が必要なため修理前の診断が欠かせません。
交換場所
キャビンの交換は、次の業者で対応しています。それぞれの特徴を比較して、最適な業者を選びましょう。
対応する業者 | 特徴 |
ディーラー整備工場 | ・各メーカーの正規ディーラー ・純正キャビンを取り扱い、高度な交換作業が強み ・車検や保証の観点から信頼性を重視したいときに最適 |
民間の大型整備工場・鈑金工場 | ・大型車を扱う認証整備工場や板金業者 ・中古キャビンの取り付けやカスタマイズに対応 ・費用を抑えたいときに最適 |
トラック専門のリビルト工場・中古部品業者 | ・リサイクルパーツを中心に扱う業者 ・解体車から取り出したキャビンをリペア済みで販売し交換する ・納期、価格、仕上がりに差が出ることもあるため、複数業者の比較が必須 |
中古トラックのキャビンがおすすめ
トラックのキャビンの交換を検討中なら、中古キャビンがおすすめです。特におすすめできる理由は、2つあります。
①新品と比較して費用を大幅に抑えられる ②納期が早い |
新品キャビンへ交換する場合、キャビン内のパーツを個別に取り寄せる必要があり、時間と費用がかさみます。しかし、トラック専門店に条件に合う中古キャビンの在庫があれば、約1週間で載せ替え可能です。
もちろん、希望に合う中古キャビンがタイミングよく見つかることが前提ですが、一度問い合わせてみる価値はあります。新品キャビンだけでなく、迅速かつ経済的な中古キャビンへの交換も視野に入れて検討されてはいかがでしょうか。
中古トラック検索・購入は「トラック流通センター」へ
トラック流通センターでは、お客様のニーズに合わせた中古トラックを豊富に取り揃えております。経験豊富なスタッフが、お客様の車両選びを丁寧にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
豊富な在庫の中から、ご希望の車種や年式、走行距離など、細かな条件に合わせて最適な一台をお探しいただけます。また、トラック流通センターでは、購入後のアフターサポートも充実しています。保証は業界最長の1年間で、修理費用も限度額を設けておりません。安心して中古トラックを導入いただけます。
中古トラックの購入をご検討の際は、ぜひトラック流通センターにお問い合わせください。お客様を力強くサポートする一台が、きっと見つかるはずです。
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もちろん、現車確認や試乗対応、ローン・リースの相談も可能です。与信に自信がない方にも、提携しているローン・リース会社をご紹介します。この機会にご検討ください。
トラックのキャビンに関するよくある質問
トラックのキャビンは寝る場所?
長距離ドライバーにとって、トラックのキャビンは長時間過ごす場所であり、食事や休憩、仮眠などの用途に使われます。特に長距離運転の場合、ベッドスペースが設けられていることが多く、キャビンは文字通り「寝る場所」としての役割も果たします。
キャビンの中での過ごし方は人それぞれ工夫されており、快適な休息を取るための工夫が凝らされています。中には、自宅のようにくつろげる空間を作り上げているドライバーもいます。
トラックのキャビンの上げ方は?
トラックのメンテナンス時は、キャビン全体を前方に傾けて開ける必要があります。この作業は、「キャブチルト」または「チルトアップ」と呼びます。
キャビンの上げ方は、次のとおりです。
1. 駐車ブレーキをかけ、エンジンを停止する 2. キャブロック(固定フック)を解除する 3. 手動のハンドルまたは油圧レバーで、キャビンを前方へ傾ける |
一部のトラックでは電動チルト機構が搭載されており、ボタン操作で開閉できるタイプもあります。
トラックのキャビンはカスタマイズできる?
キャビンは、業務内容や好みに合わせてカスタマイズできます。シートカバーやハンドル、足元マットといった内装パーツはもちろん、冷蔵庫、電源、寝具を設置して快適性を高める改装も人気です。
ただし電装系に手を加える場合は、配線やバッテリー負荷の観点から専門業者へ依頼します。
キャビンタイプによって車検費用は変動する?
キャビンの種類によって車検費用が大きく変わることはありません。車検費用に影響するのは、車両の区分(小型、中型、大型)や総重量、使用年数といった要素です。
ただし、車両のサイズや構造と追加装備の内容によっては、金額に多少の差が出ることがあります。
全高が高いハイルーフキャブは、検査ラインでの取り扱いに時間がかかり点検項目が増える可能性があります。また、ベッドを備えたキャビンでは、内装のチェックポイントが追加されるので注意が必要です。
まとめ
トラックのキャビンは、運転の快適性を左右する重要な部分です。複数の種類があるので、それぞれの特徴を理解したうえで、用途や走行距離に合ったタイプを選定してください。
事故や老朽化で交換が必要になった場合は、中古キャビンや部品交換などの選択肢をうまく活用すれば、コストを抑えて対応できます。
トラックの購入を検討しているときは、豊富な在庫を持つ「トラック流通センター」を活用して最適な一台を見つけてください。
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- トラックのキャビンには、「ショート」「フル」「ダブル」「ワイド」「ハイルーフ」の5種類がある
- キャビンのみの交換も可能で、部分修理や中古部品を使えば費用を抑えられる
- キャビン交換はディーラー・整備工場・中古部品業者などで対応している