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【対談】(株)小川建機・小川由行会長

株式会社rimOnO
代表取締役社長
伊藤 慎介
TheTRUCK2017年12月号32
協調領域でリソースを捻出し、
“ラスト産業”である
自動車産業を変えたい
自動車産業で何が起きているのか
伊 藤 “モビリティ革命”や“100年に一度の
大変革”など、巷ではいろいろな表現で自動車
産業が大変革期にあると言われています。そこ
で現在、一体何が起きているのか、これまで起
きてきた革命・変革との違いはあるのだろうか―
―、本日は日本の自動車産業を司る経済産業省
自動車課の河野課長にお聞きしたいと思います。
 過去を振り返ると、1980年代、電機業界、
半導体業界、自動車業界、鉄鋼業界、航空
機業界など日本の製造業は国際競争力の強さ
を誇ってきました。しかし、90年代後半から
2000年代に入ってから電機業界を中心に国際
競争力に陰りが出始め、今では日本経済は自動
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界②
新連載
車産業による一本足打法で成り立っているとい
え、まさに自動車産業は日本の“ラスト産業”と
世界的に自動車産業が大きく揺れている。要因のひとつは電気自動車に
対して欧州や中国、イドなどが期限を切って促進を表明したこと、もう一つは
AI(人工頭脳)の急激な進展と自動運転の実用化が国際レベルで検討が
進められていることが背景となっている。環境問題やエネルギー問題もあるし、
そもそも社会における自動車の役割も大きく変化の時代を迎えている。では、
日本はどう対処するのか。行政でそのキーを握るのは経済産業省である。
もと経済産業省官僚の伊藤慎介氏が同省自動車課の河野太志課長と語り
合った。
(秋林路)

経済産業省製造産業局
自動車課長
河野 太志
TheTRUCK2017年12月号33
いう存在となりました。現在の自動車
産業の姿を河野課長はどのようにご覧
になりますか。
河 野 ご指摘の通り、自動車産
業は大きな変革の時代を迎えていま
す。これまでも様々な技術革新の波
はあったのですが、コネクテッド、
シェアリングとサービス化、電動化、
自動走行という大きな技術革新の可
能性が同時並行的に動く可能性があ
る、という点に特異性があります。こ
の4点は論理的につながっているわけ
ではありませんが、「食い合わせ」が良
いことから、同時に変革が起こる可能性がありま
す。ただ、これらの変化が、いつ、どのような
形で、どのようなインパクトをもって実現するの
か、という点は誰にも予測することはできません。
伊 藤 私は10年ほど前に経済産業省の自動
車課で技術を担当していましたが、インカー(自
動車単体の電動化や安全性向上など)とアウト
カー(自動運転やITSなど他の自動車や道路な
どとの協調が必要な領域)という分類でみると、
アウトカーについては「いつかできたらいいね」
いう温度感でした。しかし、現在では異業種の
勢いのある企業がアウトカーにこぞって参入し、
インカーに関係する企業が振り回されている状況
にあると見ています。
河 野 アウトカーの技術進歩と相まって、イン
カーの車づくりそのものの考え方に対するチャレ
ンジが始まる可能性がある、他方で、開発現場
は日々の工数管理がますます大変になっていてそ
れどころではない。「今を守る」と考えると極めて
難しい時代になっているように見えますが、逆に
これを「攻めの機会」と捉えると違った見え方にな
るのかもしれません。
伊 藤 私が経産省1・2年生時代に河野課長
と働いていた当時、担当していたIT産業では「通
信と放送の融合」について議論をしていました。
テレビなどの動画コンテンツ、新聞・雑誌などの
紙コンテンツはいずれデジタル化していく、イン
ターネット経由でテレビを見ることは当たり前の
時代になる、ということをイメージして政策を進
めようとしていました。
 ところが、いろいろな障壁もあり、我々が描
いていた青写真のように進まなかったのが実態で
す。テレビ受信機は日本メーカーに大きなアドバ
ンテージがあったのですが、結果的に動画コンテ
ンツはどんどん海外のインターネット企業が主導
する形にシフトしていき、YOUTUBEやアマゾン
プライムなど海外企業がコンテンツ流通を握るよ
うになりました。過去の経験からは、日本は想定
外の動きに対応し難い環境があるように思えて仕
方ないのですが、河野課長はどうお考えですか。
河 野 他の産業の企業が市場を失っていった
背景は、業界、企業ごとに異なるので、一言で

河野太志氏
TheTRUCK2017年12月号34
まとめることは難しいと思います。
ただ、一般論で言えば、世界的に見ても、一定
の環境・ルールの下の勝者が、別の環境になっ
ても勝ち続けることは容易なことではありませ
ん。むしろ、変化の時代にはレガシーを守る必要
のない新規参入者の方が有利になる場合もある
わけで、新規参入者のイノベーションを更に上回
るイノベーションを生み出すためには相当な経営
努力が必要になります。
イノベーションを巻き起こす絶好機
伊 藤 携帯電話においてシェアが高かった欧
州メーカーは、スマートフォンでは勝てなくなりま
した。
河 野 技術革新が早くビジネスゲームが変わる
サイクルが早い市場では、勝者の入れ替わりは
極めて早く、変革に対応できないと、あっという
間に転げ落ちてしまうこともありますね。
伊 藤 自分は「心ある裏切り者」のような言い
方をしているのですが、IBMの凋落は、かつて
IBMPCの部品メーカーだったマイクロソフトや
インテルがある意味の裏切りをしたからと言える
のではないですか。
河 野 コンピューターの世界で見ると、アメリ
カでは、IBMがかつての圧倒的な力を失ってい
く中でも、マイクロソフト、さらにはグーグル、
アマゾンが台頭し産業全体のイノベーションは継
続しました。新しい企業がイノベーションを起こ
すことで、アメリカの産業界は発展し続けている
わけです。
 それに対して、対極である100年企業もそれ
に対抗して様々な仕掛けを考えて必ずしも敗者に
なっているわけではありません。競争を通じて産
業全体が健全に発展をしていく、という仕組みの
問題です。
伊 藤 シリコンバレーなどITのコミュニティで
は、たとえライバル企業同士であっても、価値
観や方向性はふんわりと共有しておきながら、個
別の競争になると殴り合いをするといったような
ことが起きています。最終的に勝者を選ぶのは
ユーザー側の判断に委ねられているのがアメリカ
のパラダイムではないでしょうか。
河 野 すばらしい技術を「発明」した者が必ずし
も市場を獲得するわけではない、ということは歴
史が証明しています。イノベーションの形は誰に
も予想できないわけで、変化のスピードに、早く、
的確に対応し続けることが大事になっていきます。
 自動車産業も変革と騒がれていますが、既存
プレイヤーにとっても、イノベーションを生み出
す攻めの機会であると捉えるべきと思います。
 ところが、日々のビジネスには相当のリソース
が必要とされるので、攻めといってもそう簡単に
大きなリソースを回すことができないし、回すと
日々の業務の大事な積み重ねがおろそかになる。
攻防戦を効率的に組みたてていくためのリソース
配分の効率化が重要なポイントになります。
 ここまで自動車産業が直面している戦線が拡大
してしまうと日本全体でみてもリソースは不足し
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界②

TheTRUCK2017年12月号35
てしまいます。サプライヤーも含めて、日々の改
善活動で生み出した原資で必死に新規投資をし
ていますが、不確実性が高く、スピード感が早
い世界の中で、どこに優先順位をつけて大胆に
投資するのか、どこに貴重な人材を寄せていくの
かの判断が本当に難しい時代になっています。
伊 藤 一方で、アラブの資金を利用して10
兆円ファンドを創設したソフトバンクの孫正義さん
は、マネーの力と人的ネットワークを駆使してグ
ローバル展開を積極的に進められています。日
本でのビジネスに成功した孫さんがグローバルに
張ろうとしている中で、孫さんが日本で張りたい
と思える取り組みを日本発で提案できていないこ
とは非常に残念です。
 孫さんが張りたくなるプレイヤーを日本で育成
できない限り、世界の競争の中で良いポジション
はとれないという気がします。
河 野 私は日本がイノベーションを起こしにく
い国だとは考えていません。歴史を紐解けば、
そもそも、戦後の自動車産業はOEMメーカーも
部品メーカーもベンチャー企業でした。新規創
業だけでなく、別の業態から第二創業のような形
で、それこそイノベーターとして新規市場参入し
たケースも多かったのです。
 他方で、一般的にいうと、日本は、国として
外国投資家を引っ張り込む意識が弱かった時代が
長かった、ということはあるかもしれません。も
う状況は随分変わってきていますが。かつて、
政策的にも国内でお金が回るシステムを作ってき
た中で、例えば、中国企業は1を10に膨らませ
「国として市場がこれだけ成長するから、投資
すべきだ」と海外でプレゼンをする。
 日本は、そもそも日本の決め球を外国の投資
家は知らない中で、入り口で「成長可能性が低
い」とやられる。非常に話ですもったいない。
官民でスムーズに回せる仕組みの構築
伊 藤 昨年秋にシリコンバレーに行ってきまし
たが、本気でイノベーションを起こそうという個
人同士がつながって、支え合いながらイノベーショ
ンを起こしているという印象を持ちました。
 しかし、この1年間ほどで日本でも同様の活
動がじわじわと顕在化してきたという印象があり
ます。その動きをどうやってスピードアップしてい
けるのか、支援を行えるのか、政府側も張って
いいのではないかと気がします。
 私自身も民間企業を3年間経営しています
が、そのような動きを支える存在として、国や地
方自治体などの行政しかできないことが沢山ある
と感じています。もしそういう支援が行われるよ
うになればイノベーションへの原動力になるので
はないかと期待感があります。
河 野 米国をベンチマークに政策の柱を整理
する、というやり方が通用しない時代になってい
る中で、どういう新しい支援のシステムを作って
いけるかはなかなかチャレンジングな課題です。
伊 藤 例えがいいか悪いかは別として、役所
では毎年予算要求のネタとして「新政策」という
名のもとに新しいプロジェクトの仮説を打ち立て
ています。そういうことに長けた人たちが多い組
織であることから、役所は「仮説のデパート」では
ないかと私は思っています。  
 一方で、民間企業は決められたことを着実に
実行していく能力が高いという意味で「エグゼ
キューション(実行)のデパート」だと思います。
両方の世界を経験すると、仮説ばかりで実行の
責任を持たない役所と、高い実行力はあるが不
確実な仮説に挑戦しにくい民間企業のそれぞれを
うまく補完することができないものかと思ってしま
います。
河 野 10年先、20年先、また30年後とな

TheTRUCK2017年12月号36
るような長期ビジョンは、これだけ変化の激しい
時代の中では陳腐化も早く、真のインパクトを与
えることは難しいです。イノベーションは日々刻々
変化していくもので、その変化点をしっかり捉え
て試行錯誤することが政策サイドにも求められる
のではないでしょうか。
 仮説を実行に移し、都度都度打ち手を改善す
る、手数を増やしてイノベーションに対応するス
ピードを維持していくというやり方が重要だと思
います。
 自動車産業でいうなら、例えば、現時点で、
一定時期の世界の自動走行市場の大きさを正確
に予測することはできません。官民で検討を重
ね、いろいろな仮説作りに挑戦し、必要に応じ
て機動的にそれをうまく修正するという機動力を
持つことが必要です。
伊 藤 人事交流なり、人事ローテーションにも
関係することですが、しがらみのない人たちが入
ることで、ポジティブに回していけることもある
のではないかと思います。
河 野 その通りです。日本の場合は行政も企
業もみんなタコツボに入ってしまう。他方で、中
長期的なアクションプランではなく、短期的な
売上や利益、行政であれば施策に落とし込んで
いかないといけなくなる。中長期的なア
クションプランも実際に実行しようとする
と、法律や規制面の課題や、利害調整
の問題など「縦のタコツボ」では解決でき
ない課題がでてきます。そこでは行政の
力も必要になってくるのですが、この「縦
を横にしていく」過程で、官民でもっとス
ムーズに回せる政策形成の仕組みを構築
しないとスピード感がでてきません。
官民による協調路線
伊 藤 自動車業界の中には、半導体、ソフト
ウェア、液晶テレビ、デジタル家電など、日本
が世界シェアを失った他業界と比べて自動車業
界は異なるという意見をお持ちの方も多いのです
が、どのような特殊性があるとお考えですか。
河 野 他の商品群と異なり、しっかりとした環
境規制と安全規制があることは大きく異なる部
分でしょうね。求められる品質レベルが高いこ
とが制度的にもきっちり決められている。車づく
り、アフターといったいわゆるインカーの世界で
ビジネスをしっかり回すことは新規参入者にはお
よそ不可能ともいえます。逆にいえば、他の産
業ではそれらがないため、新規参入者にとって
はハードルが低い市場ということになります。も
ちろん、将来的に、技術やインフラが大きく変
わり、新たなビジネスが、既存のルールを壊し
ていく、という論点は出てくる可能性はあるので
しょうが。
 自分達が得意な領域をしっかり押さえつつ、時
代の変化に対応して、むしろそれを破壊する側に
回るような活動も並行して進めていく、……、豊
田自動織機がトヨタ自動車を創立したような、第
二創業のごとき勢いも必要になるかもしれません。
伊 藤 私は、今までのバリューチェーンに対し
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界②

伊藤慎介氏
TheTRUCK2017年12月号37
て、各プレイヤーがどれだけ川下に下っ
ていけるかが重要だと思っています。アッ
プルはiPhoneを発売する際にコンテン
ツやアプリなど、これまで通信事業者が
やっていた事業に食い込んでいくことで
利益を生みました。自動車OEMとして
はどれだけユーザーニーズを組んだサー
ビスを提供できるのかでしょうし、自動車
部品メーカーとしてはどこまでシステムイ
ンテグレーションを提供できる存在になれ
るかでしょうね。
河 野 そうですね。とはいえ、その取組は「口
で言うは易し」でして、IBMは倒産すると言われ
た直前は実は調子が良く、史上最高益の勢いで
したが、何かがおかしいと気づいたら突然ガタガ
タと業績が悪化しました。倒産しかねない状況に
なって初めて第二創業的にサービス分野へのシフ
トを宣言しました。
 アップルも同様です。瀕死の重体から持ち直し
たわけで、そこには相当な苦労があったわけで
す。健全な危機感と物事を進める強いドライブ力
が必要になります。
伊 藤 通信、コンテンツ、エネルギーといった
分野ではNTT、テレビ局、電力会社など圧倒的
な力を持つ国内企業が調達することで産業が成長
してきました。しかし、自動車産業は自らの力で
国際競争力を確保してきた産業であるため、新し
いアプローチをとれるだろうと期待しています。
河 野 そうですね。これまでの相当の蓄積が
あり、力をもった産業と思います。それをどう上
手に活かすか。ドイツは手を抜くところも上手く、
協調連携を上手に作っていく。多くの新たなプレ
イヤーが入り乱れてくる中で、リソースの有効活
用の上で必要になるのが協調連携です。
 ドイツでは大学とそこで築かれた人的ネッ
ワークが大きな役割を持ちますが、現実に日本の
大学が自動車分野において媒介役となることを期
待するのは短期的には難しいように思います。諸
外国と異なる役割が役所に期待される部分があ
ると思います。他国と比べて、日本では官民の
距離が比較的近いため、協調領域の設定に関し
て、役所が役に立つ部分も一部あると思います。
既存枠のを超えた新しい取り組みが必要
伊 藤 本連載第1回(自動車ジャーナリストの
桃田健史氏、自動車新聞社の井上佳三氏)の座
談会でも話題にのぼりましたが、ビジネスで勝つ
ための方策としてのルールメイキングや標準化を
行う仕組みがあまり有効に機能していません。

TheTRUCK2017年12月号38
 仲介役としてそれを推進するのが業界団体の
機能だと考えていましたが、現在のルールメイキ
ングでは十分に役割を果たせていないため、再
編成が必要だという結論に至りました。
河 野 自動車は企業の利害関係が大きく変
わってきており、昔のような統一方針にもとづく
護送船団方式はなかなか難しいのでしょう。
 だからこそ、様々小さな組み合わせを模索し
ないといけない。昔のように、業界調整の微調
整を行う中間組織体がなくなってきている現在で
は、官民の各論調整を行う環境はよりシビアと
なっています。
 これから官と民の協調は、これまでと違う形で
模索しないと方程式が解けない状態になりかねま
せんね。
伊 藤 先日、大手企業の役員と話した際に、
「働き方改革で残業規制が厳しくなったことで、
優秀なソフトウェアエンジニアが働きにくい環境
になっている」と言っていました。コンプライアン
スなども、新しいことをチャレンジする際に足枷
となってしまうこともあります。
河 野 規制体系という一般論でいうと、各国
の自動車政策はどうしてもそれぞれの国の国内
事情に大きく影響される部分が出てきます。自
動車に関わる政策は、都市のあり方やそれに基
づく交通体系の考え方に関する制約がでてくる
のは各国共通でしょう。単に「産業を伸ばす」
いう産業政策的視点のみで政策遂行されるわけ
ではなく、むしろ、様々な政策視点からの政策
調整を、ちゃんとやる、早くやる、ということが
大事です。
伊 藤 その一方でアメリカではGoogleが無
人運転車を走行させると言っていますよね。
河 野 自動走行を実現するため、産業を育成
するためにシステムを変えている、ということで
はないと思いますが、市場規模の優位性を活か
したイノベーションを許容する懐をもった国、と
いうことはあるのかもしれません。日本は、どう
しても海外の市場を意識しないといけないわけで
すから、海外プロジェクトや海外のプレイヤーと
の連携のウェイトも増やしていかないといけませ
ん。その際、官民交流のルールはありますから、
プロジェクトに中長期のコミットできる人材を役所
からも提供し、日本ならではの新しい官民連携の
モデルを作っていく必要があると思います。
伊 藤 IoTのベンチャー企業であるソラコムを
買収したKDDIの副社長の話を講演会で聞いて
納得したことがあります。その副社長は第2電
電(DDI)の創業期からのメンバーであるらしく、
KDDとの統合、携帯電話の普及、インターネッ
トの光回線化など、様々な変革を経験されてい
く中で、「自分の想像だけで未来に向けた正しい
方向性が描けないことがよくわかった。IoT時代
になると、これまで以上に想像を超えることが起
きるだろうから技術やアイデアは外部から取り込
むしかない」とベンチャー企業買収に至った経緯
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界②

TheTRUCK2017年12月号39
を話されていました。率直でわかりやす
い事例だと思います。わからないことに
張れる勇気がある人は日本で少ないので
すが、このような事例が拡がれば、もっ
と世の中を動かしていけるのではないか
と思います。
河 野 そうですね。新分野では、ベン
チャー含めた新しいプレイヤーとの新たな
連携、ここでおきる「摩擦」がイノベーショ
ンを起こす源になるということはあるのだ
ろうと思います。この10年、15年でどうしてい
くかと考えると、安全規制もそうでしょうし、車体
の制御、しっかりしたアフター市場の必要性、を
考えれば、OEMレベルでみると変化にはそれなり
に時間を要すると思います。他方で、サプライヤー
含めた産業構造全体を見てみると、そのスピード
を上回る付加価値の変化が起きる可能性は考えて
おかないといけない。その際には、産業全体で、
レガシーをきっちり回す部分とイノベーションに挑
戦する部分を使い分ける必要が出てくるのではな
いかと思います。
伊 藤 そういうことを考えている人は少なから
ずいます。
河 野 変化に対応するためには、色々と柔軟
にチャレンジを続ける必要があると思います。サ
プライヤーは、系列が崩れてくる中で、これまで
のように系列の中で生きていくだけで変化に対応
することは難しくなり始めています。
 一方で、お隣の中国の部品メーカーはコスト競
争力が増していて、日本のサプライヤーは日々
の改善とは違った次元の思い切った投資をして勝
負をしないといけなくなりつつある。そのために
は何をすべきかという論点です。
伊 藤 東日本大震災の際に、漁業組合の再編
をしなければ漁業を再開できない状況であったに
もかかわらず、権限を手放したくない組合長がい
たために思うように再編が進みませんでした。そ
ういうことがあってはいけないですね。
河 野 ギリギリ捻出したリソースを使って、合
理化、IT投資などの多正面作戦を真剣に進めて
いかなければなりません。徐々に水温が上がって
も逃げずに死んでいく「ゆでがえる状態」は避けな
ければならない。
伊 藤 変革や改革には異次元の考えをもった
人が必要です。明治維新では思想を持った人同
士が連携して、方向性を共有しながらそれぞれ
の組織でジャッジしていきました。痛みは確実に
伴いますが、それを恐れていたら先に進むことは
できない。そういうことが必要な時期がきている
のではないでしょうか。産業革命が終末にきてい
て、次の新しい価値観を生む時代がきていると
思います。
河 野 そのためには、繰り返しになりますが、
リソースの効率活用を真剣に考えないといけない
と思います。だからこそ、協調領域の設定、連
携促進、事業の組み替え、といった、枠を超え
た新しい取組、それを促進する仕掛け、が必要
になると考えています。

TheTRUCK2017年12月号40
海外参加チームが
 増加してのコンテスト開催
 EVの普及を目的に活動している一般社団法人電
気自動車普及協会(APEV)は、東京モーターショー
会期中の2017年11月4日㈯に、東京ビッグサ
イト会議棟において「国際学生EVデザインコンテ
スト2017」と、シンポジウム「近未来の展望(〜
2050年)・EVが創る社会とデザインの役割」を開
催した。
 午前の部(10:30〜13:00)は、「国際学生EVデ
ザインコンテスト2017」の最終審査と表彰式・作品
展示となった。会場内には最終審査に挑む作品のポ
スターが展示され、ステージ上では2次審査を通過
した10チームがそれぞれの提案についてのプレゼ
ンテーションを行った。
 午後の部(14:15〜16:00)は、キーノートスピー
カーに小池百合子東京都知事を迎え、東京都のEV
普及施策としての「ゼロミッションアイランドを目指し
て」をテーマとした講演が行われた。続いて、山下
敏男APEV理事(INTERROBANGDESIGN㈱代
表)をモデレーターにしてのシンポジウム「近未来の
展望(〜2050年)・EVが創る社会とデザインの役
割」が行われた。
 ちなみに、電気自動車普及協会(APEV)は、
2010年6月に電気自動車の普及促進のために設立
された組織で、2014年12月に一般社団法人化さ
れ、地球環境の保全と持続可能な社会の実現を目指
して産官学の連携によるEV等の次世代自動車普及
のための活動に取り組んでいる。
 冒頭の挨拶でAPEVの田嶋伸博代表理事は、「本
日は長時間になりますが最後までお付き合いいただ
ければ幸いです。2017年10月21日現在、当協
会は正会員79社、特別会員が136団体、賛助会
員43人で合計258会員で構成されています。活
動方針は、①会員の自発的かつ積極な活動の促進、
環境保全と持続可能社会の
実現を目指して
APEV主催のシンポジウム「近未来の展望・EVが創る社会とデザインの役割」
東京モーターショー会期中の東京ビッグサイトで開催
午前の部で「国際学生EVデザインコンテスト2017」の最終審査を実施

今回の「国際学生EVデザインコンテスト」は“国際”という名にふさわ
い内容になったと挨拶するAPEVの田嶋代表理事
最終審査出場の2次審査通過チームと審査員など関係者を含めてのEVデザインコンテスト参加者
TheTRUCK2017年12月号41
②他の団体(官公庁、自治体、日本自動車工業会、
自動車技術会他)との協力強化、③海外も含めた、
一般に対するEVの価値等PRの強化、④2020
年東京オリンピックでのEVを活用した街づくり(グラ
ンドデザイン提案)という4つの項目となっています。
 最近はEVのニュースを聞かない日がないほどに
EVが話題となっています。その少しでも当協会は貢
献しているものと思っています。2020東京オリパラ
でもEVが活躍することを祈っているところです。
 今回、EVデザインコンテストのような素晴らしい
会が実現できたことは、ひとえにご後援いただいた
環境省様、経済産業省様、国土交通省様、東京都
様、東京大学大学院様、そして日本自動車工業会様
のおかげです。このコンテストは、もともと“国際”
ということでグローバルなコンテストを目指してきまし
た。今回の参加は、34校96チームで、前回とほ
ぼ同じですが、日本が20校45チームに対して海
外から15ヵ国14校51チームということで日本を
上回っています。海外から多数のエントリーがあった
ことは、われわれが目指す“国際”という名にふさわ
しい内容になったことはうれしい限りです。1次審査
を通過したのは15校23チーム、日本が9校12
チーム、海外が8ヵ国7校11チーム、ここには第
2次審査を通過した10チームが集まっています。主
催者としても今後とも学生さん達を応援して行きたい
と思っています」と語った。
海外参加チームのグランプリ獲得は初
 APEVが主催する「国際学生EVデザインコンテス
ト」は、2013年から東京モーターショー開催年に合
わせて実施されており、今回で3回目となる。「EVの
持つ可能性を通じて次世代を担う学生を育成するこ
と」「クルマ(EV)のデザインだけでなく、社会・街・
地域の人々・文化等とのかかわりも含めた環境デザイ
ンを提案してもらうこと」を目的に開催されている。
 今回の参加は34校96チームで、最終審査出

最優秀賞グランプリを獲得した中国の広州美術学院
Japan:産業技術大学院大学(AdvancedInstituteofIndu
strialTechnology)チーム名・ebi-P/車両名・HUBO
India:NationalInstituteofDesign
チーム名・TeamEVIndia/車両名・NINJA
Philippines:CarDesignAcademy
チーム名・TeamHope/車両名・EVAmbulance
Japan:東京コュニケーションアート専門学校(TokyoCo
mmunicationArts) チーム名・KIMHYEONSU
車両名・HOSPITALBEDMOBILITY
Japan:千葉工業大学(ChibaInstituteofTechnology)
チーム名・SAL/車両名・e-Nomadsociety
Italy:IAAD
チーム名・LE-ON/車両名・LE-ON
TheTRUCK2017年12月号42
場の2次審査通過チームは、産業技術大学院大学
(Japan)、CarDesignAcademy(Philippines)
CarDesignAcademy(Uganda)、千葉工業大
(Japan)、GuangzhouAcademyofFine
Arts(China)、IAAD(Italy)、名古屋市立大学
(Japan)、東京コミュニケーションアート専門学校
(Japan)、首都大学東京大学院(Japan)、Natio-
nalInstituteofDesign(India)の10チームとなった。
 また、審査委員長は中村史郎氏(㈱SHIRONAKA
MURADESIGNASSOCIATES・CEO)で、審査委

Uganda:CarDesignAcademy
チーム名・Magnitude/車両名・SHEBA
Japan:名古屋市立大学(NagoyaCityUniversity)
チーム名・GoL/車両名・HOLLO
Japan:首都大学東京大学院(TokyoMetropolitanUni
versity)チーム名・NDENKI/車両名・KUBARU
世界から34校96チームの参加があった
APEVと東京大学の産学連携で進行された
SNSとワークショプの学習環境を構築
グループ間での交流はSNSを利用China:GuangzhouAcademyofFineArts
チーム名・TripleSix/車両名・EVZERO
TheTRUCK2017年12月号43
員として、建築家の安藤忠雄氏(東京大学名誉教授)
をはじめ、デザインの専門家の長屋明浩氏(ヤマハ発
動機㈱執行役員デザイン本部本部長)、工業デザイ
ナーの奥山清行氏(㈱KENOKUYAMADISIGN代
表)とパトリック・ルケモン氏(元ルノー副社長)、その
他、ジャン・ファン氏(広州自動車グループデザイン
担当副社長)、田中茂明氏(経済産業省大臣官房審議
官)、島雅之氏(国土交通省自動車局次長)、田嶋伸
博氏(電気自動車普及協会代表理事)となった。
 後援は、環境省、経済産業省、国土交通省、東
京都、東京大学大学院情報学環、(一社)日本自動車
工業会。1次協賛は、IHI運搬機械㈱、NTN㈱、
日産自動車㈱、㈱ベネッセホールディングス、㈱本
田技術研究所、ヤマハ発動機㈱、ルネサスエレク
トロニクス㈱で、2次協賛は、カーデザインアカデ
ミー、㈱トゥールズインターナショナル、ボッシュ㈱、
丸紅情報システムズ㈱、三菱ケミカル㈱となってい
る。また、賞としては、最優秀賞(1チーム)に副賞
20万円、経済産業大臣賞(1チーム)に副賞10万
円、国土交通大臣賞(1チーム)に副賞10万円。冠

工業デザイナーの奥山清行氏
(㈱KENOKUYAMADISIGN代表)
デザインの専門家の長屋明浩氏
(ヤマハ発動機㈱執行役員デザイン本部本部長)
審査委員長の中村史郎氏
(㈱SHIRONAKAMURADESIGNASSOCIA
TES・CEO)
TheTRUCK2017年12月号44
用し、「学生パネルディスカッション」が行われた。今
回のコンテストは、SNSとワークショップを利用し、
お互いのデザインコンセプトの質を向上させて行こう
という新たな試みが採用された。
 通常のコンペティションは、参加者間の競争が中心
となるため、デザインの質向上のための協調文化が
未定着になる。今回は、“競争”と“協調”の文化づ
くりを基本とし、交流によるポジティブな効果の実証
を行った。この考え方を提唱したのは東京大学大学
院情報学環で、パネルディスカッションは同学環の池
尻良平特任講師と山本良太特任助教がコーディネー
ターを務め進められた。
 ディスカッションを前に池尻特任講師は、「今回のコ
ンテストの教育プログラムでは、教育、学習環境の
デザインに取り組みました。注目のトピックはグロー
バルなコラボレーションの展開です。ITの発達によっ
て、国や地域を超えた様々な教育方法が展開される
ようになっています。同時に学生同士のコラボレー
ションに関してもIT技術を使って簡単にできるように
なっています。このコラボレーションは、学生にとっ
て質の高いものを提供でき、グローバル領域でのコ
賞として、NTN賞、カーデザインアカデミー賞、ボッ
シュ賞、三菱ケミカル賞が用意された。
 審査の結果、最優秀賞グランプリは中国から参加
した広州美術学院(チーム名:TripleSix)が獲得、
経済産業大臣賞には千葉工業大学(チーム名:SAL)
が、国土交通大臣賞には首都大学東京大学院(チー
ム名:NDENKI)が獲得した。協賛企業が提供する
冠賞は、NTN賞が産業技術大学院大学(チーム名:
ebi-P)、カーデザインアカデミー賞がインドのナショ
ナル・インスティテュート・オブ・デザイン(チーム名:
TeamEVIndia)、ボッシュ賞が首都大学東京大学
院(チーム名:NDENKI)、三菱ケミカル賞に名古屋
市立大学(チーム名:GoL)が選ばれた。
 今回、グランプリを海外チームが獲得したことと、
1チームに2つの賞が授与されるダブル入賞は、当
コンテスト初のことである。
新たな試みでのコンテスト進行に注目
 コンテストの審査が別室で進められている時間を利

対面でのワークショプでコュニケーションを強化
東京大学大学院情報学環の池尻特任講師と山本特任助教(左の2人)の進行で行われた「学生パネルディスカション」
TheTRUCK2017年12月号45
いか、ということで研究させてもらいました。コンテ
ストを通して教育プログラムを展開させてもらった効
果として今回、結果もある程度出せたと思ってます」
と述べた。
 進行役となった山本特任助教は、「今回2つの学習
環境を用意しました。SNSを使ったオンラインでのコ
ミュニケーションと、ワークショップによる対面でのコ
ミュニケーションを取り入れた交流です。具体的には
参加者をグループ分けして、アイディアとそのコンセ
プトを参加者と協賛企業の専門家にSNSを利用して
意見をオンラインで頂くことを実際に運用しました。
また、ワークショップは1次審査2次審査を通過しあ
る程度作品が出来上がった状態で、協賛企業に場所
を提供してもらい、それぞれの作品をより向上させる
ために対面でのコミュニケーションを行いました」と説
明した。
 今回の趣旨は、SNS交流とワークショップにおけ
る交流を行い参加者同士がどのようにして相互作用
を生じさせるかを共有する形とになる。新たな試みで
あるこの方法は、今後のコンテストのあり方に変化を
与える可能性もあるだろう。
ラボレーションは世界中の研究者が取り組んでいる
状況です。今回15ヵ国が参加しています。一般的
にコンテストはひとつのチームだけで進めていくわけ
ですが、学びの高いコンテストということなので、
APEVと東京大学の方で共同研究をさせてもらった
わけです。テーマとしては、他者との相互作用によっ
てデザインの質を向上させる、ことでしたので、そう
いったプラットフォームでの教育プログラムができな

午後の部で挨拶するAPEVの横川会長
町有車として新島に試験導入されたEV
TheTRUCK2017年12月号46
美しい地球環境を残すための活動
2050年はSFの世界ではなく近未来
EV化と自動運転が
東京モーターショーのコンセプトに
激動の自動車業界は渦潮状態
午後の部のキーノートスピーチで
ゼロミッションアイランドを目指す小池都知事が
島しょ地域における電気自動車普及モデル事業を語る

キーノトスピーチを行う小池都知事
温室効果ガス排出量30%削減が目標都は充電設備の設置支援策を検討ハワイ・マウイ島でのEV導入例
TheTRUCK2017年12月号47
近未来に向けたクルマと
 社会の変化は大事
 APEVは、「地域eモビリティ推進委員会」を立ち
上げ、各地域での次世代自動車普及モデルを推進し
ている。今年度からは、東京都の事業「島しょ地域
における電気自動車普及モデル事業」への協力も行っ
ている。その関係で午後の部では、小池百合子東京
都知事を迎え、東京都のEV普及施策としての「ゼロ
ミッションアイランドを目指して」をテーマにしたキー
ノートスピーチが行われた。
 冒頭、APEVの横川浩会長(日本陸上競技連盟会
長)は、「2011年にEV普及活動を福武總一郎さん
(APEV名誉会長/㈱ベネッセホールディングス名誉
顧問)がいろいろ工夫をすることで美しい地球環境を残
すために開始しました。今では、世界中でEVへの関
心とうねりが強くなっており、今回の東京モーターショー
でもEV化と自動運転がコンセプトになってます。
 午前の部では国際学生EVデザインコンテスを実
施しまして、ここからの午後の部では、コンテストの
審査員を務めたカーデザインの現役レジェンドの皆様
に、2050年頃までを見据えてのEVが作る近未来
の社会とデザインの役割ということでディスカッショ
ンをしてもらいます。2050年は2000年の頃には
ずいぶん先のイメージでしたが、2050年というの
は、近未来という視野に入っていてもうSFの世界で
はなくなってます。これから約30年、クルマそして
社会がどのように変化していくのか、大変興味深いし
大事なことだと考えています。私は、陸上競技の関
係で2020年オリパラに携わっていますが、その時
の子供たちは、それから80年後の2100年を覗く
世代なんです。となると、2050年は2100年に向
かっていく近未来の位置づけになります。
 本日の特別ゲストとして小池都知事をキーノートス
ピカ―としてお迎えています。都知事は環境への取
り組みにとても熱心で、EVに対してもご興味とご理
解をいただいています。小池知事に当協会へのご理
解とご協力をお願いにあがった時、都知事からEV
は島しょエリアに向いていますね、という言葉をいた
だきました。それが、切っ掛けとなって、当協会と
東京都のご縁が深まり、都における島しょ部における
EVの利活用に対して協会としても協力させていただ
くことになってます」と挨拶した。
「EVアイランドを目指す」
 小池都知事のキーノートスピーチ
 本日はシンポジウムでお話をさせていただく機会を
いただきありがとうございます。
 EV協会には東京都の島しょ地区での電気自動車
普及モデル事業のアドバイザーに加わっていただい
ております。今日はビッグサイトで東京モーターショー

八丈島は美しい自然に恵まれた島である
新島はサーフィンのメカとしても知られる美しい島だ新島の風力発電施設の「阿土山風力発電所」新島内に設置されている太陽光発電設備
地熱に恵まれる八丈島の「八丈島地熱発電所」地熱発電のしみを解説する「八丈島地熱館」
EV町有車をを導入した新島
EV3台によるカーシェアリングを実施する八丈島東京都の島しょ地域には魅力ある島が多く点在している
TheTRUCK2017年12月号48

TheTRUCK2017年12月号49
が開催されていますが、自動車業界は激動に次ぐ激
動で、鳴門の渦潮状態となってます。イギリスやフ
ランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の
販売を禁止するという策を打ち出してますし、中国も
2019年までに新たな環境規制を導入することになっ
てます。まさに渦潮の中でその方向性を世界が求め
る動きは、すさまじいものがあると思っています。そ
のような中で、世界の自動車メーカーは新しい戦略を
立てています。世界中で自動車のゼロエミッション化
に向けた動きは確実に進んでいると思います。日本
もこのような動向に対処する必要があります。まず、
東京都として何ができるかを考えてます。世界の動き
に遅れることなく、むしろ世界の流れをつくる気持ち
で将来に備えていきたいと考えています。
 昨年末、パリ協定が採択されました。その流れの中
で各国いろいろな思惑がありますが、採択されたパリ
協定は今後いろいろな肉付けをしていくわけですが、
ここで定められた長期的な目標は2030年までに温室
効果ガスの排出量を2000年比で30%削減するとい
うことになってます。このパリ協定を踏まえて東京都と
しての目標を掲げているところです。中でも運輸部門
では60%削減するという目標を掲げています。目標
達成に向けて、次世代自動車であるEVやPHV、そ
して水素を活用した燃料電池自動車に対しての補助制
度、都独自の自動車税、自動車取得税の免除などに
より次世代自動車の普及に努めているところです。
 具体的には、例えばEVの普及のためには何が必
要かを考えると、充電を確実にするということです。
 私も練馬に家を構える時に地名から決めまして、と
いうか我が家を最初からエコタハウスというネーミン
グにしたいがために、江古田の近くに土地を探しまし
て、太陽光発電や複層ガラスであったり、断熱であっ
たり、LEDであったり、夏は涼しく冬は暖かい“風
の道”を計算した設計にしたりと、あらゆるテクノロ
ジーを取り入れています。ちょっと江古田からは離れ
ますがエコタハウスと呼んでます。
 最初に100Vと200Vの充電設備です。戸建てで
は100Vと200Vの充電用コンセントを屋外に設置し
て、夜間電力を利用して充電をすることができますが、
問題はマンションのような集合住宅で充電設備の整備
が進んでいないということです。都としてはマンション
などの駐車場に充電設備を設置するための支援策を現
在検討しているところです。それにより、EVやPHV
のさらなる普及に貢献していきたいと思っています。
 東京都の事業である「島しょ地域における電気自動
車普及モデル事業」を進めています。これは新島、八
丈島で行っています。新島はサーファーの聖地で東京
から150㎞離れていて、人口は約2,200人、それか
ら島の端から端までは12㎞です。八丈島は東京から
290㎞離れていて人口は約7,700人、東京都の島と
しては2番目の大きさで島を1周すると43㎞です。
 私は環境大臣の時からE3とかE10(自動車用
バイオエタノール混合燃料)とかをやってましたが、
これを人口が少なく航続距離が短い島でやるという
のは、燃料運搬のコストなどを考えると課題もありま
す。別の方法としてEVの活用があるわけです。他
からの自動車の流入もないことから、EVによるCO
削減の効果が非常に表れやすい。ある意味、実証実
験の場としては最適だと思っています。
 具体的には、新島の都の出張所の町有車、都の
所有車ですが、8月に1台試験導入しました。デザ
インはサーフボードをイメージし、島内の巡回や資材
の運搬などの日常業務に利用しています。これによっ
て経済性なども検証できると考えています。私も電
気自動車に乗ってますが、加速がいいですし、坂道
も力強く登りますし、非常に使い勝手がいいと思って
ます。この町有車を日常業務に使うだけではなく、
給電や試乗会を実施して島にお住いのみなさんにEV
を実際に体験していただきたいと考えています。
 八丈島は、島内の宿泊施設を拠点にして9月から
EV3台によるカーシェアリングを実施し、宿泊施設
の事業者や観光客など多くの方々に利用してもらっ
て、EVの使い勝手と経済性を検証してもらうことに
なってます。
 今後ですが、運送業、レンタカーなど他の業種へ
の実証実験を実施しまして、EVの安心感とお得感を

フォーラムでの記念ショト。(左から)田嶋APEV代表理事、工業デザイナーの奥山氏、小池東京都知事、コンテスト審査委員長の中村氏、
デザイナーの長屋氏、横川APEV会長
TheTRUCK2017年12月号50
ンドを達成させていきます。都として再生可能エネル
ギーの利用拡大に合わせた取組も合わせて行って行
きたいと思ってます。
 持続可能な観光開発も考えています。ギリシャに行
けば島めぐりもされると思いますが、インバウンドの
みなさんに東京都の島の宣伝もしていきます。東京
に来たら、30分かからずに行ける大島もあるし、船
で24時間かけて小笠原に行くのもいいわけです。
11の島にはそれぞれの魅力があります。そういう島
が持つ魅力とそこがゼロエミッション・アイランドだ、
という形になれば、と思っています。
 EVアイランドを目指します。緑多いシンポジウム
になることを心から祈念いたしまして東京都の取り組
みについてお話しさせていただきました。ご清聴あり
がとうございました。
(誌面の都合でシンポジウムの内容は次号で紹介し
ます)
分かりやすく提示をして普及拡大につなげていきたい
と考えています。この事業は来年度までに実証実験を
行いまして、平成31年度から島しょ地域でのEVの
更なる普及に向けた本格的な施策を展開する計画で
す。自然に恵まれた島しょ地域だけに多様な再生エネ
ルギーの活用はひとつの目玉になると考えています。
 このモデル事業を行っている新島、八丈島では再
生可能エネルギーの利用拡大が進んでいます。新島
では、太陽光発電と風力発電、そして蓄電池を活用
して電力の安定供給に向けたNEDOの実証実験が
行われています。また、地熱が豊富な八丈島には地
熱発電所があります。この地熱発電所の更新に合わ
せて新たな発設備を設置して利用拡大への取り組み
を進めることになっています。
 EVの普及とともにそれぞれの地域の特性に合わ
せた再生可能エネルギーの投入を進め、これによっ
て島のゼロエミッション化、ゼロエミッション・アイラ

平成26年4月よりバイオオイル標準充填開始。
環境マネジメント対策に適しております。
万が一、自然界に排出されても、二酸化炭素と水になります。
パレットローラー
製造・発売元
車輌機器株式会社
〒252ー0003神奈川県座間市ひばりが丘5丁目1ー6
TEL046(257)8800(代) FAX046(257)8811
(営業品目)ウイング用油圧装置/各種スイッチBOX/リモコンスイッチ/油圧シリンダー/車輌用油圧機器/アウトリガー油圧装置
上昇時パレットストッパーが自動的に浮き上
がり、ローラーストッパー掛け忘れによる落下
事故を防止します。
ストッパーの解除はローラー上昇後にプッ
シュロットを押してワンタッチ操作で解除できま
す。解除後は自動積込も対応可能です。
軽量コンパクトなステンレス製BOXにセッ
ト。防雨・防錆も完璧。平成25年マーキン
グリニューアル。ユニットカバーを外さなくても
黒いゴムを外せば油量ゲージ確認が出来ます。
キャブ内警告ランプによりローラー下げ忘れ
を確認出来ます。
オーバーフローの油は戻り配管を通じてタン
クに戻ります。
気密性の高いシリンダーBOXが外部へ油
を漏らしません。黒いゴムを外せばBOX内清
掃が簡単に行えます。

TheTRUCK2017年12月号52
最新モーターショー―②―
モーターショー 商用車ピンポイントスケッチ

TheTRUCK2017年12月号53
石野 潔
当両ページは三菱ふそう・トラックバス㈱出展の電動化新商品ブランドの
「E-FUSO」の電気駆動トラック(EVトラック)を描いた:
  
両頁上絵:大型電動トラック「VISIONONE」内外装スケッチ
小型電動トラックの量産化開発で勢いをつけた「ふそう」の大型電動コンセプトトラック。GVW23t、積
載量11t、先に発表されたBENZ電動トラックの部品ではなく小型キャンターで実用化した部品類を
強化して使用したとのこと。
・内外デザインはベンツ商用車デザイン部から新たにふそうデザイン部に着任した新部長のもとでまとめ
た。キャブを含めたベースは現行6×2大型車で箱型シルエット。ボデー全体の製作は埼玉県新座市の
「フィアロコーポレーション(試作モデルや治具類製作の大手)」、リアボデーベースは「パブコ」ウイング
ドライバン。
左絵:小型電動トラック「eCanter」外形スケッチ
本年度内に大手宅配業者やコンビニ業者に納入稼働予定の国内初の量産電動トラック。東京モーター
ショープレスデー当日には北米カリフォルニアでプレス発表とのこと。ディーゼル車では品質問題でシェ
アを落とし現在挽回中の「ふそう」だが生産場所も含め量産電動トラックの日米欧でのグローバル展開の
意味は大きい。


TheTRUCK2017年12月号54
最新モーターショー―②―
来年発売稼働予定(荷台塗装仕様の宅配業者)の電動トラック。
・40kwh×2個のRイオンバッテリー、150KWモーター出力
・100㎞航続可能なエルフハイキャブベースの2t積み。
エルフEV:冷凍冷蔵電動トラック

TheTRUCK2017年12月号55
いすゞ 未来の2t積み配送コンセプトトラック。いすゞ特有
のデザインスタディーモデル。どんがらモデルであり稼働内
容は別途CGで説明。センター運転席、六角形のユニッ
タイプの専用荷姿。
トヨタ車体 LCVコンセプト
ワンボックスワゴンやバンの開発〜製作に特化したトヨタグ
ループの名門トヨタ車体の出展。
(LCV=ライトコマーシャルビークル)
魅力的な一つの基本ボデーで3仕様のマルチバン
・デリバリーカーゴ、
・ビジネスラウンジ、
・アスレチックツアラーの仕様を用意。
・出展は低床フロア、大開口スライドドア、
一人乗りでベースは次期ハイエース。
(プジョー、シトロエン、TOYOTAの共同開発車)
エルフデザインコンセプト:FD-Si

東京ビッグサイト外観全景(東京ビッグサイトHPより)
TheTRUCK2017年12月号58
TMS東京モーターショー2017続報
パブリックショーの色濃い東京モーターショー(以下、TMS)だが、
商用車関係ではビジネスも行われたことは想像に難くない。その場
で契約書にサイン、は無かっただろうが家族連れの顧客に一層の
近親感を以て自社製品と担当者の人柄を印象付ける良い機会だった
筈だ。営業力とは、最後は人間力が問われる行為だ。
世界の自動車ショー研究
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車工会は全192会員企業をパネルで紹介した
屋外OE01会場の配置図(車工会HPより)
TheTRUCK2017年12月号59
車体メーカーの展示
賑わう東2号館屋外
 TMSは会場を東京ビッグサイトに移して今
回が4回目、車体関係の展示は東2号館の西側
屋外展示場(OE01)が定位置となっている。こ
の展示場について公表データはないが、主催者
資料等を参考に筆者が計算すると凡そ1,000㎡
である(因みに隣接の東2号館全体の屋内展示
面積は会場のHPで8,350㎡とある)。ここに
(一社)日本自動車車体工業会(以下、車工会)
員企業192社から希望して選ばれた11社が最
新商品を展示
した。勿論、
車工会としての展示もあった。決して広くはな
い、しかも天候に影響される屋外という場所が
定位置というのも考えれば様々な背景がある
が、ここでは触れない。
 開幕直後の台風襲撃など天候によってはつら
い日時もあったが、好天時にはおおいに賑わっ
ていた。なお、加えて屋内展示場に車工会会員
企業2社の参加があった。いずれも日本を代表
する自動車メーカー傘下の企業である。
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

区 画企業名
屋外(OE01)
八千代工業㈱
東邦車輌㈱
㈱浜名ワークス
日本トレクス㈱
㈱矢野特殊自動車
㈱花見台自動車
日本フルハーフ㈱
KYB㈱
極東開発工業㈱
山田車体工業㈱
新明和工業㈱
(一社)日本自動車車体工業会
屋内(東2)日産車体㈱
屋内(西1)トヨタ車体㈱
(表1)東京モーターショーTMS2017参加企業
〈日本自動車車体工業会会員〉

八千代工業の「災害支援車両」。手頃な軽トラックの荷台に搭載する様々な“小道具”で災害時の色々な支援活動を
提案した
フルレ用ドーリ(カプラ搭載)のアクスルにはカム式ブレーキを搭載東邦車輌のレーラシリーズ。ドライバー不足で必然的に高まるレー
ラ需要の入門シリーズの位置づけだ
TheTRUCK2017年12月号60
世界の自動車ショー研究

フルレはドーリを外せばセミレとしても活用可能
浜名ワークスのダブル連結トラッ
ク。“ダブル”はけん引する全長
12m級トラックトラクタけん引車の
フルトレーラの荷室が単車の2倍
相当であるこを示す
レクスのセミトレ「PANECT」。外板に断熱フラトパネルを採用して.外観で注目を集め性能も高めた
TheTRUCK2017年12月号61
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


花見台自動車の車載車「セフティーローダーH2」。夜間作業の手元照明用LEDライを鳥居に組み込んだ
矢野特殊自動車の最も得意とする冷凍車。標準装備で出展
TheTRUCK2017年12月号62
世界の自動車ショー研究

日本フルハーフのウィングボディ(左側)と小型温度管理車(右)。ウィングの開閉を電動式として従来の油圧系保守作業を不要とした。省力、
軽量化、低コスト化など従来の課題を解決する。温度管理車には新開発の自動カーテンを搭載し作業性と保温/冷性を高めた
キサー車の世界にもIT活用の新製品提案。生コンの品質モニターを搭載し、一方で軽量化による
積載重量アップも果たした。左側方前後に監視カメラも搭載し安全運行に寄与
TheTRUCK2017年12月号63
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
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極東開発工業は車載車「フラトップZeroⅡ」で高機能車載車の一つの極致を出展。最低地上高の低い、或い
はホィールベースの長い乗用車など車種を選ばす作業が可能。搭載してあった“ワイヤ細工のクルマ(ダミー)”
は当社技能者のレベルの高さも感じさせた
極東開発工業は4トン級プレス式ごみ収集社「プレスパック」を出展した。洗車もしやすいこの用途の車の外観デザインに新境地を開いた
TheTRUCK2017年12月号64
世界の自動車ショー研究

山田車体工業は「Zフラップ9」を出展した。ウィングの支点に工夫を凝らし、重量
物のクレーン作業による荷役にも対応可能とし、温度管理にも対応させた欲張りバ
ンだ
屋外でも通路にカーぺッを敷き込み、来場者の足元に気を配った。TMSの設営の質の高
さが感じられた
新明和工業は多段突き上げ式機構搭載の大型ダンプを出展した。構造の単純化
による軽量化で積載重量の増加も可能となる
TheTRUCK2017年12月号65


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量産ボディベースで特装車を仕立てるのは日産車体の得意とするころ
eNV200のボディに断熱加工を施した温度管理車を出展した。サーモキングの温度管理機を搭載したコンセプトモデル
TheTRUCK2017年12月号66
乗用車派生のバン
市民生活を支える
 日産車体は東2号館内FUSOの向かい側に
ブースを構えた。量産型のNVシリーズ車を
ベースとした特装車群を集めて、救急車の将来
型、オリンピックを視野にトライアスロンな
どの競技支援装備搭載車等を出展した。EV車
ベースの温度管理車など物流用途への備えも提
案した。
世界の自動車ショー研究

こちらはNV350ベースの特装車群。内装を念入りに仕上げた上級車はカタログ化されているが使い方の提案も行う展示だ
救急車も患者の症状を考えて装備は多様化している。“単なるアンビュランス(救急車)
から“パラメディック(上級救急救命士)”が搭乗する車の意でこの名称が使われる
TheTRUCK2017年12月号67




このFCバスは既に東京都内等で営業運転されているシリーズ車で、FC乗用車「MITAI」のFCユニッ
を2個並列に搭載している。東京オリンピックに向けて一定の量産体制に入るという
将来のワンボックスの用途拡大を想定したコンセプトモデル「LCV」。この場合は「アスレチッ
クツアラー」と名付け内装と段差対策板を組み込んでいる
TheTRUCK2017年12月号68
世界の自動車ショー研究
 トヨタ車体は西展示棟1階のトヨタの広い
ブースの一角となる場所にブースを構え、トヨ
タ自動車グループとしての一体感を感じさせ
た。トヨタ本体の広いブースの一角に展示され
た燃料電池FCバスも、改装はトヨタ車体が担
当しているという。
 当社が量産する商業車はワンボックス型のハ
イエース/ラジアスエースの双子車を始めとし
て、TECSブランドのダイナ車ベースの特装車
群等がある。その延長に上記のFCバスもある
わけだが、出展車には将来型のワンボックス車
をベースとした各種用途想定のコンセプトモデ
ルも見られ見ていて楽しさを感じさせた。

う一つの「LCV」。こちらは「ビジネスラウンジ」
と呼ばれパーセルボックス(小型貨物)の搬送な
を想定している。EV化も想定範囲か
TheTRUCK2017年12月号69




高山自動車を高山英一社長が個人の力で立ち上げ、既に
このような支援者が後押ししている。母体は板金や自動車
整備などを扱う町工場だというが、技術はしっかりしている
展示車から感じられた
TheTRUCK2017年12月号70
世界の自動車ショー研究
新たに誕生した
ミニカー製造者
 最近、わが国でも自動車の世界でスタート
アップ企業がいくつか話題になっているが、そ
れらは1台が何千万円もする電動ドリームカー
のようなものだった。ところが、TMSの東2
号館は大手トラックメーカーの集中展示があっ
たところだが、その一角にキラリと光るスター
トアップ企業があった。高山自動車という。提
案する車は町工場でも造れる部材溶接構造の電
動ミニカーで、想定用途を移動販売車に先ず
絞っている模様だ。
 使い方は多様で考えるのが楽しいが、出先で
駐車して車体自体の一部を手で簡単に拡張でき
るなど低コストながら使う人の着想が多数盛り
込まれている。東京都市大学の工学研究科の先
生と提携して衝突安全性もテスト済みとあり、
今後の発展が楽しみだ。




TheTRUCK2017年12月号72
バリューチェーンと
 サプライチェーンが集結
 産業の技術と製品が一堂に集まる世界最大のBto
B展示会「HANNOVERMESSE(ハノーバーメッ
セ)と、イントラロジスティクスとサプライチェーン
管理に関する見本市「CeMAT(セマット)」が2018
年4月23日〜27日の5日間、ドイツ・ハノーバー
国際展示場で開催される。今回、2つの世界有数の
展示会を同時開催することで、インダストリー4.0か
らロジスティクス4.0までを網羅することになる。そ
の試みは、日本の製造業界や物流業界からも注目さ
れている。この2つの展示会を合わせると、出展企
業は約6,000社、来場者は約23万6,000人に上
ると見込まれている。
 このたび、主催者であるドイツメッセ㈱(Deutsche
世界最大の産業見本市
「HANNOVERMESSE2018」
国際イントラロジスティクス見本市
「CeMAT」が2018年4月に
ハノーバーで同時開催
ドイツメッセ副社長が来日し
世界的見本市の詳細を発表
世界有数の展示会が結合
産業界と物流界がひとつにまとまり開催

両展合同の記者会見で内容を説明するドイツメセのマルクジーマリング
上級副社長
HANNOVERMESSE2018のパートナーカンリーはメキシコとなった今回はインダスリー4.0からロジスティクス4.0までを網羅
TheTRUCK2017年12月号73
MesseAG)マルク・ジーマリング(MarcSiemering)
上級副社長が来日。2017年10月31日に都内の
会場において両展合同のプレスカンファレンスが行わ
れた。
 席上、ジーマリング氏は「HANNOVERMESSE
は世界最大の産業技術見本市として開催している。
他の見本市との違いは、産業分野におれるバリュー
チェーンのすべてがHANNOVERMESSE会場に
集結することである。それらすべてを網羅すること
で、スマートファクトリーに関する最新情報の発信と
すぐに使える製品が展示される。つまり商談の場であ
り、数多くのビジネスが成立できる。そのため、殆
どの来場者は投資を計画している製造業の幹部で、
その投資額も1人当たり55万ユーロ以上となって
いる。来場者の3分の1がドイツ国外からで、その
95%がビジネス目的で、2017年展では、出展企業
に対して約560万件の引き合いがあった。
 また、国際的な展示として、政治的な部分での橋
渡しの役割も果たしている。今回、デジタルトレンド
とサプライチェーンに特化したCeMATが同時開催
されることで、世界的な注目度はさらに高まるものと
考えている」とコメントした。
ビジネス主体に開催
 「HANNOVERMESSE」
 前回のHANNOVERMESSE2017は、出展企
業6,500社、22万5,000人の来場者を記録し、
生産システムやエネルギーシステムが今後のデジタ
ル変革によりどのように変化していくかを知る場とし
ての確固たる地位を確立している。
 デジタル化は、産業界だけでなく政府レベルでも
注目される分野である。ドイツのアンゲラ・メルケル
首相も「あらゆる産業見本市の中でも最大の展示会」
と述べており、同展が産業技術に関する世界的な展
示会だけではなく、政治家も引き付ける展示会とも
なっている。次回の2018年展での開会式では、メ

HANNOVERMESSEに参加する5つのメリット
TheTRUCK2017年12月号74
データ収集と分析により、インターネットベースのサー
ビス提供が可能な現代では、新たなビジネスモデル、
従業員の権限移譲、そしてコラボレーションが必要
不可欠で、人工知能、コボット(協働ロボット)、デジ
タルツイン、予測保全、スマートサプライなどの技術
が、企業の新たなファクトリー設計に及ぼす影響は大
きいものがある、という意味をこのメインテーマで表
現している。
 また、スタートアップ企業への取り組みとして、新
興企業による製品やソリューション開発に視点を置い
ルケル首相と今回のパートナーカントリーであるメキ
シコの代表者が世界からの3,000人の来賓を出迎え
る予定となっている。
 会期中、80以上のカンファレンスとフォーラムが
開かれ、1,700以上の講演とパネルディスカッション
が計画されている。展示だけでなく、製造業とエネ
ルギー分野における最新技術やトレンドの情報が得ら
れるこれらのミーティング・イベントには数多くの企業
経営者や政治家が集まることになる。また、その参
加者のためのネットワーキング・パーティーも数多く
企画されている。
 HANNOVERMESSE最大の目的はビジネスで
ある。スタートアップ企業や小規模工場、中小企
業、工科大学、多国籍企業や連邦政府など、あら
ゆる規模の企業や組織が幅広いビジネスを行う場が
HANNOVERMESSEである。出展企業は受注を、
来場者には必要とする製品やソリューションを提供
し、ビジネスでのパートナーを見つけることもできる。
 今回のメインテーマは「IntegratedIndustry-
Connect&Collaborate(産業システムの統合化
-コネクト&コラボレーション)である。クラウドでの

CeMAT2018のメンテーマは「ConnectedSupplyChainSolutions」。CeMATはサプライチェーンのデジタル統合を推進していくための重要な推進
力となる展示会だ
TheTRUCK2017年12月号75
た「YoungTechEnterprises」も実施される。ス
タートアップ企業の出展は2016年から2017年に
かけて25%増加しており、2018年展ではイントラ
ロジスティクスとエネルギーゾーンを拡大。「Young
TechEnterprises」のメイン会場では、展示や
フォーラムをはじめ、ビジネスマッチングやワーク
ショップも行われる。
デジタル統合の推進力を
 支援「CeMAT」
 今回同時開催されるロジスティクス4.0に終点を当
てた物流系展示会のCeMATは、物流関連企業がメ
イン出展者となり、荷役、梱包、倉庫、輸送などの
物流業者が来場する展示会である。今回のメインテー
マは「ConnectedSupplyChainSolutions(コネク
テッド・サプライチェーン・ソリューション)で、同展
がサプライチェーンのデジタル統合を推進していくた
めの重要な推進力となる、ことを表現している。
 各企業がその競争力を維持していくためには、企
業の枠を超えたサプライチェーンのデジタル化により

記者会見の出席者。左から、日本能率協会ドイツメッセ日本代表部の竹生学史部長、ジャパンパビリオンの説明を行ったロボット革命イニシアティブ協議
会の久保智彰事務局長、ドイツメッセのマルク・ジーマリング上級副社長
日本が推進するConnectedIndustriesの5つの重点分野
TheTRUCK2017年12月号76
の製品ハンドリングにおける最新真空技術、さらに
コパル(Copal)社のコンテナ荷卸しとパレット輸送
の最先端ソリューション、ペッパールアンドフックス
(Pepperl+Fuchs)社の認証技術ソリューション、
ユニマックス(Unimax)社のウェアラブルコンピュー
ティング担当者による拡張現実ソリューションなどが
予定されている。
 また、ブロックチェーン、ITセキュリティ、人
間とロボットのコミュニケーション、デジタルシャ
ウ、人工知能、3Dプリンティング、拡張現実、
イントラロジスティクスにおけるドローンの活用、
プロジェクト管理などをテーマとする「ロジスティク
ス4.0フォーラム」と、生産現場と食品業界のロジ
スティクス・ソリューション、回収管理(Returns
Management)でのインテリジェントコンテナの利
用方法、倉庫ロジスティクスのデジタル化などの成
功事例を紹介する「ロジスティクス・ソリューション・
フォーラム」という注目の2つのフォーラムが実施さ
れることになっている。
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇
 HANNOVERMESSEとCeMATでは日本から
の出展者を募集中である。出展・来場に関する問い
合わせは、一般社団法人日本能率協会・ドイツメッ
セ日本代表部(電話:03-3434-6447/E-mail:
DMS@jma.or.jp)まで。
連携を進めていく必要がある。その一方で、多くの
企業はロジスティクス4.0のコンセプトをどのように
実現すべきかという問題に直面している。CeMAT
2018では、インダストリー4.0とロジスティクス4.0
の相互作用に集点を当て、これらの問題についての
回答を提供することになる。
 特別展となる「Logistics4.0Hub」では、こうし
た相互作用の実例が体験できる。同コーナーには、
HANNOVERMESSEとCeMATに出展してい
る30以上の企業がブースを構え、サプライチェー
ンの様々な問題に対応する最新技術を紹介するこ
とになっている。主なものとして、ユンクハインリヒ
(Jungheinrich)社のオーダーピッキング、SMIハ
ンドリング・システム(SIMHandlingSystems)社

仕様
項目
チップセッ
センサーデバイス
画角
ディスプレイ
供給電圧
動作温度範囲
記憶ディバイス
記録フレーム
カメラモード
記録内容
記録形式
マイク
時刻設定
加速度センサー
質量
内容
AmbarellaH.264画像圧縮チップ
フルHD5MCMOSセンサー
約105度
LCD3インチ43モニター
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エンジン連動録画
イベント録画
センサー検知時録画
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日付、時刻、速度を記録
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FULLHD5メガピクセル
こんな使いかたも
自分の運転をチェック
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TheTRUCKGUIDE2018

84









【会社概要】
本社工場事務所
軽量・コンパクト設計の新型リフトマン 
LA型
リフトマンで培われた技術を軽量・コンパクトな設計で
製品化し、アルミプレート仕様で自重348㎏を実現。
低床車、オーバーハングの短い車両への架装が可能で
す。架装対象のフレーム幅が700〜870㎜と、従来
リフトマンより50㎜狭いフレーム車両に架装可能。リ
フトマンが架装できる車両が増加しました。リフトマ
ンの高いリフト能力、1000〜2000㎏を継承し、テ
ールゲートリフト自重の軽量化を実現したことで、積
載量の確保に貢献できます。
テールゲートリフトリフトマン
LC形、LD型、LE型
4本シリンダー+2段機構により安全かつスムーズな動作で
荷役作業ができます。スイッチ切替えで、自動水平モード
と任意水平モードが選択でき、アルミプレート仕様で自重
405㎏です。LD型はリフト能力2000㎏を持ち、同シリー
ズのLE型では国産製造モデルでは最大のリフト能力2500
㎏の製品シリーズがあります。オプションにて、プレート延
長2000㎜以上も対応可能。近年では車体安定ジャッキとの
オプション組み合わせにて、荷役作業の品質向上にお役立て
できます。
チェアリフト NLCH型
NLCH型は、プレートがドアと兼用となる設計のた
め、車内スペースがそのまま確保でき室内が広く利用
できます。開閉から上昇・下降まで全自動で動作し安
全な操作が可能です。後部ドア仕様・サイド乗降口仕
様とご利用のニーズに合わせた仕様が選択できます。
󰓃

TheTRUCKGUIDE2018

85
垂直テールゲートリフト 製品ラインナップ 
SL3T型/TWL型/SLW型/SL1T型
多様なニーズに対応できる垂直テールゲートリフトの製品ラインナップです。荷物に合わせて最適なリフトが選択できます。架装で
きる車種もカーゴ車用・バン型車など多数ありますのでご要望にお応えできる製品をご提案できます。
ワンボックス用リフト 横開閉式CLOー3型
新技術により軽量化と操作性を考慮し、キット重量98㎏を
実現したワンタッチロック機構採用の横開閉式モデルです。
リフトを操作せずに横開閉でキャビン内へのアクセスがで
き、重量物はリフトを用いることで作業者への負担が軽減で
きます。内装式リフトではクラス最大級の400㎏のリフト
能力にて荷役作業はスムーズに対応できます。プレートに軽
量なアルミ縞板を採用しプレート折り畳み等の格納操作が容
易に行えます。
ワンボックス用リフト CLTー3型
内装式リフトでクラス最大級400kgのリフト能力を持つ、
「CLー3」で培った技術を生かし、同クラスのワンボックスカー
用リフトの中でも最軽量なキット重量92㎏を実現したモデル
です。プレートに軽量なアルミ縞板を採用しプレート折り畳み
等の格納操作を女性ドライバー・高齢者ドライバーでも容易に
行えます。ハイエース、タンウエース、NV350キャラバン、
NV200バネット等への架装実績車両は多数あります。



NIHONLIFTCO.,LTD.
http://www.nihonlift.jp/

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号94
 極東開発工業㈱は、このたび国内最長(国内法規を満た
た公道走行可能車両)となる39メートル級のブームと、国内
最大の吐出量を実現した閉回路方式油圧システムを採用した
コンクリートポンプ車「ピストンクリートPY165-39」を開発し、
2017年10月17日に発売した。
 新機種は、それぞれ新開発となる39メトル級のRZ型5
段屈折ブームと、最大吐出量165㎥/hの閉回路方式採用
の油圧システムを、GVW25トン車に搭載したピストン式コン
クリートポンプ車で、同社史上最長(国内市場向け)かつ最高
性能を誇る車両である。また、多くの部位に高張力鋼板を採
用し強度を保ちながら軽量化を実現したほか、稼動状況等を
表示するディスプレイシステムも装備し、より安全かつ効率的
な作業に寄与する機種となっている。
 国産コンクリートポンプ車の先駆けとなる「PC80型」を昭和
41年に発売以来、50年を超える国内ップメーカーとしての
ノウハウと技術力を高次元で融合した極東開発の新しいフラッ
グシップモデルとなる。
 希望小売価格(消費税抜き・シャシ価格込み)は9,500万
円で、販売目標台数は20台/年としている。
「ピストンクリートRPY165-39」の特長
⑴国内最長の39メートル級RZ型5段屈折ブーム
 ブーム形状及び配管レイアウトの工夫と、車両全体
のコンパクト化・重量バランスの最適化により、国内法
規を満たした公道走行可能車両として国内最長となる
39メートル級の新開発RZ型5段屈折ブームを採用。
また、ブーム屈折部のリンク構造を大きく変更し、高い
強度を保ちながらブームのスリム化を図ることで大幅な軽
量化も図っている。
⑵国内最高クラスの最大吐出量を実現した閉回路
方式油圧システム
 油圧システムに、新開発の「閉回路方式」を採用す
る事で、国内最大の吐出量
165㎥/hを実現。メインシ
ンダの切換え時の応答性を
向上させ、大吐出量と衝撃
・騒音の抑制を両立させたほ
か、メン回路の切換えバル
ブをなしたシンプルな回路構成の実現により軽量化にも貢献
している。
⑶縦型PTOと大型油圧ポンプ
 縦型PTOを採用することで大型油圧ポンプの搭載を可能
し、効率的な油圧システムを実現したほか、PTOの切換え
はエアコントロール式とし、操作性も向上。また、メンシリ
ダのピストン位置に合わせて最適な油圧制御を行い、衝撃や
トローク変化を抑制し安定した打設を可能とした。
⑷主要部位に高張力鋼板を採用
 ブームをはじめ旋回台、アウリガまで、多くの部位に高張
力鋼板を採用。これにより強度を保ちながら軽量化を実現させ
ている。
⑸ブームやポンプの設定・稼動状況の表示が可能なディ
スプレイシステム
 ブームやポンプの設定・稼動状況等を表示するディスプレイ
システムを採用。状況に応じて変更することが可能な吐出圧
と吐出量の上限設定機能により、現場におけるより安全かつ
効率的な作業に貢献する。
コンクリートポンプ…極東開発
話題のニュートラック新製品情報・新情報
39メートル級ブームと閉回路方式油圧システムを搭載
国内最高ブーム長と吐出量の新型「ピストンクリート」発売
国内最高ブーム長と吐出量の新型「ピストンクリートPY165-39」

TheTRUCK2017年12月号95
 TOYOTAは、「ピクシスバン」をマイナーチェンジ、「ピクシス
トラック」を一部改良し、全国のトヨタカローラ店、ネッツ店お
よび、軽自動車市場比率の高い地域で取扱希望のあった一
部のトヨタ店、トヨペット店を通じて、2017年11月14日に
発売した。
 軽四輪「ピクシスバン」は、先進安全機能を進化させた衝
突回避支援システム「スマートアシストⅢ」を新たに設定(AT
車)し、軽商用車としては初となる、歩行者も検知対象とする
緊急ブレーキ機能や夜間での歩行者の早期発見に貢献する
オートハイビームなどを搭載、さらに、縦列駐車時など左右後
方の障害物をブザー音で知らせるリヤコーナーセンサーや、走
行中に強くブレーキを踏んだ場合、同時にハザードランプが点
灯するエマージェンシーストップシグナル、登り坂でブレーキか
らアクセルに踏み替える際、クルマの後退軽減に貢献するヒ
ルホールドシステム(AT車)など、安全装備および利便装備
を充実させた。また、アイドリングストップを全車標準装備し、
2WD車で17.8㎞/Lと燃費を向上させた。
 デザインは、ヘッドランプやフロント/リヤバンパーの意匠
変更に加え、LEDランプをオプション設定(LEDパック)する
軽商用車…TOYOTA
話題のニュートラック新製品情報・新情報
軽商用車初の衝突回避支援システム搭載など
「ピクシス」のバンとトラックを改良
39メートル級RZ型5段屈折ブーム(左)とブーム屈折部リンク(右)
縦型PTOと大型油圧ポンプ
主要部位には高張力鋼板が採用されている
稼働状況を表示するディスプレイシステム
閉回路方式の油圧システムを採用
ピクシスバンデラクス“SAⅢ”(2WD)ブライドシルバーメタリック

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号96
 日産自動車㈱は、軽四輪トラッ
「NT100クリッパー」の仕様向上
を行い、2017年11月24日に
発売した。
「NT100クリッパー」は、2013
年のフルモデルチェンジ以降、高
い燃費性能と抜群の使い勝手か
ら、ビジネスを強力にサポートする
トラックとしてユーザーから好評
を得ている。今回の仕様向上で
は、これまで「GX」グレードに標
準設定していた、「助手席SRSエ
仕様向上…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
助手席SRSエアバッグの全グレード標準設定など
「NT100クリッパー」の仕様を向上
など、よりシャープな印象とし、内装はブラック基調で質感を
向上させた。外板色は、7色に拡大し、うち5色にドアアウ
ターハンドルやコーナーピースの色をボディカラーと同色にでき
「カラーパック」をオプション設定した。
 また、「ピクシストラク」は、これまでオプション設定としてい
た人気の外板色「ブライトシルバーメタリック」を標準設定。オ
プションの「カラーパック」には、ファインミトメタリックを追加し
た。また、LEDヘッドランプの設定を追加するなど、仕事の
パートナーとしての機能性を確保しつつ様々
なユーザーの好みに応える装備を用意した。
 メーカー希望小売価格(消費税込/北海
道のみ価格が異なる)は、バンがスペシャル
2WD・5MTの934,200円から“SAⅢ”
4WD・4ATの1,495,800まで、トラック
が“エアコン・パワステレス”2WD・5MT
の680,400円からエクストラ4WD・4AT
の1,225,800円まで。トラックの“農用ス
ペシャル”4WD・5MTは1,009,800円と
なっている。
ピクシストラクタンダード“農用スペシャル”(4WD)
NT100クッパーDX(4WD5MT)
ピクシスバンデラックス“SAⅢ”(2WD)ブライドシルバーメタリック

TheTRUCK2017年12月号97
アバッグシステム」「助手席プリテンショナーシートベルト」
「ABS(アンチロックブレーキシステム)を全グレード標準設
定へと拡大。また、「電源ソケット」を全グレードで標準設定
するともに、「グローブボックス」の容量増加により、利便性
を向上させている。なお、「NT100クリッパー」は、スズキ㈱
のOEM供給車になる。
 主な車種の全国希望小売価格(消
費税込)は、2WDのR06Aエンジ
ン搭載DX・5MTで876,960円、
4WDのR06Aエンジン搭載DX・
5MTが1,026,000円、同DX農繁
5MTが1,053,000円、最高グレー
となる同GX・3ATで1,237,680円
となっている。
 コマツは、建設機械で培ってきた油圧・制御技術を随所に
織り込み、オフロード法2014年基準に適合した油圧駆動
式の新型フォークリフト「FH100-1」「FH120-1」「FH135-1」
「FH160-1」を2017年11月1日に発売した。
 新発売の4機種は、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状
物質)の排出量を大幅に低減し、特定特殊自動車排出ガス
2014年基準をクリアした新世代エンジンを新たに搭載。FH
シリーズの特徴である油圧駆動式トランスミッション「電子制
御HST(Hydro-StaticTransmission)」、エンジン出力を
無駄なく活用する油圧システム「可変ポンプCLSS(Closed-
centerLoadSensingSystem)」、また、それらを高度に制
御するコントロールシステムを採用することにより、高負荷作
業時における燃料消費量を同社従来機トルクコンバータ方
式車両)に比べ最大30%低減させている。
 また、機械稼働管理システム「KOMTRAX」を標準搭載
し、ユーザーの車両管理業務を幅広くサポートする。さらに、
車両モニタには鮮明で見やすいフルカラーマルチモニタを採用
し、エコゲージ等の表示により省エネ運転のサポートも行って
いる。
 販売目標は80台/年(国内のみ、4機種合計)で、公表
価格は、FH100-1(10.0t車)・19,000千円、FH120-1
(12.0t車)・20,100千円、FH135-1(13.5t車)・21,250
千円、FH160-1(16.0t車)・22,550千円、となっている。
■主な商品の特長
⑴環境、経済性
・特定特殊自動車排出ガス2014年基準適合車…コマツが
油圧フォークリフト…コマツ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
建設機械の油圧制御技術などを随所に織り込んだ
オフロード法適合の油圧駆動式フォークリフト新発売
荷台積載効率に優れるNT100クッパー
NT100クッパーの運転
建機油圧制御技術などを取り入れたコマツの油圧駆動式フォークリフト

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号98
長年積み重ねてきた独自のエンジンテクノロジーを結集し、新
たに開発した新世代エンジンを搭載。コマツディーゼル酸化
触媒(KDOC)と選択触媒還元(SCR)を組み合わせてNOx
とPMを大幅に低減する新たな排出ガス後処理システムの採
用により、特定特殊自動車排出ガス2014年基準をクリア。
・高負荷作業時の燃料消費量・最大30%低減…油圧駆動
トランスミショ「電子制御HST」、エンジン出力を無駄な
く活用する油圧システム「可変ポンプCLSS」、また、それら
を高度に制御するコントロールシステムにより、燃料消費量を
同社従来機トルクコンバータ方式車両)に比べ最大30%低
減させている。さらに、エンジンを掛けたまま駐車すると一定
時間の経過でエンジンが自動停止するオートエンジンストップ
機能により、無駄な燃料消費を抑える。
⑵安全性、作業性
・車速制限機能、シートベルト未装着警告機能…工場内など
で決められた制限速度を守るために、最高速度を4段階に
設定可能。また、シートベルト未装着のオペレーターに注意
を促す警告機能も装備されており、安全性の向上に貢献。
・後輪切れ角ゲージ…後輪タイヤの向きをモニタに表示。ハン
ドルが切れていることが分かり、車両を安全に動かすことがで
きる。
・電子制御HSTによる操作性の向上…電子制御HSTの
採用により、前後進レバーを切り替えてもショクが発生しな
いこと、また坂道でのずり下がりが少なく、微速走行が容易
になるなど、操作性が向上しておりオペレーターの疲労軽減と
安全作業に貢献。
⑶ICT
・フリート遠隔管理と現場改善を支援するKOMTRAX標準
搭載…KOMTRAXは、位置情報、稼働状況に加え、燃料
消費量などの情報をユーザーに提供し、日々の稼働状況の「見
える化」を実現。ユーザーが常にベストコンディションで使用で
きるよう、きめ細かくサポートを実施。
・車両の稼働状況を一目で把握…カラーマルチモニタを搭載
し、走行速度や平均燃費、簡易荷重計など車両の状況を一
目で把握でき、さらにボタン操作により稼働時間、燃料消費
量などさまざまな情報も確認することができる。また、車速制
限などの設定も容易に行うことができる。
 日野自動車㈱の大型トラック「日野プロフィア」と中型トラック
「日野レンジャー」「2017年度グッドデザイン賞」を受賞した。
らに、「日野プロフア」は、審査委員会から特に高い評価を得
た製品に贈られる「グッドデザイン・ベスト100」に選出された。
「日野プロフィア」は14年ぶり、「日野レンジャー」は16年
ぶりのフルモデルチェンジを果たし、今年発売されている。い
グッドデザイン賞…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大型「日野プロフィア」と中型「日野レンジャー」
2017年度グッドデザイン賞を受賞
ずれもエクステリアデザインとインテリアデザインを一新し、洗
練されたスタイルとドライバーを第一に考えた高い居住性を実
現。さらに、安全装備の拡充に加え、エンジンのダウンサイ
ジングで燃費も向上し、ドライバーが誇りを持って、安心して
乗れるトラック」となっている。
 今回の受賞は、このような新型「日野プロフィア」「日野レン
コマツ油圧駆動式フォークリフトの主要諸元
コマツ油圧駆動式フォークリフトのポスター

TheTRUCK2017年12月号99
ジャー」の特長が高く評価されたもので、日野にとって2011
年にフルモデルチェンジした小型トラッ「日野デュトロ」以来6
年ぶり、20回目と21回目のグッドデザイン賞受賞となった。
 グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が
主催する総合的なデザインの推奨制度で、社会全体を豊か
にする「よいデザイン」を顕彰している。グッドデザイン・ベス
100は、2017年度グッドデザイン賞受賞対象の中で、審
査委員会により特に高い評価を得た100件に贈られる。
 また、大型トラッ「日野プロフィア」は“2017年度グッドデ
ザイン金賞”も受賞した。「グッドデザイン金賞」は、2017年
度に選ばれたすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、特
に優れたデザインと認めるものに贈らるもの。今回の金賞受
賞は、日野にとって初めてとなる。
■日野プロフィア
〈特長〉
ドライバーが誇りを持てるような存在感のある革新的なスタイ
ルと、ドライバーが生き生きと働けるインテリア。
・歩行者検知も可能なPCS、夜間の視認性向上に寄与す
る国内大型トラック初の可変配光型LEDヘッドランプ(オプ
ション)など、安全装備の拡充。
新型ダウンサイジングエンジンの採用による軽量化と燃費向上。
・車両情報通信によるICTサービス機能。
〈デザインのポイト〉
・外形:「革新」と「存在感」
・室内:ドライバーがいきいきと働ける環境を」
〈評価コメント〉
 ロジスティクスモビリティの新たなベンチマークとなり得るデ
ザインの方向性を示している。エクステリアでは明確なブラン
ドイメージ表現と細部への空気抵抗低減の工夫が図られ、イ
ンテリアでは乗員の操作性、視認性、室内移動性、快適性
と疲労軽減、これらを質感の高い仕上げとCMFでまとめて
いる。輸送機器として重要な安全対策として衝突回避システ
ムの導入、環境面では軽量化による燃費改善が図られ、前
モデルからの着実な進化が見られる。フロントの外装構成は
ユーザーに配慮したアクセサリー装着前提の分割。乗員が誇
をもって仕事に臨めるデザインを細部まで追求した姿勢と成
果を高く評価した。
■日野レンジャー
〈特長〉
ドライバーが乗りたなるような躍動感あふれるスタイルに街と
の調和も意識したデザイン、ドライバーの快適性を追求したイ
ンテリア。
・日野プロフィア同等の安全装備を標準化。PCS、ふらつき
警報、ドライバーモニターなど、中型トラック初となる装備も多
数搭載。
・新型ダウンサイジングエンジンの採用による軽量
化と燃費向上。低馬力仕様では、ユーザーの利
便性のために尿素フリーで「平成28年排出ガス
規制」に適合。
・車両情報通信によるICTサービス機能。
〈デザインのポイント〉
・外形:「先進と躍動」「街との調和」
・室内:「機能と快適へのこだわり」
〈評価コメント〉
 フロントビューは明確なブランドイメージが表現さ
れている。長距離移動における機能性が要求さ
れるインテリアデザインでは随所に操作性、視認
性、室内移動性、快適性と疲労軽減への工夫が図られ、
CMFによる質感高い仕上げで丁寧にまとめた点を評価した
い。輸送機器として重要な安全対策では衝突回避システム
の導入、車両情報通信機能によるメンテナンス性向上など前
モデルから着実な進化が見られる。 
グッドデザインのベスト100に選ばれ“金賞”を獲得した日野プロフィ
「2017年度グッドデザイン賞」受賞の日野レンジャー

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号100
 UDトラックスのフラッグシップ大型トラック「クオン
(Quon)、ならびに新興国市場向け中型トラッ「クローナー
(Croner)が、2017年度グッドデザイン賞を受賞した。
UDトラックスとしては、2013年の「クエスター(Quester)
以来4年ぶり、通算8件、9件目の同賞受賞となる。受賞
を契機に、トラックにおける“機能を支えるデザイン”の重要
性をいっそう訴求し、ブランドイメージのさらなる向上に務める
している。
 受賞にあたり、両車についての審査委員からの評価コメント
(要約)は次の通り。
①大型トラック「クオン」
・UDトラックスの商品に共通する6角形グリルを据えた顔は、
ブランドとしての統一感が好ましく映る。
・無駄を省いた機能的な作りの運転席は、ドライバーのストレ
スを和らげている。
・運転手不足と高齢化が課題となっている日本市場を鑑み、
フロアを低くして乗降性と下方視界確保に配慮されている。
・衝突被害軽減ブレーキ、ふらつき注意喚起装置などの安全
運転に配慮した支援システムを搭載している。
・社会を支える車両としての立場を明確にしている。
②中型トラック「クローナー」
・メンテナンス性の高い3分割構造バンパやグリル一体のフロ
トパネルが一体感ある優れたエクステリアデザインを実現
している。
販売国の使い方に配慮し、ドライブラインに余裕を持たせた。
・Euro3/4の排ガス規制に対応しつつも高トルクによって
燃費向上を実現している。
グッドデザイン賞…UDトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
2013年の「クエスター」の受賞以来4年ぶりに
「クオン」「クローナー」がグッドデザイン賞を受賞
「クオン」「クローナー」両車のデザインを担当した、UDト
ラックスのコンプリートビークルプロダクトデザイン白鳥敏雄ダ
イレクターは、「クオンは、そのコンセプト、“人を想い、先を
駆ける”を体現する凛とした姿と、HMI(HumanMachine
Interface)を一新した質感あるドライバー空間、クローナー
は、新興国のお客様のビジネスに貢献する機敏で信頼感あ
る中型トラックとしてふさわしい姿を目指しました。対象とする
お客様やマーケットには違いがありますが、それぞれのニーズ
を的確にとらえ、両車とも日本のブランドであるUDトラックス
のラインアップの一翼を担う商品としてふさわしいデザインに仕
上がったと自負しています」と語った。
 なおグッドデザイン賞は公益財団法人日本デザイン振興会
が主催するもので、1957年創設のグッドデザイン商品選定
制度を発端とする、日本唯一の総合的なデザイン評価・推奨
の運動である。今日では国内外の多くの企業や団体などが参
加する世界的なデザイン賞で、グッドデザイン賞受賞のシンボ
ルである「Gマーク」は、すぐれたデザインを示すシンボルと
て広く親しまれている。
UDトラクスのフラグシップ大型トラック「クオン」
UDトラクスの新興国市場向け中型トラック「クローナー」

TheTRUCK2017年12月号101
 三菱ふそトラック・バス㈱(MFTBC)は2017年10月6
日から2日間にわたり、同社喜連川研究所(栃木県さら市)
で「2017年度カスタマーサービスコンテスト」を開催した。
 カスタマーサービスコンテストは、「お客様満足度の向上」
目指すべく、サービススタッフ・パーツスタッフのスキルアップ
とモチベーションアップを促し、ユーザーに「安心」を提供できる
「サービス」「整備力」および「提案力」の向上に繋げること
を目的としている。
「サービス部門」競技は、全国の三菱ふそう販売会社及び
三菱ふそう地域販売部門から選抜した24チーム(1チーム:
フロントスタッフ1名、メカニック2名)、また「パーツ部門」
競技は、全国部品営業の代表者17名が挑んだ。
「サービス部門」競技は、学科問題と実技競技との合計点
で部門優勝を競い合った。実技競技では、今年5月にフルモ
デルチェンジし発売を開始した大型トラック「スーパーグレート」
ンプ仕様の設定で、制限時間内で車両不具合箇所を修復す
るとともに、ユーザーにとって最適なサービスを提案する点も必
要とした競技内容で行われた。新開発の12段機械式自動トラ
ンスミション「ShiftPilot(シフトパイロット)」、最新の安全装
置、また運行管理システムの「Truckonnect(トラックコネクト)
についての理解とユーザーへの的確な説明が求められた。
「パーツ部門」競技は、ユーザーとの面談シーンを再現した
ロールプレイング競技を実施。ユーザーの悩み事やニーズを
的確に把握し、適切な商品の提案が求められる内容とし、学
科問題とスピーチ競技との合計点で部門優勝を目指した。本
年度はフルモデルチェンジした大型トラックのみならず、新たに
純正用品も数多く設定したため、これら新商品についての理
サービスコンテスト…三菱ふそ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
ユーザー満足度向上と社員スキルアップ向上を目標に
「2017年度カスタマーサービスコンテスト」を開催
解度を計る設問に比重が置かれていた。
 また、サービス・パーツ両スタフの団結力ならびに会社と
しての一体感を狙い、「会社対抗戦」して所属販売地区また
は販売会社別に上位3社が表彰された。
■各賞の受賞者(敬称略)
〈サービス部門〉
・優勝…SC北日本東北・北関東〔2〕(中川守、山田真、
菊地寛)
・準優勝…SC東海・北陸(田中洋文、水谷充、杉本和大)
・第3位…神奈川ふそう(高橋信也、平尾圭介、田頭一憲)
〈パーツ部門〉
・優勝…SC西日本九州:藤本健太
・準優勝…豊橋ふそう:山岸裕紀
・第3位…SC南関東・甲信:山田秀雄
〈会社対抗戦〉
・優勝…SC東海・北陸
・準優勝…神奈川ふそう
・第3位…SC北日本東北・北関東
サービス部門優勝のSC東北・北関東〔2〕チーム
パーツ部門優勝のSC西日本九州・藤本健太氏
会社対抗戦優勝のSC東海・北陸

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号102
 UDトラックス㈱は、世界各国のドライバーが競い合う国際
大会、「エクストラマイルチャレンジ2017」最終戦を2017年
11月7日、UDトラックス本社敷地内のエクスペリエンスセ
ンターで開催した。今年度は初めてクエスターとクオンの両車
種に対象を広げ、昨年度よりも規模を大幅に拡大して開催さ
れた。クオンカテゴリーはセミトラクターを使用して競技が行わ
れ、シンガポールチームが総合優勝、またクエスターカテゴリー
は南アフリカチームが総合優勝した。
 UDトラックスが掲げる「GoingtheExtraMile-その一歩
先へ」というブランドプロミスに基づき開催する「エクストラマイ
ルチャレンジ」は、ユーザーにUDトラックスの製品とサービス
を最大限に活用する方法を体感してもらイベントで、始業点
検、燃費効率・安全運転、そして操作性・駐車技術という
3つの要素を通して、ドライバーの運転技術の向上、運営費
およびダウンタイムの低減を目的にしている。
 各国を代表するドライバーは、実際の輸送サイクルを再現し
た種目で技能を競い合った。各種目では、収益、燃費効率、
稼働率・メンテナンスコスト、そして安全運転を採点基準と
て競い合い、全輸送サイクルを通じて最高得点を獲得したチー
ムが優勝となる。
 今年の大会では、世界の6つの地域から7名のドライバー
が予選を勝ち抜き、最終戦で競い合った。タイ、マレーシア、
南アフリカ、インドネシアからはクエスターのドライバー、日本、
南アフカ、シンガポールからはクオンのドライバーが出場した。
 クオンカテゴリーで総合優勝したシンガポールチームのドライ
バー、CWTLimited社のSengAnnNeo氏は、「とても幸
国際大会…UDトラック
話題のニュートラック新製品情報・新情報
UDトラックスがエクストラマイルチャレンジを実施
シンガポールチームと南アフリカチームが総合優勝
せな気分です。30年のトラックドライバーの経験をすべて出
せた結果だと思います。エクストラマイルチャレンジは、競技
の他にドライバートレーニングもプログラムに含まれており、大
変参考になりました。UDトラックスのトラックに乗って1年半
になりますが、このトレーニングではじめて知った事も多々あり
した。次回はもっタフなコースに挑戦したいです」と語った。
 また、クエスターカテゴリー総合優勝チーム、RATranspo
rt社のドライバーLafrasKruger氏は、「とても興奮していま
す。日々の運行で心掛けている事をすべてこの大会で出す事
が出来たと思います。大会のすべてが私にとって刺激となり
した。次回もチャンスがあればぜひ参加したいと思います」
述べている。
 UDトラックスの村上吉弘社長は、エクストラマイルチャレン
ジはUDトラックスの創業者である安達堅造の描いた「スマー
トロジスティクス」のビジョンから着想を得たイベントであると語
り、「スマートロジスティクス」の実現のために「スマートラック」
「スマートサービス」に加えて「スマードライバー」の必要性
があると強調した。
 また、ブランドコミュニケーション&プロダクトの岸伸彦シニ
アバイスプレジデントは、エクストラマイルチャレンジの開催に
あたり、「UDトラックスは“OneUD”として、異なる組織から
様々な技術や経験を持つ従業員が一丸となって、お客様の
ためにさらに一歩先の貢献を行います。今後、大会を拡大さ
せるために、グローバルファイナルへ続く地域大会を開催する
マーケットの数を増やすともに、新たなマーケットからの参加
を歓迎します」と語っている。
「エクストラマイルチャレンジ2017」の参加者世界各国のドライバーが競い合う国際大会

TheTRUCK2017年12月号103
■エクストラマイルチャレンジ2017結果
【クオンカテゴリー】
・総合優勝:シンガポールチーム(CWTLimited社、
ドライバーSengAnnNeo氏)
・最優秀始業点検賞:日本チーム
・最優秀運転技量賞:シンガポールチーム
・最優秀燃費効率賞:南アフリカチーム
【クエスターカテゴリー】
・総合優勝:南アフリカチーム(RATransport社、
ドライバーLafrasKruger氏)
・最優秀始業点検賞:マレーシアチーム
・最優秀運転技量賞:タイチーム
・最優秀燃費効率賞:インドネシアチーム
 ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸㈱は、ドライブレ
コーダーとデジタルタコグラフを一体化した通信機能搭載の新
たな車載端末を、2018年11月より、ヤマト運輸の全集配
車両約36,000台に順次搭載する。さらに、㈱日立製作所
と連携し、運行データを幅広く効率的に収集・分析すること
により、安全運転教育のさらなる高度化等に向けて取り組み
を進める。
 近年、IoT(InternetofThings)の進展に伴い、さまざま
な機器からデータの取得が可能となり、これらのビッグデータ
を活用して、業務効率の向上や新たなビジネス機会の創出な
どの取り組みが加速している。
 ヤマト運輸は、「安全第一、営業第二」の理念のもと、
人命の尊重を最優先し、常に安全の達成に努めるため、
2010年からヤマト運輸独自の車載端末「See-TNavi」を導
入。運転状況の見える化を図ると
ともに、安全指導の専門職であ
る安全指導長がセールスドライバー
(SD)へきめ細かな安全教育等
に取り組む中、最新のIoT技術
を活用した安全教育のさらなる進
化に向けて検討を続けている。
 日立は、注力するIoTプラッ
フォーム「Lumada」の活用で培っ
たデータアナリティクスに関するノ
ウハウや、人工知能技術Hitachi
AITechnologyなどを組み合わ
せ、企業のデータ利活用に向けた
取り組みを支援している。
 将来的には、車両の故障予兆
車載端末…ヤマト運輸・日立製作所
話題のニュートラック新製品情報・新情報
ヤマト運輸が全集配車両に新たな車載端末を搭載
運行データの利活用により安全運転教育の高度化を実現
診断による整備計画の効率化、また、自治体や外部企業な
どとデータ連携し、例えば収集した道路状況のデータを利活
用するなど、新たな高付加価値ビジネスの創出に向けて幅広
く検討していくしている。
■車載端末の特長
 新たに搭載する車載端末は、従来デジタルタコグラフで収
集していた速度や駐車位置情報などに加え、ドライブレコー
ダーで収集する走行映像やGPSアンテナから得た情報で作
成する走行軌跡などの運行データをクラウド形態の情報基盤
へ、通信回線を通じて自動かつリアルタイムに転送・蓄積す
る。また、ヒヤリハット体験箇所の登録の自動化や運転開始
終了設定の省力化、無線利用のOTA(OverTheAir)の対
応による車載端末のソフトウェア更新の自動化も実現し、SD
がより安全運転に注力できるよう業務支援いる。
 ヤマト運輸は、日立と連携し、
一元管理される運行データを可視
化・分析することにより、安全指
導長等がSDの運転特性をより
具体的に把握し、一人ひとりの運
転特性に応じた未然防止型の安
全運転教育を実現するなど、安
全・安心への取り組みをさらに強
化することが可能となる。
 なお、車載端末とシステムは、
日立のグループ会社であるクラリオ
ン㈱の先進車載技術を活用して
ヤマト運輸と日立が開発し、クラリ
オンが製造する形となる。
ヤマトの全集配車に採用される新端末システムのイージ図

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号104
トヨタ自動車㈱は、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー
連合会(東京都千代田区、川鍋一朗会長/全タク連)と、
2017年4月に開始した実証実験の成果として、東京都で
走行する500台のタクシー車両に搭載した通信型ドライブレ
コーダー「TransLog」から収集される「走行画像」「車両
データ」を解析し、その結果から得られる「レーン別渋滞情報」
を、スマートフォン向けナビゲーションアプリ「TCスマホナビ」
に配信するサービスを2018年春より開始する。
トヨタは、2002年に車載通信機(DCM)を実用化、2005
年からレクサス車に標準搭載、及びトヨタ車にオプション搭載
を開始し、エアバッグ作動時の緊急通報サービスや、ナビ地
図データの自動更新、オペレーターサービス等を提供している。
2011年からは、DCMから収集された走行データを用いた、ビッ
グデータ交通情報サービスを、「Tプローブ交通情報」して、
純正ナビゲーションシステムやTCスマホナビに提供している。
 今回、開発した「レーン別渋滞情報」は、更にそれを補完
レーン別渋滞情報…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
東京都内500台のタクシーの走行画像データから得られる
「レーン別渋滞情報」に関する実証実験を開始
するもので、「TransLog」から収集された「走行画像データ」
を、AI(人工知能)を用いて解析することにより、車線ごとの
混雑情報を提供するものである。これにより、従来の交通情
報では、道路の区間単位でしか認識できなかった渋滞状況
が、車線単位に認識でき、更には、その状態を画像でも確
認できるようになる。
 今回の実証サービスにおいて、情報の提供範囲は東京都
心部でTCスマホナビのみからの利用となるが、ユーザーの
利用状況や各種の技術的評価を行い、提供地域や利用でき
る情報端末を拡大することも検討していく。
 また、タクシーの走行画像データからは、工事規制や事故
車両の情報、路上の障害物、駐車場の満空状況や道路沿
いの店舗の混雑状況など様々な情報が得られ、トヨタは、そ
れらの情報をリアルタイムに抽出し、新たな交通情報サービス
して提供する開発を進めていくしている。
 三菱ふそトラック・バス㈱(MFTBC)は、川崎工場第一
敷地(神奈川県川崎市大倉町)に新たに約118億円の投
資を行うと発表した。川崎地区3拠点に分かれている事業を
工場投資…三菱ふそう
話題のニュートラック新製品情報・新情報
川崎工場に新たに118億円を投資
川崎工場第一敷統合で本社と生産設備の業務効率化を推進
川崎工場第一敷地に集約し、本社、研究開発および設計
機能を収容する「プロダクト・センター」を新たに建設する。ま
た同時に、工場内の既存設備の大規模リニューアルも行う。
レーン別渋滞情報のスマートフォン表示イメージ:情報を表示可能な場所に近づくと、渋
滞しているレーンを色で表示し、音声で知らせて、タプすると映像がポップアップする
工事規制レーン情報のスマートフォン表示イメージ:情報を表示可能な場所に、工
事中を示すマークが表示され、タプすると映像がポップアップする

TheTRUCK2017年12月号105
 ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸㈱と岐阜県の長良
川鉄道㈱(日置敏明社長)は、2017年11月6日から11
月17日までの間、岐阜県関市の関駅と郡上市の美並苅安
駅の区間で、鉄道を利用した客貨混載の実証実験を行った。
鉄道による客貨混載は中部地区では初の試みとなる。本実
証実験の検証結果をふまえ、2018年早
期に本格運用を開始する予定だ。
 郡上市は岐阜県内で2番目に面積が
広く人口密度が低いため移動に時間が
かかり、ヤマト運輸のセールスドライバー
(SD)にとって大きな負担になっており、
サービス品質を維持しながら集配の効率化
これにより、業務の効率化を図るとともに、従業員の働く環
境を改善できることになる。
 新社屋の建設を含む大規模工事は“Campus+(キャンパ
スプラス)”と呼ぶプロジェクトの一環で、三菱ふそうが推
進するダイムラー・トラック・アジア(DTA)の成長戦略である
「DTAONE」の活動のひとつでもある。この戦略はProduct
(製品)、Process(プロセス)、People(人材)の3つ
の柱から成り立ち、“Campus+”はProcess(プロセス)と
People(人材)に焦点をあてた活動である。
「プロダクト・センター」は最先端の設備を備えた5階建て
社屋で、オフィス空間の床面積は10,792㎡となる。2017
年11月下旬から建設を始め、2018年末完成を予定してい
る。その他、第一敷地内では従業員の業務効率向上のため
既存設備のリニューアルが進められており、既に約5,300㎡
が完了している。
 MFTBCのマーク・リストセーヤ代表取締役社長CEOは、
「商用車メーカーとしての長年にわたる歴史と、電気トラック
のフロントランナーを走る三菱ふそうは優秀で意欲的な従業員
に支えられています。“Campus+”は、個人の能力を最大
に引き出せる労働環境を作るための人材に対する投資です」
と述べている。
 MFTBCは、今後も川崎工場第一敷地の生産設備の拡張
と近代化に多額の投資を続けていくしている。2017年2月
には、開発と生産機能の一部を担っていた川崎工場第二敷
客貨混載…ヤマト運輸・長良川鉄道
話題のニュートラック新製品情報・新情報
長良川鉄道とヤマト運輸が鉄道利用の「客貨混載」を開始
鉄道で宅急便を輸送する実証実験
を図ることが課題となっていた。一方、長良川鉄道は、第三
セクター鉄道として沿線住民の移動という生活の基本を守ると
ともに、観光振興等地域活性化の役割を担っており、地域
のインフラとして路線を維持し続けるため、経営基盤の強化を
進めている。
地(神奈川県川崎市西加瀬)の売却契約を締結し、2019
年までに全施設を第一敷地に移管をすべくプロジェクトを進め
ている。第二敷地の生産工程は第一敷地に建設する新工場
に移管予定で、2018年末の生産開始を計画している。
 新工場では「FactoryoftheFuture(未来の工場)」のイ
ニシアティブの下で、オートメーション、ロボティクスとITシ
ステムに対し、インダストリー4.0への対応に向けての投資を
行う。工場内の自動搬送機、次世代オートメーション、生産
従事者を支援する作業ロボットの導入、および工場内外の全
ての物流を管理するITシステムが含まれる。2018年までに
24億円を投資し、生産効率を向上することで年間13億円
のコスト削減を目指している。
 MFTBCのスヴェン・グレーブレ副社長兼生産本部長は、
「川崎工場は三菱ふそうの主力工場です。工場の自動化、
ロボティクス、ITシステムへの投資を通じて、生産効率を高
め、製品品質を向上し、電気トラックの量産に備えます」と語っ
ている。
2018年末に完成予定の新社屋「プロダクト・センター」予想図
「客貨混載」の実証実験を行う長良川鉄道長良川鉄道車内の宅急便スペース

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2017年12月号106
 このたび、ヤマト運輸と長良川鉄道は、鉄道を利用した客
貨混載輸送の実証実験を行い、SDの労働環境の改善や
環境負荷の軽減といった効果を検証し、2018年早期に無
人での客貨混載の本格運用を目指すことになったもの。
 実証実験の概要は、ヤマト運輸岐阜ベース(関市)から郡
上支店(郡上市)間の幹線輸送の一部を、長良川鉄道の列
車で代替輸送。実証実験の期間中、両社は、荷物の積み
降ろし動線や輸送中の固定方法といった安全対策の検討や
ヤマト運輸のSDの労働環境の改善、また環境負荷の軽減
といった効果を検証する。実証実験中は、駅や列車内にお
ける旅客等の安全確保のため、ヤマト運輸のスタッフが列車
に同乗する。
 住友重機械工業㈱(別川俊介社長)は、開発を進めていた
自動車ボディ・フレームの製造システム(STAF)の評価設備
を完成させ、2017年9月20日に竣工式が行われた。
 STAF(SteelTubeAirForming)は、鋼管をプレス機
の金型にセッし、「通電加熱→高圧空気注入→成形→焼入
れ」の工程で成形加工するシステムである。フレームを組み立
てる際に不可欠な
フランジ(つば状
の部品)を、フレー
ムと一体で成形
できることが特長
で、従来工法のよ
うにフランジを後か
ら溶接で接合する
必要がないため、
フレーム剛性の向
上、工程の簡略
化が可能になる。
 横浜ゴム㈱は2017年10月13日に創立100周年を迎
えた。100年にわたり、同社の発展を支えててきたユーザー
をはじめ、すべてのステークホルダーの方々に心より感謝する
とコメントした。
 横浜ゴムは1917年10月13日、横浜で創業。その後
の100年は困難と挑戦の歴史であり、創立直後の関東大
震災や第二次世界大戦で2度工場を消失しながらも再建し、
その後の40年の不況、バブル崩壊、リーマンショクなどの
厳しい社会情勢も不屈の精神で立ち向かい乗り越えてきた。
して創立から脈々と受け継がれる技術の研鑽と時代を“先
製造システム…住友重機械
創立100年…横浜ゴム
話題のニュートラック新製品情報・新情報
話題のニュートラック新製品情報・新情報
自動車ボディ・フレームの大幅な軽量化を実現する
製造システムの評価設備が完成
横浜ゴムが創立100周年を迎え
さらに信頼される企業としての成長を…
らに、フレームの剛性を高めることで、材料の厚みを薄く
ることも可能で、従来の構造と比較して約30%の軽量効果
が得られる。
 すでに車体部品への適用に向けて自動車メーカーと検討を
開始しており、2018年度からの車体部品適用化に向けた
設備の導入を目指している。住友重機械は、STAFを次世
代に向けた成長事業として位置づけ、2024年に100億円
の売上を目指してる。
自動車ボディ・フレームの製造システム(STAF)の評価設備シンプルな製造工程を実現させている

TheTRUCK2017年12月号107
駆ける”商品を次々と世に送り出すことで事業を拡大し、今は
社員数25,000人のグローバル企業に成長している。
 100年の中での横浜ゴムの代表的な“先駆け”は、日本
初のコードタイヤ「ハマタウンコード」(1921年)とスノータイヤ
「Y-29」(1954年)、日本のラジアルタイヤ時代を切り拓いた
「G.T.スペシャル」(1967年)、スポーツラジアルという新ジャ
ンルを立ち上げた「ADVANHF」(1978年)、環境性能をメ
ンテーマとした「エコタイヤDNA」(1998年)などがある。ま
た、早い段階からタイヤに特性を持たせてカテゴリー分けする
「ブランド戦略」(1978年〜)を展開している。タイヤ以外で
も船の接舷に使用する大型空気式防舷材(1958年)、国
が初めて定めた耐久試験(JISA5757)の最高レベルに唯一
合格した建築用シーリング材(1975年)、ヘッドスピード理論
など科学的なアプローチを導入したゴルフブランド「PRGR(プ
ロギア)」(1983年)など業界初の商品を数多く開発しいる。
 横浜ゴムは100年に渡って受け継がれてきた先進的な商
品開発力と世界トップレベルの技術力をらに磨くと共に、次
の100年も創業の精神を忘れることなく挑戦し続け、世界中
のユーザーに信頼される企業として成長し続ける、している。
横浜ゴム創立100周年のロゴマーク
横浜ゴムは高品質なタイヤを市場に投入し続けている。写真は最近発売されたピッ
クアップ向けマッドテレーンタイヤ

TheTRUCK2017年12月号20
今年10月1日㈰竣工した㈱小川建機の新社屋
(埼玉県日高市)
二段積みされている多軸トレーラー。奥の建物が新社
屋向かい側の整備工場
ユーザー訪問 ㈱小川建機
片目失明を“天運”と
受け止める怪物男
レーン事業と
特殊輸送で関東の雄に…
筆者の記者生活は大学3年からなので約50年。これまでに一体どれだけの方とお目にか
かったことか。その数を競ってもあまり意味はないが、記憶に残る出会いは意外に少ない。
今回訪ねた小川建機(小川貴之社長)創業者の小川由行会長は、私と世代が近いことや、
生まれ育ちに共鳴するところが多く、終生忘れることの出来ない取材になった。太平洋戦争
で生き残った筆者の父は、広島の原爆を潜り抜けて帰郷、筆者と妹が生まれた。警察官上
がりの父は曲がったことが大嫌いで、子供には倫理観を徹底的に叩き込んだ。筆者が悪の
道にハマらなかったのは親父の家庭教育が影響しているように思う。小川会長の父君も子供
達が自立出来るように、経済の仕組みを体験的に教え込んだようである。子供心に憧れた
ブラジルへの夢は社会に出る前に霧散し、自動車整備工場に入るが間もなく怪我で左目を
失明する。金を貯める為にダンプの運転を始めるが、事故を起こして腕を骨折する。しかし、
そのどん底でクレーン事業に活路を見出して大成功を治める。このサクセスストーリーを
小川会長は「災い転じて福となす」と笑い飛ばす。70歳近くなった今でも「他人様の二倍働け」
という父君の言葉を実践している。小川会長は世にも稀な孝行息子である。(秋林路)
小川由行
㈱小川建機
取締役会長

TheTRUCK2017年12月号21
「ラッキーな人生」と言われるが…強靭な精神力の小川由行会長
創業して数年後には相当な台数のクレーンを整えた
労働と報酬を
 教え込んだ父君
□秋林路 私が新聞記者になっ
て間もなくの頃(昭和45〜6年)、
大型クレーンを沢山保有している
内宮運輸機工さん(東京・江戸川
区)を取材しました。その時、日
本にはまだ1台しかない超大型ク
レーンの説明を受けました。当時
でもビックリするほど高額なクレー
ンでしたが、「このクレーンを導入
したことで、大型クレーンを必要と
する仕事は100%当社が受注でき
る。と説明されました。その時、
特殊車両にはそうゆう役割がある
ことを初めて認識しました。乗用
車は既にモータリゼーシンに突入
して、量産によるコスト低減を進
めていましたが、商用車にはそう
いう世界があることを知って大い
に興味をもったものです。小川建
機さんは、同様の世
界で大きく発 展されま
したので、会長にお
目にかかるのを楽し
みにしておりした。
 先ず、生まれ育っ
た辺りのことからお
聞きしたいのです
が、生家も本社(埼玉県日高市)
の近くなのですか。
小 川 はい、日高市の北に
なりますが、鳩山町というところで
す。父(小川武雄)は大きな農業
を営んでいて、母(小川志ず恵)
は武家屋敷の長女です。私は5

TheTRUCK2017年12月号22
自社で使用する目的で製作した重量品用トレーラー(小川建機はメーカーとして車検証に記載されている)
ユーザー訪問 ㈱小川建機
人兄弟の末っ子です。
□秋林路 私も広島の農家の次
男坊ですが、会長とそれほど年
齢差はないので、戦後の貧しい
時代に育ったのは同じだと思いま
す。ご母堂の武家屋敷というの
は、歴史がありそうですね。
■小 川 はい、大きな屋敷で
今でも柔道・剣道の道場が残って
いますし、敷地には土塀の蔵が
幾つもあって、刀剣類も保存して
いました。
□秋林路 それは大変なお家柄
です。父君もそういう家から嫁を
迎えた訳ですから、相当知名度
のあった方ですね。
■小 川 母はまだ存命で来年
の1月28日に100歳になります。
私は1日違いの29日生まれで69
歳になります。父は大きな農家で
すが、農協とかPTAとかの役
員を多くやっていて、家に居るこ
とが少なくて、農業は母に任せっ
りで、よく夫婦喧嘩をしていまし
た。母の仕事が大変なのは分か
るので、子供達はよく母の手伝い
をしていました。ただ、父は新し
い物好きで、バイクや三輪車など
近隣では一番早くに買っていまし
た。私が自動車好きになったのも
そんな親父の影響があります。
□秋林路 私の生家も昭和35
年頃には耕運機を買っていました
が、それよも少し早くオート三輪
など買っておられると思います。
■小 川 子供の頃の私は、エ
ンジン音が大好きで、農協には、
ろがねやダイハツ、マツダなどの
乗り物が沢山置いてあるので、
放課後は入り浸っていました。す
ると農協のお兄さんが乗せてくれ
るので嬉しくてたまらなかった事を
覚えています。それから家には
耕運機がありました から、荷車を
繋ぐと自分で乗って運転できる。
家は学校の近くでしたから、それ
に子供たちを乗せて送っていまし
た。小学3〜4年の頃だったと
思いますね。
□秋林路 父君は子供たちとど
のよに接しておられたのですか。
■小 川 甘やかす事はしな
かったです。夏になると自転車で
アイスキャンディを売りにくるので
すが、お金を持っていないから買
えない。 すると、父は芋畑の畝
の草取りを命じて、一筋取ったら
幾らと決め小遣いをくれていまし
た。子供はアイスキャンディを食べ
たいので一所懸命草取りをする訳
です。他にも養蚕業を営んでいた
ので、桑の木を育てるのに直径と
深さ1m位の穴を掘るのですが、
ひと穴掘ると幾らと決めて子供に
掘らせる訳です。子供達は小遣
いが欲しいので一緒懸命に穴を
掘る訳です。
□秋林路 それは労働と報酬を
子供に教えておられたのですね。
■小 川 他にも中学になるとパ
イロットの万年筆が欲しくなる。
すると小さなうさぎを買ってきて 育
てさせる。1年そこそこで大きくな
るので、食用に出すと一羽500
円位で買ってくれる。二羽売ると

TheTRUCK2017年12月号23
車両置き場で待機している最新鋭のクレーン車
車両置き場で待機している最新鋭のトレーラー
1000円になるから万年筆が買え
る。高校になるとオートバイが欲し
くなる。すると子豚を沢山買って
来て育てさせるのですが、その豚
は途中で病気になって全滅してし
まってオートバイは買えなくなって
しまったんです。でも親父は黙っ
てオートバイを買ってくれたんです
よ。あの時の嬉しさは生涯忘れま
せん。進路については言及しな
かったけど、「お前は天才ではな
いのだから他人の二倍働け。そ
うすれば必ず飯は食えるようにな
る。と口癖のように言ってました。
□秋林路 子供の頃に、進路は
考えていたのですか。
■小 川 実は生家の近くの人
がブラジルに移住していて、私が
小学3〜4年の頃に戻って、あち
らの農業について「種は飛行機で
空から蒔くし、収穫は丸ハンドル
の大きなコンバインに乗って一気に
刈り取る。と話してくれました。そ
の時の印象が強烈で、何でもい
いから大きな事をやらないとお金
は残らない。私は勉強してブラジ
ルに行こうと決めていました。だか
ら高校では農業を勉強していたん
です。
□秋林路 しかし、現実には行
かなかった…何故ですか?
■小 川 実は、高校を卒業す
る間際になってブラジルに移住し
ていた人たちが郷里に戻ってきた
んです。あちらは作つけも大規模
ですが、悪事も大掛かりで、農
作物を収穫する時期になると、窃
盗団が大勢で押しかけて来て、
持ち去ってしまう。苦心して育て
ても横取りされたのでは生計が立
たないという事でした。
 それでブラジルに行く夢は敢え
無く消えてしまった訳です。
□秋林路 それはショックでした
ね〜。でも結果的には行かなく
良かったという事ですね。
■小 川 はい。耕運機を含め
てエンジンが載っている物が好き
だったので、大型車の整備工場
に入ったのですが、仕事中に金
属が左目を貫通して、二度手術し
たけれども失明してしまったんで
す。それが21歳の時ですが、
災い転じて福となす。私の大きな
転機になりました。
ダンプ事故で掴んだ
 クレーン事業
□秋林路 片方だけと言っても失
明ですから大変な災いですよね。
■小 川 実は、退院する時
にはまだ大型運転免許の有効期
限が残っていましたので、お金を
貯めるために大型のダンプカーを
買ったんです。
□秋林路 当時は「ダンプを10
年やれば家が建つ」と言われるほ

TheTRUCK2017年12月号24
長大な風力発電の支柱部の輸送
風力発電の支柱部(一部)の輸送
据え付け現場に到着した長大で特殊形状のブレー
ユーザー訪問 ㈱小川建機
ど運賃が良かったようですね。
■小 川 そうです。今では厳
しく取り締まられていますが、10ト
ン車に40トンも積 載して運 んでい
たので儲かる訳です。ところが私
は、片目しか見えないので、運行
中に乗用車と接触しそうになり、
左に急ハンドルを切ったところ、高
さ10mの路肩下に転落してしまっ
たんです。
□秋林路 よく無 事で戻 れました
ね。
■小 川 車内で腕は骨折した
のですが、大事には至らなかった
のです。それで、何はともあれ、
ダンプを引き上げなくてはなりませ
んから、クレーン車を頼んだので
すが、当時のお金で7万5000
円の請求が来ました。その時に「こ
れが人生を賭けた俺の仕事だ」
閃いたんです(笑)
□秋林路 災い転じて福となす
です。クレーンの代金が予想以
上に高かったということですね。

TheTRUCK2017年12月号25
ブレード相吊り開始
組立て作業に使用するクレーンの輸送
到着した風力発電の発電装置部分約85t
クレーンの移動
■小 川 私はダンプで一日4
万円位は稼いでいましたが、その
倍近い金額です。腕は折れてい
ましたが、クレーンが頭から離れ
ない訳です。それで、昭和48年
に結婚して、中古のクレーン車を
1台購入して小川建機を立ち上げ
た訳です。ただ1台では仕事にな
らないので、その後半年でクレー
ンを3台購入しました。
□秋林路 結構な投資額になり
ますよね。仕事は幾らでもあった
のですか。
■小 川 それまでダンプの運転
手をしていた訳ですから、営業力
もありませんでしたが、勇気を出
して、鉄建建設と西武建設さん
のジョイントベンチャーが進めてい
る下水処理場の建設現場に名刺
を配りに行ったんです。ところが、
「ちょうど現場が終 わった ばかり
で、直ぐに仕事はないが、近くで
新しい現場が始まるので、名刺を
置いてゆけ」と言われました。

TheTRUCK2017年12月号26
製作中のバギー(フレームが完成、床を張ってエンジンを搭載する段階)
運転席に座った小川会長(2017年9月15日)
完成した小川会長手造りのバギー
アメリカ最大のバギーレースに参戦(40歳頃、ラスベガス)
ユーザー訪問 ㈱小川建機
□秋林路 飛び込み営業ですよ
ね。なかなか勇気が必要です。
■小 川 こちらも必死でしたか
らね。でも、そのベンチャーが当
社のクレーンを使ってくれたんで
す。それも大きな現場でしたから、
3年間も続きました。クレーンも3
台では足りないので、増やしまし
たが、現場が終わる頃には支払
いは完了していました。
□秋林路 でも、素人営業で現
場に飛び込んで3年間の仕事を
貰ったのは奇遇でしたね。
■小 川 そういうラッキーな一
面が私にはあるんですよ(笑)。現
場は終末処理場の建設でしたが、
使用する鉄筋が太くてクレーンで一
本ずつ吊り上げる必要があったの
で、3年間も続いたんです。それ
が、小川建機のスタートです が、
当時は全体にクレーンが足りなく
て、昼は処理場の建設現場、夜
は鉄道の現場と、昼夜を問わず仕
事がありしたので、そういう面も
ラッキーでした。
自社使用の特殊
 トレーラーの製作を開始
□秋林路 ダンプの事故がキッ
ケでクレーン事業に移った訳です
が、特殊トレーラーの輸送を開始
したのはいつ頃からですか。
■小 川 平成7年です。既に
クレーンは沢山保有していました
が、物を現場に輸送する仕事も
依頼されるようになりした。それ
で輸送部を発足しました。当時
は特殊トレーラーのメーカーは何
社かありました が、結構高額 でし
た。それで、当社で使うレーラー
は自分で造ろうと製造も始めたん
です。
□秋林路 確かに、トレーラーは
複雑なエンジンは搭載していませ
んが、ナンバーを必要とする車両
ですから、それなりの技術が必要
だと思いますが…。
■小 川 俺なら造れる、とい
う自信があったのです。といいま
すのは当時アメリカで流行ってい

TheTRUCK2017年12月号27
スタート前の小川会長
た大型の“フォーミュラーバギー”
を趣味で作って走っていたからで
す。これは高度な技術が必要で
す。ですから、車体は大きくても
特殊トレーラーを製作する自信は
あったのです。
□秋林路 自分で使うレーラー
は自分で造る、という事ですから
ユーザーがメーカーの役割も兼ね
る事になります。極めて稀なケー
スですね。
■小 川 実は、当時はラクタ
の能力が足りなくて、トレーラー
も積載能力が限られていたんで
す。ところが、当社が輸送部をつ
くる頃になって第5輪荷重が20
〜23トンの大きいラクタが出て来
ました。だから積載能力の大きい
レーラーを内製し、他社を差別
化することも出来たのです。
□秋林路 道路を走る車両です
から、テストデータとか、登録も必
要ですよね。
■小 川 そういう点は日産
ディーゼル(現在のUDトラックス)
さんが全面的に協力してくれまし
た。ですから、16輪の50トン積
載車なども自社生産できたので
す。ちょうど過積載の取り締まり
が厳しくなった時期でしたが、当
社製は積載能力が大きいので過
積載にならない。過積載は荷主
責任も追及していましたから、大
きい荷物は当社に殺到したんで
す。これもラッキーな 一 面 でした 。
□秋林路 私は殆どのトレーラ
メーカーは訪ねた筈ですが、小
川建機さんがレーラーメーカーだ
という認識はなかった
です。
■小 川 それは
他社に販売していな
かったからです。車
両は使っていると壊れ
るしメンテナンスも必
要です。まして他社
が製作した車両ならク
レームをつけたくなる
のが人情です。でも
他社に販売しなけれ
ば文句を言われる事
もない訳です(笑)
これまでに20 数台の
トレーラーを 造りまし
たが、構造的に弱い
部分も判りますから、使い方も壊
さないように使うし、壊れても自分
で造った車両ですから、修理も容
易にできます。ですから、一般に
も当社がトレーラーを製作してい
る事は知らないと思います。
□秋林路 使用者が自分でレー
ラーを造るメリットはどういうところ
にあるのですか。
■小 川 現在でも特殊トレー
ラーは非常に高価です。それは
量産する程の需要がないので、
開発費や諸経費が全てオンされる
からです。でも、当社で製作す
れば材料費だけで済みます。社
員にも経験と知識が備わるのでプ
ライドが出来てきます。ローンを組
まないので月々の車両費もかから
ない。それは大きなメリットです 。
□秋林路 トレーラーは全体が鉄
の固まりのような物ですから、原
価も安いと思います。
■小 川 車軸とかキングピンと
か、機能部品が幾つかあります
が、トレーラーメーカーから購入
する事を考えれば大幅なコストダ
ウンで す 。
□秋林路 それは凄いことで
す。ユーザー自身が物づくり出来
れば輸送業者の立場が有利にな
るのは当然です。
■小 川 当社のレーラーの車
検書のメーカー欄に「小川建機」
と書いてあるので、荷主がビックリ
した事がありした(笑)
事業発展の
 要因は“地の利”
□秋林路 御社は創業して40
数年ですが、一番の発展期はい
つ頃ですか。

TheTRUCK2017年12月号28
過酷なパリ〜北京レースにはトラックで参戦
途中で壊れてもドライバー自ら修理しなければならない
ユーザー訪問 ㈱小川建機
■小 川 浮き沈みは色々あり
したが、やはりここ20年間が一
番良かったですね。中でもこの10
年で規模は3倍になったと思いま
す。大型クレーンも増やしたので、
この本社だけでも550トン吊りが4
台あります。これは国内でも最大
です。
□秋林路 クレーンのメーカーと
機種選定はどうやって決めるので
すか。
■小 川 やはり仕事の内容で
す。例えば、現場が
タダノの○○型じゃ
ないと使えないとなれ
ば、タダノの製品を
購入するしかない、
という形で増える訳
です。
□秋林路 最近のメ
ンになる仕事はどん
な分野ですか。
■小 川 ここ10年間で申し上
げますと、風力発電の関係が一
番です。とに、この仕事はブレー
トの輸送から据え付け、メンテナ
ンスまで全てを請け負っています
から、受注金額も大きい訳です。
□秋林路 風力発電は地球温暖
化対策もあって国も積極的に取り
組みましたから、大きな市場になり
した。
■小 川 最近は風力発電の
他にも橋梁の輸送が伸びていま
す。橋はまだ暫ら続くと思います。
□秋林路 重量品輸送も時代と
共に変化していると思いますが、
小川建機さんが常に業績を伸ば
している一番の要因は何ですか。
■小 川 “地の利”だと思いま
すね。この事業は車両置場として
広い敷地が必要です。幸いこの
地域(埼玉県日高市)は、広い土
地が沢山あるので、幾らでも事業
が拡大できます。
□秋林路 現在、車庫用地は
どれくらい所有しておられるので
すか。
■小 川 7ケ所で約3 万㎡で
す。本社の社屋も駅(JR川越線
の武蔵高萩)から歩いて来れる位
置に今年10月1日に完成しました。
□秋林路 この特殊トレーラーは
メーカーも限られていますが、ど
んな事を期待しておられますか。
■小 川 私はレーラーを製作

TheTRUCK2017年12月号29
パリ〜北京レース。ミショトラブルの修理の様子
俗に「飛行機の墓場」と称される場所で記念撮影砂漠で育ったスイカの甘さは生涯忘れられない
して来た人間だから原価が分か
るんですよ。だからユーザーの立
場からすると何でこんなに高いの
か、と思うけど、台数がそれほど
出る訳でもないから、高く売らざる
を得ないのかも知れないね。
□秋林路 物の価値は機能とか
役割と関係があるので、判断が
難しいですよね。
■小 川 そういう事です。結
局、車両価格は高くても、荷主
が仕事に見合う代金を支払ってく
れれば、成り立つ訳です。
□秋林路 とに小川建機さんの
場合は設備をどんどん増やして来
られたので、仕事も集中するので
しょう。
■小 川 実は、ひと昔前まで
当社のような会社は関東以北に
は殆どなかったんです。東北の
仕事でも関西からフェリーで仙台
あたりまで来て仕事をするので、
コスト高になります。ところが、
当社は東北でも距離的に有利で
すから、関西の業者より3割安く
ても利益が出せる。そうなると遠
方の業者は太刀打ちできなくなる
訳です。
□秋林路 確かに大きな車両で
すから、遠方だと移動にコストが
かかります。
■小 川 当社は24軸のユ
ニットキャリアも所 有していますか

TheTRUCK2017年12月号30
ユーザー訪問 ㈱小川建機
ら、どんなニーズにも対応できます
(笑)。
□秋林路 私は、物づくりの 立 場
でトレーラーや特装車のメーカー
を広く取材して来ましたが、最近
少し疑問に思っている事があり
す。例えば、トレーラー型の車両
運搬車はメーカーがほぼ一社に絞
られていますから、生産が集中し
て納期がとんでもなく長くなってい
ます。他にも同様な車種は多い
のですが、生産能力が小さいと
生産が間に合わなくなってしまいま
す。ところが、バブル崩壊やリー
マンショックのようなトラブル が発
生すると景気が低迷して、需要
が落ち込んで経営を維持できなく
なってしまいます。これはメーカー
にとってもユーザーにとっても不幸
な事です。この分野はほぼ成熟
産業になっていますから、新しい
技術もそれほど出て来ないと思う
ので、ユーザー自身で経営できる
メーカーを立ち上げれば良いので
はないかと思います。場合によっ
てはユーザーが共同出資してメー
カーを買収しても良いのではない
かと思います。
■小 川 トレーラーに限って申
しますと、日本には優良な部品が
ないんです。だから輸入すること
になるのですが、日本だと高くな
るので、中国とかで欧州の部品を
輸入することになるんです。欧州
製品はグローバルに世界中に出て
いるけれども日本製は無いに等し
いから戦えない訳です。
□秋林路 なるほど、ユーザー
が物づくりに 乗り出す にしても条件
が悪いという事ですね。そういう
意味では日本のこれからの物づく
りは相当厳しい時代に直面するの
ではないかと思います。ただ、幸
い先進国の仲間入りをしているの
で技術力は持っています。この力
を発揮するのは必ずしも日本国内
に限らなくても、これから伸びる可
能性の高いASEANに向けても
良い訳ですよね。
■小 川 実はそういう事を想定
して、いまASEANから5人の研
修生を迎え入れているんです。
我々が進出すると抵抗があります
が、日本で学んだ研修生が母国
に戻って事業を起こせば抵抗はあ
りま せん 。我々 はその ノウ ハ ウと
技術を提供する形で支援する事
を考えています。
□秋林路 ASEANは10カ国あ
りま すが 、色々な面で大きく立ち
遅れています。その意味では期
待もあるけど不安も大きいのが現
実ではないかと思います。
■小 川 当社は輸送を始めた
時に、廃車されるレーラーを買っ
てきて、自分で修復して使うことか
ら始めました。勿論、他社の人の
何倍も働きました。その若い時分
の経験が後になって活きてくるん
です。
□秋林路 昔から「餅は餅屋」
いう言葉があって、専門分野はお
任せという考え方があります。
■小 川 基本はそういう事だ
けれども、本気で物づくも繰り返
し同じことをやっていると、自然に
出来るようになるものです。溶接
一つにしても“音”で上手に出来
たがどうか分かるようになるんで
す。重量品輸送の良いところは、
トラクタだけ買えば 良 い。トレー
ラーは荷物に合わせて自分でも造
れるところです。一般の運送は、
荷台も一緒に買わないと仕事にな
らないですからね。
趣味と実益を兼ねた
 ラリー参戦
□秋林路 トレーラーをご自身で
製作されているので、その点は
説得力があります。ところで、一
代でここまで築き上げるのは大変
だったと思いますが、趣味やスポー
ツはいかがですか。
■小 川 ゴルフは一時期やっ
たけれども、片目だからグリーンの
距離もアップダウンも分からない の
で、パターが入らない。結局諦め
ました。徹底して打ち込んだのは
自動車のラリーです。
□秋林路 パリ〜ダカといったラ
リーですか。
■小 川 私はパリ〜北京です
が、最初はバギーです。国内で
は河原で走っていたのですが、
規制が厳しくなったので、仙台の
利府町という場所に谷間を利用し
た一周1㎞位のバギー専用コース
を作って走っていました。
□秋林路 バギーはテレビでしか
観たことないですが、アップダウン
の激しいオフロードを走るレースで
すよね。

TheTRUCK2017年12月号31
トンネル内を輸送する風力発電のブレー(羽根)部分
■小 川 そうです。でも私は
走るだけじゃなくてバギーの製作も
やっていました。
□秋林路 手造りですか。
■小 川 そうです。パイプで
フレームを作って床を張り、エン
ジンとッションを載せて駆動系か
らタイヤを回す。オフロードです
から、長尺のサスペンションを14
本も使って、床を高くするのです
が、全て手造りですから思い通り
にはいかない。それも面白いの
です。
□秋林路 バキーは海外でも
走ったのですか。
■小 川 はい。印象に残って
いるのは、アメリカのラスベガス
で開催される「ミント400」です。
世界中から大型の手造りバギー
が持ち込まれて、一周100マイル
(約160㎞)のコースを4周する
過酷なレースです。コースは石こ
ろだらけですから、床が低いと走
れない。だから長尺サスペンショ
ンで高くするのですが、エンジン
とミッシンの組み合わせとか、そ
れぞれ創意工夫して参戦するの
で、そういう車両を見るのも楽し
いんです。
□秋林路 パリ〜北京はバギー
ではないですよね。
■小 川 パリ〜北京はトラック
です。大変過酷なラリーで、コー
スを外れると命取りにもなりかねま
せんからチームを組んで走ります
が、車両が壊れても自分で直す
しかないから、目的地に到着して
も休息している訳にはいかないん
です。
□秋林路 パリ〜ダカは日野自動
車が菅原親子で参戦しているの
で、毎回記事に取り上げています
し、トラックショー説明会の記念講
演に菅原義正さんに来て頂いた
事もあります。どういうキッカケでラ
リーを始めたのですか。
■小 川 2002年と2003年の
パリ〜ダカで、篠塚建次郎さん以
来日本人2人目の総合優勝を果
たした増岡浩さんの出身地がすぐ
近くで、彼は私よも10歳下だけ
れども、子供時分には川でオフロー
ド遊びした仲です。そんな事もあっ
て、パリ〜北京に参戦することに
なったのですが、とても良い経験
になりました。砂漠の真ん中で食
べたスイカの甘さが忘れられませ
んね(笑)。
□秋林路 ラリーに参戦している
時は仕事はお休みですか。
■小 川 会社は動いているけ
ど、私は2週間から一ヶ月半位も
休む事になります。でも普段は仕
事を終えてからラリーの車を作っ
ていましたから夜中2時、3時に
なることも普通でした。他人様の
二倍働いて来たので、不規則な
時間には慣れているんです。
□秋林路 自社で使用するレー
ラーも手造りですから、趣味と実
益を兼ねているという事にもなり
す。会社はご子息が継いでおら
れますし、社屋も新しくなって順
風満帆ですね。
■小 川 いえ、まだ課題も沢
山あります。しかし、ここまでは
恵まれた人生だったと思っていま
す。これを人徳するなら両親に感
謝です。
□秋林路 私も70歳にして課
題山積です。第4次産業革命
とも言われていますが、自動車
のEV化も急速に進むと思います
し、AIの進展でこの先の変化も
予想出来ません。お互い健康に
留意して活動したいものです。本
日はお忙しいところ有り難う御座
いました。