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新型コロナ禍で多様化する”路肩”マネジメントーテック・データ”執行”の3点セットが新潮流?!

月刊ITV 2021年5月号

発行:令和3年5月1日
発行所:(株)日新(HP)
執筆:大島春行・大西徳・伊藤慎介・井上元・岡雅夫・佐原輝夫・鈴木純子・中田信哉・西襄二・宮代陽之・谷田裕子
表紙・レイアウト:望月満
記事&編集:横路美亀雄・於久田幸雄

本誌 3 月号に引き続き” 縁石“ の話題を取り上げたいと思います。新型コロナ(COVID-19)の収束が見通せず「、With コロナ」を前提とした都市生活のあり方を模索する中で、特に米国では改めて” 縁石“ マネジメントについて様々な動きがみられるようになったことが一因です。中でも、これまで取り上げたCoord 社やCurbFlow 社、Populus 社以外に新たな特色を持つスタートアップが登場していますので、今号ではそのうちの 2 社をご紹介いたします。
なお、今回から“ 縁石” を改め” 路肩“ に表現を変更いたします。米国のあるレポートの中で、”Curb“ について「車道と歩道を分ける道路上のスペース」だけでなく”Curb Line(“ 車道と歩道の間でベンチや街灯、植栽があるような路側帯全体を表す)も含むと表現されており、なるほどと思いました。より適切な表現がありましたらご教示いただきたく、よろしくお願いいたします

新型コロナ禍で多様化する”路肩”マネジメントーテック・データ”執行”の3点セットが新潮流?!

1. “ 執行 ” 能力で収益下支えを実現するAutomotus 社

【図表 1】Automotus 社の撮影画像イメージ(同社提供)

2017年末に設立されたAutomotus 社の特徴はコンピュータービジョンソフトウェアにあると言われています。例えばゼロエミッション車や商業用配送車両専用と指定された路肩の状況を撮影し、駐停車する車両を把握します。【図表1】参照。
の際、Automotus 社はヒトや車両を特定できる要素(顔やナンバープレートなど)を識別できないレベルまでリアルタイムで「ぼかし」を入れることで、個人情報保護の懸念を払しょくし、データ共有を可能にします。(「プライバシーバイデザイン」という考え方)
そして、違法な駐車であれば市当局に即時通報するとともに、当該車両に対し罰金徴収を、有料スペースに駐車した車両には駐車料金の課金を、それぞれリアルタイムで行う機能を持っている点が特徴です。【図表 2】参照

【図表 2】Automotus 社「自動執行」(Automated Enforcement)

実は、この課金・徴収機能をリアルタイムでかつ自動的に行う「自動執行」(Automated Enforcement)機能により、特に市当局は駐車違反の請求手続きや路肩駐車管理などの煩雑な作業から解放されるだけでなく、実績データも自動的に管理されるため、非常にメリットが大きいと言われています。(同社ホームページでは、“ 執行 ” の効率化効果は 500%と謳っています。)
 また、Uber などの Ride-hailing 事業者や物流・配送事業者にとっても、自社管理車両の駐停車状況がリアルタイムで通知されるだけでなく、駐車車両の料金や罰金の支払いが把握できるため、管理効率化に繋がります。Automotus 社は、この「自動執行」機能により徴収される金額の一部を受け取ることで、収益を下支えする新たな事業モデルを提唱したと言えるでしょう。
加えて、路肩の駐車スペースの空き状況をリアルタイムで事業者に提供できるため、スペース予約機能を付け加えることで事業者の業務効率化や、駐車場探しによる道路混雑を緩和する効果をもたらします。【図表 3】参照。実際に、ロヨラ・メリーマウント大学で行った実証では、データに基づき駐車ポリシーを調整することで、駐車場を探す交通量が 20% 低減したとのことです。

【図表 3】路肩駐車スペースのリアルタイム空き状況

Automotus 社は路肩に関する情報のみでなく、交通流についても撮影データを基に解析し提供することで、市の交通・道路政策に資するのみでなく、付近の小売りや飲食事業者にとっても配送効率が上がるなどのメリットを提供できるとみています。【図表 4】参照。

【図表 4】リアルタイム交通流・駐車スペース利用データ解析

Automotus 社のアプローチは、 違法駐車管理というどの都市も抱える共通課題について、 路肩マネジメントを通じて改善することを一義的に見せている点で、 非常に注目されており、ワシントン州ベルビューやイタリアのトリノなどで既に導入されています。また、昨年末にはロスアンゼルス市 Cleantech Incubator
(LACI) が 主 催 す る Market Access Program 第 2 フェーズに参加する 3 社のうちの 1 社に選定され、サンタモニカ地区で実証する「Zero Emission Delivery Zone」を技術面で主導することとなりました。EV や電動Micromobility といった手段のみでなく、交通流や路肩駐停車の最適管理、ピックアップや荷物揚げ降ろしなど全ての作業・プロセスを通じてカーボンニュートラルの実現を図るという注目のプロジェクトで、どのような成果を挙げるのか注目されます。

2. IoT 技術とグループの力を結集し新たなモデル提案ー COX2M

COX2M は米民間通信大手のCOX Comm- unications が 2018 年 3 月に設立した「商用IoT ソリューション」企業です。固定・可動、サイズの大小を問わずあらゆるモノ(Asset)にセンサーを付けて稼働状況や動きをフォロー・解析し、 効率向上やリスク・コスト低減を実現するビジネスと位置付けられており、例えば農機具大手の John Deere とも提携しています。

COX2M は現在 LOT Vision と呼ばれるIoT パッケージツールを提供しています。典型的な活用例としては、車両ディーラーや整備会社での作業管理効率化です。車両の入庫からの履歴、現在のステータスと所在場所、順調か否か、各ショップやゾーンごとの滞留時間などが可視化され、解析されることによって、効率的な運営管理が可能となる仕組みです。【図表 5】参照。

【図表 5】COX2M の LOT Vision(事業者向け管理画面イメージ)

また、作業者にとっては、車両の特定・位置確認が容易であり、迷うことなくその場所に行けるというメリットもあると謳われています。【図表 6】参照

図表 6】COX2M の LOT Vision(個人・作業者向け画面イメージ)

本年 3 月、COX2M 社はネバダ州ラスベガス市中心部において、路肩マネジメントの新たな実証実験を 6 か月間行うことになった、と発表しました。実証実験が行われる場所は、市中心部のMain Street の 1 ブロックで、6 台分の駐車スペースを利用する、という小規模なものですが、その手法・アプローチはなかなか興味深いものとなっています。

【 図表 7】に 見られる通り、2 基 の「 情報Kiosk」が路肩駐車スペースの脇に設置されています。Automotus 社と同様、このKiosk に搭載されているビデオ機能が、24 時間、道路上・歩道上の車・Micromobility・人の流れをモニ ターしています。そして駐車スペースに車両が停車すると、ビデオは車両とライセンスプレートを認識し、Kiosk に通知され、停車時間の“ カウントダウン ” が始まるとのこと。そして所定時間を経過した場合には、市当局に “ 通報 ” される、といったユニークな機能となっています。
また、同時に常時モニターしている交通流・人流データを解析し、車両情報のみでなく、交通流や歩行者数などのデータが随時表示されるサービスも行います。(市当局やモビリティ事業者などに提供されると理解しています。)

そして、Kiosk を活用するサービスとして広告掲載も可能としています。米国でのスマートシティの取組みにおいて、情報 Kiosk は、街の情報を随時検索できる情報ポータルとして広く活用されています。テキサス州ダラス市などでは、スマホを持っていない貧困地区住民への発信ツールとしても位置付けられ、都市における重要なツールとなっています。情報 Kiosk は企業や商業施設などの広告掲載をすることで、開発・設置費用を賄うケースが多いと言われています。今回の実証実験において、Kiosk にビデオ機能を内蔵することにより、情報ポータル・広告掲載と同時に活用することが可能となった点は、路肩マネジメントの事業化に向けた新たな提案といえます。

【図表 7】COX2Mラスベガス市に設置されたKiosk

3. おわりに

日本のMaaS においても、データを活用して新たなサービスを生み出し、その付加価値を使って広告などを取り込もうと努力されている事業者が多くあります。また、行政の困りごと・課題を何とか解決・改善すべく民間企業が支援するケースも多くみられます。それでも実際に収益に繋げることは大変難しく、事業化の目途がなかなか立たないのが現実であると思います。今号でご紹介した二つの事例は、いずれも、モビリティ(スマートシティ的要素も強いですが)事業における収益確保・拡大のヒントとして参考になる点が多いと感じています。
例えばAutomotus 社 のように「 執 行 」(Enforcement)機能を自動化することで、 行政の書類作成や手続きにかかる時間やコストを大幅に削減できる、というアプローチなどは、日本でこのまま適用することは難しいにしても、工夫する余地はありそうです。また、COX グループの広告活用などもアプリ上のみでなく、バス停やKiosk など日頃目にしやすい場所を活用する、という点で応用できそうな気がします。
日本でもデジタル庁が創設され DX(デジタルトランスフォーメーション)が本格的に推進される中、都市インフラにおけるビデオ・カメラ・センサー設置にあたって、路肩や交通流などモビリティにおけるデータ収集が進む可能性は大いにあると思っています。(時間はかかるかもしれませんが
…)その際に、駐停車時間や違法駐車管理といった用途と事業化・収益化の方策を予め具体化し、織り込むことにより、路肩マネジメントの事業化も可能となるかもしれません。今後の展開・取組にも期待したいと思います。

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