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高所作業車の中古車両購入時のチェックポイントと購入後の維持費は?

高所作業車の中古車両購入時のチェックポイントと購入後の維持費は?高所作業車は労働衛生安全規則で定められる「高さ2m以上の場所での高所作業」を安全に行うためにバスケット型のプラットフォーム(作業床)、作業場への昇降装置や自走可能な走行装置等が装備された特殊車両です。新車価格が高額なため購入コストを抑えるのに中古トラック販売店を利用した中古高所作業車の購入が効果的ですが、購入時のチェックポイントや購入後の維持費用などが知られていないので、具体的に紹介します。

使用用途によって異なる高所作業の種類

ひと口に高所作業車と言っても作業用プラットフォームの昇降方法で2種類、高所作業車の走行方法で3種類の合計5種類に大別できますので、高所作業車の分類を紹介します。

高所作業車は2つのタイプに分類できる

高所作業車は2つのタイプに分類できる

高所作業車の作業用プラットフォームの昇降方法は2種類に分類され、ブーム式と垂直昇降式が存在します。

ブーム式高所作業車

クレーンのように自由に旋回・伸縮するブームの先端にバスケット状の作業用プラットフォームが装着しているタイプの高所作業車です。ブームが直線的に伸縮するタイプとブームが折れ曲がることで障害物を迂回しながら作業場へ作業員を持ち上げられるタイプが存在します。

直線的な伸縮をするタイプは比較的小型の高所作業車で作業可能な高さが折れ曲がるタイプよりも低くなりますが市街地での作業などに適しています。ブームが折れ曲がるタイプは直線的な伸縮をするタイプより大型のものが多く、作業可能な高さは稼げるものの市街地での作業には向いていないと言えます。

垂直昇降式高所作業車

エレベーターのように作業用プラットフォームが上下して作業場に作業員を持ち上げるタイプの高所作業車です。直立ブームが伸縮するマストブーム式高所作業車と鉄製格子がアコーディオン上に伸縮するシザース式高所作業車が存在します。

垂直昇降式高所作業車は大型事業所や商業施設、空港や大きなホールなどの照明器具や空調設備の保守点検などのメンテナンス業務に使用されることが多く、一般的には知られていない高所作業車だと言えるでしょう。

高所作業車の走行方式は3種類

高所作業車の走行方式は3種類に分類されトラック搭載式・自走式・クローラ式の3方式が存在します。

トラック搭載式高所作業車

最も一般的な高所作業車でトラックの荷台部分に高所作業機能を架装した車両で公道を自走して作業現場へ移動することができます。高所作業機能を使用した作業時には転倒防止用の支脚(アウトリガー)を張り出し、作業を行うためベース車両よりも大きなスペースに停車して作業する必要があります。ブーム式高所作業車と種直昇降式高所作業車の両タイプが存在しますがブーム式高所作業車を搭載したものが一般的だと言えます。

自走式高所作業車

タイヤやキャタピラを使用した自走機能を搭載した高所作業車ですが公道を走行することはほとんどなく、大型事業所や商業施設、空港や大きなホールなどのメンテナンス業務に用いられるケースが多い高所作業車です。

垂直昇降式高所作業車に自走機能を搭載しているものが一般的で、ブーム式高所作業車を搭載するタイプはほとんど見られません。

クローラ式高所作業車

走破性能が高いキャタピラを高所作業車に装着したのがクローラ式高所作業車です。高い走破性を生かして不整地や軟弱路などのコンディションが悪い悪路での作業に用いられます。

電工仕様の高所作業車は絶縁仕様

高所作業車は鋼製素材で作られていますが、電気工事に広く用いられるため作業員の安全を守る絶縁仕様が電工仕様として用意されています。絶縁仕様の高所作業車はバスケット部やバスケットを接続するブーム部分にFRPで絶縁加工を施したもので、ブームは第3ブームに絶縁加工が施され絶縁加工部分は黄色く着色されているのが特徴です。

高所作業車の維持費用はどのくらい必要か

高所作業車の維持費用はどの位必要か?

高所作業車のような特殊作業車は「年間どのくらいの維持費が必要となるのか?」が気になるところですが、実は高所作業車の維持費用は驚くほどの金額が必要になる訳ではありません。

高所作業車の維持にはベース車両の車検と昇降装置の定期点検が必要ですが、中型トラックに12~20mの昇降装置搭載した高所作業車で年間175,000円から、大型で20m以上の昇降装置を搭載したものでも年間230,000円から程度の金額で高所作業車を維持できます。

高所作業車の維持費はベース車両で異なる

5つに分類できる高所車業車ですが国内で最も一般的なタイプだと言えるのがトラックの荷台にブーム式昇降装置を搭載したトラック式高所作業車だと言えます。トラック式高所作業車を維持するためにはベース車両の車検・昇降装置の定期点検をクリアする必要があります。

定期点検が義務付けられている昇降装置の点検費用の目安金額は次に挙げるとおりです。

トラック式高所作業車

昇降装置作業可能範囲
車両形式 9m未満 9~16m未満 16~24m未満 24m以上
トラック式 15,000円 20,000円 25,000円 30,000円

自走式高所作業車

昇降装置作業可能範囲
車両形式 6m未満 6~12m未満 12~20m未満 20m以上
トラック式 15,000円 20,000円 25,000円 30,000円

高所作業車の車検費用

高所作業車の車検費用はベース車両の車両区分で異なり、各車両区分ごとの車検費用は次に挙げる金額が目安となります。

・小型トラック:65,000円~
・中型トラック:150,000円~
・大型トラック:200,000円~

高所作業車の耐用年数

高所作業の法定耐用年数は新車登録から4年に定められていますので、新車購入した高所作業車は4年で資産価値が消滅します。

新車登録から4年以上経過した高所作業車を購入した場合は「法定耐用年数の20%に相当する年数」で法定耐用年数を算出しますが、耐用年数が2年(24ヶ月)を下回る場合は2年の耐用年数が適用されるので、中古高所作業車の法定耐用年数は2年と考えて良いでしょう。

通常貨物用車両であるトラックの使用限度を指す耐用年数は走行距離で示しますが、停車状態で作業を行う高所作業車の場合は昇降装置の経年劣化が先行する傾向にあると言えますので、定期的なメンテナンスを行うことで使用限度を伸ばすことが期待できます。

高所作業車の運転や操縦に必要となる資格や免許

高所作業車の運転や操縦に必要となる資格や免許は?

特殊車両である高所作業車の運転や昇降装置の操縦にはどのような資格や免許が必要となるのかも高所作業車購入を考える方にとって重要な問題です。

運転できる高所作業車は保有免許の免許区分で異なる

高所作業車はトラックの荷台部分に昇降装置を搭載した特殊車両ですが、高所作業車は該当車両の車両区分を運転可能な運転免許保有者であれば運転できます。具体的には準中型・中型・大型免許を保有していればそれぞれの免許区分で許可されている車両区分の車両を運転できます。

高所作業車の操縦には資格や免許は必要?

高所作業車の操縦には資格が必要となり作業可能範囲で求められる資格が次のように異なります。

・作業可能範囲10m未満:労働安全衛生法で定める特別講習修了者
・作業可能範囲10m以上:労働安全衛生法で定める運転技能講習修了者

ドライバーとオペレーターを兼任する場合は高所作業車の車両総重量と作業可能範囲に合致する免許や資格の取得が必要となります。

中古トラック販売店で行うべき高所作業車のチェックポイント

中古トラック販売店で行うべき高所作業車のチェックポイントとは?

新車の高所作業車は車両価格が非常に高価なため購入コストを抑えるため、中古トラックを購入するのは非常に経済的だと言えますが、コンディションの良い車両購入のためにいくつかのチェックポイントを確認する必要があります。

車両本体のチェックポイント

高所作業車の主役は昇降装置ですが昇降装置を搭載し高所作業車の移動や動力供給を行うのは車両本体ですからチェックを怠るべきではありません。

高所作業車の年式

高所作業車は年々改良が進み新しいものほど高性能になっています。また高所作業車両は作業中エンジンを停止できないため低燃費モデルであれば維持費が圧縮できるのも魅力ですので、高年式車両を選ぶことをおすすめします。

高所作業車のベース車両

高所作業車の昇降装置を搭載しているのは特別な車両ではなくトラックメーカーが製造販売する通常のトラックがベース車両となっています。エンジン性能や走行性、居住性は他の同モデルと大きく異なりませんので一般的な中古トラック購入時に行う車両確認を行います。

各部のオイル漏れや滲み

昇降装置を搭載するベース車両や昇降措置各部のオイル漏れや滲みは購入前の車両確認でしっかりチェックしておくべき重要なポイントです。ベース車両からオイル漏れや滲みがあれば車検に合格できなくなりますし、昇降装置からの場合もトラブルの原因になりかねませんのでしっかりチェックします。

PTOの起動状態

トラック搭載式高所作業車の昇降機の動力源はエンジン出力を架装装備の動力源に変換するPTO(Power Take-Off・パワーテイクオフ)で確保されています。PTOは3種類存在しますが、停車時に作業を行う高所作業車にはトランスミッションサイドPTOが採用されるので中古トラック販売店で実際にPTOの作動確認を行います。

ブームを動かしながらのチェックポイント

トラック搭載型高所作業車の多くがブーム式の車両となっていますので、ブーム式高所作業車のブームを動かしながら行う下記のチェックポイントを順追って紹介します。

・下部操作盤からの動作確認
・バスケット内からの動作確認
・緊急停止ボタンの動作確認
・サブ動力の動作確認
・安全性能の確認

1.下部操作盤からの動作確認

ベース車両に付属する下部操作盤で個別操作による起伏・旋回・伸縮の動作確認を行いレバーやスイッチ類の応答異常の有無やスイッチから手を離してもブームが流れない、右旋回・左旋回の旋回スピードが同じであることなどを確認します。

2.バスケット内からの動作確認

作業用プラットフォーム何の操作盤からも下部操作盤と同様の動作確認を行います。実際にバスケット内で確認すると首振り(スイング)動作などの細かな問題点でも発見しやすいので効果的です。

3.緊急停止ボタンの動作確認

昇降装置起動中にエンジンを停止した場合の昇降装置の状態や緊急停止ボタン起動時に昇降装置が確実に作動停止するかを確認します。

4.サブ動力の動作確認

通常高所作業車に搭載される昇降装置は、動力源トラブルによる空中での作業員閉じ込め防止策としてサブ動力源を確保していますので、サブ動力源を利用した昇降装置の作動確認も必要です。

5.安全性能の確認

作業員を高所に持ち上げる作業車である高所作業車には転倒防止用の安全装置が搭載されていますので、高所作業車を水平で平坦な場所に停車させた状態で行う安全装置の動作確認も必要です。

アウトリガーを最小幅で作動させ車両を固定後にブームを5センチほど起こし、前方にブームを伸ばします。その後ブームを左右に旋回させ旋回規制装置が起動し旋回が止まることを確認します。

ブームを最長に伸ばし最大に起こした状態から車両側面に向けブームを旋回させ倒すと角度規制装置が作動しブームが倒せなくなります。起こすことはできるのでブームを縮め再度倒すと再びある角度で停止します。

停止とブーム縮めと倒しの動作を繰り返し、ブームを最小に縮めることで地上付近までブームが倒せるかを確認します。

まとめ

高所作業車の購入は中古トラック販売店の利用がおすすめですが、特殊車両である高所作業車は一般的なトラックとは異なるので、ポイントをしっかり掴んでチェックするべきだと言えます。

高所作業車独自のチェックポイントには次に挙げる3点が挙げられます。

  • 下部操作盤・バスケット内操作盤の2ヶ所からの動作確認
  • メイン・サブ2つの動力源を使用した動作確認
  • 安全装置の旋回規制装置・角度規制装置の動作確認

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