トラック事業者の安全認定の目印Gマークとは?Gマーク認定を受ける方法やメリットとは?
倫理法令遵守が重視され企業コンプライアンスが厳しく求められる現在、輸送業務に従事するトラック運送事業者に対しても安全性確保・環境問題対策・経済効率向上・労働環境向上などを十分満足させたうえで高い輸送品質を実現することが強く求められています。かつてトラックドライバーには破天荒なイメージが付きまといましたが、現在は国内物流を支える企業戦士の色合いが濃くなっていると言っても過言ではなく、安全性優良事業所であることがトラック運送事業に大きなプラスに働きますので、トラック運送事業者に送られる安全認定証Gマークについて詳しく紹介します。
Gマークは安全認定された運送事業所に送られる安全認定証
近年「企業コンプライアンス」という言葉を頻繁に見聞きする機会が増えましたが、輸送業務に従事するトラック運送事業者に対しても企業コンプライアンスが強く求められるようになっています。
輸送業務従事者に対して求められる企業コンプライアンスは「法令遵守」と「安全性向上への取組み」で、これらの実現に取り組むことがトラック運送事業者に求められており、取り組みを行うトラック運送事業者の認定制度が安全性優良事業所認定制度です。
安全性優良事業所認定されたトラック運送事業者には認定書と共にGマークステッカーが発行されるため、安全性優良事業所認定制度はGマーク認定の通称で呼ばれるのが一般的です。
Gマーク認定はトラックの業界団体である全日本トラック協会が行う
全国で輸送業務を行うトラック運送事業者の業界団体として「社団法人 全日本トラック協会」が知られていますが、トラック運送事業者に対して安全性優良事業所認定を行っているのも全日本トラック協会です。
Gマーク認定は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関である全日本トラック協会が定めた基準を満たしたトラック運送事業者に対して行われ、2020年にはトラック協会加盟事業者の約30%に相当する25,948社がGマーク認定を受けています。
Gマーク認定を受けた運送事業所は優良事業所として大きな信頼を得られる
運送事業者に対して企業コンプライアンスが求められる背景には、荷主に対して厳しいコンプライアンスが求められていることが影響していると考えられます。依頼先がブラック企業であったと言うだけで荷主企業が激しく糾弾される現在の風潮が、ホワイト企業の証であるGマーク認定の価値を高めていると言えるでしょう。
逆説的に言えばGマーク認定を受けられないトラック運送事業者は荷主企業からの信頼を得ることが困難となり、将来的には受注量が減少することも十分考えられると言えます。
Gマーク認定は申請条件を満たす運送事業所のみ
将来的にはトラック運送事業者として運営するための必須条件になる可能性さえあるGマーク認定ですが、Gマーク認定の認定申請手続きには申請条件が設けられており全てのトラック運送事業者が認定申請を行える訳ではありません。
仮にGマーク認定申請条件を満たし申請を行った場合でも、認定を受けるためには認定条件をクリアする必要があるのでGマーク認定は簡単に受けられるものではないと言えます。
Gマーク認定の申請条件とは
トラック運送事業者が全日本トラック協会に対してGマーク認定の申請手続きを行うためには、トラック協会が定める次の申請条件を満たしていることが求められ申請条件を満たせないトラック運送事業者はGマーク認定の申請を行えません。
・トラック運送事業者として開業後3年以上経過していること
・事業用車両として5台以上保有するトラック運送事業者であること
・虚偽などの不正申請却下・認定取り消し歴から一定期間が経過していること
・Gマーク認定の偽造・変造・不正使用歴から一定期間が経過していること
過去に虚偽などの不正申請却下や認定取り消し処分を受けたトラック運送事業者は、処分から2年以上経過しなければ申請資格が得られません。また認定証・認定マーク・ステッカーなどの偽造・変造・不正使用で是正勧告を受けたトラック運送事業者は是正が確認されてから3年以上経過しなければ申請資格が得られません。
申請条件を満たし認定要件のクリアが必要なGマークは認定ハードルが高い
トラック運送事業者が安全性優良事業所であることを証明するGマーク認定の認定申請条件のハードルは決して低くないと言えますが、このハードルはあくまで申請条件でありGマーク認定を受けるためにはさらに厳しい認定要件をクリアする必要がありますので次項で紹介します。
Gマーク認定申請を行う運送事業所がクリアすべき認定要件とは?
全日本トラック協会は認定申請条件を厳格化することでGマーク認定の認定申請ハードルを引き上げていますが、申請条件を満たしてGマーク認定申請を行った全てのトラック運送事業者がGマーク認定を受けられる訳ではありません。
トラック協会が定める厳しい認定要件をクリアしたトラック運送事業者のみにGマーク認定を行うことで、全日本トラック協会は荷主企業に対するGマーク認知の信頼性を高めていると言えるでしょう。
認定要件の主な評価項目は3つ!すべての項目で高得点の取得が必要
Gマーク認定申請を行ったトラック運送事業者が全日本トラック協会が定める認定要件をクリアできれば、Gマーク認定が行われますが、次に挙げる3つの評価項目を中心に定められる認定要件をクリアするのは簡単ではないと言えるでしょう。
評価項目 | 評価内容 | 配点及び基準点 |
安全法令に対する遵守状況 | 地方実施機関の巡回指導結果や運輸安全マネジメントへの取組状況 | 40点・基準点32点 |
交通事故や違反状況 | 重大事故発生や行政処分歴の状況 | 40点・基準点21点 |
安全性への取組の積極性 | 安全対策会議の開催や運転者教育実施など自己申告事項 | 20点・基準点20点 |
Gマーク認定には上記全ての評価項目での基準点以上の獲得と、80点以上の合計点が必要となります。
3つの評価項目と併せて審査される基準も存在する
前項で紹介した3つの評価項目でトラック協会が定める点数を獲得するほかにも、Gマーク認定を受けるためには次の2つの要件を満たす必要もあります。
・法に基づく認可申請・届出・報告事項が適正に行われていること
・社会保険等の加入が適正に行われていること
Gマーク取得のメリットは?
Gマーク認定には厳しい申請条件や認定要件が設けられているため認定ハードルは決して低くないと言えますが、Gマーク認定を受けることは企業コンプライアンスを満足させられるトラック運送事業者であることの証であり荷主企業からの信頼性が高まるのがメリットです。
しかしGマーク認定を受けることで得られるメリットは荷主企業からの信頼性のみではなく、Gマーク認定にはさらに多くのメリットが存在しますので紹介します。
Gマーク取得で運送事業所が得られるメリットとは?
全日本トラック協会から安全性優良事業所としてGマーク認定を受けたトラック運送事業者は荷主企業からの信頼性が高まるメリット以外にも次に挙げるメリットが発生します。
・安全意識の向上による事故発生率の低下
・事故減少に伴う保険料低下による経費削減
またGマーク認定を受けたトラック運送事業者には次に挙げるようなメリットが制度として認められています。
①法令違反に対する行政処分の違反点数消去期間3年が2年へ短縮される
②改善基準告示により営業所間や車庫間でカメラなどを使用したIT点呼を導入できる
③低公害車導入促進補助金でのCNG車両導入最低台数が3台から1台に緩和される
④営業所間の定期便などで所属外営業所や同敷地内のグループ企業間で点呼が行える
⑤連続10年Gマーク認定されると安全性優良事業所表彰されさらに信頼性向上が行える
⑥一部の損害保険会社で貨物保険(損害保険)料の割引対象となる
⑦全日本トラック協会助成金制度で優遇対応を受けられる
⑧全日本トラック協会公式サイト内に認定事業者として掲載される
Gマーク認定を受けたトラック運送事業者は荷主企業からの信頼性が高まるメリットを含め合計11ものメリットを得ることができます。
Gマーク取得によって生じるデメリットも存在する
厳しい要件をクリアしてGマーク認定を受け2年ことの更新を続けGマーク認定を維持するために次に挙げる要件をクリアすることが必要となりデメリットが生じると捉えられるケースもあります。
・日報や点呼簿など帳票類の厳格な管理で事務業務の負担が増加する
・多忙な輸送業務のなかで安全性向上の指導教育などの時間捻出が必要となる
・安全教育や省エネ運転へのドライバーの理解と協力を得る必要がある
・日常的な安全性向上への取り組みの維持が必要となる
・Gマーク認定申請に求められる膨大な資料作成を行う必要がある
経年劣化の進んだトラックは安全運行の実現が困難?
安全性優良事業所の証であるGマーク認定を受けるためには厳しい要件をクリアする必要がありますが、経年劣化が進み老朽化したトラックでは高い環境性能・燃費性能・安全性能を実現することが困難となるためGマーク認定に不利になりかねません。
荷主企業からの信頼性を高められるGマーク認定に挑戦する際に保有車両の刷新を行うことがプラスに働くケースがあると言えます。
Gマーク認定事業所は良好なコンディションのトラック使用も求められる
安全で環境問題に配慮した輸送業務の実現がトラック運送事業者に強く求められる現在、各トラックメーカーから環境性能・安全性能を大きく改善したトラックが発売されています。
高性能な新車のトラックを導入することがGマーク認定にプラスに働くと考えられますが、高額な新車のトラックを数台導入する経済的負担は小さくないのも事実です。そこで高年式の中古トラックを多数取り扱う中古トラック販売店の活用がGマーク認定への第一歩となるのではないでしょうか?
中古トラック販売店の有効利用で安全運行を行いGマーク認定を目指そう!
安全性優良事業所の証であるGマーク認定を受けるためには申請条件や取得要件をクリアする必要があり、トラック運送事業者にはトラックの安全な運行や環境問題への取り組みが求められます。
低年式のトラックで高い安全性能や環境性能を実現することは困難であると考えられるので、中古トラック販売店を利用して環境性能や安全性能が高い中古トラックの導入を行うことがGマーク認定への第一歩だと言えるのではないでしょうか?
まとめ
認定を受けることができれば荷主企業からの信頼性を高められるGマーク認定は非常に魅力的ですが、申請条件や認可要件をクリアするハードルは決して低くないのも事実です。
しかし企業コンプライアンスが強く求められる現代の風潮を考慮すれば将来的に荷主企業がトラック運送事業者にGマーク認定を求めてくることが予想されますので次の3点をクリアしている場合はGマーク認定の申請準備は行っておくべきではないでしょうか?
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- 5台以上事業用車両を保有し開業後3年以上経過していること
- 過去に不正申請や認定取り消し、認定証の不正使用歴がないこと
- 安全性能・環境性能に優れたトラックで輸送業務を行っていること