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10トントラックとは?大型トラックの特徴や必要な免許を徹底解説!


10トントラックは、10トン車や大型トラックとも呼ばれる積載量の大きいトラックのことです。この記事では、10トントラックの規格や種類について解説します。記事の後半では、10トントラックの運転に必要な免許や、活かせる仕事なども説明しているので、参考にしてみてくださいね。

10トントラックとは?一般的に大型トラックのこと

『10トントラック』と言われても、何の重さを基準とした、どのようなトラックを指しているのか、よくわからないかもしれません。まずは、10トントラックの言葉の意味を説明します。また、2トンや4トンなど、他のサイズのトラックについても同時に説明します。

<ポイント>
・10トントラックは大型トラックのこと
・10トントラックは車両総重量が基準
・4トントラックは中型・2トントラックは小型トラックのこと

10トントラックの『トン』は車両総重量を表している

10トン車や10トントラックという言葉を使うとき、単位が表すのは車両総重量です。道路運送車両の保安基準では、車両総重量が11トン以上・最大積載量が6.5トン以上のトラックを大型トラックとしており、10トントラックはこれに該当します。ただし、この表現は公には定義されておらず、あくまで通称として使われる言葉です。

また、10トントラックと聞くと、10トン積載できるトラックだと思うかもしれませんが、これは間違いです。最大積載量はトラックのサイズによって個別に設定されるもので、6.5トン以上なら大型車と認められます。積載量は、車両総重量や車両重量、乗車定員をもとに決められており、こちらの式で求めることができます。

<大型トラックの最大積載量の求め方>
最大積載量=車両総重量−車両重量−乗車定員(一人あたり55kgで算出)

例えば、車両総重量が20トンの車両の車両重量が9トン、乗車定員が2人(110kg)の場合、最大積載量は10.89トンとなります。

まとめると、10トントラックとは大型トラック(車両総重量11トン以上・最大積載量6.5トン以上)のことで、最大積載量や車両総重量は必ずしも10トンではないということです。

2トン・4トントラックは積載量が基準

10トントラックの他に、2トン・4トントラックと呼ばれているトラックもあります。これらは、積載量が基準となっている言葉です。10トントラックとは表現の基準が異なるので、間違えないように気をつけましょう。

一般的に、2トン・4トントラックは、以下のようなトラックを指しています。

<2トントラック・4トントラックの意味>
・2トン車・2トントラック:小型トラック(積載量が3トン未満のトラック)
・4トン車・4トントラック:中型トラック(積載量が3トン以上のトラック)

(参考:公益社団法人全日本トラック協会『車両総重量と積載量』

大型・中型・小型トラックのサイズ表

トラックは一般的に、10トントラック・4トントラック・2トントラックなどと呼ばれることが多いですが、道路運送車両の保安基準では以下のように分類されています。
<表:大型・中型・小型トラックの分類>

分類 寸法(全長×全幅×全高) 車両総重量 最大積載量
小型トラック
(通称:2トントラック)
4.7m以内×1.7m以内×2.0m以内 5トン未満 3トン未満
中型トラック
(通称:4トントラック)
12m以内×2.5m以内×3.8m以内 5~11トン 6.5トン以上
大型トラック
(通称:10トントラック)
中型トラックと同様 11トン以上 中型トラックと同様

この分類では、車両総重量や積載量だけでなく、トラックの外寸(全長・全幅・全高)も分類条件の一つになっています。一方で、運転免許などに関連するトラックの区分は『道路交通法』による定義です。それぞれの免許で、運転できるトラックの種類は、後述します。

10トントラックの種類と特徴

10トントラックの中でも、形状によって主に4つの種類に分かれています。
<10トントラックの4種類>
・平ボディ
・バンボディ
・ウィングボディ
・冷凍冷蔵車

それぞれ用途が異なります。目的に合ったトラックを選ぶために、違いを理解しておきましょう。

平ボディ


平ボディとは、荷台部分がフラットで、オープンデッキ形状のトラックです。荷台部分に箱がなく、落下防止のための『アオリ』と呼ばれる柵で覆われています。軽トラックで採用されることが多く、比較的安価なので、購入しやすいタイプです。

平ボディは、バラバラの形状の荷物を運搬するときにおすすめです。天井がないため、引越し作業や工事現場の荷物など、形が決まっていないものでも積み込みやすくなっています。汎用性の高いボディタイプとして、人気があります。

ただし、平ボディはオープンデッキである性質上、荷物の落下と荷物盗難被害のリスクが高いデメリットがあります。積んだ荷物はベルトやカバーで固定できるとはいえ、外側に露出した状態です。そのため、宅配便などの重要な荷物を運ぶには適していません。

バンボディ


バンボディとは、荷台部分がアルミの箱状になっているトラックです。現在では、トラックの中で最も普及しています。大型・中型・小型の全サイズに対応しており、荷物が露出しないので、雨風から荷物を守れます。

外見は似ていますが、バンボディはウィングボディや冷凍冷蔵車とは区別されています。バンボディでは、荷物の積み下ろしは後方の扉からしかできません。また、冷凍冷蔵車のように温度管理機能も付いていないものを指します。そのため、バンボディを利用するときは、フォークリフトなどを用いて後方から荷物の積み下ろしができると便利です。食品などの温度管理が必要なものが運べないものの、その分燃費がよいメリットもあります。

ウィングボディ


ウィングボディとは、バンボディと同じように荷台部分がアルミの箱状になっているトラックです。バンボディと異なるのは、荷台の積み下ろしが後方だけでなく左右からも可能な点です。ウィングボディは、その名前のとおり、荷台の側面が鳥の羽根のように開閉します。そのため、効率良く積み下ろし作業が可能です。

ウィングボディは大型トラックで採用されることが多く、主に貨物運送業で活躍しています。バンボディの場合、奥に積み込んだ荷物の取り出しが困難だったり、人が出られなくなったりというデメリットがありました。ウィングボディは、これらの問題点を払拭するために作られています。たくさんの荷物を運搬するなら、ウィングボディのトラックが便利です。

冷凍冷蔵車


冷凍冷蔵車は、荷台に冷蔵庫や冷凍庫のような機能が付いたトラックです。見た目はバンボディと同じような形をしています。通常のバンボディは、冷凍食品や生鮮食料品の運搬に不向きですが、冷凍冷蔵車なら品質を保った状態で運ぶことができます。

現在の冷凍冷蔵車は、コンデンサーとコンプレッサーという冷却装置を使って、荷台の温度管理をしているものがほとんどです。ちなみに、この装置は、車内のクーラーと同じ仕組みです。そのため、長時間の運搬にも対応可能です。ただし、冷凍冷蔵車は導入コストが高く、燃費性能が低いデメリットもあります。運搬時間が短い場合、蓄冷剤やドライアイスでの対応が可能です。
(参考:公益社団法人全日本トラック協会『事業用トラックの種類』

10トントラックの人気メーカー4社

10トントラックの人気メーカーを紹介します。10トントラックを実際に導入する際の参考にしてみてください。

トヨタ


(引用:トヨタダイナカーゴ
乗用車の国内トップシェアを誇るトヨタは、トラックも販売しています。
トヨタのトラックは、安定感と信頼性が特徴です。現在発売中の『ダイナ カーゴ』は、ミリ波レーダーによる歩行者検知システムや、車線逸脱アラームなどの安全装置が搭載されており、高い安全性があります。

いすゞ


(引用:いすゞ ギガ
いすゞの大型トラック『ギガ』は、働くドライバー目線で設計されています。
運転席の快適さが特徴で、約176mlの大容量ヘッダーコンソール(収納部分)や、多彩な調整が可能なシートはいすゞならではです。運転席の天井部分にはドライバーが寝そべって休憩できるベッドスペースもあります。

日野


(引用:日野自動車
日野自動車の大型トラック『プロフィア』は、高い燃費性能が特徴のトラックです。
エンジンをダウンサイジングし、2段過給ターボと空冷インタークーラーを2基搭載することで、ハイパワーと高燃費性能を実現しています。多くのドライバーが燃料を節約できる設計にこだわり、収益性の高いトラックを目指しています。

三菱ふそう


(引用:三菱ふそう

三菱ふそうの大型トラック『スーパーグレード』は、高い運転支援技術が魅力です。車線逸脱防止や、急発進・急制動を感知する機能などがあります。これらの機能は事故を防止するだけでなく、ドライバーが疲れにくくなることもメリットです。これらの運転支援機能は、トラックの稼働効率や輸送品質向上につながります。

積載量10トンのトラックには大型免許が必要

積載量10トンのトラックを運転するには、大型免許が必要です。ここからは、トラックの運転免許と、各免許で運転できるサイズを解説します。

トラックの運転免許の種類

トラックを含む、自動車の運転免許の種類は、大きく分けて4種類あります。

<トラックの運転免許の種類>
・普通免許
・準中型免許
・中型免許
・大型免許

平成29年3月12日に、改正道路交通法が施行される前までは、準中型免許の区分はありませんでした。改正前に普通免許を取得している人は、取得時の条件でトラックの運転ができます。

“改正前の普通免許は、車両総重量5トン未満及び最大積載量3トン未満の限定が付された準中型免許とみなされます。”
(引用:警視庁『準中型自動車・準中型免許の新設について』

大型免許で運転できる車の種類

大型免許で運転できる車の条件は、以下のとおりです。

免許の種類 自動車の種類 車両総重量 最大積載量 乗車定員 受験資格
大型免許 大型自動車 11.0トン以上 6.5トン以上 30人以上 21歳以上免許期間3年以上

上記の条件に当てはまる車としては、具体的に以下のものがあります。

・大型トラック
・大型ダンプカー
・大型バス

ただし、これらの車を商用で人を運搬する目的なら、第二種免許の取得が必要になります。バス運転手の仕事をする際には注意しておきましょう。

大型免許と合わせて取得したい免許

大型免許と合わせて取得したい免許として、大型特殊免許があります。大型特殊免許を保有していると、ブルドーザーやタンクローリー、フォークリフトなどの建設業務に関わる車を運転できるからです。トラックやバスのドライバーだけでなく、幅広い職種で活躍したい方は、検討しましょう。

また、けん引免許の取得もおすすめです。車両総重量750kgを超える車をけん引するには、けん引免許を保持している必要があります。この免許を持っていると、荷物を載せたトレーラーの運転が可能です。

大型免許が活かせる仕事


現在、物流の需要の高まりや、人材不足のため、大型免許が活かせる仕事がたくさんあります。
中でも、大型免許が活かせる仕事は主に2種類あります。

<大型免許が活かせる仕事>
・物流業の大型トラックドライバー
・建設業の大型トラックドライバー

どちらも、未経験で応募できる求人があります。学歴不問の求人も多数あり、挑戦しやすい場合が多いです。雇用形態は、アルバイト・パートや正社員のものがあり、時給制の場合は1,800円前後、月給制の場合は30万円前後です。さらに、第二種運転免許や大型特殊免許などを保持している人なら、より給料が高くなる傾向にあります。

10トントラック運転時の注意点


10トントラックを運転するときは、乗用車を運転するときとは異なる注意が必要です。

<10トントラック運転時の注意点3つ>
・制動距離が長く追突事故が多い
・サイズが大きく衝突しやすい
・死角が多い

まず、10トントラックは、乗用車に比べて車体が重いです。車両重量が重いだけでなく、積載した状態なら、荷物の重量も加算されるため、さらに重くなります。そのため、乗用車に比べて制動距離が長くなり、追突事故のリスクが高まります。前後の車間距離を十分にとり、排気ブレーキを使いながら運転しましょう。

次に、10トントラックは車体サイズが大きいため、衝突事故を起こしやすいです。自分が乗っている車の全長、全幅、全高を正確に把握し、事故を防止する必要があります。特に、トラックの上部が高架に衝突する事故が起きやすいので、気をつけましょう。

また、10トントラックは死角が多いです。荷台に積載する分、後方の安全確認が困難な場合があります。死角が多いとともに、内輪差も大きいため、原付バイクや歩行者の巻き込み事故の危険性も高いです。命に関わる大きな事故につながる意識を持って、安全運転を心がけましょう。

まとめ

10トントラックとは、一般的に大型トラックのことを指しています。定義は、車両総重量11トン以上・最大積載量6.5トン以上のトラックです。トヨタやいすゞ、日野、三菱ふそうなどのメーカーから、特徴の異なるトラックが販売されています。

10トントラックの運転には、大型免許の取得が必須ですが、所持していることで、転職や就職の幅が広がります。物流業界や建設業界で、大型トラックドライバーとして従事したいなら、免許を取得しましょう。また、10トントラックは、乗用車に比べて大きな事故につながる危険性が高いです。運転することになった場合は、事故防止に十分気をつけましょう。

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