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【対談】第25回 ITS世界会議参加レポート

発起人代表で挨拶するトヨタ自動車の張富士夫相談役
祝賀会開催発起人の皆さん
TheTRUCK2018年11月号14
人が出席、多くの著名人が祝辞を述べ、日頃から親
交の厚い歌手のさだまさし氏と諏訪中央病院名誉院
長の鎌田實氏のトークショーや歌唱ライブで楽しい
ひと時を過ごした。また、この祝賀会に合わせて小
幡氏は、世界の未開の地で医療活動に携わる皆さん
を支援する「風に立つライオン基金」「東海交通遺
児を励ます会」に寄付金を贈った。また、出席者全
員に小幡氏ご自身が執筆した“『感動』こそが活きる
エンジンだ”』を贈呈した。
 ㈱メイダイ、名古屋東部陸運㈱など小幡グループ
のオーナーで、愛知県トラック協会会長、全日本ト
ラック協会副会長など多くの公職にあり、豊田スタ
ジアムの建設・運営や地域のスポーツ、文化発展に
貢献したとして今年、旭日中綬章を受賞した小幡鋹
伸氏の祝賀会が10月17日、名古屋東急ホテルで開
催された。祝賀会にはトヨタ自動車の豊田章一郎名
誉会長、張富士夫相談役、大村秀章愛知県知事、川
淵三郎日本サッカー協会相談役を始め関係者約600
グラビア
小幡鋹伸氏の旭日中綬章受賞祝賀会

祝賀会出席にお礼を述べる小幡鋹伸氏
祝辞を述べる衆議院議員の細田博之氏祝辞を述べる参議院議員の
山口那津男氏
祝辞を述べる豊田市の
太田稔彦市長
祝辞を述べる愛知県知事の
大村秀章氏
祝辞を述べる全日本トラク協会の
坂本克己会長
祝辞を述べる国土交通省の藤井直樹氏(大臣官房長)
TheTRUCK2018年11月号15

さだまし氏の歌唱ライ
さだまし氏に「風に立つライオン基金」への寄付金目録贈呈
さだまし氏と鎌田實氏のトークショー祝辞を述べる参議院議員の藤川政人氏
吉野雅山氏に「東海交通遺児を励ます会」への寄付金目録贈呈
TheTRUCK2018年11月号16
グラビア

中締めで万歳三唱の愛知県トラク協会の吉野雅人副会長
広い会場は約600名の出席者で祝賀ムードがいっぱい
乾杯に先立ち挨拶する日本サッカー協会の
川淵三郎相談役
小幡氏ご自身が執筆した
『感動』こそが活きるエンジンだ。
お孫さんふたりからの花束贈呈
TheTRUCK2018年11月号17

TheTRUCK2018年11月号20
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬
第25回ITS世界会議参加レポート
〜マイカー規制に傾く世界の
都市交通政策と顕在化してきた
MaaSの課題〜
 2018年10月4日にソフトバンクとトヨタ自動車が新しいモビリティサービスの構築に向け
て共同出資会社を設立すると発表しました。ソフトバンク・ビジョン・ファドなどを通して米
UBER、東南アジアGRAB、中国DiDiなどのライドシェア大手に巨額の出資を行ってきたソ
トバンクと、世界的な自動車メーカーでありモビリティカンパニーへと変貌することを目指して
いるヨタ自動車が手を組むことは、MaaSに向けた取り組みを更に加速することになると思わ
れます。実際に両社が共同で設立するMONETTechnologies社では未来のMaaS事業
に向けて、移動中に調理をして宅配するサービス、移動中に診療を行うサービス、移動型オフィ
スなどを提供していくことを目指すとしています。
 国内でもようやく認知が広がり始めたMaaSですが、一歩先を行く海外では既にMaaSビ
ジネスの課題が顕在しつつあります。9月17日から21日にデンマークのコペンハーゲンで開
催された第25回ITS世界会議では、世界中で実証実験や事業化が進むMaaSや自動運
転について徹底した議論が行われました。ITS世界会議とは、ITS=高度交通システムの普
及を目指して自動車メーカー、システムベンダー、関係省庁などが一堂に会して議論するため
に設立された国際会議ですが、近年において自動運転やMaaSの取り組みが急速に進む中
で、これらの新しい分野で取り組む関係者にとってのネットワーキングの場となりつつあります。
 そこで「胎動する次世代ビークルの世界」第13回ではインタビュー取材を小休止し、第25
回ITS世界会議の模様と、様々なセッションを通して見えてきた世界の都市交通政策の変貌
と顕在化してきたMaaSの課題についてレポートしたいと思います。

KPMGの担当として参加した第25回ITS世界会議
第25回ITS世界会議のオープニングセレモニーの模様
TheTRUCK2018年11月号21
KPMGの担当として参加した
 第25回ITS世界会議
 ITS世界会議は欧州、アジア太平洋、アメ
リカ大陸の3地域が毎年交代しながら開催さ
れている高度交通システム(ITS)の世界会議
です。欧州のERTICO、アジア太平洋のITS
Japan、アメリカのITSAmericaというITS
団体が各地域を代表し、3団体が連携する形
で実施されています。第25回はERTICOが
主催する会であるため、デンマークのコペン
ハーゲンで開催されました。
経済産業省時代から電気自動車や燃料電池自
動車などパワートレインの分野を中心に取り
組んできた私にとってITSとはクルマの外の
別世界であり、経済産業省自動車課でもITS
室長(現ITS・自動走行推進室長)が担当して
いたことから無縁の世界でした。しかし、近
年ではITS世界会議がMaaSや自動運転に関
するキーパーソンが集結する国際会議という
位置づけになっていると聞き、アドバイザー
を務めているKPMG(KPMGモビリティ研
究所/あずさ監査法人テクノロジーイノベー
ション支援部)の担当者として参加する機会を
頂くことができました。
 実は今回のコペンハーゲン訪問及び欧州出
張にはITS世界会議に出席するという目的に
加えて3つの目的がありました。一つ目は、
ITS世界会議の開催前に同じ会場で実施される
第4回MaaSSummitへの出席です。二つ目
は3月のフィンランド訪問以来、懇意にして
いるBusinessFinlandからの提案でKPMG
Japanが協賛したMaaSセミナーの開催で
す。そして三つ目はドイツのミュンヘンに移
動してKPMGグループの中で自動車・モビリ
ティ分野において最も積極的に取り組んでい
るKPMGGermanyのAutomotiveチーム
との意見交換です。
 ITS世界会議への参画に加えて、サイドイ
ベントの主催や参画などによって分かったこ
とは、①規制改革の追い風を受けて立ち上がっ
たMaaSビジネスが想像以上に課題山積と
なっていること、②欧州の都市交通政策がマ
イカー規制に更に傾いており、自動車メーカー
でさえもシェアリングサービスに本格的に
乗り出す必要性に迫られていること、そして

MaaSAllianceが主催した第4回MaaSSummitの様子
TheTRUCK2018年11月号22
③改めて欧米中の都市交通政策が新しいモビ
リティビジネスのインキュベーション機能を
担っている実態が浮き彫りになったことです。
今回はこれらの内容について詳しくレポート
したいと思います。
想像以上に課題山積のMaaSビジネス
 ITS世界会議が始まる直前の9月17日㈪
の午前中に開催されたのがMaaSAllianceが
主催した第4回MaaSサミットです。MaaS
AllianceとはMaaSに関する官民のコンソー
シアムですが、その会長は欧州のITS団体
であるERTICOのトップが務めています。
Allianceのメンバーには3月に訪問したフィ
ンランドの運輸通信省、MaaSGlobal社が
入っており、コペンハーゲン市、ヘルシンキ
市、バルセロナ交通局、ミラノ市といった自
治体やmoovel(ダイムラー系のMaaS会社)
EasyMile(自動運転バスのスタートアップ)
UBER、Via(ニューヨークを中心としたライ
ドシェアのスタートアップ)なども参画してい
ます。9月17日に開催されたMaaSSummit
では、フィンランドでMaaS推進のために
大胆な規制改革を断行したBerner運輸通信
大臣、欧州委員会で運輸交通を担当する最高
責任者であるBulcコミッショナー、そして
MaaSAlliance及びERITICOのトップであ
るBangsgaard会長が参画し、MaaSビジネ
スに関する喧々諤々の議論が行われました。
 Summitでは①データの扱い、②規制の仕
組み、③インフラや都市計画、④サービスの
あり方やビジネスモデルという4つのテーマ
が設定され、それぞれのテーマについて予め
決められた4つのチームが議論するという形
式で進められたのですが、議論の結果として
浮かび上がってきたことはMaaS、特にフィ
ンランドのMaaSGlobal社やスウェーデン
のUbiGo社が展開している「マルチモーダル
サービス=MaaSオペレーター」のビジネスに
様々な課題が顕在化してきたことです。
 MaaSオペレーターとは電車やバスなどの
公共交通、レンタカー、カーシェアリング、
タクシー、自転車シェアリングなどのあらゆ
る移動サービスを統合し、パッケージ化され
たサービスとして提供する事業者のことを指
します。代表的なフィンランド発のMaaS
Global社ではWhimという定額サービスを
提供しており、月額499ユーロ(約6万5千
円)を支払えばヘルシンキ市内のタクシー、
レンタカー、カーシェアリング、公共交通、
自転車シェアリングが使い放題となるサービ
スを提供しています(図を参照)。スウェー
デンを代表するMaaSオペレーターである
UbiGo社でも同様のサービスを提供していま
す。ただし、これらのMaaSオペレーターの
大きな特徴は彼ら自身が移動サービスを提供
するのではなく、既存のサービス事業者と提
携することで複数のサービスをパッケージ化
(aggregate)しているということです。一方、
UBERなどのサービス事業者もMaaSを目指
しているといわれていますが、彼らの場合は
ライドシェアや自転車シェアなどのサービス
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬

スウェーデンのUbiGo社のプレゼンテーションタイトル(ITS世界
会議での発表より)
フィンランドのMaaSGlobal社が提供する定額マルチモーダルサービスのWhim 出典:https://maas.global/
スウェーデンのUbiGo社が提供するマルチモーダルサービス(ITS世界会議での発表より)
TheTRUCK2018年11月号23
を自ら提供していますので、MaaSオペレー
ターとは異なるビジネスモデルといえます。
この点はMaaSビジネスを語るうえで留意し
ておくべき重要な点です。
 MaaSSummitでの議論やITS世界会議に
おけるMaaSに関する様々なセッションでは
MaaSオペレーターのビジネスモデルについ
ての様々な課題が挙げられていました。代表
的なのはMaaSオペレータービジネスが「儲
からない」ということです。スウェーデンの
UbiGoの担当は“ShowMeTheMoney”と
いうタイトルで
プレゼンテー
ション(写真参
照)を行い、複
数のモビリティ
サービスを統合
するだけでは十
分な付加価値が
出せず、儲から
ないことを明
らかにしました。同じ
プレゼンテーションの
中で語られたことは、
MaaSオペレータービ
ジネスはネット通販の
アマゾン、旅行サイト
のエクスペディア、民
泊サイトのAirbnb(エ
アビーアンドビー)
ようなプラットフォー
マー型のビジネスモ
デルにはなりにくい
ということです。な
ぜならば、プラットフォーマー型ビジネスで
は膨大な顧客層を抱えることで小規模事業者
から25%もの手数料を取ることができます
が、MaaSオペレータービジネスの場合は顧
客がローカルに偏ってしまうことから顧客層
が小規模に限定されてしまうからとのことで
した。フィンランドのMaaSGlobal社は、
MaaSオペレータービジネスを通してモビリ
ティ版のNetflix(動画配信サービス)を目指す

TheTRUCK2018年11月号24
と主張してきましたので、UbiGoのこのプレ
ゼンテーションはMaaSGlobalが掲げる理
想が現実的には難しいことを裏付けたといえ
ます。
 MaaSオペレータービジネスについて
顕在化した課題はビジネスモデルだけでは
ありません。①利害対立、②相互運用性
(Interoperability)、③データ、④交通政策に
ついても課題が明らかになってきました。そ
れぞれについて解説していきたいと思います。
①利害対立の問題
 MaaSオペレーターと様々なモビリティ
サービスの事業者との間で利害対立が発生し
ているという問題です。MaaSオペレーター
が自らサービスを提供せずにサービス事業者
と提携する形をとっていることに起因してい
るわけですが、カーシェアリングや自転車シェ
アなどのモビリティサービスを提供している
事業者にとってみると、新規の顧客を獲得で
きたり、これまで以上の収益増が見込めたり
しない限りはMaaSGlobalやUbiGoのよう
なパッケージ型サービスと提携するメリット
はありません。また、パッケージ型のサービ
スに組み込まれることによって、顧客との対
面が自社ではなくMaaSオペレーターになっ
てしまうため、顧客からのフィードバックが
無くなってしまうというデメリットも抱え込
んでしまいます。そのため、MaaSオペレー
ターは提携してもらえるサービス事業者探し
に苦戦しているようであり、実際にUbiGoの
担当者は顧客獲得よりもパートナー事業者獲
得に苦労するほうが多いと語っていました。
②相互運用性(Interoperability)の問題
 相互運用性とはMaaSオペレーターが公共
交通機関や複数のサービス事業者とシステム
を統合する際に発生する問題のことを指しま
す。それぞれのサービス事業者が独自の予約・
発券・決済システムを構築していることから
統合型のサービスを提供しようとすると異な
るシステムやアプリとの連携が必要となって
きます。かつてGSMという携帯電話の通信
方式で国際標準化に成功したフィンランド政
府としてはMaaSについても国際標準を握っ
ていきたいという意向があるようで、Berner
運輸通信大臣の発言からはその意向が透けて
見えました。しかし、欧州委員会のBulcコミッ
ショナーはまずはビジネス面での連携が先で
あり、規制を入れるには時期尚早という考え
を示しました。
③データの問題
 データの問題とは①の利害対立にも関係す
る話ですが、MaaSオペレーター、モビリティ
サービス事業者、公共交通事業者の間でデー
タの取り扱いに関する利益相反が発生すると
いう話です。公共交通事業を抱える行政とし
ては、公共交通の利便性向上や利用率向上に
つながるデータをフィードバックしてもらえ
るとの期待からMaaSオペレーターなどの民
間事業者に公共交通に関するデータを提供し
ています。また、MaaSオペレーターと提携
するモビリティサービス事業者としては提携
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬

TheTRUCK2018年11月号25
の見返りにMaaSオペレーターからユーザー
に関するデータを入手したいと考えていま
す。一方で、MaaSオペレーターとしてもモ
ビリティサービス事業者が既に保有している
顧客のデータを入手したいと考えています。
つまり、誰もが顧客データを入手したいと考
えており、多くの顧客データをつかんだもの
が競争優位に立てることからデータをめぐる
対立はなかなか解決しないと思われます。
④都市によって異なる交通政策
 MaaSオペレーターにとっての更なる悩み
は国や都市によって異なる交通政策です。フィ
ンランドやスウェーデンのように“MaaSオペ
レーター”というビジネスを創出しようとして
いる国や都市ではMaaSオペレーターが自ら
事業展開できる可能性が高いといえます。一
方で、ITS世界会議が行われたコペンハーゲン
では、市の交通局がMaaS専用のアプリを提
供することで、できる限り公共交通を組み込
んだ移動を奨励しています。同様の取り組み
はオーストリアのウィーン市でも行われてい
ます。こういう都市では交通局が競合相手と
なってしまうため、MaaSオペレーターにとっ
て事業展開する魅力が低いと思われます。更
に、日本などMaaSへの関心が高まっていな
い国や都市への事業展開は簡単ではありませ
ん。このような事情を踏まえると、MaaSオ
ペレータービジネスの事業環境は交通政策に
よるところが非常に大きいといえます。
 また、コペンハーゲン市の例が示す通り、
都市交通当局の関心は市内の渋滞や環境問題
を解決することにありますので、自家用車の
利用を減らし、公共交通や自転車などの利用
を増やすことができればMaaSオペレーター
のビジネスの成否にはこだわらないと思われ
ます。
 第7回で報告したヘルシンキ出張レポー
トでは、MaaSビジネスの普及のためにフィ
ンランドの運輸通信省が規制の大改革を進め
たことをお伝えしましたが、今回のMaaS
SummitやITS世界会議を通して分かったこ
とは、規制改革だけではMaaSビジネスが軌
道に乗るわけではなく、異なる事業者との利
害調整、都市交通政策との融合、稼げるビジ
ネスモデルの確立など様々な課題を解決しな
ければ本格普及に至らないということでした。
“MaaS原理主義者”の主張と
 自動車業界との対立
 ITS世界会議の初日である9月17日㈪の
夜にはデンマーク市内にあるフィンランド大
使公邸においてBusinessFinland、フィン
ランド運輸通信省、KPMGJapanで共催し
たフィンランドMaaSセミナーが行われま
した。MaaS推進の旗振り役として大胆な
規制改革を進めたBerner運輸通信大臣が自
らオープニングスピーチを行い、Business
FinlandのMikkoKoskue氏、MaaSGlobal
のHietanenCEOがプレゼンテーションを行
い、日本側を代表して私が日本におけるMaaS
の現状と課題についてお話ししました。
 Berner運輸通信大臣のスピーチについて最
も興味深かったことは、彼女が原稿なしでス
ラスラとスピーチを行ったことです。政治シ
ステムの違いがあるのでしょうが、政策の中
身について熟知している人がトップに立って
いることの強みを感じた瞬間でした。その上
で、何度も強調していたことは、これからの
時代は何よりもデータが大事になっていくと
いうことと、変革の波はモビリティの分野だ
けでなく医療、エネルギー、住宅などにも広
がっていくだろうということです。変革の波
を感じ取り、先行して規制改革などの政策を

パネルディスカッションで発言するMOIA社のCEOである
Harms氏(ITS世界会議より)
TheTRUCK2018年11月号26
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬
断行していく行政トップのスタンスは日本国
としても見習うべきことが多いと感じました。
 フィンランドMaaSセミナーの中で、是
非とも取り上げたいのはMaaSGlobalの
HietanenCEOが「一般家庭の移動支出のう
ちの85%が自家用車の購入と維持に使われて
おり、残りの15%が公共交通やモビリティ
サービスに使われていることから、15%の中
での奪い合いではなく、85%を含めたあらゆ
る移動支出をMaaSGlobalが提供していき
たい」と発言したことです。これにより彼らは
自動車メーカーのビジネスモデルにチャレン
ジしていくスタンスを明確にしたのです。実
は、同様の発言はスウェーデンのUbiGoの担
当者も行っており、「MaaSビジネスとはクル
マ所有との競争である」と述べ、そのために決
済システムを含めてあらゆるサービスの統合
が必要と主張していました。
 また、米国でMaaS推進の中心人物と思わ
れるSchweigerConsultingのSchweiger
CEOはITS世界会議でのプレゼンテーション
においてMaaS及びMaaSでないものを次の
ように定義していました。
・MaaSとは需要に応じてあらゆる交通サー
ビスを一つのサービスに統合したもの
・ライドシェア、カーシェア、自転車シェア、
自動運転バスだけではMaaSとは言えない
・自家用車通勤からのシフトを促すサービス
提案や優遇サービスもMaaSではない
・運転ができない移動弱者に対する代替サー
ビスもMaaSではない
・個人向けのモビリティを中心として様々な
モビリティサービスを統合したもののMaaS
ではない
つまり、MaaSオペレーターのようなビジネ
スモデルだけがMaaSと呼べると主張してい
るわけです。
 私はこのような主張をする人たちを勝手に
“MaaS原理主義者”と呼ぶことにしました。
MaaS原理主義者は「MaaSこそがユーザーに
提供しうる未来の移動手段であり、その最終
目的は自家用車の所有をあきらめさせること
だ」と信じています。
 そういうMaaS原理主義者に対して異論を
唱えたのがフォルクスワーゲングループでシェ
アドバン事業を展開するMOIA社です。MOIA
社のCEOであるHarms氏はパネルディス
カッションで「MaaSのような異なる移動手段
をつなぐプラットフォームの必要性は分かる
が、本来の目的は都市の渋滞を減らすことであ
り、そのためにはクルマを置いて出かけたく
なるサービス提案のほうが重要」と主張しまし
た。つまり、既存のサービスを組み合わせるだ
けではユーザーはクルマを置いて出かけようと
しないし、そもそもクルマの所有をあきらめな
いだろうと言い切ったわけです。
 MaaS原理主義者vs現実主義者の対立は、
自動車産業を抱えている国か否かということ
も影響しているように思います。ただ、MaaS
原理主義者が十分に理解していないことは、

MOIA社が開発したシェアドバン車両(ITS世界会議における展
示ブースにて)
TheTRUCK2018年11月号27
MaaSを本格的に普及させていくために必要
となる自動運転やAIといった最新技術、電気
自動車や燃料電池自動車などの次世代パワー
トレイン技術に対して巨額の投資が可能なの
は、自動車産業か米中のITジャイアント(グー
グル、アップル、バイドゥ、アリババなど)
あるということです。したがって、MaaS原
理主義者がこのまま自動車業界と敵対するよ
うなスタンスを貫き続けると、米中のITジャ
イアントの軍門に下るという判断をしない限
り、自動運転・AI・次世代パワートレインな
どの最新技術を活用することができないこと
になります。
 フィンランドMaaSセミナーにおいて
MaaSGlobalのHietanenCEOは「クルマ
を所有することが夢であったように、MaaS
にふさわしい夢が必要」と語りました。つま
り、複数の移動サービスを束ねただけでは自
家用車所有をあきらめさせることが難しいこ
とを既に理解しているのです。
 MaaS原理主義者の中からも、MaaSの本
格的な普及のためには今のような統合された
サービスの提供だけでは利用者が十分に増え
ないため、デベロッパーを巻き込んでMaaS
サービスが予め組み込まれた不動産を提供す
る、企業から従業員に支給されているガソリ
ン代補助(CompanyCar)をMaaSや公共交
通手当に振り替えるべきといった議論が出ま
した。
 MaaSオペレーターのビジネスモデルが成
立しうるかが微妙なタイミングにおいて、巨額
の研究開発投資が可能となる自動車業界と対立
するスタンスをとっていることは、MaaSオ
ペレーターというビジネスの将来性の危うさに
つながるのではないか、それがMaaSを取り
巻く様々な議論を経て感じた私の結論です。
都市交通から排除される傾向にある
 自家用車
 フォルクスワーゲングループであるMOIA
社のCEOが「クルマを置いて出かけたくなる
サービス」を提案しようとしていると発言して
いましたが、MOIA社では都市に増えすぎたク
ルマを減らし、都市を市民の手に戻すためにク
ルマ中心から人間中心への都市交通とシフトさ
せることを目指しています。自動車を大量生産
し、自家用車による移動であるモータリゼー
ションを推進してきた会社の代表例がフォルク
スワーゲンですが、同社の関連会社がモータリ
ゼーションと逆行する取り組みを目指している
ことに驚きを隠せませんでした。
 フォルクスワーゲンがMOIAのような部門
を設立した背景には、欧州の都市部において
自家用車移動の制限が年々厳しくなっている
ことがあるのではないかと推測しています。
現にロンドンやストックホルム(スウェーデ
ン)では市内中心部に乗り入れる一般車両に対
してCongestionCharge(渋滞税)が賦課さ
れています。今回訪れたコペンハーゲン市で
も自家用車を排除していく交通政策がとられ
ていることが随所から感じられました。

自転車専用道路の入り口(左)、自転車専用道路を通行する様子(右)
市内の自転車道の様子
TheTRUCK2018年11月号28
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬
 コペンハーゲン市では2013年に温暖化対
策であるClimatePlanを策定し、2025年
までに市全体でのCO
排出量をゼロにする=
カーボンニュートラルを目指しています。そ
の目標の実現のため、交通分野では交通モー
ドの優先順位を①自転車、②歩行者、③公共
交通、④自家用車と位置づけ、基本的に自転
車、歩行者、公共交通を主体とした街づくり
を進めており、これまでに800万ユーロ(約
10億円)を投入しています。
 代表的なのが自転車道の整備と自転車用信
号の導入です。久しぶりにコペンハーゲンを訪
れましたがオランダのアムステルダムのように
市内にくまなく自転車道が張り巡らされ、若者
だけでなく、子供連れの母親や年配の人たちま
で自転車で移動していることに驚きました。既
にコペンハーゲン市内の通勤・通学者の4割
以上が自転車を利用しているとのことですが、
市内の一部には自転車専用道路も設けられ、
とにかく自転車が最優先の移動手段として位置
づけられていることの印象を強く受けました。
実際にオープニングセレモニーでスピーチした
デンマーク皇太子もご自身がサイクリストであ
り、コペンハーゲンはサイクリストにとって最
適な街であると発言されていました。私が訪問
した時期が9月というサイクリングに最適な気
候であったため、自転車移動の違和感は全くあ
りませんでしたが、夏や冬などの状況をコペン
ハーゲン市の担当に聞いてみたところ、コペン
ハーゲンは降雪が少なく、豪雨も少ないので自
転車移動が可能とのことでした。ただし、タク
シードライバーによると雨の日は市内の道路の
渋滞が相当ひどくなるとのことですので、必ず
しも自転車中心主義の交通システムが万全とい
うわけではなさそうです。いずれにせよ、高温
多湿で豪雨も降雪もある日本ではここまでの自
転車中心主義の交通政策をとることは難しいだ
ろうと思いました。

自動運転のコペンハーゲンメトロ(左) 現在の路線図(右)
コペンハーゲンメトロの最終的な路線計画
(出典:コペンハーゲンメトロのサイトより)
サイクリストとしてPRしていたデンマーク皇太子
TheTRUCK2018年11月号29
 コペンハーゲン市の取り組みとしてもう一
つ代表的なのは自動運転メトロの導入です。
空港と市内を結ぶ路線を含めて2路線が既に
整備されており、2019年7月に開通予定の
環状線M3、その後に開通予定のM4を含め
て2024年には4路線となる計画です。実際
に自動運転メトロの乗車してみましたが、海
外の空港などで利用する無人列車の乗車感覚
に近く、同じく自動運転のゆりかもめと比較
すると圧倒的に加速が良く、スピードも出て
いました。ちなみに2020年以降に日立製作
所製の車両が導入されるようです。
 このようにコペンハーゲン市の交通政策は
自家用車を都市交通から極力排除していく方
向で進められており、環境派の市長が台頭す
る中でこのような政策は欧州各地で広がりつ
つあるものと思われます。

TheTRUCK2018年11月号30
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬
欧州にも広がりつつある
 ポートランドモデル
 コペンハーゲン市の交通システムを体験
し、米国オレゴン州のポートランド市のモデ
ルと近似しているのではないかとの印象を持
ちました。ポートランドは健康で持続可能な
生活様式を重視するLOHASで有名な街です
が、コペンハーゲン市はそれと似たコンセプ
トであるQoL(QualityofLife)=生活の質を
向上させることを狙いにしています。実際に
今回の第25回ITS世界会議もQoLが副題と
なっています。
 LOHASやQoL向上を重視する都市にとっ
て、自転車移動の増加、歩きやすい街づくり、
LRTやメトロなどの公共交通の充実は、環境
問題の解決、利便性向上、健康的な生活の全て
を満たすものとしてとらえられているように思
います。今回の国際会議で何度か聞いた表現と
してactivemode(アクティブモード)という
英語があります。要するに自ら歩くこと、自転
車をこぐことを指す表現なのですが、active
modeを増やしていくことは健康・環境・移動
の3つを解決する重要な要素であるという捉
え方が広がりつつあるように感じます。
 20世紀はモータリゼーションの急速な進展
により自家用車保有率が上昇し、自動車産業
が世界有数の巨大産業として台頭しました。
しかし、ポートランド市がLOHASを重視し
activemodeが中心となったコンパクトシ
ティ化で都市開発に成功したことによって、
都市中心部から自動車を排除する都市交通政
策が欧米主要都市のトレンドになりつつある
と感じています。
 フォルクスワーゲンやダイムラーなどの自
動車メーカーが本腰を入れてモビリティサー
ビスに取り組んでいるのも、こういったトレ
ンドに逆らうことはできないと考えているか
らかもしれません。
世界各国で導入が進む自動運転バス
 今回のITS世界会議においてセミナーと並
行して目玉であったのが展示ブースと自動運
転車両の体験コーナーです。中でも目を引い
たのが最寄り駅であるメトロのBellaCenter
駅とセミナー会場であるBellaCenterの入
り口を往復していたNavyaの自動運転バス
サービスです。写真にあるように歩道・自転
車道・車道をまたがるように設けられたルー
トを時速10km未満のスピードで完全自動に
て走行します。この車両には運転席は全くな
く、手動での運転が必要になった場合にはゲー
ムのコントローラーのようなもので車両を操
作するようですが、決められたルートを走行
している限りはコントローラーで操作する必
要はなさそうでした。
何よりも素晴らしいと感じたのはこのサービ
スの便利さです。駅から会場入り口までは徒
歩では5分程度の距離ですが、すぐに飛び乗
ることができれば歩くよりもわずかに早く会
場に到着することができます。着座と立ち乗
り合わせて定員は15人乗りとのことでちょ
うど電車のドア一つ分が車両になったような
イメージでした。
 日本ではハンドルのついた運転席がついて
いる車両でなければ規制面での課題が多いよ
うですが、低速自動運転バスに初めて乗って
みて「これは使えそう」という印象を持ちまし
た。国内でも徒歩10分程度の距離のある場
所は数多くあります。中でも、東京ビッグサ
イトと国際展示場駅、幕張メッセと海浜幕張
駅、パシフィコ横浜と桜木町駅、ポートメッ
セなごやと金城ふ頭駅など、国際展示場と最

ITS世界会議の会場と最寄り駅を結ぶ自動運転バスによるシャトルサービス
様々な自動運転車両がデモ走行する会場内(左:イギリスのPathfinder、右:フランスのNavya社のAutonomCab)
モノレールの代替として低速自動運転バスを活用した新しい交通システムの構想(米
Jacksonville交通局の発表資料より)
TheTRUCK2018年11月号31
寄り駅はそうなっているケースが大半です。
費用負担の問題を解決する必要があります
が、低速自動運転バスの潜在需要は大きいと
感じた体験でした。
 ITS世界会議での発表を聞いていると、低速
自動運転バスの試験導入は世界各地で進んでい
る模様です。ニュージーランドで低速自動運
転バスを開発するHMITechnologiesはクラ
イストチャーチ、メルボルン、シドニーにお
いて低速自動運転バスの実
証実験を行っています。興
味深いのは米国フロリダ州
Jacksonville市の取り組
みです。市の交通局はNFL
スタジアムの近くに1/3
マイル(500m程度)の自
動運転専用道路を整備して
EzmileやNavyaなどの低
速自動運転バスの実証実験
を行っています。彼らの最
終的な狙いは自動運転バス
を高架で走行させる仕組みを構築し、老朽化が
進んでいるモノレールの代わりにすることのよ
うです。実際にこのシステムが実現すれば、自
動運転技術が本格的な公共交通システムとして
採用される初のケースになるものと思われます。

急成長したロサンゼルス市のe-scooterビジネスについて解説したパナソニックのWendt
EVP
TheTRUCK2018年11月号32
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬
都市との連携がモビリティサービスの
 成否を決める
 ITS世界会議での議論を通して強く感じた
ことは都市との連携こそがモビリティサービ
スの成否を決めるということです。フォルク
スワーゲングループのMOIA社は来春からド
イツのハンブルグ市でシェアドバンの実証実
験を開始することを表明しました。その規模
は500台から1000台とのことであり、桁違
いの規模に圧倒されます。MOIAのCEOであ
るHarm氏は実証実験の場所としてハンブル
グ市を選んだ理由について「電気自動車である
シェアドバンの実証のためには数多くの急速
充電設備の設置が必要となるが、そういった
インフラ設置の面でも協力的なのでハンブル
グ市を選んだ」と発言しています。企業が構想
するモビリティサービスに都市側が歩み寄る
ことでそのサービスの実用化への道筋が具体
化していくのです。
 また、パネルディスカッションに参加して
いたパナソニック北米社のWendtExecutive
VPは「ロサンゼルス市に2年前には全く存在
していなかったe-scooter(電動スクーター)
が今では街中にあふれかえる状態となってい
る。その結果として、ロサンゼルス市は導入
台数の制限や放置スクーターの回収を義務付
ける規制を導入した」と急拡大したロサンゼル
ス市の電動スクーターシェアリングビジネス
の実態を紹介しました。その上で、「ユーザー
がどういうモビリティサービスを求めている
のかは実際にサービスを実導入してみるしか
ない」と主張し、すぐに実導入できる=Rapid
FireTestが可能である都市には魅力的なサー
ビス事業者が集まりやすいと解説していまし
た。新しいモビリティやモビリティサービス
を受け入れる余地が低い日本の都市にとって
耳の痛い話です。
 都市との連携という観点でITS世界会議全
体を通して感じたことは、日本を除く多くの
国からは州や市の交通局の担当者がプレゼン
テーターとして数多く参画していたというこ
とです。私が参加したセッションだけでも米
ユタ州、米デラウェア州、米ワシントン州、
ニューヨーク市、コペンハーゲン市などの交
通局担当者がプレゼンテーションを行ってい
ました。中でも印象的だったのはビッグデー
タのセッションで登場したニューヨーク市の
CTOのSchachter氏です(写真参照)。彼は
IBMでの勤務経験などがあり、ビッグデータ
やITについて極めて詳しいという印象を持ち
ました。現在は、ニューヨーク市が保有する

TheTRUCK2018年11月号33
地下鉄、バス、道路などのあらゆるビッグデー
タをオープン化することで市内の交通円滑化
に向けた取り組みを進めているとのことでし
たが、欧米では国際会議に州や市の交通局の
担当者が出席することで最新の情報を共有す
るとともに、国境を越えた都市間の競争が行
われているのではないかと感じました。
一方、今回のITS世界会議において、日本の
都道府県や市区町村の交通担当者がプレゼン
テーションを行っている姿は目にすることは
ありませんでした。もし他の国際会議でも同
様なのであれば、モビリティサービスの展開
において日本が更に周回遅れになっていくこ
とは避けられないと思います。
モビリティビジネスのインキュベーション
 機能を担っていることが明らかとなった
 都市交通政策
 最後に今回のコペンハーゲン訪問の全体を
通した感想を述べたいと思います。
 最初に述べたいことはフィンランドやス
ウェーデン発で生まれたMaaSオペレーター
ビジネスが曲がり角に来ているということで
す。規制側の対応が先行する形で登場した
Whimなどのマルチモーダルサービスですが
①提携事業者の確保、②収益性の確保、③顧
客を虜にする付加価値の提供など、ビジネス
モデルを確立させるうえでの課題が山積して
いることが明らかとなりました。加えて、彼
らが自動車所有を切り崩そうとすることで、
高い技術や巨大な投資余力を持つ自動車産業
を敵に回しかねない姿勢を選んでしまったこ
とも事業の成長性にネガティブなインパクト
を与えかねないと感じました。
 次に述べたいことは欧米中の主要都市が新し
いモビリティビジネスのインキュベーション機
能を担っていることが改めて明らかになったこ
とです。米国ではサンフランシスコ市やロサン
ゼルス市に代表されるように、自由放任主義で
新しいモビリティビジネスにチャンスを提供
し、一定の普及が行われたタイミングで規制を
導入するという都市交通政策が実施されていま
す。一方で欧州の主要都市では、その都市が実
現したい都市交通に合致する事業者に参入機会
が提供され、そのビジネスモデルが成立した段
階で他の都市への展開が行われるという流れが
一般的のようです。中国では政府が大きな方針
を定めて、その方針を実展開する地方都市を定
め、特区のような一点集中型で新サービスや新
技術の導入が行われています。電気自動車バス
やタクシーが走り回る深セン、中国版スマート
シティの代表格である雄安新区などがその代表
例です。
 しかし、日本には未だに新しいモビリティ
ビジネスのインキュベーション機能を担った
都市は存在していません。国家戦略特区、
サンドボックス制度など特別なことができ
そうなキーワードは耳にしますが、UBER、
DiDi、Car2Goなどの新しいモビリティサー
ビスを生み出すような事例もありません。こ
れは大いに懸念すべき現状であるといわざる
を得ません。
 その一方で、低収益に苦しむ海外のMaaS
ビジネスの最終的な出口の参考事例が日本に
あるとも思いました。それは東急電鉄、阪急
電鉄など私鉄が切り拓いたビジネスモデルで
す。鉄道やバスなどの公共交通ビジネスを基
幹とし、不動産開発のデベロッパービジネス、
百貨店やスーパーなどの小売ビジネス、電力・
ガス・通信などの生活サービスなどを次々と
切り拓いていくことで、トータルで魅力的な
サービスを顧客に提供し、収益性の高いビジ

著者紹介:伊藤慎介−株式会社rimOnO代表取締役社長
(兼)KPMGモビリティ研究所アドバイザー/有限責任あずさ監査法人総合研究所顧問
(兼)ミズショー株式会社社外取締役
(兼)亜細亜大学都市創造学部都市創造学科講師
1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動車、IT、エレクトロ
ニクス、航空機などの分野で複数の国家プロジェクトに携わる。2014年に
退官し、同年9月に工業デザイナーと共に超小型電気自動車のベンチャー
企業、株式会社rimOnOを設立。2016年5月に布製ボディの超小型電
気自動車”rimOnOPrototype01”を発表。現在は、MaaS(モビリティ
アズ・ア・サービス)の推進などモビリティ分野のイノベーション活動に従事。
TheTRUCK2018年11月号34
ネスモデルを確立してきた事例です。
 国内では小田急電鉄、東急電鉄、京浜急行な
どの私鉄によるMaaSビジネスが盛り上がり
始めています。民間企業が都市開発を行うとい
う成功事例を持つ日本がMaaSという新しい
要素を取り込み、最終的に世界展開できるビ
ジネスモデルを作り上げることができれば、
ひょっとすると日本発のモビリティビジネスを
生み出すことも夢ではないかもしれません。
 ただし油断はできません。既に世界が何周
回も先行していることは今回のレポートで述
べたとおりです。国、都市、企業が早期にタ
グを組み、新しいモビリティビジネスを次々
と生み出していかなければ世界との溝は広が
るばかりではないでしょうか。
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑬

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TheTRUCK2018年11月号36
賑わう屋外展示場。会期中、2日間の悪天候があっ
たが、その間にも商談の対象があれば確認する熱心
な“視線”が注がれた。展望台へは長蛇列が・・
今回の展示テーマ
「DrivingTomorrow明日を走る」が今回の展示
テーマ。2年前の前回、各社が競って出展したコン
セプト車が、今回は商品化され発売を控えてのお披露
目となった展示が多かった。
 会場は独ハノーバー市の国際展示場。いつもの会
場だが、展示場面積は実に屋内外合計28.2万㎡で
前回より4%拡大された。これは増築された東京ビッ
グサイトの東7・8号館を含む全屋内展示場の約4.2
倍と広大だ。本年は出展社数2174社、世界初公
開出展品が432品目、来場者は延べ25万人の規
模で世界最大級の商用車展であることは間違いない
(表1)。来場者の中に多くのユーザー企業の意思決
定者が含まれている。これもトレードショーを標榜する
この催しの特徴だ。
 ドイツ自動車産業協会VDAが主催する自動車

Drivingtomorrow
明日を走る
2018
IAA
商用車展
欧州車に見る最新の動き
 第67回となる今年のIAA商用車展は9月20日から28日までの9日間、
ドイツ・ハノーバー市の恒例会場で開催された。前号では一般公開に先立つ
19日のプレスデイに集中して行われた主要各社の記者発表の模様を、近年、
桁違いに巨大となってきたステージ背後ディスプレイの映像を切り取って
ご覧頂いた。今回から会場の展示内容についてリポートする。
西 襄二
(文と写真:出所を示した写真を除く)
世界の商用車ショー研究

TheTRUCK2018年11月号37
ショーは毎年開催されるが、西暦偶数年は商用車の
(奇数年は乗用車)。筆者は上記の公開期間に先
立つプレスデイ1日を含めて7日間現地で取材に当
たった。
技術開発トレンドを表すキーワード
 主催者VDAが掲げた今回の技術トレンドを表す
キーワードは、“エレクトリックモビリティ(電動化)”、
“ディジタライゼーション(ディジタル化)”、“アーバ
ンロジスティクス(都市内物流)”、“ニュー・モビリティ
(新たな動き易さ)”などであった。
 今回の第2報は、代表的ブランドを有する車両メー
カー各社の環境問題及びディジタル化への取り組みと
対応製品などについて紹介しよう。
欧州トラックメーカー
 EU圏内の先進地域に本拠を置く商用車メーカー
は、歴史ある8社に加え2016年からこのショーに
出展を始めた新興1社を加えて9社ある。
 主催者VDAのあるドイツにはダイムラー、
VW、MAN、の老舗3社に加え2014年から
量産化に立ち上がった新興の電動小型車専業の
StreetScooterストリートスクーターの4社。西隣
のフランスにRenaultTrucksルノー・トラックス、
更に西のイタリーにIVECOイヴェコ、東隣のオラン
ダにはDAFダフ、北のスウエーデンにはVOLVO
Truck&Busボルボ・トラックス&バスとSCANIA
スカニアの2社がある(表2)
排出ガス規制動向
 排出ガスに関する規制は、現在、ユーロⅥが適用
されている。これはステージ1から4まで段階的に
強化されて、本年はユーロⅥの4段階目のステージ
4が適用されている。1992年にユーロから始まり
現在のユーロⅥに至るまで順次強化されてきた排出
ガス規制は、当初、主としてPM(粒子状物質:黒
煙の主たる成分)及びCO(一酸化炭素)とNOx窒
素酸化物の排出抑制に主眼をおいてきた。ユーロⅥ
でこれらはほぼ許容レベルを達成できたとして、近
年は大気の温暖化の主因と見做されるCO
(二酸化
炭素)の低減を視野に義務化されてきたのが接尾の
ステージ1〜4であった。これは本年をもって区切
りとし、来年以降はユーロⅦの新規制に進展する予
定とされている。主眼は、地球温暖化に対する対応
とされる。
 こうした経緯から、欧州の商用車が新たに対応す
る方向は大勢として二つの流れにあることが今回の
ショーで示された。一つはメタンガスの活用による内
燃エンジン燃料のガス化、もう一つは電動化だ。
(表1)第67回2018IAA商用車展寸描
(表2)EU圏内の商用車メーカー
項  記  事
開催 2018 9月20-28日(8日間)
開催地 バー市
展示場面積
28.2万㎡(前回比 +1.2 万㎡
(東京サイの増築部分
約3倍
出展社数
2,174 (前回比 +161社)
60%ツ以外の参加
(内訳)中国か 252
ーか 137
ダか 135
126
ンス 101
世界初公開展示 435 (前回比 +103 件)
来場者数
約 25 万人
(悪天候が 2 ある前回上
報道関係者 2100 人/ 54 か国
(出典:主催者発表)
グループ 盟主企業
グループ内企業 
(着色部分=在EU企業)
Daimler
MercedesBenz
 本拠:独国
Freightliner(米)FUSO(日)
WesternStar(米)
BAHRATBENZ(日)他2社
VW 本拠独国 MAN(独) SCANIA(瑞)
VOLVOTruck&
Bus 本拠瑞国
RenaultTrucks
(仏)
PACCAR
本拠米加州
DAF(蘭) MACK(米)
IVECO
本拠伊国
STREETSCOOTER
本拠独国

TheTRUCK2018年11月号38
環境対策車を全面に配置したIVECOの展示。ガス車に限らず
電動車も戦列に加えている
ガスエンジン車の例:
IVECOSTRALIS車
ガスエンジン車の例:SCANIA
R450車。NGタンクはLNG
用で左右に振り分けて搭載され
ている
ガスエンジン車の例:IVECO
EUROCARGO車
CO
排出削減に向けた現実解
ガスエンジン車
 過去数年、欧州に天然ガス(主成分=メタン)の供
給インフラを整備する動きが加速し、欧州大陸の西
端のスペイン及びポルトガルから北のスカンジナビア
地域に至る「天然ガス回廊(NGコリダー)」が遂に完
成したことが昨年来報道されてきた。商用車メーカー
の中で殊の外この問題に熱心に取り組んできたのはイ
タリアのIVECO社だ。今回のプレスデイにはCNG
世界の商用車ショー研究

TheTRUCK2018年11月号39
新興のEVメーカー:StreetScooter社の同名車。この2年間でバリエーションを増やし展示車も増やした。
左PICKUPWORK、右BOXWORKL。(表3)参照
/LNGディスペンサーの実物をステージに据えて、
ガスエンジン車はCO
排出低減策の現実解であるこ
とを強調した(10月号41〜44頁)。
 埋蔵天然ガス利用の場合に軽油燃料のディーゼル
と比較して約30%(タンク2ホィール)のCO
排出
削減となることに加え、バイオ由来のメタンガス(農
産物由来や家畜排泄物由来など)であれば低減率は
100%超も実現可能として普及に全力投球する姿勢
を示した。航続距離の観点から大型車ではLNG(液
化天然ガス)、中・小型車ではCNG(圧縮天然ガス)
で利用する。
 天然ガス利用のガスエンジン化の動きは、CO
出削減に向けた道程の“手前の橋”として他社も同調
している。ただ、熱の入れ方には温度差が感じられる。
 SCANIAもガスエンジンに注力する姿勢を示して
いる。
 VOLVOトラックもガスエンジン車を戦列に加え
る。長距離運行も多いFH型車及び中距離以下の特
装車でも活用されるFM型車の双方で展開する。ボ
ルボによれば、ディーゼル車をNG車に転換すると、
CO
排出量は18〜20%の削減効果が即実現する。
2017年にEU内で販売された大型トラックは26万
4000台に上っているから、この内からNG車に転換
される台数が増えればそれだけCO
削減効果に結び
着く現実的な手法であるとする。
 メルセデス・ベンツもガスエンジン搭載モデルを商
品化している。
小型車で新興メーカー参入
大型車にもEV化の波
 乗用車でEV(電動)化の動きは加速する勢いを示
しているが、商用車でもトラック、バンを通じてこの
動きは強まる傾向だ。今回は、既存の8社全てが即
ちに実用に供しうるEVモデルを出展した。
 ここに、9社目の新興の「StreetScooterストリー
トスクーター」社が加わった。この企業について先ず
紹介しておこう。
ドイツ中央西部、ベルギーとの国境際にアーヘン市
が所在する。この地のアーヘン大学の中にEV研究
グループが溌足したのは2010年。以来、小型電動
車の研究を行っていたが、2014年にドイッチュポス
トDHL社の出資を受けて電動車専業企業として立ち
上げられたのが当社である。現在、同社はDHL社
の100%子会社となっている。
 2016年の前回IAAで初めてDHLの集配車仕様
車が出展されたが、いわばユーザーオリエンテッドの
車両メーカーとして注目が集まっている。社名と同じ

TheTRUCK2018年11月号40
StreetScooter車の簡素なメータークラスター。停車状態で前進
“D”をセレクした状態。充電は100%、航続距離は150㎞と
表示されている。実際の交通状況、負荷条件等で表示通りの航
続距離が保証されているわけではない。右側には走行中のバッテ
リーの状態が表示される
StreetScooter車のセンタークラスター(標準型)。ディスプレイは
ッチパネルで、表示機能の選択操作は全て指先の操作で行う。
写真で赤色表示されている言語はドイツ語だが、欧州内の他の言
語も選択可能という。特装車で操作選択機能が増加する場合は
別途操作盤を設けて対応する
StreetScooterPickupWORK試乗コーナーで(表3)参照
世界の商用車ショー研究

TheTRUCK2018年11月号41
MAN社のEV。同社初のローエントリーキャブを搭載してMercedesBenzがECONIC車で独占していたモデルに対抗する。
その第一弾がEVというのは戦略的な意図 が明らかだ
MANがVWグループの一員としてOEM供給を受けるEVバン。MANとして初めてバンをラインアップに加えて、その中に
EVを組み込んだことも戦略的な展開だ

TheTRUCK2018年11月号42
ローエンリーキャブのボディはバン架装。名称はMAN918型とされている 
RENAULTMASTERZE(出所:RENAULTTRUCK)
RENAULTMASTERLONGZE
(出所:RENAULTTRUCK)
世界の商用車ショー研究

TheTRUCK2018年11月号43
RENAULTTRUCKZE塵芥車。過去10年間、試作車を実際
の稼働現場に投入して実用試験を繰り返してきた。満を待して市
販に踏み切った(出所:RENAULTTRUCK)
MercedesBenzのフル電動車eActros。10月に入ってドイツ
国内始めヨーロッパ各地に店舗展開しているスーパーマーケッ
EDEKA社の配送用に納入されることが報じられた
(出所:Daimler)
StreetScooter車は小型ボンネット型の100%EV
トラックだ。本年は展示ブースも前回より広大、各方
面の用途をカバーすべく車種も拡充して発展しつつあ
る姿を披露した(表3)
 既存メーカーの中ではボルボグループが過去10年
以上に亘る市場での実用試験を通じて製品化にこぎ
着けたモデルの発表(ルノーブランド)や様々な形態の
V大型路線バスも披露した。給電を架線から行う方
式の車も展示した。
 一方、グループ全体として大型トラックで世界最大
の規模を示すダイムラー社は、足元のEU圏内外に
おけるMercedesBenz車のEV化への意欲を示し
た。今回発表したのはeActros車で、6×2の都
市内・郊外地域の集配業務で活用されることを想定し
ている。この原稿を執筆中にDaimler社から受けた
ニュース発表によれば、10月に入ってこのeActros
車はのバン型架装されてドイツを始め欧州で有力な
スーパーマーケットでの配送用途向けに納車が始まっ
たとある。
 メルセデス・ベンツの商用車はバンから大型トラッ
ク、更に小型から大型に至るバスにも広く商品展開を
行っており、夫々にEVモデルを追加することを示した。
(表3)独StreetScooter車主要諸元
出典:StrretScooter社HP(詳細は下記URLから参照可能)
https://www.streetscooter.eu/wp-content/uploads/2018/09/broschuere̲EN̲A41̲komprimiert-3.pdf
Box Pickup キャブ付きシャシ
WORKXL
型式 WORK WORKL WORK WORKL WORK WORKL WORKXL
LiIon [kWh] 2040 40 2040 40 2040 40 76
(注 1):1
航続距離(㎞)
101205 185 101205 185 101/205 185 200
最大積量[㎏] 720/585 905 720585 890 900765 1,135 1,150
荷室容積 4.3 8.0 20
最高速度[km h] 85←←←←←90
(注 2)価格 €[外税]
35,950
40,950
45,450
33,950/
38,950
43,450
31,950
36,950
41,450
(注1)NEDC:NewEuropeanDrivingCycle 新欧州運転モードに準拠した測定法による数値。
    実際の数値は運転条件により異なる場合あり。
(注2)価格はStreetScooter社による標準仕様車の工場渡し価格。

TheTRUCK2018年11月号44
HYUNDAI現代自動車のFCEV燃料電池電動車。IAA会場には出展しなかったが、プレスデイの夕方に記者発表を行いスイスのトラッ
市場に投入することを明らかにした(出所:Hyundai)
VOLVOの架線から給電を受ける方式のEV電動車ドイツ国内アウトバーンで建設中の給電用架線(例)
電動車向けインフラ整備の事例
 筆者がプレスデイに向けて独中南部のカールス
ルーヘ市からハノーバー市に向けてアウトバーンを移
動中に目撃した、給電用空中複線架線のほぼ完成し
た区間の新設をみても、大型商用車の一部で様々な
形態のEV車が実用化に向かっていること、時代は確
実に変化している様が実感された。
現代自動車、燃料電池車で
欧州市場に参入、電撃発表
 現代自動車の商用車部門は出展はしなかったが、
プレスデイの夕方にプレスセンターと一体になった会
議棟の一室で、燃料電池車で欧州市場に参入する計
画を電撃的に発表した。
 それによると、2019年から2023年にかけて欧
州域内で燃料電池による電動トラック1000台を稼
働させる計画という。市販のFCEV車としては世界
初となる。航続距離は実用条件で400㎞が見込まれ
ている。
 当日の発表によれば、スイスのH2エナジー社と
覚書を交わして2019年から向こう5年間に燃料電池
による大型電動トラック1000台を市販する計画とい
う。これに伴い、水素供給網も両社で整備する。
世界の商用車ショー研究

TheTRUCK2018年11月号45
MercedesBenzActros車の在来型アウトサイドミラーの例。彼の地は左ハンドルで右側キャブ直下と右前直下の死角を監視
する大きなミラーが必要
ディジタライゼーション及び
コネクティビティ
アウトサイドミラー
デジタル化でカメラに
大型トラックの側面及び後方視界の確保はこれまで
キャブ外側のミラーに専ら頼ってきた。乗員の体格で
微妙な視角調整が必要で、煩わしく悩ましいものだっ
た。車両に関わるディジタル化の技術はこのアウトサ
ドミラーを小さなカメラに置き換え、キャブ内部のモ
(表4)現代自動車による「燃料電池トラック」主要諸元
項   仕  様
車両種別 4×2 カ
車両総重量 18レーラ連結時GCW 34
全長 9,745㎜
全幅 2,550㎜
全高 3,730㎜
ールベー 5,130㎜
航続距離 400㎞
水素再充填時間 7
水素容量/圧力 32.86㎏ H2 350bar
燃料電池ス出力 190kW(2 × 95kW)
駆動モ
350W/3,400Nm
(471PS 3461kf346㎏ fm)
安全装備
前面衝突回避シス
車線逸脱警報シス
(出所:現代自動車)

TheTRUCK2018年11月号46
MercedesBenzActros車で採用されるディジタル化した側後
方視界モニター用カメラ。キャブ右側直下はなお死角が残るの
で、ミラーを併用している。なお、キャブ内は左右のAポスト下
部にモニター画面が装着される
ニターに見易い画面として映し出す方式が現れた。メ
ルセデス・ベンツの大型トラックに搭載されて展示さ
れた。
ダウンタイムの極小化
ディジタル化は、他方で車の可動部分の保守整備の
適正化によるダウンタイム(稼働出来ない時間)の極
小化に効果を上げている。定期整備の時期を逸する
ことなく事前に整備時期を知らせる機能、万一不具合
が潜在的に発生して臨時の整備が必要ならこの情報
を知らせる機能、乗員への知らせと同時に車両管理
者への遠隔報告(インターネットのコネクティビティ:つ
ながる機能を活用)などは実用化されている。
燃費向上策にもディジタル化が
 今後、自動車全般に一層の燃費向上策が求められ
るのは大気温暖化の抑制が最大課題であり、排出ガ
ス中のCO
削減規制が強化される方向にある。
 電動化への流れでEV車の割合は増大することは間
違いないとして、内燃エンジン車が過半を占める見通
しは向こう10〜15年間に逆転することはない、と
いうのが欧州でも一般的見通しだ。
 そこで、ハード的には車両の一層の軽量化が進む
筈だが、効果の大きい運転支援システムの普及が有
望視されている。これは運転の自動化とも関連する
が、従来も一部で実用化が始まっているクルーズコン
トロールの高度化といえよう。
 交通状況を監視しつつ、走行ルートの地形情報を
読み込みコースティング(惰行走行)を有効活用する
パワートレーン制御を行うシステムだ。別の言い方を
すれば、下り坂にかかったらその勾配と走行速度をシ
ステムが監視しつつ、エンジンブレーキを選択すべき
(この間、エンジンは燃料無噴射となって燃料消費
は一時的にゼロとなる)、そのままでは車速が低下し
て再加速の必要がある(燃料消費を増加させる)なら
ギヤをニュートラルにして惰行を選択すべきか、或い
は勾配によっては車速が増してエンジンブレーキ以上
の速度抑制が必要でリターダーを作動させるべきか、
などを判断して制御するシステムが既に開発されてお
りこれを実車に普及させようとする動きが各社で進ん
でいる。こうした技術もディジタル化の一環と捉えら
れている。
(次号に続く)
世界の商用車ショー研究

日本では極めて珍しいルーフCTR3.残念ながら右ハンドルだ。
トヨタ・ヤリスWRC。今年3連勝しているマシンである。
TheTRUCK2018年11月号54
 本年も恒例となった東京モーターフェスが2018
年10月6日から8日の3日間、東京お台場地区で
開催された。(一社)日本自動車工業会が主催し東京
モーターショーの非開催年にも車にもっと親しんでも
らおうと行われるが、今年は規模も拡大してエンター
テインメント満載の楽しいイベントとなった。テーマは
「胸に、ぎゅんとくる。で今回は多少台風による風
の影響はあったものの3日間好天に恵まれ、屋外イベ
ントとしては大成功である。3日間の来場者数は予想
を大きく上回る21.8万人となり盛況に終了した。
 筆者は中日の10月7日昼頃に視察させていただ
いたが、日曜日にもかかわらず、りんかい線はラッ
胸に、ぎゅんとくる
“東京
予想を大きく上回る来場者で
くるまレポート

ルマン24時間レース優勝車、トヨタTS050ハイブリド。
TheTRUCK2018年11月号55
シュアワーのように混みあい大井町では乗るのを諦め
て次の電車を待つ外国人の乗客も見られるほどだっ
た。東京テレポート駅を降りるとホームから出口に向
かうエスカレータも長い行列ができ、特に急がないの
で待っていたら列が終わるまで3分も待たされた。
改札を出て眩しい陽射しの中第1会場に向かう通路
にはハイパフォーマンス車展示があり、ポルシェ、
ロータス、マセラーティなどが置かれていた。この中
でポルシェは普通のモデルではなく、ドイツのチュー
ニングメーカーであるルーフ社のスペシャルモデル3
台が並べられた。一見すると旧型のポルシェが並ん
でいるように見えるが、中身は750psのCTRとい
う別格のモデルだったり、さらにすごいのは国内では
筆者も初めて見たCTR3という8千万円級の特別生
産モデルがあったことだ。筆者は6年前にルーフ本
社工場を訪れてこの車の生産現場をじっくり見せても
らったが、ポルシェ911をベースに手作りで入念に
組み上げられる姿を見て感動したことを覚えている。
会場に入る前に少し時間をとってしまいようやくメイン
(といっても第2会場も見どころ満載なのでどちら
がメインと決めつけられないほどだが)第1会場に着
いてメインステージ前でのアトラクション走行の迫力
を楽しみ、昭和から平成の名車展示を懐かしみながら
試乗会場を覗く。ホンダNSXなどの普段乗れない車
モーターフェス2018”
賑わった屋外イベント
本誌レポーター:
岡雅夫

日野プロフィア・ハイブリド。一見ハイブリドには見えない。
TheTRUCK2018年11月号56
もあるが、一般来場者も普段乗ったことのない大型ト
ラックも3台試乗車として用意されていた。ふそう、
UDのカーゴいすゞのダンプである。公道試乗なの
で運転は出来ないが、第2会場に用意されたドライ
ビングテクニック体験コースで大型トラックの運転が
できるともっと感動が増えると思うのだが。
 さて隣の第2会場には様々な体験コーナーが設け
られ待ち行列も絶えないが、ドライビングテクニック
体験コースの脇にはWECスポーツカーレースのルマ
ン24時間優勝車トヨタTS050が並べてあった。そ
の手前にはWRCで今年3連勝したトヨタYARISも
あった。どちらも想像より大きな車体のため迫力満点
である。
 第2会場にははたらくクルマ展示があり、大型4
社が展示を行ったが、日野は3台でうち1台は大型
車プロフィアでグリルが黒く塗られておりステッカーも
ないのであまり目立たないようにしていたが、説明パ
ネルを見ると来夏発売のハイブリッドであった。実車
もリヤフレームをのぞき込むとしっかりリチウムイオン
電池が装備されていたので間違いない。いすゞはミ
リムシバイオ燃料路線バスを展示していた。実際い
すゞの工場と駅を結ぶ社員などの輸送で稼働している
という。UDトラックスは中身がこの秋発売の新8リッ
ターエンジン車かと期待したが、従来型の11リッター
車であったのはややがっかりだ。ふそうは大型観光バ
スを並べ多くの来場者が乗り込んでいた。日野は他
にもドライビングテクニック体験会場で最新大型観光
バスの運転手身体トラブルによる事故防止システムの
体験試乗を行っていた。ドライバーにもしもの異常が
あった時に素早く車を停止させる仕組みである。また
日曜日には狭い第1会場ステージ前コースでWRC
ヤリスが自工会会長並びにトヨタ自動車社長の豊田章
男氏のドライブでタイヤスモークをあげながら全開走
行するという演出まで行っていた。初日にはソフトバ
ンクの孫社長も会場に足を運んだり、豊田会長とマ
ツコ・デラックスのトークショーも行われるなど広報的
にも盛り上がるイベントとなった。
 開催場所が同じことから「モータースポーツジャパ
次世代自動車◇ニュースくるまレポート

いすゞのミドリムシバイオ燃料バス。世界初のDeuSEL燃料を使う。
UDトラックス・クオン。現行のGH11エンジン車。
TheTRUCK2018年11月号57

ふそうの大型観光バス。
こんな高級スポーツカーも痛車になってしまう。アウディR8.
東京テレポート駅前に置かれたランボルギーニ・アヴェンタドール。
働くるまコーナーに置かれた警視庁のフェアレディZ。NISMO仕様である。
TheTRUCK2018年11月号58
ン」とイメージがダブってしまうことがややもすると心
配されたが、今回はとにかくこれでもかという程盛り
だくさんの企画と新型車のみならず懐かしのクルマ展
示で充実したクルマイベントとして次回も見に行きた
いと思わせる内容となった。会期は3日間と短いが
季節外れの暑さにも見舞われ、内容の幅広さを考え
ると運営もかなり大変だったろうと想像されるが、多
くのお客様の来場で苦労も労われたと思われる。
くるまレポート

ホンダのアシモ型幼児用遊具。女性が開けている隙間から乗り込む。
豊田彰男会長とマツコ・デラックスの
トークショー、してゲストの孫社長。
会場内に置かれた大型ジェネレータも大活躍である。
日野のドライバーエマージェンシーストップ実演テスト車。
TheTRUCK2018年11月号59

TheTRUCK2018年11月号62
国際総合包装展「TOKYOPACK2018」は東京ビッグサイトで開催された 多くの関係者が来場する「TOKYOPACK2018」の受付ブース
「考えよう 地球をまもるパッケージ」をテーマに開催された「TOKYOPACK2018」の会場
包装の最新情報が一堂に集まる
「TOKYOPACK2018」特設コーナー
包装分野最大の
「日本パッケージングコンテスト2018」
に見る
物流近代化に貢献するパッケージ
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号63
会場内に設置された「日本パッケージングコンテスト2018」の特設展示
コーナー
コンテスト入賞の包装関連製品の数々が特設コーナーに展示された
 最新情報が一堂に集まる国内最大の国際総合包装展
「TOKYOPACK2018(2018東京国際包装展)」が
2018年10月2日㈫〜5日㈮の4日間、「考えよう 
地球をまもるパッケージ」をテーマに東京ビッグサイト
で開催された。
 TOKYOPACKは、さまざまな包装資材・容器と包
装機械を中心に、調達から生産、物流、流通、販売、消費、
廃棄・リサイクルに至るまでの分野を網羅した国際総合
包装展である。開催目的は、包装に関連する分野での生
産・包装・流通の技術振興を図るもので、商談や交流と
包装の最新情報を発信する場となる。
 同展は、1966年に東京・晴海で第1回が開催されて
以降、隔年の開催で今回が27回目(52年目)となった。
出展分類の内訳としては、「包装資材・容器」が約35%、
次いで「包装機械」が約24%を占めており、その他、調
達から生産、物流、流通、販売、消費、廃棄・リサイク
ルに関連する製品や技術が出展していた。
 主催は公益社団法人日本包装技術協会(Japan
PackagingInstitute=JPI)で、後援は経済産業省、
日本商工会議所、日本貿易振興機構、日本生産性本部、
世界包装機構、アジア包装連盟、日本包装機械工業会、
日本マテリアル・ハンドリング(MH)協会、東京ビッグ
サイトで、包装関連約100団体が協賛している。
 会期中の来場登録者数は62,488人となった。ちな
みに来場登録者数とは、同展受付で来場登録をした人数
で、会期中に複数回にわたって来場しても、カウント数
は1名となる。なお、各ゲートに設置されたセンサー
による通過人数をカウントする入場者数では約20万人
となった。なお、次回TOKYOPACKは2021年2月
24日㈬〜26日㈮の3日間、東京ビッグサイト東展示
棟で開催される予定となっている。
 会場内には「日本パッケージングコンテスト2018」
入選作品が一堂に展示される特設コーナーが用意されて
いた。今月号では、その中から輸送に関連する製品を抜
粋して紹介する。
 同コンテストは、優れたパッケージとその技術を開発
普及することを目的に、TOKYOPACKを主催する日
本包装技術協会が毎年実施しているもので、わが国の包
装分野における最大のコンテストとなっている。
 日本のパッケージの最高水準を決定するこのコンテス
トは、材料、設計、技術、デザイン、ロジスティクス、
販売促進、アイデア、環境対応、適正包装等のあらゆる
機能を審査し、食品部門、医薬品部門、化粧品部門、電気・
機器部門、日用品・雑貨部門等から年間の優秀作品が選
定され、最高賞のジャパンスター賞をはじめ入賞作品の
すべてに優秀の証としての“GPマーク”の使用が許可さ
れることになる。審査にあたっては、消費者のための包
装を考え、その機能を満たし、かつ包装の容積、重量、
コストの軽減による省資源化、省力化の要請に応じた商
品別適正包装で特に優れたものや、改善努力の著しいも
の、また、これらの条件に加えて、輸送の分野において
物流近代化に寄与するシステム志向も重視される。
 同コンテストの最大の特長は、個装から外装まで、
生活者包装から輸送包装に至るすべての“デザインか
らロジスティクスまで”を網羅しているところにある。
その意味もあり、一般の人に包装の大切さや技術の進
化を知ってもらうイベント「暮らしの包装商品展(日本
包装技術協会主催)の会場でも入賞作品の一部を公開

TheTRUCK2018年11月号64
製品への理解度を高めるための“触れる”コーナーも用意されていた
入賞製品は業態別に分かりやすく展示されており、目的の入賞品を見つ
けるのに便利だ
『“aibo”パッケージ』【経済産業大臣賞】
ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペ
レーションズ㈱/ソニー㈱/大塚産業マテリアル
㈱/㈱ツジトミ/㈱フェニックスエンジニアリング
AIロボットという“生きもの”を包装する新たな包装形態
を提案。環境を考慮し、「市場回収PETボトル」を50%使用
したPETが使用されている。フェルト成型によりaiboを袋
等に入れて隠すことなく保護することで、開けた瞬間の「生命
の誕生・出会い」を演出。今後の包装スタイルの発展・普及を
視野に入れた提案となっている。
している。
 同コンテストの受賞作品は、アジア包装連盟(APF)
が主催する「アジアスターコンテスト」、世界包装機構
(WPO)が主催する「ワールドスターコンテスト」ヘの出
品資格が得られ、アジアスター賞、ワールドスター賞
をめざして世界各国からの作品と競い合うことになる。
 日本パッケージングコンテストの各賞としては、経
済産業大臣賞をはじめ、経済産業省産業技術環境局長
賞、経済産業省製造産業局長賞、日本商工会議所会頭
賞、日本貿易振興機構(ジェトロ)理事長賞、公益財団
法人日本生産性本部会長賞、公益社団法人日本パッケー
ジデザイン協会賞、公益社団法人日本マーケティング
協会会長賞、公益社団法人日本グラフィックデザイナー
協会賞、公益財団法人共用品推進機構理事長賞、消費
者団体推薦賞、公益社団法人日本包装技術協会会長賞
があり、さらに部門別に、テクニカル包装賞、適正包
装賞、パッケージデザイン賞、アクセシブルデザイン
包装賞、ロジスティクス賞、食品包装部門賞、菓子包
装部門賞、飲料包装部門賞、医薬品・医療用具包装部
門賞、トイレタリー包装部門賞、日用品・雑貨包装部
門賞、贈答品包装部門賞、POP・店頭販売包装部門賞、
輸送包装部門賞、電気・機器包装部門賞、工業包装部
門賞、大型・重量物包装部門賞と幅広い内容での各賞
が用意されている。なお、今年は135点の製品、改善
技術などが入選している。
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号65
フォークリフト用リアアクスルハブ輸出
用包装改善』【大型・重量物包装部門賞】
㈱豊田自動織機/刈谷紙器㈱
フォークリフト用リアアクスルハブの包装は、これまでモ
ジュールサイズ外装に4段36個で収容していたが、デッ
スペースが多いため収容効率の改善を図る必要があった。上
下互い違いに製品を収容することで、3段で36個を収容可
能にし、また製品が直接荷重を受ける強度が要求されていた
ため、上部のクリアランスを無くし、モジュールサイズ高さを
半分にすることを可能にしている。
『段ボールのバネ性を利用した“潰れない”緩衝仕切』【経済産業省製造産業局長賞】
TOTO㈱
ウォシュレットは様々な国へ出荷されている。包装は以前より段ボールを使用してきたが、海外の輸送環境でも商品を保護し、
届けることが求められ、「従来品より強度があり、且つ過剰にならない包装」を目指して開発されている。この段ボール緩衝材は
これまでの定説の弱点であった「一度衝撃を吸収すると潰れて、その機能を失う」を覆し、折り重ねる構造でバネ性を作り、復
元性のある緩衝材となっている。

TheTRUCK2018年11月号66
『スリップマスター開発』
【ロジスティクス賞】
㈱デンソーロジテム/中津川包装工業㈱
従来スリップシートに大きな段ボール箱を載せてユ
ニット化していたが、組み立て時間、作業スペース等
の課題があった。そこで箱とスリップシートを一体化し、
ワンタッチで組み立てを可能とし、組み立て作業性、
部品の保管、持ち運びを改善することで、狭い場所で
の作業も可能としている。またスリップシートは段ボー
ル製で、リサイクル性にも配慮されている。
『超軽量ワンウェイパレット「ロジパレ」』【大型・重量物包装部門賞】
日本モウルド工業㈱
現在、輸送用パレットは木製や樹脂製が大半で、紙製は数%である。循環パレットの利用や、木製ワンウェイパレットの廃棄
処理等を考えると、リサイクル可能な紙製ワンウェイパレットが有効である。このパレットは天板にハニカムボード、桁材に撥水
パルプモウルド、底板に段ボールシートを使うことで、軽量かつ強度のある紙製パレットを実現させている。
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号67
『約1トン!ロール製品のオール段ボール宙吊り包装』【大型・重量物包装部門賞】
日東電工㈱/中津川包装工業㈱
液晶パネル用材料(ロール製品)は、従来スチール製リターナブル包装だった。運用管理の削減、リサイクル性の向上、トー
タル物流コストの削減を目標に、ワンウェイのオール段ボール包装を検討した結果の製品である。製品を軸受け両端で支える宙
吊り構造とし、倉庫で4段積みが可能な強度、フォークリフト2段積み荷役も可能な曲げ強度を持ち、スチール製と同様の運
用を可能にしている。

TheTRUCK2018年11月号68
『ハイブリッドカー用バッテリーの包装改善』【ロジスティクス賞】
プライムアースEVエナジー㈱/中央紙器工業㈱
ハイブリッドカー用バッテリーの包装の材料削減による軽量化を実現し、突起部をケタ部分と重なるような工夫により輸送効率
の向上に取り組み開発されている。従来の製品の固定構造を活かしつつ、製品の固定箇所を最小化し、材料を削減している。
また、特殊ロック形状によりパレット側面フラップが自立し、作業性も向上している。さらに類似形状製品も汎用可能となっている。
『大型モニター用通箱』【大型・重量物包装部門賞】
日通NECロジスティクス㈱
事務所等の移転・移設に伴う大きさ・形状の異なる大型液晶モニター(30〜55inch、40㎏max)を収納・輸送するため
の大型モニター用通箱。底部トレイに製品を20㎝持ち上げるだけで載せることができ、トレイ上に製品が自立するため一人で
の作業が可能で、後はベルト3本を締めるだけでトレイへの設置作業が完了する。上下分離型のケースとなっている。
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号69
『パーツを組むだけ大型プリーツ形
状製品の集合装』【包大型・重量物
包装部門賞】
日東電工㈱/中津川包装工業㈱
ブリーツ状の大型フィルタの梱包は、0301型段
ボール箱に収納後パレットに4段積みし、胴枠と蓋に
よる集合包装のため包装材も大型で部品点数も多く、
保管スペースも要していた。今回L型枠により従来の
2箱分の高さとし、パレットへの積み段数を2段にし
ている。その結果、作業工数を45%、部品点数も
14点から8点、材料費も20%、保管スペースを
50%削減することができる。
『製品包装3R化を実現したエアコン用
圧縮機のリターナブル梱包』【大型・重量
物包装部門賞】
三菱電機エンジニアリング㈱/三菱電機㈱/王子
インターパック㈱
中国で生産され日本に輸入しているエアコン用圧縮機に用い
る梱包部材をリターナブル化したもの。これにより、①海外輸送
環境に適合する材料の開発、②返却時の収容性に考慮しスリー
ブを折り畳み可能に、③紙管で直接圧縮機を固定し、機能と作
業性を両立、④圧縮機の機種シリーズで仕様の共通化を図り、
221t/年の廃棄物、129t/年のCO
削減を実現させている。
『輸出アルミ形材梱包木箱のハイプル化』
【大型・重量物包装部門賞】
王子インターパック㈱
輸出用長尺アルミ材は長さ約3.7m、重量約40㎏の木箱
で出荷していたが、作業性、安全性、コスト削減を目的にハ
イプル化させている。この結果、①軽量化によりクレーンを
使わず空箱の準備が可能、②ささくれによる怪我の発生防止、
③軽量化と安全性向上により女性も作業可能、④近隣から材
料が調達可能となりリードタイム短縮と材料コスト削減を実現
している。

TheTRUCK2018年11月号70
SHIMANAMIPACK2018の専用ホームページ
来場エントランス。この奥にレジストレーションがある
問題解決型の商談展示会
環境変化やニーズの多様化に向けた
解決できるヒントアイディアを紹介
中四国地区最大の包装展
「SHIMANAMIPACK2018」
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号71
来場者の問題を解決するためのプレゼンテーションセミナーが8つ開催された
 中四国地区最大級の総合包装展として知られる
「SHIMANAMIPACK(しまなみパック)2018」が、
2018年10月17日、18日の2日間、広島県福山市
にある展示会場の福山ビックローズで開催された。
 今回のテーマは「パッケージと機器の“魅力”で解決で
きることがある」で、2012年から年1回開催され、今
回が7回目となる。主催はしまなみ包装展事務局で、前
回(2017開催展)に引き続き、㈱コバックス(福山市)
㈱タニモト(高松市)が特別協賛する形となった。出展社
数は過去最大の155社で、会期中の来
場者数は約3,000人を記録した。
 しまなみパックは、流通・中食・加工・
外食・卸・商社などフードビジネスシー
ンにおいて大きな役割を担う企業がそ
の取組みや製品などを展示し、食品製
造会社、農協関係者、食品を扱うスー
パーや商店など食品業界関係者が来場
者となる、商談ができるB2B型展示
会である。会場には、常に進化し続け
るフードビジネス市場における最新の
パッケージや食品包装加工機器、厨房
機器などの活用方法、売場における販
促や売場作りに関する情報、メニュー
作りや衛生管理、食事方法に関する新
素材や新機能商品、新しい知識や役割
提案など、数多くの関連商品が集まっ
ていた。
 主催者が企画する「情報発信ゾーン」
は、外部環境の変化や多様化する顧客
ニーズへ向け、解決できる“ヒント”や
“アイディア”が紹介されていた。具体
的には、「機能性パッケージ」「生産性アッ
プ」「衛生管理」「体験コーナー」の4つの
視点から関係商材などを提案し、パッ
ケージと機器の機能性を活かした展示が
行われていた。
 また、来場者の課題解決を目的とした
出展社によるプレゼンテーションセミ
ナーも会場内の特設コーナーで実施され
た。会期中2日間にわたり「衛生用品・
ユニフォーム」「販促システム」「機械・機
器」「容器・紙器」の分野から8つのセミ
ナーが行われ、多数の来場者が参加して
いた。
 なお過去の開催実績は、①「SHIMANAMIPACK
2012」(平成24年10月開催)…テーマ「もっとスピー
ディーでたくさんの包装(パッケージ)情報をお届けす
る」、出展社90社、来場者数1,512人、②「SHIMANAMI
PACK2013」(平成25年10月開催)…テーマ「あなた
の欲しい商品・情報がある」、出展社115社、来場者数
1,773人、③「SHIMANAMIPACK2014」(平成26年
10月開催)…テーマ「企業がつながる。アイデアが広が

TheTRUCK2018年11月号72
角部破れ対策形状『みぞまる』
王子コンテナー㈱
青果物用外装箱で行われる「風車組み」での天面封緘時に、天面角部が切り裂けないように角部に穴をあけて角部の破れ対策
を行った特許構造の段ボール箱。コーナー3〜4ヶ所にФ20㎜程度の穴(部分型使用)を開けることによりコーナー部の破れ
を防止できるもの。梱包前の「空箱の積み上げ作業」においても、天面角部の切り裂けを防止できる。また、底面に「みぞまる」
を採用することで、水抜き作業を効率よく行うことができ、下フラップの稜角に丸穴をつけることで、傾けて水抜きができる。
主な用途としては、青果物(レタス、キャベツなど)となる。この製品は、10月に東京ビッグサイトで開催された東京パックにも
出展され高い評価を得ている。王子コンテナーは、段ボールシート・ケースの製造販売での大手企業である。
る」、出展社116社、来場者数2,027人、④「SHIMANAMI
PACK2015」(平成27年10月開催)…テーマ「パッケー
ジと機器で解決できるものがある」、出展社125社、来
場者数2,232人、⑤「SHIMANAMIPACK2016」(平
成28年10月開催)…テーマ「パッケージと機器で解決
できるものがある」、出展社116社、来場者数2,508人、
⑥「SHIMANAMIPACK2017」(平成29年10月開催)
…テーマ「パッケージと機器のチカラで解決できるもの
がある」、出展社130社、来場者数
2,860人、となっている。
 今月号では、「SHIMANAMIPACK
2018」の出展の中から輸送関連の製
品をピックアップして紹介する。
展示会◇レポート

TheTRUCK2018年11月号73
機能性パッケージを紹介する主催者コーナー。来場者のユーズに応じたメーカーや商品を紹介するサービスを
用意していた
防音ボックス『FXシリーズ』
岐阜プラスチック工業㈱
軽量高剛性素材のハニカムサンドイッチパネル“TECCELL”を採用した吸音効果のあるフレキシブルタイプの防音ボックス。
ブースでは新発売となった「FX-1000/FX-1000HR/FX-1800」が展示紹介されていた。同製品は、あらゆる作業での
騒音対策に効果を発揮し、騒音の外漏れが気になる機器や作業現場をFX防音パネルで囲うことにより静かな環境を実現できる。
サイズバリエーションが豊富で、パネルを追加すればスペースに応じたアレンジも自由自在だ。また、発電機などエンジン付き機
器に対応する耐熱仕様の「FX-1000HR」もラインナップされている。なお、岐阜プラスチックは、昭和28年の創業で、物流
産業資材(コンテナパレット等)工業部品(家電自動車部品等)医療関連品、TECCELL(ハニカム構造体)などを扱っている。