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【対談】電気自動車大国の日本はなぜ立ち遅れてしまったのか

TheTRUCK2018年10月号16
対談
再エネ技術を輸出して
水素を大量輸入
先憂後楽を座右の銘と
する若き政治家
国土交通大臣政務官の秋本真利氏は、千葉市若葉区、佐倉市、四街道市、
八街市を選挙地盤(千葉県第九区)とする若き政治家(衆議院議員)である。
現在、自民党の青年局顧問、再生可能エネルギー普及拡大議員連盟事務局長、
航空産業振興議員連盟事務局次長等の要職にある。学生時代から政治家を志
し、地方議会の議員を2期8年務めた後、2012年(平成24年)12月の
第46回衆議院議員総選挙で自由民主党から出馬し初当選している。
今回、秋本政務官との主な対談テーマはFC(燃料電池)トラックの普及である。
FCトラック実現の為には、多量の水素が安定的に供給されなければならない。
その為には、ガソリンスタンドに代わる水素供給基地が必要になる。そこで、
「運送事業者が所有する車庫用地を、その供給基地として活用してはどうか…」
が筆者の持論である。秋本政務官はそのアイディアに賛同の上で、「再生可能
エネルギーと水素社会の実現を同じ次元で捉えて、もっとダイナミックに推進す
るべき」との提言があった。
近い将来、排ガスを出す車両は世界的に生産・販売が禁止になる。日本も
例外ではないので、経済を支えるトラックも早急に方向性を固める必要がある。
秋本政務官のような斬新な発想をもつ若い政治家に期待するところは極めて
大きい。
秋本真利氏(衆議院議員、国土交通大臣政務官)
聞き手:秋林路篤文(本誌)

TheTRUCK2018年10月号17
秋本真利国土交通大臣政務官(衆議院議員)
トラック運送業の
 イメージアップを
□秋林路 ご出身は成田空港
に近い富里市(千葉県)でいらっ
しゃいますが、私も同じ沿線(北
総線)の千葉ニュータウンで子供
を育てましたので、親近感が御
座います。
■秋 本 そうでしたか。電車の
便も今は良くなって、都心も近く
なりました。
□秋林路 そうですね。私が生活
していた20〜30年前は“陸の孤
島”と呼ばれる位不便な場所でし
た。
■秋 本 そうでしたか。千葉
ニュータウン、今はずいぶん発展
しました。
□秋林路 そのようですね。早速
本題に入りますが、先ずこれから
のトラック運送業界への期待など
お聞かせ下さい。
■秋 本 少子高齢化の問題
は、トラック運送業界に限ったこ
とではありませんが、若い方々が
魅力を感じて集まってくる業界に
なって欲しいと願っています。
□秋林路 確かにこの業界の人
手不足は深刻です。運送事業は今
でも3Kイメージが強く残ってい
ますが、大手宅配業者の中には、

TheTRUCK2018年10月号18
自民党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟事務局長も兼務
対談
トラックドライバーのユニホーム
をかっこ良くしたら、追っかけお
嬢さんも現れるようになったと聞
きました。やはりイメージづくり
は大切です。
■秋 本 国土交通省では「ト
ラガール」と称して、女性ドライ
バーさんの増進にも努めていま
す。今後もトラック協会と共同
開催している「女性ドライバー等
が運転しやすいトラックの在り
方検討会」や、ホームページでの
発信等で、環境整備に努めるつ
もりです。
□秋林路 トラック運送は地域
を離れる仕事ですから、女性には
不安もあるようです。とくにドラ
イブインなどでは仮眠室、シャ
ワー室、化粧室などが整っていな
いところもあるようですし、荷役
作業が伴う現場も難しい。
■秋 本 荷主さんのご理解も
必要です。機械荷役への転換によ
り荷役作業を軽減すれば、女性や
高齢者も働きやすくなります。
□秋林路 この業界は平成2年か
ら実施した物流二法で自由化に踏
み切っていますが、弱小零細業者
の多い業界ですから、運賃なども
しわ寄せを喰らい易い。荷主も価
格では、同業他社と競争関係にあ
りますから、少しでも物流コスト
を抑えて、価格競争力を高めよう
とします。その結果、しわ寄せが
弱者に向かうのですが、管理体制
の低下は安全にも影響することに
なります。
■秋 本 ドライバーさんの健
康管理を怠って、悲惨なバス事故
も発生していますが、トラックも
他人ごとではなく、安全性の向上
にしっかり務めてもらいたいと思
います。
□秋林路 ただ、トラック協会も
運送が消費者に直結するライフラ
インであることをPRして理解を
求めていますし、国も税制や高速
道路の通行料金など優遇措置を講
じていますので、環境・安全に対
する意識は向上しているように思
います。
■秋 本 今年は全国的に大規
模な災害が多発しましたが、緊急
物資輸送で最初に活動して頂くの
はトラックです。このことから
も、トラック運送がライフライン
に直結していることが良く分かり
ます。
□秋林路 ある意味では皮肉な
現象ですが、ドライバー不足で物
が届けられない現実が出て参りま
したので、最近は荷主も運賃の値
上げ交渉に応じるようになってい
るようです。適正運賃が収受でき
るようになれば、ドライバーの給
料も上げることが出来るようにな
るし、ドライブインなどのインフ
ラも良くなってくるので、働きや
すい業界として人気度も上がって
くると思います。
■秋 本 トラック協会さんも
働き方改革などで、ホワイトイ
メージを訴えておられますので、
国土交通省としても、その点を最
大限支援して、一緒にやっていき
たいと考えているところです。
FCトラックの普及も水素
 社会実現の一環として

TheTRUCK2018年10月号19
談笑する秋本真利政務官と本誌・秋林路
□秋林路 やはり行政の力は大
きい。国家的見地からも、トラッ
ク運送事業の安定化は必要不可欠
だと思います。
 次に、本誌が大きなテーマとし
て取り組んでいますのが、CO
削減を柱とする“環境”です。
トラックは主に化石燃料を燃や
して走っていますので排ガスが
出ます。この排ガスは国際的に
も厳しい排出基準を定めていま
すので、メーカーもエンジンの
クリーン化に取り組んで来まし
たが、そのコストは車両価格に
転嫁されているのでユーザーが
負担しています。トラックは新
型車が発売される度に価格が上
がっているのですが、その殆ど
は環境対策です。
 ところが、ここに来て世界の
国々は排ガスを出す車両の生産・
販売を禁止する方針を打ち出して
います。日本はその目標が2050
年ですが、他国はもっと早くス
タートします。トラックも既にグ
ローバルマーケットになっていま
すので、地域によっては2030年
頃からは排ガスを出すトラックは
輸出できない事態に直面すること
になります。そこで本誌が注目し
ているのが、FC(燃料電池)トラッ
クです。
■秋 本 所謂、水素の活用で
すね。私は再生可能エネルギー普
及拡大議員連盟の事務局長ですの
で、とりわけエネルギー問題に
は関心をもっております。“FCV
(燃料電池自動車)を中心とした水
素社会実現を促進する研究会”に
も、再エネ議連事務局長として会
議に出席することがあります。
□秋林路 FCは2020年の東京
オリンピック・パラリンピックを
睨んで、都バスがFC化を進めて
います。大型車両のFC化は、バ
スが先行していて、トラックはま
だ一台も走っていないのですが、
私は諸外国に先駆けて、日本がト
ラックのFC化を進めるべきだと
考えています。
■秋 本 おっしゃる通り、再
エネと水素は相性が良いので期待
しています。ただ、ひとつ問題な
のは、例えば太陽光を活用して水
素を作ったとしても、FCはそれ
を再度電気に戻して使用するの
で、エネルギーロスが相当ありま
す。エネルギー効率的には、ダイ
レクトに使用する事が一番ロスを
小さくできますが、そうした利用
方法を増やすことが肝要です。再
エネに関係なく生産される水素も
相当量あるので、その活用も有効
だと思います。
 日本が目標としている乗用
車、バス、トラックが使用する
水素の量を、再エネ由来の電気
で発生させようとすると、そん
なに大きなエネルギーは必要あ
りません。水素社会は、水素の
価格を下げて需要を上げてゆく
必要があるので、抜本的には石
炭やLNGの代わりに水素をダイ
レクトに燃やして発電する、い
わゆる水素発電等の技術が出来
ないと、水素の使用量が大きく
ならないので価格も下がらない。
 経済産業省は2030年までに80
万台のFC化を進めると言ってま
すが、この程度の車両台数でし
たら、ほんの少しの電気で水素
を発生させれば賄える量です。
国が目標としている水素社会を
実現する為には、FCだけではな
くて、エネルギー全体の視点が
必要です。
□秋林路 FC化を必要とする元
は環境ですよね。トラックもバス
も乗用車も電気で動くことになれ
ば、CO
削減に大きく貢献するこ
とになります。

TheTRUCK2018年10月号20
保安基準に沿って特殊なボンベで水素を補完
対談
■秋 本 統計から見ても分か
る通り、運輸関係が占めるCO
の排出量は、全体の17.9%、約20
億1500万トンですから確かに重
要な分野です。しかし、水素社会
という大きな目標からすると、一
分野だけで削減するのではなく、
国全体として社会構造を変えて行
かないと早期の達成は難しいと思
います。
□秋林路 確かに、水素にエネル
ギー転換をはかる為には、大量消
費でのコスト低減が必要です。た
だ、自動車は排ガスを出すエンジ
ンが使用出来なくなる時期が見え
ていますので、目標を立てて電気
化を進める必要があります。中で
もトラックはまだ1台もFCが実
現していませんので、実用化を急
ぐ必要があると思います。
■秋 本 それは、その通りで
すね。ただ水素社会を迎える為
には、社会構造も根本的に変え
てゆく必要があると考えている
訳です。
過剰な保安規制は
 見直しの必要も
□秋林路 FCトラックで最大の
課題は水素の供給方法ではないか
と私は考えています。一般車両は
国が補助金を出して水素スタンド
を計画的に建設していますが、物
流に使われるトラックは、車庫を
出発して車庫に戻る限定的な使い
方です。幸い、トラック運送事
業者は多くの車庫を所有してい
ます。この車庫の一部を水素供給
基地として使用するよう誘導すれ
ば、用地買収などのコストを掛け
なくても必要な数だけ基地をつく
る事が出来ると思います。
■秋 本 それは良いアイディ
アだと思います。国では、水素基
本戦略を定めFCトラックの普及
を目指しています。今年6月には、
トヨタとセブンイレブンがコンビ
ニ配送にFCトラックを活用する
プロジェクトを発表しました。水
素の供給やFCトラックのスペッ
クにはまだまだ課題はあります
が、しっかり取り組まなければな
りません。
□秋林路 その通りですね。この
初期段階にしっかり議論を重ねて
長期プランを構築する必要があり
ます。
■秋 本 水素は分子構造も小
さいので都市ガスのようにパイプ
で供給することも難しいと思いま
す。
□秋林路 そうですね。輸送する
場合も特殊なボンベが必要だし、
ガソリンのように大きなタンクで
長期間地下保存することも難しい
ようです。ですから生産から消費
までの流通を短縮するためにも、
トラックは車庫用地を供給基地と
して活用することが望ましいので
はないかと思う訳です。
■秋 本 水素も危険物ですか
ら、トラックの車庫用地を水素の
供給基地として活用するために
は、新たな法整備も必要かもしれ
ませんね。
□秋林路 その通りだと思いま
す。私は水素のボンベ輸
送や水素スタンドも実際
に取材しましたが、日本
は保安の面から非常に厳
しい制限が定められて
います。具体的には高圧
ガス保安法ですが、水素
社会の早期実現のために
は、これらの法令も見直
す必要があるのではない
かと思います。
■秋 本 実は、先般、
欧州を視察した際に、水
素スタンドも見て来まし
た。意外に思ったのは、
隣接してマンションがあ
るし、設備も簡素なもの

TheTRUCK2018年10月号21
秋本議員、洋上風力発電の視察風景
でした。日本は安全第
一ですから、保存容器
の設置場所や供給方法
も相当厳しく制限され
ているように思いまし
た。
□秋林路 水素は爆発
のイメージが強くて、
取り扱いの保安条件が
厳しくなっているので
はないかと思います。
確かに水素は引火性が
ありますが、正しく取
り扱えば安全な物質で
す。
■秋 本 欧州の視察
した水素スタンドはセ
ルフサービスなのです
が、取扱方法をスマホ
のアプリを開いてマス
ターしなければ、充填できない
ようになっていました。これは
アプリを通して、ユーザーに水
素の取り扱いを徹底している例
です。
□秋林路 確かに安全は絶対的
に必要ですが、厳しすぎると目的
とする社会構築の阻害要因になっ
てしまいます。
■秋 本 FCトラックを走らす
為の水素は、現在のタンクローリ
のように、輸送はトラック運送事
業者さんのお仕事になると思いま
すから、その事業者さんの車庫を
活用するのは良いアイディアだと
思います。その供給基地が一般に
も開放されれば、FC車普及にも
繋がると思います。
□秋林路 日本は技術力があっ
てコンパクトな国ですから、アメ
リカやロシア、中国のような大国
に比べて水素社会に転換しやすい
のではないか。再生可能エネル
ギーも同様ですが、日本が世界の
お手本になるような国づくりをし
て、その技術を輸出すれば貢献度
は高まります。地下資源を持たな
い日本が新しい時代に生き残る有
力手段ではないかと…。
■秋 本 水素社会をイメージ
して思う事は、例えば風力発電
など再エネ設備を発展途上国に
ODA等で援助して、その代わり
に相手国で生産した水素は日本が
全量買い取る。そうなると日本は
再エネで世界のCO
削減に貢献
することになるし、相手国との関
係をより深化させることもできま
す。日本がどこの国よりも早く水
素社会を実現することになりま
す。
□秋林路 それは素晴らしいア
イディアです。CO
削減は地球
全体の課題ですから、多面的に最
良の方法を導き出す必要がありま
す。原子力はエネルギー優先の政
策ですが、汚染物質の処理は未解
決のままスタートしました。それ
が3.11の津波事故の後処理でも問
題になっています。その意味では
再生可能エネルギーや水素の活用
は、日本の原子力問題も解決出来
る可能性があります。
■秋 本 その為にはしっかり
としたターゲットを国で定めて、
国民生活も再エネや水素による蓄
電エネルギーに切り替える必要が
ありますが、そこへ誘導するため
には税制や補助金などの優遇措置
が必要になります。
『先憂後楽』が座右の銘
□秋林路 ここまでFCトラック
の実現についてのお考えを伺って
参りましたが、最近の技術はAI
(人工知能)やIOT(モノインター

TheTRUCK2018年10月号22
トヨタがアメリカで実証実験中のFC大型トラッ
対談
ネット)などをベースに加速度的
に進化しています。自動車が自動
運転になるのは時間の問題だと思
うし、AI搭載ロボットが、現在
の職域を相当までカバーすること
になるのではないかと思います。
その意味で世界は今、産業革命以
来の大変革に直面していると思い
ますので、日本の舵取りは非常に
重要です。
■秋 本 その通りです。その意
味でも特に政治の役割、行政のあ
り方が問われる時代です。
□秋林路 最後に個人的な人と
なりについて少し伺いたいのです
が、昭和50年の生まれですので
現在43歳、私の息子よりも2歳
下になります。私の子供世代が政
治の中枢を担う時代になったこと
が感慨無量です。
■秋 本 そうですか。ご子息は
今どんなお仕事ですか。
□秋林路 自動運転とも関係が
ありますが、ブレーキシステム
を司る会社に勤務していて、今
ドイツに赴任しております。政
務官はどうして政治家を志すこ
とに?
■秋 本 矛盾や無駄な規制、
障壁を取り除いて、社会をより
良くしたいと思ったからです。
車に関係のある事で例えるなら
ば、私はモータースポーツが好
きなのですが、少し前まで日本
では、サーキットで車を走らせ
るには18歳になって免許を取得
してからでないとダメでした。
でも海外では、サーキットは公
道ではないので技術があれば年
令に関係なく車を走らせる事が
できます。モータースポーツも
練習の積み重ねですから、国際
レースでは海外勢と差がついて
しまいます。こういう矛盾はあ
らゆる分野にありますから、私
はそういう障壁を取り払って社
会を良くする仕事をしたいと思
うようになりました。それが具
体的には政治家に結びついてい
ます。
□秋林路 どんな組織でも体制
派と改革派の人が居ますが、改革
派の人は積極的に行動するように
思います。そういう意味では改革
派ですね。いつ頃からそのような
お考えに?
■秋 本 学生の頃から政治家
への想いは持っていました。目標
は40歳までに国会議員になる事
でしたが、37歳で実現しましたの
で、最初の目標を叶える事ができ
て、今も政治の仕事に大きなやり
甲斐を感じています。有権者に付
託して頂いて議員になったからに
は、国民の為により良い社会を創
る事が、次の目標です。
□秋林路 素晴らしい事です。座
右の銘に『先憂後楽』を掲げておら
れますが、しっかりした政治家の
心構えを感じます。
■秋 本 有難う御座います。政
治は私の仕事ではあるけれども、

TheTRUCK2018年10月号23
大型バスは既にFC車が走り始めている
対談を終えて
誰のために行うかというと、それ
は国民の為ですので、先ずはやる
べき事をしっかりとやる、その心
構えです。
□秋林路 日本も中国も先人は
良い言葉を残してくれています
が、若い政治家がこのような言葉
を座右の銘とされている事に感銘
を覚えます。
■秋 本 ご期待を裏切らない
ように頑張ります。(笑)
□秋林路 趣味やスポーツで何
か打ち込んでおられる事あります
か。
■秋 本 スポーツはもっぱら
観戦側です(笑)。あとは映画鑑賞
や旅行、それに先程申しました
モータースポーツです。年一回く
らいは富士スピードウエイで行わ
れるレースに参戦して楽しんでい
ます。
□秋林路 そうですか。プロレー
サーでモンスター田嶋(田嶋伸博)
さんとは親しくさせて頂いてい
て、来年6月、本誌が幕張メッセ
で開催予定の展示会にも電気自動
車普及協会の代表理事としてご支
援頂いています。
■秋 本 モンスター田嶋さ
ん、世界的な有名人ですね。私も
一度お目にかかった事があります
が、ご立派な方です。宜しくお伝
え下さい。
□秋林路 はい。色々ご縁は繋が
るものですね。これからの半世紀
は産業革命の何倍もの変化が訪れ
ると思います。しかも、物事は地
球レベルで動いていますから、政
治の役割は極めて重要です。若さ
は何事にも勝る力です。臆する事
なくご活躍されますことを願って
おります。本日はご多忙のところ
有難う御座いました。
■秋 本
 こちらこそ感謝致します。

株式会社rimOnO
代表取締役社長
伊藤慎介
神奈川工科大学
特別客員教授/博士(工学)
石川哲浩
TheTRUCK2018年10月号24
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫
電気自動車大国の日本は
なぜ立ち遅れてしまったのか
 世界は第4次電気自動車ブームに突入しているといわれています。ヨーロッパでは、ドイツの
自動車メーカーを中心に電気自動車への取り組みが加速しています。また、イギリス政府やフランス
政府は2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると発表しており、その流れに
呼応するように欧州各都市でガソリン車やディーゼル車を排除する動きが顕著になっています。
 中国では、NEV規制という電気自動車シフトを自動車メーカーに強いる規制が導入されており、
数々の電気自動車ベンチャーが誕生し、CATLを始めとして巨大なバッテリーメーカーやそれを
支えるサプライチェーンが構築されつつあります。
 電気自動車メーカーの代表であるテスラの苦戦が取り沙汰されているアメカですが、自動運転
やシェアングの流れに応じて電気自動車シフトが徐々に進んでいくことは確実とみられ ています。
 一方、電気自動車大国という名にふさわしい状況にあった日本はどうでしうか。世界で最初に
リチウムイオン電池の実用化に成功し、1997年には世界初のハイブリッド自動車であるプリウスを
発売するなど、バッテリー、電気自動車、電動車両においては常に世界の最先端をリードしてきた
のが日系メーカーでしたが、第4次電気自動車ブームに入ってからは、バッテリーの世界における
日系メーカーの存在感が圧倒的に薄くなり、海外と比べて革新的な電気自動車の発表が圧倒的
に少なくなっていくなど、むしろ世界から立ち遅れつつある印象が強まっています。
 そこでヨタ自動車において電動車両のパワーレインに約29年間携わり、数々の電気自動車
やハイブリドシステムの開発などに従事されてきた神奈川工科大学特別客員教授の石川哲浩様
をお招きし、自動車メーカーのエンジニアという立場を離れられた今だからこそ語れる電気自動車
の世界動向と日本の現状について伺ってみたいと思います。

図1:トヨタ自動車におけるEV・HEV・FCHV開発の歴史
TheTRUCK2018年10月号25
伊 藤 約10年位前までは電気自動車を含
めて電動車両の分野で世界をリードしていた
のは日本企業であり、技術的なことも含めて
優位性があったことは世界中でも常識であっ
たように思いますが、バッテリー分野での存
在感が低下し、電気自動車の分野でも海外の
ほうがイノベーティブな取り組みをしている
イメージがあります。そこで、トヨタ自動車
において電動車両のパワートレインに約30
年間取り組まれ、その後サムソンなど海外の
企業でのご勤務経験もある石川さんに色々と
伺っていきたいと思います。最初に、トヨタ
自動車も含めてこれまで取り組まれてきた
プロジェクトについてご紹介いただけないで
しょうか。
石 川 1982年にトヨタ自動車に入社して、
入社後2年目の1983年からトヨタ自動車の
東富士研究所で電気自動車の研究に従事してき
ました。1992年にカリフォルニア州でZEV
規制が制定されることになったことがきっかけ
で本社にEV開発部が設置され、その部署で量
産に向けた開発に取り組むようになりました。
トヨタ自動車で電気自動車、ハイブリッド自動
車そして2002年には小泉総理に納車した燃
料電池ハイブリッド自動車の開発に従事してき
ました。最後はプラグインハイブリッド自動車
を提案して量産化につなげていくところまでを
担当しました。
伊 藤 ZEV規制の制定よりも前にトヨタ自
動車が電気自動車に取り組んでいたというのが
驚きですが、何を目的として取り組んでいたの
でしょうか。
石 川 いずれは石油が枯渇する時代がやって
くることから、脱石油燃料に向けた取り組みを
しなければならないというのが目的でした。
テーマは3つあり、一つ目はガスタービン、
二つ目は電気自動車、三つ目はガソリンエンジ
ンの高効率化でした。私はその二つ目を担当す
ることになったのです。

図2:EV-20(1985年)【上】 EV-30(1987年)【下】
TheTRUCK2018年10月号26
脱石油を理由に
 ガスタービンエンジンまで開発
伊 藤 少し横道にそれますが、トヨタ自動車
がガスタービンに取り組んでいたということも
かなりの驚きです。なぜガスタービンがテーマ
として選ばれていたのでしょうか。
石 川 天然ガスを燃料にしてガスタービンで
発電して走るシリーズハイブリッド車を想定し
ていたのです。もちろんガスタービンエンジン
や発電機の技術はトヨタ自動車になかったので
東芝さんに開発をお願いしました。最初に開発
したのは二人乗りのスポーツカーに10万回転
のガスタービンエンジンを載せたシリーズハイ
ブリッド自動車です。東京モーターショーにも
展示しています。
伊 藤 クルマに搭載するにはガスタービン
エンジンはあまりにも高価ですので量産化ま
で実現することは難しいように思いますが、
なぜそれでも会社として取り組んでいたので
しょうか。
石 川 当時のトヨタ自動車では脱石油のため
に必要となる技術であればどういう技術であっ
ても開発すべきという高い志をもって全社で取
り組んでいました。近い将来にビジネスになる
かどうかという短期的な視点ではなく、将来に
必要となりそうな技術はすべて開発すべきとい
うことで豊田英二氏(第5代社長)と豊田章一
郎氏(第6代社長、現名誉会長)の肝いりで進
めていました。航空機エンジンのエンジニアも
採用し、テストコースで実際に走行させるとこ
ろまで開発しました。
伊 藤 そういう雰囲気だったからこそ電気自
動車にも取り組むことになったわけですね。
“手を汚す”経験があったからこそ
 初代プリウスを開発できた
石 川 最初に開発したEV-10という電気自
動車は鉛バッテリーを使い、モーターも今の
ような交流モーターではなく、直流モーター
でした。インバーターもIGBTではなく三相
チョッパでデンソーさんに担当してもらいま
した。しかし、EV-20からはデンソーさんに
頼らずにトヨタ自動車で自社開発しようとい
うことになり、誘導モーターを使い、インバー
ターも東芝さんの力を借りてIGBTを使いま
した。更にEV-30では独自の誘導モーターを
自社で開発し、MOS-FETのインバーターを
使い、バッテリーとしては当時では最新だっ
た亜鉛臭素電池を使うなど、考えうる最新
技術を全て導入して開発に取り組んでいまし
た。一方で、開発メンバーはたった20名く
らいでして、それだけの限られたメンバーで
モーター、インバーター、バッテリーまでの
全てを開発したのです。
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫

TheTRUCK2018年10月号27
伊 藤 当時のお話を伺っていると、電気自動
車のパーツに関する知見は電機メーカーが先行
していたということですね。
石 川 ええ、インバーターなどは東芝さんに
知見がありましたので、府中工場や三重工場に
はかなりの頻度で通いました。
伊 藤 何台くらいの規模で開発していたので
しょうか。
石 川 量産化や市販化が目的ではなく、研
究開発目的で開発・製造して最終的にモー
ターショーに展示するという流れになってい
ました。
伊 藤 モックアップではなく、実際に走るク
ルマをモーターショーに展示していたというこ
とでしょうか。
石 川 ええ、そうです。最新技術を駆使しな
がら実際に走行するクルマを開発するという
“手を汚した”経験があるので、その後にハイ
ブリッド自動車である初代プリウスの開発につ
なげていくことができたのです。EV-20から
はデンソーさんの関与なく開発してきましたの
で、初代プリウスを開発した時には、モーター、
インバーターなどのパワーエレクトロニクスの
分野ではむしろデンソーさんなどのサプライ
ヤーさんよりもトヨタ自動車本体のほうが技術
的に進んでいたのです。そのため、トヨタ自動
車がデンソーさんなどのサプライヤーさんを指
導しながら開発できる立場をとることができま
した。一度手を汚しておくと、メーカーさんに
頼むときもやりやすいわけです。
伊 藤 “手を汚す”プロセスで最も苦労され
た点はどこだったのでしょうか。
石 川 インバーターのスイッチングノイズ
には苦労しました。最初に三菱電機さんと
IGBTに取り組んだときは大容量の6in1モ
ジュールを開発したのですが、クルマの感覚
と家電の感覚の両方を持っていないとなかな
か原因究明ができませんでした。パワーケー
ブルとインバーターの距離をどれくらいとれ
ばノイズレベルが下がるのかが分からず、実
際に何度もモノを作りながら解決していった
のを覚えています。
量産ラインや原価までを見据えて
 設計ができてこそトヨタのエンジニア
伊 藤 当時は設計からものづくりまで全てを
やらなければならなかったということでしょう
か。
石 川 入社時に岡本氏(元副会長)に厳しく
言われたことは、「量産の図面が描けて初めて
トヨタのエンジニアになれる」ということでし
た。当時の私はボデー設計を担当していまし
たが、「こんな深絞りの設計にすると100回程
度で金型が交換になるぞ。金型を一つ作るの
にいくらかかるのかわかっているのか。と厳
しく怒られました。設計というのは作り方、
原価、品質をトータルで見ながら形状を決め
ていくことであり、それらを考えて形状を決
めるのがトヨタのエンジニアである、それが
できなければその辺の大学生と変わらないと
何度も教わりました。
 そういう教えを受けていましたので、初代
プリウスで直面した不具合の際にその教訓が
役に立ちました。その不具合とはインバーター
内部へのボルト混入です。バスバーなどを締
結するボルトがインバーターの内部に混入し
たまま出荷され、その状態のまま走行し続け
ると、走行中にコロコロと音が鳴るだけでな

図3:EV-40(1989年)
図4:タウンエースEV(1991年)
TheTRUCK2018年10月号28
く、最終的にそれがインバーター内の部品の
間に挟まって漏電が発生して警告灯が点灯す
るという症状でした。
伊 藤 なぜそのような不具合が起きたので
しょうか。
石 川 おそらく工場で組付ける際に落として
しまったボルトが取り出せないままラインを流
れてしまったからでしょう。対策として、イン
バーター内部の制御基板の組付け後に立てた状
態で通い箱に置くように工程及び設計を変更す
ることで、ボルト混入があっても自動的に落ち
るようにしたのと、ボルトを供給する仕組みを
変更してレバーを押すと必要な本数がしか出て
こないような仕組みにしました。その上で、最
後の検査工程においてインバーターを360度
回すことでボルト混入していれば音で分かるよ
うな工程を追加しました。
市場に出さなければメーカーとしての
 ノウハウは蓄積されない
伊 藤 電気自動車の話に戻りますが、EV-10
からEV-40の次はタウンエースEVへと進ん
でいったとのことですが、このタウンエース
EVは実際に市販したのでしょうか。
石 川 ええ、そうです。地方自治体から電気
自動車を買いたいという強い要望があったこと
から、EV-40の部品をベースに開発したのが
タウンエースEVでした。一台800万円もし
ましたが、名古屋の保健局を含めた様々な地方
自治体に納めました。中部電力さんにも納めた
ように記憶しています。
伊 藤 1台800万円でもトヨタ自動車とし
ては大赤字だと思いますが、なぜそれでもニー
ズに応えて提供したのでしょうか。
石 川 開発したプロトタイプをモーター
ショーなどに展示して技術力をアピールすると
地方自治体などから市販してほしいという声が
かかります。当時のトヨタ自動車には、市場の
ニーズがあるのであればその要望に応えていく
のがメーカーとしての責務であるという哲学が
浸透していました。実際に市場に出すとプロト
タイプではわからなかった様々な不具合が出て
くるようになりますので、メーカーとしてのノ
ウハウを蓄積する観点からも市場に出すことは
極めて重要なことでした。
 実際にタウンエースEVからも数々の学びが
ありました。その代表例がインバーターの故障
です。例えば、坂道でのゼロ発進の場合、エン
ジン車の場合はエンジンが回転していないので
発熱しませんが、電気自動車を坂道でアクセル
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫

図5:e-com(1997年)
TheTRUCK2018年10月号29
を踏み込んだままにしているとインバーターは
電気を送り出そうとする一方でモーターは回転
しないのでそこでスイッチング電流を送り出そ
うとすることで発熱してしまいます。
伊 藤 サンフランシスコなど坂道のきつい
ところではブレーキを踏みながらアクセスを
強く踏む坂道発進は普通にやってしまいそう
なので、そこで不具合が発生するとは思いま
せんよね。
石 川 トヨタ自動車ではガソリン車をベース
とした使い方を想定してきましたが、電気自動
車やハイブリッド自動車の場合までは想定して
いませんでした。実際に市場に出すことでこう
いった不具合に直面しながらノウハウを蓄積し
ていくことができるのです。
世界初の電気自動車カーシェアリング
 にも挑戦していた
石 川 タウンエースEVの次に取り組んだ
のが二人乗りの電気自動車であるe-comでし
た。電気自動車の開発に何度も従事してきた経
験から、バッテリーのエネルギー密度には限界
があることが分かり、電気自動車の良さを活か
すためには近場を走ることを前提にしたシティ
コミューターとしての使い方を提案すべきとい
う結論に至ったからです。ただし、これだけの
小さいクルマになると軽自動車と価格的に競合
する必要が出てきますので、コストダウンの
工夫を重ねました。インバーター共用チャー
ジャーという、走行時はインバーター、停車時
は充電器として使える新しい技術のデバイスを
搭載しました。e-comはカーシェアリングに
も活用しましたが、実はこのような電気自動車
のカーシェアリングを行ったのはe-comが世
界初でした。
伊 藤 現在ではダイムラーのCar2Goやパ
リのAutolibʼなど電気自動車のカーシェアリ
ングは当たり前になりつつありますが、1997
年に登場したe-comがその元祖だったのです
ね。
石 川 当時は“クレヨン”という名称で豊田
市や京都市でカーシェアリングサービスを提供
していました。カードをタッチすればクルマの
ロックが解錠されて使えるようになるという仕
組みも開発されました。また、お台場のメガウェ
ブではe-comを自動運転にして100円で館
内を案内してくれるサービスも提供しました。
この時点で既にEVと自動運転をパッケージに
したサービスは既に実現していたのです。
伊 藤 そういう経験を踏まえて初代プリウス
を開発することになったのですね。
ゼロから部品を開発することになった
 エスティマハイブリッ
石 川 北米向けの初代プリウスではインバー
ター設計の責任者を務めていました。東富士研
究所で研究していたメンバーが中心となり、そ
こに本社の若手エンジニアが加わるといった
チーム構成でした。既に電気自動車などの開発

図6:北米向け初代プリウス(2000年)
図7:エスティマハイブリッド(2001年)
TheTRUCK2018年10月号30
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫
を経験していたメンバーがいたので量産化に取
り組むことができました。
伊 藤 プリウスに取り組んだことで難しかっ
たことは何だったのでしょうか。
石 川 エンジンルームの中に電子部品を納め
ることで熱的な問題が新たに発生した課題でし
た。通常、電子部品は85度が動作保証温度で
すが、エンジンルーム内では105度品が求め
られます。しかし、105度品は高価なので、
できる限り85度のもので対応するように努力
したのですが、停車時の温度が課題となりまし
た。停車すると走行風がなくなり、冷却系も止
まってしまいますのでインバーターを取り巻く
温度環境が厳しくなります。
 その次に取り組んだエスティマハイブリッド
の時は、平滑コンデンサーから設計しました。
当時の渡邉常務(後の専務、技監)からコストを
下げるように指示され、平滑コンデンサーのコ
スト構成を詰めました。松下電器さんから購入
していた部品だったのですが、渡邉常務からの
指示を受けて松下電器の宇治工場まで出かけて
いって工程や製造コストを全て教えていただき
ました。その結果、一番のネックだとわかった
のはエッチングの時間でした。容量を求めない
自動車用のためには時間のかかる深いエッチン
グは必要ないことがわかったので、自動車用の
全く新しい高リップルタイプのアルミ電解コン
デンサーを松下電器さんと共同開発するに至り
ました。
伊 藤 “忖度”ということではなく、お互い
に話し合ってしっかりとコストと技術的な解決
策に落とし込んでいたのですね。
石 川 まさにそれが当時のトヨタのDNA
だったのです。
 その次に取り組んだのが燃料電池自動車で
す。燃料電池自動車の難しさは、燃料電池と
バッテリーという二つの電源を一つのコン
バーターで制御しなければならないことでし
た。バッテリーと違って燃料電池は急に高い
出力を出すことが構造上難しいため、クルマ
が必要となる電圧を無理に燃料電池に供給さ
せようとすると燃料電池に逆電位が発生して
燃料電池セルの膜に穴が開くという重大故障
に至ってしまいます。そのため、燃料電池と
バッテリーの電圧レベルを詳細に検知しなが
らクルマが必要となる最適な電圧を出力し続
ける制御が求められます。その制御のために
は、燃料電池の急速な電圧低下を遅れること
なく検知できるマイコンを含めたセルモニタ

図9:PRIUS非常用電源システム(2005年)
図8:FCHV-4(2001年)【左】トヨタFCHV(2002年)【右】
TheTRUCK2018年10月号31
の開発が必要でした。実車で使えるセルモニ
タを開発するためには試行錯誤を繰り返すし
かなく、そのためにいくつものマイコンを犠
牲にしたことを記憶しています。
伊 藤 正解を求めるためには現場で試行錯
誤を繰り返しながら探るしかないということ
ですね。
石 川 試行錯誤を繰り返さなければ正しい制
御設計はできないですし、その設計を前提とし
たハード構成も実現できません。最近はトヨタ
自動車の中でそういうことを徐々にやらなく
なっていることが気になっています。
プラグインの開発がきっかけで
 クルマの外の世界に関心が向く
石 川 燃料電池自動車の次に取り組んだの
がプリウスの非常用電源
システムでした。先ほど
述べたインバーター共用
チャージャーの概念を更
に進化させ、プリウスに
搭載している2つのモー
ターの中性点を活用する
ことで充電も放電もでき
るようにしたシステムで
す。このシステムは愛知万博の際にトヨタホー
ムの“夢住宅”にも展示されました。
伊 藤 ハイブリッド自動車の非常用電源シス
テムは震災の時に大活躍しましたよね。
石 川 ええ、そうなのですが、現在搭載して
いる非常用電源システムは中性点を活用したも
のではないのです。残念ながら中性点を活用し
たシステムは未だ量産化には至っていません。
最近のエンジニアは世の中にないものに挑戦す
る意識が希薄化していることを懸念していま
す。次々と新しい仕組みを開発して世の中に出
していかないと商社のように右から左にモノを

図10:PRIUSプラグインハイブリッド
図11:世界標準化に取り組んだ普通充電コネクター
図12:豊田市プロジェクト(2009年)
TheTRUCK2018年10月号32
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫
流すだけになってしまいかねないと心配になり
ます。
 非常用電源システムの次に取り組んだのがプ
ラグインハイブリッド自動車です。前述の中性
点方式を採用し、最初の実験車はニッケル水素
電池を使っていましたが、その次の実験車から
はリチウムイオン電池を採用しています。ちょ
うどこの時に普通充電のコネクターの開発と標
準化にも取り組むようになり、JARI(日本自
動車研究所)で標準化のための委員長を務める
ことになりました。プラグインハイブリッド自
動車の場合は、エンジンを搭載しているので急
速充電ではなく、100V、200Vの普通充電が
重要ということで矢崎総業さんとコネクターを
開発するところから始めて標準化まで持って
行ったのです。
 退職する直前に取り組んだのが、伊藤さんが
プロジェクトを立ち上げられたスマートハウス
のプロジェクトです。経産省の豊田市プロジェ
クトでは、初めてクルマの外の世界である発電
や家の機器との接続に取り組んだのです。

TheTRUCK2018年10月号33
海外との競争ではなく、社会的課題の
 解決こそが開発目的だった
伊 藤 自動運転やコネクティッドに関する日
本の自動車メーカーの動きを見ていると、海外
の取り組みをかなりベンチマークしているよう
に感じています。石川さんがトヨタ自動車で従
事されていた時には、どこまで海外動向をベン
チマークされていたのでしょうか。
石 川 率直に申し上げて、当時は海外の動向
はほとんど意識していませんでした。それで
は、なぜ電気自動車や燃料電池自動車などに取
り組んでいたかというと、海外との競争が目的
ではなく、CO
を削減することが目的だった
からです。CO
を削減するためにはクルマに
閉じた取り組みでは不十分であり、クリーンな
電源で充電するスマートハウスなどクルマ以外
の世界にも目を向ける必要があると考えるよう
になっていったからこそ徐々にエネルギー分野
にも取り組んでいくようになったのです。
伊 藤 そうですよね。私も電気自動車やバッ
テリーなどを担当していた時は同じような印象
を持っていました。日系自動車メーカーの人た
ちは海外をベンチマークするというよりは、や
るべきことを先行して次々とやっているという
印象が強かったです。
石 川 海外の取り組みを意識することはあま
りありませんでしたが、海外の特許をチェック
はしていましたし、自分たちの研究成果を論文
にして発表することで自分たちの技術が世界の
どの辺にいるのかを確認するようなことはやっ
ていました。ただし、外を見るというよりは、
いかに志を前に前進させていくかということを
重視していたことは間違いないです。
業界の壁を強く感じたことが理由で
 サムソンに転職
伊 藤 2011年にトヨタ自動車を離れてサム
ソンに転職されたわけですが、その理由はなぜ
だったのでしょうか。
石 川 ハイブリッド自動車用電力貯蔵装置の
論文を書いたのがきっかけとなったのですが、
電動車両を突き詰めれば突き詰めるほどバッテ
リーが重要であることを痛感するようになりま
した。転職したサムソンSDIはサムソングルー
プにおけるバッテリー会社なのですが、そこ
ではクルマの外にあるHEMS(HomeEnergy
ManagementSystem)に取り組むことにな
りました。豊田市プロジェクトでは、プラグ
インハイブリッド自動車だけでなくHEMSS
や家庭用蓄電システムも手掛けたのですが、
HEMSや家庭用蓄電システムを実際に量産し
ていく必要性を感じたため、サムソンSDIで
ESS(EnergyStorageSystem)という蓄電
システムに取り組むことにしたのです。
伊 藤 電気自動車やハイブリッド自動車に取
り組まれるようになり、クルマの外にあるエネ
ルギーシステムの重要性を意識されるように
なったということですね。しかし、なぜトヨタ
自動車の中ではできなかったのでしょうか。

TheTRUCK2018年10月号34
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫
石 川 残念ながらトヨタ自動車ではできな
かったと思います。その理由は電力会社の存在
です。プラグインハイブリッド自動車を開発し
ていた時に、充電する電力は深夜電力相当の価
格にしてほしいと電力会社にお願いしたことが
あったのですが、電力会社からはとてもそのよ
うな特別扱いはできないと固く断られました。
当時の電力会社は巨大な力を持っていましたの
で、そういう状況下で自律的に発電するスマー
トハウスのような開発を進めることはとてもで
きそうにもありませんでした。
伊 藤 私が経済産業省を離れたのも既存の産
業構造がイノベーションの阻害要因となってい
ると感じたからですが、それは石川さんも同じ
だったのですね。
石 川 2011年の東日本大震災があってから
は少し状況が変わりましたが、日本はタテワリ
社会が強く、業界の壁を越えようとしても技術
的な話でさえもなかなかできないという状況で
した。
伊 藤 逆にサムソンでは業界の壁や財閥の壁
は簡単に乗り越えられたのでしょうか。
石 川 サムソンにはそういう土壌はあります
ね。ただ一方で、彼らは将来的に何をすべき
か、どう技術を開発していくべきか、というビ
ジョンがあまりないまま取り組んでいるように
感じます。もし、全体を俯瞰して進むべき目標
を設定できる人材が韓国から出てくるようにな
れば、日本と比べて簡単に業界の壁を超えられ
る韓国は、日本にとっても世界にとっても脅威
になると思います。
伊 藤 これまでのシリーズでオープンイノ
ベーションについて何度も議論してきました
が、突き詰めていくとこれまでの秩序を“打破
する”ような活動を誰が始めるからこそ、そこ
にイノベーションが起きるという結論に至って
います。しかし、日本ではそれぞれの業界や企
業がきっちりとそれぞれの“城”を守る社会に
なっているからこそイノベーションが起きにく
いと感じています。
電気自動車専用シャシだからこそ
 テスラの加速性能が実現できる
伊 藤 本題のEVの話に戻しますが、石川さ
んから見てテスラという会社や彼らのEVにつ
いてはどう見ていらっしゃるのでしょうか。
石 川 テスラは非常に面白い会社だと思いま
す。製品も非常に面白いと思います。会社の経
営と量産の工程に問題があるだけで、そこだけ
を除けば非常に魅力的な会社であると思いま
す。モデルSに試乗したことがありますが、
あの加速性の良さは本当に素晴らしいと感じま
した。おそらくガソリン車とは全く異なる懸架
系(サスペンション構造)を採用していることが
その理由だと思います。ガソリン車の場合はエ
ンジン自身にアイドル振動があるため、一定の
バネ乗数を設定してシャシに取り付けます。ト
ヨタ自動車を含めて大手自動車メーカーが販売
する電気自動車やハイブリッド自動車はガソリ
ン自動車がベースとなっていますが、スタート
時のトルクが非常に大きいモーターを制御なし
でシャシに取り付けてしまうとバネが耐えられ
なくなってしまうことから、モーターのトルク
を多少抑えるように制御しています。本来の
モーターの良さをつぶしてしまっているわけで
す。しかし、テスラは最初から電気自動車を前
提にシャシを設計していますので、トルクを抑
える必要がないわけです。それが素晴らしい加
速性につながっていると思われます。

TheTRUCK2018年10月号35
伊 藤 電気自動車に取り組んできたエンジニ
アとしては、トヨタ自動車の中でもテスラのよ
うなことを本来はやりたいというお気持ちが
あったのでしょうか。
石 川 ええ、もちろんやりたかったのです
が、エンジン車のチームが抵抗勢力になりまし
た。量産する数もエンジン車のほうが圧倒的に
多いですので、エンジン車の意見が優勢になり
ます。テスラは守らなければならない既存の車
種や技術がないので、モーターのスペックを最
大に活かした設計ができますが、トヨタ自動車
ではそうはいかないのです。
伊 藤 一方で、既存のクルマが分かっていな
い人が全くゼロからクルマが作れるとも思えな
いのですが。クルマのイロハが分かっていない
ことによる格差はないのでしょうか。
石 川 もちろんクルマ作りが分かっているエ
ンジニアは必要でしょうし、実際にトヨタ自動
車からテスラに転職した人間もいます。しか
し、それよりも大事なことは、モーターの良さ
は何か、EVらしさは何かということを突き詰
めたうえでクルマづくりに挑戦できたことで
す。だからこそあのような素晴らしいクルマが
できたのだと思います。大切なのは何を目指す
かという“哲学”です。モデルSに試乗したこ
とのあるトヨタ自動車のエンジニアの中で懸架
系まで想像が行く人がどれだけいるだろうかと
思います。
CASE時代を想定したクルマづくりに
 挑戦できる環境が必要
伊 藤 先日、BMW出身者が設立した
EVELOZCITYというベンチャー企業の話を伺
う機会がありましたが、彼らは自動運転やコネ
クティッドなどの概念を入れた新しい電気自動
車を開発しようとしている模様でした。CASE
(自動運転、コネクティッド、シェアリング、
電気自動車)が注目されればされるほど、それ
らを全て盛り込んだ新しい電気自動車を作ろう
という人たちが次々と現れるように思います
が、トヨタ自動車など日本メーカーは対抗でき
るでしょうか。
石 川 既存のメーカーがCASEを盛り込ん
だクルマを作ることは可能ですが、問題は既存
のクルマの概念を“リセット”できるかどうか
です。それができれば既存のメーカーの方が絶
対に力があると思いますが、それができなけれ
ば新しいプレイヤーに優位性が出てきます。
伊 藤 しかし、過去に石川さんがトヨタ自動
車で取り組まれていたプロジェクトはこれまで
の概念をリセットしてきたものばかりのように
思いますが、同じようなことをやれないもので
しょうか。
石 川 確かに過去に取り組んできたプロ
ジェクトは全てそれまでの常識をリセットし
てきたものばかりです。今の時代にそれがで
きなくなってきたのは忖度が蔓延して骨のあ
るエンジニアが生きづらくなってきたからで
しょうね。

TheTRUCK2018年10月号36
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑫
伊 藤 それはトップの問題なのか、現場の問
題なのか、どちらなのでしょうか。
石 川 もちろんトップでしょうね。中国の会
社のコンサルをしたりすることがありますが、
売上200億円レベルで終わる会社の会長と、
売上40兆円であるサムソンの李健熙(イゴン
ヒ)会長とは考え方が全く違うと感じます。だ
からこそ組織としてのパフォーマンスに差が生
まれてくるわけです。
伊 藤 しかし、トヨタ自動車という会社は社長
の代が変わっても常にイノベーティブなことをやり
続けてきたという印象がありますが、それがなぜ
今ではできなくなってきたとお感じでしょうか。
石 川 かつてのトヨタ自動車では、技術のた
たき上げから経営トップになった人が多かった
ので、そういう人がリソースの何%かを使って
全く新しい技術を開発することを認めていまし
た。しかし、今ではヒト・モノ・カネの全てが
管理されるようになったのでそういう自由度が
圧倒的に減ったと感じています。昔は私が内緒
で進めていたプロジェクトがいくつもありまし
たが、今では全てのプロジェクトを本社が管理
しようとするのでそういうことができなくなっ
たと聞きます。また、残業規制が厳しくなって
頑張っても頑張らなくても給与や評価が変わら
なくなってしまったので、骨のある人間が頑張
らなくなっています。大変残念なことではあり
ますが、そういう人間は今では趣味など副業の
ほうに力を注ぐような事態になっています。
伊 藤 海外ではCASEについて次々と新し
い活動が行われており、そういう話を耳にする
たびに焦りばかりは募りますが、足元ではなか
なか具体的な活動につなげられないということ
でしょうか。
石 川 バッテリーの世界は既に海外と技術
的な差はほとんどなくなりつつあります。パ
ワー半導体の世界はまだ日本企業が優勢だと
思います。しかし、技術は常にキャッチアッ
プされていきます。今の技術にあぐらをかい
ていると、その技術が他社や他国にキャッチ
アップされたときに一気に競争力を失ってし
まうと思います。
 管理が強くなってしまったのは、人を増やし
すぎたことが原因だと感じています。人が増え
ると管理をすることを目的とした“変な仕事”
をつくり、徐々に新しいことに挑戦しにくくな
ります。かつては一車種あたりのインバーター
設計要員は7名程度でしたが、今では70名
程度の人がいると聞きます。昔は“城を壊して
次の城を作る”という考え方の人が多かったよ
うな気がしますが、今では“城を作ったら城を
大きくする”ことばかり考えるようになったよ
うに思います。
伊 藤 お話を伺っていると伊勢神宮の式年遷
宮と同じ概念ですね。20年毎に本殿を建て替え
ることで建物本体よりも宮大工の技術を伝承する
という優れた仕組みです。かつてのトヨタ自動車
においても、常に既存の概念を否定し続けること
で新しい概念の技術やプロダクトを生み出す仕組
みがビルトインされていたのですね。
 ところで、前回の国際経済研究所の宮代氏の
インタビューでは、ダイムラーがモビリティサービ
スの企業を次々と買収しながらモビリティに関す
るあらゆる事業を取り込もうとする一方で、フォ
ルクスワーゲンは新しいモビリティサービスの
ニーズを踏まえたうえで市場にない新しいハード
ウェアを開発するという戦略をとっているとのこと
でした。フォルクスワーゲンのようなアプローチ
であれば日本企業も取れそうに思いますが、どう
思われますか。

図13:開発中の非接触給電を視察する故渡邉専務(当時)
(2007年)
TheTRUCK2018年10月号37
石 川 これまではインカー(クルマ単体)の範
囲でニーズをとらえ、新しい技術を磨きながら
シーズを投入してきました。しかし、これからは
CASEやエネルギー問題などによってインカーよ
りもアウトカー(クルマの外)の世界が重要になっ
ています。そこまで範囲が広がると、どこまでの
ニーズをカバーするかを想定して、それに対応で
きるシーズを検討することが必要となります。
伊 藤 プラットフォームとは確かにそういう
ことですね。どこまでのニーズをカバーする
シーズを提供するかという境界を決めることだ
と思います。CASEの時代にそういうことが
日本企業でできるところがあるかどうかでしょ
うね。
石 川 アウトカーの時代には通信からエネル
ギーまで様々な領域をまたがってみる必要があ
りますが、それを一企業でできるのかどうかで
しょうね。中国では習近平国家主席が中国製造
2025計画で世界の優秀な人材を1000人集め
るといった取り組みをやっていますし、ドイツも大
学や研究機関が優秀な人材をプールして各企業
に派遣するようなことをやっています。業界の壁
が外れていくときに、全体を俯瞰して見られる人
材を輩出できるかどうかが課題だと思います。企
業から人を切り離して国がリードしなければアウ
カーの世界で勝てる仕組みは作れないのではな
いかというのが私の意見です。
伊 藤 トヨタ自動車だけでは対応できない時
代に入り、国を挙げて挑戦する仕組みを作るべ
きということですね。
石 川  トヨタ自動車の中で私はずっと異端児
でした。先日、久しぶりに会った元同僚からは石
川さんは今でも異端児だといわれました。亡くな
られた渡邉技監がご存命の時、第二東名の第3
車線は非接触充電のために空けてあるので早くソ
リューションを持ってこいといわれ続けました。
そういう人が社内にいたからこそ、異端児がイノ
ベーションを生み出せたのだと思います。今はそ
の役割を国が果たさなければ世界と競争できない
と思います。
 近年はバッテリーなど蓄電ばかりに焦点が当
たっていますが、発電、蓄電、送電の全てをや
らなければCO
やエネルギーの問題は解決しま
せん。そういうアイデアを日本企業が発案して、
海外の企業ともコラボレーションしながら進める
べきです。市場は海外のほうが大きいのですか
ら、日本の技術やノウハウで世界に貢献するとい
う視点で取り組むべきだと思います。
(略歴)
石川哲浩(いしかわてつひろ)
神奈川工科大学 特別客員教授 博士(工学)
1982年にトヨタ自動車に入社、1983年より東
富士研究所に所属。1999年より同社EHV技術
部に異動し、2006年にHV先行開発部の主査
に就任。2010年にBREVシステム開発部の主
査を務めたのち2011年に退社。同年12月に
SAMSUNGSDI社に入社しESS開発チーム長
兼常務に着任。2015年に同社を退社。2016
年に京セラに入社したのち、2017年に神奈川工
科大学特別客員教授に就任し現在に至る

TheTRUCK2018年10月号38
賑わう会場北口。入口は東西南北にあるが、ここは
市内からのトラム(市電)の乗り入れ終点でもあり、
一番利用客が多い。屋内に入ると先ず手荷物検査
を受け、数十台並んだ受付用パソコンに各自が入力
して発券を受ける。大人1日券€22
トラムが到着すると沢山の来場者で賑わう。もちろん、周辺
の駐車場も広大ですべて無料。広い会場内は常時巡回バス
が運行されており、だれでも無料で利用できる。これとは別に、
報道関係者には小型のプレスシャトも提供されている
国際色、更に豊かに
 ヨーロッパに本社を置く商用車メーカー8社に加
え、他国からの参加も交えて出展規模は過去最大
級という。今回は概観としてシャシメーカーのプレス
カンファレンスで明らかとなった出展の傾向をお伝え
し、細かい分析と架装メーカー等周辺各社の出展の
模様は複数回に分けて次号以降でリポートする。
67
IAA-CV
展速報
予告していたドイツ自動車産業協会(VDA)主催のIAA-CV(国際商用車展)
が開催中だ。ハノーバーメッセの広大な会場に多くのゲストを迎えている。
現地取材の中日を利用して速報をお届けする。
西 襄二
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号39
プレスデイの朝8時半、プレスカンファレンス(以後、PCと記す)の口火を一番で切ったDaimler社がMercedes-Van部門だっ
た。場所は毎回定位置の14/15号館。同時通訳は7か国語、集まった報道関係者の出身地の広がりを示している
新型Sprinterスプリンター車の中の目玉はフル電動車。静かにステージに乗り込んできた。筆者が見てきた長いIAA商用車
展の歴史の中で、実車がステージに自走登場するのは初めて。エンジン車ではさすがにこした演出はできなかった

TheTRUCK2018年10月号40
メルセデスベンツのクウラウス・マイヤーバン販売企画部長が英語で力強い発表を行った。バリエーションは実に1700種類
に及ぶ。調査に基づく顧客の幅広い要望に応える姿勢がこれだけのソリューションを生んだという
ホィールベースと荷室の長短、用途別にルーフ高さの違い、窓の有無、駆動方式及び動力源の違い、平ボも含むボディ展開
などが多種多数仕様の実態だ。一般市販に先立つネット予約で、A社には2万台の注文が短日数で入ったという
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号41
バリエーションの一部を紹介すれば、一番手前が長尺ハイルーフバン。その奥がごく一般的用途向けの標準ルーフバン。その
奥隣は平ボ架装車。一番奥が救急車架装例などだ。乗用展開もあり、結果として1700種類の展開になったという
IVECO社のPC会場は17号館で9時から。始めにバン型Dailyデイリー車が2018VanofTheYear賞を受賞したことを晴
れがましく報告。受賞理由は他車よりいち早く商品化した電動、CNGを含む動力源の多様化と優れた外観

TheTRUCK2018年10月号42
次いで、当社が長年力を入れてきた動力源の多様化、エネルギーミクスについての考え方を披露。ユーザーが導入しる経
済性を考えればメタンガス(天然及び畑作農産物からの抽出)への転換が現実的解であることを強調した
筆者が座った席の真ん前にCNG乃至LNGのディスペンサーが据えられていた。燃料供給セクターとの合意に基づくエネルギー
転換へのインフラ整備が整ったことも強調した。これをCNG回廊(コリダー)という。西はスペインから北のスカンジナヴィア
半島まで隙間なく供給体制が整ったのはつい最近のことだ
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号43
IVECOのPCに集まった報道陣。印刷メディアの外にWEB系メディアの増加が近年の特徴のひとつ。筆者の近くに座った
御仁もその分野の若い人で、IAA-CV展の取材は今回が初めてということだった
石油系燃料の原油の生産から自動車が走って排出する二酸化炭素の総合量を表す場合の計算範囲を示す表記に「Well-to-
Wheel(井戸から車輪迄)がある。画面ではバイオ由来のメタンガスを利用すれば、現在の軽油と比較して「畑から車まで」
総合でマイナス135%のレベルも達成可能との試算例を示した

TheTRUCK2018年10月号44
圧縮/液化天然ガスを燃料とする車両の現在から2030年に向けて普及の展望をIVECO社なりに試算したグラフ。左図で
は市場での普及率を予想して上からバス、中ほどはトラック、下は乗用車の場合を示している。右図はそれぞれの車種毎の保
有割合の伸びを展望している。保有台数の多い物流系での大きな伸びを予測
IVECOのメタンガスを燃料とするEUROCARGONP大型トラクの場合、現時点の最新排出ガス規制であるEUROⅥstepD
(第四段階)基準をクリアしている。EUROⅥとしてはこれが最終規制で、来年以降はEUROⅦへ進む見通しだ
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号45
同じ17号館でも離れた一角に展示場を構えたVOLVOのブースに移動したら、既に報道席は満席。筆者は止む無く来場者が
営業担当者の接待を受ける2階席での取材となった。ここでも椅子の上に立って前方視界が確保できる状況・・
登場したVOLVOTruck&Busのミカエル・カールソン副社長。当社も二酸化炭素CO
排出削減に向けた取り組みにまず
触れた。近・中距離用にはタンクコストが相対的に小さいCNG(圧縮天然ガス)を、長距離運行用には航続距離を延ばす為
に相対コストは張るが炭素繊維強化樹脂(CFRP)製タンクを採用してLNG(液化天然ガス)を利用する

TheTRUCK2018年10月号46
次に自動運転について語る。背景に現れたのは目を見張るコンセプトモデルの映像。自動運転の究極の姿は、キャブの無い
こんな姿のトラクタで良いのではないかとの発想だ。確かにドライバーは不在、コストの張るキャブは要らない・・
走る姿も映し出された。単なるCGではなく実際に試作モデルを動かしているという。SAE(アメリカ自動車技術者協会)の定義
する「レベル4(完全自動化運転)」のトラック版・・。会場の映像は全てスウェーデン向けに生中継された
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号47
次はRenaultTruckの番だ。当社のPCもエネルギーミックスの最適化に向けた取り組みにまず触れた。すでに10年前から
試作EV塵芥車を実際の都市内ごみ収集の現場に提供して実用試験を繰り返して来た実績がある。ボルボグループの中にあっ
て独自の取り組みに胸を張って登場
エネルギーミクスの最適化は同時に多様化を意味する。ルノートラック社の場合は用途、車種によってこの図のように使い分
ける方向を明確にした。ガス化と電動化は当社の場合も開発が進み2019年から順次商品化される

TheTRUCK2018年10月号48
ブルーノ・ブリン社長が強調したのは、バイオディーゼル燃料も含まれるエネルギーミクスだ。農業国の一面も持つフランスの
立ち位置から当然の取り組みとして燃料供給セクターと協働してきた成果もいよいよ拡大の時期がきた
背景の映像で、これまでに取り組んできた開発が実際の稼働条件のもとでの実用試験の積み重ねで商品化に至ったことを分か
り易く示した。右下には日産自動車とのコラボレーションの小トラも見える
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号49
モデルチェンジを行ったバン、中型トラックではいずれにも電動のZEモデルを揃え、外観デザインにも共通性を持たせた。新た
なブランド価値の訴求にも関連している
続いてはオランダのDAF社だ。当社は北米カリフォルニア州に本拠のあるPACCAR社の傘下にある、唯一の欧州メーカーだ。
PCはまず、北米でPACCAR社が前年に市場占拠率31%でナンバーワンだったことを誇らしげに発表した

TheTRUCK2018年10月号50
プレゼンに登場したロブ・アピール広報部長が紹介したのはハリー・ウォルター社長。北米では競合関係にあるDaimler傘下
にあるFreightliner車を抑えてのトップシェアに誇りを持っての報告だった。結果、前年の決算は過去最高だった
転じてDAF自体の業績では、本年2018年前半期のセミトラクタ市場で欧州内のトップシェアだったことを報告した。グラフでは
上位5車が接戦を呈しており、厳しい競争ながら年間実績についての自信ものぞかせた
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号51
続いて登場したのはロン・ボースブーム製品開発取締役。近年のEV化、コネクッテド技術の発展、その中に含まれる隊列
走行テストの成功などを紹介した。こうした新技術開発はPACCAR社側の製品開発と相互乗り入れで効率性を追求する
今度は遠い別棟の12号館へ移動だ。VWグループの展示場に今回から移動したSCANIAのPCが始まる。幸い、最前列の
(写真で空いているところ)が確保できた。集まった報道陣も立ち席まで広がる多勢だった

TheTRUCK2018年10月号52
プレゼンはヘンリク・ヘンリクソン社長、生粋のスウェーデン出身者だ。SCANIAがVWグループに入ったのは近年のことで
はないが、グループ勢力を互いに誇示する風潮がここ数年で激しなった
イタリーで「持続可能トラック賞2017&2018」を受賞したことを報告したのに続き・・
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号53
ドイツでは「グリーン・トラック・オブ・ザ・イヤー賞2018」、ロシアでも「最優秀トラック賞2017」を連続して受賞。加えてポー
ランド、更には全ヨーロッパの最優秀トラック賞を受賞するなどSCANIA車の運転者に誇りをもってもらえる商品性を誇示した
こうした高い評価はヨーロッパ各地の700媒体によるテスト結果の評価の集大成であり、SCANIAの商品性の高さの証明。
スカニア車を選んだユーザーの目が高いことにメーカーとしての喜びを表明していた

TheTRUCK2018年10月号54
隣接したMANの展示場はPC開始前に報道席は埋め尽くされた。定刻11時30分に登場したのはヨアキム・ドレース
CEO。MANは変わった、新たな誕生だと口を開いた。eトラックを2020年に上市することを紹介した
何が変わったのか。MANは顧客の望むもの(ソリューション)を提供してゆく。ビジネスを単純化し、利益に結び付く製品とその管
理方式を提供してゆく・・。これまで、良い製品を作っていれば顧客は選んでれたがその意識を捨てた、と筆者には聞こえた
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号55
電動大型トラックTGAeに加えて(VWグループに入って初
めて扱うことになった)フル電動VAN(MAN99G2E型)での
VAN分野への進出を表明したうえ、更に自動運転の開発も
進んでいる事にも言及した
バスでは天然ガス車(Lionʼs18G)も電動車(Lionʼs12E)も望
む地域に提供してゆくと述べるともに・・

TheTRUCK2018年10月号56
・・と、ステージ背後から自走でステージに静かに登場したのは全電動コンセプトの大型バン・CitE車だ。MANには今まで無
かったローエンリー車だ。平らな低地上高フロアで都市内各種用途に関心が集まるだろう。デザインもよい・・
そしてVW。VANの分野では非常に強い当社もトラック分野は南米に拠点を構え途上地域向けに静かに展開してきた当社だ
が・・いきなり電動三輪車で勢いよくステージに現れたのは博士号を持つトーマス・セドラン商品開発部長
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号57
この電動車は勿論ラストワンマイルの配達用を意識した「新製品」だが、VWはここまでやるぞ、との意思表示でもあった
続いてステージに現れたのはコンセプト車の電動バン。VWの伝統的スタイルのイメージも残しつつ新しい時代に相応しいデザイ
ンに報道陣も低い感嘆の声を上げていた。ここでは終始ドイツ語でのプレゼンだった

TheTRUCK2018年10月号58
最後にPCを行ったのがDaimler
ハイブリドシティバスと・・
会場内の効果をつける照明はLED灯が
主役。省エネはさすがに進んでいる・・
世界の商用車研究

TheTRUCK2018年10月号59
続いて映像に新型Actroeが現れた。外観デザインはマイナーチェンジの感だが中身は最先端技術の塊だ。ステージ5のアクティヴブレーキ
アシスト、レーンキープアシスト、コックピット内はマルチメディア対応ディスプレイに操作系の最新化
一息ついて
 高温と少雨の夏だったという当地ハノーバーでは、
郊外緑地の草が一面枯れてあたかも冬景色の様相を
呈している。少雨傾向は続いているというが、高緯
度だから気温はさすがに朝晩には肌寒さを感じさせ
る。今日は午後から冷たい雨だ。
 国際情勢は欧州でも様々な問題を抱えて一様では
なくい。ドイツの経済は一応緩やかに成長し商用車の
販売はそれにつれて成長傾向にあるとするが、先の
見通しには厳しい見方もある。
 環境規制の進展と今回の新商品群の投入でどのよ
うなことになるか、注視してゆきたい。
(9月23日、会場内プレスセンターにて。次回に続く)
☆この車にはハノーバーに入る前に生産工場のあるヴォルト周辺で試乗したので、第二回以降のリポートで詳しく
お伝えすることにしよう。☆

TheTRUCK2018年10月号60
オリンピック大会とくるま
2020 東京オリンピック   (右絵▶▶▶
 オリンピックシンボルマーク、国立新競技場や関連した築地市場移転等すっ
たもんだを経た「東京2020オリンピック」は開催まで2年を切った。ワールド
ワイドパートナーは輸送関係では「トヨタ」が協賛。
 夢のある未来へのモニュメントとなるべきザッハの競技場原案(左絵)は葬り
去られ、野暮ったいなんの新しさも魅力もない単なる競技場(右絵)となった。
その場限りの建築評論家や古老の建築家等の固定概念がマスコミにもてはや
され大手ゼネコンの取込等、コスト優先の個性なき妥協のデザインはオリンピッ
クの覇気のないプロローグとなった初期案を牽引した安藤忠雄氏の政治力が
もう少しあったらと思う。
 一方大会の裏方となる輸送関係は「トヨタ」一辺倒であり、ロンドンタクシーま
がいの「JPNタクシー」「燃料電池路線バス」が事前稼働となり、大都会「東京」
を走っている。灰色の街に色気もない「黒色」公共車両が増えるとは忍び難い。
聖火リレー随行車はせめて華やかな「ハレの日!」にふさわしいセンスある車両
群であってほしい。参加者は楽しくハッピーな瞬間を味わえるであろう。

TheTRUCK2018年10月号61
石野 潔
      (◀◀◀左絵)  1964 東京オリンピック
 丹下健三氏設計のオリンピック施設と1964年東京オリンピック協賛車の
「プリンスグロリアデラックス」
 戦後の経済復興〜高度成長期、国際化への参入という背景のもとアジア初の大
会は70〜80年代へ引き継ぐ数々のインフラや輸送機関が整備されていった。
 大会施設の建築物は建築家丹下健三という時代の寵児の能力を最大限発揮させ
た。有名な代々木の体育館は未来に引き継ぐオリンピックモニュメントとして今でも
精彩を放っている
 大会の協賛車両群は当時は日産、プリンス、トヨタ始め各社が提供された。公
用車としてはセドリックやプリンス(日産吸収前)が役員送迎や聖火リレー随行車に供
された。
 ◀左絵は昭和の意気込みが感じられるプリンス(富士精密工業)製の1964年式
「プリンスグロリアデラックス」(2代目)
 アメ車類似性、メッキモール多用化などの評価はあるものの外形は宇治平等院を
モチーフ?、内装は西陣織などにしたデザインは当時としては格調高く個性があった。

TheTRUCK2018年10月号62
2012 ロンドンオリンピック  (右絵▶▶▶
 ボンドにエスコートされ空から女王殿下降臨(スタントマン)の演
出で本物の女王が貴賓席に登場した。開会式の数々のストーリ演
出は英国の伝統と品格を訴求したと言われている。
           ▶▶▶右絵は
 数々のパートナー協賛車の中で、大会大手パートナーである「ロ
イズ銀行グループ」の聖火リレー随行車。車両はマルタ島で使用
の1969年製「BedfordSKR801Gバス」をベースに、聖火リ
レー随行の「Lloyd社」用に改造された。直6ディーゼルターボ、
6.5L、ZF6速t/m、バンパーなど内外装品は他車流用。主に北
イングランドからスタジアムまで約1.3万キロを聖火とともに走破
した。
 聖火リレーはロンドン橋テムズ川のベッカムが操る船上から陸に
移され数々の随行車とともにスタジアムへ向かった。

TheTRUCK2018年10月号63
(◀◀◀左絵) 1984 ロサンゼルス  オリンピック
 地味で不景気な時代を経て景気も持ち直し派手なレーガン大統領の時代に
陽光溢れる西海岸でアメリカンオリンピックが開催された。(当初市民は大反
対)
 実業界の大物が大会委員長となり、税金を使わずテレビ放映料と限定スポ
ンサーの高額な協賛金で約400億円の黒字化で大会を成功させ、後のオリ
ンピック商業主義の糸口になった。この為に、大会の記念すべきモニュメン
等は無く既存のロサンゼルス記念競技場が唯一の代表的な施設になった。
 スポンサーパートナー参画はコカコーラ社やWデズニー社など30社に厳
選され、輸送関係はGMゼネラルモータース社の「BUICK」部門が供された。
◀左絵は聖火リレー随行車となった1984年製の「BUICKビュイックリビエ
ラコンバーチブル」
 パレードの運転特性や各種専用装置を備え1日24時間の激しい随行走行
可能な仕様としている。特に正確な低速走行動作維持の為、冷却装置やバッ
テリーなどビュイック特装車部門で65以上の専用装置を開発、搭載している。

TheTRUCK2018年10月号64
物流の課題解決に向けた新たなイノベーションを提供するアジア最大級のロジスティクス展示会「国際物流総合展2018/LOGIS-TECHTOKYO
2018」。会期中の来場登録者は前回開催展より約1万人に多い74,520人となった。出展者と展示製品の検索ができる来場者にとって便利な検索コー
ナーも用意されていた(右下)
最新物流機器・システムサービスの
ソフトとハードが一堂に結集
ロジスティクスを創出する
『国際物流総合展2018』
展示会◆開催レポート

TheTRUCK2018年10月号65
ドライバーファーストの「web配車システム」も出展されていた。配車担当者が
配車情報を登録する際に、空車両や空乗務員が表示され、乗務中の乗務員や
車両を割り当ててしまう配車ミスを減らすことができるという、ありそうでなかった配
車作業システムである
スマホ専用でトラック業界最大規模のドライバー求人件数を誇る、ドライバー支持
率1位の求人サイトの「ブルル」のブース。就職や転職を考えているトラッドラ
イバーに低コストでアプローチできる。ドライバー不足を解決する方法のひとつで
もある
運輸・交通システムEXPOにも毎回出展して好評を得ている「スリープバスター」
マット内蔵のセンサーが体表脈波を捉え、自律神経の状態から運転中の体調の
モニタングを行い、集中力の低下や入眠予兆・体調の急変等をリアルタイムで
判定し運転手に知らせる
 アジア最大級の物流・ロジスティクス展示
会「国際物流総合展2018/LOGIS-TECH
TOKYO2018」が2018年9月11日㈫から
14日㈮までの4日間、東京ビッグサイト(東
京国際展示場)の東1〜6および8ホールを利
用し開催された。
 今回で13回目の開催となる国際物流総合展
は、最新の物流システム機器や情報システム、
サービスなど、物流関連のハードとソフトが集
結し、国内外のロジスティクス関係者が一堂に
会する総合展示会である。今回のメインテーマ
は、“ロジスティクスの今を知り未来に触れる”
で、交易振興・技術の向上・情報の提供・人的
交流等を促進することを目的にしている。会場
では、活発な情報交流・ビジネス交流が行われ、
課題解決に向けた新たなイノベーションを導き
出す場となっていた。
 主催は、(一社)日本産業機械工業会、(一社)
本産業車両協会、(一社)日本パレット協会、(一
社)日本運搬車両機器協会、(一社)日本物流シス
テム機器協会、(公社)日本ロジスティクスシス
テム協会、(一社)日本能率協会の物流系7団体
で、会期中4日間の来場登録者は74,520人と
前回(2016年)展の64,071人から約1万人が
増加した。なお、来場登録者数は、来場者とし
て登録された人数で、会期中の「1登録」につき
1回のみのカウントとなる。
 経営を効率化し、企業価値の向上と発展を目
指し、顧客満足の充足や、過剰在庫の削減、供
給コストの適正化等を実現するためには、サ
プライチェーンを全体最適の視点で捉えたマネ
ジメントが不可欠である。その中で、サプライ
チェーンの各プレーヤーを有機的に結ぶ機能を
担うロジスティクスの役割はますます重要なも
のとなっている。そのような、わが国を取り巻
く経営環境が注目された結果、来場者の増加に
つながったものとみられる。
 本号では、国際物流総合展でトラック輸送に
関連する出展企業を中心に紹介する。なお、次
回は2021年1月26日〜29日に東京ビッグ
サイトでの開催が予定されている。

TheTRUCK2018年10月号66
“コールドチェーンのネクストステージ”をテーマにした東プレ・トプレックの展示ブース。2台の新型冷凍車が展示されていた 
冷媒ヒートポンプ加温技術を採用した「GBS冷却/加温機能付き中型冷凍車」(右)。品温の異なる商品を混載輸送できるエバ冷凍装置搭載の先
進的な車両だ
トプレック株式会社 出展テーマ:コールドチェーンのネクストステージ
東プレ・トプレックは、多様化するニーズに応えるため、高い専門知識と
豊富な経験を活かしたコールドチェーンのトータルコーディネーターを目指し
ている。ブースでは、「GBS冷却/加温機能付き中型冷凍車」と「昇
降式パレット搬送装置付き大型冷凍車」を展示した。定温物流は、年
間を通して低温域から常温域での温度管理の要求も高まっており、加温
機能搭載の冷凍車需要が増加している。同社は、従来のエンジン排熱
を利用したラジエター温水加温方式ではなく、冷媒ヒートポンプ加温技術
を応用した「ヒートポンプ加温機能付き冷凍装置」を開発。展示された
「GBS冷却/加温機能付き中型冷凍車」は、管理温度の異なる商
品を混載輸送できる「ヒートポンプ加温機能付きエバ冷凍装置」「GBS
(ジェネレーター・バッテリー・システム)」を組み合わせ、納品停車中
のバッテリー電力での冷却・加温運転を可能している。また、「昇降式
パレット荷役機能付き大型冷凍車」は、エアー式床上パレット搬送装置
を備え、縦横のローラーコンベアが独立して昇降することで、パレットの
積み降ろしを従来の半分の労力と時間で可能にする大型冷凍車。物流
業界の労働力不足は今後の重要な社会問題であり、高齢者や女性の
雇用といった労働力確保の取り組みと、「働き方改革」へと繋がる効率
的荷役も視野に入れて開発されている。
展示会◆開催レポート

TheTRUCK2018年10月号67
実演展示の新製品(上)とラッシングベル
ウレタンと強化プラスティクの3層構造で温度制御に優れた性能を発揮する「クールマスター」(左)と一
般的な「クールボーイ」(右)
オールセーフ株式会社 出展テーマ:庫内スペースの有効活用で輸送合理化をサポート
オールセーフの前身はアンクラジャパン㈱で、東京トラックショーにも出展していた
安全輸送機器のトップメーカーである。130年余りの社歴の中で、同社のコンセ
トである“固定技術を通じて安全と安心を社会に提供すること”に前向きに取り
組んでいる企業である。物流での固定技術を通じて「安全」を提供することを目的
に、陸、海、空での物流の品質向上を求め、これまでに様々なハードウェアの開
発を行うことで、物流の安全に寄与している。貨物固定、荷崩れ防止、輸送機
器の設計から製造までトラック輸送の合理化をサポートする各種製品を展示。今
回は庫内のデッドスペースを有効活用できる新製品も、実際のバンボテートラックを
ブース内に設置し実演展示していた。今回展示した製品は、ラッシングベルト、カ
ゴ車輸送向けラッシングシステム、デッキングビーム/バー・固定具類、ハンガー
車システム、トラックレール/接着レール、アルミ水抜き穴レール、クロスレール/
ZAMレール、冷凍・冷蔵車用間仕切り(クールマスター/クールボーイ)、エアラ
インレール、ダブルデッキシステム、車イス固定システム、ベルト式電動ウインチ
/スロープ、リトラクター/ACWシステム、トラック庫内搬送システム、AJスケー
ターなどとなった。中でも冷凍・冷蔵車用間仕切り「クールマスター」は、軽量・
高気密・高断熱性により、簡単に庫内の異温度管理を可能にする間仕切りパネ
ルで、新車装着率は業界でトップクラスだとのこと。またこのたび、同社は東証一
部上場企業である芦森工業㈱と資本業務提携を行っている。これにより、芦森
工業の繊維技術とオールセーフの金属加工技術が一体となり、さらなる製品開発
へと発展するものと期待されている。

TheTRUCK2018年10月号68
BYDの電動フォークリフトに搭載されている高性能リチウムイオン電池
ビーワイディージャパン株式会社 出展テーマ:新エネルギー・フォークリフト
コマツ 出展テーマ:コマツから次世代への提案
中国の大手企業であるBYD社は、エンジン車でもなく、鉛蓄電
池搭載型電動フォークリトでもない、次世代のフォークリトを出
展。有害な排出ガスゼロで環境に優しい車両となっている。世界
初となる「100%リン酸鉄リチウムイオン電池」を搭載し、急速充電
が可能で、補水液補充無し、高稼働時間、高安全性、エンジ
ン車並みのパワーなど、多くのメリットをもつフォークリフトである。
BYD(BuildYourDream/中国名:比亜迪)は1995年に設
立し、社員数18万人を抱える世界有数の巨大電池メーカーで、
2016年の売上高は、1002億0770万元(約1兆6195億円)
にも上る。主な事業は、エネルギー(家庭用蓄電、ソーラーパネ
ル、LED関連)、自動車(電気自動車等)、IT(タブレット端末、ノー
トPC等のOEM)で、2016年にはEV販売台数で世界一になっ
ている。
コマツバッテリーフォークリフト「FEシリーズ」に走行性能を向上させたハイ
スペック車が追加された。FEシリーズは「急速補充電機能」「イージーメ
ンテナンスバッテリー」と車両を遠隔管理できる「KOMTRAX」を搭載し、
防水規格「IPx4」をクリアしたフォークリトである。ブースには、位置情
報、稼働状況、燃料消費量などユーザーに提供できるKOMTRAXを
体験できるコーナーも用意されていた。新型バッテリーフォークリフトFE
シリーズ・ハイスペック車の「FE25H-1」は、2.5tの車両に3t用のモー
ターを搭載することで登坂力・最高速度・駆動力を大幅向上させ、広
い現場や坂道の多い現場、バケットでの押し込み作業などでエンジン車
と遜色無い性能を発揮する。2017年11月に発売された油圧駆動エ
ンジンフォークリフト「FH100〜160-1」は、建機の油圧技術「HST」
を導入した画期的な車両として展示された他、次世代キャビンも出展さ
れていた。
展示会◆開催レポート

TheTRUCK2018年10月号69
トヨタL&F 豊田自動織機 出展テーマ:この国の物流を、あたらしく、うつくしく
株式会社コーレンス 出展テーマ:On-SiteDecision欲しい搬送車、作れます
会場でひときわ大きなブースを構えていたのがトヨタL&Fである。
ブースでは、トヨタL&Fのグローバル展開や、他業種への挑戦、
未来の物流への取組みなど、これからもユーザーのパートナーと
てあり続けるために進化する、新しいトヨタL&Fの物流ソリューショ
ンが展示されていた。目玉は広いスペースを利用してのデモンス
レーションで、STAGE1「新たなるトヨタL&F」…グローバルや
他業種に拡がる物流ソリューションの紹介、STAGE2「お客様の
物流パートナーであり続けるために」…トヨタL&Fが考える安全
環境、そしてIoT/Ai・自動運転、となっていた。CO
や環境
負荷物質を排出しない優れた環境性能を持つ水素を燃料に稼働
するFCフォークリフトも展示された。
ニーズに応じて、木材・金属等、重量物・長尺物など幅広い用
途に使用できる最新鋭のドイツHUBTEX社製電動式マルチダイ
レクションナル・カウンターバランス・フォークリフト「FLUX30」を日
本国内で初出展した。この車両は、定格荷重3.0トン〜4.0トン
クラスの小型電動式標準モデルで、最新のHXステアリング機能
を標準装備し、重さ4トン以下の長尺物、パレットなどを限られた
スペースで搬送することを可能にしている。搭載されたHXステア
リングシステムは、マルチダイレクションステアリングシステムの発
展型システムで、直行←→横行へステアリングを切り替える場合、
これまでは一度停止する必要があったが、HXステアリングシステ
ムは停止することなその切替が可能である。油圧ダンパー内蔵シャ
シーにより車体を安定する機能も採用されている。

TheTRUCK2018年10月号70
三菱ロジスネクスト株式会社 出展テーマ:三菱ロジスネクスト、未来へ
住友ナコフォークリフト販売株式会社 出展テーマ:より長く、より確実に、より安全に
“現在取り組むべき無人化・省人化の課題と、作業現場における安全への
対策”、“これからの物流機器のあるべき姿”など、ハードとソフトの両面から
ニーズに応える製品とサービスを紹介していた。ブース内で実演展示されていた
「PLATTERAuto(プラッターオート)は、走行ルートをレーザースキャナで反
射板を検出し自分の位置を把握して走行する床面への磁気誘導埋設工事の必
要がない「レーザー誘導方式」を採用。導入時に床面工事が不要となるため,
床工事ができない物流現場での導入も可能にしている。
物流現場の頼れるパートナーとして、より長く、より確実に、より安全に使用できるフォークリフト
を多くの物流現場に届る目的で開発されたバッテリーフォークリフト「QuaPro-B」。徹底した省エネ
により、業界トップクラスの標準モードで8.5時間、ECOモードで最大9.5時間の稼動を実現。
旋回速度制御システムSTCを新搭載し、旋回時の荷崩れを減少させている。また、物流現場
のピッキング、搬送作業の新スタンダードとして、パレットピッキングからケースピッキングへと荷物
の小口化が進む物流業界に対応する「Pickioシリーズ」は、運転席の付いたコンパクト仕様の小
型搬送機となっている。
展示会◆開催レポート

TheTRUCK2018年10月号71
CBcloud株式会社
出展テーマ:荷主とドライバーを直接結ぶ
株式会社MUJIN
出展テーマ:次世代型物流を担う最新ロボットピッキング
株式会社守隨本店 出展テーマ:進化し続ける移動式はかり
「はかりは固定式から移動式へ」をコンセプトに、物流業界のスピード化・無
線化・コストダウンに貢献できる3D計量機・無線計量機などを展示。同
社も東京トラックショーに出展していた。トラックに関連する製品としては、
パネル展示されていた高精度車載計量機「ロッキーシリーズ」がある。後付
けできる同社ならではの車載計量機で、荷台とシャシの間にロードセルを挟
み込むことにより、荷台そのものが“はかり”となる画期的な装置だ。はか
りとして使用しない時には衝撃緩和装置になる「ロッキーⅠ」、計量回数の多
いごみ収集車などに適した「ロッキーⅡ」、カゴパレット積載時に簡単計量で
きるゲート付バン型車用の「ロッキーⅣ」などニーズに応じた機種がシリーズ化
されている。その他、進化した「無線式ポータブルトラックスケール」も注目
したい製品のひとつである。
ロジスティクス×テクノロジーと題した㈱CREグループのブースで
紹介されていたPickGo。配送するドライバーと直接つながるこ
とで、迅速・確実・柔軟な対応が可能で、面倒な電話連絡な
どの必要がない軽貨物の緊急便である。登録ドライバーは全国
5,000名以上。
知能化されたロボットによる最先端のピッ
キングソリューションを出展。トラックイメー
ジのコンテナからの荷下ろし作業(デバン
ニング)の実演展示を行っていた。デバン
ニングは、その過酷な労働環境から永年
自動化の課題として取り組まれていた。
自動化が最も難しいデバンニング作業を
知能化されたロボットにより世界で初めて
解決させている。

TheTRUCK2018年10月号72
ハラックス株式会社
出展テーマ:アルミニウム製品の総合メーカー
太陽紙工株式会社
出展テーマ:コレ知ってます?
横浜ゴム株式会社
出展テーマ:横浜ゴムとお付き合いしてみませんか?■
トラックのアオリにかけて使う多目的階段
「マルチステッパ」は、ステップの奥行
が約16㎝で安定感があり、荷物を持っ
たままでの昇り降りがしやすい。アオリ
に引っ掛ける簡単セットのトラックステッ
パー」はステップ奥行が22.5㎝、幅40
㎝で両足で立てる安心設計だ。また、
ゴム製滑り止め付き移動式階段「ネオス
テップ」も取り扱っている。
産業用資材、物流資材、商品容器の製造・販売を行っている岐阜県の
会社である。イージーパレットは、物流を梱包から考えた紙パレット。手狭
な倉庫で場所をとらず、信頼の強度でしっかり固定できる。耐圧は3トン
で、何度も使用可能でその後は古紙リサイクルできる環境も考えたパレッ
である。コーナープロテクターは、人を守り、荷物を保護する決定版と
て考えられた耐水仕様製品である。据え付けはただ車輪の下に敷くだけで、
積み下ろし中の荷物の固定、輸送中の荷物の固定、倉庫内の台車の
固定などに対応している。
ユーザーの悩みや課題についての
ソリューションを提案し、物流の
足元をサポートする横浜ゴムは、
フォークリフト用タイヤ、トラック用
タイヤ、リトレッドタイヤ、情報サー
ビスなど、豊富な製品バリエーショ
ンと様々なサービスを紹介。大型ト
ラック用リトレッドタイヤのコーナー
には、リトレッドタイヤの製造工程
を実物展示で分かりやすく説明し
たほか、新品タイヤとの比較展示
も行われ、リトレッドタイヤの優秀
性をPRしていた。
展示会◆開催レポート

永年培った車体技術で
不可能を可能にします
移動販売店舗車
 3トン車タイプ(拡幅式)
移動理美容車
 「イノベーション」3トン車タイプ(拡幅式13.2㎡)
■物流車
 電動式リフトウィング車
物流車水平脱着ボデー
物流車
   空ドラム缶運搬車
物流を創造する
オオシマからの提案
永年培った車体技術で
不可能を可能にします
オオシマ自工株式会社
〒742ー0023 山口県柳井市南浜4丁目3ー7 
TEL0820ー23ー3800 FAX0820ー23ー3801
http://truck.oshimajiko.co.jp/
エアーを抜いた状態
ゴムベルトの収縮によ
り、薄くなった状態
エアーにより膨らんだ
 状態
約5トンの圧力で固定
(エアーホース∅310㎜)

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号76
 三菱ふそうトラッ・バス㈱(MFTBC)は、中型トラッ「ファ
イター」に新型4気筒エンジン「4V20」型搭載モデルを追加
設定し、全国の三菱ふそう販売会社及び三菱ふそう地域販
売部門にて2018年8月より販売を開始した。
 中型トラッ「ファイター」4気筒エンジン搭載モデルは、平
成28年排出ガス規制に適合するともに、平成27年度重
量車燃費基準+5%を達成している。6気筒エンジン(6M60
型)搭載車に対し、最大約300㎏重量を軽減したことで、車
両総重量クラストップの積載量を確保。特に一般道主体の
走行形態においては、優れた燃費性能と高積載で高い輸送
効率を実現させている。
 準中型免許対応(車両総重量7.5t)車についても、仮眠
やリクライニングが可能となるフルキャブ、大型トラック同等の
ボデー幅が搭載可能な広幅キャブも設定。また、精密機械
や生鮮食品の輸送に適したエアサス仕様車を設定し、ユー
ザーのビジネスをサポーしている。
 ふそう中型トラックは、1964年に国内で初めての
本格4トンキャブオーバータイプ「T620」型を発売以
来、常に市場動向及びユーザーニーズに応えるべく
改良を重ねてきた。今般、現行のゆとりのある6気
筒エンジンに加え、高い経済性を確保した4気筒エ
ンジン車両をラインナップに追加することで、幅広い
ビジネスシーンに合わせたトラックを提供できることに
なった。
「ファイター」4気筒エンジン搭載モデルの特長
・平成28年排出ガス規制に適合
・平成27年度重量車燃費基準+5%達成
・6気筒エンジン(6M60型)搭載車に対し、最大約300㎏
の重量軽減
・クラストップの積載量を確保(車両総重量8t)
・準中型免許車両対応(車両総重量7.5t)車で、フルキャブ、
広幅キャブ、エアサス仕様を提供
・発進性を高める「ふそうローンチアシスト」(発進時にエンジン
回転数をアップし、発進をサポート。発進後は通常回転に戻る)
を標準搭載
■「4V20」型エンジンスペック
・型式:4V20
・総排気量:3.9L
・ボアxストローク:φ104×115㎜
・最高出力:125kW
・最大トルク:520Nm
・バルブシステム:4弁-OHV
4気筒モデル…三菱ふそ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
中型トラック「ファイター」
軽量な新型4気筒エンジン搭載モデルを追加
4気筒エンジン搭載の「ファイター」2PG-FK71NJ(撮影用特別仕様車)
約300㎏の重量軽減を可能にする新型4気筒エンジン「4V20」

TheTRUCK2018年10月号77
・燃料噴射システム:コモンレールシステム(180Mpa)
・EGRシステム:クールドEGR
・排気ガス後処理装置:BlueTecRシステムDPF+SCR)
■車両スペックと価格
・車型:2PG-FK71NJ
・エンジン:4V20型125kW(170PS)
トランスミッション:6速MT
・主な仕様:GVW8t、カーゴシ、ショートキブ、リーフサス
・東京地区販売価格:7,295.4千円(税込)
 タダノはこのたび、最大吊上げ荷重100トンで国
内最大のラフテレーンクレーン「CREVO1000G4」を
2018年9月19日に発売した。ラフテレーンクレーン
(RoughTerrainCrane)は、ひとつの運転席で、
走行とクレーンの操作が行える自走式クレーンで、狭
隘地での機動性に優れ、コンパクトさと小回り性を活
かし、都市型工事において最も活躍しているクレーン
である。同社のCREVO(クレヴォ)は、CRANE(ク
レーン)+EVOLUTION(進化)からなる造語で、
CREVOG4(クレヴォ・ジーフォー)は、2016年10
月のCREVO700G4とCREVO250G4の発売を皮切
話題のニュートラック新製品情報・新情報
国内最大の吊上げ荷重100トン
ラフテレーンクレーン「CREVO1000G4」発売
りに、2017年3月にCREVO160G4、2017年12月
CREVOminiG4、そして今回のCREVO1000G4は、シリー
ズ5モデル目となる。
 開発コンセプトとしては、タダノのコアバリュー「安全・品質・
効率」を具現化すべく、研究開発を進めてきた各種新機能を
ラフテレーンクレーンに集約し、時代を切り開く「Generation
4(G4)」として結実させたもの。さらに今回、公道走行可能
な国内最大のラフテレーンクレーン開発にあたり、これまでオ
−ルテレーンクレーンや、海外の大型モデルで培った機構を
搭載し、また走行時においても先進のサポート機能で、安全
性を高めている。
■CREVO1000G4の主な特長
⑴国内最大の新鋭ラフテレーンクレーン誕生。国内最大
の公道走行可能な100トン吊りラフテレーンクレーンを
開発
 これまでタダノラフテレーンクレーンは70トン吊りが最大だっ
FUSO中型トラッ「ファイター」2018年モデル(イメージ)
最大吊上げ荷重100トンの国内最大ラフテレー
ンクレーン「CREVO1000G4」(作業姿勢)
70トンクラスのコンパクトサイズキャリヤ採用の「CREVO1000G4」(走行姿勢)

The TRUCK News
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TheTRUCK2018年10月号78
たが、それを大きく上回る最大吊上荷重100トン、最大地
上揚程48.7m(ブーム)/66.3m(ジブ)、そして最大作業
半径44.0m(ブーム)/56.0m(ジブ)を実現。しかもキャリ
ヤは、70トンクラスのコンパクトサイズを採用している。
 この高揚程や広範囲の作業領域を実現したのは、国内向
ラフテレーンクレーンでは初採用となる「シングル伸縮シリンダ」
や「SmartChart」、そして自力着脱式のカウンタウェイトによ
るもので、クレーン性能を最大に引き出す先進の技術が搭載
されている。
 なお、シングル伸縮シリンダは、内蔵された1本の油圧シリ
ンダがブーム内でスライし、各段をブーム固定ピンで連結し
ながら、順次送り出していく伸縮システム。SmartChartは、
アウリガが全張出状態においても、さらに性能を引き出す機
構で、クレーンの能力を最大限引き出すことができる。
⑵ラフテレーンクレーン初のセットアップラジコン[シリー
ズ共通]
 周囲の状況を確認し
ながら、安全で効率的
に作業準備や格納作業
が行える「セットアップラ
ジコン」を新採用。手
元のラジコン操作で、
アルミ敷板4枚の設置・
格納、アウトリガのスラ
ド、ジャッキの設置・
格納、ジブの装着・格
納が行える。なお、セットアップラジコンで可能なクレーン操
作は、アルミ敷板の設置・格納、アウリガの張出・格納、
ジブの装着・格納のみでクレーン作業はてきない。
⑶キャビンを新開発[シリーズ共通]。キャビンのデザイ
ンと装備類を一新し、作業効率・操作性・視認性などが、
大幅に向上
 新採用の大型マルチファンクションディスプレイは、10.4
インチカラー・タッチパネルに、クレーンの作業情報や、各
種操作設定の機能を集約し、作業効率を高めた。さらに感
圧式タッチパネルの採用により、手袋をした状態でも操作可
能だ。
 また、操作レバーに電気式操作システムを採用し、これま
でにないフィト感のある操作性を実現。旋回・ブーム起伏・
ジブチルトの操作速度をそれぞれ5段階に設定可能で、オペ
レータのフィーリングに合わせた操作を可能にしている。さ
に、インパネの形状や高さ、ガラス面の角度を改善し、運転
席からの視認性を向上させた。
⑷タダノビューシステムが安全走行をアシスト[シリーズ
共通]
 クレーン業界では国内初の俯瞰映像表示装置「ワイドサイ
ビュー」を搭載。クレーンを上から見たような映像を大型カラー
ディスプレイに表示し、周囲の状況把握や安全確認をサポー
ト。また、クレーン業界では世界初となる人物検知警報装置
「ヒューマンアラートシステム」は、運転席からは確認しづらい
車両左側面の歩行者や、自転車などに乗った人物を検知し、
ブザーで知らせる。
ラフテレーンクレーン初のセットアップラジコン
が採用されている
公道走行可能な国内最大のラフテレーンクレーン「CREVO1000G4」は先進のサポート機能を搭載し走行時での安全性も高い

TheTRUCK2018年10月号79
 なお、タダノビューシステムは様々な機能によって、運転者
の安全な走行をアシストする運転支援システムで、悪天候下
や夜間等、外部環境によって充分機能しない場合もある。
⑸環境への配慮[シリーズ共通]
 環境に配慮した「燃料消費モニタ(クレーンの作業時や走
行時の燃料消費情報を常時表示)」や「エコ・モー(エンジン
最高回転数の制限により燃料消費量を削減)機能を搭載。
CO
排出の削減や、燃料消費量の改善、低騒音作業など、
作業効率と環境に配慮した操作をサポートする。
 また、ディーゼル特殊自動車2014年排出ガス規制適合
エンジンを搭載し、さらに低騒音型建設機械指定も取得して
いる。
⑹テレマティクスWeb情報サービス「HELLO‐NET」
を装備[シリーズ共通]
 携帯・衛星通信によるクレーンの稼働状況の掌握と、
GPSによる位置情報確認、さらに保守管理のための情報を
ウェブサイトでサポート。使用している製品の情報をユーザー
と共有し、一歩進んだサポート・サービスを提供。
⑺スマートフォン対応アプリ「HELLO-DATALINK」
[初採用]
 無線LANでクレーン本体と携帯端末を接続し、クレーン操
作情報、インジケータ情報、エラーコードなどリアルタイムの
情報を、キャビンの外で確認することが可能。アフターサービ
スの効率化に大きく貢献する。
■主要諸元
■価格と販売台数
・標準仕様価格…1億1千万円(税別、装備等により異なる)
・販売見込台数…年間180台

The TRUCK News
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TheTRUCK2018年10月号80
 三菱ふそうトラック・バス㈱(MFTBC)は、ドイツのハノーバー
で開催された国際モーターショー(IAA)で発表した、メルセデ
ス・ベンツブランドの大型トラッ「アクトロス」に搭載の「レベ
ル2」自動運転機能を、2019年よりふそうの大型トラッ「スー
パーグレート」に搭載し発売する。
「レベル2」の自動運転システムは、ブレーキ、アクセル、
およびステアリングを個別に制御。特定の速度でのみ作動す
るシステムとは異なり、アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)
は運転を部分的に自動制御する。新たな要素として、アクティ
ブ緯度制御機能のほか、レーダーとカメラから得られる情報を
融合し、あらゆる速度で縦方向と横方向の動きを制御する機
能が加わっている。
▼アクティブ・ドライブ・アシスト
(ADA)
 アクティブ・ドライブ・アシストは、ふ
うの実績ある定速走行・車間距離制
御装置をもとに構築されており、ストップ
&ゴー制御機能や車線維持アシスト機
能を備えている。このシステムにより、
ドライバーの負担を大幅に軽減し、安
全性が向上する。
▼アクティブ・ブレーキ・アシスト5
(ABA5)
 前方車を含む障害物への衝突の危
自動運転機能…三菱ふそう
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大型スーパーグレートに「レベル2」の自動運転機能を
2019年末までに搭載して発売
険が迫った時に必要に応じてフルブレーキ(急ブレーキ)が自動
的に作動し、ドライバーを支援するシステム。ABA5の新しい
要素は、レーダーやカメラシステムと連携するようになった点で、
車両前方の空間をより正確に監視し、路上の歩行者への対
応精度が上がっている。
■ダイムラーの世界屈指の技術を日本へ
 ADAとABA5の導入は、ダイムラートラクやダイムラー
グループとの長年にわたる緊密な協力体制がもたらす強みと
ユーザーへのメリットを明確に示している。ADAとABA5の
「スーパーグレート」への搭載は、新型「メルセデスベンツ・ア
トロス」に装備された後となり、2019年に実績を重ねた成熟
したシステムとして日本のユーザーに提供される。新技術によっ
て輸送業界や物流業界の変革が
進む中、三菱ふそうは最高クラス
の快適性、安全性、経済性を実
現するべく努力を続けている。ふ
そう「スーパーグレート」に、メルセ
デス・ベンツ「アクトロス」と同様
の高度な自動運転機能を導入す
ることは、日本のユーザーに最大
の価値ある商品を届ける新たな一
歩となる。
 MFTBCのハートムット・シック
代表取締役社長・CEOは、「ふそ
スーパーグレートに「レベル2」の自動運転機能が搭載される
メルセデス・ベンツブランドの大型トラック「アクトロス」

TheTRUCK2018年10月号81
 日野自動車㈱とTRATONAG(本社:ドイツ/アンドレア
ス・レンシュラーCEO、TRATON)は2018年9月18日、
戦略的パートナーシップの進展について発表。両社は電動車
/電動技術における協力と調達ジョイントベンチャー会社の設
立という2つの戦略的取り組みに向けて合意した。
 日野とTRATON(VolkswagenTruck&BusGmbH:
当時)は2018年4月12日、ユーザー、社会、そして両社
に恩恵をもたらす戦略的協力関係の構築に向けて合意した。
その後、両社は複数のワーキングチームを設置し、「既存・将
来技術」および「調達」における協力可能性を追求してきた。
今回発表した戦略的取り組みはこうした活動の成果だ。
 日野自動車の下義生社長は、「本年4月の合意以降、私
達は数か月にわたって話し合いを重ねてきました。そして、私
はあらためて両社が『お客様に最高の価値を提供する』という
共通の価値観を持っていることを確認しました。今回、電動
車/電動技術と調達領域において具体的な進捗がありした
ことを大変嬉しく思っています。会合を重ねるたびに、両社の
信頼関係は深まっており、さらなる協力可能性に向けた活発
な議論が行われています」と語った。
 また、TRATONのレンシュラーCEOは、「TRATONと日
野のパートナーシップは両社にとって競争力の源泉になりま
す。輸送領域における変化は激しいです。私達は力を合わせ
ることで自ら輸送のあり方を変えていくことができます。両社の
協力関係の成果は具体的な形を見せ始めており、また継続
的に新たな協力可能性を見出しています。電動車/電動技
術における協力と調達ジョイトベンチャーの設立に向けた協
技術協力…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
日野自動車とTRATONが電動車/電動技術で協力
調達ジョイントベンチャー設立計画を発表
うの自動運転システムを構成する部品と、メルセデス・ベンツ
製乗用車の部品とは、8割が共通しています。このことは、
ふそうがダイムラー・グループの一員であることの価値を日本の
お客様に提供できるこを明確に示しています」と語った。
ヨーロッパの展示会に出展された「アクトロス」ふそう安全機能のプロキシミティー・コントロール・アシス
電動技術等における戦略的取り組みに向けて合意した日野自動車とTRATONAG

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号82
力は始まりにすぎません」と語っている。
 電動車/電動技術において、日野とTRATONはより短
期間で開発成果と商品を共有していく。日野は電動化におい
て25年を超える歴史があり、世界一の市販済ハイブリッドト
ラック・バスの販売台数を誇る。また、来年には日本で世界
初のAI勾配先読みハイブリド制御を採用した大型
のハイブリッドトラック/日野プロフィアハイブリドの
発売を予定している。電動車/電動技術において、
両社は補完的なパートナー関係にあり、TRATONは
大型、日野は中型・小型に強みがある。両社の強み
を合わせることによって、双方のイノベーション力を高
めることができる。
 新たに設立予定の調達ジョイントベンチャーは両社
平等な権利のもと、調達相乗効果(シナジー)を高める
べく、小さな組織で効果的な運営を目指す。同ジョイ
トベンチャーは両社の既存部品、および将来技術に関わる
部品のグローバル調達による相乗効果(シナジー)を目的として
いる。ジョイントベンチャーの設立に向けた覚書はすでに調印
が行われ、今後は2019年後半の会社設立に向けた独占
禁止法の事前相談が予定されている。
 トヨタ自動車㈱の北米事業体であるToyotaMotorNorth
America,Inc.(TMNA)は、米国カリフォルニア州において、
エネルギー企業のシェル(Shell)、米トラックメーカーのケンワー
ス(Kenworth)とともに、燃料電池(FC)技術の活用による
貨物輸送のゼロ・エミション化を目指したロサンゼルス市港
湾局(POLA:thePortofLosAngeles)のプロジェトに参
画する。
ゼロ・エミッション化…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
FC技術による「貨物輸送のゼロ・エミッション化」を目指し
米ロサンゼルス市港湾局の新プロジェクトに参画
 TMNAは、FC技術の応用を通じて同州の港湾における
環境対策に貢献すべく、2017年夏よりFC大型商用トラッ
クの実証実験を始め、2018年7月には、実用性を高めた
改良型トラックを公開するなど、取り組みを進めている。
 同プロジェトにおいて、ロサンゼルス市港湾局は、まず港
湾エリアを中心に新たな貨物輸送車を導入し、大気汚染物
質の影響が大きい地区における排出物質の削減を図り、将
来的には、港湾エリア外へも取り組みを広
げ、大気汚染物質を排出しない物流オペ
レーションを広範囲で構築することを目指し
ている。これらの取り組みを通じて、年間
で温室効果ガスの排出量を465トン、窒
素酸化物やPM10など有害物資の排出量
を0.72トン削減することができるものと考え
ている。
 なお、本プロジェクトは、カリフォルニ
ア州大気資源局(CARB:CaliforniaAir
ResourcesBoard)の補助金プログラムで
ある「ZANZEFF:Zero-andNearZero
EmissionFreightFacilitiesProject(貨
物輸送施設における大気汚染物質削減プ
2018年7月に公開された実用性を高めた改良型FC大型商用トラック
世界初のAI勾配先読みハイブリド制御を採用したハイブリッドトラック
「日野プロフィアハイブリド」

TheTRUCK2018年10月号83
ログラム)」のなかで、4,100万米ドルの補助金交付の候補と
して選出されている。補助金が正式に承認された場合、プロ
ジェト費用(約8,300万米ドル)の約50%が助成されること
になる。
■POLAによるプロジェクトの主な内容
⑴FC大型商用トラック10台を導入
トヨタは、ケンワースのプラットフォームをベースに、今秋よ
り導入予定である改良型FC大型商用トラックの性能をさ
に強化したトラックを10台開発。これらのトラックは、ロサン
ゼルス港から、ロサンゼルス市外のヒューニーメ港のほか、
同州内陸部のリバーサイド郡やマーセド郡などへの貨物輸送
を行う予定である。米国でトヨタの物流事業を担うToyota
LogisticsServicesが10台のうち4台を、その他の貨物
運送会社3社が残りの6台(UnitedParcelService社が3
台、TotalTransportationServices社が2台、Southern
CountiesExpress社が1台)を使用する。
⑵大型水素ステーション2基を新設
 シェルは、ロサンゼルス市のウィルミトン地区と同州内陸
部に位置するオンタリオ市に、大型水素ステーション2基を
新設する。FC大型商用トラックは、ロサンゼルス周辺のトヨ
タの施設内に設置された既存の3基を含め、合計5基の水
素ステーションにおいて水素を充填する。
⑶港湾敷地内や倉庫におけるゼロ・エミッション技術の
利活用拡大
 ロサンゼルス市港湾局は、ロサンゼルス市の北部に位置す
るヒューニーメ港に電動トラクター2台を新たに導入する。ま
トヨタは、トヨタの港湾倉庫で使用するフォークリトのゼロ
エミション化を進める。
◇   ◇   ◇   ◇
 ロサンゼルスのエリク・ガルセッティ(EricGarcetti)市長
は、「ロサンゼルス港は、環境保
全と経済成長は両立するということ
を世界に示しています。今回の補
助金は、貨物輸送のゼロ・エミ
ション化を推し進めるものです。
CARBによる米港湾への投資に
感謝するともに、私たちは引き続
き、より持続可能な未来に向けた
取り組みをリードしてまいります」
語っている。
 また、ロサンゼルス市港湾
局のジーン・セロカ局長(Gene
Seroka)は、「CARBからの補助
金は、次世代のクリーンな港湾施
設、貨物輸送トラックおよびインフ
ラを開発・事業化していく上で、
2017年夏に実証実験として開発された初代FC大型商用トラクシェルは米国オンタリオ市に大型水素ステーション2基を新設する(写真はドイツ
Shellがベルリンで運営する水素ステーション)
大気汚染物質を排出しない物流オペレーションを目指すロサンゼルス港(写真は巨大コンテナ船「CMACGMBenjamin
Franklin」

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号84
 ベルギーブリュッセルでHydrogenCouncil(水素協議会)
は、新たに14企業の参画が決定したと発表した。今回参画
した企業は、Airbus、AirProducts、Cummins、EDF、
JohnsonMatthey、KOGAS、SINOPEC、thyssenkrupp
のステアリング・メンバー8社と、AFCEnergy、三菱重
工、Re-FireTechnology、三井住友銀行、住友商事、
SouthernCaliforniaGasのサポーティング・メンバー6社
で、すでにサポーティング・メンバーであったFaureciaが、
ステアリング・メンバーとなった。
 今回新たに14企業が加わったことで、11カ国、53の
企業がHydrogenCouncilに参画し、参画企業全体の収
益規模は2.5兆ユーロ、従業員数は380万人以上に達した
(各社の2017年度データ)。2017年1月に13企業で
本協議会で発足されてからわずか1年半で、参画企業数は
4倍以上に増加したことになる。この急速な拡大は、水素活
用への関心が高まっていることを示している。
 米国サンフランシスコで開催されるGlobalClimateAction
Summit会期中にHydrogenCouncilの年次総会が実施
されるが、本発表はそれに先立つもの。年次総会では、各
社の経営幹部が一同に会し、水素活用を通じて60億トンの
CO
削減、2兆5,000億ドルの市場
と3,000万人の雇用創出に向けた21
世紀中頃までの共同ビジョンについて、
戦略的議論とアクションプラン策定を丸
1日かけて実施する。また、Hydrogen
Councilは、GlobalClimateAction
Summitでこれまでの取り組みについて
参画企業増加…水素協議会
話題のニュートラック新製品情報・新情報
HydrogenCouncil(水素協議会)の参画企業数が
発足から1年半で4倍に拡大
非常に重要なものです。私たちは、トヨタ、ケンワース、シェ
ルのような業界をリードする企業との共同技術開発やインフラ
整備を通じて新たな取り組みを進めてきました。今回の補助
金は、そういった官民連携の取り組みに対して交付されるもの
です」と述べている。
 TMNAのボブ・カーター(BobCarter)エグゼクティブ・バ
イス・プレジデントは、「水素を燃料とするFC技術は大気汚
染物質を排出しないことに加え、汎用性、走行性能、航続
距離などの面でも優れており、トヨタはFCが将来のパワート
レーンの主流になる可能性を秘めていると確信しています。
FC大型商用トラックはその確信を裏付けるものです。私たち
は、ロサンゼルス市港湾局やケンワース、シェル、その他の
オペレーションを担う事業者ともに、大気汚染物質を排出し
ない貨物輸送トラックの効果を検証し、加州における貨物輸
送の水素インフラ整備に携われることを誇りに思います。今
回導入するFC大型商用トラックは、様々な用途に使えて汎
用性の高いFC技術を活用したゼロ・エミション化を始め、
トヨタが電動化を推進するなかで、新たなFCVのラインナッ
プとして加わることになります」と述べた。
 ケンワースのマイク・ドージャー(MikeDozier)ゼネラル・
マネージャーは、「今回のプロジェクトは、ロサンゼルス市港湾
局、ケンワースおよびトヨタが、将来のクリーンなトラックづく
において重要な役割を担うゼロ・エミション技術を共同で開
発・運用するための絶好の機会です」と語っている。
 さらに、シェルの新燃料担当であるマシュー・ティッパー
(MatthewTipper)バイス・プレジデントは、「今回の補助金
提案は、水素が貨物輸送分野のゼロ・エミション化に向け
た有望なソリューションであることを証明するものです。州政
府による支援に感謝するともに、ロサンゼルス市港湾局、
ケンワースおよびトヨタと、カリフォルニア州におけるクリーン
代替燃料の開発に取り組む機会を得たことを光栄に思いま
す。今回のプロジェクトにより、私たちは、水素の供給先に
大型貨物の輸送機関を加えることができます」と述べた。
 ロサンゼルス港では、かねてより加州エネルギー委員会の
協力のもと、大気汚染物質を排出しないサプライチェーンや
物流の構築に向けて、様々なゼロ・エミション技術の検証
が行われてきた。ロサンゼルス市港湾局による今回のプロジェ
トは、これまでの取り組みを補完・推進していくものである。

TheTRUCK2018年10月号85
発表する予定だ。
 HydrogenCouncil共同議長のブノワ・ポチエAir
Liquide社会長兼CEOは、「我々は、HydrogenCouncil
に新しく参画する14企業を歓迎します。本協議会に対する
世界からの関心は、我々の期待以上です。メンバーに、エネ
ルギー・輸送・産業ガスに加え、その他のリーディングカンパ
ニーが含まれていることは、水素への移行が世界的に重要と
捉えられていることを示しています」と語っている。
 また、HydrogenCouncil共同議長のワンチョル・ユン
HyundaiMotor副会長は、「18ヶ月の間、我々が公表したレ
ポートである『Hydrogen,scalilngup(水素市場の拡大/
2017年11月)』に基づく水素社会実現に向けたロードマッ
プを参画企業で共有し、世界の政府と新しい取組みを検討し
てきました。GlobalClimateActionSummit会期中、本
協議会からの発表にご期待ください」と付け加えた。
■HydrogenCouncil(水素協議会)について
 HydrogenCouncilは、2017年初め、スイス・ダボスで
開催されたWorldEconomicForumの場で発足ている。
グローバルなエネルギー移行に関して、水素技術が果たす
役割を推進していく、世界初のグローバルなCEOによるイ
ニシアチブで、現在のメンバーは、ステアリング・メンバーで
ある33の様々な国の企業(3M、Airbus、AirLiquide、
AirProducts、Alstom、AngloAmerican、Audi、BMW
GROUP、ChinaEnergy、Cummins、Daimler、EDF、
ENGIE、Equinor、Faurecia、GeneralMotors、Great
WallMotor、本田技研工業、HyundaiMotor、岩谷産
業、JohnsonMatthey、JXTGエネルギー、川崎重工
業、KOGAS、PlasticOmnium、RoyalDutchShell、
Sinopec、TheBoschGroup、TheLindeGroup、
thyssenkrupp、Total、トヨタ自動車、Weichaiの各社)と、
サポーティング・メンバーである20のバリューチェーン上の企
業(AFCEnergy、Ballard、FaberIndustries、FirstEle-
mentFuel(TrueZero)、Gore、HexagonComposites、
Hydrogenics、丸紅、McPhy、三菱商事、三菱重工、三
井物産、NELHydrogen、PlugPower、Re-FireTechno
logy、RoyalVopak、SouthernCaliforniaGas、三井住
友銀行、住友商事、豊田通商の各社)となっている。
 HydrogenCouncilは、これまで2つのレポートを発表し
ている。「Howhydrogenempowerstheenergytransition
(いかに水素は将来エネルギーへの移行を後押しするか/
2017年1月)」では、エネルギー移行における水素の役割、
そのポテンシャル、直近の実績、導入に向けた課題について、
「Hydrogen,scalingup(水素市場の拡大/2017年11
月)では、長期視点での水素のポテンシャルと水素導入の
ロードマップについてのビジョンを初めて示している。
 日産自動車㈱は2018年9月6日、東京日産自動車販
売㈱、日産プリンス東京販売㈱と共同で、「災害時における
電気自動車からの電力供給に関する協定」を練馬区と締結し
たことを発表した。
電力供給協定…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
練馬区と災害時における電力供給協定を締結
「日産リーフ」の安全・安心パトロールカー出発式を開催
水素協議会代表メンバー
練馬区役所本庁舎で行われた協定締結式の様子

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号86
 協定の内容は、「災害が発生した際、日産は練馬区内の
日産販売会社店舗で試乗車として配備している電気自動車
(EV)を、練馬区に無償で貸与する」「練馬区は、日産販
売会社店舗に設置しているEV用急速充電スタンドを優先し
て利用できる」、となる。
 今回、日産自動車および日産販売会社は、練馬区が
2018年6月に創設した、区所有の電気自動車に加え、区
民や事業者が所有する電気自動車(EV)等を災害時の避難
拠点の電源として活用する「災害時協力登録車制度」の取組
みに賛同し、協定締結を行う運びとなったもの。
 締結式は6日、練馬区役所の本庁舎にて、練馬区所有
の安全・安心パトロールカーとして導入された、日産の電気
自動車(EV)「日産リーフ」全7台の出発式と合わせて開催され
た。また、会場では、安全・安心パトロールカーの電力を使
用し、災害時に使用する電気機器を動かす外部給電のデモ
ンストレーションも実施された。
 日産自動車は2010年、世界で初めて電気自動車の量産
を開始し、「日産リーフ」を発売した。2017年10月に2代目
となる新型「日産リーフ」を発売し、2018年の4月には、「日
産リーフ」の国内累計販売台数が10万台を突破した。また、
グローバルでの電気自動車の累計販売台数は現在34万台
を超え、電気自動車のパイオニアとして、電気自動車の普及
を通した社会の変革に向けた取組を強化させている。
 そして、今年の5月に日本電動化アクション『ブルースイ
チ』を発表して以降、その活動を牽引するリーダーとして、地
方自治体や、さざまな企業と連携しながら、ゼロエミショ
社会実現とEV普及を通した社会変革に向けて積極的に取
り組んでいる。
 日産自動車の石井裕晶理事・渉外担当役員は今回の締
結式で、「今後、更に電気自動車を普及させていくには、今
回のような行政の方のバックアップが、非常に重要であると考
えています。練馬区において、電気自動車が普及し、災害
に強い街づくりにつながることを期待しています。また、われ
われ日産自動車は、販売会社とも連携し、最大限のバックアッ
プをさせて頂きたいと思います」と語った。
■協定の概要
・災害時、練馬区内の日産販売会社店舗に配備しているEV
(試乗車)の区への無償貸与
・災害時、練馬区内の日産販売会社店舗に設置してある
EV用急速充電スタンドの区優先利用
・災害時協力登録車制度(区民登録制度)の周知協力
・平常時、EV普及に関する広報活動への協力(イベント出
展等)
災害時に使用する電気機器を動かす外部給電の
デモンスレーショ
練馬区所有の安全・安心パトロールカーとして導入された
「日産リーフ」

TheTRUCK2018年10月号87
 三菱ふそトラック・バス㈱(MFTBC)は、タイでタイ市場
向け商用車の組立工場の建設を行なうと発表した。また、
FUSOブランドの現地販売代理店であるダイムラー・コマー
シャル・ビークルズ・タイランド社(DCVT)がメルセデス・ベン
ツブランドの商用車事業を引き継ぎ、商用車専用に統合され
た組織となる計画も公表した。
 MFTBCは、1200万ユーロ(4億5000万タイバーツ)を
投じてタイの経済成長のカギを握る同国中部の経済特区「東
部経済回廊(EEC)」に新工場を建設する。着工は2018年
10月、竣工は2019年第2四半期を予定している。新工
場施工後は、現在インドで完成車として輸出している中・大型
トラックを新工場でKD生産する。第一段階として、タイの急
速に拡大する建設部門向けに2018年初めに販売を開始し
た大型トラック「FJ2528C」を同工場で組み立てる。
 長年にわたり、タイには小型・中型・大型トラックを導入し、
市場のニーズに対応している。2015年から同市場向け中・
大型トラックは、ダイムラー社が100%出資するインドの子会
社ダイムラー・コマーシャル・ビークルズ社のオラガダム工場
で生産し輸出と販売を行なってきた。ダイムラーの最高水準
に準拠した最新鋭工場での生産により、タイのユーザーに卓
越した品質を届けている。
 MFTBCのミヒャエル・カンパー副社長兼セールス・カスタ
マーサービス本部長は「東南アジアで追い風となる事業環境
と戦略的立地により、タイはMFTBCの成長戦略のカギを握
る市場となっています。DCVTの業績は好調であり、今回タ
イ市場向けの商用車組立工場を新たに建設することで、同
国での事業をさらに拡大していきます」と述べた。
 また、DCVTのサーシャ・リカネク最高経営責任者(CEO)
「タイはその一貫した成長で、わが社の長期的成功に非常
に重要な市場となっています。タイのお客様への献身を明確
に示す2つの画期的な取り組みを発表できることを誇りに思
います。一つ目がタイ市場向けの商用車の組立工場新設へ
の投資です。そして二つ目は、お客様に最高の製品とサービ
スを提供するためにFUSOとメルセデス・ベンツ両ブランドを
含む商用車事業をDCVTに統合することです」と説明した。
■DCVTでFUSOとメルセデス・ベンツブランドを展開
 ダイムラーが掲げる「お客様への献身」の一環として、従
来メルセデス・ベンツ・タイランド社下にあったメルセデス・ベ
ンツブランドの商用車事業がDCVTに移管される。結果、
DCVTがFUSOとメルセデス・ベンツ両ブランドの商用車の
販売とサービスを手掛けることになる。これにより、FUSOの
大型車商品ラインナップの高出力のセグメトをメルセデス・
ベンツの商品で補完し、ユーザーの幅広い需要に応え、タイ
の商用車部門におけるDCVTの地位を強化することになる。
組立工場新設…三菱ふそう
話題のニュートラック新製品情報・新情報
タイ市場で中・大型トラックの組立工場を新設
2018年内に14ディーラーと24支店へと拡大
建設部門向けに2018年初めに販売を開始したタイ市場向け大型トラック「FJ2528C」タイ中部の経済特区「東部経済回廊(EEC)新工場で組み
立てが開始される「FJ2528C」

The TRUCK News
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TheTRUCK2018年10月号88
■ダイムラー・コマーシャル・ビークルズ・タイランド社
(DCVT)について
 DCVTは、タイ市場の三菱ふそブランドの販売とサービス
を行なう販売代理店として、2016年8月に設立。バンコク
のサトーン地区に本社を構え、バンコク郊外に部品配送セン
ターがある。現在、FUSOの小型、中型、および大型トラッ
クを販売しており、販売ネトワークを2018年内に14ディ
ラーと24支店へ拡大する計画となっている。
 三菱ふそうトラッ・バス㈱(MFTBC)は、ダイムラートラッ
ク・アジア(DTA)の一員であるダイムラー・インディア・コマー
シャル・ビークルズ社(DICV)のオラガダム工場における累計
生産台数が10万台を達成したことを発表した。
 DICVの最先端の生産工場のオラガダム工場はイドチェ
ンナイで2012年に操業を開始し、同年6月に車両の生
産を開始。生産は2013
年に中型トラック、2014
年に大型トラック、そして
2015年にバスに拡大し、
生産台数は毎年連続して
増加している。5万台の
節目は2016年8月に達
成し、2017年には2交
代制操業を導入している。
生産した10万台のうち、
14,500台がFUSOブラ
ンドの輸出仕様の中・大
トラックで、これらを世界
40余りの市場に販売した。
インド生産…三菱ふそ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ社が
生産開始から6年で累計生産台数10万台を達成
FUSO「FJ」はASEAN地域を中心にしたエリアで人気の車種である
タイ国際トラクショー2017(西尾レントオールパラボックス主催)のFUSOブース
DICV社はバーラト・ベンツ、メルセデス・ベンツ、フレイトライナー、FUSOブランドの車両を扱っている
FUSOブースでのパフォーマンスも話題を呼んだ

TheTRUCK2018年10月号89
 DICVはダイムラーのトラック・バスの世界規模の生産網
に不可欠な工場として、バーラト・ベンツ、メルセデスベンツ、
フレイトライナーとFUSOブランドの車両とCKDキットを生産
している。インドのオラガダム工場は、日本の川崎工場とポル
トガルのトラマガル工場と並んで、MFTBCのシャシーおよび
CKDキットの生産拠点のひとつである。。MFTBCはまた、
世界中の顧客に最高の品質と価値を提供するため、4大陸
の16カ所のCKD組立拠点ならびに、部品について柔軟
で効率の高い世界規模のサプライチェーンを構築している。
 MFTBCのハートムット・シック社長・CEO兼DTA代表は、
「DICVのオラガダム工場はFUSOブランドの世界の生産
拠点3カ所の1つとして、とても重要な生産拠点です。われ
われは、イドにおけるダイムラー・トラック・アジアの仲間が
引き続き成功を収めると期待しています」と述べている。
■ダイムラー・トラック・アジア(DTA)の概要
 ダイムラー・トラック・アジア(DTA)は80年以上の歴史を
誇る三菱ふそトラック・バス㈱と、インド市場で躍進的な成
長を続ける新会社ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビー
クルズ社が共同で事業を行う組織である。DTAは製品開
発、生産、輸出、調達、研究活動を共同で行い、ユーザー
にとって価値ある製品とサービスを提供する戦略的なビジネス
モデルを推進している。
DICV社はトラクとバスの生産拠点として重要なポジションにある(写真はDICV社HPより)
オラガダム工場のトラク生産ライ
2012年の操業開始から6年で累計生産台数10万台を達成したDICV社のオラガダム工場

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号90
 住友ゴム工業㈱は、安定的に成長を続けるブラジル市場の
トラック・バス用タイヤの需要に対応するため、ブラジル工場
で2019年3月に稼働予定の同タイヤの生産設備に追加投
資を行い、生産能力を増強することを決定した。
 2016年7月に同社は、312百万レアル(約84億円)を
投資。トラック・バス用タイヤの生産設備を新設し、2019
年3月から日産500本の生産能力で稼働開始することになっ
ていたが、このたび、さらに153百万レアル(約41億円)
の追加投資を行い、同年10月には生産能力を日産1,000
本とすることを決定したもの。
 ブラジル工場は、2013年10月より乗用車・ライトトラッ
ク用タイヤを生産している。
 現在、トラック・バス用タイヤについては輸入販売を行って
いるが、ブラジルの同タイヤ市場は今後年2〜3%程度の
成長が見込まれるため、現地生産により安定供給を図ると
もに、為替変動リスクの回避により、乗用車・ライトラック
用タイヤと合わせて、ブラジル市場におけるタイヤ販売事業の
一層の強化を図る計画だ。
工場生産強化…住友ゴム
話題のニュートラック新製品情報・新情報
ブラジル工場トラック・バス用タイヤ生産能力増強
2019年10月には生産能力を日産1,000本に
■ブラジル工場概要(2017年12月末)
会社名:SumitomoRubberdoBrasilLtda.
所在地:パラナ州ファゼンダ・リオ・グランデ市
代表者名:脇谷宜典(社長)
操業開始:2013年10月
設立年月:2011年7月
事業内容:乗用車・ライトラック用タイヤの製造・販売
生産能力:15,000本/日
従業員数:1,265名
トラク・バス用タイヤの日産1,000本の生産を目的に設備を新設するブラジル工場
住友ゴムのトラック・バス用ロングラ
イフオールシーズンタイヤDUNLOP
「SP680」(参考)

TheTRUCK2018年10月号91
 ユーピーアール㈱(本社:東京都千代田区/酒田義矢社
長、UPR)は、腰や身体への負担を軽減する、世界で初め
ての価格2万円台のアシストスーツ「サポートジャケットBb+
FIT」を開発した。
 第二の背骨と腰ベルトのフィッティングシステムを採用した
低価格のアシストスーツにより、高齢化・人手不足に悩む職
場に導入しやすくなる。なお、第二の背骨は、背中から骨盤
にかけ、もうひとつの体幹を生み出すボーンを独自開発。人
の背骨と同じアーチと適度な可動性により椎間板の圧力増加
を制御し負担の少ない姿勢角度をキープし、作業姿勢におけ
る理想的なカタチを創りだす。
 同製品はこの9月に東京ビッグサイトで開催された国際物流
総合展に出展され、その場で注
文を受け付けていた。初回出荷
は2018年10月下旬を予定して
いる。また、オンライン購入はホー
ムページ(http://assistsuit.upr-
webshop.jp/)で行える。
 UPRは2010年よりこの事業
を展開しており、アシストスーツの
大きな課題である〝高い・重い″
ネックとなり導入を見送っていた企
業に対して2000件を超える現場
デモを実施し、導入しやすいアシ
アシストスーツ…UPR
話題のニュートラック新製品情報・新情報
少子高齢化・労働力不足に対応する
世界初の2万円台低価格アシストスーツを開発
トスーツの開発を進めていたもの。結果、今回発売のサポー
ジャケットBb+FITは〝安い・軽い″を実現させ、アシストスー
ツの課題を解決している。荷物の上げ下ろしだけでなく、立ち
作業・前傾姿勢の軽作業などにも効果を発揮するため、多様
な業種への対応も可能である。
■サポートジャケットBb+FITの特長
・第二の背骨(Bb+)で理想的な姿勢へ誘導
・腰ベルトの調整ダイヤルで瞬間的に最適なフィト感を実現
・パワーベルトで前屈や起き上がりをアシスト
・第二の背骨(Bb+)を取り外して洗濯機で洗える
■サポートジャケットBb+FITの種類と価格
・種類…SLIM/WIDE(2種)
・サイズ…S、M、L、LL(男女兼用)
・重さ…0.5kg(SLIM)/0.6kg(WIDE)
・価格(税別)…25,000円(SLIM)/28,000円(WIDE)
 いすゞ自動車は2008年11月か
ら、フィリピンレイテ島タクロバン市
のフィピン労働雇用省技術教育技
能開発庁(TechnicalEducation
andSkillsDevelopment
Authority=TESDA)において、
経済的に恵まれない若者を対象と
た自動車整備士養成学校に対する
教育支援活動を行っている。
 2018年8月20日に開校10
周年の記念式典が母校で行われ、
多くの卒業生、在校生、新入生が
教育支援…いすゞ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
フィリピンレイテ島タクロバン市で
自動車整備士養成学校への教育支援活動を展開
世界で初めて価格2万円台を可能にし
たアシストスーツ「サポートジャケットBb
+FIT」
「サポートジャケットBb+FIT」は荷物の上げ下ろしのほか立ち作業や前傾姿勢の
軽作業にも効果を発揮する

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年10月号92
参加した。
 これまでに計231名の卒業生が同国のみならず、各国の
自動車販売会社や自動車整備工場でメカニックとして活躍し
ている。いすは今後も技術面を含む支援を継続することで、
世界の自動車産業を支える優秀なメカニックの育成の支援を
していきくとしている。
 プロジェクトスローガンは、『QualityTraning-Our
Commitment/BrighterFuture-OurGift』(品質の高い
レーニングを私たちは約束します/明るい未来それは私たちか
らの贈り物です)となっている。
 大和ハウス工業㈱(本社:大阪市、芳井敬一社長)と㈱
Hacobu(本社:東京都港区、佐々木太郎社長)は、大和
ハウス工業が開発した全ての物流施設(約200ヵ所)におい
て、Hacobuが開発したトラックの入場予約システムを順次
導入する。
 1社の物流デベロッパーが開発する全ての物流施設に、
オンライン上での入退場管理システムを導入するのは業界初
となる。また、トラッドライバーが携帯電話から入退場受付
を登録できる、日本初のオンラインチェクインシステムも順次
導入する。
 入場予約システムは、入居テナント企業の同意が得られれば
導入することになり、導入費用は大和ハウス工業が全て負担す
る。トラックドライバーが手続きをする際に発生するショートメッセー
ジサービスの費用は入居テナント企業の負担となる。
 両社は、2017年9月、物流施設のさらなる高機能化・
高効率化を目指し、資本業務提携を締結。2018年4月に
は、大和ハウス工業と大和ハウスグループの㈱ダイワロジテッ
クが開設した、AI・IoT・ロボットの先端テクノロジーを導入し
た物流施設「IntelligentLogisticsCenterPROTO(インテ
ジェト・ロジスティクス・センター・プロト)」(千葉県市川市)
内において、「MOVO(ムーボ)のバース管理ソリューションを
試験導入するなど、物流企業の輸配送を最適化するサービス
の開発・展開を進めている。
 このたび、運送現場の働き方改革を、より積極的に推進
するために、大和ハウス工業が開発した同社最大級の大型
マルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅰ」(千葉県流山市)
皮切りに、同社が開発した全ての物流施設において、トラッ
クの入場予約システム・オンラインチェクインシステムを順次
導入することになったもの。
 今後も両社は、最先端のテクノロジーを取り入れた物流施
設を開発することで、入居の荷主に対して新たなサービスを提
供していくことになる。
 なお、Hacobuが開発したバース管理ソリューションは、ク
ラウドベースの物流情報プラットフォーム「MOVO」のサービス
で、トラックバーストラックと物流施設の間で荷物の積卸しを
するために、施設内でトラックを接車するスペース)の予約や
物流施設における入退場受付をオンライン上で管理する仕組
みである。
■システムの開発背景
 多くの物流施設では、トラックの入場は先着順のため、1
台あたりの平均荷待ち時間が83分と長く、トラッドライバー
の長時間労働の一因となるほか、周辺道路等で滞留し、
交通渋滞の原因にもなるなど、悪影響を及ぼしている。また
2017年7月には、国土交通省が、トラックドライバーの荷
待ち時間等の実態把握や解消に向けて、入居テナン
ト企業に荷待ち時間等の記録を義務付ける省令を施
行するなど、日本の物流施設が抱える社会的課題と
なっている。
 そのような中、Hacobuは、2018年3月、トラッ
ドライバーの長時間労働を解消するともに、物流
施設の運営効率を高めるため、トラックの入場予約・
受付システムを開発。同年6月には、トラックドライ
バーが道路渋滞等を考慮して、携帯電話から物流施
物流システム…大和ハウス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大和ハウス工業が開発した物流施設で
効率化のためのトラック入場予約システムなどを導入
大和ハウスのマルチ型物流施設「DPL流山Ⅰ」

TheTRUCK2018年10月号93
 ㈱ブリヂストンのグループ会社であるブリヂストンタ
イヤジャパン㈱は、タイヤメンテナンススタッフの育
成、サービス品質向上のための取り組みである、技能グ
ランプリ全国大会を2018年9月9日に開催した。
 同社グループは、「経費削減」「環境対応」「安全運行」「業
務効率化」といった運送事業者様の様々な課題や困りご
とに応えるべく、商品とタイヤメンテナンスサービスを
組み合わせた「タイヤソリューション」を展開している。
その中核を担うのが、ユーザーの安全運行を足元から支
えるタイヤメンテナンススタッフである。
 技能グランプリ全国大会は、高い技術力と連携力が必
要とされるトラック・バス用タイヤのサービス品質向上
と次世代メンテナンスリーダーを育成することを目的と
して2010年から毎年開催しており、今回で9回目の開
人材育成…ブリヂストン
話題のニュートラック新製品情報・新情報
トラック・バス用タイヤのメンテナンスサービスの
人材育成に向けてた技能グランプリ全国大会を開催
設の入退場受付が登録できる、オンラインチェクイ
システムを開発している。
■システムのポイント
⑴物流デベロッパー業界初全ての物流施設にト
ラックの入場予約システムを導入
トラックの入場予約システムは、トラッドライバーや
運送企業が、トラックバースの予約をWEB上で行うシ
ステムである。
 大和ハウス工業が物流デベロッパー業界で初めて、
開発した全ての物流施設に本システムを順次導入す
ることにより、同社が開発した物流施設の入居テナント企業
は、施設内作業や物資の移動計画が立てやすく、物流施設
の運営効率を高めることができる。また、トラッドライバーも
平均荷待ち時間を約70%(59分)削減することができる。
⑵日本初トラックドライバーによるオンラインチェックイ
ンシステムを導入
 オンラインチェクインシステムは、物流施設から一定の半
径内に入った際に、トラッドライバーが携帯電話から物流施
設への入退場受付を登録できる、日本初のシステムである。
本システムを導入することで、トラッドライバーが物流施設に
到着した際に車を降り、受付まで行く手間がななり、トラッ
の長時間待機問題の元になる、渋滞が緩和される。
 大和ハウス工業が開発した全ての物流施設に本システムを
順次導入することにより、トラック全車両のチェクイン状況を
受付・現場で同時に共有できるため、入居テナント企業によ
る現場運営をスムーズに行うことができるともに、トラックバー
スへの接車前後の時間のロスを減らし、施設内の作業効率
を上げることができ、トラッドライバーの作業時間を約10%
削減することができる。
 また、データが一元的に蓄積されるため、季節ごと、時間
ごとの配送量の分析も簡易に行うことができ、将来的にはさ
なる効率化を図ることができる。
■企業概要
◇大和ハウス工業株式会社…1955年4月5日、「建築の
工業化」を企業理念に創業。以来、戸建住宅をコア事業に、
賃貸住宅、分譲マンション、商業施設、事業施設(物流施設、
医療・介護施設等)、環境エネルギーなど幅広い領域で事業
を展開。同社の建築事業は、1955年の創業以来、工業
化建築のパイオニアとして製造施設、医療介護施設、オフィ
スなどさまざまな事業用建築を手がけている。
◇株式会社Hacobu…Hacobuは、「運ぶを最適化する」
をミションとして、企業間物流の最適化を目指し、IoTとク
ラウドベースの物流情報統合プラットフォーム「MOVO」を提
供する会社。輸配送の課題をテクノロジーを活用して解決す
ることを目指し、これまで配送受発注のオンライン化、オンラ
イン求車サービス、トラックの動態管理、温度管理、納品
車両・バース管理ソリューション等の機能モジュールを展開し
ている。
大和ハウスの大型マルチテナント型物流施設「DPL岩手北上」

TheTRUCK2018年10月号94
 三菱ふそうトラック・バス㈱(MFTBC)の特約販売会社であ
る岩手三菱ふそう自動車販売㈱(本社:岩手県滝沢市/今
野継男社長)は、盛岡南支店を移転、新設し2018年9月
18日より営業を開始した。
 紫波郡矢巾町大字高田にて三菱ふそうブランド車の販
売、整備、部品販売を行なっていた盛岡南支店を、東北自
動車道や国道4号線からのアクセス性が高く、県内の主要
物流拠点である流通センターエリアに移転、新設したことで
ユーザーの利便性を向上させたことになる。
 同支店は、最新鋭のリフトを各作業場に配置し、作業動
線を考慮した工場レイアウトを実現し、最新鋭の設備・機器
による質の高いサービスを提供するだけではなく、快適な空間
を追求することでユーザーと従業員にとってよりよい環境を提
供する。
 岩手ふそうの今野継男代表取締役社長は、「弊社の基幹拠
点の1つであります盛岡南支店を移転、リニューアルして新
設することになりした。最新鋭の設備を導入し人員配置を見
直すことで、お客様へのより良いサービスの提供と社員の労
働環境の改善を図りました。お客様にご満足頂けるサービス
を、継続して提供できるものと確信しております」と語っている。
■盛岡南支店の概要
名称:岩手三菱ふそう自動車販売株式会社盛岡南支店
住所:〒028-3621岩手県紫波郡矢巾町広宮沢第3地割
412番
電話番号:019-697-2825(営業・サービス)
営業時間:9:00〜17:30
定休日:日曜・祝日
業務内容:三菱ふそう製トラック・バスの販売、並びに各種
製品に伴う整備および部用品販売
ストール数:整備ライン・検査ライン 合計8ストール
移転・新設…岩手三菱ふそう
話題のニュートラック新製品情報・新情報
岩手三菱ふそうが盛岡南支店を移転・新設
県内の主要物流拠点エリアへの支店開設で利便性向上
催となる。大会では、トラック・バス用タイヤを取り扱
うブリヂストンタイヤショップのスタッフが、同社が制
定した作業標準に基づいて、タイヤメンテナンス作業の
技術と知識を競い合うもの。第1回大会から現在まで、
予選を含めてのべ約3,700名が参加し、その中から、最
高峰のタイヤメンテナンス技術と知識を有するリーダー
として26名が「技能マイスター」に認定されている。
 同社グループは、タイヤメンテナンススタッフの育成
を通じたサービス品質の向上により、運送事業者の安全
運行を足元から支えることでモビリティ社会に貢献して
いくとしている。
「タイヤソリューション」についてはウェブページ
(https://tire.bridgestone.co.jp/tb/truck̲bus/solution/
index.htm)を参照いただきたい。また、ブリヂストンの
作業標準には、タイヤメンテナンス作業の各工程の作業
フローを制定し、順守事項・注意点、危険行為等が示さ
れている。「技能マイスター」は、メンテナンス作業の安
全性や確実性、迅速性及びメンテナンスに関わる知識等
について、一定の基準を満たしたスタッフに与えられる
称号である。
ユーザーの利便性向上を目的に移転・新設した岩手三菱ふそうの盛岡南支店
育成によるサービス品質向上を目的に開催されている「BS技能グランプリ全国大
会」の競技風景

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
TheTRUCK2018年10月号106
1.最長乗車距離
 まだ海外の旅行や出張に慣れていない1981年に
イライラ戦争(イラン・イラク)中のイラクの首都バ
グダッドへ単身での出張を命じられた。
 学生時代に強い印象を与えた小田実氏が書いた
“何でもみてやろう”に刺激を受けたのか、「どうせ
一生に一度しか行く機会のないような出張先ならば
簡単に空路でイラクに入国するよりも、トレーラ
メーカーの社員として隣国ヨルダンの首都アンマン
から約1,100㎞をバグダッドまでタクシーで移動し
て入国する計画を立て、上司の承認を得て日本を出
発した。海外に留学経験のあった上司は「人が住ん
でいるのだから心配ないさ。いい経験になるよ!」
と励まされた。経由地のフランクフルトからの出発
便が遅れ、ヨルダン航空の飛行機がヨルダンの首都
アンマン空港に到着したのは深夜の2時半だった。
 エヤコンの付いたタクシーと英語が話せる運転手
は日本を出国する前に依頼しておいたので、出発の
前日にホテルに大瓶のペットボトル水を3本と、サ
ンドウィッチを3食分注文する。タクシーの後部座
席に座り、注文した品を持って早朝5時過ぎにアン
マンのホテルをバグダッドに向けて出発する。
 日本を出国前には中東の砂漠は砂だらけで車で走
るのは難しいなどと無責任な推測を話す“先輩”も
いたが、“映画“アラビアのローレンス”で有名になっ
た英国軍人T・ローレンスが第二次大戦中に駆け抜
けたハームッド砂漠は土埃の舞う“土漠“だった。
数キロも続く真っすぐなアスファルト舗装の前方に
小さな点を見つけると、数分後には大きなトレーラ
『
クシー(Taxi)
 世界中でもっとも身近な交通機関として利用されるのが“タクシー(Taxi)
である。戦後、タクシー運転手は“雲助タクシー”とか“神風タクシー”と
称された時代もあったが、モータリゼーションの普及や経済の発展に合わせて
運転手のマナーも良くなっている。タクシー乗車では窓外の景色を楽しむだけ
でなく、運転手との会話やサービス態度を通じて各国の文化レベルも知ること
もできる。スマートフォンを利用した格安のシェアリングタクシーが世界中で
普及する現状に、どこでも“手を上げる”と簡単にタクシーに乗車できる時代
からの変化を感じる。
ゲンケートジャパンコンサルティング
井上元
“元さんの従心こばなし”

TheTRUCK2018年10月号107
が対向車となってすれ違い走り抜けていく。道路の
両側にはパンクやバーストして吹き飛んだタイヤ
や、居眠り運転や衝突事故でクラッシュした車両が
たくさん朽ちていて、まるでトラックやトレーラの
墓場のような光景だった。
 国境での検問を抜けると空席になっている助手席
に見知らぬ人が乗車してきた。アラーの神の教え
で、空いたスペースは“皆で利用する”のがあたり
前なのか運転手も平然とした顔で乗車させて走り出
す。近年、先進国で叫ばれている空きスペースを皆
で利用しあう“スペースシェアリングエコノミー”
の考えが実施されていたことを従心の世代になって
感心する。
 買い求めたペットボトルの水に口をつけて飲
んでいると、運転手が手を出して「私にもくだ
さい!」と水を求め、飲み終えると助手席に手
渡し、見知らぬ乗客も勝手に人のボトルを口飲
みしている。サンドウィッチも同様に勝手に皆
でつまんで食べられてしまう。
 運転手からは吸わないタバコを勧められる。
ドライブインでは小さな器に入った甘いお茶
“チャイ”をご馳走になる。運転手が運んでき
た甘い“チャイ”のコップの縁には数匹のハエ
がコップの周りに止まっていた。飲むか飲まぬ
か悩んでいると、運転手が手でハエを追い払っ
て、“「どうぞ!」”とウィンクされる。
 照明のないドライブインでトイレの場所を聞
くと、“裏で用を済ませろ!裏は全部トイレだ”
と教えてくれる。“ただし山の裏側には行くな!
山の裏側は女子トイレだ!”。
 夕刻にチグリスユーフラテス河に架かる大き
な橋を渡り、夜の帳の下りたイラクの首都バグ
ダッドへ到着する。ヨルダンのアンマンから約
14時間のタクシー乗車は人生で最も長い乗車
距離、乗車時間のタクシー旅になった。タクシー
を降りて運転手に領収書を要求すると、白い紙
を千切ってアラビア語で書いてくれた。
 近年、テレビで見るバグダッド市街は戦争で
荒廃して訪問時の面影もない。長距離のタク
シー乗車で出会ったアラビア人や、ほんの少し垣間
見たイスラムの風習も従心世代には懐かしく、一日
も早く復興して欲しいと願う気持ちになる。
 国内でもっとも長いタクシーの乗車距離は北海道
の女満別空港から札幌までのおよそ330㎞の乗車で
ある。札幌に単身赴任中、冬季に母を流氷観光に
連れて行ったときである。網走港から流氷観光船
“オーロラ号”に乗船して流氷見物を楽しんだ後、
女満別空港から最終便の札幌行きに搭乗する予定
だったが、夕刻より雪が激しく降りだして最終便の
フライトは欠航になってしまった。
 「当地で宿泊の可能な乗客は北見市内のホテルへ、
今夜中に札幌に戻られる乗客は札幌までのタクシー
を手配します」とのアナウンスに従い、翌日、欠かせ
東京オリンピックに向けてスライドアーを採用し、車椅子客も乗車が可
能な新世代タクシー仕様車“JPNTAXI(ジャパンタクシー)”の導入が
すすむ(東京都内)
室内高が高く、床面地上高の低いジャパンタクシーは乗り降りが容易
で、後部トランクルームには大容量の収納スペースがある

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TheTRUCK2018年10月号108
ない会議があったので、航空会社がアレンジしたタ
クシーで他の乗客と相乗りして札幌へ向かった。夜
8時過ぎに北見空港を出発したタクシーは雪の積もっ
た国道を昼日中と同様の早いスピードで石北峠を超
える。首都圏では2センチの積雪でも交通機関は大
混乱になるが、積雪した道路を速度を落とさずに走
行する北海道流の運転に驚いてしまう。 
 途中、層雲峡温泉では“氷瀑祭り”が開催中で、
たくさんの氷の像や彫刻が七色の光でライトアップ
されて美しく、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
夜空に打ち上げられた花火を見た母は、高齢になっ
たいまでも“美しかった北海道のいい想いで”に
なったと、思いもかけなかった深夜のタクシー旅を
懐かしがっている。国内最長のタクシー乗車は母へ
の素敵なプレゼントになったようである。
 海外を旅行中には飛行機の欠航がアナウンスされ
ると、航空会社のカウンターに詰め寄り、大声を上
げて文句を言ったり、声を荒げて怒号を叫んだりす
る外国人をたくさん見かけるが、女満別空港では職
員の指示に静かに従って、混乱もなく整然と行動す
る乗客に日本人、北海道人のマナーの良さを誇らし
く感じる。
2.価格交渉
 先進国ではタクシーに料金メーターが取り付けら
れているので、安心して乗車できる。しかし例外も
経験した。イラン・イラク戦争中のバグダッド空港
からのフライトは、航空機の離発着が深夜の2時か
ら朝4時までに制限されていたので、ギリシャのア
テネ空港には早朝4時過ぎに到着した。
 飛行場のカウンターでホテルを決めてタクシーで
向かう。乗車前に価格の交渉をすると「俺の車には
料金メーターが付いているので価格は心配ない!」
と運転手が言う。乗車してホテルに向かうと走行
中、メーターの数字が早く変わるように感じたが、
チップも払って降車する。
 アテネでの滞在後、タクシーでホテルから空港へ
向かうと帰路のメーター料金は往路の半額だった。
そんな経験から、以後は料金メーターの付いたタク
シーでも乗車前に「どのくらいの価格で行ける?」と
運転手に問い合わせをするようになった。
 フランスでも同様に料金メーターの数字が早く変
わることに気が付いたが、アテネでの苦い経験から
急いでタクシーを下車し、別のタクシーに乗り換え
てことなきを得た。
 タクシー後進国では未だに料金メーターの取り付
けがないので、乗車前に価格交渉をすることが求め
られるが、料金メーター付きのタクシーが走る先進
国でも価格トラブル発生への抑止力として、乗車前
に価格を確認することが必要と感じている。
3.神風タクシー
 後進国では走行中に大きな音量で音楽をかけ、ク
ラクションを鳴らして猛スピードで走るタクシーが
横行しているが、国が先進国化して経済が良くなる
と、町中を走行するタクシーの運転マナーやサービ
スも改善するようである。モータリゼーションが進
行した1950年(昭和30年)頃には、国内でも無謀な
運転をするタクシーが増加し、そのような運転手を
“神風タクシー”と呼んでいた。
 はじめてドイツへ行った。フランクフルト空港
から乗車したベンツ製のタクシーはアウトバーン
に入ると200㎞を超えるスピードでホテルに向か
う。あまりのスピードに怖くなり、運転手にスピー
ドを下げるように依頼する。運転手から「ドイツの
高速道路“アウトバーン”にはスピード制限がない
が、日本では走行速度は何キロまでOKなのか?
」と質問を受ける。「最高で100㎞程度」と返答する
難関試験をパスした運転手だけがなれるロンドンタクシー。伝
統的な黒塗りのタクシーには紳士の国“イギリス”の風格を感
じる(ロンドン市内)

TheTRUCK2018年10月号109
と、「200㎞を超えると運転手は緊張するので眠くな
らないが、100㎞ではすぐに眠くなるので日本では
居眠り事故が多いだろうな?」と話す。スピード制
限をなくすことで事故を減らすドイツ人の考え方
に感心する。
 成田空港が開港してしばらくするとバブル景気が
やってきた。深夜の銀座には2列にも3列にも客待
ちのタクシーが折り重なるように乗客を待つ光景が
見られた。企業でもタクシー券が頻繁に利用される
ようになった。 
 海外出張から帰国すると成田空港から自宅までの
タクシー利用が許可されたので、空港前から自宅ま
でタクシーで帰宅した。当時の成田空港のタクシー
は運転手のマナー教育がされていなかったのか、
何度か利用したタクシーは真冬の高速道路で窓を
開けて200㎞に近いスピードで走行した。都内のタ
クシー運転手に聞くと「都内で営業できない運転手
が成田空港で運転手をする。気をつけたほうがいい
よ!とアドバイスされた」。
 海外出張で疲れた体をタクシーに乗って快適に帰
宅できるどころか、せっかく海外から無事に帰国し
たのに、帰宅途中で事故に遭っては大変と、折角の
タクシー利用を止め、箱崎シティターミナル経由の
リムジンバスによる面倒な帰宅方法に変えた。
 経済後進国のタクシーにはまだまだ神風タクシー
のようなスピードで、ハンドルを左右に切り、その
ような運転が上手いと誇るような運転手に出会うこ
とがある。そのような運転から開放されて帰国する
と、無事の到着に安堵の気持ちを感じ、海外に比べ
て国内運転手の運転マナーの素晴らしさを感じる。
 バブル景気が崩壊してから十数年が経過した。成田
空港への鉄道も開通して空港までのアクセスも大きく
変化した。従心世代には今後、空港から自宅までタク
シーを利用する機会はないと思うが、近年、海外から
の来日客も増加する状況に、空港からのタクシー運転
手のマナーが良くなっていることを期待する。
4.真っ青になる
 何度も海外の旅に出かけたが、たった一度の例外
を除いて、幸いにも事故に遭ったりタクシー内で盗
難に襲われたりすることもなく、従心年齢になるま
で旅を楽しんでいる。
 ロンドンへ旅をしたことがある。ヒースロー空港
から電車でビクトリア駅に到着後、車高の高い名物
のロンドンタクシーに乗車し、ハイドパーク公園近
くのホテル“グロムナーハウス”に向かった。ホテ
ルに到着すると運転手にチップを払って降車する。
フロントでチェックインするとき、現在のようなチ
ケットレス、キャッシュレスが普及していない時代
だったので、これからの旅行に必要な宿泊予約券、
旅行小切手(トラヴェラーズチェック)、帰路の航空
券、観劇入場券などすべてが入ったショルダーバッ
グをタクシー内に置き忘れたことに気がついた。
 大慌てでホテル玄関前のドアーマンにタクシー内
に忘れ物をしたことを伝え、急いで警察を呼んで欲
しいと依頼する。ドアーマンは慌てる様子もなく、
「5〜10分ほど待っていなさい!」とのんびりと答
える。
 真っ青な顔をして車寄せで待っていると、先ほど
乗車したタクシーがホテルに戻ってきて、運転手が
「忘れ物だよ!」とバッグを手渡してくれた。お礼に
チップを手渡そうとすると運転手はチップを断り、
「これからは気をつけてね!良い旅を楽しんで!」と
言って走り去って行った。長い人生で最も“真っ青
になった”失敗だった。
 ロンドンタクシーの運転手は難しい試験をパスし
た運転手だけがなれるようである。運転技能や地
理、名所を熟知しているだけでなく、品格や人格も
走る広告塔として高層階へのサービスに屋根部まで広告を描
いたロンドンのタクシー(ロンドン市内)

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TheTRUCK2018年10月号110
身に着けた運転手だけに免許が与えられると聞いて
いたが、運転マナーだけでなく真っ青になった外国
からの訪問者に優しく接してくれた運転手に、すっ
かりロンドンが好きになってしまった。真っ青に
なった失敗に懲りて、以後はタクシーの中でも決し
て肩からバッグを外すことはなくなった。
5.シェアリングタクシー
 高校生になると国内経済も豊かになり朝の通学
時、遅刻しそうになると横浜駅から三ツ沢の丘の上
にある学校まで友達とタクシーを相乗りした。相乗
りは100円硬貨数枚で乗車ができ、シェアリング乗
車で小使いの節約できることを実感した。 
 キューバは長い間、米国による経済封鎖を受けた
ことで使用している車両は古く、タクシーの台数も
不足している。タクシー待ちの乗客は道路上で指を
突き出してタクシーを停車させて乗車している。停
車したタクシーに既に数人、客が乗車していても空
いた座席があれば、タクシーの台数不足を補うため
か皆で協力して相乗りしている。
 近年、先進国では空いたスペースを利用する“ス
ペースシェアリングサービス”の導入が進んでいる
が、貧困やタクシー不足が理由とはいえ、キューバ
で“スペースシェアリング”が行われていることに
感心する。
 高齢になってからの海外旅行では、重いスーツ
ケースを持って列車や地下鉄を利用するのも面倒
なので、シェアードタクシー(相乗りタクシー:
ShearedTaxi)を利用するようにしている。
 日本を出国する前にインターネットでシェリング
タクシーを予約し、料金を決済すると、航空機の到
着に合わせて飛行場までタクシーが迎えに来てくれ
る。他の相乗りするお客と一緒に同乗し、それぞれ
が宿泊するホテルに向かう。金額は通常のタクシー
の半額以下である。
タクシー乗降場はまるで自動車の歴史博物館のようだ
(ハバナ市内)
1950年代に製造された米国製キャデラックのタクシー
(ハバナ市内)
ハバナ市内を颯爽と走る半世紀以上前に生産されたの米国
車のタクシー(ハバナ市内キューバ)
経済の貧しいキューバでは相乗り(スペースシェアリング)乗車
が一般的。車両数の減少、排気ガスの削減に貢献している
(ハバナ市内)
“もったいない”と屋根上部のスペースを利用してお客の荷物を
輸送する(屋根スペースを有効に利用)輸送車両数の削減、
お客の移動時の利便性が向上する(ハバナ郊外キューバ)

TheTRUCK2018年10月号111
 帰国の際も指定時間にホテルに迎えに来て、他
の同乗者と飛行場まで安い運賃で連れて行ってく
れる。
 友人はシェアードタクシー(相乗り)ではなくドライブ
シェアリング方式のタクシー“ウーバー(Uber)”のオ
ンライン配車サービスを利用している。スマートフォン
で“ウーバー”にアクセスすると車の利用が無く運転
が可能な人がタクシー代行し、乗車賃も一般のタク
シーより大幅に安いと話している。
 国内では個人が所有する乗用車が一日に走行する
時間は平均一時間以内で、自家用車を所有しなが
ら、時間を持て余している元気な免許を持つ高齢者
も多い。首都圏マンションの駐車場には昼夜を問わ
ずたくさんの車が駐車している。高齢者の外出や買
い物時の利便性の向上に、コミュニティー内での相
乗りや運転サービスの実現も期待したい。
 イラクではアラーの神の下、キューバでも空き
スペースを乗客がお互いに協力して乗車すること
でタクシー台数を減らし、排気ガスの削減に貢献
している。
 欧米の先進国ではスマートフォンの利用でスペー
スシェアの相乗りタクシーやウーバーなどのドライ
ブシェアタクシーのサービスがどんどん普及してい
るが、世界中で環境にやさしく輸送効率の高いト
レーラ車両が国内で普及しない状況と同様に、国内
では規制が厳しくシェアリングタクシーの普及が広
がらない現実に苛立ちすら感じる。
 日本には古来“もったいない!”の気持ちを大切
にし、お互いが協力して無駄を省く生活があたり前
だったのに、自国の持つ素晴らしさ忘れて、他国に
シェアリング事業やビジネスノウハウを教わる実情
を情けなく感じる。
列に並んで客待ちする国内タクシー。スペースシェアやドライ
ブシェアの導入で無駄な客待ち時間が減り、タクシー台数や
排気ガスの削減が可能になる(松戸市千葉)
昼夜を問わず大型マンションの駐車場には使用されない車両
がたくさん並ぶ。高齢者の介護送迎、買い物など種々のサー
ビスにコミュニティー内でのシャエリングサービスが期待されて
いる(松戸市千葉)
男女の雇用が均等なキューバではタクシー運転手にも女性が
多い。古いタクシーに混ざって新車の韓国製のタクシー(写
真右)が使用され日本車は見られない(ハバナ市内)
国内では見られない
“ショッキングピンク”色
が美しいタクシー。経済
状況の厳しいキューバで
は“もったいない”の気
持ちからか必死に修理し
た様子がうかがえる(ハ
バナ市内)