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0120-918-101

【IAA2016リポート】アイディアで拡がる商用車の世界

TheTRUCK2016年11月号20
今回のIAAのスローガン“Drivenbyideas”をドイ
ツ語で“IdeensindunserAntrieb”と表記してい
る。筆者はこれを“アイディアで拡がる商用車の
世界”と訳す。
初日の朝、来場者で賑
わう会場北口。ここは
ラム駅終点に直結してい
る。外に東・西・南口の
3か所の入り口がある。
賑わった会場、前回を
上回る入場者数
 入場者数245千人で前回の244千人を上回り会
場は賑わった。今回は会期が前回の10日間より短い
8日間であったにも拘わらず前回を上回る入場者を記
録したわけで、筆者の観察で会場が前回より混んで
いたと感じたのは1日当たりの入場者が多かったとい
う主催者発表データで裏付けられたことになる。
 出展社数は全部で2013社・団体。ドイツ以外の
国からの参加は52か国(前回は46か国)に上った。
外国勢の上位5か国を挙げれば、中国=229社、イ
タリー=145社、オランダ=121社、トルコ=92
社、フランス=85社(ここまでの合計=672社)
ある。3社に1社は外国からの参加ということになる
Drivenbyideasアイディアで拡がる商用車の世界
第66回
IAA2016商用車展
リポート
(第1回)
ドイツ自動車産業協会(VDA)が西暦偶数年に開催する世界最
大級の商用車展は本年も無事にハノーバーメッセ会場で開催
された。欧州でも各地でテロが発生した本年だったが、会場
は平穏かつ無事に行われた。
西 襄二
世界の商用車研究
(表1)VDA主催・IAA商用車展主要指標経緯(抜粋)
(注)2016は速報値、NA:不詳
出展社数
所属国数
(独以外国)
展示場面積
(1,000㎡)
来場者数
(1,000人)
2008
2084 NA 275 298
2010
1751 NA 235 242
2012
1904 NA 260 262
2014
2066 45 265 244
2016
2013 52 NA 245
(注)2016は速報値、NA:不詳
(表2)出展品目の分類一覧
(出典:主催者VDA発表資料)
グループ(G)製 品
1トトラクタセミトラクタ
2バ(貨物用)スポ(乗用)
3バニバス含む
4 特殊車
5ト
6 内装材及び各種装備品
7部
8 輸送及び物流シス
9 整備機器及び車両保守関係全般
10 出版物
11 各種団体
12 デル(玩具類)
13 各種サビス
14 電動車(今回新たに設れた

TheTRUCK2016年11月号21
(表3)IAA2016商用車展 世界初公開出展車一覧(【G1】トラック、トラクタ、【G2】バン、小型トラック)
(出典:主催者VDA発表資料並びに各社HPを参照して筆者作表)
整理番号
(分類)
メーカー名 車名/車種 商品特徴 備  考
1
(G1)
DaimlerAG FUSOeCanter
委託先企業で5 万㎞超の実用試験経て実用性
み。 ター 185kw
380Nm、ー容量 70kWh。車両総重量 7.49
ン、1 充電航続距離 100㎞。
ドイツを代る総カー。
世界で 8 の商品展開商用車
世界最大手。
2
(G1)
MERCEDES-BENZ
UrbaneTruck
ライヴラモーを組み込み、高圧電池
ム内側に配置航続距離は 200km まで可能で
電子制御ジが表示れるル充電バ
ー容量は 150kW。
後々軸テア可能仕様
は平面仕様。
3
(G1)
HYVA
新型 TITAN
フックロ
3 軸車架装に当た最適仕様設計す。
1979 年オダで創業の架装ーカー。
プ、フン架装等
を得意とする。製造拠点ジル、中国、
ドイ ド、 リー等に展
4
(G1)
KAMAG KAMAGE-Wheel
電動ク。1 充電で 9 時間の稼働が可能。
地はウルム。1855 発祥機メ
カー NICOLAS 社と 1869 年にのシュ
エール社ルーする現在は重量車を得
意とする独ーカに発展。
5
(G1)
KRESS
KRESS
全電動
MAN TGM 型シベースに全電動駆動方
造。 18 ン。CEEkon/emos/
Bombardier どの協力得て KRESS 製冷凍ボデ
架装。ー容量 240kWh で航続距離 250㎞。
1910 年、 Adam
JohhanKress。独ラカー河流
域のバ^ヴルベルに製造拠点
温度管理車架装に特化。
6
(G1)
MAN TRUCK&
BUSAG
MANTGX640
PerformanceLine
モデルチンジを施され最 640PS EURO
Ⅵ対応ンジンをしたフグシプモデル。
車シシと用途に幅広対応。
VW グループに属ドイツを代る商
車メーカー。スウエーデンの SCANIA
グループ企で、MAN SCANIA
間での人事交流
7
(G1)
MANTGX
EfficientLine3
直前モデル比で燃費効率 6.35% (公的検査機
関)TUEF 認証取得。
8
(G1)
新デザイ
MANtruck
デザイ黒色基調と自社 Lion
を一層際立たせる共にジエへの導入空
気流の最適化が図れた内装は明い色調で快適
性を強調
9
(G1)
に強力
エンジン
主力エンジンの D26 型、 D38 20PS の出力増
を図た。最大 200Nm を確保氏、最高出
ジは 420-460-500-540-580-640PS と用途
に応て設定する
10
(G1)
ORTEN ORTENE75TL
MANTGL を当社が電動化した EVト車両
総重量 7.49トン。架装ーの立場でパワートレ
の改造 EV た。ツでは数少
グボデーを提供
モデル央期の安定した性能に一層の燃
向上の味付を施た。
11
(G1)
ROBERTBOSCH
BoschVisionX
(ShowTruck)
各車が開発を進め自動化隊列走行システム
搭載車のてキブ型デルで実演。
自動化運転システムの中核ポー
を提するアワンサプライヤーの
で体験型シレーを出展。
12
(G1)
VOLVOTRUCKS
新型 VolvoFH
"Performance"
特別仕様車
出力 540PS のエンジンに定ある I-Shift デュ
チ装備パレーを採用。ダイ
前輪独立懸架で最高の心地ステ
アリング
モデル央期の安定した性能に一層の燃
向上の味付を施た。
13
(G1)
ADAMOPEL
新型OpelVivaro
Sport
ピッアッ 乗用車並乗心地実現。
スポーツユーテ車で純粋な物
用途ではない。
14
(G2)
KRONE
KRONECep
Shuttle
小口貨物配送用に架装たボ走行中の空気抵
を低減 冬期の積雪ぐ流線型形状の外観が
特徴。
近年の買収拡大を含め独国内 4
工場 1 工場の製造拠点有す
大手ーラー。アスル自社製
を採
15
(G2)
KIESLING
宅配用
冷蔵冷凍ボ
欧州で普及ていドッセンターから特
ロールクス式カセで一気にローグ。宅配
先ではサイ及び後部迅速な荷役が可能。
コストパォーマンスさが 。ドイ
に本拠を置ーカー。
16
(G2)
LANBRETSAS
新型 PeugeotExpert
CitroenJumpy 
架装グバ
キット化したクーングボデ材を PSA グループに
提供。
宅配用小型か長距離輸送用単車及び
レーラ架装で、温度管理車架装に特化
した独メーカー
17
(G2)
MANTRUCK&
BUSAG
今回ール脱いだ
自社ブラン
TGE VAN。
欧州では一般にスポ呼称れる比較的
VAN に新たに参入ループ親企業の VW
VAN 住み分けるVAN は車総重 7.5ト
で許容すが、展示車は 3.0 5.0トン仕様。
今回は VAN 型で 2 台、ピ型で
1台
18
(G2)
NISSAN
NissanNavara
EnGusrdConcept
プ型シに架装たバー交換式 EV
コンセプトモ
日産が培 EV 車の延長に位置づ
ける。
19
(G2)
NissanNV300
ミッサイ VAN 型車。この車格では前例の無
5 年間保証付き。
許容積載重量に幅持たせモバイ
ス仕様提供可能。
20
(G2)
ORTEN OrtenET30
VWT5Caravekke EVトンスポーーに改造
したモデ
回の IAA2016 商用車展の期間中
レス用トル
21
(G2)
SNOEKS
AUTOMO-TIVE
B.V.
IvecoDaily
CrewVan
IvecoDaily 車をベースに内装ラクー化。
自の味付けを行っ
オランダに本を置くプレアムトランス
ータ OEM サプライヤーというのが
当社の位置づけ。
22
(G2)
VW 新型VWCrafter
顧客の高度な要求に応てモデルデた新型
車。V 3.0L ーボデーゼルエンジンを搭載。
済性の照て期に追求た。
IVOY2017 賞受賞車
23
(G2)
VWAmarok
ラス随一の V 3.0L ーボーゼルエ
載したピックアップ 。最高出力 165kW- 最大
ルク 550Nm で最高速度は 193㎞ H に達す

TheTRUCK2016年11月号22
ITOY2016賞受賞のSCANIASシリーズ車。4×2セミトラクタ、6
×2、6×4単車・フルトラクタ等のバリエーションがある。エンジンは
世界で唯一、EUROⅥ基準をクリアした強力なV8型エンジンを搭載す
る。北欧で先行する“ロング・トラック”は欧州全域に普及させる施策
が次々に打たれているが、大出力エンジンには期待が大きい
が、国際色の濃いIAA商用車展の性格を物語る数
字だ。
 取材に訪れた記者・ジャーナリストは58か国から
2100名。これは前回2014年の場合(1944名)
と比較して108%であった。この中に筆者も含まれ
るわけだ。出展社の多くがプレスデイ以外の会期中、
ジャーナリストの各スタンドへの訪問が増えた印象で
あったと報告していたそうだ。これだけの規模の展示
会なので、筆者の場合は延べ8日間会場に通い詰め
であった。
Drivenbyideas
アイディアで拡がる商用車の世界
 主催者VDAが掲げたスローガン(主催者が用いた
用語)は見出しの英文であったが、筆者なりにこれを
適切に訳すとなれば、“アイディアで拡がる商用車の
世界”とする。
 商用車の世界では関与する利害関係者(ステークホ
ルダー)が多方面に亘り、製品(ハードウエアであろう
がソフトウエアであろうが)の提供者とユーザーの如何
を問わず、当事者が自分の領域で如何に効率を上げ
利益を生み出すかを真剣に考えれば、改善すべき課題
から改善策を考えるのは当然の流れといえよう。そこ
に、当事者各自のアイディアが生まれる。そのアイディ
アに価値が秘められていれば、成果はみのりあるもの
となる。ドイツでは国を挙げて“Industry4.0インダ
トリー4.0”に取り組んでいるが、今回のショーに掲
げられたスローガンもここから生まれたといえよう。
出展社2013、参加国52
 今回のIAA2016商用車展は9月22〜29日の
8日間、いつも通りドイツ北部のハノーバー市国際展
示場を会場に賑やかに開催された。出展社は52か
国から2013社と前回よりやや少ないものの高水準
の規模であった(表1参照)
展示品は14品目(表2参照)にグループ分けされ、
世界初公開は全部で332品目であったと発表されて
いる。これを主要グループ(以下、G)毎に見ると、
G1、2では23品目(表3参照)、G3では12品目(表
4参照)、G5では46品目(表5参照)であった。
ここまでの合計は81品目である。数の上では部品サ
プライヤーが関与するG7等が239品目(72%)と
最も多かったが、誌面の都合でここでは省略する。
 一般公開に先立つ9月21日のプレスデイの夕
食会席上で恒例の“国際車種別年間最優秀賞”
InternationalTruckoftheYear2017賞:
ITOY2017/InternationalVanoftheYear
2017賞:IVOY2017/InternationalBusofthe
Year2017賞:IBOY2017の各賞発表があった。
ITOY2017賞 SCANIA車(写真参照)
IVOY2017賞 VWCrafter車(写真参照)
IBOY2017賞 SOLARISUrbino車(写真参照)
 各賞は直近1年間に発売された新型車を対象と
する。
 ITOY賞の場合、選考はヨーロッパのジャーナリス
ト団体会員から25名を選出して選考委員会を構成
し、全欧の25の定評あるトラック専門誌の記者など
が全149票の投票により決定される。
 今回は他の候補車、即ちIVECOが最近発売し
たStralisXP-NP長距離運行用車とMercedes-
BenzのActros車の中でOM471型エンジン搭載
世界の商用車研究

TheTRUCK2016年11月号23
ITOY2017賞受賞のSCANIA車中、S及びRシリーズ車に搭載され
ているV8型エンジン。総排気量16L、最高出力537kW(730PS)
/1900rpm・最大トルク3500Nm/1000〜1900rpm又は368kW
(500PS)/1900rpm・最大トルク2950Nm/1000〜1350rpmを
発揮する。排気浄化システムはEGRとSCRを併用しEUROⅥ基準を
リア
ITOY2017賞受賞のSCANIARシリーズ車に搭載されている直6型エ
ンジン。総排気量13L、最高出力368kW(500PS)/1900rpm・
最大トルク2550Nm/1000〜1300rpm又は302kW(410PS)/
1900rpm・最大トルク2500Nm/1000〜1300rpmを発揮する。
排気浄化システムはSCRのみでEUROⅥ基準をクリア
重量級車と競った結果、SCANIA車を代表してSシ
リーズ及びRシリーズの両車を総合してSCANIA車
が受賞したもの。最新のSCANIA車用エンジンは直
6エンジンでSCRのみでEUROⅥ基準をクリアする
機種も保有すると同時に、同社の最新AMTである
OptiCruiseでLayShaft(カウンターシャフトと言っ
た方が理解し易いかも知れない)Brakeの採用によ
り変速時間の短縮が図られ気持ちよい運転感覚が得
られるなども高く評価された結果である。
 ITOY2017賞を受賞したSCANIA車のうち、S
シリーズ車はS730型ホィールベース3.75mの
4×2とS580型ホィールベース4.10mで6×
2(6×4もあり)の2台が展示されていた。いず
れも世界で唯一市販大型トラックとしてV8型エン
ジンを搭載し強力な動力性能を誇るものだ。総排
気量は16L、出力性能は仕様により①最高出力
537kW(730PS)/1900rpm・最大トルク3500Nm
/1000〜1900rpm、又は②368kW(500PS)
/1900rpm・最大トルク2950Nm/1000〜
1350rpmとして用途によって使い分ける。排気浄化
システムはEGRとSCRを併用しEUROⅥ基準をク
リアする。
 燃料システムはSCANIA特有のもので気筒毎に独
立した電子制御インジェクタを搭載する。排気浄化シ
ステムはEGRとSCRを併用している。キャブはハ
イルーフとスリーパーキャブの2種。
 もう一つのRシリーズでは直6エンジンを採用して
SCRのみという単純な排気後処理システムでEURO
Ⅵをクリアするなどが評価され、SCANIA車の総合
評価に至ったとされている。
 また、両シリーズ車に採用されている変速機は
GRS0925RSCANIAOpticruiseで レイシャフト
(カウンターシャフト)にブレーキ機能を付加して変速
時のギヤ同期時間を短縮し、AMTの操作感を改善し
たが、これも新技術の評価対象となった。
 更に、全世界で20,000台に及ぶ“コネクテッド”
状態でSCANIAのモバイル管理システムにつながっ
ていることも評価されたという。

TheTRUCK2016年11月号24
IVOY2016賞受賞のVWCrafter車。本年フルモデルチェンジして
発売になった当車はポーランド国内に新設した新工場で製造される。実
は、この工場では朋友MAN社の新VANTGE車も製造される。
これからのロング
トラック普及に先行して
 北欧では人工密度の小さいお国柄に加え、林業や
商業でトラックの長距離運行を含めドライバーの生産
性を高める為の施策として長大連結車(今日的に言え
ば“ロングトラック”)の運用が根付いていたから、こ
うした大トルク大出力エンジンの要求が強かった。
 更に近年、EU全域を視野に道路利用効率及びド
ライバーの生産性向上を大きな公共投資を伴わずに
実現する手段としてロング・トラックの広域運行を可
能とする規制緩和の動きが進んでいる。ドイツのアウ
トバーンを走れば分かるが、地形のままに長い距離
のアップダウンが繰り返す道路においても大出力エン
ジンは欠かせないアイテムということが理解出来る。
SCANIAの商品企画の奥深さをここに見ることが出
来る。
 なお、我が国でもこうした動きに同調してロング・
ラックの実走行試験が開始される動きに向かっている
ことは最近の報道で読者はご存知のことだ。
IVOY2017賞受賞車
VANに新風
 IVOY2017賞を受賞したのはフルモデルチェンジ
したVW社の新型VanCrafter車だ。積載重量
は3.5tonまで許容する。後述するが、現在はVW
グループに属するトラックとバス専業の独MAN社が
独自のVANに進出することを発表したのも今回の
IAA2016であった。MANのVANはTGEの車名
で発売される。
 VWCrafterとMANTGEの両車はポーランド国
内に新たに開設された新工場で生産される。外観に
夫々の特色を出しているが事実上の双子車と言えよ
う。VW社とMAN社は明らかにしていないが、両車
は各々に使用されるコンポーネントの相当部分を共用
していると考えられる。夫々が培ってきた顧客層によっ
て商品企画上のバリエーションは異なるだろう。
 例えば、Crafter車のホィールベースは3.64mと
4.49mの2種でTGE車と共通だが、架装する平
ボの場合、Crafter車では最長7.004mだがTGE
車では7.404mを提供する。エンジンは2.0Lの
ターボディーゼルで用途に応じて最高出力を75kW
(102PS)、90kW(122PS)、103kW(140PS)、
世界の商用車研究

TheTRUCK2016年11月号25
MANが初めてVAN市場に参入したTGE車。デリバリ用途のパネルバン、ダブルキャブシャシに平ボ架装、或いは乗用ミニバン、などのバリエーショ
を幅広く提供する。当然、コンポーネントはVW車と共通するものが多いだろう。
IBOY2017賞を受賞したSOLARIS車の電動(EV)車。リヤのリッドを開けるとエンジンの代わりに電池及び制御システムが見える。都市内路線用途の
室内は明るい色調だ
130kW(177PS)と段階を付けて提供するのが
TGE車だ。Crafter車の場合は90kW(122PS)
仕様は採用していない、という具合だ。
 駆動方式は前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動にどち
らも対応可能としている。今後の動向は注視に値する。
IBOY2017賞受賞車
 IBOY2017賞はSOLARISUrbinoEV車が受賞
した。当車は、多様なパワートレーンを用意してオペ
レーターの幅広い要求に対応出来ることが評価された
のが受賞の最も大きな要因であったという。先行販売
されているCNG車、ハイブリッド車に加え、今回世
界初公開された電動(EV)車が登場。全長12mの
単車のシリーズとして、都市内路線バスを始めとする
各種用途に、導入先の希望に応じて低CO
排出車と
して多様な仕様で対応出来る態勢が完成した。
◇  ◇  ◇  ◇  ◇

TheTRUCK2016年11月号26
先行発売されているSOLARISCNG車同じく先行発売されているSOLARISHV(ハイブリド)
世界の商用車研究
(表4)IAA2016商用車展 世界初公開出展車一覧(【G3】バス)
(出典:主催者VDA発表資料)
整理番号
(分類)
メーカー名車名/車種商品特徴備  考
1
MAN
TRUCK&
BUSAG
MANLion'sIntercity
C:extra-long
車両全長13.52mの単車。最大53名分のシートが
配列可能。都市間人員輸送、あるいはスクールバス
などの用途に最適として戦列に加わる。
2
都市内EVバス用
各種設備
今後の都市内バスのEV化の流れを想定し、充電方
式、蓄電方式など幅広い対応を可能とする各種関連
設備方式を提案。
3
NEOPLAN
Tourliner
同名車のシリーズにプレミアム級車の入門モデルとし
て追加。外観に空力的改善を加え、一層魅力的デザ
インとした。
4
Daimler
Mercedes-Benz
FutureBus
自動運転システム"CityPilot"を搭載した次世代都
市バスのモデルを提案。実用化されれば、安全性、
快適性、効率性の広い分野で格段の飛躍が期待され
る。
コンセプト車
5
SOLARISBUS&
COACHS.A.
新型SolarisUrbino
12CNG
CNG仕様CumminsISLG型エンジンを採用。最高
出力320PS、Voith性ATを組み合わせている。
POLANDに本拠を持つ大手バスメー
カー。創業後20年と若い企業ながら先
行発売中の電動モデルに加え、左下段の
ハイブリッド仕様車も含めて多様なパワー
レーンで需要家の選択に広く対応出来るシ
リーズ車が完成。総合してIBOY2017賞
受賞となった。
6
新型SolarisUrbino
12Hybrido
SOLARIS社では発のハイブリッド車。ハイブリッド・
システムは米国のBAESystemsのHybriDriveが
採用されている。
7
TS-Fahrzeug-
technikGmbH
TSSprintermedium
low-floor車
Mb315Sprinterをベースとするミニバス。
独ワイダに本拠を置くバン、ミニコーチ
の改造メーカー。
8
VDLBUS&
COACHBV
VDLCiteaLLE-99
VDLCiteaLLEシリーズ車に新たに加わった全長
9.9mの中型バス。オフピーク時間帯の運用に適した
大きさ。
1953年創業のファミリー企業で、オラ
ンダ・ハパートに本拠を置くバス・コー
チ専業メーカー。欧州のバス専業最大手
の一つ。
9
VDAFuturaFHD2-
106
定評を得ているFuturaシリーズ車に加えられたコン
パクトな全長10.6m車。同シリーズ車のモジュラーデ
ザインをしっかり踏襲している。
10
VDLMidBasic
Electric
トランスポー^ター級に電動パワートレーンを搭載した
みにEVバス。人工密度の低い地域での公共交通機
関として適した仕様。
11
VOLVOI-See
車載の情報機器。道路渋滞情報を記憶し、爾後の運
行に際し車が自らの運行機能を最適化する。
トラック、バス、建設用特種車両、産業
用エンジン、マリン用エンジンなど幅広い
製品を持つグループ。UDトラックスもグ
ループに属する。
12
歩行者及び自転車
保護システム
バス車体際を通行する歩行者や自転車の挙動を死角無
しにモニターして事故を未然に防ぐ。車外に歩行者や
自転車に注意を喚起する警報音も流す。

TheTRUCK2016年11月号27TheTRUCK2016年11月号27
中型車級でEVコンセプト車「UrbaneTruck」(奥)とEV-VAN(手前)
を出展。配送分野向けに電動化の流れを作ろう、とする姿勢が窺えた。
Actrosなどの大型トラックのパワートレーンを示す展示
UrbaneTruck」の外観。モーター出力125kW、出力トルク11,000Nm
を2組、バッテリー容量212kWh、満充電時間3時間、航続距離
200km以内、という仕様が掲示されていた。
ダイムラー社はいつも同じのホール14と15を一体に使った大きな面積の展示を行った。入り口に世界で展開する大型トラックの代表ブランドを一堂に展
示。左から、Freightliner、WesternStar(以上北米から)、Mercedes-BenzSchoolBus、BaharatBenz(以上、イドから)、FUSO、FUSO(以
上、日本から)、Mercedes-Benz(欧州から)。
トラック各社の展示から
ダイムラーの場合
意欲的展示の数々
 ダイムラーの展示は毎回ホール14−15を一体的
に使い全出展車の中でも群を抜いて広いスタンドレイ
アウトが特徴だ。世界市場で商用車ビジネスを展開す
る心意気を感じさせる多くの意欲的な展示をここに見
ることが出来た。
配送用EVトラック・コンセプト車
“UrbaneTruck”と“VisionVAN”
 近未来の都市内配送に従事するトラックの相当部分
は電動化させるべきだ、との方向性を示すコンセプト

TheTRUCK2016年11月号28
ヤアクスルは小径シングルタイヤをタンデムに配列
した低床構造だ。フレーム組み幅を拡大できるか
らバッテリーの格納の観点でも望ましい選択だった
のだろ
“VisionVAN”はバン系列でも最大級の荷室容積があるようだ。このコンセプ
モデルもきちんと作り込んでいることが分かる
ドローンを隣に展示して、夢のある近未来の配送形態を演出した。“つ
ながる”演出でもある
床下の造作もしっかり取り組んだことが分かる
バンボディの床面に透明樹脂をハメ
コミ、フレーム間に配置したバッテ
リー等のEV機器を見せていた
フレーム側面には充電システムが配置されている
世界の商用車研究

TheTRUCK2016年11月号29
通常のディーゼル燃料のほか、バイオ燃料も使えるエンジンを搭載したメルセデス・ベンツの旗艦トラック
Actros“FuelDuel”車。フロントデザインはマイナーチェンジが施されていた
モデルが2台出展された。前回出展された大型トラッ
クの外観に通ずるイメージで、進化した空力的デザイ
ン処理が印象的である。大きさからすると、我が国の
(最大積載量)4〜6トン級車と2〜3トンバンに相
当する。
 中型の“UrbaneTruck”には容量212kWhの
Li-Ionバッテリーを搭載し、出力125kW、出力トル
ク11,000Nmのモーター2組により満充電すれば
航続距離200km以内の走行が可能である。充電所
用時間は3時間という。この仕様であれば1日の配
送用途には実用上充分に耐えるだろう。因みに、最
近直営で二か所目となるバッテリー製造工場を独国内
に開所したのもダイムラーである。
 “VisionVAN”は“UrbaneTruck”と共通のデ
ザイン思想で出展された車で、車室内に棚を作り込
んで欧州で良く見かける個人企業などが多用している
用途を想定していた。単なるモックアップではないで
すよ、との開発姿勢を誇示する目的でもあろう。仕様
の詳細は示されていない。
内燃エンジンの燃料多様化
 現実的には大勢として内燃エンジンの時代がなお続
くとするのが欧州の商用車メーカーの認識だが、環
境性能からみて燃料の多様化は欠かせない選択肢と
の考えに立って出展されたのがキャブに“FuelDuel”
と大書きされたMercedes-Benzの旗艦トラック
“Actros”車だ。
 搭載されるエンジンはOM471型直6配列のディー
ゼルである。総排気量は12.8L。最高出力は用途に
より310,330,350,375,390kW/1,600rpm
の5仕様が設定されている。最大トルクは上記の
各出力に対応して2,100,2,200,2,300,2,500,
2,600Nmの設定だ。許容される燃料は化石系軽油
の外に100%バイオディーゼル油(HVO:Hydrotr
eatedVegetableOil)などEN15940規格に適
合する燃料(パラフィン系オイルで、製法として天然
ガスから液化する“GTL”、バイオマスから得られる
“BTL”、石炭から得られる“CTL”、そして農産物等
植物由来の“HVO”)が使用可能である。そして、
在来の軽油による運転と同じ出力性能が発揮できる
という。
驚くべきは、メルセデ-ベンツのエンジンのうち
OM934,OM936,OM470,OM471の4機種が既
にこうした多種燃料に対応できる機種として選択可能
であることだ。
 液体燃料の有利さは、常温常圧下で貯蔵など取り
扱いが容易なこと、単位容積当たりのエネルギー密
度が高いこと、などから将来に亘って大型商用車の燃
料として使い続けられるポテンシャルがあることが指
摘されている。今後の動向を引き続き注視したい。

TheTRUCK2016年11月号30
在来の化石系軽油のほかバイオディーゼル等EN15940規格に適合する燃料であれば、いずれを使用しても同じ出力特性で運転できる(本文参照)
代表的燃料を試験管に入れて見せる親切な展示も印象に残った
低視線でキャブは直前歩行者を見落とすこと無く、ロー・エンリー性と“右ハンドル!”は右側通行の彼の地でのドライバー
の頻繁な乗降動作を容易かつ安全なものにする。折角のローフロアだがドライバーの足元左に仕切りがあるのは何故か?
在来の化石系軽油のほかバイオディーゼル等EN15940規格に適合する燃料であれば、いずれを使用しても同じ出力特性で運転できる(本文参照)
代表的燃料を試験管に入れて見せる親切な展示も印象に残った
メルセデス・ベンツの“EOCINIC”車のキャブを利用したコンクリート・ミ
サ車。
世界の商用車研究
歩行者の安全と
運転者の作業性を重視
 メルセデス・ベンツのEconic車は、これまで空港
内で稼働する各種作業車の全高低減を視野にロー・
エントリー性を“売り”として普及してきた。今回の展
示車では、都市内でも稼働頻度の高いコンクリート・
ミキサーのような作
業車で車両直前の通
行者の安全確保と同
時に、ドライバーの
頻繁な乗降の便を考
慮してロー・フロア・
キャブで且つ右ハン
ル!の良さを再認識さ
せるもので来場者の
関心を集めていた。

ショーの演出で実演を繰り返したバン車と荷役ロボット。“CargoSpace
Engineering”の表記が意味するのは・・
・・荷役ロボットはバン車本体と同じ高さがある・・・・積み付けを終えた荷役ロボットはご覧の作りだ
・・3列のカセット状の小物格納台車を荷役ロボットが積み卸しする・・
メルセデス・ベンツブランドの本格的フレーム構造をもつ小型トラクが生まれた。車名“ACCELO”アクセロと読む。架装メーカーにイリーの小さな企業を
選んだのにも何か意味があるかも知れない
メルセデス・ベンツブランド車に
小型トラックを追加
 本格的なフレーム構造を持つ小型トラックは世界的
に見ても日本の風土に培われた特徴的製品で、ダイ
ムラー社もFUSOCANTERの商品性を高く買って
欧州での販売開拓に熱心に取り組んでいる。今回の
荷役ロボットで演出
 “コネクテッド”とも“つながる”とも言われるインター
ネットの活用については物流分野でも計り知れない可
能性を秘めている。今回のIAA2016商用車展の主
催者側スローガンは本稿の冒頭で触れたが、ロジス
IAA商用車展でもFUSOCANTERの展示スタンド
には8台の各種特装車を出展した(後述)
 一方で、今回初めて自社ブランドの小型トラック・
アクセロACCELOを出展した。営業的にメルセデス
・ベンツブランドの要請は無視出来ない、との判断が
働いたと考えられる。
ティクスに関与するあらゆる関係者が“カイゼン”を
意識してアイディアを出し合えば、今とは随分違った
姿が見えるようになるのだろう。
 バン型車にカセット式に作られた台車をロボットが
積み卸しする、という単純なプレゼンではあるがアイ
ディアを膨らませる仕掛けとしては来場者の関心を集
めていた。

TheTRUCK2016年11月号32
FUSOCANTERのスタドはダイムラー全体の約四分の一を占めていた
キャブバック・クレーン架装車
ダブルキャ(彼の地では“クュー・キャブ”と呼ぶ)に平ボ架装車
カーテンサイダー架装車パワーレーンの展示。エンジン=4P10型EUROⅥ適合/トランスミッショ
ン=Duonic@2.0/ECOHYBRIDBATTERY
WP世界初公開のeCANTER市販モデル
架装したバンボディの床下にバッテリーと電子機器が・・
世界の商用車研究
FUSOCANTERは特装車で
 本格的なフレーム構造を持つ小型トラックは日本特
有のものだが、その価値は全世界に認められて意気
軒昂なところを見ることが出来る。FUSOCANTER
車も欧州で側窓車を足がかりに地味ではあるが着実
に地盤を築いている模様。ダイムラー全体のスタンド
の面積の凡そ四分の一を使って8台の特装車を展示し
た。数多有る中小の架装メーカーと組んで地域のニー
ズに応える姿勢と見受けられる。

TheTRUCK2016年11月号33
ローダー型キャブバッククレーンに平ボ架装
ボディサイドにシャッターを組み込んだ工作車。シシはECOHYBRID仕様
前方監視カメラが見える
エンジン駆動のポンプが見えた
小規模な消防車
“コネクテッド・つながる”システム展示については次号で・・・
(次号に続く)

吉谷機械製作所のモダンな新ししい事務棟
こどもに人気のEVミニカー
TheTRUCK2016年11月号34
新シリーズ
時代語る
車体人
󱌼
創業90年を前に本社工場を移設・拡充
発想力豊かな四代目に新たな展開を期待
一度訪ねてみたいと思いながらその機会を得なかった鳥取の株式会社吉谷機械
製作所を10月7日訪問することが出来た。●ページに掲載の全日本トラック
協会の第21回全国事業者大会が米子で開催されたので、その取材を兼ねて計
画したもの。暫く前のことであるが消防車の特集で特装車メーカーを取材した際
に、技術力に優れた吉谷機械製作所の存在が話題に上ったのであるが、ややロー
カルであったために取材を諦めた経緯がある。今回は事業者大会の翌日のタイミ
ングで吉谷典雄社長にお目にかかる事が出来た。ちょうど隣接地に本社工場の移
転を進めている時期で、少し将来のあり方についても伺うことが出来たので、有
意義な取材となった。
株式会社吉谷機械製作所
(鳥取県鳥取市古海)
訪問企業データ
本社・工場
〒680ー0921鳥取県鳥取市古海356ー1
Tel:(0857)23ー2211
Fax:(0857)27ー1766
E-mail:info@yoshitani-kikai.co.jp
東京事務所
〒101ー0065
東京都千代田区西神田2ー7ー6川合ビル内
Tel:(03)3261ー5749
九州事務所
〒812ー0037
福岡県福岡市博多区御供所町4ー17
博多桶屋町ビル2FC号
Tel:(092)262ー1488

吉谷典雄社長(右)と西垣幸一専務
初期の手動ポンプ移動は人力だが放水はエンジン駆動
TheTRUCK2016年11月号35
■新工場への移転を推進中
 米子と鳥取間はJR山陰本線で約1時間半の
距離である。7日午前中は山陰で最初に築かれ
た近世初期の城郭“米子城跡”に
登ったり、事業者大会の資料整理
で過ごし、12時前の電車で鳥取に
向かい、駅からタクシーを乗り継い
で約束の14時には到着した。所
在地に近づくと歴史を感じさせる吉
谷機械製作所の看板があるが、そ
の正面にはハイカラな事務棟が目に
飛び込んでくる。
 事務棟の玄関を入るとバッテリー
駆動の消防車のミニカーがあり、その奥のエント
ランスには手動式消防ポンプと初期のエンジン
式消防ポンプが展示されている。また、壁際の
テーブルには、最新の軽量ポンプが旧式と比較
する形で展示してある。普段は見ることの出来な

放水試験風景(昭和30年代)
鋳造風景(昭和30年代)
吉谷式オート三輪消防自動車(昭和30年代)
工場内製造風景(昭和49年)
TheTRUCK2016年11月号36
新シリーズ
時代語る
車体人
󱌼
い消防車内部の用品である。
 応接に案内されて吉谷典雄社長と西垣幸一専
務、山下雅史課長(総務部総務課)にご挨拶。
吉谷社長は温厚誠実イメージであるが、西垣専
務は見るからに技術者、職人肌の方で、同社の
消防車開発で重要な役割を担って来られたことは
容易に推察出来る。
 同社の創業は昭和2年8月8日となっている
ので、来年は90周年の節目の年を迎える。創
業者は吉谷典雄社長の祖父にあたる吉谷忠右ヱ
門で、吉谷社長の説明によると「出身は兵庫県
の但馬。当初は大阪辺りで創業を試みたが土地
に馴染めずに断念、日本海に沿って西に移動し
ている内に鳥取に辿り着き、人心に惹かれてこ
の地で創業した。とのこと。最初は鳥取駅前に
500坪程の工場を建てたが、手狭になって昭和
35年4月に鳥取市富安の駅の南工業地帯に富
安工場を新設、昭和42年11月には鳥取市内
の古海千代工業団地に千代工場を新設して生産
部門を移転、そして昭和49年2月に現住所に
本社を新築移転している。しかし、現在の工場
も生産車種に合わせて増改築を繰り返しているの
で手狭になり、隣接地に広大な敷地を用意し、
平成26年12月に営業事務所を新築している。
既に塗装工場と部品倉庫は移設しているが、本
社工場は生産を続けながら移すので今後数年は
かかるという。
 吉谷機械製作所が創業した当時は、エンジン
で駆動するポンプはないので、製品は荷車に水
鉄砲の原理で放水するポンプを搭載したシンプル

重い旧式ポンプと軽量の最新アルミポンプを比較展示技術で支え続けている西垣幸一専務
消防車の繁忙期で工場は活気に満ちている
TheTRUCK2016年11月号37
なものであるが、やがてエンジンでポンプを駆動
するタイプも開発している。当時は外国製のエン
ジンを広島辺りで調達していたという。
 同社は当初から“物づくり”の開発が熱心で、
昭和26年には消防ポンプ業界屈指の二段バラ
ンスタービンポンプの開発に成功し、今日の動力
消防ポンプの主流を占める基盤を作り、昭和30
年には全国ポンプメーカーに先駆け、規格審査
をクリアしてA1級消防ポンプの自社開発・設計・
試作試験に成功、同年1月には国家検定合格第
一号の栄冠を得ている。
 消防車が全国に普及するのは、自動車の歴史
と深く関係しており、シャシも4輪駆動車やボン
ネットラックからキャブオーバー車に移り、大型

CD−Ⅰ型スタンダードタイプ
CD−Ⅱ型ファイヤーノーム搭載車
Ⅰ−B型水槽付消防車
10000ℓ大型水槽車
大型化学消防車Ⅰ型
TheTRUCK2016年11月号38
新シリーズ
時代語る
車体人
󱌼
化することになるが、消防車に求められる機能も
高度化することになる。
 同社は常にその先端で開発に取り組んでお
り、昭和40年、全油圧駆動方式の屈折はし
ご車を開発(地上高15m)。昭和56年、真空
ポンプオイル循環再利用装置を全国で初めて実
用化に成功した。これにより車外への潤滑油の
排出がなくなり、省資源・環境汚染の問題が解
決している。また、昭和60年には消防車の作
動表示盤(自動揚水モニター)を開発。昭和63
年には全国で初めて1台のポンプで高圧を発生
させる“超高圧ポンプ”の開発に成功している
ほか、平成6年には潤滑油の給油が不要にな
りメンテナンスのコストと労力を大幅に削減する
無給式真空ポンプと自動伸縮自衛噴霧装置の開
発。平成7年には消防ポンプ車間での水の中
継時における煩雑な送水圧力の調整を自動コン
トロールする画期的な中継圧制御バルブの開発
へとつづく。
■車両法規改正の度に要求される
新たな開発
 今日の消防車は小泉内閣の制度改革で市場が
大きく変わっている。つまり大規模な市町村合併
で地方自治体の数が激減したのと同時に、消防
広域化の促進により、需要も減退しているのであ
る。また、補助金制度も大きく変わった為に、
新機能車のニーズが高まる一方で、いわゆる消
防ポンプ車は代替えサイクルが長くなったことも
大きく影響している。
 最近は建物の高層化、深層化が進む一方で交
通体系も高度化している。更に災害も火事だけ
でなく、地震や津波、水害も大規模化している
ので、消防車に求められる機能も、コンビナート
や原子力設備にも対応する高機能化の方向なの
で、高度な技術が要求されるほか、消火だけで
なく人命の探索や救助など対象の幅も広がって

排煙照明車
排煙電源車
救助工作車Ⅱ型
救助工作車Ⅲ型
小型救助工作車
TheTRUCK2016年11月号39
いる。
 同社では、常に時代変化に対応した技術開発
に取り組んでいるが、課題となるのが車両法規と
の関係だという。
 消防車は主にトラックシャシに車体とホンプな
ど各種機能を架装して製作するが、車両に関係
する法規が改正されると新タイプのシャシが登場
するので、法令を遵守するために軽量化など新
たな開発が要求されることになる。
 車両に関係する主な法規は、道路運送車両法
車両保安基準、道路法・車両制限令、それに道
路交通法であるが、多くの場合が物流との関係
で改正される。これまでも車両法規は何度も改
正されているが、その都度消防車も法令遵守の
為に新しい開発が求められてきた。来年から施行
される準中型免許は車両総重量が7.5トンに制
限されるので、このシャシに消防車を架装する場
合は、個々の用品についても見直しが必要とな
り、開発に時間とコストがかかることになる。と
ころが、消防車の生産台数は限られているので、
一台当たりのコストが量産の物流車両に比べると
大幅な割高となるが、補助金制度が改正されて
以来、自治体の負担能力が大きく減退していると
いう訳である。
 また、電子技術の高度化で、消防車のコント
ロールもIT化が進んでおり、これら先進技術の
導入も大きなテーマだという。
■消防用品の全てを内製、
技術力向上に
 吉谷典雄社長へのインタビューの後、西垣幸
一専務のご案内で工場を見学させて頂いたが、
1年の中でも最も多忙を極める時期で、生産は
フル稼働の状態。
 現場は若い方が多いが、筆者が通りかかると
皆さん手を休めて軽く会釈される。消防車は全
国の自治体で使われるので、どういう人が工場を

GVタッチモニター(7/9インチ)
自動揚水モニター
ファイヤーノーム
ラビットファイヤーフォーム
TheTRUCK2016年11月号40
新シリーズ
時代語る
車体人
󱌼
訪ねて来られるか分からない。来客を心を込めて
迎える教育がこの会社には根づいていることを痛
感する。
 同社は消防車に使用する殆ど全ての用品を自
社で加工しているので、工場の一角は部品工場
の様相を呈している。「消防車に使用する用品は
特殊なものが多くて、しかも年間を通して使用す
る量は限られているので、外注だとコストが合わ
なくて全て内製にせざるを得ません。この方式は
他社には真似が出来ないと思いますが、技術が
蓄積する意味では大きな力になります。(西垣専
務)という。
 同社は消防車専門メーカーであるがシェアでは
1位に大きく水を空けられている。しかし、技術
力の高さは自他共に認めるところで、前述の開
発の歴史もそれを物語っている。一般には技術
力が高ければ、質の良い製品を造ることが出来
るので、高いシェアを獲得出来るが、ビジネスに
使用する車両と違って、主に有事の際に活動す
る車両なので、技術力を評価される機会が少な
いのも消防車の特長でもある。
 同社は平成8年2月に二代目の吉谷純一氏が
会長に、吉谷典雄氏が三代目社長に就任してい
るので、現社長になって20年余りである。この
間に多くの消防車を生産しているが、今後の課
題について次のように述べている。
「当社は創業以来、時代の変化に対応して生産
体制を拡充、工場の増改築を繰り返してきた。
昭和49年に建てた現在の工場も増改築を繰り
返して、限界に近づいている。幸い隣接地に広

吉谷式軽量アルミポンプ
ツイン真空ポンプ中継圧制御バルブ無給油式真空ポンプ
TheTRUCK2016年11月号41
大な用地を確保出来たので、3年前から新築移
転の準備を進めている。生産機能の移転は数年
先になると思うが、将来のニーズに応えられる高
機能工場にする考えだ。また、これまで培った
技術を更に高度化し、他の産業も含めて、社会
に貢献する企業を目指すが、グローバル化も含
めて社会が大きく変化する時代でもあるので、
出来るだけ早い機会に対応力のある四代目に経
営を継承したいと考えている。
 四代目とは吉谷典雄社長のご子息、吉谷勇一
郎副社長で、彼がメカニカルデザイナーの大河
原邦男氏に依頼した“次世代消防車”は東京国
際消防防災展2013にデザイン画を展示して大
いに話題になった。ガンダムのイメージのあるこ
の次世代消防車は、まだ現車は製作していない
が、消防車の未来を考える意味で高く評価され

同社の吉谷勇一郎副社長の依頼でメカニックデザイナー大河原邦男氏が
小型動力ポンプ付水槽車(10000ℓ)
小型動力ポンプ積載車
空中活動車
TheTRUCK2016年11月号42
新シリーズ
時代語る
車体人
󱌼
ている。吉谷社長は公職も多く、多忙を極めて
いることも確かであるが、若い世代に経営権を
継承することで、対応力の強化に期待を寄せて
いるようである。
 吉谷機械製作所を訪ねたのは今回が初めてで
あるが、技術力の高さには目を見張るものがある
と同時に、温厚な吉谷典雄社長の人柄にも心惹
かれるものがある。時間さえあれば読書に耽る
という吉谷社長は文化人でもある。ホームペー
ジの社長挨拶では「近年、多様化する火災現場
で迅速かつ安全な消火活動ができるよう、多才
で高度な技術が消防自動車には求められていま

描いた次世代の大型化学消防車(大河原邦男リアルヒーローメカニクスより)
TheTRUCK2016年11月号43
す。弊社では、顧客満足を第一に考え、このよ
うな多様なニーズにお応えするために、常に先
見の眼をもって新たな開発にチャレンジし続けて
います。永年培った技術力は、まさに"技術の
吉谷"、今後もそう皆様に言われる会社であるよ
う、社員一丸となって日々精進し、邁進している
所存であります。これからも弊社は、積極的な
技術開発と高品質な製品・サービスを提供するこ
とで、消防自動車メーカーとしての社会的責任を
果たしていきたいと決意しております。と締めく
くっている。
(秋林路)

中国トラック協会の小丸成洋会長全日本トラック協会の星野良三会長
TheTRUCK2016年11月号44
 全日本トラック協会が毎年開催している全国トラック運送事業者大会
は、今年で21回目を迎え、中国トラック協会(鳥取、島根、岡山、広島、
山口の各県トラック協会)が主体となって、鳥取県の米子コンベンションセ
ンター及び米子市文化ホールで10月6日㈭、全国から約1200名の
事業者が参加して盛大に開催した。今回は、直前に台風18号が日本海
を東北東に進んだため、前日に予定していた「トラックの森」植樹式は中止
になったものの大会は予定通り実施となった。
第21回 全国トラック運送事業者大会を開催
米子(鳥取県)に約1200事業者が集結
取引環境の改善など9スローガンを採択
二会場に分かれて分科会を開催
 事業者大会は6日、午前11時から受
付を開始、午前中の正副会長会議を終え
て13時から全体会議に移った。
 全体会議の総合司会は中国トラック協会
の岩本和則専務理事で、冒頭、開催地ブ
ロック協会を代表して、中国トラック協会の小丸成
洋会長が歓迎の意を込めて挨拶、続いて全日本ト
ラック協会の星野良三会長が「有意義な大会になる
ことを希望する」と挨拶、議長団を選出して大会が
スタートした。
 その後、事業者大会は二会場に分かれてシンポ
ジウム形式で分科会を開催した。
■トラック業界の交通安全対策の
推進について
 第1分科会は『トラック業界の交通安全対策の推
進について』のテーマで、コーディネーターは㈱プ
ロデキューブの高柳勝二代表取締役が務め、以下
の3氏が会社紹介を兼ねて日頃の取り組みを発表
した。(一部を紹介)

第1分科会のコーディネーター
㈱プロデキューブの高柳勝二代表取締役
全国から1200事業者が集結した全体会議
TheTRUCK2016年11月号45
清野俊彦氏
(北海道石狩市)
㈱ジャスト・カーゴ 代表取締役
【安全教育事例】
1.国土交通省告示第1366号に準じた月次のド
ライバー研修。
2.外部研修や勉強会への積極参加、北海道内の
小学校で開催される体験型交通安全授業への
支援活動。
3.安全衛生委員会をランチミーティング形式で月
次開催。
4.添乗指導で日頃の運転行動を観て個々に改善
指導。
5.平ボデー車における貨物の正しい積載方法の
指導(落下防止の前に荷崩れ防止)
6.良い事例と悪い事例を比較できる社内の掲示版
で事例教育。
飯田勇一氏
(東京都杉並区)
高井戸運送㈱ 代表取締役社長
【安全への関心を高めて継続できる職場づくり】
1.安全確保はそこで働く人々の安全意識向上が
根幹→人材育成こそが安全の王道である。

第2分科会のコーディネーター、日本PMI
コンサルティング㈱の小坂真弘代表取締
役社長
高井戸運送㈱の飯田勇一代表取締役社長㈱ジャスト・カーゴの清野敏彦代表取締役コフジ物流㈱の堂坂佳延代表取締役社長
TheTRUCK2016年11月号46
2.ドライバーのためのサポートセンターを設置→
悩みや要望を受け入れる体制を構築。
3.改善提案書を導入→社内の活性化を図って
いる。
4.社内報「たかいど通信」の発行。
◎会社の考え方を皆が正しく理解→異なる事業所
間における社員の情報共有
◎ご自宅に郵送→家庭内での仕事(会社)への理解
と協力が向上
5.2015年4月から高井戸大学を開校
◎新卒社員や若手社員が毎月受講しレポートを提
出する→現在は2期生の6名が受講中
◎学んだ熱が冷めぬよう卒業生を含め一泊フォ
ローアップ研修を実施→職場での実践を支援
◎安全意識の向上も重要テーマのひとつ→“大学”
で学んだことを受講生から周囲に発言→会社全
体に伝播
堂坂佳延氏
(大阪市枚方市)
コフジ物流㈱ 代表取締役社長
【安心して生涯働き続けられる職場を目指して】
1.高齢ドライバーの雇用対策
◎個々の体力と能力を配慮した配送コースを準備
◎フォーリフトオペレーターや倉庫作業員への配置
転換
◎新倉庫の建築を含む雇用機会の確保→費運転業
務の拡充
2.高齢トライバーの雇用→運送業界全体の活性化
3.高齢ドライバーによる安全技術の継承にも期待
■トラック業界の人材確保
及び育成について
 第2分科会は『トラック業界の人材確保及び育
成について』
テーマで、コー
ディネーターは
日本PMIコン
サルティング㈱
の小坂真弘代
表取締役社長が
務め、以下の
3氏が会社紹介
を兼ねて日頃の
取り組みを発表
した。(一部を紹
介)

㈱カワキタエクスプレスの川北辰実代表取締
役社長
㈱ティスコ運輸の菅原茂秋代表取締役広島急送㈱の實光広宣代表取締役
TheTRUCK2016年11月号47
菅原茂秋氏
(山形県山形市)
㈱ティスコ運輸 代表取締役
【取引先とのパートナーシップによる労働環境改善】
1.IT化提案による物流効率化改善、労働時間短
縮、販売機会損失低減、環境負荷低減(運ば
せない物流)
2.配送拠点最適化の取り組み。「遠方拠点からの
小型車配送を大型幹線→TC→混載集配輸送」
にシフトする提案により、冬季遅延リスクの低
減、リレー輸送による労働時間短縮、混載配送
による積載率の向上、配送車両低減、定着率
改善により輸送品質の向上。
3.他県同業者との連携による荷待ち時間の解消。
主要拠点事業者と連携を図り、2時配送を互い
に実施することにより、配送個所低減と労働時
間の低減(同社は24時間365日体制)
4.同業者間の連携によるリレー輸送、スイッチ輸
送の研究。
川北辰実氏
(三重県亀山市)
㈱カワキタエクスプレス 代表取締役社長
【生産性向上の鍵は「人材育成」と「時間管理」】
1.まずは会社の指示通りに動く人作り。効率性を
高める基礎。
2.待機時間の把握→請求が削減→改善されなけ
れば撤退する。
3.時間管理すれば無駄がいっぱいが分かる。(製
造業は秒単位)
實光広宣氏
(広島県広島市)
広島急送㈱ 代表取締役
【人材の定着】
1.モラル(道徳意識)とモラール(やる気の発掘)
2.明るく、楽しく働ける職場、経営者の配慮
3.各種社内イベントの実施(親睦を深める)
4.安心して働ける職場(点呼・提出物等を含め、
ルールを遵守できる)
5.会社の将来性(将来、会社が成長して賞与・給
与UP)
6.高齢者の再雇用制度の充実

記念講演は株式会社澄川酒造場の澄川宜史代表取締役社長
TheTRUCK2016年11月号48
《記念講演》
日本酒“東洋美人”の酒造り
全国の酒蔵から駆けつけてくれた大水
害支援に感謝
澄川宜史氏
(山口県萩市)
㈱澄川酒造場 代表取締役社長
 2会場で約1時間半に渡って行った分
科会は、終了後、再度全員が米子コンベ
ンションセンターに集結して記念講演を
聴講。
 講師は株式会社澄川酒造場・代表取締
役社長の澄川宜史氏。
 澄川講師は、1973年生まれで、東京農業大
学醸造学科を卒業後、株式会社澄川酒造場に入社
し、製造責任者として酒造りを任される。
 2007に代表取締役に就任し、日本最大で最高
峰の日本酒市販酒コンテスト「酒コンヘティション」
で3年連続第1位を獲得している。米や微生物
の持っているポテンシャルを最大限に引き出した
健全かつ王道の発酵で、日本人のDNAに響く米
の旨みや甘みがあり、香りがよく、水のように滑ら
かに喉を通り過ぎる「稲をくぐり抜けた水」を表現し
ている。
 講演の前半は、大学で専門に醸造を学んだもの
の、社会に出ると“ホンモノ”との格差に打ちのめ
され、同業の諸先輩に教えを得て、やっと評価さ
れるようになるまでのプロセスをユーモアを交えて
紹介。ところが、2013年7月の大水害(山口島
根豪雨)が澄川酒造場を襲い酒蔵が全滅状態にな
る。精神的にも大きなショックを受けるが、これを
助けたのが全国の酒蔵から駆けつけた同業の仲間
で、皆が力を合わせて泥の撤去から清掃まで成し
遂げた。これにより、澄川社長は酒蔵仲間がいる
ことの有り難さを痛感し、新たな気持ちで酒造りに
取り組むことになる。
 実は、この澄川酒造場の支援に声を掛けたの
は、山口県酒造組合と山口県酒造協同組合であっ
た。この組合のホームページには以下のように掲
載されている。
「この度の7月末の山口県萩市より島根県に至
る地域を襲った豪雨災害によって山口県酒造組合
関係では萩市田万川地域の株式会社澄川酒造場さ
(東洋美人)が被災されました。天候の回復と被
災地へ繋がる道路の状況を確かめながら去る7月
30日午後に原田茂会長はじめ4名で救援の品物
のお届けと状況の把握を兼ねて訪れました。
 澄川酒造場の位置する小川地区は今回の災害で
も最も深刻な被害を被った地域のひとつで酒蔵や
自宅は1階部分が全て浸水し泥水に浸かるなどして
相当な被害が出ています。ただ、ご家族を始め社
員の皆さん全員が無事で元気にされており、その
点では不幸中の幸いと安堵しているところです。
 現地では電気が開通するなど順次復旧が進んで
はいますが、ガスや水道・通信などの完全な復旧
にはまだまだ時間がかかる状況です。澄川社長の
説明によると暫くは生活スペースの片付けと復旧に
力を注ぐこととし、その為の人員は十分足りている
とのことで、水の確保や道路などの復旧を待って

挨拶する国土交通省の藤井直樹自動車局長
最後は鳥取県トラック協会の管埜元晴副会長によるガンバローコールで閉会
TheTRUCK2016年11月号49
酒蔵部分の片付けに移りたいということでした。酒
蔵の片付けの際には多方面からの人的協力を頂き
たいけれども現在のところは受け入れの態勢もなく
個別にお見舞い等で訪問いただいてもお気持ちは
有難いが対応が出来ないということでした。
 現地の様子をご心配される皆様は多数いらっしゃ
ることとは思いますが、暫くは冷静に対応いただ
き、個別に被災地へ訪問されることはお控え頂き
たいと思います。
 山口県酒造組合では今後澄川酒造場と連絡を取
りながら作業の開始を待ってお手伝いのお願いをし
たいと考えています。作業予定に関する情報は組
合ホームページなどで順次発信してまいりますので
確認・ご協力をお願いいたします。」
 トラック運送業界は、東日本大震災や熊本震災
などでも報道されている通り、緊急物資輸送でい
ち早く活動しているが、実は同業のトラック事業者
も大きな被害を受けており、全日本トラック協会を
始め、同業者が支援した経緯がある。
 その意味では今回のお酒業界が仲間の支援に立
ち上がった内容はトラック運送業界に通じるところ
もあり、聴講者に大きな感動を与えた。
   ☆   ☆   ☆   ☆
 記念講演の後は再び全体会議を再開し、鳥取県
トラック協会青年部事業部会の桶本知彦部会長が
“大会決議”を読み上げ、賛同した。続いて、国
土交通省の藤井直樹藤自動車局長、平井信治鳥
取県知事が来賓挨拶、次回大会開催地を代表して
東北六県トラック協会連合会の須藤弘三会長が挨
拶、鳥取県トラック協会の管埜元晴副会長のガン
バローコールで閉会した。

TheTRUCK2016年11月号50
5月20日に行われた『rimOnOPrototype01』の発表会
このままでは「次の自動車産業」
で世界に負ける
    
伊藤慎介の“T
󱤋󱥄󱣱
alkI
󱣥󱣽
sC
󱤄󱥄󱤚
heap”
〜起業家へと転身した元官僚のリアルな産業論 
×
共同企画
 電気自動車のベンチャー企業である「株式会
社rimOnO」を工業デザイナーの根津孝太氏と
共に創業してから早いもので2年が過ぎた。
 お陰様で今年の5月20日に最初の試作車
『rimOnOPrototype01』を発表することが
出来たが、ここまででさえもよく実現するこ
とが出来たと自分でも驚くくらいの紆余曲折
があった。頼りにしていた経産省の補助金は
一次選考で落選し、退職金を設立費用で使い
切ってしまった後は生活が成り立つのかとい
う不安に駆られる日々が待っていた。
 しかし、開発資金の調達に苦労していること
を話したところ、経産省時代から付き合いのあ
る知り合い数名が個人で出資して下さり、その
お陰でプロトタイプの開発を進められるように
なった。そして、後にかけがえのない存在と
なる設計会社のド
リームスデザイン
社の奥村社長と出
会い、三井化学、
帝人フロンティ
ア、ローランドを
始め、数多くの素
晴らしい会社の人
たちにご協力して
いただいたおかげ
で5月20日の発
表会を迎えること
が出来た。
 その発表会で
は、TheTruck、

TheTRUCK2016年11月号51
グーグルの自動運転車 出典:https://www.google.com/selfdrivingcar/
Ligareを含め、数多くのメディアの方にお集
まりいただき、rimOnOについて大きく取り
上げて頂いた。その後もテレビ、新聞、雑誌、
インターネットメディアなど沢山のメディア
に取り上げて頂き、お陰様で多くの方に知っ
ていただける存在となった。
 この2年間の経験だけでも、どれだけ多く
の方に支えられて当社や私の今があるかと思
うと、言葉では感謝しつくせない思いである。
そして、やってみないと分からないことがど
れだけたくさんあるのかを痛感し、実体験が
なければ本当の世の中は分からないと確信す
るようになった。
 そこで、今回から始めるこのコラムでは、
15年間経産官僚を務めた後に起業家となり、
実際に様々なことを実体験してきたからこそ
見えてきた、産業界やそれを取り巻くリアル
な環境について語っていきたい。もちろん、
政府や行政のあり方についてもできる限り本
音で述べていきたいと考えている。
 シリーズ最初となる第1回では、自分が属
する側になった「自動車産業」について語るこ
ととしたい。なぜならば、この10年、20年
で日本の自動車産業は、エレクトロニクス産
業と同じように衰退の道を歩みかねないと懸
念しているからだ。
□普通にGoogleの自動運転車が走る
 シリコンバレー
 10月初旬、約7年ぶりにシリコンバレーを
訪れた。
 この地に来ると何かに出会うだろうとは期待
していたが、経験したものは想像をはるかに上
回るものであった。
 グーグルの本社近くを運転していると普通に
グーグルの自動運転車が通り過ぎて行った。そ
して、街中では数多くのテスラ車と遭遇した。
更に、現地の人によると、サンフランシスコで
は通勤時間帯に海岸沿いの歩道を歩いていると
電動スケートボードを含めて、あらゆる“不思
議な乗り物”を見かけるそうだ。
 もちろんライドシェアのUBERは当たり前
のように使われており、過去2年間にタクシー
の2/3が廃業したという。そして、UBERは
UberRushという名称の宅配事業を始めてお
り、タクシー業界に続いて宅配業界を“破壊”
しようとしている。
 そのUBERだが、自動車や
移動をデザインしているとい
うよりは、「スマートフォンが
動いている」という視点で見
ており、スマートフォンにひ
もづいたユーザー・クルマ・
荷物を最適化するという発想
で取り組んでいるらしい。「通
信網の中のパケットを最適化
する」というインターネット
や通信技術では当たり前のこ

TheTRUCK2016年11月号52
電動スケートボード 出典:http://www.zboardshop.com/
とを現実社会に当てはめる発想なのだ。
 このようにシリコンバレー発の企業は、自動
車産業の構造やそのあり方とは無関係に、あく
までパソコン、インターネット、スマートフォ
ンでは当たり前となった発想を自動車の周辺に
当てはめていくことで、新しい「移動」や「交通」
に関するビジネスを生み出し始めている。
 これらが「次の自動車産業」を創り出していく
原動力になると思わざるを得ない。
□アジア勢との競争に追い込まれた
 エレクトロニクス産業
 自動車産業と並んで日本経済をけん引してき
たエレクトロニクス産業。
 しかし、パソコン、テレビ、携帯電話、
DVDプレイヤー、ポータブルオーディオなど、
日本企業が強みとしていたハードウェアで軒並
み競争力を失っていった。
 その背景には、台湾、韓国、中国の製造能力
が徐々に向上していくにつれて、彼らの成長を
助けることで世界シェアを高めようとする欧米
企業の存在があった。パソコンにおけるインテ
ル、携帯電話におけるクアルコムやノキア、ス
マートフォンやポータブルオーディオにおける
アップルなどである。
 これらの企業に共通するのが「オープンイノ
ベーション」の思想である。
 ある分野に参入したいという意思のある企業
に対して、参入機会を提供する、あるいは参入
に必要となるリソースを提供することで、新規
参入する企業が増えれば増えるほど自社の存在
価値も高まっていくように仕掛けていく。
 彼らはそのオープンイノベーションの発想
で、成長するアジア企業に対してハードウェ
アに対する参入機会を提供し、ソフトウェア
やアプリなどについてはベンチャー企業に対
して参入機会を提供してきた。その結果、ユー
ザーはあらゆるハードウェアやソフトウェア
から自由に選択できるメリットを享受できる
ようになった。
 日本語で言えば「損して得とれ」の発想で大成
功したと言える。
 その一方、日本の企業の多くはオープンイノ
ベーションが「苦手」である。
あるいは、所属する業界での地位が確立するに
つれて新しいことに挑戦することを恐れる体質
へと変質していき、「苦手になっていった」とい
う表現の方が正しいかもしれない。
 エレクトロニクスの世界において、日本企業
における台湾、韓国、中国とは、あくまで製造
コストを下げるための進出拠点であり、自らの
競争力を高めるための存在でしかなかった。欧
米企業のように、彼らに必要な「道具」を提供す
ることで、彼らの成長と共に自らも成長すると
いう方法は取りえなかったのだろう。
 そして、今や日本有数のエレクトロニクス企
業がアジアのエレクトロニクス企業に買収され

TheTRUCK2016年11月号53
交換式バッテリーの電動スクーターgogoro
出典:https://www.gogoro.com/
電気バスを積極展開する中国のBYD
出典:http://www.byd.com/la/auto/ebus.html
る事例が増え始めている。
 相手の力をうまく活用しながら自らも成長し
ていき、最終的には産業構造を大きく変える存
在になる。エレクトロニクス産業ではそれが世
界の常識となり、日本のエレクトロニク産業は
大きく衰退してしまったのだ。
□自動車でも欧米とアジアの距離が
 縮まっていく
 シリコンバレーが先行する自動運転(グーグ
ル)、ライドシェア(UBER)、電気自動車(テ
スラ)
 その動きに呼応するように台湾や中国では自
動車に関する様々な取り組みが行われている。
 20年前に創業したばかりの中国のBYDは
バッテリーメーカーから自動車メーカーへと
転身し、深センを中心として、あらゆるタク
シー、バスを電気自動車化しようと本気で取り
組んでいる。今や電気バスにおいては世界的企
業であり、日本でも京都市で同社のバスを活用
した実証実験が行われている。
 台湾では、電動スクーターメーカーが急速に
台頭しており、スマートフォンで有名なHTC
をスピンアウトした人たちが創業したgogoro
というベンチャー企業が交換式バッテリーの電
動スクーターを展開している。
 このgogoroは「台湾のテスラ」と呼ばれて
おり、既にドイツのbosch社
と提携し、ヨーロッパへの進
出を始めている。 UBERの
ようなライドシェアの分野で
は、中国版Amazonであるア
リババ系の「快的打車」と中国版
TwitterであるTencent系の
「滴滴打車」が中国市場を二分し
ていたが、2015年2月に2
社が合併して市場シェア95%
以上を占める「滴滴快的(現:滴
滴出打)が誕生した。
 その滴滴出打は、中国で展開
していたUBERの市場撤退を
決断させてUBERの事業を買
収した。更に、アップルからの
10億ドルの出資も引き出して
いる。
 このように中国や台湾を中心
として、「次の自動車産業」を作る
動きが加速しており、シリコン
バレーの企業を中心として欧米
との距離が縮まり始めている。

TheTRUCK2016年11月号54
パリで普及しているカーシェアのAutolib
出典:https://www.autolib.eu/
日本発のパーソナルモビリティ:CocoaMotorsの“Walker”
出典:http://www.cocoamotors.com/
□「次の自動車産業」を強く後押しする行政
 「次の自動車産業」の動きが加速する海外。
 その背後にある行政の強力なバックアップにつ
いても注目する必要がある。
 ハンドルのないグーグルの自動運転車が日々走
行するシリコンバレー。公道という「実環境」
試験を行い評価することで、短期間に実用性を
高め、世界に先駆けて市場投入できる条件が整っ
ていく。
 中国では電気自動車化を進めるための強力な
行政支援と行政指導が行われており、BYDな
どの台頭につながっている。また、ライドシェア
の滴滴出打の台頭には、中国当局によるライ
シェアの合法化の動きが大きく貢献している。
 ヨーロッパでは、ロンドンやストックホルムな
どにおいて市内中心部における渋滞税が導入さ
れており、一般車両は高額の渋滞税を払わなけ
れば市内に入ることが出来ない。一方、ロンド
ンでは電気自動車だけは特別扱いされており、
電気自動車は渋滞税を支払うことなく乗り入れる
ことが許可されている。また、ストックホルムで
は2018年より市内中心部に乗り入れられるの
は電気自動車のみになるようである。
 そして、パリでは市長の強力なイニシアチブ
の下に、シェアサイクルのVelibʼやカーシェア
のAutolibが導入され、道路の路
側などの便利な場所でシェアサイク
ルやシェアカーを簡単に借りられる
仕組みが普及している。これによっ
て世界に先駆けた新しいサービスが
パリ発で提供されるとともに、公共
交通を補完する「2次交通」が広く整
備され、市内の渋滞緩和と観光客な
どに対する移動手段の提供が実現し
ている。
 パリでスタートしたAutolibは既に
4000台もの車両を保有し、2015年にはロン
ンと米国のインディアナポリスでの展開もスター
している。
 このように海外では企業と行政がタグを組んで「次
の自動車産業」を作るための動きが加速している。
□では日本ではどうか?
 ベンチャー企業として新しい乗り物に挑戦して
いると、世界の急速な動きに対して日本の現状
は極めてお粗末だと言わざるを得ない。
 米国や中国ではあらゆる種類の電気自動車ベ
ンチャーが登場しているのに対して、日本では数
えるほどしか数がなく、我々を含めて多くの会社
が資金調達、部品調達などで苦労が絶えず、ベ
ンチャー企業同士で助け合ったり慰めあったりし

TheTRUCK2016年11月号55
ている状況にある。
 電気自動車にとってのコア部品であるモーター
であるが、経産省時代の人脈をたどって国内のあ
る大手メーカーに相談したところ我々のようなベン
チャー企業に売るのはリスクなので販売することが
出来ないと言われ、オープンイノベーションとは程
遠い対応に失望した。また、同じくコア部品のバッ
テリーについては車両に搭載できるパッケージで
の提供となると日本メーカーよりも台湾メーカーの
方が圧倒的にコスト面でもスピード面でも対応が優
れている。
 このような状況からモーターもバッテリーも海
外からの調達を余儀なくされそうであるというの
が現状での正直な見通しなのである。
 また、自動運転やライドシェアについては「海
外に負けてはならない」という危機感は極めて強
いが、規制や既得権益の問題などもあり、海外
と比べて見劣りする状況にあると感じる。
 我々が挑戦している超小型モビリティについ
ては、2013年に国土交通省の発案でスタート
した制度であり、3年程度の実証実験後は一般
ユーザー向けに市販することが出来る「車両規
格」が整備される予定であったのだが、現時点
でも実証実験が継続されており、車両規格がい
つ整備されるかについての見通しが不透明な状
況にある。このことは、当社の事業計画や資金
調達に重大な影響を及ぼしかねないと懸念して
いる。
 国が旗を掲げた制度であってもそのような状況
であることから、そもそも「車両」として扱われ
ていないセグウェイや電動スケートボードなどの
「パーソナルモビリティ」の場合は非常に厳しい
環境下にある。2006年から国内販売が始まった
セグウェイは未だにつくば市や二子玉川などの限
定された場所でしか走行が認められていない。
日本でもCocoaMotorsなどパーソナルモビリ
ティのベンチャー企業が登場し始めているが、こ
のままでは本拠地を海外に移転しかねない。
□このままでは
 「次の自動車産業」で世界に負ける
 自動車が誕生した欧州、自動車の大量生産を
生み出した米国に並び、世界の三大自動車産業
大国となった日本。今や自動車産業は日本経済
の背骨ともいえる重要な産業であり、この産業無
して日本が大量に外貨を獲得することが出来る
産業は未だに現れていない。
 その自動車産業が100年の歴史で初めて重
大な転換期を迎えようとしている。そして、その
震源地は、日本を支える重要産業であったエレ
トロニクス産業を苦戦に追い込んだシリコンバ
レーである。
 このような米国の動きに対して、欧州は地域主
導で、中国は官主導で独自色を出そうとしており、
魅力的な企業やサービスが誕生し始めている。
 一方で、我が国は過去に敷かれたレールが障害
となり、独自色をなかなか出せない状況にある。
 このままでは「次の自動車産業」で世界に負け
るのではないかと心配になってしまう。
著者紹介:
伊藤慎介−株式会社rimOnO代表取締役社長
1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動
車、IT、エレクトロニクス、航空機などの分野で複数の国
家プロジェクトに携わる。2014年に退官し、同年9月、
有限会社znugdesign(ツナグデザイン)代表の根津孝
太氏とともに、株式会社rimOnOを設立。

TheTRUCK2016年11月号56
様々なショーに見るコンセプトトラック
̶
その⑨
̶
#66回 IAA出展‥‥‥ベンツコンセプトトラック

TheTRUCK2016年11月号57
石野 潔
世界の商業車関係者が集う恒例のIAA国際商用車
ショーが開かれた。「Daimler」グループは大ホールを
貸し切り、先回に続きコンセプトトラックを出展
(詳細報告は別頁)
コンセプト車テーマは「顧客や社会の為に効率的なモビリティ、
輸送システムへシームレスな接続性を提供」(一例)
今回は都市や街の集配トラックに焦点を当ている。
デザインテーマはいずれもベンツデザインテーマの「ホッ(滑
らかで官能的な車体)&クール(高度な技術と機能)
 都市内EVトラック「アーバンeトラック」
・ZFの電気アクスル、125kwモーター2基
・GVW26ton、荷台長7.4mの電気式冷凍車
・都市部200㎞走行範囲を生かす最新のセンサー、制御技
術満載
 戸口への末端輸送「EVビジョンバン」
・輸送全工程を完全自動化した未来のバン
・75kwモーターをリアアクスルに1基
・ベースはスプリンターバン、GVW3〜ton
・自動荷役装置やドローン配達など盛沢山!

TheTRUCK2016年11月号58
様々なショーに見るコンセプトトラック
̶
その⑨
̶
#66回 IAA出展‥‥‥イベココンセプトトラック

TheTRUCK2016年11月号59
イベコʻZʼトラクター
イベコは2012年のIAAにコンセプトトラックを出展したが久しぶりの元気な展示
「イタリア」を訴求している。
・コンセプトのʻZʼはCO
ゼロ(Z)を表し、より環境に優しく、デジタル化されたドライバー
支援と自動自律走行への移行を予想したコンセプト車。
・CO
ゼロへの燃料は「バイオメタンをLNG化」し、1,200Lのタンクを変形化しキャブ後部
に背負っている。低粘度油でエンジン効率を向上。
・GVW18ton、出力460ps、トルク2,000Nm、ZF16速ATM、
・キャブは一人乗車でベッドスペースも用意、車両挙動と連動させたデジタル3Dミラー、各
種センサーとインテリジェント制御でドライバー支援をしている。

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号66
 古河ユニック㈱は、ミニ・クローラクレーンの新ラインナッ
プとして、バッテリー式の2.93t吊りミニ・クローラクレーン
「UR-W295CBR」を新たに追加し、2016年10月3日よ
り販売を開始した。
 同製品は、「“排気ガスを出さない”クレーン=“ゼロ・エミッ
ション”クレーン」をコンセプトに、業界初となる完全電動化
を実現したバッテリー式のミニ・クローラクレーンだ。従来の
UR-W295Cシリーズ(ディーゼルエンジン/ガソリンエンジン
/ガソリンエンジン・電動モータ併用)では、エンジン仕様の
排気ガス対策や電動モータ仕様の外部電源(200V)などを
考慮しなければ使用できない現場もあったが、バッテリーを内
蔵して完全電動化としたことで、排気ガスゼロ、外部電源も
不要となり、今まで以上に活躍できる現場を広げることができ
る。また、クレーン操作時にはエンジン仕様と比べ騒音が低
減され、操作していない時には電動モータの回転が停止して
無音となるので、騒音や排気ガスのない快適な環境で作業す
ることが可能となる。
 その他、バッテリー残量が0%になってしまった場合のクレー
ン格納や撤収作業ができる「予備バッテリーモード」や、待機
状態が一定時間続いた場合に自動で電源がOFFになる「ク
レーン電源自動停止機能」など、様々な安心機能も搭載され
ている。
 また、イージ通りのスムーズな連動操作を可能にする“ジョ
イスティク式”または“選択スイッチ式”の「連動ラジコン」
「転倒防止装置」など、従来モデルに搭載されているユニッ
独自の快適・安心機能も標準装備している。
■UR-W295CBRの主な特長
⑴業界初となる「バッテリー駆動」の2.93t吊りミニ・ク
ローラクレーン
 バッテリーの内蔵により排気ガスを出さないクレーン作業が
可能。クレーンを操作していない時は電動モータの回転が停止
して無音となり、快適な作業環境を実現。
⑵バッテリー残量が0%になってしまっても安心の「予備
バッテリーモード」
 万が一、バッテリー残量が0%になってしまった場合でも、
クレーンの格納・撤収作業のために約30分間作動する安心
設計。
 待機状態が一定時間続くと、自動で電源がOFFになる
省エネ機能を装備。
⑷使い方に合わせた2つの速度モードを搭載
 スピードを重視した「高速モード」と、作業時間を優先した「標
準モード」の2つの速度モードを設定。「高速モード」ではエンジ
ン仕様と同等の仕様速度を実現。
⑸状況に応じた安全走行を可能にする「アクセルス
イッチ」
 3段階の変速機構により、路面や周辺環境に応じた安全
走行が可能。
⑹抜群の操作性を誇る「連動ラジコン(ジョイスティック
式、選択スイッチ式)
 業界唯一のジョイスティック式ラジコンにより思い通りの
スムーズな連動操作を実現。
ラジコン操作によ
る4本同時のアウ
トリガ張出・格納
が可能。
⑺万が一の転倒
事故を防止す
「転倒防止
装置」
クローラクレーン…古河ユニック
話題のニュートラック新製品情報・新情報
作業現場を選ばない環境性能重視の
バッテリー式2.93t吊りミニ・クローラクレーンを新発売
新登場のバッテリー式2.93t吊りミニ・クローラクレーンコンパクトな走行姿勢も魅力となっている

TheTRUCK2016年11月号67
 TOYOTAは、ダイナならびにトヨエース1t積系を一部改
良し、ダイナは全国のトヨタ店(大阪地区は大阪トヨペット)
トヨエースは全国のトヨペット店(大阪地区は大阪トヨタ)を通
 アウトリガ反力を検知し、警報と自動停止で転倒事故を未
然に防止。
⑻誤操作による事故を未然に防止する各種安全装置
 クレーン作業中のアウリガ操作を規制する「クレーン・アウ
トリガインターロック装置」や走行操作を規制する「クレーン・
走行レバーインターロック装置」のほか、ブーム格納時の旋回
操作を規制する「ブーム・操作レバー干渉防止装置」を搭載
し、誤操作による事故を防止。
■主要諸元
・型式…UR-W295CBR
・ブーム段数…5段
・クレーン容量…2.93t×1.4m
・最大地上揚程…約8.9m
・最大地下揚程…約11.6m
・最大作業半径…8.41m
・ブーム伸長速度…6.12m/31s【標準】/6.12m/23s
じて、2016年9月26日に発売した。
 今回の一部改良では、ABSを全車標準装備し、より安全
性に配慮した。また、キャブデザインは2積系で好評のスタイ
ルに一新し、力強さを際立たせたフロントビューに変更されて
いる。さらに、マルチリフレクター式ヘッドランプを採用し、夜
間のクリアな視界確保に寄与させたほか、室内は、広々と
た足元スペースによりキャビンの居住性を向上するともに、
助手席から中央席にかけてフック付の大型オープントレイを配
し、利便性も向上させている。
 あわせて、TECS(メーカー完成特装車)についても、ベー
ス車と同様の改良を施している。
【高速】
・ブーム上げ時間…0°〜78°/17s【標準】/0°〜78°
12s【高速】
・フク巻上速度(4層目、ロープ掛数4)…7.0m/min
【標準】/9.1m/min【高速】
・旋回範囲/速度…360°(連続)/1.5rpm
・連続運転可能時間…約4.5時間【標準】/約4.0時間
【高速】
・本体質量…2,350kg
■本体価格(税別)
◇UR-W295CBRJ(5段ブーム:ジョイスティク式ラジコン)
 …895万円
◇UR-W295CBRS(5段ブーム:選択スイッチ式ラジコン)
 …895万円
■販売目標
◇年間40台(2機種合計)
小型トラック改良…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
TOYOTAダイナならびにトヨエースを改良
力強さを際立たせたフロントビューに一新
TOYOTAダイナカーゴシングルキャブ・標準デッキ・ジャストロー・1.5t積・ディ
ゼル車・2WD
TOYOTAトヨエースカーゴダブルキャブ・標準デッキ・低床・1t積・ディーゼル車
4WD
TOYOTAダイナルートバン1.25t積・3人乗りディーゼル車・2WD

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号68
 ダイナには、信頼性や耐久性にも優れた構成のパラレル
式ハイブリドシステム搭載車を用意。専用エンジンの搭載な
ど、群を抜く環境性能はもちろんのこと、圧倒的な低燃費
イージードライブを高い次元で実現させた、理想的なディーゼ
ルハイブリドとなっている。高性能ハイブリドは、乗用車だ
けのものではない。さらに、トラックに求められる性能として、
過酷な使用環境でも機動力を発揮する頑強なシャシー、作業
効率・快適性への徹底した配慮、さらには豊富な車種バリエー
ションが設定されている。さざまな現場の声に応える性能・
機能・使いやすさを満載したトラックとなっている。
 ダイナ・ルートバンは、最新のクリーンディーゼルテク
ノロジーの投入で、さらに磨かれた環境性能と低燃費
して機動力を発揮。さらに、たっぷり積めて使い勝手
にも優れた積載スペースも確保されている。ドライバー
最優先の快適性・操作性を追求するなど、ルートバンに求め
られる機能が採用されている。
 TOYOTAは、軽商用車ピクシス・トラックを一部改良し、
全国のトヨタカローラ店、ネッツ店、および軽自動車比率の
高い地域で取扱希望のあったトヨタ店、トヨペット店を通じて、
2016年10月3日に発売した。
 今回の一部改良は、メーターやスイッチの表示を意匠変更
したほか、「選べるカラーパッ(オプション)に、新外板色、
アーバンナイトブルークリスタルメタリック、マスカットグリーンメ
タリックを含む8色を設定するとともに、ドアハンドルをボディ
と同色とした。外板色は、これらの8色に加え、標準設定
色ホワイトとあわせ、全9色の多彩なバリエーションから好み
に合わせた選択が可能となっている。
 また、インテグレートCD・AM/FM付ステレオを省く代わ
りに、シルバー加飾のオーディオ/ヒーターコントロールクラ
スターを追加するともに、「スタンダード」(エアコン・パワステ
レスは除く)「エクストラ」に標準装備しているスモークドガラス
(リアウイド)も追加された。
 ピクシス・トラックは、ダイハツ工業が製造し、トヨタ自動
車で販売される軽トラックで、ダイハツ・ハイゼットラックの
軽トラック改良…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
TOYOTAピクシストラックを一部改良
全9色の多彩なバリエーションを設定
TOYOTAダイナ・トヨエースの機能性重視の運転席
TOYOTAダイナ・トヨエースの収納スペース使用例

TheTRUCK2016年11月号69
OEM版にあたる。今回の改良は10代目ハイゼットラック
に準じたもの。
 ピクシス・トラックの主な車種の詳細は以下の通りとなる。
◆スタンダード
 標準グレードの最量販タイプ。マニュアル式エアコン、車
速感応電動式パワーステアリング、FM/AMラジオとシガー
ライター、樹脂製バッテリーカバー、助手席用サンバイザー、
あゆみ板対応後部アオリを標準装備。
◆エクストラ
 オーナードライバー向けに特化した最上級グレード。「スタン
ダード」系に対しメッキ処理されたフロントガーニッシュが標準
装備されるほか、ホワイトを含め塗装済み樹脂製カラードフロ
トバンパー、パワーウィドウ、集中ドアロック、電波式キー
レスエントリー、フルファブリックシート、部分ファブリックドア
トリム、CD-R/RW対応・前面外部オーディオ入力端子付
1DINインテグレートCD・AM/FM付ステレオ、カラードドア
ミラー、Hi-Loモード切替機構&パートタイム4WD&スーパー
デフロック(4WDモデルの5MT仕様のみ)と4枚リーフ式リ
ヤスプリング(4WDモデルのみ)、格納式ゲートチェーン付リ
ヤアオリ、大型荷台作業灯などが追加装備されている。
◆スタンダード・農用スペシャル
 農業従事者向けに特化した4WD・5MT専用モデル。
Hi-Loモード切替機構&パートタイム4WD&スーパーデフロッ
クと4枚リーフ式リヤスプリング、大型荷台作業灯が標準で
装備されている。
◆スタンダードエアコン・パワステレス
「スタンダード」からマニュアル式エアコン、および車速感応
電動式パワーステアリングを省略したメーカーオプション扱い
のグレード。なお、農用スペシャルを含む標準仕様の「スタン
ダード」「エクストラ」と異なり「選べるカラーパック」、および
「ビューティーパック」などは設定されていない。
ピクシストラクの室内(4WD)
ピクシストラクスタンダード“農用スペシャル”
ピクシストラクエクストラピクシストラクマスカトグリーン

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号70
 三菱ふそトラク・バス㈱(MFTBC)は、ベトナムの自動車
メーカーD-Carから小型バス「ローザ」250台の大型案件を
受注した。同車両はハイエンドな旅客輸送サービス企業で利用
されている。
 D-Carは車両の高級仕様化を専門とする企業で、「ローザ」
は同社により、ベトナム市場向けに、同車両初となるリムジン
仕様が施され、「FUSOROSALimousineD-Car」となる。座
席数を通常の29席から19席に減らしたことで、乗客はより
広い空間で快適な時間を過ごすことができる。また、Wi-Fiや
3Gネットワーク、DVDスクリーン、読書灯、冷蔵庫なども完
備されている。
 同契約は、「ローザ」を2016年5月にベトナム市場に投入し
てわずか3カ月で締結されている。同市場でFUSO車両を独
占販売するメルセデスベンツ・ベトナム(MBV)にとって21年
間の歴史で最大の取引となる。「ローザ」はベトナム市場におけ
る小型バス需要の増加に応えるべく、ホーチミン市クチ県にあ
る組立工場で製造されている。
 MBVのマイケル・ベーレンツCEO兼社長は、「日本製の小
型バスが持つ安全性、経済性、快適性を確保しつつ、ベトナ
ムのお客様に合わせたカスタマイズを行っています。ベトナムで
は現在、ハイエンドの旅客輸送サービス業界が成長し始めてお
り、当社はまさに絶妙なタイングで最適な製品を市場に送り
出そうとしています」と述べている。
 小型リムジンバス「FUSOROSALimousineD-Car」は、ハ
イエンドな旅行関連サービス企業での利用が期待されている。
 D-CarのLuuCamThanh最高経営責任者は、「FUSOの
協力により、高品質なローザを短期間で大量納入していただ
きました。おかげさまで当社は、サービス向上を目指すクライア
トに同車両を迅速に引き渡すことができます。2016年末に
は、多くのハイエンドの旅客輸送サービス企業が同車両を利用
できるようになっていることでしょう」と語った。
 小型バス「ローザ」は1960年の日本国内での発売以来、
おもに送迎、幼稚園バス、福祉車両、キャンピングカーなど
で使われている。現在、国内外含めFUSOのバスの中で最
も販売されているモデルである。累計生産台数は1997年に
10万台、2015年には20万台を達成。世界約40ヵ国に
輸出しており、「ローザ」の全販売台数の80%(2015年)を占
めている。
 FUSOは東南アジアでも特に成長著しいベトナムを戦略市
場と位置付け、同国での事業を強化するべく、2014年7月
よりMBVを通じて小・中・大型トラックの現地組み立て及び
販売を行っている。また従来、小型車のみだったが2014年
からは中・大型まで拡大させ、2015年は大型トラックの新モ
デルを導入し、小型から大型まで幅広い選択肢をユーザー
に提供している。2015年の販売台数は前年比で約30%
増加している。
今回、小型バ
スがラインナッ
プに追加された
ことで、顧客基
盤をさらに強化さ
せ、さらなるシェ
ア拡大を目指し
ている。
トナム小型バス…三菱ふそ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
小型バス「ローザ」初のリムジン仕様向けベース車両を
ベトナムで250台一括受注
ROSA小型リムジンバス「FUSOROSALimousineD-Car」
ROSAリムジンの高級感あふれる内装

TheTRUCK2016年11月号71
 コマツはこのたび、世界中の鉱山で使用される電気駆動式
の超大型ダンプトラクのシリーズを拡大し、コマツで最大機種
となる「980E-4」(定格積載質量369トン)を市場導入した。
 今回市場導入された「980E-4」は、コマツのこれまでの
最大機種「960E-2」(定格積載質量327トン)や主力商品
「930E-4」(定格積載質量290トン)で培った品質と信頼性
をベースにコマツアメリカ㈱で開発され、同社のピオリア工場
(米国イノイ州)で生産し、全世界の鉱山に供給されること
になる。
 現在、新興国の成長鈍化や資源価格低迷の影響を受け、
鉱山機械の需要は大きく落ち込んでいるが、世界の人口増
と都市化率の上昇を背景に長期的には増加していく見込み
で、鉱山開発の大規模化、鉱山経営の効率化などが進めら
れている。今回、超大型ダンプトラックシリーズに最大機種で
ある「980E-4」を加えることにより、コマツの保有する超大型
油圧ショベルの最大機種PC8000にベストマッチすること
なり、ユーザーの更なる生産性向上に貢献することになる。
 コマツはこれからも“ダントツ商品、ダントツサービス、ダン
トツソリューション”の提供を通じて鉱山現場の安全と生産性
の大幅な向上に貢献していくしている。
■980E-4仕様
・定格積載時車両総質量…625tonne
・定格積載質量…369tonne
超大型ダンプ…コマツ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
鉱山用の電気駆動式超大型ダンプトラックに
369トン積みの最大機種「980E-4」を追加
 コマツは、これまでにない全く新しいコンセプトの無人専用
運搬車両「InnovativeAutonomousHaulageVehicle」を
開発し、米国ラスベガスで2016年9月26〜28日に開
催された鉱山機械見本市「MINExpoINTERNATIONALR
2016」に実機展示した。
キャブレス無人ダンプ…コマツ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
新しいコンセプトのキャブレス無人ダンプ車両を開発
米ラスベガスの鉱山機械見本市に実機展示
鉱山用のコマツ電気駆動式超大型ダンプトラック「980E-4」
運転席を廃止したことで前後のダンプを可能にしたコマツのキャブレス無人ダンプ米ラスベガスのMINExpoINTERNATIONALR2016に参考出展された
「InnovativeAutonomousHaulageVehicle」

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号72
 同機は、有人車両をベースにしたこれまでのダンプトラッ
(930E/830E-AT)と異なり、鉱山現場における無人稼
働のメリットを最大限に発揮できるよう、無人専用の車両と
て新規に開発中のもので、将来の市場導入を目指している。
運転室をなくし、空車でも積車でも4輪等荷重配分とし、4
輪駆動・4輪リターダ・4輪操舵を採用することで、前後方
向を選ばない走破性の高いシャトル走行が可能になり、積込
場や排土場での切り返し動作が一切不要となる。特に、多雨・
多雪などの滑りやすい現場や積込場の狭さなどの制約から既
存の無人ダンプトラックでは稼働しづらい現場にも導入するこ
とができ、大幅な生産性の向上が見込まれる。
 コマツは2008年に世界で初めて無人ダンプトラック運行
システム(AHS)を実用化し、これまでにチリやオーストラリアな
どの大規模鉱山で累計10億トン以上の運搬実績を持ってい
る。これからも鉱山機械の稼働最適化、遠隔操作、無人化
を積極的に進めることで鉱山現場の安全と生産性の大幅な
向上に貢献し、ユーザーにとってなくてはならない存在になっ
ている。
 ㈱ブリヂストンのイドネシア子会社ピーティーブリヂストン
アストライドネシア(PT.BridgestoneAstraIndonesia=
BSAI)は、新工場の開所式を2016年9月23日に実施し
た。BSAIは、ブリヂストンとインドネシアで自動車部品の製
造・販売を行うピーティーアストラオートパーツティービーケー
(PTAstraOtopartsTbk=アストラオートパーツ社)との
合弁で西ジャワ州プルワカルタに設立した自動車用防振ゴム
を生産する会社で、合計投資金額は約1,740億ルピア(約
14億円)となる。
 自動車用防振ゴムとは、自動車のエンジンやサスペンショ
ン周囲に装着し、音と振動を制御することにより、車の静粛
性や乗り心地の改善に寄与するゴム部品である。同社グルー
プは従来、自動車用防振ゴムの生産拠点を5カ国7か所
に保有しているが、さらなるグローバル展開を図るためには、
ASEAN地域における主要な自動車生産国であるインドネシ
アに生産拠点を保有することが不可欠であると考え、2015
年8月に6カ国目の生産拠点としてBSAIを設立している。
BSAIでは当面インドネシアの完成車メーカー向けに製品を供
給するが、将来的にはASEAN地域への輸出も視野に入れ
て展開していくしている。
 また、新工場の稼働で、イドネシア国内の生産品目拡充
や製品品質の向上、新技術の導入を進め、らに同社グロー
バルでの原材料調達網やアストラオートパーツ社のイドネシ
ア国内サプライチェーンを活用するなど、同国内における自動
車用防振ゴム事業の競争力強化を図っていくことになる。
 今回の自動車用防振ゴム事業における生産拠点の増加に
より、同社グループの経営の最終目標である「真のグローバ
ル企業」「業界において全てに『断トツ』に向けて、従来以
上に競争優位性のある製品をタイムリーにユーザーに供給す
る体制を構築することになる。
■BSAI概要
◇会社名:ピーティーブリヂストンアストラインドネシア
(PT.BridgestoneAstraIndonesia)
◇所在地:インドネシア西ジャワ州プルワカルタ
◇設立年月日:2015年8月6日
海外新工場…ブリヂストン
話題のニュートラック新製品情報・新情報
自動車生産主要国インドネシアで
自動車用防振ゴム新工場の開所式を挙行
インドネシア工場で生産される自動車用防振ゴムBSのイドネシア防振ゴム新工場

TheTRUCK2016年11月号73
◇生産開始:2016年9月予定
◇投資金額:1,740億インドネシアルピア(約14億円)
◇出資比率:株式会社ブリヂストン51%、アストラオー
トパーツ社49%
◇従業員数:90名(2016年12月末計画)
◇事業内容:自動車用防振ゴム
 日本パレットレンタル㈱(JPR、加納尚美社長、本社:東
京都)が提供するクラウド型個体管理サービス「Llink(エルリ
ンク)は、2016年9月26日より、ブランド名称を「Logiarx(ロ
ジアークス)に変更となった。
 同サービスは、2013年9月にLlinkの名称でサービス提供
を開始し、物流機器等の企業資産を個体で管理できるクラウ
型個体管理サービスとして様々な業種のユーザーに利用されて
いる。このたび、中国をはじめ世界中の市場での販売展開を
開始することに伴い、ブランド名称を変更することになったもの。
 JPRが提供するクラウド型個体管理サービスは、企業資産
を個体で管理することにより、資産の可視化や管理作業の
効率化、管理品質の向上を図り、企業資産の最適運用、
投資コストの最適化を実現できる。
 ちなみに新ブランドの「Logiarx」には、Logistics(物流)
arc(架け橋)
X(無限の繋が
り、ワールドワイ
ド)という意味が
含まれている。
新ブランド…日本パレットレンタル
話題のニュートラック新製品情報・新情報
JPRのクラウド型個体管理サービス「Llink」が
ブランド変更され「Logiarx」に…
トヨタ車体㈱は、ハイエースのゆとりある室内空間と機能性
をさらに追求し、レジャーやビジネスシーンにおいて、快適性と
使い勝手を高めたトヨタ車体オリジナル仕様の「ハイエース特
別架装」の一部を改良し、「FineTechTourer」(ファイン・テッ
ク・ツアラー)の名で全国のトヨペット店(東京地区は東京トヨ
タおよび東京トヨペット、大阪地区は大阪トヨタ)を通じて、
2016年10月3日に発売した。
 ハイエース特別架装は、ハイエース(ワゴン)のGLグレー
(ロングボディ、ドルルーフ、2WD)をベースに、リア1列目
2列目シートにロングスライドが可能なキャプテンシートを備え、
フルフラットなどの多彩なシートアレンジと、右側にスライドア
を装備し乗り降りのしやすい5ドアにした車両。2011年2月
特別架装を一部改良…トヨタ車体
話題のニュートラック新製品情報・新情報
リア1列目・2列目シートの快適性をより高め
圧倒的な広さのスーパーロングボディを新たに追加
「Logiarx(ロジアークス)のロゴマーク
FineTechTourer(スーパーロング・4WD)と上質でゆとりのある室内空間

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号74
の発売開始以来、使い勝手の良い広々とした
快適な室内空間のクルマとしてユーザーから好
評を得てきた。
 今回の一部改良では、フルフラット機能やリ
ア1列目・2列目シートのロングスライド機能は
そのままに、より座り心地を高めたオットマン付
キャプテンシートへの変更したほか、圧倒的に
広くゆとりある室内空間を誇るグランドキャビンを
ベースにしたスーパーロングボディ/ハイルーフ
仕様を新たに追加設定した。
 また、グランドキャビンには、降雪地などでの
安心感と走破性を高める4WDを追加設定し、
ラインアップの充実を図っている。
■主な特長
▽GL(ロング)/グランドキャビン(スーパーロング)共通
・リア1列目・2列目シートのロングスライドが可能で、ゆったり
と足をのばしてつろぐことができるオットマンや両側アームレス
が付いた高級感と座り心地を高めたキャプテンシートに変更。
・リア1列目・2列目シートのロングスライド機能と、リア3列
目シートの跳ね上げ機能により、乗車人員や荷物の量やサイ
ズに応じた多彩なシートアレンジが可能。
・キーを取り出さずに解錠・施錠ができるスマートエンリー&ス
タートシステムを標準装備。
【シートスライド量】
リア1列目…490㎜(GL)、830㎜(グランドキャビン)
リア2列目…490㎜(GL)、490㎜(グランドキャビン)
▽GL(ロング)
・車両右側に、開放感と乗り降りのしやすさを高めるスライドド
アを設定(助手席側にはパワースライドドアを標準装備)。
▽グランドキャビン(スーパーロング)
・降雪地でのレジャーや送迎などでの安心感と走破性を高める
4WDを新たに設定。
・外板色にベース車に設定されている5色に加え、タクシー
業界でニーズの高いブラックを特別設定。
 九州産業交通ホールディングス傘下の産交バス㈱(岩﨑
司晃社長)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸㈱は、
2016年10月3日より、過疎化や高齢化が進む中山間地
域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住
民の生活サービス向上を目的として、熊本県の県南
に位置する人吉市〜五木村を結ぶ路線バスで「客
貨混載」を開始した。
 近年、全国の中山間地域等で過疎化や高齢化
が進む中、熊本県の南部に位置し、山林に囲まれ
る五木村と相良村は、年々人口が減少し、高齢化
率も約40%になるなど、県内でも特に過疎化や高
齢化が進んでいる。両地域では、高齢者の移動手
段となるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民へ
の生活サービス向上が課題となっていた。
 産交バスは、熊本県のほぼ全域をカバーするバス路線網を
保持し、年間約1,650万人を運ぶ県内最大手のバス会社と
客貨混載…産交バス・ヤマト運輸
話題のニュートラック新製品情報・新情報
熊本県で路線バス利用の「客貨混載」を開始
地域住民の生活サービス向上を実現
「客貨混載」の開始に伴い産交バス人吉営業所で行われた出発式
GLロング2WD(左上)、ロングスライドシートのリア1列目席(右上)、スーパーロングの助手席側パワース
ライドア(左下)、ラゲージスペース(右下)

TheTRUCK2016年11月号75
して、県や自治体と緊密に連携を図りながら、効率的で持続
して、県や自治体と緊密に連携を図りながら、効率的で持続
可能な公共交通ネトワークの構築に向けて取り組んでいる。
 ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、地域の活性
化や課題解決に向けてさざまな取り組みを行う「プロジェク
G(Government)を推進している。路線バスによる「客貨混
載」は3都道府県(岩手県:2015年6月/宮崎県:2015
年10月/北海道:2016年9月)で開始している。
 このたび、産交バスとヤマト運輸は相互連携を図り、バス
路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービ
ス向上を目的に路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」
開始した。
 具体的な取り組みとしては、宅急便を積載するため、中央
部に荷台スペースを確保した路線バスを計2台導入し、客貨
混載専用のバスと分るように「くしハコぶバス」と銘打った
ラッピングを施している。荷台スペースは、縦230㎝×横75
㎝×高さ110㎝となっている。
⑴集荷…五木村発・人吉市行き路線バス(客貨混載1日
2便運行)
 ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)が五木村と相良村で
集荷した宅急便を相良村のバス停(林業総合センター前)で人
吉市行きの路線バスに積み込み、産交バス
の人吉営業所で産交バスのドライバーからSD
に宅急便を引き渡す。
⑵配達…人吉市発・五木村行き路線バス
(客貨混載1日1便運行)
 ヤマト運輸のSDが五木村と相良村の客先
に配達する宅急便を産交バスの人吉営業所
で五木村行きの路線バスに積み込み、相良
村のバス停(相良村運動公園)でそれぞれの
地域を担当するSDに引き渡す。
⑶「客貨混載」によるメリッ
 地域のバス路線網が維持され、安定的に
路線バスを利用できることで、病院やスーパーなど多様な施設
へアクセスでき、生活基盤の維持・向上につながる。
 ヤマト運輸のSDが五木村と相良村に滞在できる時間が増
客貨混載の路線バス
バスの室内に宅急便スペースがある
熊本の貨客混載路線バスの運行ルー

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2016年11月号76
 トヨタ自動車㈱は、2016年10月10日から14日までの
5日間、オーストラリア・メルボルンで開催された「第23回
ITS世界会議メルボルン2016」(主催:メルボルン世界会議
組織委員会)に出展した。
 同会議は、“ITS―EnhancingLiveableCitiesandCo
mmunities”「住みよい街とコミュニティへ」のテーマの下、つ
ながるクルマや自動運転技術、スマートシティと新たな都市移
動手段等、ITSが生み出す新たな価値・サービスを世界に向
けて発信するもの。
 今回の出展では、人とクルマと街がつながる「スマートモビ
リティ社会」の実現を目指し、モビリティ社会の究極の願いで
ある交通事故死傷者ゼロに向けて取り組む重要な安全技術
「協調型ITS」を紹介した。
 具体的には、トヨタの安全の考え方を示すともに、現在
から将来にわたる「協調型ITS」により実現するサービスにつ
いて、VR(仮想現実)およびドライビングシミレーターを用い
た体験コーナーを設置し紹介。さらに、今後の「協調型ITS」
の普及・発展に向けた国内をはじめ海外における取り組みな
ど、最新の技術動向を紹介した。
 2015年10月、トヨタは世界に先駆けて、ンフラと車(路
車間)、車と車(車車間)の双方向通信により、ドライバーに
右折時の注意喚起や緊急車両の接近等を通知する運転支
援システム「ITSConnect」(日本におけるサービス名称)の搭
載を国内の一部車種より開始。今回は、実用化した後の事
故削減効果に関する検証状況についても紹介した。
「ITS世界会議」は、欧州/アジア・太平洋/米州の順
で毎年開催されるITSに関する最大規模の国際会議であ
り、各国・地域のITS関連団体(政府・研究機関・企業)
がセッショ(論文)、展示や試乗などを通じ、最先端のITS
研究成果や製品の発表を行う場である。
トヨタは、今後も「協調型ITS」の普及促進に向けた取り組
みを着実かつ効果的に進め、安全な交通社会の早期実現を
目指していくしている。
 ちなみに、ITSはIntelligentTransportSystems(高度
道路交通システム)の略で、最先端の情報通信技術の活用
により、安全で快適、円滑な交通を目指し、人と道路とクル
マを一体として構築するシステムのこと。
ITS世界会議…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
トヨタが『ITS世界会議メルボルン2016』に出展
ITSが生み出す新たな価値・サービスを世界に発信
えるため、当日発送の集荷締め切り時間が15時から17時ま
で2時間延長されるなど、宅急便のサービスがより便利になる。
 産交バスは、路線バスの空きスペースで宅急便を輸送する
ことで、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保す
ることができる。
 ヤマト運輸は、五木村と人吉市間のトラク走行距離が60
㎞削減(3往復180㎞から2往復120㎞)になり、CO
出量の削減にもつながる。また、五木村と相良村を担当する
SDの地域滞在時間が増えるため、ユーザーの要望に対して
柔軟に応えることが可能となる。
ITS世界会議でのトヨタブース(イージイラスト)「第23回ITS世界会議メルボルン2016」が開催された会場

製造元

総発売元
株式会社 日新
〒104ー0061東京都中央区銀座2ー11ー19
三和産工ビル7階
電話03ー6278ー8905 FAX03ー6278ー8906
Eメールyokoro@nissin-news.co.jp
ホームヘムージ http://www.truck-x.com

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
TheTRUCK2016年11月号94
ゲンケートジャパンコンサルティング
井上元
(元日本フルハーフ㈱)
恵那駅から明智鉄道を利用して大正村のある明智駅に向かう“極
󱢕󱢏󱣊󱢏
楽”駅を過ぎると次は
1.プロローグ
 中央本線の恵那駅で降りて明智鉄道に乗り換え、
大正村のある明智駅に向かう。通学時間なのか朝の
電車には都会では目にすることの少なくなった昔な
がらの詰襟の学生服を着た高校生がたくさん乗車し
ている。都会で見る電車内のように必死にスマート
フォンを無言で操作する乗車客も少なく、乗車して
いるだけで大正時代に向かっているような気持ちに
なる。1両編成で走るジーゼルカーの沿線は稲刈り
を前に黄色一色になった美しい稲穂と、木々の濃い
緑の風景が乗客を楽しませてくれる。
 途中の“ごく
らく(極楽)”駅
を過ぎ、恵那駅
から一時間ほど
で終点の明智駅
に着く。“極
󱢕󱢏󱣊󱢏
楽”
の先にある大正
村なのだから、
きっと素晴らし
『大正村で
  “温故知新”を知る!』
 東京の原宿には明治神宮が、愛知県の犬山市には明治村があり大きな敷地に
明治時代の建造物などが展示されている。明治天皇が崩御された後、明治天皇
の第3皇子である嘉仁親王が即位されて“大正時代”になったが、“大正神宮”
もなく明治と比べると存在感を薄く感じる。しかしながら大正時代は15年間の
短い時代であったが、鉄道や道路が整備され自動車、バスなどの都市交通も発展
した。新時代の理想に溢れた大正浪漫のもとで芸術や文化も向上し、大正時代が
昭和、平成時代への大きな礎を築いてくれたことを大正村で体感した。
“元さんの従心こばなし”

TheTRUCK2016年11月号95
大正村観光の起点になる明智鉄道の終
点駅“明智”駅
い場所だろうと期待が高まる。
 母は関東大
震災の起きた
大正12年生
まれ、義父も
大正生まれで
現役時代、隣
駅の中津川市
で医者をして
いた当時、明
智村まで診察に行ったと聞く。
 明智町は名前から推測できるように、その昔、本
能寺の変で織田信長を討ち取った明智光秀を生んだ
村のようである。家臣が主君を討ち取り、逆賊になっ
てしまったことで、一般的には光秀は悪者の評判だ
が、地元の明智町では家臣想いの名君で内政に優
れ、領民には善政を行ったようで、今でも地元では
人気のある武将のようである。また地元では光秀が
大変な愛妻家であったことも人気のある理由のよう
である。
 駅を出て大正村の中心に向かってみる。過疎化の
影響から人影はまばらだ。 
 明治天皇の第3皇子である嘉仁親王が1912年に
第123代の天皇に即位されて大正時代がスタートし
た。“大正”の年号は易経の「大亨以正、天之道也」
(大
󱢡󱢃󱢔󱢅
亨は以て正天の道なり)の由来で、天が国民の言
葉を喜んで聞き入れて、政
󱢿󱢥󱣋󱢕󱢩
が正しく行われるという
願いが込められた年号のようである。
 大正天皇が成婚の時には、日本各地に記念として
桜がたくさん植樹され、100年後の現在、大きく育っ
た桜が見事に開花して花見客を楽しませてくれる。
 大正時代は明治と昭和に挟まれたたった15年
(1912〜1926)の短い時代だったが、“大正デモクラ
シー(民本主義)”が台頭して女性の地位向上が目指
された。女性事務職、電話交換手、バスガール、映
画俳優などにも女性が登用され、現在のダイバシ
ティー(多様性:Diversity)に繋がる女性の就業機
会が拡大した。
 洋装の普及で髪型も従来の結い上げた型から短髪
になり、ファッションも一変してモガ(モダンガー
ル)、モボ(モダンボーイ)が街を歩き始めたのも大
正時代のようである。
 鉄道、道路も整備されて、自動車、バスなどの都
市交通も発展した。1923年に起きた関東大震災では
内務大臣の後藤新平が震災後の大規模な復興計画を
立案、道路の拡張や下水道を整備して、江戸時代以
来の東京の街を一変させ、現在のロンドン、ニュー
ヨークに匹敵する世界でも有数の大都市へ変革の礎
を築いた。銀座にはデパートが出現し、道路が整備
されたことで自動車が交通の中心になった。まさに
天災を活用した“ScrapandBuild(スクラップエン
ドビルド)”の実施であった。
 海外では第一次世界大戦が起こり、敗戦により
音楽や芸術に栄華を誇ったハプスブルグ家のオー
ストリア・ハンガリー帝国、ドイツ帝国、オス
マン帝国など欧州の同盟帝国が崩壊した。ドイツ
では帝国の崩壊でナチス党にヒットラーが就任し
て過激なファシズム思想から第二次世界大戦に向
かってしまう。
 中国でも辛亥革命が終わって君主制の清国が倒れ
て共和制国家の中華民国が誕生している。ロシアで
もロシア革命で帝政が崩壊し、世界で初めての社会
主義国家が誕生した時代だった。
 国内でも軍部の暴走が始まりその後の日中戦
争、太平洋戦争などの暗い時代の始まりが大正時
代だった。
 大正村は日本の近代化に大きな影響を果たした大
正時代の記録を残すため、1988年に町おこしの活動
として、女優の高峰三枝子を初代村長として開村さ
れた。現在は司葉子さんが村長をされている。
2.村内散歩
 大正村では大正時代の建物、店舗、資料館、博物
館などが保存されて軒を連ねている。ノスタルジッ
クな雰囲気を持つ大正ロマン館や資料館の建物は、
日頃、東京の無機質な高層ビルの街しか見ていない
者には、懐かしさと併せて、心優しい雰囲気を感じ
させてくれる。

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
TheTRUCK2016年11月号96
落ち着いた雰囲気を醸し出す大正の木造建築
大正時代には“春の小川”、“早春賦”などの唱歌や寮歌など
多くの名曲が作られた
大正村の中心大正浪漫館
大正時代を感じるノスタルジックな街並み
 郵便局や銀行では大正時代に使用されていた建物
をそのまま利用して、実際の業務を行っている。ロ
マンチックな雰囲気の建物には、ゆったりとした時
間が流れ、ギスギスとした都会で働くサラリーマン
とは異なり、局内では人間味のある優しい業務が行
われていることを想像してしまう。
 大正ロマン館の正面には横綱栃錦の銅像が建って
いる。子供の頃に遊んだ相撲カードには栃錦、千代
の山、鏡里、吉葉山、名寄岩、大内山などの大正生
まれの力士が写り、たくさんの個性のある名力士が
活躍していたことが思い出される。
 小学生の頃、何度も怪我に悩まされ、子供を亡く
す不幸を克服して活躍した努力家、強い人間像とし
て、映画『名寄岩物語』をクラス全員で映画館へ行っ
て鑑賞したことを懐かしく思い出した。
 今では白鵬、逸の城、大砂嵐、照の富士などモン
ゴル、エジプト出身などの外国人力士がたくさん登
場して活躍している有様に、大正から100年を過ぎ
て国際化や相撲界の激しい変化を痛感する。
 大正資料館では大正時代に作曲された音楽を知る
ことができる。“春の小川”、“鯉のぼり”、“村のか
じや”、「春は名のみの風の寒さや」歌誌の“早春賦”
などの童謡や唱歌、“カチューシャの唄”、“宵待ち
草”、「命短し恋せよ乙女」と歌われた“ゴンドラの
唄”、第三高等学校(現在の京都大学)の寮歌として
歌われ広まった“琵琶湖周航の歌”などの名曲が大
正時代に作曲され、現在まで歌い続けられているこ
とを知る。
 文学の世界でも竹久夢二、西条八十、北原白秋、
山田耕作、芥川龍之介、志賀直哉、武者小路実篤、
谷崎純一郎などの数多くの芸術作品が発表され、“大

TheTRUCK2016年11月号97
詩歌「宵待ち草」(竹久夢二作)の挿絵
大正時代の代表的な作家“竹久夢二”の作品を展示する“竹
久夢二美術館”(東京都文京区)
正ロマン(浪漫)”と呼ばれる自由な発想で、新しい
時代が創られたようである。
 大正時代
は女性の地
位向上を含
めて、個人
の解放や新
しい時代へ
の理想に満
ちた気持ち
に溢れてい
たことで、
“大正ロマ
(浪漫)
と呼ばれて
いる。ほん
の短い15
年の時代な
がら、新規技術が発見され、新聞、書籍などのメディ
アが普及して次の昭和に文化を継続し、日本の近代
化を果たす大事な役目を“大正時代”は果たしたよ
うだ。 
 日本ではじめてポスターにヌード写真を採用した
サントリー㈱社の赤玉ポートワインの広告は大正
12年に発表され、“広告のサントリー”の名声を得
て、平成の時代に至るまで同社にブランド貢献して
いる。
 村内でコロッケが美味しいと評判の小さな肉屋
さんを見つけて入ってみる。ショーケースの中に
は商品のコロッケが見当たらないので御
󱢉󱢊󱣀
上さんに
注文すると、“いま作ります”と“コロッケ”と“串
カツ”を揚げてくれる。揚げたてのツマミにビール
が欲しくなる。「近くにコンビニはありますか?」
と聞くと、「コンビニは大正村にはないの!」の返
事にがっかりしていると、自宅の冷蔵庫から冷え
た缶ビールを持ってきて、「これで良ければ飲ん
で!」とサービスしてくれる。
 さらに「ビールだけではお腹が空いてしまうで
しょう!」と、御上さんはの炊き込みご飯に梅干し
の入った“おにぎり”を作ってくれた。
 御上さんは「私は国民年金なので一生、働いて頑
張るんだ!」と元気な声で話します。こんなに優し
い、美人のおかみさんには是非、長生きをして、お
店を続けて欲しいと思う。
  
 大正村の訪問では古き大正時代の文化に触れ、心
温まるおもてなしを受け、現在の私たちが忘れがち
な大正時代のロマンや人情を味わうことがでた。
 現在では人工知能(AI:ArtificialIntelligence)
や物がインターネットに接続されて情報交換され
るAOI(IoT:InternetofThings)などの新しい
知識、技術の利用が叫ばれ、新市場や新製品の開
発などの新しい開発への挑戦、女性の登用(ダイバ
シティ)や進取の精神がそれぞれの企業に求められ
ている。
 大正12年生まれの鶴田浩二が歌う“傷だらけの
人生”では、「古い奴だと思いでしょうが、古い奴
こそ新しいものを欲しがるもの」と、年長者ほど新
しいものに挑戦と歌っている。
 “せこい”話や事件が多く聞かれる時代だが、
従心の世代になっても大正時代のような変革
(Innovation)へのエネルギーと、理想や夢に満ちた
浪漫(ロマン)を持って過ごしたいと思う。
 論語に“古いものを訪ねて新しいことを知る”の
意味に“温故知新”の言葉がある。従心世代の大正
村への旅はロマンに溢れた古き大正時代を知り、“温
故知新”の大事さを学ぶ旅になった。