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環境省の『エコアクション 21』に全社あげての取組み

月刊ITV 2021年7月号

発行:令和3年7月1日
発行所:(株)日新(HP)
執筆:大島春行・大西徳・伊藤慎介・井上元・岡雅夫・佐原輝夫・鈴木純子・中田信哉・西襄二・宮代陽之・谷田裕子
表紙・レイアウト:望月満
記事&編集:横路美亀雄・於久田幸雄

環境省の『エコアクション 21』に全社あげての取組みー独自のウイング『FLAP BODY』が高評ー

聞き手:横路(本誌)

山田車体工業㈱3 代目、山田和典社長

筆者が車体産業の取材を始めて間もなくの頃、一通り全国の車体メーカーを回ったことがある。静岡は比較的東京に近いこともあって、割合早く訪れたと思うが、同じ静岡県でも西と東では県民性が大きく異なる事に驚いた記憶がある。当時、カーゴボディの大手であった加藤車体工業(現在のパブコ)は既に 本社が神奈川県海老名市に移っていたが、創業は静岡の東部の沼津市。もう 一方の雄、山田車体工業も同じ沼津市で鎬を削りあっていることを知った。 筆者の中には加藤車体は “ 派手 ”、山田車体は “ 地味 ” のイメージがあったが、加藤車体は石油ショックのあと間もなく破綻して経営体制が変わるが、山田 車体はコツコツと実績を重ね、何度かの経済変動にも大きな影響を受けてい ない。現在は 3 代目の山田和典社長に引き継がれているが、今回は主に経済変動に強い経営体質について伺ってみた。

慎重な祖父と積極派の祖母が強固な経営基盤を

□横 路 コロナ禍、面談が難しい時期にお時間を割いて頂き、有難うございます。私も一回目のワクチン接種が終わりましたが、抑制効果は大きいようですので、今秋あたりにはマスクを外して外出できるのではないかと期待しています。コロナが拡散してほぼ一年半ですが、お仕事に影響は出ておりますでしょうか。

■山 田 社内に感染者が出ないように対策しなければならない点では影響がないとは言えないのですが、お陰様で受注は高止まりが続いています。

□横 路 そうですね。車体業界は全体として生産規模が抑えられていますし、代替え需要も根強いようですので、コロナの影響は比較的小さいように見受けます。
私が最初に車体産業と係ったのは 1973 年ですから、かれこれ 47~ 8 年になりますが、この間に何度も経済危機に晒されて、地域のリーダー格であったボディーメーカーも多くが姿を消しています。
山田車体さんは 1946 年の創業ですから今年満 75 周年ですが、一貫して堅実経営を続けておられます。何か根底に流れる社風のようなものがあるのでしょうか。

■山 田 それは創業した祖父(故・山田恒策氏) 夫妻や先代(故・山田健雄氏)が形成した企業文化のようなものだと思います。私が一つの指針として聞かされていたのは、少数精鋭と自己資本経営、それにお客様の信頼です。会社の経営でよく
「石橋を叩いて渡れ」と言われますが、当社の創業者は「金属の杖を突きながら渡れ」と言っていたようです。金属の杖だと反響音が木槌よりも大きいので、より安全だという訳です。

□横 路 この経営が難しい業界で堅実経営を脈々と受け継いでおられるところが素晴らしいと思います。

■山 田 ただ堅実だけでしたら今日の発展はなかったかも知れません。実は創業者の祖父は堅実第一主義だったようですが、経理を担当していた祖母は積極派で、本社工場も工場拡張のためにこの沼津で3回も移転していますし、横浜や水戸、仙台、東北まで拡大したのは祖母の主張が強かった為だと聞いています。

□横 路 当時はトラック輸送が始まったばかりだし、車体づくりも手探りだったと思いますから、創業者は夫妻でバランスが取れていたのかも知れませんね。

■山 田 創業する前、祖父は加藤ボディ(現在のパブコ)で働いていたのですが、従弟同士でライバル意識もあったと思います。

□横 路 そうですね。そのライバル関係は業界でも有名な話でした。

■山 田 そういう意識もあり、祖母の性格も加わって拡大したのですが、堅実だけだと今日の繁栄はなかったと思います。最近は車体メーカーさんの数も減りましたね。

昭和30 年代の山田車体の工場。手前はキャブのないシャシ。

□横 路 昭和 50 年頃だったと思いますが、本誌は北海道から九州までローラー作戦で車体メーカーを取材した事があります。多くが平ボディメーカーでしたが、当時で 150 社位でしたが、現在はその約三分の一位に減っていると思います。

■山 田 ただ小規模だけれども新しい車体メーカーさんも出来ているみたいですね。

□横 路 物づくりの世界ですから、会社は撤退しても職人さんは残っておられるんですね。この業界はローカル色が強いので、トラック販売会社に協力するカタチでホディづくりを続けておられる会社もあります。
御社は創業 75 年で 3 代目という事ですが、経営に対する考え方は変わらない物ですか。

■山 田 基本的には創業者や先代が培ったものを大切にしています。ただ時代の変化がありますので、その変化への対応も必要です。また、チャンスがあればチャレンジする積極性も大切だと考えていまして、商品開発も昔とは随分変わりました。組織的には秋田の小田切車体さんも傘下に入って頂いたり、特殊なウイングで知られる中村実業さんの技術も継承させて頂いて、レベルアップを図っています。

□横 路 もう 10 年以上も前になりますが、東北の三八五貨物さんを訪ねた時に、御社とのご縁(東北山田車体)を大変喜んでおられました。

■山 田  当社にとりましても大手ユーザーさんとダイレクトなご縁が出来て感謝しているところです。

二代目社長が力をいれた『FLAP BODY』

整理整頓されている沼津工場

□横 路 御社は木製キャブのトラックも再現して国立科学博物館に登録されておられます通り、トラックボディメーカーとして最古参ですが、最近のウイングニーズにも応えて独自の『FLAP BODY』シリーズを開発しておられます。日本は ウイングボディが特別の市場を形成していますが、ローカルメーカーは採算が会わなくて多くが撤退しておられます。

■山 田  ウイングの FLAP については、先代が非常に執念をもって取り組みまして、今では当社の柱になっています。今日、『FLAP BODY』をご愛用頂いているのは、お客様ニーズに合わせて個々の開発を継続した結果だと思います。

□横 路 確かに『FLAP BODY』はルーフがリフトしたり構造も標準のウインクとは少し違いますね。

■山 田  当社の場合は生産台数を追求するのではなくて、あくまでもお客様ニーズに応えて開発してきた事が今日に繋がっていると思います。

□横 路 そうですね。お客様の用途は千差万別ですから、標準仕様では満足されない場合もあります。定温輸送の断熱ウイングは典型的な例ですが、コールドチェーンに使用するので、側面を全開するウイングは冷気が逃げるので定温輸送には向かないと思われていましたが、一定の需要があります。

■山 田  当社も摂氏 20 度前後の定温輸送ウイングを手掛けていますが、精密機械など半導体を搭載している製品は温度や湿度も厳しいコントロールが要求されます。

□横 路 その辺りは大板ガラスの積載も含めて中村実業の技術が活かされているのだと思います。

■山 田  確かに『FLAP BODY』のバリエーションも増えたのですが、昔から継続している平ボディも常に開発にチャレンジしてきましたので、現在の姿もその基盤の上にあると思います。

『エコアクション 21』への取組みで大きな成果

家畜運搬用 FLAP BODY。リアのハイリフトゲートは荷役作業用。

□横 路その通りですね。本社工場の正面にも『エコアクション 21』の看板が掲げられていますが、最近、御社は環境対策にも力を入れておられるようですね。

■山 田  はい、そうです。最初は 15 年ほど前になりますが、工場から出るゴミの量を少しでも減らそう、という取組みからスタートしています。ちょうどその頃、沼津市から『エコアクション 21』を始めるという案内があって、そこに参加したのが始めるキッカケになりました。

□横 路  エコアクション 21 は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)で、一般に、「PDCA サイクル」と呼ばれるパフォーマンスを継続的に改善する手法を基礎にして、組織や事業者等が環境への取り組みを自主的に行うための方法を定めています。あらゆる事業者が効果的、効率的、継続的に環境に取り組めるように工夫されていますね。

■山 田  最初は水とか電気の節約といった身近かなところから始まるのですが、前向きに取り組んでいると、仕事の日常業務とも関わりが出てきます。最初は『エコアクション 21』と仕事は別、と考えていたのですが、最終的には環境もやりながら業績も上げていくという形になってきました。

□横 路  我々昭和の人間は「環境は世のため他人のため、会社の利益の中から貢献する活動」と考える人が多いと思うのですが、現在は事業の一環として捉えるカタチですね。

■山 田  そうです。当社も最初は試行錯誤していましたが、現在は企業活動の一環として社内全体に浸透しています。

□横 路  それは素晴らしいです。商品の販売は相手様がありますので思い通りにならないケースも出てきますが、『エコアクション 21』は “ やる気 ” が結果に現れるし、リーダーシップも要求されます。企業が一枚岩になって取り組むテーマとしても最適です。

■山 田  その点はとても良かったと思います。毎年、全員参加で取り組みに対する審査もありますので、日々の積み重ねも結果に出ます。

環境に優しい竹床材にも注目


□横 路  これほど大規模災害が多発すると、国も企業も個人も環境への取り組みは不可欠です。この環境問題とも関係しますが、最近トラック の床材として “ 竹 ” が注目されています。この車体業界は木材を多く使いますが、森林破壊との関係で輸入材が使いにくい状態になっています。なんでも世界の森林は、一時間に東京ドーム 127 個分に匹敵する面積が失われていて、木材を多用する日本が大きく関与しているようです。それで
注目されているのが “ 竹 ” という訳です。

■山 田  そうですね。当社も “ 竹の床材 ” は採用しています。

□横 路  実はその “ 竹の床材 ” が日本で採用される事になった経緯には本誌も少し関係しているんです。既に10数年前になりますが本誌が「日中トラック産業交流会」を開催した時に、中国が国際コンテナの床材として竹を採用している事を知って輸入することになりました。具体的には本誌とパートナー関係にあった㈱アジアブレーンが仲介して、信和自働車工業から販売することになって、日本のトラック床材として通用するか大手車体メーカーさんも耐久テストなどして品質を確認しています。

■山 田  当時の話は私も聞いております。

□横 路  本誌はビジネスには参画しなかったのですが、輸入当初から国産化を強く主張しました。中国と日本の関係が未来永劫良好であるとは限りませんので、日本でも生育する竹は国産化して将来の安定供給を図るべきと考えていました。予想通り輸入開始から暫くして輸入価格の値上げ問題が発生します。
信和自動車工業さんは既に九州の車体メーカーの協力を得て鹿児島で竹床材の国産化を進めておられます。

■山 田  はい。私も話には聞いております。

□横 路 竹は成長が早いので安定供給に最適です。品質的にも問題ないことが立証されているので、国際的な環境問題からも、業界の活動として取り組むべきではないかと思っています。

■山 田  確かにその通りだと思いますが、トラックの床材はお客様が指定されるケースが多いので、こちらの一存では進められません。

□横 路 そうですね。トラックの床材は竹以外にもアカシア等がありますので、選択はユーザーさんの自由ですが、竹床材が環境に優しいという点がまだ浸透していないように思います。

■山 田 ただ、竹床材が徐々に増えていることは確かですね。

時代変化への対応力が不可欠果

環境に優しいトラックの竹床材

□横 路  そうですね。まだ、これからのテーマだと思います。それと、やはり環境問題になりますが、菅政権が発足して間もなく『2050 年カーボンニュートラル』を発表しました。これで日本は 2050 年には CO 2の排出量をゼロにすると宣言した訳ですが、これを機にトラックも FCV(燃料電池車)の開発が急速に進んでいます。

■山 田  トヨタさん、日野さん、いすゞさんが協同で開発を進める発表はニュースで見ました。

□横 路  来春には大手運送事業者も参画してテスト運行が始まる予定ですが、恐らく水素を活用する FCV は国策として推進される事になると思います。

■山 田  トラックが FCV になると車体産業にも大きな影響が出るのでしょうか。

□横 路  大きく影響を受けるのはエンジンなど動力系の業界だと思います。排ガスを出さないという事は、動力はモーターに代わりますので、駆動システムが大きく変わります。小型の EV では既に採用されていますが、トラックもインフォイルモーターが実現すれば、プロヘラシャフトもデフギアも必要なくなるので、シャシ構造が大きく変わる可能性がありますね。

■山 田  シャシがどんなに変わってもトラックは荷台とボディはなくならないので、車体産業がなくなる事はないですよね。

□横 路  そうですね。ただ、シャシの変化に対して上物も変化を要求される事になるでしょう。

■山 田  これまでも車体メーカーはシャシの変化や法改正にも対応して来ましたので、その対応力はあると思います。

□横 路  電気化と同時に浮上してくるのが自動運転、それに通信の高度化で IOT(モノインターネット)も進みます。また既にトラックへの搭載が始まっていますが、AI(人工知能)の進化も気になるところです。

■山 田  水素によるエネルギー転換や自動運転、IOT や AI など、これも時代の変化だと思います。我々車体産業はモノづくりを通して物流に貢献しているのですが、どんなに時代が変化してもなくなることはないと思いますので、総力で対応する以外にないと思います。

□横 路  その通りですね。本誌は令和への改元と同時に「ITV」に誌名変更したのですが、世界の動きは先進イメージよりもどんどん先に進んでいる感じです。コロナの関係で東京オリンピックも大きな影響を受けましたが、これからは何が起きるか予想不可能な時代です。益々のご活躍を祈っております。本日はご多忙のところ有難うございました。

カーボンニュートラル方策研究

世界第1位の経済大国で車社会でもあるアメリカで、EV化の動きが広がっている。商用車分野での最新の上状況を前月号で紹介したが、紙幅の関係で全体像を紹介しきれなかった。今月号で引き続き他の企業、主として中小企業の動きを紹介する。(順不同)

話題のニュートラック新製品情報

積載量の大幅向上と輸送経済性を確保した新型「テレスコ式土砂ダンプトレーラ」を発売