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緑ナンバーとは?白ナンバーとの違い|取得方法・条件・メリット

緑ナンバーは、運送業を始める際に必要となる事業用のナンバープレートです。白ナンバーとの違いや取得に必要な条件、費用、メリット・デメリットなどを正しく理解することが、スムーズな事業開始につながります。
本記事では、緑ナンバーの基礎知識から取得手続きの詳細までをわかりやすく解説します。

緑ナンバーとは?


緑ナンバーとは、運賃をもらって他人の荷物や人を運ぶ事業用車両に取り付けられるナンバープレートのことで、緑色の地に白色の文字で表記されているのが特徴です。
タクシー、バス、トラックなどがこれにあたります。
正式名称は「一般貨物自動車運送事業許可」といい、この許可を取得した事業者が使用できます。緑ナンバーを取得せずに有償運送をおこなうと、法律違反となり罰則が科せられます。

日本で使われているナンバープレート5種類・特徴

日本で一般的に使用されているナンバープレートは、主に5種類に分けられます。

ナンバープレートの色 文字色 取り付けられている車両
主に自家用登録自動車
事業用登録自動車
軽自動車
事業用軽自動車
外交官が利用する外務省用車

軽自動車かそれ以外か、自家用か事業用かでナンバーの種類は変わってきます。
まず、白地に緑色の文字は、普通自動車や大型自動車などの自家用車に用いられます。黄色地に黒色の文字は、軽自動車の自家用車です。
運送業で使用されるトラックなどの営業車は、緑色の地に白色の文字の緑ナンバーになります。軽自動車の営業車は、黒色の地に黄色の文字の黒ナンバーです。これらの他に、青色の地に白色の文字で「外」などの文字が入った青ナンバーがあり、これは外交官の車に付けられています。

緑ナンバーの取得ができる事業形態は4種類

具体的にどのような業種で、緑ナンバーの取得が必要なのかを紹介します。大きく分けると、緑ナンバーを取得できる事業形態は、下記の4種類になります。

【特別積合せ貨物運送事業】
不特定多数の荷主の荷物を1台の車両に積載し、全国規模で運送する事業形態
(例:宅配便)

【一般貨物自動車運送事業】
荷主からの依頼を受け、荷物を運送し、運賃を受け取る事業形態
(例:引越し業者、チャーター便)

【特定貨物自動車運送事業】
特定の荷主の荷物のみを運送し、運賃を受ける事業形態
(例:メーカー(親会社)の製品のみを運送する子会社)

【霊柩運送事業】
遺体の運送のみをおこなう事業形態
(例:霊柩車)

緑ナンバーと白ナンバーの違いは?

緑ナンバーと白ナンバーの違いを以下の表にまとめました。

緑ナンバー 白ナンバー
用途・運搬物 物や人
※運賃をもら
物や人
※運転をもらない
自動車税 1t未満 6,500円 8,000円
1t超~2t 9,000円 11,500円
2t超~3t 12,000円 16,000円
3t超~4t 15,000円 20,500円
4t超~5t 18,500円 22,500円
自動車重量税 1t未満 5,200円 8,200円
1t超~1.5 7,800円 12,300円
1.5t超~2t 10,400円 16,400円
2t~2.5t 13,000円 20,500円
2.5t~3t 15,600 24,600円
車検 1年ごとに車検
(車両総重量8t未満の貨物用緑ナンバー車両は、初回車検のみ2年)
初回3年、以降2年ごと
点検整備 3ヶ月に1回が義務 緑ナンバーよりも頻度は少ない
(※車両総重量によって異なる)
アルコールチェック 義務 一定台数以上を使用する事業所は義務
保険料 ・高くなる可能性がある
・保険会社も限られている
インターネットで手軽に加入できる

それぞれの違いについて解説します。

用途・運搬物による違い

緑ナンバーと白ナンバーの最も大きな違いは、用途です。
緑ナンバーは、運賃を受け取って他者(荷主や乗客)の荷物や人を運ぶ事業用車両に必要です。タクシーやバス、運送会社のトラックなどが該当します。
一方、白ナンバーは自家用、つまり自社の荷物を自社の車で運ぶ場合などに使用され、有償での運送は認められていません。

自動車税・重量税の違い

緑ナンバーと白ナンバーでは、自動車税と自動車重量税の税額が異なります。
一般的に、緑ナンバーの車両は事業用として位置づけられており、税制上の優遇措置が適用されるのが特徴です。そのため、白ナンバーよりも自動車税などの税金が安く設定されています。
緑ナンバーが、税制上の優遇措置を適用されるのは、事業活動を支援するための一環として提供されています。

車検・点検整備の違い

緑ナンバーと白ナンバーでは、車検を受ける頻度や点検整備の義務に違いがあります。
緑ナンバーの事業用車両は、一般的に新車・中古車にかかわらず1年ごとに車検を受ける必要があります。ただし、車両総重量8トン未満の貨物用緑ナンバー車両は、初回車検のみ2年です。一方、白ナンバーの自家用乗用車は初回3年、以降2年ごとの車検です。

また、緑ナンバーの車両は3ヶ月に1回の点検整備が義務付けられています。白ナンバーの場合、点検整備の頻度は車両総重量によって異なりますが、緑ナンバーよりも頻度は少ないです。点検整備を怠ると法律違反となるため注意が必要です。

アルコールチェック(検査)の違い

緑ナンバーの車両は、2011年5月1日からアルコールチェックが義務化されています。運転前後の運転者に対して、アルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認し、その記録を1年間保存する必要があります。
一方、白ナンバーの車両については、2022年4月の道路交通法改正により、一定台数以上を使用する事業所にアルコールチェックが義務付けられました。この義務化は、2021年6月に発生した飲酒運転事故がきっかけとなっています。
また、2023年12月からは、これまで目視で確認するだけでもよかったアルコールチェックが、アルコール検知器を用いた確認が必須となりました。

保険の違い

緑ナンバーと白ナンバーでは、加入できる保険の種類や保険料に違いがあります。
緑ナンバーの車両は、事業用として走行距離が多く、業務中のリスクも補償範囲に含まれるため、白ナンバーに比べて保険料が高くなる傾向が見られます。加入できる保険会社も限られており、インターネットで手軽に加入できる保険は少ないのが現状です。事業内容に適した保険を選び、万が一の事態に備えることが重要です。

緑ナンバー取得方法・費用


緑ナンバーを取得するには、一般貨物運送事業を始める必要があります。
一般貨物運送事業を始めるまでの流れは、以下のとおりです。

➀一般貨物運送事業者の登録
②車両の登録(緑ナンバーへの変更手続き)

事業用である緑ナンバーは、運送に関する何らかの事業をしていないと取得できません。
それでは、緑ナンバー取得までの方法を、順を追って解説していきます。

1.取得の流れ(手順)

緑ナンバーを取得するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。

流れ 詳細
1.許可基準の確認 取得条件の資金や車両台数などを確認する。
2.申請書類の準備・作成 必要書類を準備する。
(事業計画書・賃貸借契約書・残高証明書など)
3.土地・建物等の条件確認 ・建築基準法や消防法に準じていること。
・車庫が基準距離内に配置されていること。
4.法令試験を受験する ・事業者として適していることを証明するために法令試験を受けて合格する。
・運輸局での実施は、2ヶ月に一度。
・合格率は70%前後。(地域によって差がある)
5.運輸局での審査を待つ ・すべての申請書類を運輸支局に提出する。
・審査に4ヶ月ほどかかる。
6.営業許可がおりる ・運送業をおこなえる
7.登録免許税を運輸局に納付 登録免許税(12万円)を入金する。
8.許可書交付式 ・運輸支局の交付式で受け
・個人事業主もしくは法人役員が出席してする
9.緑ナンバーを取得 ・選任届を提出し、運輸開始前確認報告や連絡書等の発行後、車検証を新しくする。
・営業用の緑ナンバーを受け取る。
10.緑ナンバーでの運輸事業が始まる ・運輸開始届を運輸局に提出して、手続き完了する。

簡単にできる手続きではないことがわかります。数ヶ月は取得準備にかかると思っておきましょう。

2.取得費用

緑ナンバーの取得にかかる費用は、申請方法によって異なります。
ご自身で手続きを進める場合、登録免許税として12万円、ナンバープレート代が1台あたり1,500円程度、印紙代が500円ほど必要です。これらの費用に加え、事業開始のための資金も考慮する必要があります。

行政書士に代行を依頼する場合は、上記の費用に加えて行政書士への報酬が必要となります。費用の目安は、50万円から60万円程度です。
緑ナンバーの取得を行政書士に依頼すると、書類作成や運輸局への申請など面倒な手続きを代行してもらえるため、開業準備に専念できます。さらに、営業所や車庫の適正確認など許可取得に関する専門的なアドバイスも受けられるため、トラブル防止にもつながります。

緑ナンバーの主な取得条件


緑ナンバーを取得するには、審査項目の基準に適合していなければなりません。運輸局の審査項目は、主に下記の6つです。

1.営業所(休憩・睡眠施設)
2.車庫
3.車両台数
4.立地条件
5.資金力
6.運行・整備管理者
7.申請者

各審査項目をまとめながら解説していきます。

1.営業所(休憩・睡眠施設)

営業所は、業務の拠点となる事務所になります。営業所などの各施設は、関係法令に抵触しないものであることが条件です。
その他の基準としては、以下のとおりです。

・規模が適切であること
・必要な備品を備えているなど、業務遂行上適切なものであること

また、昼夜問わず物流を支える運送業は、休憩・睡眠施設を設置しなければなりません。この施設は、乗務員が有効に利用できる、適切な施設の必要があります。
睡眠スペースは1人当たり2.5平方メートル以上の広さを確保し、営業所または車庫に併設することが条件です。

2.車庫

車庫は原則として、営業所に併設するものでなければなりません。もし、併設できない場合は、平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合する必要があります。
平成3年6月25日運輸省告示第340号では、営業所から車庫までの距離を定めており、営業所から5km〜10km以内(地域により異なる)の距離に車庫が設けられていなければなりません。

広さや場所に関しての条件は、以下のとおりです。

・車両と車庫の間隔、車両同士の間隔がそれぞれ50cm以上確保されていること
・計画する車両をすべて収容できるものであること
・車両の出入りに支障のないものであり、接道に関して車両制限令に抵触しないこと

車庫の出入り口と接する道路が私道の場合、通行に関する使用権原を有する者の承認が必要です。また、車両制限令に抵触しないものでなければなりません。

ここでいう車両制限令とは、車両の大きさに応じて、適切な幅の道路と接している必要があるということです。
その他の条件には、車庫以外の使用はせず、他の用途に使用される部分と明確に区分けされている必要があります。

3.車両台数

原則として、営業所ごとに最低5台の車両が必要です。ただし、特例として、霊柩運送事業や貨物輸送の需要が少ない離島では、1台からでも事業を開始できる場合もあります。
緑ナンバーの許可後に、車両の故障などで稼働車が5台未満になった場合は、速やかに運輸支局へ報告が必要です。すぐに許可が取り消されることはありませんが、一定期間内に5台以上に戻さないと行政指導を受ける可能性があります。

4.立地条件

緑ナンバーを取得するためには、営業所や車庫を設置する土地が関係法令に適合している必要があります。具体的には、「建築基準法都」「市計画法」「農地法」などに違反していないことが前提です。
たとえば農地には、原則として運送業の営業所や車庫などを建てられません。農地を転用するには「農地転用」の手続きが必要ですが、許可が下りないケースや、半年〜1年以上かかることもあります。

また、市街化調整区域と呼ばれる地域では、基本的に建物の建築が認められていません。そのため、営業所や休憩施設は設置できず、屋根のない駐車場のみ許可される場合があります。
一方、市街化区域内であっても「用途地域」によって建物の使い方に制限があるため、営業所を建てられないこともあります。物件ごとに状況は異なるため、申請前に自治体などでしっかり確認しておくことが重要です。

5.資金力

緑ナンバーを取得するには、事業を継続できる十分な資金力があることを証明する必要があります。これは、開業時にかかる車両購入費、営業所の賃料、人件費、保険料、税金、燃料費、修繕費など、様々な費用を賄えるだけの資金があるかを確認するためです。

具体的な必要資金の目安は、事業規模などによって異なりますが、一般的に1,500万円から2,500万円程度と言われています。
これらの資金は、自己資金として用意できることを銀行の残高証明書などで証明する必要があります。許可申請時には資金計画表の提出も求められます。

6.運行・整備管理者

緑ナンバー取得には、運行管理者と整備管理者の選任が必須です。

【運行管理者】運行管理資格者証を持つ者、または一定の実務経験と講習を修了している者。
【整備管理者】三級以上の自動車整備士資格を持つ者、または2年以上の実務経験と地方運輸局長がおこなう研修を修了している者。

それぞれ要件を満たす者を選任し、届け出る必要があります。

運行管理者の人数は、保有車両数に応じて決められており、29台までは1人、それ以降は30台ごとに1人ずつ追加で選任する必要があります。
たとえば、車両を5台保有して運送業を始める場合でも、最低1人の運行管理者を確保しなければなりません。

運行管理者になる方法は主に2つあります。
1つ目は、年2回実施されている国家試験に合格するルートで、これは試験を受ける前に1年以上の実務経験があるか、基礎講習を受講することが条件です。2つ目は、5年以上の実務経験を積んだ上で、基礎講習1回と一般講習4回を受講する方法です。時間はかかりますが、試験が苦手な方にとっては現実的な選択肢といえるでしょう。

7.申請者

緑ナンバーを取得する際には、申請者に一定の条件が設けられています。
申請者とは、個人事業主の場合は本人、法人の場合は代表者を含む役員全員を指します。申請者は「欠格事由」に該当しないことが必要です。

たとえば、過去に1年以上の懲役または禁錮刑を受けており、その執行から5年が経過していない場合や、以前に運送業の許可を取り消された経歴があり、取り消しから5年未満である場合などが該当します。

また、未成年者や成年被後見人が申請者である場合や、代理人・役員の中に欠格事由に該当する人物がいる場合も、申請が認められないことがあります。法人の場合は、役員全員が条件を満たしている必要があるため注意が必要です。申請をスムーズに進めるためには、あらかじめ各要件に該当していないか確認しておきましょう。

緑ナンバー取得のメリットとデメリット

緑ナンバーを取得することは、メリットも大きくありますが、デメリットも存在します。ここでは緑ナンバーの取得について、メリットとデメリットにわけて紹介します。

緑ナンバー取得のメリット

緑ナンバー取得のメリットには下記の3つがあります。

1.運送事業として使用できる
2.税金が安い(税制上の優遇)
3.営業先の拡大
4.従業員の福利厚生が充実する

それぞれのメリットを解説します。

1.運送事業として使用できる

緑ナンバー取得のメリット1つ目は、運賃を受け取って他者の荷物や人を運ぶ運送事業を正式におこなえる点です。貨物自動車運送事業法により、白ナンバーの車両で有償運送をおこなうことは禁止されています。そのため、運送事業をおこなうためには緑ナンバーの取得が必須です。

緑ナンバーを取得することにより、輸送のプロとして自信を持って仕事を受注し、対価として報酬を得ることが可能になります。許可なく有償運送をおこなった場合は、法律違反として罰則の対象となります。

2.税金が安い(税制上の優遇)

緑ナンバー取得のメリット2つ目は、税金が安いことです。具体的には、自動車税と自動車重量税が、白ナンバーと比較して優遇措置が適用されます。これは、事業用車両が社会経済活動に不可欠であると見なされ、その維持・運営を支援するための措置と考えられています。ただし、自賠責保険料は緑ナンバーの方が高くなる傾向がある点には留意が必要です。

3.営業先の拡大

緑ナンバー取得のメリット3つ目は、運送業として正式な許可を得られるため、営業活動を広げることが可能になる点です。白ナンバーでは有償での運送が認められていませんが、緑ナンバーであれば他者の荷物や人を運送し、運賃を得られます。これにより、公共事業や民間の仕事など、これまで請け負えなかった案件にも対応できるようになり、事業規模の拡大につながります。
また、法令を遵守して事業をおこなうことは、取引先や顧客からの信頼獲得にも繋がり、新たな契約に繋がる機会も増えるでしょう。

4.従業員の福利厚生が充実する

緑ナンバーを取得すると、事業者には従業員を社会保険や雇用保険に加入させる義務が発生します。従業員は健康保険や厚生年金、労災・雇用保険といった各種保障を受けられるようになり、福利厚生の面で大きく改善されます。
こうした福利厚生の充実は、従業員の安心感や働きやすさを高めるだけでなく、人材の採用や定着にも好影響を与える要素となります。
さらに、これらの取り組みは運輸局や適正化事業実施機関による定期的な確認の対象となっているため、制度の継続的な運用が促されるのも特徴です。
結果として、企業全体の信頼性向上にもつながるといえます。

緑ナンバー取得のデメリット

緑ナンバー取得のデメリットには下記の3つがあります。

1.自賠責保険や任意保険が高くなる傾向にある
2.整備コストが増える
3.消費税の負担が増える
4.業務が増える

それぞれのデメリットについて解説します。

1.自賠責保険や任意保険が高くなる傾向にある

緑ナンバーを取得すると、自賠責保険や任意保険の保険料が白ナンバーに比べて高くなる点がデメリットとして挙げられます。

例)2トン以下の普通貨物自動車の自賠責保険料(24ヶ月)を比較
【白ナンバー】28,370円
【緑ナンバー】30,110円 ※緑ナンバーの方が、約1,700円高くなります。

保有台数が少ない場合はそれほど大きな差ではないものの、複数台を所有する事業者にとっては年間で数万円〜数十万円の差額が生じる可能性があります。

また、任意保険も事業用の緑ナンバー車両は、走行距離が長く事故リスクが高いと見なされるため、白ナンバーの1.5倍〜2倍程度の保険料になることもあります。緑ナンバーを取得する際には、こうした保険料の負担増も含めて、ランニングコスト全体を考慮することが大切です。

2.整備コストが増える

緑ナンバーを取得すると、車両の整備にかかるコストが増える点もデメリットとして挙げられます。事業用車両として登録されるため、安全運行の責任がより厳しく問われ、定期的な点検と車検が法的に義務付けられます。緑ナンバーの車両は3か月ごとの定期点検が必要で、これを怠ると法令違反になる可能性があります。

また、一般的な白ナンバー車両と比べて車検の間隔も短く、通常は1年ごとに受ける必要があります。これにより、整備工場への外注費や部品交換費用などが定期的に発生し、運送事業者にとっては大きな維持費となります。

3.消費税の負担が増える

緑ナンバーを取得して事業用登録をおこなうと、従業員に支払う給与が消費税の仕入税額控除の対象外となります。そのため、白ナンバー時代に比べて消費税の負担が増える点もデメリットです。

たとえば、白ナンバーのまま外注で業務を依頼していた場合、その外注費は消費税の控除対象となっていました。しかし、同じ業務を自社従業員に任せた場合、その人件費は控除対象外となります。結果として、消費税の課税売上に対して控除できる経費が減少し、納税額が増えることになります。売上規模や人件費の割合によっては、年間で数十万円〜数百万円の差が出ることもあるため、注意が必要です。

ただし、その分は法人税の課税所得が減ることで一部相殺されることもあります。いずれにしても、税負担の変化を正しく理解し、事前に税理士など専門家と相談することが大切です。

4.業務が増える

緑ナンバーを取得すると、日常業務に加えて、運行に関する帳票の作成・管理など、事務作業が格段に増えます。

例)運行前後の点呼とその記録、乗務日報、運転者台帳整備の義務化など

また、新たにドライバーを採用した際には、初任運転者に対する適性診断や、座学・添乗による初任運転者教育の実施も求められます。さらに、年1回以上の安全教育や、定期健康診断の実施と記録も必要です。

これらの対応を怠ると、運輸局からの監査時に指摘を受け、最悪の場合は行政処分につながる可能性もあります。
加えて、毎年の決算後には「事業報告書」や「事業実績報告書」などの提出が義務付けられており、これらの作成や管理にも時間がかかります。緑ナンバー取得後は、安全運行体制の維持と帳票管理の両立が求められるため、事務負担の増加は避けられない現実と言えるでしょう。

緑ナンバーと第一種免許・第二免許の関係

緑ナンバーの車両を運転するためには、運転する車両の種類に応じた運転免許が必要です。例えば、貨物自動車(トラック)であれば、その積載量や車両総重量に応じた第一種運転免許(普通、準中型、中型、大型)が必要になります。

バスやタクシーなどの旅客運送をおこなう緑ナンバーの車両を運転するには、第二種運転免許が必要です。このように、緑ナンバー車両の運転には、車両の種類や用途に合わせた適切な運転免許の取得が求められます。

緑ナンバーに関するよくある質問


緑ナンバーに関するよくある質問をまとめました。

緑ナンバーを運転するために必要な免許は?

【貨物(人以外)を運ぶ場合】
物を運ぶ場合、車両の大きさに応じた第一種運転免許で運転できる。

例えば、車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満のトラックで貨物を運ぶ場合、緑ナンバーであっても第一種普通免許で構いません。
何を運ぶかによって、別途で免許や資格が必要になりますので、注意しましょう。

【旅客など人を運ぶ場合】
物ではなく人を運ぶ場合、第二種運転免許が必要。

第二種運転免許とは、運賃をもらって人を運ぶ、旅客運送を業務としておこなう場合に必要な免許です。具体的には、バスやタクシーの運転手などがこれに当てはまります。
第二種運転免許にも、普通第二種免許〜大型第二種免許まであり、下記の通り第一種よりも取得条件が厳しくなります。

・21歳以上であること
・第一種運転免許を取得していること
・第一種運転免許の取得から、通算して3年以上経過していること

物ではなく人を運ぶということは、その人の命を預かっているということなので、より厳格な制度を設けているのです。

緑ナンバーの車を借りたり貸したりできるか?

緑ナンバーの車両を他社に貸し出す、あるいは他社から借りて有償運送をおこなうことは、貨物自動車運送事業法違反となります。
ただし、引越事業などで繁忙期に限り、レンタカーを白ナンバーのまま事業用として使用できる特例も存在します。これは運輸支局への届け出が必要となります。名義貸しに関しても同様に法律違反となり、貸した側も借りた側も罰則の対象となります。

緑ナンバー取得後にやらなければならないことは?

社会保険と労働保険への加入があります。個人事業主、法人に関わらず、これら保険への加入が義務付けられています。運輸開始前確認報告の提出時に、社会保険加入証明書類の提示が必要となります。

無償輸送でも緑ナンバーが必要?

基本的に、他人の荷物を運ぶ対価として金銭を受け取る場合は「有償運送」に該当し、緑ナンバーの取得が必要です。ただし、完全なボランティアなどで一切報酬を受け取らず、真に無償でおこなうのであれば、緑ナンバーは不要です。

注意すべきは、請求書に「運送費」などの明記がなくても、実質的に運送の対価として金銭を受け取っている場合です。

例)建設業者が本来の請負範囲を超えて資材運搬をおこない、その分を上乗せした報酬を受け取るケース
→形式的に無償でも実質は有償運送と見なされる可能性があります。

無償という名目でも、実質的に利益が発生していれば、緑ナンバーが必要となる可能性がある点に注意しましょう。

さらに、それが継続的におこなわれていれば、運送業と判断されるリスクが高まります。つまり、名目ではなく実態が問われるということです。少しでも不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

緑ナンバーは個人でも取得できる?

緑ナンバーは個人事業主でも取得可能ですが、法人と同様に車両5台・運転手5人をそろえる必要があり、1台だけでは取得できません。法令試験は事業主本人のみが受験可能で、配偶者や従業員の代行はできません。

また、将来法人化する際は許可の譲渡譲受認可も必要で、簡単に移行はできません。
さらに、ドライバーは社会保険や雇用保険に加入しなければならず、個人事業でも義務になります。金融機関の融資や取引先との口座開設で法人より不利になることもあるため、準備と計画が重要です。
個人で貨物運送業を始める場合は、車両1台から可能な「軽貨物運送事業(黒ナンバー)」の取得も検討すると良いでしょう。

まとめ

緑ナンバーは、運賃を受け取って他人の荷物や人を運ぶ営業用車両に付ける特別なナンバープレートです。トラックやタクシー、バスなどが対象で、運送業を始めるには取得が必要です。申請には事業計画書の提出や法令試験、車庫・営業所の基準クリアなどが求められ、数ヶ月の準備期間が必要なこともあります。

主なメリットは、自動車税や重量税の優遇措置がある点や、社会保険への加入など福利厚生の充実です。

緑ナンバーは、運送事業の基盤となる重要な制度であり、事業拡大や信頼確保を目指す際には、これらのメリット・デメリットを踏まえて計画的に取得を進めましょう。

  • 緑ナンバーとは賃料をもらい貨物や人を運ぶ際に必要なナンバー
  • 取得するためには運送事業を立ち上げる必要がある
  • 緑ナンバーのメリットは車両を事業として使用できる点
  • 貨物のみを取り扱う緑ナンバーの場合、運転免許は第一種で運転できる

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