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【種類一覧】特殊車両とは? 特殊車両通行許可について徹底解説

特殊車両とは?特殊車両の主な種類とその制度や登録方法を大紹介!

特殊車両は、車両制限令で定められている一般制限値を1項目でも超える車両です。
本記事では、特殊車両の定義や構造、特殊車両が公道を走行するために必要な、通行許可の申請について詳しく解説します。

特殊車両とは?


特殊車両とは、車両制限令で定められている車両の全長・全幅・全高・車両総重量といった一般制限値を1項目でも超える車両のことです。また、各道路管理者が定める橋や高架道路、トンネルなどの制限値を超える車両も特殊車両に該当します。

特殊車両は、小型特殊車両・新小型特殊車両・大型特殊車両に分類されますが、今回は大型特殊車両に焦点を当てて解説します。

1.寸法(幅・長さ・高さ)

道路を通行できる車両の寸法は、一般的制限値として以下のように定められています。

寸法
2.5m
長さ 12m
高さ 3.8m

これらの数値を一つでも上回る車両は、特殊車両に分類されます。
例えば、セミトレーラ連結車や、建設機械を積載して高さが基準を超える車両などが該当します。

2.重量(総重量・軸重など)

車両の重量に関しては、制限値として以下のように定められています。

制限値
車両総重量 20t
軸重 10t
隣接軸重 ・軸距が1.8m未満の場合:18t
・軸距が1.8m以上の場合:20t
軸荷重 5t

これらの制限値のいずれかを超える車両は、特殊車両となります。
特に、重機や大型の貨物を運搬する車両は、総重量だけでなく軸重が基準を超えるケースも少なくありません。

3.最小回転半径

車両の最小回転半径は、制限値として以下のように定められています。

制限値
最小回転半径 12m

ポールトレーラーのような長尺の車両や、特殊な連結車両などは、この最小回転半径の基準を超えることがあり、通行許可の対象となります。

【車種別一覧】特殊車両の種類


特殊車両には、運搬する貨物や用途に応じて多種多様な形態が存在します。ここでは、通行許可申請でよく見られる代表的な車種を種類別に紹介します。

【種類1】トレーラー系の特殊車両

トレーラーは、トラクタと被けん引自動車(トレーラー)が連結して走行する構造上、その多くが特殊車両に該当します。特に車両の長さが一般的制限値を超えやすいため、公道の通行には許可が必要です。

日本で最も普及しているセミトレーラーは、トレーラー自体に動力はなく、トラクタと連結することで貨物輸送を可能にします。運ぶ貨物の種類に応じて、密閉型のバン型、液体を運ぶタンク型、国際海上コンテナを運ぶコンテナ用、複数の自動車を積載するキャリアカーなど多様な形状が存在します。

キャリアカーの場合、積載方法によっては高さの制限を超えることもあるため、走行前の確認が重要です。

【種類2】その他トレーラー関連

セミトレーラー以外にも、特殊な運搬に対応するトレーラーが存在します。
フルトレーラーは、トラクタとドリー式トレーラーで構成され、大量の貨物を一度に輸送することが可能です。セミトレーラーよりも積載量が多く、長距離輸送の効率化に貢献します。

一方、ポールトレーラーは、鋼材、橋桁、電柱といった分割できない長尺の貨物を運搬するために特化した車両です。トラクタとトレーラーが積載物自体で連結される構造を持ち、その長さから特殊車両通行許可が必須となります。

【種類3】建設・重機運搬用車両

建設現場で使用される重機などを運搬する車両も、特殊車両に該当する場合が多くあります。代表的なものは、セルフローダーや重機運搬用セミトレーラー(通称:重セミ)です。これらの車両は、ショベルカーやブルドーザーといった建設機械を現場まで輸送するために使用されます。

建設機械は非常に重いため、積載すると車両の総重量が一般的制限値である20トンを大幅に超えることがほとんどです。そのため、公道を通行する際には、事前に通行ルートの許可を取得することが不可欠となります。

【種類4】特殊機能付き車両(20トンクレーン車など)

特定の作業機能を持つ車両の中には、その構造自体が特殊車両に該当するものがあります。代表例がクレーン車で、トラックの荷台にクレーンを架装したトラッククレーンや、走行とクレーン操作を一つの運転席でおこなうラフタークレーン(ラフター)などが含まれます。

これらの車両は、クレーン装置など重量のある装備を持つため、貨物を積載していない空車の状態でも総重量や軸重が一般的制限値を超過することが少なくありません。
同様に、高所作業車や道路の散水車、冬場の消雪車なども、その特殊な構造から特殊車両として扱われる場合があります。

【種類5】新規格車(20トン超トラック)

新規格車とは、高速道路や重さ指定道路を通行する際に、一定の条件下で総重量の制限が緩和される車両のことです。車両そのものは特殊車両ではありませんが、積載する貨物の重量や寸法によっては、一般的制限値を超えて特殊車両として扱われることがあります。

例えば、一般道を通行する場合や、貨物を積んだ結果として高さや長さの制限を超過した場合です。

見た目は通常のトラックと変わらないため、通行許可の申請が必要であることを見落としやすい傾向にあります。そのため、運行前には必ず積載後の総重量や寸法を確認することが大切です。

特殊車両通行させるための手続き


特殊車両を公道で走行させる場合は、「特殊車両通行許可」または「特殊車両通行確認制度」に基づく手続きが必要です。
ここでは、「特殊車両通行許可」と「特殊車両通行確認制度」の概要と申請方法について解説します。

特殊車両通行許可とは?

特殊車両通行許可とは、道路法および車両制限令によって定められた、車両の大きさや重さに関する一般制限値を超える特殊車両が公道を走行するために必要な許可のことです。この許可がなければ、該当する特殊車両は公道を運行できません。
そのため、特殊車両が公道を走行するには、事前に「特殊車両通行許可証」を取得する必要があります。

特殊車両通行許可が必要な理由

特殊車両通行許可が必要なのは、道路や橋を守り、交通の安全を確保するためです。道路は「一般的制限値」という基準に合わせて作られており、それを超える大きさや重さの車両が走ると、舗装や橋が傷んだり、通行の妨げになったりするおそれがあります。
特に重い車両は、通行量が少なくても道路に与えるダメージが大きいといわれています。また、車体が大きいと交差点で曲がりきれなかったり、トンネルを通れなかったりする危険もあります。こうしたリスクを減らしながら、物流や建設などに必要な大型車両を通行させるために特殊車両通行許可制度があります。

特殊車両通行許可の登録申請方法

特殊車両通行許可を申請する際は、運行ルートを確認し、どの道路管理者が管轄しているかを特定することが重要です。国道と都道府県道、および政令指定都市が管理する市区町村道を含むルートであれば、いずれかの管理事務所に申請することで、関係機関が連携して一括審査をおこなってくれます。

しかし、政令指定都市以外の市区町村道が含まれる場合は、個別にその道路を管轄する管理事務所へ申請する必要があるため、注意が必要です。

特殊車両通行許可申請申請の際には、次の書類を提出する必要があります。

・特殊車両通行許可申請書
・車両に関する説明書(※新規格車の場合は不要)
・通行経路表
・経路図と申請車両数(※新規格車の場合は2部提出)
・自動車検査証の写し(※オンライン申請では不要)
・車両内訳書(※包括申請の場合のみ必要)

これらの書類に不備や不足があると、申請を受け付けてもらえない場合があります。事前に必要書類をしっかりと確認し、すべて揃えてから窓口に提出するようにしましょう。

特殊車両通行許可の申請場所

特殊車両通行許可の申請は、国道、都道府県道、市区町村道など、運行経路に含まれる道路の管理者に対しておこないます。

国道事務所ではインターネットでの申請が可能であり、国道や都道府県道、政令指定都市が管理する市区町村道など、連携して一括審査が可能です。

しかし、一括審査の対象外となる都道府県道や市区町村道に関しては、各道路管理事務所へ直接出向いて申請する必要があるため、ご自身で申請する際は事前に確認することが大切です。

特殊車両通行許可の申請手数料

特殊車両通行許可の申請には、国への手数料納付が必要です。
手数料の額は、申請する車両の台数と通行経路の数によって決まります。
基本的な計算方法は、申請車両1台につき、往復で1経路として200円です。

(例)3台の車両で2つの異なる経路を申請する場合
手数料:3台 × 2経路 × 200円 = 1,200円

この手数料は、申請する経路が複数の道路管理者の管轄にまたがる場合でも同額です。
手数料の支払いは、オンライン申請の場合は電子納付、窓口申請の場合は収入印紙でおこないます。

特殊車両通行許可の申請が通るまでの期間

特殊車両通行許可の審査期間は、申請内容によって異なります。
一般的には、新規や経路変更の申請ではおおむね3週間前後、更新申請では2週間程度が目安です。ただし、申請経路に未収録道路(データベースに登録されていない道路)が含まれている場合は、道路管理者ごとの個別審査が必要になり、数か月かかるケースもあります。

一方で、オンライン申請を利用し、通行経路がすべて収録道路である場合は、最短で3日ほどで許可が下りることもあります。
ただし、申請内容に不備がある場合や、審査が混み合っている時期はさらに時間を要するため、余裕をもって早めに申請手続きを進めることが大切です。

特殊車両通行確認制度とは?

特殊車両通行確認制度は、2022年4月から導入された新しい仕組みで、一定の大きさや重量を超える車両が安全に通行できる経路を、オンライン上で即時に確認できる制度です。
従来の「特殊車両通行許可制度」と比べて、申請から結果確認までの手続きが簡略化され、スピーディーにおこなえる点が特徴です。

システムに登録した車両であれば、出発地と目的地を入力するだけで、通行可能な経路を自動で検索できます。申請は24時間いつでもオンラインでおこなえ、結果もすぐに確認可能です。

ただし、この制度を利用するには、車両にETC2.0車載器を搭載していることが条件となります。

特殊車両通行確認制度の申請方法

特殊車両通行確認制度は、国土交通省の「特車ポータルサイト」を通じてオンラインで申請できます。初めて利用する場合はユーザーIDとパスワードを取得し、車両情報や走行経路を入力します。申請手数料を支払うと、審査後にオンラインで許可通知を受け取ることが可能です。オンライン申請は24時間いつでも手続きができ、進捗状況も確認できるため、迅速かつ便利に利用できます。
(参考:特車ポータルサイト)

特殊車両通行確認制度の申請ができる車両

特殊車両通行確認制度は、すべての特殊車両が対象になるわけではありません。申請できる車両にはいくつかの条件があり、事前に確認しておく必要があります。

まず、車両には業務支援用のETC2.0車載器を装着し、セットアップが完了していることが必須です。
その上で、以下の車両条件を満たす車両が対象になります。

車両諸元
車種 右記以外 セミトレーラー連結車 フルトレーラー連結車
及びダブルス
3.5m以下
重量 135.1t以下 143.6t以下 163.6t以下
高さ 4.3m以下
長さ 16m以下 20m以下 21m以下
最小回転半径 車両の最外側のわだちについて12m以下

(参考:特殊車両通行ハンドブック)

特殊車両通行確認制度の申請手数料

特殊車両通行確認制度では、車両登録と通行経路確認の2種類の手数料があります。

手数料の種類 手続き 金額
車両登録 登録・更新 5,000円
(5年間有効)
変更・廃止・取消し 不要
通行経路確認 双方向2経路検索 600円
都道府県検索 ・1~4県:400円/県
・5~14県:300円/県
・15県以上:200円/県
追加経路検索 100円/件
(経路延長10kmごと)

支払いはオンライン申請でシステム上から支払いができるため、迅速に手続きが完了します。

特殊車両の見極めポイント


車両が特殊車両に該当するかどうかを判断するには、いくつかのポイントを確認する必要があります。
まずは、自動車検査証で車両の「長さ」「幅」「高さ」および「車両総重量」を確認し、一般的制限値を超えていないかを見ます。
次に、貨物を積載した状態での寸法と重量を想定します。分割できない長尺物や重量物を運ぶ場合は注意が必要です。

また、クレーン車のように空車状態でも基準を超える車両や、見た目は普通のトラックでも積載物によっては特殊車両扱いとなる新規格車など、申請漏れが起こりやすいケースを把握しておくことが重要です。

特殊車両についてよくある質問


特殊車両通行許可制度は専門的な内容が多く、実務において様々な疑問が生じることがあります。ここでは、事業者の皆様から寄せられることの多い質問を解説します。

特殊車両通行許可はいつ必要?

特殊車両通行許可は、車両の寸法(幅、長さ、高さ)や重量(総重量、軸重など)が、道路法で定められた一般的制限値を一つでも超える場合に必要となります。

この許可は、特定の区間だけでなく、公道を通行するすべての経路に対して取得しなければなりません。

したがって、特殊車両に該当する車両を運行する計画が立った時点で、実際に道路を通行する前に申請し、許可証の交付を受ける必要があります。運行時には、許可証を車両に備え付けておくことが義務付けられています。

「特殊車両通行許可制度」と「特殊車両通行確認制度」は何が違う?

従来の「特殊車両通行許可制度」は、申請ごとに車両情報や出発地・目的地に応じて経路を作成し、道路管理者の審査を経て通行許可が下ります。
経路は柔軟に選べ、未収録道路や個別協議が必要な道路も通行可能ですが、許可取得まで数日から数か月かかることがあります。有効期間は最長4年まで認められる場合があります。

一方、令和4年4月に始まった「特殊車両通行確認制度」は、事前に車両登録をおこない、オンラインシステムを使って即座に通行可能な経路を確認できる制度です。
通行できる道路は限定され、個別協議が必要な道路は利用できませんが、申請後すぐに通行可能で、経路は自動選択されます。
手続きはオンラインで完結し、支払いもキャッシュレス対応、確認書は電子データで携行可能です。従来制度に比べ、迅速性と利便性が大きく向上しています。

積載物の長さに含まれるのはどこまで?

車両の長さに関する制限値を判断する際、車両本体だけでなく、積載物が車体の前後にはみ出した部分も全体の長さに含めて計算します。このため、車両の寸法が基準内であっても、積載物のはみ出しによって制限を超える場合があります。

例として、トラックの荷台から長い鋼材やパイプが突き出るケースが挙げられます。この場合、その積載物の先端までを全長として捉える必要があります。
積載物を含めた全長が一般的制限値を超えると特殊車両扱いとなり、通行許可が必要です。

一般トラックが特殊車両扱いとなる制限外許可制度とは?

一般的なトラックでも、既述の一般制限値を超過した状態で公道を運行する場合には許可が必要ですが、この場合の登録許可申請は道路管理事務所ではなく、出発地を管轄する警察署に対しておこないます。

これは「制限外積載許可」と呼ばれるもので、特殊車両通行許可とは異なる点に注意が必要です。特に荷台に積載する貨物の大きさによって高さ制限を超過するケースが多く見られます。公道における高さ制限は最大4.1mですが、制限外積載許可を得ることで最大4.3mまで高さ制限が緩和されます。

まとめ

特殊車両は、法令で定められた寸法や重量の制限を超える車両のことです。特殊車両を公道で走行するには、「特殊車両通行許可」か「特殊車両通行確認制度」での手続きが必要になります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、申請しやすい方法を選んで許可を得てから走行するようにしましょう。

  • 特殊車両とは、車両制限令で定められている車両の全長・全幅・全高・車両総重量といった一般制限値を1項目でも超える車両のこと
  • 特殊車両には「トレーラー系の特殊車両」や「建設・重機運搬用車両」、「特殊機能付き車両」、「新規格車」などが該当する
  • 特殊車両は、公道を走行するために「特殊車両通行許可」の取得か、「特殊車両通行確認制度」の申請が必要
  • 特殊車両通行許可は、国道と都道府県道、政令指定都市が管理する市区町村道を含むルートであれば、いずれかの管理事務所に申請することで、一括審査をおこなってくれる
  • 特殊車両通行確認制度は、2024年4月できた新しい制度で、オンライン申請をすることで、即日通行証が発行される

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