土日祝 営業 [営業時間 9:00-21:00]

0120-918-101

【企業訪問】地元出身の小川雅博氏が社長に就任 任せるべきは任せて働き易い環境づくりを

ITV2020年12月号表紙

月刊ITV 2020年12月号

発行:令和2年12月1日
発行所:(株)日新(HP)
執筆:大島春行・大西徳・伊藤慎介・井上元・岡雅夫・佐原輝夫・鈴木純子・中田信哉・西襄二・宮代陽之・谷田裕子
表紙・レイアウト:望月満
記事&編集:横路美亀雄・於久田幸雄

地元出身の小川雅博氏が社長に就任

■北村製作所(新潟)

任せるべきは任せて働き易い環境づくりを

筆者が新潟の北村製作所を最初に訪ねたのは昭和50年(1975)頃だと記憶している。市内のほぼ中心部にバスや小型バンの車体を製作する工場があって、創業者の北村さん(北村泰作現会長のご尊父)にご案内頂いたが活気が漲っていた。
同社の創業は1936年に遡るが、設立は1945年5月、終戦の年なので今年は75周年になる。マイカーの普及で一定の役割を終えたバス事業からの撤退、代わって物流に貢献するバンボデーや荷役装置の開発、携帯電話など通信の発展に伴って全国に網羅された基地局の製造と据付けなど、時代の要請に応えて新事業の采配を振って来られたのは現在の北村泰作会長である。昨年11月、社員の中から小川雅博氏が同社の代表取締役社長に就任された。「社員は誰でも努力すれば社長になれる可能性がある。」俗にいう同族会社からの脱皮であるが、これは“言うは易く行うは難し”で困難が伴う。この困難を成し遂げることが出来るのも同社に築かれた企業文化なのかも知れない。

北村製作所小川社長

初めて社員の中から社長に就任した小川雅博氏

社内のあらゆる分野を経験

■横 路 ご出身は地元、新潟ですか。
□小 川 そうです。高校も地元で大学も新潟大学の工学部です。兄がいるのですが東京の会社に勤めていましたので、私が家を継ぐつもりで地元の会社を探していました。
■横 路 それで北村製作所を?
□小 川 はい。北村製作所に入社した大学の先輩がいて大学の事務担当の方から紹介されたのがきっかけで、昭和53年の入社です。
■横 路 新潟大学の工学部ということは小さい時分から物づくりを目指しておられたのですか。
□小 川 そういう訳でもないです。当社についても新潟交通のバスを製作している事は親から聞いていたのですが、詳しい内容は知らなかったです。
■横 路 昭和53年のご入社ですと御社もまだバスが大きなお仕事だったと思います。その後も各種の車体や産業機械、通信事業などが発展しますが、主にどんな分野をご担当に?
□小 川 同期が5人居たのですが、私は皆さんと一緒にモノづくりをしたいと思って製造を志願しました。それで最初がコストダウンを図るチームでした。その後、クレーム処理で海外にも行きましたし、トラック部門の製造や産業機械の設計も担当しました。
■横 路 産業機械は始まったばかりですか。
□小 川 私が所属した当時はまだ組織としては小さくて、開発・設計したものを現場で製造して、更に検査して、クレーム処理も全て自分たちで熟していました(笑)。
■横 路 モノづくりはクレームが付きものですね。
□小 川 確かにクレーム処理はつらい仕事で、私も4日間泊まり込みで対応したことがあります。結果的には逆に励まされて、次の注文も頂く嬉しい出来事もありました。
■横 路 サービスは第2の営業と言われますが、誠意は必ず通じますね。
□小 川 実は産業機械を担当していた時に、どうしても納期が間に合わなくなって誤りに行ったのですが、実情を丁寧にお話したら「納期は延ばすから頑張れ」と言われて、その時の感謝の気持ちがバネになって無事に成し遂げることが出来ました。
■横 路 それはちょっとしたロマンですね。
□小 川 その方は定年で既に退職しておられますが、個人的には今でもお付き合いさせて頂いています。人の繋がりが出来るのもこういう仕事の喜びです。
■横 路 産業機械の後は?
□小 川 40歳くらいでバン部門に移って製造ラインを担当しました。その後も色々です(笑)。
■横 路 会社のトップに立つには全体を把握する必要がありますからね。
□小 川 当社には優秀な人が沢山居ます。例えば設計の中にも「彼がいないと設計部が困る」と上司が手放さないような人材です。私の場合は秀でたものがないから、次々色々な部門を担当することになった訳です(笑)。
■横 路 それは謙遜です。クレーム処理や納期のお話にしても誠意がお客様に通じるからロマンが生まれる訳で、スペシャリストを超える人徳が生まれながらにして備わっているのだと思います。
□小 川 それほど大したものではありません(笑)。もともと設計や製造は好きですが、対人的な仕事は努力はしますが苦手意識が強いことは自分でも分かっています。ですから私の場合は皆さんが頑張ることを後ろに居て応援する形がいいかな、と思っています。

車高を変えることができるリンボーバン

車高を変えることができるリンボーバン

お客様の声に耳を傾けて

■横 路 企業に限らず組織のトップに立つ人は米国のトランプさんのような人も居るし、その前のオバマさんのような方もいます。私も良し悪しは分かりませんが、長い目でみるとその時代に必要とされる人が選ばれるという事ではないかと思います。
北村製作所さんは終戦の年の創業ですから75年の歴史があります。これからどのような歴史を積み重ねていかれるのか、その点はどのようにお考えですか。
□小 川 当社は産業機械は少し異なりますが、主に箱物を中心にした受注生産の会社です。その路線が大きく変わることはないと思います。今回、新型コロナウイルスの影響を受けて痛感しましたのは、当社の物流や通信に関係する製品が社会に非常に大きく貢献しているという点でした。
例えばインターネットで買い物は出来ても最終的には物がお客様のところに届かなければ完結しない訳ですから、その一翼を担う当社の仕事も社会的使命が大きいという事です。
■横 路 確かに、物流も通信も社会インフラとして重要な役割を担っていますね。
□小 川 最近は環境問題であったり、AIゃIoTであったりと新しいテーマも見えてきています。それに対応した商品を独自開発して量産するやり方は、当社の体質に合わないのではないか。先ずはお客様の声に耳を傾けて、その中から当社が出来ることを手掛けていくというやり方がベターだと思う訳です。
■横 路 あくまでも受注生産が基本ですね。
□小 川 実は以前に電気自動車とか航空機関連の話もあって検討したのですが、やはり当社の体質に合わないのではないかという事になりました。物流に関係するバン型車もニーズは多種多様ですし、今後の通信も何らかの形で貢献できると思いますので、先ずは従来路線を深堀りすることに努めたいと思います。
■横 路 本誌は昨年5月の改元に合わせて誌名をトラック専門誌から現在のITVに変更しました。お陰様で内外の先端情報は得やすくなったのですが、それが経営に反映するまでには至っていません。出版社ですから情報の先取りは大切なのですが、その価値が認められるのは、時代の到来を待つしかないと感じています。
□小 川 今後、新しい技術が開発されて日本も世界も大きく変わることは間違いないと思います。ただ、チャレンジすることは大切だと思うのですが、先の見えない無謀な冒険はダメだと思います。
■横 路 取り返しのつかない事に手を出すと社運が左右されかねません。
□小 川 会社は社員の家族も含めて多くの人の生活がかかっていますから、先ずは継続しなくてはなりません。
■横 路 その通りですね。現実離れは危険です。
□小 川 ただ時代のニーズには応えていかなくてはなりません。先般も新潟県にバンや局舎の技術を生かした新型コロナウイルスを対象にした『診察ボックス』をご提案して採用頂きました。
■横 路 なるほど。それは現在の技術を応用して出来ることですから無謀な冒険ではないですね。
□小 川 はい、『診察ボックス』は報道発表もしましたが、使っていただき少しでも社会の役に立てば嬉しく思います。このように当社の技術で対応できるものは沢山あると思います。創業当時のバスを撤退する時には大変勇気が必要でしたが、場合によってはそういうケースも出てくるかも知れません。時代の変化は常に正しく把握する必要があると思っています。
オートレベルリフトとるベンチレーションバン

(左)自動水平装置を備えたオートレベルリフト
(右)荷室内の空気を循環できるベンチレーションバン

衛星搭載型中継車

災害・イベント時等の中継作業の効率化を追求した衛星搭載型中継車

■横 路 なるほど、それが従来路線という事だと思いますが、企業は歴史の力もありますが、リーダーに求められるものも大きいと思います。先ほどクレーム処理のお話で誠心誠意対応したら納期の延長や再発注も頂いたという事でしたが、それは小川社長様のお人柄によるところも大きいように思います。これからの御社に期待されているところではないかと思います。
□小 川 その任に就いた以上全力で取り組みます。
■横 路 トップは木も森も見なくてはならないので、その点も精通しておられるのではないかと…。
□小 川 実は入社間もなくの頃に、トラックメーカーさんの指導もあって、コストダウンに取り組んだのですが、その時に誰がどんな仕事をしているのか知る必要がありましたので、約300人全員の名前を覚えました。やはり全体を見ることも大切ですが、社員ひとり一人と向き合うことも大切です。その意味では社員を代表する存在でありたいと思っています。
■横 路 日本のエコノミストが「組織は頑張れば誰もがトップになれる可能性が必要」と述べていました。今回は菅義偉さんが総理大臣になりましたが、企業も最初からトップが決まっているのでは社員も頑張る気持ちが薄れてしまいます。日本もそういう会社が少なくないのですが、御社の場合は小川様が社員の中から選ばれた最初の社長ですので、皆さんが注目していると思います。
□小 川 私に社長の話を頂いた時に、「本当に自分でいいのか?」と思いました。今でも社長の役割を問い続けていますが、平易に言えば、何かの時には先頭に立って牽引する覚悟は必要だけれども、皆さんが働きやすい職場環境を作って、モチベーションを上げて頂く。それをバックアップする存在かなーと思っているんです。
■横 路 私は超零細ながら会社の経営も事業も責任がある訳ですが、「長」とつく仕事を任された以上は、「全ての責任を自分が負う」といった覚悟があれば良いのではないかと思っています。
□小 川 実は、社長就任の時に、当社の創業者の言葉を幾つかご教示頂いたのですが、「全てを自分でやるのではなくて任せるところは任せなさい。」と言われました。その前提には「全ての責任は自分がとる」という覚悟があるのだと思いますが、先々代も現会長も、そうやって会社を経営して来られたのだと思うと感慨深いものがあります。
診察ボックスの外観と内部

(左)診察ボックスの外観。検査者入口
(右)検察ボックス内部。被検者室内

中村天風に学ぶ

■横 路 最期に趣味やスポーツの事もお伺いしたいのですが、これまで心に残っている出来事ありますか。
□小 川 小三の頃だったと思いますが、屋外授業で虫取りのため学校に持って行った棒のついた網を教室で投げて遊んでいて誤ってガラスを割ってしまったんです。担任の先生に言われて校長先生のところに謝りに行ったのですが「怪我しなかったか」と気遣って下さいました。子供心にも大目玉を食らうことを覚悟していたので、その校長先生のひと言は今でも忘れられなくて、人を想う気持ちの大切さを学びました。
■横 路 とても良い先生ですね。私も子供時分は弱虫だったので、多くの方に支えられて今があると思っています。スポーツは何かやっておられたのですか。
□小 川 小五から野球をやっていました。高校では丸坊主にされるのが嫌で一時サッカー部に入ったのですが、同じグランドでやっている野球を見ていたら、気が変わって先輩に話したら、その日の内に丸坊主にされてしまいました(笑)。
■横 路 どんなポジションでした?
□小 川 外野とキャッチャーです。捕手をやっていても素質のある後輩が入部すると私が外野に回される…。強豪校という訳ではなかったので県大会ベスト16で私の最後の夏を終えました。
■横 路 でもご立派です。ご趣味は?

□小 川 特別なものはなくてゴルフ位でしょうか。例年だと年間30~40回ですが、今年はコロナの関係でその半分くらいです。
■横 路 今後の経営についてはどのようにお考えですか。
□小 川 先ずは社会に北村製作所の存在が認められていないと、お仕事が戴けませんので、お客様を大切にして認められ続けることが大切だと考えています。私は中村天風の『笑っているとき人間は最も強い』を座右の銘にしています。
■横 路 中村天風には松下幸之助さんなど日本を代表する実業家も影響を受けていますね。本日は貴重なお話を有難う御座いました。

道路の周りで起こっていることその9 Google本気の街づくり計画

2020年10月7日、Googleは本社が所在するSan Jose市ダウンタウンの再開発ガイドラインを市と共同提案という形で発表しました。Googleが3年越しの検討を重ねたもので、2019年9月の同社提案を受け、San Jose市関係部局のレビューを経てまとめられたものです。80Acreの土地(Downtown West地区)を対象に周辺地区との調和や調整を図りつつ、オフィスビル、住居、文化施設、オープンスペース、緑地・公園等を含む総合的な再開発提案となっています。 本シリーズでは2回に分けて、その特徴的なポイントと特に街路・道路に関する提案についてご紹介したいと思います。

トラック荷台の搬出入装置オートフロア 大手の路線運送事業者やコンビニ物流が1000台規模で採用

大阪から足を伸ばせは一時間余りの距離なのに和歌山のナカオ工業には暫くご無沙汰が続いていた。小春日和の中、車窓近くの山畑には黄色く色づいたミカンが収穫を待っていた。中尾正廣社長とお目にかかるのも10数年ぶりであるが、暖かく迎えて頂いた。先代からつづくオートフロアの歴史をお聞きして、“忍耐”も企業の力であることを教えられたように思った。朴訥の中に真の強さを秘めた経営者である。

話題のニュートラック新製品情報・新情報…2020年12月号

いすゞとボルボ・グループが戦略的提携契約を締結UDトラックスの事業取得で一部車型を共有、ほか。