1. 中古トラック販売のトラック流通センター
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  3. 【対談】坂本政彦 山梨県トラック協会 会長
  4. 【対談】坂本政彦 山梨県トラック協会 会長

    TheTRUCK2015年10月号18
    南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳、東に奥秩父山地など標高2000mを超す山々
    に囲まれる山梨県。県の面積は全国32位であるが、その8割を山岳地が占める。しかし、
    往来が比較的容易で、東京)、神奈川、長野、静岡との交流は古くから盛んである。また、
    埼玉県秩父地方との境は奥秩父山塊に隔てられているが、平成10年、国道140号雁坂
    トンネル開通によって、自動車やバスでの直接往来が可能となった。
    気候は、年間降水量が少なく日照時間が長い。台風の集中豪雨にもしばしば見まわれている。
    しかし、山麓地域では盆地部より気温が冷涼で、降水量も多いので、盆地周縁では冷涼な
    気候に向いた葡萄の栽培が盛んである。
    第一次産業は葡萄や桃、サクランボなどの果樹栽培の需要が高まり、葡萄からのワインの
    醸造も行われている。また、首都圏や中京圏から近い地理的条件を活かして観光農園として
    も観光客を集めている。また、ミネラルウォーターの生産量は53万㎘もあり、日本の総生産量
    の約40%を占めている。
    第二次産業は、四方を山地に囲まれ水質が良好であることから中央自動車道の全線開通以降
    長野県の諏訪地域とともに精密機械産業が発達している。そのほかには石英(水晶)の採掘地
    であったことから研磨宝飾を中心とした宝石加工産業が発達している。
    第三次産業では、海が隣接していないのにもかかわらず寿司屋が多く、甲府市の中心部で
    は100mあたり5〜6店舗が並ぶところもある。
    エネルギーは、富士川など高低差のある河川を利用した水力発電所が建てられているほか、
    日照時間の長さを利用した太陽光発電も建てられ、米倉山太陽光発電所ややまなしメガソー
    ラーなど10MWクラスの発電所が稼働している。山梨にある発電所は水力と太陽光が大半
    を占めており、火力発電所や原子力発電所は皆無である。
    今回は一般社団法人山梨県トラック協会(以下、山梨ト協)に坂本政彦会長(坂本建運社長)
    を訪ねた。
    トラック協会長インタビュー《山梨県》
    坂本政彦
    (株式会社坂本建運社長)
    緊急対応のため備蓄倉庫を県内に展開、
    将来は同業者で全国ネットに
    道路と車両の法令を根本的に見直して
    時代に適合する有効利用を
    TheTRUCK2015年10月号19
    一般社団法人山梨県トラック協会の坂本政彦会長
    秋林路 山梨は2027年にリニア中央新幹線が
    開通して東京まで約25分で行けるようになりま
    す。名古屋、大阪も短時間で結ばれますから、観
    光客の誘致、企業の進出、さらには都会から山梨
    への定住人口の増大が見込まれています。昔、物
    流の勉強会に参加したとき「物流の前に人流あり」
    とお話になった方があり、深い感銘を受けました
    が、これから山梨は劇的変化を遂げるのではない
    かと予想しています。
    坂 本 そうですね。甲府駅の南にリニアの新
    駅が予定されていますから、この辺りも大きく変
    わることになると思います。
    秋林路 山梨は富士山、南アルプスなど自然に
    恵まれて水も旨いし温泉も豊富、桃やぶどうなど
    果実、高原野菜の産地としても知られているの
    で、観光客も増えると思います。
    坂 本 地域が活性化しますと、物流を担う
    我々トラック運送事業者の役割も大きくなり
    ます。
    秋林路 物流では中央自動車道が県内を貫いて
    東西の大都市を結んでいるので、道路アクセスも
    良いですね。
    坂 本 はい、圏央道が開通した事によって、
    都心に乗り入れなくても東北方面に行けますの
    TheTRUCK2015年10月号20
    ジックなデザインの2014環境ポスター
    で、時間も短縮されます。ただ圏央道は通行料金
    が高いのが我々事業者には負担になります。
    秋林路 そうですね。高速道路の料金問題は
    よく耳にします。先日、全日本トラック協会は
    自民党のトラック輸送振興議員連盟に税制改正・
    予算に関する要望書を提出しましたが、その時
    に小幡鋹伸副会長(愛知県トラック協会会長)
    「高速道路の利用率が欧米32%に対して日本が
    16%と言われている。約半分だ。もし日本が欧
    米並みに高速道路を利用すれば年間の死亡事故
    は約600人減るので4000人から3400になるし、
    負傷者は80万人から20万人に減少すると言わ
    れている。また、燃料の使用量は450万㎘も減る。
    これは四国4県の年間使用量に匹敵する。従っ
    て、高速道路の利用率を上げれば環境問題も好
    転する。更に、全国には一車線の高速道路がま
    だ多く見られるが、追い越しが出来ないのでこ
    れは危険。日本の高速道路利用率が欧米に比べ
    て低いのは使用料金が高いためと思われる。我々
    トラック運送事業者は高速道路を使用しないと
    労働時間も守れないし、ドライバー不足も解消
    しない。事故が減れば保険料も引き下げられる
    等好循環が期待できる。高速道路料金について
    は担当の立場から重ねてお願いしたい。と説得
    力のある発言をされました。
    坂 本 その通りです。道路は経済活動や人々
    の生活と密接に関わっていますから、利用されな
    いとインフラの役割が果たせません。トラック事
    業者は高速道路の料金が経営にも関わってくるの
    で、高すぎると時間がかかっても一般道を使用す
    ることになります。すると益々ドライバーに負担
    がかかるので運転者不足に拍車をかける悪循環に
    陥ります。
    秋林路 昨年2月には山梨に“どか雪”が降っ
    て中央自動車道が約一週間も全面閉鎖になりまし
    た。あの時はトラックが荷を積んだまま立ち往生
    して、都内のコンビニに生鮮食料品が届かない騒
    ぎになりましたが、自然災害への対策も考える必
    TheTRUCK2015年10月号21
    要がありますね。
    坂 本 ご存知の通り、山梨は四方が山に囲ま
    れていますので“どか雪”や行楽シーズンの渋滞
    など、中央自動車道がマヒすると迂回する手段が
    ありません。関西や関東に出掛けたドライバーが
    その日には戻って来れないことだってあるんで
    す。そういう事も道路政策では考えて頂きたいと
    思います。
    秋林路 ここに来て、安全を目的にトラックド
    ライバー長時間労働抑制への検討が進められてい
    ますが、一般道を使えば時間がかかるし、高速を
    使えばお金がかかる。事業者は益々経営が難しく
    なりますね。
    坂 本 物流の根幹になっているトラックの通
    行料金を下げると高速を使えるようになるので、
    経済的にも安全・環境の面からも好循環に移行し
    ます。それが結果的にはトラック運送の社会的地
    位を上げることになるし、ドライバー不足対策に
    も結び付きます。
    秋林路 私は同じトラックでも自家用車と営業
    車(緑ナンバー)は、高速道路料金に格差をつけて
    も良いのではないかと思っています。もともと営
    業車は特定企業のために認可されるものではない
    ので公共性が高い訳です。災害時の緊急物資輸送
    体制を全国的に構築しているのも、その自覚があ
    るからです。それなら、日常の経済活動ではトラッ
    クに道路の優先使用や料金の優遇があって当然だ
    と思います。
    坂 本 それと、現在は重量物用の大型トレー
    ラは高速が利用できないのですが、この種のト
    レーラは道路への影響を軽減するために多軸化
    しています。当然1軸は10トン以下に設計され
    ています。つまり、重量品用のトレーラであっ
    ても道路への負担は分散しているので、一般の
    トラックと変わらない訳です。今度、2軸トラ
    クタの駆動軸が11.5トンに緩和されて、トレー
    ラの通行条件が良くなりましたが、多軸トレー
    ラについても通行の見直しをして頂きたいもの
    です。
    秋林路 そうですね、路面に対しては軸重およ
    び輪荷重が影響しますが、超大型車両について
    は、車両総重量が橋梁に与える影響を考えている
    のだと思います。近年になって建設した道路は耐
    荷重が大きく設計されていると聞きましたので、
    どの程度が限界なのか、道路の設計規準も含めて
    明確にするべきだと思います。いずれにしても道
    路は使いこなして初めて価値を生むものであっ
    て、傷むことを恐れて使わせないなら本末転倒で
    す。過積載など不当に使って壊すのは犯罪です
    が、使い込んで傷むのは寧ろ歓迎すべきことだと
    思います。
    坂 本 日本は単車トラックが多い国です
    が、車両を多軸化、トレーラ化すれば道路も傷
    まないし車両台数も減るので事故の確率も下が
    ります。物流も効率アップになるので良いこと
    ばかりです。
    秋林路 多額の税金を投入してつくる道路です
    から、有効利用したいものです。
    坂 本 ヨーロッパを視察しても、日本とは比
    べものにならない程大きな車両が高速道路を走っ
    ています。なぜ日本はダメなのか、もっと根本的
    に見直して頂きたいものです。
    秋林路 トラックの大きさや通行方法を規定す
    る道路運送車両法の保安基準は昭和26年です。
    また道路法は27年ですし、その中の車両制限令
    は37年に出来た法律です。当時、対象とした車
    両は総重量も8トンですから現在とは比較になり
    ません。
    坂 本 トラックも良くなりましたが、道路を
    つくる技術もレベルアップしていると思うので、
    耐荷重が大丈夫な車両は通して欲しいと思いま
    す。それと、安全では道路交通法が関係しますが、
    事故が起きた際にも“犯人捜し”が原因究明を阻
    害しているように思います。例えばカーブでセン
    TheTRUCK2015年10月号22
    子供たちを招いてのトラックの日イベン
    ユニークな山梨県ト協のキャラクター
    ターラインをオーバーしなければ通れないところ
    がありますが、これは違反になります。事故が起
    きた場合もドライバーは自分の身が大事ですから
    本当のことを喋りません。犯人捜しよりも事故原
    因を究明して、その根本を直さないと同じ事が繰
    り返されます。
    秋林路 道路のネットワークは随分良くなっ
    て来ましたが、使い方についてはもっと議論す
    る必要があると思います。事故が頻繁に発生す
    る場所は全国的にも明らかになっているし、道
    路脇にも「事故多発場所」の看板を見ることがあ
    ります。つまり、事故が発生し易い場所が統計
    上明らかになっているのであれば、その原因を
    究明して手を打たないと同じ事故が繰り返され
    ることになります。
    坂 本 道路も車両も昔とは大きく変わってい
    るし、情報技術の発達でトラックの運行方法も変
    わってくると思うので、今後のことも踏まえて根
    本的検討が必要です。
    秋林路 トラック輸送は“ライフライン”に位
    置づけていますよね。これは電気やガス、水道と
    同じです。大きな災害が発生するとトラック輸送
    の役割がはっきりと見えるのですが、普段はとか
    く悪者扱いで、事故が発生した場合でも原因が明
    らかになる前から、やり玉に挙げられるケースが
    あります。これは社会的地位とも関係があるので
    はないかと思いますが、山梨ト協としてはどんな
    事業を行っておられるのですか。
    坂 本 協会の活動は多岐にわたりますので
    ホームページをご覧頂きたいと思いますが、主
    なものでは交通労災事故防止等安全対策の強
    化、環境対策の充実・強化、地方貨物自動車運
    送適正化事業の推進、輸送秩序確立対策の推進、
    労働環境の整備と人材確保事業の推進、運輸事
    業振興助成交付金の適正運用、輸送サービスの
    改善、トラック会館有効利用の促進、各種委員
    会及び並びに部会活動の活性化、広報活動の推
    進、従業員福利厚生事業の推進、支部活動の活
    性化促進、運行管理者試験対策講座の開講、な
    どがあります。
    秋林路 地域に密着したイベントも開催してお
    られるようですね。
    坂 本 「トラックの日」のイベントでは、一般
    社団法人環境優良車普及機構(LEVO)の協力を得
    て環境優良車(CNG燃料トラック)などの普及啓
    発活動を行っています。また、環境保全対策とし
    て標語を一般公募し、寄せられた応募作品の中か
    ら最優秀賞に決めて、ポスターやポケットカレン
    TheTRUCK2015年10月号23
    安全と技術向上をめざしてフォークリフト競技大会
    ダー、各種広報媒体に使用して、環境・保全への
    呼び掛けに活用しています。
    秋林路 山梨トラックステーションは閉鎖にな
    ると聞きました。
    坂 本 そうです。テナントの食堂が昨年6月
    で撤退しましたので、業績が悪化しました。その
    ため、平成28年3月末をもって閉鎖することに
    なりました。
    秋林路 トラックは車体が大きいので、ドライ
    バーさんが休息したり食事したりする場合も困る
    のではないですか。
    坂 本 そうですね。トラックステーションが
    閉鎖になると休憩などする場が懸念されますが、
    高速道路のパーキングエリアや一般のドライブイ
    ンでトラックが駐車できるところがあります。そ
    れと、高速だと移動時間もそれほどかかりませ
    ん。問題は緊急時の対応です。
    秋林路 昨年はどか雪で山梨県が孤立する事態
    になりましたね。
    坂 本 はい、その経験をムダにしないために
    も、緊急時の必需品を備蓄する倉庫を設置する作
    業を進めていまして、今年度は7カ所つくる計画
    ですが、最終的には30カ所位になります。
    秋林路 どんな物を備蓄するのですか。
    坂 本 災害時に必要な飲食類や防寒用品など
    ですが、雪の中でエンジンが停まってしまうと死
    活問題ですから、インタンクを保有している事業
    者の所在地をハザードマップとして整備する計画
    ですが危険物ですので取扱いに課題が残っていま
    す。この備蓄倉庫は山梨からスタートしますが、
    他県にも協力願って全国ネットが構築出来れば良
    いと思っています。
    秋林路 それは素晴らしいアイディアです。ト
    ラック事業者さんは車両を保有し
    ているので、緊急の際には即刻物
    資を届けることが出来るし、燃料
    スタンドをお持ちの事業者も多い
    ので、支援して頂けることが事前
    に分かっていれば、携帯電話で要
    請することも出来ます。
    坂 本 実は以前、他県から大
    型トレーラで山梨に物資を運ん
    で来られた運転手さんが、車両を
    停める場所がなくて困っておられ
    ましたので、当社の駐車所を提供
    しました。運転手さんは車内で食
    事、寝起きし、感謝の言葉を置い
    TheTRUCK2015年10月号24
    寄付金の受納式燃料問題の決起大会
    て戻られました。緊急の場合、トラックは燃料
    を積んでいるし、OFFの時間帯は車庫に停車し
    ているので、一時的には荷台スペースを避難場
    所としても使えます。ですから、予め使用条件
    を決めてネットワークを組めば、事業者間だけ
    で無く、国民にも安心を提供できるのではない
    かと思います。
    秋林路 素晴らしいアイディアですし、トラッ
    ク事業者ならでは社会貢献です。この事業を推進
    する困難はどんなところですか。
    坂 本 備蓄する物資はそれほどでもないの
    ですが、倉庫の建設と管理にコストがかかりま
    す。それと、燃料を提供する場合は消防法で危
    険物取扱いの資格が必要ですが、資格が必要と
    なると全国へのネットワーク化が進みにくいと
    思います。
    秋林路 これはあくまでも緊急の場合ですか
    ら、取扱いの知識は必要ですが、資格はなくても
    良いのではないですかね。トラックが燃料切れす
    ると大きな障害物になってしまうし、暖房が効か
    なくなるとドライバーが凍結死する可能性もあり
    ます。緊急の場合は法律よりも人道的支援を優先
    するべきです。
    坂 本 当社も備蓄の対象になっていますの
    で、この事業を推進する中で問題点を洗い出して
    いきたいと考えています。
    秋林路 ところで、本誌はトラック産業界に立
    脚していますので、車両についても少し伺いたい
    のですが、坂本会長の坂本建運は建設業も兼ねて
    おられるので色々な車両を保有しておられると思
    います。
    坂 本 そうですね、建設機械も重量品トレー
    ラも沢山あります。
    秋林路 トラック産業界に対して何かご意見ご
    ざいますか。
    坂 本 欧米を視察すると実に多彩なトラック
    が走っていますが、日本はどのメーカーも画一的
    です。ドライバーがプライドを持てるようなデザ
    インにして欲しいし、運転席の位置も高すぎるよ
    うに思います。最近はメーカーが勝手にトラック
    を造って押しつける。我々の要望に耳を傾ける努
    力を怠っているように感じます。
    秋林路 ニーズがトラック産業界に届かないと
    いう声は殆どのユーザーから異口同音に聞かれま
    すが、メーカーの立場で代弁すると別の問題があ
    ります。
    TheTRUCK2015年10月号25
    県民の日に合わせて開催した輸送相談熱気のこもる防災訓練
    坂 本 具体的にはどういう事ですか。
    秋林路 経済が発展する時はシェアを確保した
    いので、トラックメーカーも全国に販売ネット
    ワークを構築してキメ細かくニーズを吸収してい
    ました。でも、今は大型トラックメーカー4社の
    内の2社が外国資本に呑み込まれる時代です。ト
    ラックの開発、製造、販売には多大なコストがか
    かりますが、このコストは最終的にユーザーが負
    担することになります。ユーザーのコスト負担力
    が低下すると、ニーズに応えるゆとりがなくな
    る。平たく言えば良いビジネスをさせて貰えない
    という事です。トラックの用途は業種によっても
    ボリュームによっても、異なりますから受注生産
    が望ましい訳ですが、それでは車両価格が高く
    なってしまいます。ですからトラックも乗用車と
    同じようにレディーメイド化してコストを抑制し
    ようとしているのです。トラックが画一的になる
    のはそういう背景があるからですが、これも運送
    業界が抱える運賃問題と無縁ではないのです。
    坂 本 ドライバー不足の時代ですから、我々
    も効率輸送を追求しなければなりません。幹線は
    トレーラで大量輸送し、都市近郊では高速道路と
    直結したターミナルで集配トラックに積み替えれ
    ば、大型車が都市部に乗り入れしなくて済みま
    す。海外では当たり前に行われている輸送が日本
    で出来ないのは可笑しいですよね。
    秋林路 最近、ユーザーから「メーカーの提案
    力が弱くなった」という声が聞かれますが、産
    業界もややシラケムードに陥っているのが現状
    です。
    坂 本 確かに今のトラックはどのメーカーも
    画一的で個性に欠けるし、我々のニーズが入り込
    む余地がない感じです。
    秋林路 開発意欲がないという事ではないと思
    います。開発商品に対するコスト負担能力が低下
    しているので魅力を感じないのです。これは夢を
    追い求める若者が、この運送業界に魅力を感じな
    いのとやや似ていると思います。
    坂 本 でもどういう時代であってもユーザー
    の声に耳を傾けないのは良くない。
    秋林路 その通りです。トラックの用途は様々
    ですから、それを画一的にすると不適合な部分
    が生じてきます。洋服のサイズとデザインと同
    じで、自分の体形と好みに合わないと不満が生
    じます。同じように物づくりのあり方がトラッ
    ク産業界への不満となって表面化しているのだ
    と思います。
    坂 本 確かに運賃が良くなって我々に購買力
    がつけば、オーダーメイドになると思いますが、
    全体的な問題もあります。例えば、道路が良く
    TheTRUCK2015年10月号26
    社会との共生を目的にろう学校での交流会
    なったのでクルマも傷まないし、長持ちするよう
    になりましたが、大型トラックは最高速度が時速
    90㎞に制限されていますから、エンジンはもっと
    小さくて良いのではないか。すると車両も軽くな
    ると思うし、燃料代も抑えられる。それから車体
    については、後部ドアをステンレスにしているト
    ラックがありますが、あれは鏡と同じですから、
    後続車に光が反射して危険です。そういう事は
    メーカーで自粛して貰いたいと思います。
    秋林路 経済が大きく発展する時代には“大量
    高速輸送”が市場ニーズでしたから、トラックの
    エンジンは高馬力化しました。それも時代のニー
    ズに応えたものですが、今はそれが逆になってい
    るという事ですね。
    坂 本 そうです。ただ一度に大量に運べば効
    率アップになるのは今も変わりません。昔、東
    名・名神が開通した頃にダブルストレーラを試運
    行しましたが、いつの間にか断ち切れになってい
    ます。高速道路はネットークが出来ているので、
    ダブルスは有効だと思います。
    秋林路 そうですね、ダブルストレーラは大手
    運送事業者が中心になって10年間試走しました
    が、一度も事故が起きていないし、大きなトラブ
    ルも発生していないですね。本誌も当時は誌名が
    『特装車とトレーラ』でしたので、機会があるごと
    に追跡取材をしていました。試運行は当時の運輸
    省がトラック業界の要望に応えて許可したもので
    すが、試運行で問題なければ、車両として公認さ
    れるものだと思っていたのですが、バブルが崩壊
    して大量輸送のニーズが後退したことや官の担当
    者も交代して、断ち切れになったと思います。
     ダブルスについては、トレーラメーカの資本
    力、発言力が弱いことも影響していると思いま
    す。来年10月に幕張メッセで開催する2016ト
    ラックショーでは、運送業界の子供達にトラック
    に親しんでもらう『こどもトラックショー』も行い
    ますが、トラック事業者とメーカーが新時代の輸
    送のあり方を語り合うシンポジウムも開催したい
    と考えています。やはりどんな時代になっても
    ユーザーとメーカーが本音で交流する場は必要だ
    と思っています。
    坂 本 トラックショーは私も観に行きました
    し、車体メーカーもトレーラメーカも新技術を展
    示していましたから参考になりました。
    秋林路 有り難う御座います。ただ私は、これ
    までのトラックショーと同じであってはいけない
    と思っています。トラック産業界がユーザーから
    遊離している時代だからこそ、交流を密にする内
    容にしたいし、荷主や国民に対してもトラック業
    界の実情が正しく伝わるショーにしたいと考えて
    います。
    坂 本 期待しているので頑張って下さい。
    秋林路 トラック輸送のあり方については、
    ユーザーとメーカーが本音で議論する必要があり
    ます。
    坂 本 尽きるところ運賃問題に戻る訳です
    が、これは個別交渉ですから、どうしても荷主の
    発言力が強くなってしまいます。
    秋林路 そこが一番の問題点です。トラック輸
    TheTRUCK2015年10月号27
    一般消費者を対象にしたセミナー
    送は色々な業態がありますから一派一絡げには行
    きませんが、運賃体系は一定の仕組みが必要だと
    思っています。基本は原価積み上げ方式ですが、
    その原価の中には車両費やドライバーの人件費も
    含まれますから、そのコストをどのように見積も
    るかによって結果は大きく異なります。トラック
    の運賃は物流費の一部ですが、最終的には物価に
    転嫁されます。メーカーは小売価格で市場競争し
    ていますから、物流コストを抑制することが市場
    競争力に直結します。従って、適正なトラック運
    賃を確保するためには、消費者のコンセンサスを
    得る必要があるわけですが、事業者の声はなかな
    か届きません。
    坂 本 でもドライバーが不足して物が市場に
    届かなくて困るのは消費者です。
    秋林路 その通りです。これは私案ですが、車
    両代や燃料費、高速使用料、人件費など運送経営
    に必要な適性原価を第3者機関に依頼して算出し
    ます。これで、物価に占めるトラック運賃の割合
    を割り出すことが出来ますから、これを制度化し
    ます。分かりやすく言うと、消費税を内税として
    決めてしまうようなものです。この方法だと、物
    価の変動とトラック運賃がリンクしますから、常
    に適性運賃を収受できます。
    坂 本 ずいぶん荒っぽい決め方ですが、運送
    経営に必要な適正原価を誰がどうやって決めるの
    ですか。
    秋林路 消費税は最終的には国会で決めます
    が、その前に税制調査会で論議します。同じよう
    な組織を国土交通省の外郭団体として結成すれ
    ば、荷主も消費者も納得するのではないかと思い
    ます。
    坂 本 それが実現すれば、運送経営は楽にな
    るし、若い人達が憧れる業界に発展させる事も出
    来ます。同じ輸送でも鉄道やバス、タクシーは事
    業者が異なっても運賃は固定化されているし、物
    価の変動に合わせて上げています。これまで、上
    がることはあっても下がることは無かったと思い
    ますね。
    秋林路 正しい数字は分かりませんが、物流二
    法施行以来、物価に占めるトラック運賃の比率は
    大きく低下していると思います。これが弱者への
    しわ寄せという事ですが、どんな時代になっても
    弱者にしわ寄せが来ないようにする為には、これ
    までの農業と同じように保護政策をとるしかあり
    ません。
    坂 本 運賃は本来、事業者個々の問題です
    が、その結果が今日のような状況になっています
    から、我々としては制度改革を国に要望する意外
    に方法がないように思います。
    秋林路 トラック事業者が高速道路を使いたい
    けど使えない、という背景には経営問題があると
    思います。物流二法で事業免許や運賃が自由化さ
    れて以来、事業者数は4万から6万3000社に膨
    れあがっていますから、競争が激しくなるのは当
    然で、これが運賃問題の根幹にあります。荷主に
    とっては手当たり次第安い業者を選べるので良い
    のかも知れませんが、トドのつまりは、ドライバー
    に世間並みの給料も払えない業者が多くなって、
    若い世代が魅力を感じない業界に陥っています。
    坂 本 この運賃問題は、過去に遡っても論議
    されているテーマですが、昔は当時の運輸省が認
    可運賃を決めていましたから、ダンピングにも歯
    TheTRUCK2015年10月号28
    坂本建運が保存している創業当時に使用したのと同型の日本最古のトラッ
    止めがかかっていましたが、今はそれが自由です
    から、どうしても立場の弱い事業者にしわ寄せが
    きます。
    秋林路 確かに運賃問題は今に始まったテー
    マではありませんが、ドライバー不足が深刻化
    している今なら荷主や国民のコンセンサスも得
    やすいのではないかと思います。ところで、坂
    本会長の坂本建運は随分古い歴史があるようで
    すね。
    坂 本 当社は1948年(昭和23年)に父の坂本
    政幸がトラック1台で坂本商会を創業したのが始
    まりですが、その前に祖父の坂本䔍平が荷馬車で
    運送していた坂本運送店の記録があります。祖父
    が坂本運送店を開始した時期は定かではないので
    すが、大正11年よりも前だという事ははっきり
    しています。
    秋林路 父上の政幸氏が運送事業を始めたの
    は、その坂本運送店を継承したものですか。
    坂 本 いえ、祖父は一旦坂本運送店を廃業し
    ています。父の政幸は坂本運送店の繁盛振りを見
    て育っていますから、運送事業を始める動機には
    なったと思います。父は昭和12年に東京で自動
    車の整備工場で働いた経歴がありますし、戦中も
    軍隊でトラックと関わっていましたので、終戦後
    の輸送はトラックになると予見していたのだと思
    います。それでトラックを一台購入して坂本商会
    を立ち上げますが、昭和27年には「坂本運送店」
    として再出発しています。当社はその当時と同じ
    トラックを復元、保存していますが、今では最古
    のトラックだと言われています。
    秋林路 戦後間もなくですから、創業者はご苦
    労されたと思います。建設の仕事が多くなるキッ
    カケは何だったのですか。
    坂 本 1958年(昭和33年)から砂利採取業を
    開始することになるのですが、当時小松製作所か
    らブルドーザーを購入したのがキッカケで、当社
    がコマツの車両置き場になったり、他の建設機材
    も導入することになります。その後、1968年に
    甲州貨物急送㈱と国際運輸㈱を買収して運送事業
    を拡大しますが、1971年には㈱坂本建運に社名
    を変更しています。
    秋林路 社長にご就任なさったのは?
    TheTRUCK2015年10月号29
    重量品輸送に活躍した坂本建運のトラクタ坂本会長が趣味とする多くの建設車両の模型
    本誌・秋林路(右)
    坂 本 1992年です。その後は450t吊りオー
    ルテレンクレーン(ドイツ・リープヘル製)を始め
    高性能機材を揃えて建設にも力をいれています。
    現在全体では年商40数億円です。
    秋林路 今後の経営をどのように考えておられ
    ますか。
    坂 本 当社はあくまでも県内に軸足を置いた
    事業を展開する考えですが、会社は地域に貢献す
    ることを忘れてはいけないと思っています。備蓄
    倉庫もそういう発想から開始したものです。それ
    とお客様とドライバーを大切にしたい。私は会社
    の経営をトラックに例えて、前輪はドライバー、
    後輪はお客様、ハンドルを握っているのが経営者
    だと考えています。ドライバーは大切にしなけれ
    ばいけません。
    秋林路 ご趣味は?
    坂 本 歴史が好きですので、昔は本を読んだ
    り映画もよく観に行きました。テストも歴史だけ
    は90点以上でした。(笑)それと、建設機械などの
    模型も沢山集めています。
    秋林路 最近の模型は実に良く出来ています
    ね。来年のトラックショーでは子供達を集めてこ
    どもトラックショーも企画していますので、ミニ
    カーの展示即売コーナーも設けたいと思っていま
    す。まだ課題山積のトラック運送業界ですが、ど
    うか何時までも健康で業界の発展にご尽力されま
    すことを念願しております。本日は有り難う御座
    いました。
    VVIPと主催者代表。
    VIP集合撮影。
    TheTRUCK2015年10月号30
    タイ
    国際トラックショー
    2015
    Thailand International
    TRUCK SHOW 2015
    タイ国際トラックショー2015
    岡 雅夫
    (本誌:レポーター)
    展示会場「IMPACT」外観
    会場入口看板
    TheTRUCK2015年10月号31
     さて、ここからは実際にタイ・バンコクで開催
    された初の「タイ国際トラックショー2015」の模
    様をお伝えする。先ず最近のバンコクの状況に
    ついて紹介するが、経済的には、物流・輸送に
    欠かせないインフラ整備は着実に進められてお
    り、特に道路に関してはタイのみならず近隣諸国
    とのルート整備がしっかり行われている。この件
    については今回のショー会場で行われた「AEC
    ロジスティックスサミット」でも採り上げられてお
    り、その成果が期待される。数年ぶりにバンコク
    を訪れて感じたことは、まだかなりの交通渋滞は
    発生しているが、僅かながらも改善されている事
    だ。外環状高速道路も建設が進んでおり、数年
    後には効果が現れるであろう。アセアン諸国の中
    で比較してもかなり車やバイクは多いが、基本的
    な交通マナーは悪くは無いので安全・安心が担
    保されている。
     アジアのデトロイトと言われるほど自動車生産
    拠点としての位置付けが高い国なので、自動車
    関連の輸送は全輸送量の中でも大変高い比率と
    なっている。従って日系企業の運送会社も多く、
    トラックは圧倒的に日本車が多い。
     前置きが長くなったが本題のショーについて紹
    介する。
     今回のショー会場はバンコクでも最大規模の展
    示会場である「インパクト」で、ロケーションとし
    てはバンコク市郊外で東京で言えば都心から幕
    張メッセ程の距離に立地する。
     会期は2015年9月17日㈭から19日㈯の
    3日間。出展企業は77社で目標としていた80
    社にあと一歩というレベルだったが、第1回とし
    ては十分健闘した結果と言える。主催は西尾レン
    トオール㈱とパラボックス㈱である。
     9月17日10時過ぎよりエントランスホール
    でオープニングセレモニーが行われた。5名の
    VVIPと40名のVIP、さらに報道関係者含め
    100名を超える参加者で華々しく行われた。11
    時からVVIP中心に会場視察が行われた。視察
    コースは日系メーカー中心に行われたが、屋外
    展示場では日野のパリダカールラリー車を菅原専
    属ドライバーが運転してアクロバチックで迫力あ
    るデモ走行を行った。
    オープニングセレモニー。前列がVVIP5名。
    オープニングセレモニー。日本式踊り演出。
    TheTRUCK2015年10月号32
    タイ国際トラックショー2015
    VVIPデモ走行視察。
    VVIP会場視察。
    TheTRUCK2015年10月号33
    オープニングセレモニー。くす玉割り。
    TheTRUCK2015年10月号34
     展示会場はインパクトの7・8ホール13,500
    ㎡を使用しているが、その中央部分に日野自動
    車が大きなスペースを確保している。シャシー
    メーカーの出展は日野、ふそう、いすゞ、そし
    てドイツのMAN、イタリアのIVECO、中国の
    SITRAKが出展している。トラックショーの一方
    の主役である架装メーカーは日通商事、ユニッ
    ク、アイチ、新明和工業、ジャパンボディ、フ
    ルハーフ、タダノが現地法人と協力して参加して
    いる。
     ピックアップコーナーではトヨタ、フォード、い
    すゞ、TATAが大型車規制でバンコク市内輸送
    では重宝な小型ピックアップトラックを出展した。
    日本の大型4社中UDトラックスは残念ながら出
    展していない。是非現地で生産している大型車ク
    エスターを会場で見たかったが次回に期待しよう。
     今回のショーテーマは「トラックを買う日、トラッ
    クを売る日」で、実際にふそうはスペックボードに
    価格を表示して、会場での価格は約5%ディス
    カウントしていた。そのため運送業者と見られる
    お客様が各社ブースで商談している姿も見られた
    ことから、この展示会の趣旨であるBtoBショー
    の性格通り目的は果たされていると思われた。ま
    た、「アセアン経済を物流面から支えるトラック輸
    送を進化させる」というもう一つの目的も
    「AECロジスティックスサミット」で達せ
    られると考えられる。なお、専門セミナー
    は6つのテーマで8回行われたが、フ
    ルハーフのセミナーは満席であった。
     9月18日にはタイの運輸省の高官
    であるPisak氏が来場し、日系メーカー
    (いすゞ、日野、ふそう、アイチ、ユ
    ニック)を視察された。特に高所作業車
    には高い関心を示されていた。
     今回の参加体験型企画は日野の5D
    シアターとピックアップ公道試乗会だ。
    5Dシアターは前後左右上下にシートが
    激しく動く上にエアが噴出してハイウエ
    イ、オフロード、サーキット、砂漠などを走り回
    る映像とマッチして臨場感を高める。ピックアッ
    プ試乗会は公道を走るので当然免許が必要で、
    筆者の取材に応じてい ただいたトヨタハイラッ
    クスのドライバーはプロレーサーであった。トヨタ
    の最新ピックアップで最初は大人しく走っていた
    が、空いた直線路で100㎞までの全力加速を行
    い、4WD総輪が激しくタイヤスモークをあげて
    脱兎のごとく加速した。一方全制動ではABSが
    効いて急停車時にステアリング操作が上手く出来
    ることをデモしてくれた。
     9月19日には現地大学のロジスティック学科
    の生徒500人が来場した。授業の一環ではあ
    るが熱心に展示物を研究していた。タイでもドラ
    イバー不足は深刻な問題で、一説では約4万
    人不足しているという。ドライバーという職業に
    対するイメージが良くない事が原因であり、欧米
    のプロフェッショナルドライバーのような高い位
    置付けにもっていくのは大変で、アジア圏共通
    の課題と言えそうだ。その意味からも若い人た
    ちにロジスティックの重要性や、よいドライバー
    の必要性、輸送業界の将来性を理解してもらう
    事は大変重要だ。11時半過ぎから会場内特設
    コーナーで、主催者パラボックス代表の於久田
    タイ国際トラックショー2015
    日野「ヴィクター」ターンテーブル上のトラクタヘッド。
    TheTRUCK2015年10月号35
    講師による講義が行われ、100名を超える学生
    が聴講した。内容を要約すると物流の5要素(輸
    送、荷役、梱包、保管、情報)の中で最もウエ
    トが高いのが輸送であり経済との密接な関係が
    ある。日本ではトラック輸送が9割を超える。
    日本のトラック産業の課題は①新しい物流システ
    ム、②環境にやさしいトラック輸送、③交通安
     日野自動車は唯一2階建てブースを設け、
    大型車としては異例のターンテーブルを設置し
    た。ここでは9月1日に発表されたアジア期待
    の新型「ヴィクター」がショープレミアされた。車
    両ネーミングは大型の「700」に対して中型同様
    全輸送、④労働災害防止で、そのために①人
    材育成、②中小企業経営改善、③安全運行機
    器導入、④国際交流拡大を進める。ドライバー
    不足は「貨物はある。トラックもある。でもドライ
    バーがいないので運べない。となり、国の経済
    もダウンする。これは回避しなくてはいけない。
    などの内容である。
    「500」だが、キャブは全幅2,490㎜と立派
    で、3軸車がメインラインナップされる。バン、
    ダンプ、トラクタの各バリエーションが展示され
    た。レンジャー500も展示された他、2日目か
    らはパリダカラリー車も展示された。
    それでは各社の出展内容について触れて行こう。
    ふそ「FJ」アジア戦略車。
    いすゞ「DECAダンプ」
    TheTRUCK2015年10月号36
    ふそうはインドで発売されているアジアカー3
    台(FI、FZ、FJ)とキャンター冷凍バンを展示し
    いすゞはタイナンバーワン販売実績を堂々と
    PRしている。出展台数も6台と多い。
    小型エルフ、そのスムーサー2ペダル車、
    フォワード、DECAなどである。
    た。こちらもタイでは新しいモデルである。
    タイ国際トラックショー2015
    IVECOトラクタヘッ
    日通商事。マジックウイング。棒で押し上げ、ひもで引き下ろす。
    TheTRUCK2015年10月号37
    中国のSITRAKはドイツMANの技術で作ら
    れている。そのMANは3軸1デフのトラクタ。
    日通商事は中型クラスのマジックウイングと大
    型コンテナウイングを展示した。中型は油も電気
    も使わない全て手動式で、軽量。廉価、信頼性
    を特徴とする。コンテナウイングは日本と韓国で
    IVECOは2デフトラクタ2台を出展した。
    既に75台の実績がある日通商事オリジナルの
    コンテナウイングで、今回タイでの導入を進める
    が、コンテナではなくスワップボディで考えてい
    るそうだ。
    フルハーフ。ボディカットモデル。
    ジャパンボディ。冷凍車。
    TheTRUCK2015年10月号38
     ジャパンボディ(JBM)は昨年10月に設立さ
    れた企業だが、タイで急成長が見込まれる冷凍
    車市場をターゲットに、新開発の中型完全一体物
     フルハーフは現地法人フルハーフ・マハジャッ
    クでの出展だが日本からも応援部隊を送り込んで
    ウイングボディ開発者(川島氏)によるセミナーも
    サイドパネルで耐久性を高めたボディで。シャシー
    と同じ15年の寿命を想定し、乗せ換えなしで台
    替え出来るメリットを持つ。
    行い力を入れていた。ウイングボディはまだ倉庫
    の軒先が低いタイでは普及がなかなか進まないそ
    うだ。
    タイ国際トラックショー2015
    新明和工業。天突きダンプホイスト。
    ユニック。右がキャブバッククレーン。左がクローラクレーン。
    TheTRUCK2015年10月号39
     新明和工業は日本でお馴染みの天突きダンプ
    シリンダとタイで評判の良い直立式マルチシリン
    ダタイプの2台を展示した。キャブバックの直立
    式は万が一のトラブル時にも修理が簡単な事がメ
     古河ユニックは今回3台のクレーンを展示し
    た。2台はキャブバッククレーンで3.03トン吊と
    5.05トン吊である。もう一台はユニークな2.9ト
    リットだ。なお、タイではダンプ架装メーカーは
    SAMITTR(SMM)社がシェア6割でトップシェ
    アとなっており、いすゞ、ふそうの展示車も同社
    架装であった。
    ン吊小型クローラクレーンでコンパクトに格納で
    きるカニ足スタイルだ。価格は代表例で4.5万
    ドルだそうだ。
    アイチコーポレーション。高所作業車。
    CTV。大型トラク3台積みレーラ。
    TheTRUCK2015年10月号40
     アイチコーポレーションは高所作業車1台を展
    示した。約4年前から需要が急速に伸びている高
    所作業車市場だが、同社はアジアでフィリピンを
     CTV社の大型トラック3台積みトレーラは新
    車輸送の効率化と、お客様にほぼ新車状態でト
    ラックを引き渡しできるようにとの趣旨で開発さ
    れたものである。現状ではシャシーはメーカーか
    ら出荷されて架装メーカーに陸送されてから架装
    し、完成して販売会社に再び陸送してお客様の
    手に渡る時は既に700㎞前後走ってしまう事が
    多い。タイヤもエンジンも新品ではなくなる。陸
    送のドライバーも多く必要となる。これを改善す
    ることはメーカー・ユーザー共にコスト、メリッ
    を享受できる。今回出展されたモデルはフラン
    スLOHR社で作られたサンプル車だが、台数が
    まとまればタイへ部品を運びアセンブリする計画
    である。出展した積載は約22トンだがバスなど
    完成車含め50.5トンまで積載可能だと言う。
     さて、初の開催となった「タイ国際トラック
    ショー2015」は、9月19日に3日間の会期を
    無事終了して東京トラックショーの海外進出が見
    皮切りにベトナム、カンボジア、マレーシアに販
    路を拡大させており、タイはこれからまだ伸びる
    市場環境だと言う事だ。
    事に果たされた。来場者数は6,231名(17日:
    2,166名、18日:1,733名、19日:2,332名)
    となり、初回としては大健闘したと言える。会場
    であるインパクトの出入口調査によれば再入場者
    数を含め11,000人を超えており、BtoBの展
    示会としては多い部類の来場者数だとの評価も
    得ている。
    タイ国際トラックショー2015
    会場内。高所作業車体験搭乗で俯瞰撮影。
    運輸省高官の視察。ふそう鈴木相談役と。
    VIPコーナー運輸省高官の視察。ユニックブースで。
    運輸省高官の視察。日野ヴィクターの車内で説明。
    TheTRUCK2015年10月号41
    タイ国際トラックショー2015
    ロジスティク学科の大学生。
    ピックアップコーナー。日野2階商談ルーム。
    ふそプレスカンファレンス。いすエルフ。スムーサー車。
    TheTRUCK2015年10月号42
    コマツ。建機だが出展。コマツ。建機だが出展。
    タミヤ模型。
    TheTRUCK2015年10月号43
    最終日ラーニングデー。家族連れの来場。来場者登録受付
    TheTRUCK2015年10月号44
     今回は初開催であり来年以降の計画は現時点
    では未定だが、これからのタイ経済活動の一つ
    の要である物流の主役であるトラックを一堂に集
    めたショーは是非継続させてもらいたいと念願す
    るとともに、少なくともインドネシアのように他の
    主催者が同時期に同形態のショーを行うような事
    態は避けてもらいたいと思う次第である。
     最後に実行委員長と事務局長のコメントを御紹
    介させていただき締めくりとする。
    芝本実行委員長
    (西尾レントオール㈱常務)
     西尾レントオールは、日本の展示会で各種機
    材のレンタルからブースの設営まで大きな実績を
    持っています。それらのノウハウを活かした海外
    での展示会主催展開は当社としても新たな事業
    のひとつになります。今回こうしてタイ国で展示
    会主催事業の第一回を成功させたことは大きな
    価値があると思ってます。
     ご出展者のブースを回りましたところ、次回も
    出展する、というありがたいお話を数多くいた
    だきました。これも、われわれ運営スタッフが
    一丸となって真剣に取り組んだ表れだと思って
    います。企画当初から、ご出展者に“ありがと
    う”と言ってもらえるような展示会を目指してき
    ました。その意味では、今回のTiT2015はそ
    れが少しでも実現できたのではと思います。
    於久田事務局長
    (パラボックス㈱社長)
     海外での展示会開催は私の10年来の夢でし
    た。今回それが実現できたことは展示会人生の
    中で最大の喜びです。また、トラック輸送に特
    化した新たな切り口のB2B展示会をタイ国で
    開催できたことは、今後のASEANトラック業
    界発展にも貢献できるものと期待しています。
     ご出展者から「出展してよかった」との高い評
    価をいただいた他、ご来場者からも「トラックを
    購入した」「ボディ架装の相談ができた」などの
    声も聴いています。現在、ご出展者へのアンケー
    ト調査を行っていますが、今回のテーマである
    “トラックを売る日、トラックを買う日”は実現で
    きたものと考えています。
     今後、TiTを継続開催することで、タイ国を
    中心とするトラック輸送の品質向上、業界の発
    展、さらにはASEAN経済の発展に貢献できる
    展示会に成長させていく計画です。また、運送
    事業の大切さを多くの人に知ってもらい、ドライ
    バー不足解消、交通事故の撲滅などTiTがこ
    れから果たさなければならない課題はいっぱいあ
    ると思っています。
     次回の開催に向け、今回全面的な協力をいた
    だいたLTFT、TCEB、BSIDなどの運輸団体
    やタイ政府機関との調整を現在行っており、本
    年中には次回開催の詳細を発表しようと思って
    ます。
    タイ国際トラックショー2015
    株式会社
    日本エレクトライク
    型式認定取得
    本 社:〒211ー0063神奈川県川崎市中原区小杉町3ー239ー2
    電話044ー739ー1001  FAX044ー722ー7460
    技術部:〒211ー0053神奈川県川崎市中原区上小田中6ー17ー2
    電話044ー777ー2244  FAX044ー777ー2231
    http://www.e-trike.co.jp
    車両 トライク
    生産国
    車輌型式 A型
    外寸 2,495(L)×1,295(W)×1,560(H)
    2,000㎜
    トレッ 1,160㎜
    最低地上高 140㎜
    車両重量 420㎏
    乗車定 1
    車両総重量 650㎏
    最大積載量 150㎏
    最小回転半径 2,900㎜
    最高速度 50㎞h(電子制御)
    ーター 5 k w × 2
    後輪独立制御 VC
    Drum 油圧前後独立
    1,008×4 PRLT
    バッテリー5kWh リチウムイオン
    一充電走行距離40㎞
    充電時間100V6h
    200V3h
    カテゴリー側車付軽二輪車
    免許普通4輪免許
    車両スペッ
    三輪電気自動車
    (エレクトライク)
    世界初の転倒しにくい新技術
    TheTRUCK2015年10月号52
    日野自動車がタイで新型トラック発表会を開催
    モジュール化新商品第一弾を
    インドネシアに続きタイにも導入
    タイ国ユーザーニーズに応える市場適格車を
    より短いリードタイムで提供
    海外トピックス◇タイ
     日野自動車㈱は、このたびタイ国において、
    中型トラック「HINO500シリーズ」の新モデ
    ル「VICTOR」の発表会を行った。発表会は
    2015年9月1日、バンコク郊外の総合コンベ
    ンション施設IMPACTを会場に開催された。今
    回発表された新型車は、モジュール化による市
    場適格車の第一弾として開発されたモデルで、
    今年1月のインドネシアに続く2ヶ国目の導入と
    なる。タイ市場への適格モデルとして、同国の
    顧客ニーズに応える仕様の車型ラインアップと
    なっている。
     タイでは、既に50年以上にわたり日野トラッ
    ク・バスが市場で利用されおり、年度内にも累
    計販売台数30万台を達成する見込みとなってい
    る。タイ国は日野にとって海外の主力市場となる。
     今回、中型トラックのうち主要車型のモデル
    チェンジによって、これまで以上に用途や積み荷
    に合った車両を提案できることになる。また、か
    ねてより推進しているトータルサポートの充実と
    併せて、ユーザーのアップタイム最大化とライフ
    VICTOR発表会に集まった大勢のトラック物流関係者
    標準装備される運行管理ツール「IQ-san(一休さん)」も含め新型車種の説明をするタイ日野販売の中村伸社長
    TheTRUCK2015年10月号53
    TheTRUCK2015年10月号54
    サイクルコストの最小化に、引き続き取り組んで
    いくとしている。
     商用車は、ユーザーがビジネスに使う資本財
    であり、積み荷や用途が多種多様であることか
    ら、車型の設定数が多くなる一方で1車型あたり
    の台数は少なく、いわゆる多品種少量生産とな
    るのが特長だ。また、車型が増えるに従い部品
    の種類も増える傾向にある。日野は、この商用
    車特有の課題に対応するため、モジュール化の
    考え方を採用して市場適格車の開発を進めてき
    た。基幹部品であるコア部品と、ユーザーの要
    望に応えてカスタマイズするための周辺部品に分
    け、コア部品は共通化を進めて日本で集中生産
    する一方、周辺部品を中心に現地調達を増やす
    ことにより、市場ごとに異なる多種多様な適格モ
    デルをユーザーの近くで作り分けることになって
    いる。その結果、タイ国をはじめ、各市場のユー
    ザーニーズを満たす多様なラインアップを、より
    短いリードタイムで届けることが可能になる。
     このモジュール化の考え方に基づく中型トラッ
    クは、インドネシア、タイに続き、今後数年間で
    各地域・市場ごとに適格化して、導入先を広げ
    海外トピックス◇タイ
    TheTRUCK2015年10月号55
    ていく計画である。
     また、この新しい考え方による車づくりを支え
    る生産体制についても、最適化の取組みを順調
    に進めており、その中で大中型車両生産のマザー
    工場として重要な役割を担う古河工場は、既に
    KD工場とアクスル工場の稼働を開始している。
    今後、キャブ工場と車両組立工場が順次稼働を
    開始し、2017年初頭には本格稼働する予定と
    なっている。
     IMPACTで行われた今回の発表会には、タイ
    国の運送事業者をはじめとするトラック物流関係
    者が数多く招待され、会場内では大型のディスプ
    レイによる印象に残るサインと、車両そのものを
    回転させるターンテーブルを使った演出で来場者
    を驚かせていた。また、ダカールラリー連覇のレ
    ンジャーレーストラックも記念展示され来場者の
    注目を集めていた。
     この9月17日からIMPACTで開催の「2015
    タイ国際トラックショー」でも新型「HINO500シ
    リーズ」がお披露目され、ダカールラリー優勝の
    菅原ドライバーによるレーストラックのデモンスト
    レーション走行も実施される予定になっている。
    ターンテーブルで車両全体が回転する演出も
    来場者の間を走行するHINO500VICTOR
    スポットを浴びて登場のHINO500VICTOR
    TheTRUCK2015年10月号56
    海外トピックス◇タイ
    ダカールラリー優勝の日野レンジャーの現車も特別展示された
    ユーザーニーズに応じた車型を短いリードタイムで提供できるのも大きな特長だ
    HINO500シリーズはモジュール化による市場適格車第一弾と
    して開発されたモデルだ
    タイに投入されたHINO500VICTORは顧客ニーズに応える
    車型ラインアップとなっている
    TheTRUCK2015年10月号57
    新開発冷凍車㈱日章冷凍
    TheTRUCK2015年10月号58
     日章冷凍は1973年に現会長の中尾岑生
    氏が有限会社日栄冷凍サービスを東京都江戸
    川区に設立したのが始まりで、翌年には車両
    用エアコンの架装や冷凍機の架装開始してい
    る。そして、1981年には社名を株式会社日章
    冷凍に変更、ママさん号など移動販売車の全
    国販売も開始している。車両用冷凍機を開発、
    販売を開始したのは1983年からで、1987年
    には神奈川県厚木市に出張所を開設、日本フ
    ルハーフ㈱の協力体制も構築し、同業他社の
    冷凍装置取り付け、サービスも実施してきた。
    軽自動車用冷凍機器の開発、販売は2000年
    からであるが、このほど開発の電気式冷凍車
    アイスイーグルは、その技術をグレードアッ
    プした新機種である。
     同社ではアイスイーグルの開発コンセプト
    として、今までのエンジン直結式から電動式に
    進化する意味を次のように説明している。
    ★省エネ
     休息時にはエンジンを停止してバッテリー
    で冷凍装置を駆動するなど、ドライバビリ
    軽自動車の電気式冷凍車
    アイスイーグルを開発
    エンジン停止後も
    バッテリー駆動で
    約二時間庫内温度を維持
     定温輸送は世界ブランド有するメーカーから国内の大企業も開発に鎬を削る
    激戦市場で、新たな市場参入が難しい分野となっているが、埼玉県川口市に
    本社を置く株式会社日章冷凍(鈴木一光社長)では、軽自動車の冷凍車を開発
    中と聞いて出掛けてみた。同社の新冷凍車はアイスイーグルと命名し、−
    10℃と−30℃をキープする二タイプで、−10℃タイプは今年のフードセーフ
    ティ−ジャパン(東京ビックサイト、9月30日〜)に出展した後、デモ、試乗、
    整備講習会などを経て来春から本格発売に踏み切る。アイスイーグルは自動
    車のエンジンを停止後も、走行中に充電したバッテリーで冷凍装置を駆動し、
    荷室温度約二時間キープできる電気式冷凍車である。
    TheTRUCK2015年10月号59
    現場主義を貫く鈴木一光社長
    軽の架装車両が道路まで溢れる日章冷凍の本社工場
    ティの向上とエンジン負荷の低減で、15%
    の燃費向上が期待できる。将来、アイドリン
    グストップが実施されれば、燃費は更に向上
    する。
     また、電源をセットするスタンバイ機能は、
    荷物を積んだままに出来るので、センターな
    どのストック用冷蔵庫も不要となるし、積み
    置きで予冷が出来ているので即配達に出発で
    きる。
    ★コスト削減
     年間2万㎞走行す
    ると仮定した場合、約
    4万円の燃費向上のほ
    か、休息時のアイドリ
    ング停止で4万円、
    最大で約8万円の燃
    料代が節約できる。定
    期メンテナンスは主に
    バッテリー交換(コス
    トの低い鉛タイプ)
    けで、冷媒漏れやコン
    プレッサー焼き付きのリスクも減少する。ま
    た、冷凍機と荷箱は載せ替えが可能なので、
    新車への載せ替えはシャシー代と載せ替え、
    車検費用だけで済む。発電機ブラケットも随
    時開発して市場に供給するので安心。
    ★安定した定温監理
     エンジンの回転に関係なく安定した温度監
    理ができるので、薬品や生花、果実などの輸
    送にも最適。
    ★さまざまな用途
     このアイスイーグルは日本では軽トラッ
    クの他に、750㎏積み車や1トン車にも対応
    可能で、2トン車では荷室を仕切り複数台取
    り付けることも可能。これから発展する海外
    のコールドチェーン市場にも期待できる。
     また環境面でも荷箱の屋根にソーラーパネ
    ルを取り付けることによって、エンジン停止
    時の電力補助が可能で、約3割程度作動時間
    を延ばすことができる。更に、荷箱を定置使
    用すれば風力、ソーラー発電、蓄電池、発電
    機などとセットで、独立した電源式冷凍庫と
    することもできるので、病院、災害備蓄、離島、
    新開発冷凍車㈱日章冷凍
    TheTRUCK2015年10月号60
    日章冷凍の技術集団の面々
    新開発の電気式冷凍車“アイスイーグル”
    農業などの用途開発が期待できる。
    アイスイーグルは新開発のインバーター
    駆動システムや専用コンプレッサーの採用
    で、庫内温度を安定して維持する高い運転機
    能が特色となっているが、これらの性能は同
    社が多くの冷凍装置と関わった経験の中から
    TheTRUCK2015年10月号61
    荷室前方の空間に効率よく搭載したコンデンサー
    開発されたもので、品質には絶対の自信を見
    せている。
     鈴木一光社長はアイスイーグルの開発な
    ど次のように述べている。 
    「当社はこれまで車載用冷凍装置を基軸とし
    て発展して来ました。今日では荷主の要求に
    応える温度管理装置は無くてはならないもの
    になっています。今後のエネルギーや環境問
    題を考えると、電気式自動車や電気式冷凍機
    は重要な役割を担うと考えています。このア
    イスイーグルはまず国内での普及を図り、そ
    の後海外へと展開する計画です。新技術の開
    発は社員が一丸となり、創意工夫を重ねて完
    成させたもので、必ず多くのユーザーから高
    い評価を得ると確信しています。
     今回の取材で、直結式冷凍車とアイスイー
    グルの性能比較をする実証試験の動画を見せ
    て頂いたが、確かにエンジンストップ後も庫
    内温度が二時間以上一定に保たれていたし、
    扉を開けた際の庫内温度もスピーディに回復
    していた。同社では−10℃タイプに続いて、
    −30℃タイプの発売も計画しているが、軽冷
    凍車市場に新風を吹き込むことになるかも知
    れない。
    (秋林路)
    TheTRUCK2015年10月号62
    いすゞ小型ダンプ3トン仕様 積載量表示あり。
    特装車の進化/変遷
    澤田征二
    中小型ダンプの場合
     最初に、架装メーカの完成車置場で車両の後面を
    調べてみた。 
     後面には、テールランプやライセンスプレート、
    反射板と言った車両法規に規定された装置の他、
    メーカ名やブランド名が表示される。荷台や装置を
    架装したトラックは車名の他に荷台や装置のメーカ名
    が有ったり、なかったりする。
     そのあたりに、このボディー架装ビジネスの面白
    いところがある。 
    ☆小型ダンプトラック
     小型のダンプトラックは、全く同じ仕様で大量に販
    売できるので、車両法規上「型式指定自動車」とし
    て届けられている。これは登録に際してメーカの検
    (完成検査表)を信用して車検場の検査ラインを通
    さずにライセンスプレートが交付されるシステム。 
    そこで、シャシメーカがトータルで品質保証をしてい
    るという事から架装メーカの名前がはずされたのだと
    いう。
     そういえば、乗用車に標準装備されているカース
    テレオやカーナビにも電気メーカ名は入っていない、
    トラックボディーは見た目は大きい部分だが架装され
    ているダンプボディーは「部品」扱いということになる
    ようだ。
     そこで、特装車と呼ばれているが、小型ダンプト
    ラックはこのまま自動車検査場/検査登録事務所で
    登録できる「標準車」と同じ扱い。
    *同じ「小型車」のクラスに積載量が2トンと3トン
    の2種類の積載量が存在するのか?
     小型車の規定は、まず寸法が 長さ:4700㎜ 
    幅:1700㎜ 高さ:2000㎜以下である事。
     能力として、乗用車:エンジン排気量<2000㏄
    トラック:積載量<3トン(ディーゼルエンジンは排気
    量に制限なし)としてスタートした。
     小型車の積載量規制は車両法が生まれて50年以
    上、2トンだったが、最近3トンに上げられた経緯
    がある。 
     戦後の日本の道路事情では小型のダンプトラック
    は使い勝手が良いので小さい土木・建設・工事関係
    の会社に大量に売れた。現在、小型ダンプを架装し
    ている2大メーカ、新明和と極東開発は
    当時共にオート三輪メーカのライバル同志
    であったマツダとダイハツからの依頼で架
    装を始め、この2社の販売競争で台数を
    伸ばして特装車メーカとしての地盤を固め
    たとも言われている。
     車両の基本構造的には積載量が2トンに
    抑えられていれば後輪はシングルタイヤで
    十分耐える。しかし、高度成長に入ると仕
    事量が増えるに伴って積載したい重量が増
    えるので、総重量が規定されてない法規
    を利用して積載量の大部分を支える後輪を
    ダブルタイヤにして過積載に耐えるように
    した。(後輪のタイヤ負荷率=50%)
     ただ、これから排ガス規制でEUなど
    TheTRUCK2015年10月号63
    日野小型ダンプ2トン仕様 積載量表示あり。共に架装メーカの表示は
    ない。
    日野中型ダンプ KYOKUTOのステッカがサブフレームに貼ってある。
    とのすり合わせを考えれば、このクラス
    の規定を積載量でなくGVW:車両総重
    量にして行かないとならないのだろう。そ
    の時の積載量は約3トン位(?)というとこ
    ろから先行的に用意しておこうという事だ
    ろうか?
     生産(架装)を1種類に統一した方が量
    産効果を見込めるのだろうが、車両寸法
    が押さえられている小型ダンプトラックボ
    ディーの法的諸元としては、荷台高さ位し
    かなく、強度に関係する板厚などは製品バ
    リエーションとして販売資料で別途展開し
    ているので、1000台/月位の台数(全
    社合計)では、大きな経済効果はあまりな
    い。それよりは特装車としてのユーザニー
    ズ対応を考えた方がビジネスとして安定するのかもし
    れない。
     多分、今は何よりも皆の頭の中に車の格として『2
    トン車』という名称があって、売る方も買う方も一気
    「これからは3トン車です」と言うセリフが腑に落ち
    ないということで暫く併走させるのだろう。しかし、
    これが次の「中型」に影響を及ぼすことになる。
    ☆中型ダンプトラック
    「中型」だから「小型」「大型」の間という事。 
     大型車については車両法で上限が決められている。
     長さ:12m両総重量(以下GVW)が20〜25ト
    ン。ここでは車両のバラエティーを考えて最大積載
    量の規定はない。
     この「小」「大」の間を取る方法として、「中」は寸
    法が大型車と同じ、但しGVWを8トンに抑え、最
    大積載量の規定では小型車の基準を引きずって5ト
    ン以下とした。(小型の2トン/中型の5トンは良い
    バランスだ)
     しかし、この規定が発効してすぐにこのクラスに
    要求される物流・特装車両能力から、走行の為の
    エンジン出力/キャビンの居住性/長距離運転の能
    力などがグレードアップするという問題が明らかにな
    り、GVW8トンの枠の中で積載量5トン
    を取ることが無理と判る。TV、ラジオの
    コマーシャルで中型トラックを「4トン!4ト
    ン半!」と絶叫するのを聞いたことが有り、
    実際は『4トン車』と呼ばれるようになる。
     そして、大型車がGVW:20トンの枠
    だったことから大型トラックでは一般の平
    ボディーが取れる最大積載量10トンを冠
    として大型車のことが『10トン車』と称さ
    れることになる。
     ちょっと最大積載量/GVWについてし
    つこくコメントしているのは、現在国中で
    議論されている「憲法」等からすると「隅の
    隅」である車両法のトラックの最大積載量
    TheTRUCK2015年10月号64
    ふそう中型ダンプ ShinMaywaのステッカがテールゲートに貼ってあ
    る。共に最大積載量の表示はない。
    なんかは、誰も本気で理屈を考えようとしない。 
     そこで、トラックディーラのセールスマンが使いや
    すい「〇〇トン車」が一般名称になってしまい、これ
    が逆に生産/物流の常識を歪めてしまっていること
    を知ってほしいと思うから。
    中型ダンプトラックに話を戻す
     以前は、中型ダンプも最大積載量4トンの型式指
    定自動車として販売されていた。しかし、実情はダ
    ンプ業界ではボディーの板厚を薄くした「ペーパーボ
    ディー」と言われることもあって、ユーザは自ら仕事
    に合わせた補強をしていたという。
     元々、運搬がメインの車両ではないので大型車
    で行われているような差枠をするという様な大幅な
    過積ではなく、建材店などが資材や工具、時には
    建機等を積む為に、痛みそうなところを予め補強し
    ておくレベルの事なのだが、販売時点でメーカがそ
    の使用用途を知っていて手を抜いていたのは気にな
    る事だ。
     そして、小型車が最大積載量3トンの型式指定自
    動車(メーカの責任スペック)であるのに、寸法・馬
    力・快適性に勝る中型車が3トン強しか積載を取れ
    ないのは一般的に腑に落ちないという思いが残る。
    装備が充実、進化しているので重量も増えて、とて
    も最大積載量4トンを確保出来る可能性はない。
    「4トン車でなく、中型シャシを使ったダンプトラッ
    クです」とお客様に言うのが正しいセールストークと
    いうことだろうか?
     18〜20歳の高校新卒者がすぐに新しい規格の
    中型車(?)の運転が出来るように運転免許と車両規
    格の規定が変わりそうなのと、排ガス規制のランク
    分けにも変化が有りそうなので、それが確定的になっ
    てから新しい手を打つと言うのがメーカの体制なのだ
    ろう。
    テールゲートリフタの場合
     特装車(特別架装車)と呼ばれる機種で最も仕様
    の統一化/量産化が進んだのが、先に述べた「中小
    型ダンプ」である。
     荷台ではないがトラックボディー架装メーカが手掛
    ける製品の生産台数で、それらの上を行く追加架装
    機器が「テールゲートリフタ」(以下「ゲート」である。
     1964年、海外で製品化されていた「ゲート」を極
    東開発が新製品として開発。この「ゲート」に求めら
    れる機能は、車両後端で荷物の積み下ろしをサポー
    トする事。 
     ということは、この「ゲート」のところまでと、荷台
    上での移動は人力でできる荷物しかターゲットになら
    ない。まず、ターゲットは転がして移動する重いもの、
    ドラム缶とLPGガスボンベであった。 
     ダンプのようにシャシと一体化して造り上げるので
    はなく、輸送に使われている車両に取り付
    けるのだから、積むもの・能力・寸法と言っ
    た基本の諸元の他、取り付ける車両荷台
    格納方法と言ったアプリケーションまで含
    めて非常に多くのファクタを考慮して業務
    を進めていかなければならない。また、車
    両後端に100㎏以上の重量がかかるので
    車両の改造設計/申請書類の作成も必要
    となる。
     極東開発で、昔ドラフターと電卓で設計
    していた技術者は手間のかかる割に、他
    のダンプやタンクローリと較べて単価が安
    く、あまり面白くなかったといっている。
    見た目大きくないものに高い値段をつける
    のは難しい。
     しかし、その後高速道路が出来、景気
    TheTRUCK2015年10月号65
    が良くなって物流量が増えるにしたがって合理化/省
    力化が進み、一般雑貨向けにロールボックスパレッ
    が出始めると一気に台数が増え始める。
     面白い話だが、1975年頃になるとトラックにも
    エアコンの装備が始まる。この時に、運送会社の
    社長が運転手に「汗をかく仕事で、ご苦労さん。
    利益が出たので30万円位かけて車を快適にしよう
    と思う。エアコンとテールゲートリフタのどちらが良
    い?」答えは圧倒的にテールゲートリフタだった。暑
    いのは1年の半分以下、しんどいのは1年中。だ
    そうだ。
    (今、エアコンは標準装備に、「ゲート」の価格は
    (高級仕様なら)この3倍以上のものもある)
     ダンプトラックと違って、同一仕様の大量発注がな
    いではないが(大手配送企業向け等)、多くは数万社
    と言われる中小の運送業者からの一台ずつの注文な
    ので、大手架装メーカが営業から販売・アフターサー
    ビスまで全てを抱え込むことは効率が悪い。
     日本リフト㈱のように専業メーカとして非常に付加
    価値の高い製品に特化している企業もあるが、シェ
    ア的には新明和と極東開発の2社が大半を占める。
     このダンプメーカ2社に生産が集約された理由
    が、アフターサービスだという。
     ダンプトラックは使い方が荒くて、いろんな故障が
    発生するから、日本中に板金と
    油圧に堪能な指定サービス工場
    を展開している。同じく油圧と板
    金が中心の「ゲート」もやはり作
    業環境が変われば結構曲げたり
    壊したりする。物流企業は全国
    展開するようになったので、どこ
    でも修理が受けられるこの2社に
    人気が集まったのだという。
     販売ルートは基本がこの指定
    サービス工場経由で、メーカは
    注文を受けたら、その内容に合
    わせた装置・部品をキットで送
    り架装を依頼する。架装工事は
    大それた装置を必要としない組
    み付け作業が殆どだから、中小
    企業である地方の指定サービス
    工場には打ってつけの仕事。ま
    た、近くや懇意の運送会社とのつながりも強くなれ
    るので歓迎される。
     なお、新明和と極東の指定サービス工場は大半が
    オーバラップしている。そこで指定サービスはどちら
    のリフトも売ることが出来るので、両者の内で価格
    やサービスの良い方を客に勧める。両社合わせての
    シェアは大きくても、両社はそれなりに指定サービス
    工場の繋ぎ止めの努力は必要だという。
     2000年頃までは大手バンメーカ、フルハーフの
    「フルゲート」、パブコの「コンビリフト」など大型向
    けに良い設計のリフタを展開していたが、大型の大
    半が側方荷役のウィングボディーに変わって行ったの
    で大型バン向けの後方荷役の機器である「ゲート」
    台数が減少している。しかし、ボディーと一体化し
    た製品にはそれなりの魅力が有る。
     現在、配送業務用の中型バン向けで売れ筋の「折
    り畳み格納式」テールゲートリフタのカタログ写真を
    添付しておく。
     因みに、価格は100万円を超える。
     特装車でも集約→大量へ向かうのか、拡散へ色ん
    な対応を探るのか、しっかりとした戦略が必要となり
    そうだ。
    火災事故研究
    姉妹船「さんふらわあさっぽろ」とランプに向かう冷凍車(9月7日大洗港にて筆者撮影。以下同)
    TheTRUCK2015年10月号
    66
    大型フェリー
    「さんふらわあだいせつ」
    火災事故
    (第2報)
    この火災事故の渦中にある「さんふらわあだいせつ」(以下、本船)
    鎮火後、室蘭港埠頭に係留されて関係機関の調査が行われた後、
    9月4日現在、室蘭港内の函館ックに移動して修復作業に入っている。
    再就航時期は未定だが工期は向こう数ヶ月間が見込まれている。
    再就航は2016年に入ってのことになる。
    西襄二
    TheTRUCK2015年10月号
    67
    運輸安全委員会で
     調査中
     今回の火災事故については国土
    交通省運輸安全委員会が調査中で
    ある。
     運輸安全委員会のホームページで
    海難事故調査中事案を参照すると、
    2013年2月以降2015年8月迄
    の1年間に発生した重大事故中、
    報告書案ができて審議中が2件、そ
    の他は調査中か進捗状況が報告され
    ているとされるものが15件あること
    が分かる。この中に本稿で採り上げ
    ている事案も含まれている。一方、
    報告書が公表されている事案につい
    て見ると、大型のフェリーの火災事
    故の例では2年2か月を要している
    ものも見受けられる。こうした状況か
    ら判断すると、今回の商船三井フェ
    リー社の「さんふらわあだいせつ」
    火災事故について運輸安全委員会の
    調査がまとまり報告書として公表され
    るまで未だこの先2年程度を要する
    こともあり得ることが予測できる。参
    考までに事故調査の流れについて、
    運輸安全委員会のHPから引用して
    示しておく。
    海上輸送中の
     温度管理車は
     北海道を起点とする中長距離フェ
    リーによる貨物輸送を積載車両台数
    でみると上り便・下り便の合計で年間
    32万台前後で推移している(北海道
    運輸局HP「北海道の運輸動き」平成
    26年度下半期版の参照による最近
    3年間)。ざっと16万台の貨物車が
    船舶事故調査官
    事故調査等
    委員会(部会※)審議
    委員会(部会※)審議・議決
    海事専門部会
    審議・議決
    原因関係者からの意見聴取
    国土交通大臣へ報告書提出、公表
    報告書の作成
    地方事故調査官
    重大な船舶事故等の調査
    管轄地域での重大な船舶事故等以外の船舶
    事故等の調査、航空・鉄道の初動調査の支援
    ・乗組員・旅客・目撃者等の口述、気象・海象等の関係情報の入手
    ・事故関係物件の収集及び船舶損傷状況の調査
    ・試験研究(分解、調査、実績)、解析
    原因関係者の希望により、補佐する者
    の同席、公開での意見聴取が可能
    ※総合部会
    海事部会又は
    海事専門部会
    必要に応じて、意見聴
    取会開催(関係者、又
    は学識経験者)
    必要に応じて
    国土交通大臣又は原因関係者への勧告、関係行政機関への意見陳述
    国際海事機関(IWO)への報告
    調査の流れ(船舶)調査の流れ(船舶)
    事故等の発生
    委員会の調査対象となる船舶事故等は、⑴船舶の運用に関連した船舶又は船舶以外の
    施設の損傷、⑵船舶の構造、設備又は運用に関連した人の死傷、⑶重大インシデン(事
    故が発生するおそれがあると認められる事態)です。
    •主管調査官、調査官の指名
    •海上保安部等関係機関との調整等
    •関係国への通報
    事故等の通報
    事故等の調査の開始
    船長・船舶所有者等
    報告
    海上保安庁・管轄官庁
    警察署・市町村長
    通報
    運輸安全委員会
    火災事故研究
    船尾のランプから続々と上船する大型トラッ
    温度管理車と非温度管理車は船内で指示に従い停止位置を区分す
    る。温度管理車は舷側側が指定される
    舷側にあるランプから下船するトラクタと待機する上船連結車
    TheTRUCK2015年10月号
    68
    海上輸送ルートを利用していると見られる。車
    両としての登録地は北海道の他に本州側の各地
    ナンバーも含まれている筈だ。この内、生鮮貨
    物輸送に供される温度管理車は統計上では特種
    年式は違うが同型レーラ。この日はこのメーカーの機器が目立った(例2)埠頭で上船待機中の温度管理トレーラ。エンジン駆動中。トレーラの
    前面に搭載されている一体型温度管理機(例1)
    海上コンテナと同用シャーシを利用した温度管理トレーラ。温度管理
    機の一部はシャーシ側に搭載されている(例3)
    同じ方式の温度管理トレーラ(例4)
    車体下部に搭載されている分散配置方式の温度管理機(例5)同じ方式の温度管理機(例6)
    TheTRUCK2015年10月号
    69
    車に分類されるがこれには他の用途も含まれる
    ので、温度管理車の割合がその内のどれ程であ
    るかは分からない。本州側関東圏の発着地であ
    る大洗港での筆者の観察によれば、大型貨物車
    (単車及びトレーラの合計で)5割前後が温度
    管理車であるようだ。曜日や季節によって変動
    がある筈なので正確なところは継続的な調査に
    譲るとして、かなりの割合が温度管理車である
    ことは運賃負担力の見地からも想定できるとし
    ておこう。
     フェリーを利用する温度管理車の温度管理方
    式は事実上全て機械式に依存していると見てよ
    火災事故研究
    TheTRUCK2015年10月号70
    い。機器の形態は一体型と分散型に大別され、
    前者はコンプレッサの駆動用動力を専用エンジン
    搭載で賄い、スタンバイ用電動モーターも含めて
    一体化されている。トレーラの車体前面に搭載さ
    れるのが一般的である。後者は単車のシャーシを
    利用する場合に多く見られるが一部のトレーラに
    おいても応用されている機器を分散配置する方式
    である。コンプレッサは走行用エンジン駆動でエ
    ンジンに抱かせるかたちで搭載され、車体庫内に
    搭載されるエバポレータと車体下部シャシフレー
    ム側面に搭載されるコンデンシングユニット間を
    配管で結ぶ方式だ。トレーラ及び走行用エンジ
    ンを動力源としない単車にあってはスタンバイ用
    モーターと共に専用エンジンがコンデンシングユ
    ニット内に組み込まれる。
     今回のフェリー内で発生した火災はトラック搭
    載甲板であることは前回第1報の通りだが、船
    内では内燃エンジンは停止させ温度管理機はス
    タンバイモーターによる運転が各フェリー運行会
    社により定められている筈だ。今回もこれに沿っ
    た取扱いであったと推測されるが、真相につい
    ては進行中の調査結果を待つことになる。
     筆者が大洗港でトラックの積み込み作業を船外
    から観察した限りでは、自走の単車は通常は当
    該車両の運転者が運転して船内に乗り込むが、
    場合によってはフェリー側の車扱い運転者が運転
    することがある。トレーラについてはヘッドレスで
    駐車場に待機しており、フェリー側の埠頭構内ト
    ラクタによって船内に牽引される。
     甲板でのトレーラの積みつけはフェリー側係員
    の指示で所定場所に駐車し、駐車ブレーキを確
    実に作動させエンジンを停止させ車側の電源を
    完全にOFFにした後、フェリー側係員が所定の
    器具を用いて甲板アンカーに緊縛し航行中の動
    揺に備える。
     冷凍車にあってもエンジンは停止させ、スタン
    バイモーターの電源を船側から供給して航行中の
    温度管理機の運転を行うことになる。電力(交流
    220V)の供給は所定の電源ケーブルによるが、
    車側の温度管理機の仕様によって接続部の形状
    は必ずしも一定していないので、船側備え付け
    のケーブルの内で接続部が同一仕様の物を選択
    して接続するのが通常の作業で、これは船側作
    業員の役割による。
     繰り返すが、車輌の積みつけに当たって運転
    者が励行すべき作業と船側作業員が分担する作
    業があるが、今回の火災事故については全て調
    査中ということであり、筆者としては今後の調
    査結果の公表を待って詳細な分析を行う方向で
    ある。
    過去のフェリー搭載車両の
     火災事故例
     九州から関西地域へ就航していたフェリー船内
    で発生した車両火災事故について、かなり古い
    が公表されている事例がある。
     平成7年、広島地方海難審判庁が取り扱っ
    た沿海フェリー・スターダイヤモンド船内車両
    甲板で発生した火災事故(平成6年広審第31
    号カーフェリースターダイヤモンド火災事件)
    関する審判言渡文(http://www.maia.or.jp/
    pdf/06hs031.pdf)が閲覧出来る。
     この事例は、2トン級の活魚運搬車が、水槽
    内環境維持用に電力を供給していた発動発電機
    (AC-100V、以下、発々)を、船側に同じ仕
    様の電源が無いとして船側の了解のもとに航行
    中も発々を運転し続けたことによる火災発生事故
    であったとされる。当時、船側の規則にこうした
    発々運転を禁ずる規則が明文化されていなかっ
    たことが本文書を閲読すると読み取れる。こうし
    た痛い教訓を汲んでフェリー各社はその後の温
    度管理車等への電源供給と航行中のエンジン停
    止の厳格励行に務めている筈であるが、それで
    も火災が発生したという事実は重く受け止めなけ
    ればならない。 
    TheTRUCK2015年10月号71
     解放政策を実施以来、急成長した中国経済は
    ここに来てやや陰りが見えるものの、広大な国土
    に高速道路を整備し、本格的な物流はこれから
    展開する段階にある。また、それに伴って開発さ
    れるトラック、特装車、トレーラなどもこれから隆
    盛期を迎える段階にある。
     今年、11月12日から15日まで中国・武漢
    で開催される「中国国際商用車展覧会」は、本誌
    が開催するトラックショーとやや類似しており、国
    内外の代表企業が出展する。今回明らかになっ
    た出展企業は凡そ以下の通り。
    【車両メーカー】
    一汽解放、東風汽車、中国重汽、北汽福田、
    陜西汽車、江淮汽車、安凱汽車、長安汽車、
    スカニア、イベコ、広汽日野、上汽イベコ紅岩、
    江鈴汽車、その他中集車両、南京華晨,新宏
    昌、三環集団、航天三江、三東従林、広東粤
    海、武漢市政、森林河房車、スベカ、梟龍(軍
    車)厖大車両等のトラックメーカーが出展します。
     今回の出展車両はバラエティーに富み、大型ト
    ラック、バス、軽トラ、ダブルキャップ、商務車
    両、専用車、特殊車両ほか。
    【部品及びアクセサリー】
    JOST、康迪泰克、揚州海沃、BPW、ZF、
    広東富華、深圳凱卓立、上海申毅、引江蓬帆、
    佳通輪胎、アルコア、揚州京花、煙台未来、
    梁山水泊ほか。
     また今回は、中国商用車サミット、中国商用
    車発展国際セミナー、物流と運送車両サミットな
    ど、中国国際商用車展覧会開催と同時に様々な
    内容のセミナーも行う予定で、本誌が主催する『日
    新呉越会海外研修セミナー』も参加の予定。
     なお、前回2013年の武漢「中国国際商用車
    展覧会」には、国内外から500社余が出展し、
    出展面積は8万平米、出展車両350台、来場
    者数は25,793人となっている。また、報道関
    係会社は凡そ100社が集まった。
    告 知
    主要企業が揃う
    中国国際商用車展覧会
    本誌主催の
    『日新呉越会海外研修セミナー』も視察
    トラックユーザーNews
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    TheTRUCK2015年10月号72
     運転中の脳や心疾患などによる事故
    を減らすため、国土交通省は事業用
    自動車健康起因事故対策協議会を設
    置し、17日に初会合を開いた。事故
    を減らすのに最も効果的とみられるス
    クリーニング検査は、コスト負担やドラ
    イバーの個人情報など課題もあり、こ
    れらを整理して普及方策を探っていく。
     事業用自動車の健康起因事故件数
    は、2010年には100件だったの
    が、14年は220件に達しており、
    死亡に至ったのは39件。13年の
    数字でみると、事業用自動車の死亡
    事故(416件)に占める健康起因死
    亡事故の割合は8.4%、14年はこ
    の割合がさらに上がっており、見過ご
    すことはできない。
     トラックの死亡者数が最も多く、
    12年16件、13年21件、14年
    19件となっている。
     死亡事故を疾病別にみると、心
     東日本高速道路や首都高速道路な
    ど4社は、今月11日に国土交通省
    が発表した「首都圏の新たな高速道
    路料金に関する具体方針案」に基づ
    き、料金の具体案をまとめ、意見募
    集を開始した。首都高速道路は、2
    車種区分から5車種区分に移行する
    が、2020年度までは激変緩和措置
    をとる一方、均一料金制から対距離
    制移行に伴う負担増に対しては「当
    面、上限料金を設定する」として、
    時期は明示していない。
    特大車1.375倍
    激変緩和20年度まで
     対距離制への移行により、首都高
    速料金は24キロメートルを境にそれ
    以上は高くなる。このため激変緩和措
    置として、現行上限料金を維持する。
     今回の具体案では普通車のみ例示
    しており、それによると渋谷〜霞が
    (5.1キロ)は現行510円が320
    円、永福〜霞が関(11キロ)が610
    円から480円へ引き下げられ、西池
    袋〜空港西(24.6キロ)は930円と
    変わらず。一方、現行930円区間
    は対距離制だと美女木JTC〜京葉道
    (36.3キロ)は1310円、美女木
    JTC〜東関東(44.5キロ)は1600
    円、並木〜さいたま見沼(86.6キロ)
    は2900円となるが、当面1300円
    に設定するとした(他車種料金は、車
    種間比率に応じて設定)
     車種区分は、現行2車種から5車
    種に移行。これにより中型車は1.2
    倍、特大車は1.375倍に跳ね上が
    る。このため2020年度
    までは激変緩和措置をと
    り、中型車は1.1倍、特
    大車は1.05倍に抑える
    が、それ以降は段階的に
    整理案まで引き上げる(表
    参照)大型車は現行の0.85
    の水準に下がる。
     トラックの大口・多頻度割
    引は最大約30%を「当面、
    継続」。中央環状線の内側を
    通行しないETC車はさらに
    5%割り引く。湾岸線を利用
    するETC大型車に適用する
    環境ロードプライシング割引
    は継続する。
     今回の見直しで、料金水準は首都
    高速・中央道均一区間、埼玉外環が
    基本となり、圏央道や横浜横須賀道
    路は水準を引き下げ、第三京浜・京
    葉道路・千葉東金道路は引き上げら
    れる。引き上げの区間は、これも「当
    面、激変緩和措置」をとるとしてい
    る。このほか、今後ETC2.0搭載車
    を対象とした料金引き下げを圏央道
    や大口・多頻度割引に追加する。
     意見募集先は、日本高速道路保
    有・債務返済機構。募集期間は今月
    末まで。
    国土交通省
    昨年は220件
    コスト負担が課題に
    健康起
    因事故
    対策協議会設置
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号73
    建物外観
    京都城陽配送センター増設
    臓疾患(心筋梗塞、心不全など)
    46%を占め、次いで脳疾患(くも膜
    下出血、脳内出血)が26%。くも膜
    下出血は予兆がなく突然発症するた
    め、MRI健診を事前に受けることが
    必要とされる。
     ただ、健診には数万円かかること
    から、スクリーニング検査(第一段階
     三菱倉庫が愛知県海部分飛島村で
    建設を進めてきた飛島(とびしま)
    送センター増築部分が16日に竣工
    した。設計施工費は約28億円。
     同社は2008年から中部圏の中核
    物流拠点として飛島配送センターを
    運営しているが、同地区における物
    流ニーズの高まりを受け増築部分(鉄
    筋コンクリート造5階建て、約1万
    5000平方メートル)の建設に着手
    し、既存部分と合わせ約4万2000
     鴻池運輸は、基幹事業の1つで
    ある食品関連事業分野のさらなる取
    扱増を目指すため、京都府城陽市と
    群馬県邑楽郡の倉庫を増設するとと
    もに、岡山市南区に倉庫を新設し、
    物流ネットワークを強化する。投資額
    は3拠点合計で約40億円。
     9月7日に京都城陽配送センター
    (増設)が稼働し、岡山早島配送セ
    ンター(新設)が11月に稼働予定。
    また、群馬では、北関東流通センター
    (増設)の地鎮祭を9月24日に実
    施し、稼働は来年4月の予定。
    の検査)が有効となる。
     SAS(睡眠障害)のスクリーニング
    検査は約5000円かかるが、全日
    本トラック協会および47都道府県ト
    ラック協会が半額から全額程度の助
    成を行っている。しかし、それよりは
    るかに受診コストが高い脳疾患は、
    埼玉県トラック協会が今年度から助成
    平方メートルの施設として稼働を開始
    した。
     名古屋港のコンテナ物流拠
    点である飛島埠頭内の飛島IC
    から2分に位置し、配送セン
    ター拠点として最適な立地。
    太陽光発電装置(100kW)
    照度・人感センサー付きLED
    照明装置の設置により環境負
    荷に配慮。免震構造の採用や
    受変電設備の上層階設置など
     施設概要は次の通り。
     ▽京都城陽配送センター増設(常
    温倉庫):鉄骨造2階建て、増設
    部分の延べ床面積は倉庫約5200
    平方メートル、選瓶棟約700平方
    メートル(センターの総面積約
    3万1000平方メートル)、
    2面バースにより入出庫能力
    を向上、24時間365日稼
    働▽北関東流通センター増設
    (常温倉庫):鉄骨造2階建
    て、増設部分の延べ床面積
    約1万1000平方メートル(セ
    により大規模災害への対応力を高め
    ている。
     なお、同センター増築部分を中核
    とした事業計画は、6月26日付で
    物流総合効率化法に定める「総合効
    率化計画」の認定を受け優遇税制が
    適用される。
    ンターの総面積約4万3000平方
    メートル)、流通加工作業、景品セッ
    トアップ作業の対応可能、24時間
    365日稼働▽岡山早島配送センター
    新設(常温倉庫、一部冷蔵倉庫)
    鉄骨造2階建て、延べ床面積約1
    万1000平方メートル(冷蔵倉庫約
    200平方メートル)、岡山バイパス
    に面した好立地、BCP対応など。
    を開始、心疾患は6県のトラック協会
    が助成しているにすぎない。
    そうした状況下、国土交通省は来
    年度、スクリーニング検査による事
    故削減効果調査費などを予算要求し
    ており、協議会はこれらを踏まえつ
    つ、今後課題を整理して普及方策を
    検討していくとしている。
    4万2千㎡に増築
    三菱倉庫
    飛島配送センター
    食品倉庫を新・増設
    3拠点合計40億円を投資
    鴻池運輸
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    TheTRUCK2015年10月号74
    LT151R
     国土交通省自動車局整備課による
    と、2014年度中の大型車(車両総重
    量8トン以上のトラックまたは乗車定員
    30人以上のバスなど)のホイール・ボ
    ルト折損による車輪脱落事故の発生は
    45件(うち人身事故4件)で前年度比
    約2.4倍増、3年連続の増加となった。
     昨年11月から今年3月の冬期に
     三井倉庫ホールディングスは、関
    東地区で初となる新たなヘルスケア
    事業専用物流施設を埼玉県加須市に
    完成させ「関東P&Mセンター」とし
    て16日から稼働を開始した(写真)
     医薬品・医療機器の製造および
    卸販売など関連拠点との連携に有利
    な埼玉東部(関東中央部)にあり、
     横浜ゴムは、小型トラック・バス用
    トレッドタイヤとして耐摩耗性重視型
    リブタイヤ「LT151R(エルティー・
    イチゴーイチアール)と氷雪上性能重
    視型スタッドレスタイヤ「iceGUARD
    iG91(アイスガード・アイジーキュウ
    イチ)を10月に発売する。
     サイズは2サイズで、今後順次、
    拡大を図る。価格はオープンプライス。
    「LT151R」「iceGUARDiG91」
    30件と多発。特に1月は9件と集
    中しており、積雪地域の発生率が高
    くなっている。
     主な発生原因は、①ホイール・ナッ
    トの締め付け力不足、②一定走行後
    の増し締めの未実施、③日常点検整
    備での確認不足、④ホイール・ボル
    トなどの誤組(スチールホイールにア
    圏央道・白岡菖蒲インターから約4
    キロメートル。東西南北につながる
    広域幹線道路網を通じ、東日
    本のみならず全国各地への配送
    が可能。
     所在地は加須市芋茎1248
    ─12。延べ床面積5900坪、
    免震装置、自家発電装置、屋
    は、昨年の新商品発売以来好評だっ
    たため、トレッドタイヤへのラインアッ
    プを決定した。
     今回発売のリトレッドタイヤは、新品
    タイヤのオリジナルパターンと同様の
    レッドを採用。
    「LT151R」は「Lライトニンググ
    ルーブ」「高剛性4本リブ」「ステルス
    サイプ」などにより優れた耐摩耗性能
    に加え、操縦安定性やウェット性能を
    ルミホイール用のボルトを使用するな
    ど)と推定されている。
     このため国交省では当該事故防止
    に向け、大型車のユーザーを対象に
    した注意喚起や、タイヤ専業店団体
    と連携した周知・啓発活動、自動車
    点検整備推進運動での周知・啓発活
    動を行う。
    上太陽光発電、全館LED証明、
    全館ICカードによる入退館など高度
    高いレベルでバランスさせている。
    「iceGUARDiG91」は、「高密度サ
    イプ配置」「ピラミドサイプ」「千鳥配
    置ブロック」「4本ストレートグルーブ」
    がエッジ効果や排雪・排水性を向上
    し、氷雪上性
    能を十分に確
    保した。
     転がり抵抗を
    低減することで
    省燃費性能も
    高め、安全性
    とコスト削減に
    貢献する。
    東西の専用施設整う
    関東P&Mセンター竣工
    新ブランドも開始
    大型車で45件発生
    ホイール・ボルト折損事故
    国交省が注意喚起
    LT151Rなどに
    トレッド追加
    横浜ゴム
    三井倉庫HD
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号75
    与田理事長が羽尾物流審議官へ提出
    なセキュリティを確保。
     同社は兵庫県神戸市に西神戸事
    務所第1センター(12年11月竣
    工)第2センター(15年5月竣工)
    があり、今回東日本の拠点が完成し
    たことにより東西両拠点で医薬品・
    医療機器のセンター運営から配送ま
    で一貫した高度な物流サービスを提
    供していく。
     特に、自社雇用の管理薬剤師を
    配置し、製造業・卸売販売業などの
    事業許可を取得しているのが特徴。
     新施設稼働を機に、ヘルスケア専
    用施設の名称を「P&Mセンター」
    に統一、合わせて新ブランドロゴ
    「Pharma&MedicalInnovation」
    (商標登録出願中)の使用を開始す
    る。
     三菱地所リアルエステートサービス
    (本社=東京)は17、18の両日、
    マルチテナント型物流施設「神戸み
    なと倉庫」(写真)の内覧会を開催し
    た。
     神戸みなと倉庫は、2009年2月
    に竣工した乾汽船の賃貸物流施設。
    敷地3万2800平方メートル、延
    床面積7万6100平方メートルで、
    今回ビックカメラが使っていた1階
    部の9015平方メートルが拠点統合
    で空いたことから、テナント募集した
    もの。
     ポートアイランド、六甲アイランド
    の港湾へのアクセスが良いだけでは
    なく、阪神高速3号神戸線摩耶出
    入口まで800メートル、ハーバーハ
    イウェイ摩耶ランプまで700メート
    ルという立地で、関西圏全域へのア
    クセスに優れている。
     阪神電鉄本線西灘駅より徒歩8分
    に位置し、徒歩圏内には阪神大震災
    復興で開発された街「HAT神戸」
    あり、3万人が居住しており作業員
    確保も期待できる。
     募集区画は梁下有
    効高5.5メートル、
    床荷重は1平方㍍当
    たり1.5トン。事務
    所は319平方メートル。中央車路か
    ら直接出入りできる最大18台接車
    可能なトラックバースがあり、ドック
    レベラーも1スパン当たり1基設置
    している。
    利用者を募集
    三菱地所リアルエステート
    神戸みなと倉庫
     日本物流団体連合会(物流連)は、
    大規模建築物の荷捌き施設の計画設
    計方法について提言を行い、国土交
    通省の羽尾物流審議官へ提出した。
     3月の中間報告を引き継ぎ、荷捌
    き施設整備や荷捌きルール化のメリッ
    トや具体的方法、①高さ②スペース
    ③エレベーターの設計基準を示した。
     車両出入口の必要な高さは、原則
    4トン車が出入りできるよう3.2〜3.5
    メートルを確保。大型車の利用が少
    ないと想定される場合は2㌧車が出入
    りできる3.2メートルを基準とし、車
    路の勾配・回転半径や案内表示板、
    スプリンクラーの設置に配慮する。
     駐車・荷捌きスペースは、最小で
    幅3.0メートル×長さ7.7メートル×
    高さ3.2メートルとし、貨物車の必要
    数量・種類によって確保する。
     加えてドア・昇降機用スペース、
    台車通行、館内共同配送を行う場合
    は受付事務所を設け、搬入商品・物
    資に合わせ実態を調査する。
     貨物用または人貨兼用エレベー
    ターを設け、シンプルな動線を計画
    するとした。
     床面積1万平方メートル以上の大
    規模建築物が対象。大都市の高層ビ
    ルは、1日1000台程
    度の自動車が集中し、
    うち5〜7割が貨物車
    であるため、計画・設
    計段階から施主・設計者・物流事業
    者、あるいは地域住民や自治体警察
    なども参加する協議会を設立し、施
    工・運用段階まで含めルール化する
    ことが必要だと提言した。
    高さ原則3.2〜3.5メートル
    設計方法を提言
    物流連
    大規模建築物
    の荷捌き施設
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    TheTRUCK2015年10月号76
    〝止めない物流〟で
    新たな価値を提供
     セイノーホールディングスとインドネ
    シアのサリムグループは、物流事業
    で提携し、合弁会社2社を設立するこ
    とに合意、16日付で契約を締結した。
     セイノーHDとサリムグループの
    PTCSMCorporatamaは、貨物自
    動車運送事業・倉庫業を手がける物
    流合弁会社「PTSeinoIndomobil
    Logistics」と、ITなどのビジネス
     アスクルは、エコ配と資本業務提
    携を締結し、エコ配が第三者割当に
    より発行する普通株式8億2500万
    株を16億5000万円で取得。持株
    比率68.48%となり、連結子会社化
    する。
     9月28日開催予定のエコ配の定
    時株主総会で承認を得られることを
     ヤマト運輸は、9月15・16日に
    東京国際フォーラムで開催された第
    5回「通販食品展示商談会」の初日
    にセミナーを実施。同社法人営業部
    ECソリューション課長の滝澤志匡氏が
    『“止めない物流”でEC・通販に新
    たな価値を提供 進むヤマトグループ
    「バリュー・ネットワーキング」と題
    サポート業を行うビジネスサポート
    合弁会社「PTSeinoIndomobil
    LogisticsServices」を設立(10月
    30日予定)する。
     提携により、①品質の高いトラック
    輸送企業としての地位を確立し、日
    本と同水準の物流サービスネットワー
    クをインドネシアで確立。サリムグルー
    プの物流基盤とセイノーHDの物流
    前提に、第三者割当増資を行い、
    翌29日にアスクルの連結子会社とな
    る。なお、現時点でアスクルはエコ
    配の株式3.5%(第8位)を取得して
    いるが、取引関係はない。
     今回の業務提携により、アスクル
    はアスクルサービス(主力の国内法人
    向け)およびLOHACO(一般消費者
    して講演した。
     滝澤氏ははじめに、同社グループ
    が進める「バリュー・ネットワーキング」
    構想について説明。
     同構想のキーポイントとして①物流
    のボーダレス化(グローバル化)②e
    コマースの拡大・加速③労働力人口
    の減少(労働力のボトルネック)を挙
    ノウハウや技術を融合することで低価
    格のサービスを提供するとともに、同
    国の物流インフラストラクチャー確立
    にも貢献することを目標に設定した。
     物流合弁会社は資本金900万米
    ドル、出資比率はセイノーグループ
    30%、サリムグループ70%。ビジネ
    スサポート会社は資本金100万米ド
    ル、セイノーG49%、サリムG51%
    (議決権比率はセイノー51%、サリ
    ム49%)
     なお、セイノーグループは今年6
    月、タイのサハグループと提携し、
    既に合弁事業を開始している。
    向け通販)の一部をエコ配に委託す
    る。また、両社の配送ネットワークの
    集約・共同化を行う。
     エコ配は、2007年7月設立、資
    本金16億400万円。会長はタニタ
    創業者の谷田大輔氏、社長は元日本
    レップ(現グッドマンジャパン)の片地
    格人氏。
     今回の提携により、アスクルは環
    境に配慮した配送機能の強化、エコ
    配は荷物取扱個数増大により成長を
    目指すとしている。
    げ、これらに対応するためには3PL
    を超える物流改革が必要とした。
     eコマースの多様化するニーズに
    ついて、『注文した商品を今日受け取
    りたい』『日時指定をしたい』『コンビ
    ニやロッカーなど自宅以外で受け取り
    たい』など、利用者のニーズも事業者
    と同様、物流・配送周辺に集中して
    サリムGと物流提携
    インドネシアに合弁設立
    エコ配を子会社化
    
    配送網集約化へ
    セイノー
    HD
    アスクル
    ヤマト運輸
    16億円余で
    株68%取得
    通販食品展示商
    談会でセミナー
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号77
    講演する滝澤氏
    いる傾向があると分析。
     通販事業者の共通課題として『欠
    品・販売機会ロスの回避』『調達・仕
    入れコストの削減』『固定費の変動費
    化』『受注時間延長後の当日出荷』『配
    送サービス拡充』を挙げ、調達・納
    品・物流・配送など、LT(Logistics
    Technology)を中心としたニーズが
    集中していると見解。
     事業者が利用者の要望に応じ、な
    おかつローコストオペレーションを実
    現するには“モノと情報”の流れをシー
    ムレスにつなぎ、調達・受注・配送な
    どシーンに合わせた物流機能を
    整備することが重要と語った。
     続いて、通販事業者の業務効
    率化を支援する同社のサービス
    「YES!」を紹介。「YES!」は受
    注から配送、決済までを一元管
    理できるパッケージサービス。初
    期費用・固定費なしで簡単に始
    めることができ、導入しやすい
    パッケージ価格で通販業務の負担を
    大幅に軽減するとした。
     センコーは16日、ASEAN地区
    での物流強化を図るため、タイのピ
    トン工業団地内にレムチャバン物流
    センター(写真)を開設し、今月から
    本格稼働させると発表した。
     レムチャバン物流センターは、敷
    地4万8593平方メートル、鉄骨
    造平屋建てのA棟、B棟、C棟の
    3棟で構成し、床面積合計は2万
    1003平方メートル(事務棟含む)
    各棟ともに15メートルの下屋を備
    え、全天候型荷役が可能。
     タイ貿易の中心港であるレムチャバ
     ヤマト運輸は、8月26日に総務
    省情報通信審議会郵政政策部会が発
    表した答申案「郵政事業のユニバー
    サル確保と郵便・信書便市場の活性
    化方策の在り方」に対し9月11日、
    見解を総務省に提出した。
     ヤマトでは、『今回の答申案はユニ
    バーサルサービスの確保という名目
    のもと、ユニバーサルサービス以外
    の事業まで含めた日本郵便に対する
    優遇をさらに強めることに議論をすり
    ン港から約10キロに位置し、立地
    を生かして輸出入貨物の保管を中心
    に物流サービスを提供していく。ま
    た、ASEAN地域で増大する冷凍・
    冷蔵貨物の保管需要への対応も検討
    しており、顧客の事業スタイルに
    合わせた物流サービスを幅広く提
    供していく考え。
     運営は、2014年6月に設立
    した現地法人「センコーグローバ
    ルロジスティクス(タイ)が行う。
     センコーはASEAN諸国で物
    流強化を図っており、その中心で
    替えていると言わざるを得ない』と指
    摘。『このままでは、ユニバーサルサー
    ビス以外の領域である貨物市場にお
    ける公平で公正な競争条件(イコール
    フッティング)まで阻害する可能性が
    生じ、結果として国民の利便性の低
    下につながりかねず、規制緩和の流
    れにも完全に逆行するため、賛成で
    きない』と訴えている。
     ヤマトは、『答申案では、郵便事業
    のうち、ゆうパックなどの荷物・速達・
    あるタイで基盤整備を進めている。
    タイのアユタヤ県でも物流センター開
    設を計画しており、現地企業や日系
    企業をはじめとする外資企業向けに
    サービスを提供していく計画だ。
    代金引換・年賀特別郵便などを除く
    郵便全般をユニバーサルサービスの
    範囲としているが、信書と非信書の
    送達が混在している郵便事業全体で
    はなく、「信書の送達」のみに限定さ
    れるべき』と主張。
    『社会的インフラともいうべき郵便
    ポストや郵便局ネットワークを民間事
    業者に開放することで利用率を向上
    させ、たとえば電話事業のように接
    続料収入を得ることで、国民負担を
    増大させることなくユニバーサルサー
    ビスの安定維持を図ることは十分可
    能』とも指摘している。
    センコー
    ヤマ
    運輸
    レムチャバン物流
    センター
    開設
    『議論のすり替え』と指摘
    総務省答申案に見解
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    TheTRUCK2015年10月号78
    北上営業所全景(右側が2号棟)
     全日本トラック協会は、長距離輸
    送の実態調査結果を踏まえ、労働時
    間規制のあり方についての要望をま
    とめ、9日に星野良三会長名で国土
    交通省(藤井自動車局長宛て)に要望
    書を提出した。
     主な要望内容は、①「1運行144
    時間以内」となっている制限で、出
    先で休日を取る場合はその部分の時
    間数を差し引くよう見直すこと、②荷
    主に対して改善基準告示を周知する
    よう厚生労働省に働きかけること、
    ③トラック事業者の自助努力だけでは
    改善が困難な場合には乗務時間など
    の告示違反発動要件(30日間の事業
    停止)を緩和するよう検討を求めた。
     実態調査は、35件の長距離運行
    データを収集・分析したもの。1回
    の運行日数は4日が12件で最多。
    拘束時間は15・5時間で、改善基
    準告示の原則1日13時間以内より
    2.5時間超過。全運行データで何ら
    かの改善告示違反(1運行当たり平
    均7.2件)があり、「連続運転4時間
    ごとに運転離脱30分未満」が最も
    多く、次いで「拘束時間16時間超」
    だった。
     ヒアリングも行い、九州の場合「改
    善基準を遵守して関東に翌日着は物
    理的に不可能」「連続4時間ごとにタ
    イミング良く休憩できる場所がない。
    高速道路のSA・PAの駐車容量が
    足りない」などの意見があり、ドライ
    バーアンケートの結果ではツーマン運
    行に「抵抗がある」が77%を占めた。
     要望書は坂本克己(総務委員長)
    大高一夫(物流政策委員長)・馬渡雅
    敏副会長(労働政策小委員長)の3
    副会長らが提出。
     合わせて、次期学習指導要領の改
    訂に向け、営業用トラックの重要性、
    災害時に物流が果たす役割など物流
    の社会的意義に関する記述を充実す
    るため、文部科学省に働きかけるよ
    う要望した。
    発動要件緩和
    など
    要望
    長距離運行の実態踏まえ
    ト協
     アルプス物流は北上営業所の2号
    棟倉庫を増築し、9月2日から稼働を
    開始した。同倉庫は鉄骨造2階建て
    延べ床面積約3800平方メートルで、
    1号棟倉庫と合わせた倉庫面積は約
     日本郵政は、東京証券取引所へ
    の上場に伴い、2016年3月期の
    業績予想を発表した。売上高14兆
    2100億円(前期比0.3%減)、経常
    利益8600億円(同22.9%減)、当
    期利益3700億円(同23.3%減)
    1株当たり配当金は23円を予想。
    5600平方メー
    ル規模となった。
     同営業所は、
    岩手県の北上
    南部工業団地で2011年から事業を
    展開。昨今の取り扱い貨物量の増加
    や、今後さらなる需要増加が見込まれ
    ることから、同敷地内で増築したもの。
    同倉庫は全館空調完備のもと温度・
     うち郵便・国内物流事業は売上高
    1兆8800億円(同0.5%増)、営
    業利益100億円、経常利益50億
    (同175%増)。通販・eコマー
    ス市場を中心に営業展開し、ゆうパッ
    ク5億3400万個(同10%増)
    ゆうメール35億9500万個(同
    湿度管理を行うとともに、顧客ニーズ
    の高い帯電防止など、同社の主要貨
    物である電子部品、半導体に最適な
    保管環境を整えている。
    7%増)を見込む。営業費用は1兆
    8700億円(同2%増、人件費1兆
    1670億円、経費7030億円)
     国際物流事業は売上高6610億円
    (同8%増)、営業利益320億円、
    経常利益280億円。トール社買収
    による豪州・ニュージーランド地域の
    国内フォワーディング需要増、豪ド
    ル安を見込む一方、中国経済の減速
    や資源価格下落による既存顧客から
    の収益減を織り込んだ。なお、為替
    レートは1オーストラリアドル95円と
    北上営業所2号棟
    倉庫が稼働を開始
    ゆうパック10%増へ
    国際物流売上高8%増
    日本郵政、今期業績予想
    アルプス
    物流
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号79
    90
    95
    100
    105
    110
    115
    120
    䠐᭶䠑᭶䠒᭶䠓᭶䠔᭶
    ᡂ⣙㐠㈤ᣦᩘ
    12ᖺᗘ13ᖺᗘ14ᖺᗘ15ᖺᗘ
    した。営業費用はインフレに伴うコス
    ト増や豪ドル安を見込み6290億円
    (同8%増)と試算した。
     8月の求荷求車ネットワーク(Web-
    KIT)成約運賃指数は、依然として年
    を追うごとに高まっており(グラフ参
    照)、2010年の調査開始以来8月
    では最も高い117となった。
    成約運賃は、荷物情報(求車)、車
    両情報(求荷)それぞれの登録情報に
    ついて、対象期間に成約に至った個
    別運賃を合計し、成約件数で割った
     なお、日本郵政の株式売出しは、
    普通株式4億9500万株。うち国
    内売出し3億9600万株、海外売
    金額を指数化したもので、10年4
    月を100としている。
     8月の公表件数は8万5089(前
    年度比8.8%増)、成約件数は1万
    2385(同11.0%増)
     成約率は14.6%で前年同月より
    0.7ポイント高くなっている。
     今年に入って、ずっと前年度より高
    い傾向が続いているものの、依然と
    出し9900万株。売出し価格は10
    月26日開催の取締役会で決定する
    予定。
    して求車需要(登録件数)の多さに対
    して成約率はそれほど高くはなく、車
    両が不足している状況がみてとれる。
     なお、KITの加入者数(ID数)は8
    月末現在で3835となった。これは
    5年前に比べて41%多く、毎年5
    〜9%ずつ増加している。
    成約運賃上昇続く
    8月車両不足解消されず
    WebKIT
     今年1〜8月のトラック運送業(道
    路貨物運送)の倒産件数は141件
    で、前年同期比27.7%の大幅減と
    なった。帝国データバンクによると、
    トラック運送業は歴史的な値上げ効
    果などにより明らかな減少の兆しが出
    ているが、地方や中小にその恩恵が
    行き渡るにはまだ時間がかかりそうだ
    ともしている。
     トラック運送業の倒産件数(負債
    1000万円以上が対象)のピークは
    2009年の374件。08年から13
    年まで6年連続で300件前後で
    推移していたが、14年は276件
    (前年比5.5%減)と若干減り、
    今年はこのまま推移すれば200
    件前後にとどまる見込み。
     倒産件数と高い連動性を持つ
    軽油小売価格は、14年7月に1
    リットル147円の高値をつけたが、
    今年に入り120円台に下落、8月末
    には115円台をつけた。
     負債規模をみると、14年以降は
    10億円以上の大型倒産はわずかにと
    どまる。倒産の主因は、「販売不振」
    が全体の8割を占め(全企業の倒産
    要因とほぼ同じ)、率は少ないがこれ
    「経営者の病気・死亡」「企業系列・
    下請けの再編成」が続く。
     地域別には、三大都市圏が全体の
    7割弱を占めるが、全国よりも減少傾
    向が顕著。
     これは、三大都市圏が商流活発化
    の恩恵を受けやすく、消費増税駆け込
    み需要のあった14年初頭の好機を捉
    えて大手運輸企業が運賃値上げを打ち
    出し、これを荷主も受け入れた経緯が
    あるため。下請けの中小規模事業者
    にも価格転嫁する動きは広がったもの
    の、相対的に地方はいまだ厳しい事業
    環境下に置かれているところが多い。
     トラック運送は、平成大不況の20
    数年間、一貫して運賃・料金は据え
    置かれてきた。歴史的な値上げの効
    果で主要トラック事業者の14年度決
    算は増収増益となっているが、ネッ
    通販市場の急拡大に伴う配送スピー
    ドや受け取り手法の多様化など品質
    競争が激化し、環境対応への投資負
    担やドライバー確保などもあり、地方
    中小に恩恵が十分に行き渡るにはま
    だ時間がかかりそうだ。
     とはいえ、ほんの数年前までの八
    方ふさがり状態から事業環境は改善し
    ており、「運輸事業者の多くが一息つ
    いている状況」と結んでいる。
    トラックユーザーNews
    トラックユーザーNews
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号80
    検診車
    藤井直樹氏
    柿尾正之氏
     佐川急便は、10月のピンクリボ
    ン月間に向けた取り組みの一環とし
    て、女性従業員および男性従業員の
    配偶者を対象に、乳がんの早期発見
    に効果のあるマンモグラフィを搭載し
    た検診車による「さがわ乳がん検診」
    を展開する。8月から本格スタート、
    順次全国各地で検診を行う。
     同社では、女性に配慮した職場環
    境づくりや健康管理、育児・介護休
    業制度の充実などに取り組んでおり、
    年々女性従業員の比率を高めている。
    「さがわ乳がん検診」は2011年
    から実施されており、全国の医療機
    関の協力を得て14年度は25営
    業所で約600人の女性従業員が受
    診。今年度は全国44カ所の営業所
    を検診車が巡回する。
    女性従業員対象に
    検診車で乳がん検診を展開
    佐川急便
     国土交通省の8月1日付人事異
    動で、自動車局長に就任した藤井直
    樹氏は「GとLといわれるが、グロー
    バルな競争展開、日本経済を支え
    る幹線物流からローカルを支える交
    通・物流まで、自動車行政の幅が広
    いことを痛感している。安全も、事
    故を減らすことと事故が起きたとき
    の対応までみていく必要があり、しっ
    かり取り組んでいきたい」との抱負を
    語った。
     具体的には、安全、人材確保、事
    業活性化、産業の地位向上、次世代
    自動車の促進、事故被害者のケアの
    6つを挙げた。
     先般、来年度税制改正要望を提出し
    たが、「消費税が10%に増税される17
    年4月に、自動車税に環境性能割が
    導入されるが、廃止される自動車取得
    税よりも高くならないように。中身も、
    営自格差をしっかり守って、特例も生か
    されることを踏まえた内容」と説明。
     トラックの人材確保のための予算要
    求も行っているが、「29歳までの若年
    層が占める割合は10%。特に長距離
    は、このまま進むと担う人材がいなくな
    る」と述べ、具体的な施策として「ドラ
    イバーの労働条件改善が大変重要。そ
    のための運賃の適正収受をはじめとす
    る事業の健全化」のほか、中継輸送の
    実現、準中型免許の取得促進、トラガー
    ルなどイメージアップに取り組む。
     長時間労働改善に向けた協議会が
    中央・地方で立ち上がり、18年度ま
    での実現を目指しているが、「4年間、
    1つひとつの積み上げを継続的なもの
    にしたい」とした。
     最後にトラック業界について、「中小
    の声を吸い上げ、施策に生かすことを
    長年やってきて、解決法をよく考えてい
    る」。その一方、「裾野が広いため、ルー
    ルを守らない人がいるのも事実。まじめ
    な人が迷惑し
    ており、信賞
    必罰での環境
    をつくってい
    きたい」と述
    べた。
    税制の営自格差守る
    信賞必罰の環境つくる
    国土交通省
    藤井自動車局長
     通販市場が6兆1500億円市場
    へと好調な成長をみせている。スマー
    トフォンやタブレットの普及によるネッ
    ト通販の伸びがけん引し、最短20
    分の即時配送が登場するなどサービ
    スの向上が進んでいる。ただ、ドラ
    イバー不足が深刻化しており、配送
    の品質維持に不安の声もある。
    ネット通販がけん引
     日本通信販売協会(=JADMA、
    正会員483
    社)は2014
    年度の通信
    販売市場の
    売上高につ
    いて調査を
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号81
    6月、プラス転換
    回復の転換点になるか
    行い、速報値をまとめた。それによる
    と、前年度比4.9%増の6兆1500
    億円となり、金額ベースでは前年度
    に比べ2900億円の増加となった。
     伸び率は前年度結果(8.3%)
    3.4ポイント下回り、人手不足などを
    背景とした宅配料金の値上げの影響
    もありそうだ。が、マイナス成長を
    記録した1998年度以来、16年連
    続して増加傾向が続き、直近10年
    の平均成長率は7.3%となっている。
     通販市場の成長要因として、①楽
    天、アマゾン、スタートトゥディなど、
    プラットフォーム系企業がけん引役と
    なっていること②店舗系のネット通販
    の伸び、新商品、サービスのネッ
    通販企業の参入による裾野の拡大③
    中小企業のネット通販への参入およ
    び成長による裾野の拡大―などが挙
    げられている。
     特に、アマゾンはスケールメリッ
    を発揮する形で通販市場拡大をけん
     トラック輸送は、6月に入り回復
    の兆しがみられるようになった。
     国土交通省がまとめた6月分のト
    ラック輸送情報によると、特別積
    み合わせ(調査対象24社)の輸送
    量は528万9893トン(前年同月
    比3.3%増)、一般トラック事業者
    による輸送量は同0.4%増とプラス
    に転換、宅配貨物取扱個数(調査
    対象14社)も3億396万個(同
    3.9%増)と前月より増加幅が大きく
    なった。
     四半期ごとにみると(表参照)、特
    積みは消費増税があった前年第2四
    半期から低調に推移。今年に入って
    引している。さらに、再配達の削減
    など配達の問題は、ここにきて宅配
    業者や通販事業者、コンビニなどが
    連携して24時間注文商品を受け取
    れる仕組みづくりが加速している。
     楽天はこの8月から最短20分の
    配送や、自宅やオフィスだけでなく、
    お店や公園など購入者が直接商品を
    受け取れる場所ならどこへでも配達
    するサービスを開始した。
     ただ、トラックドライバー不足は深
    も、消費増税の反動があった4月以
    外はずっとマイナスとなっていた。
    一般トラックも同様に、4月を除い
    て昨年11月からマイナスを続けて
    いた。
     全日本トラック協会調査
    による4〜6月の景況感
    は、特積みは若干改善す
    るが、一般トラックは変化
    がみられないとしていた。
    日通総研短観でも4〜6
    月の国内向け出荷指数は
    ▽11とほとんど改善がみ
    られなかった。
     しかし、7〜9月期見通
    刻化しており、配達サービスの新た
    な水準を維持できるか、不安は残る。
     同協会の柿尾正之理事主幹研究
    員は「ライフスタイルの変化や配送
    の多様化などで通販市場は着実に拡
    大している。東京オリンピックまでさ
    らに成長は加速するだろう。課題は
    配送の品質だが、ドライバー不足の
    中、再配達削減など効率化を通販事
    業者と輸送事業者は一緒に考えなけ
    ればいけない」と話す。
    しは▽4と依然マイナスながら上向く
    とみている。
     6月のプラス転換を機に、7月以
    降の輸送需要がこのまま改善するこ
    とが期待される。
    トラック輸送
    トラックユーザーNews
    トラックユーザーNews
    提供:運輸新聞
    TheTRUCK2015年10月号82
     経済産業省や環境省の2016年
    度予算要求が決定し、国土交通省と
    の連携によるエネルギー対策特別会
    計の内容が判明した。
     物流分野のCO
    削減対策促進事
    業として41億円を要求。前年度と
    同様、中距離のモーダルシフト促進
    のためトラクターヘッド、シャーシ、
    大型荷役機械(トップリフター)などの
    設備導入経費の2分の1を補助。
    31フィートコンテナ導入に要する経
    費に対しても2分の1補助を行う。
     新規事業には、都市部の旅客鉄道
    の1部(1車両)を利用した物流シス
    テムを構築するため、垂直式・階段
    式搬送機、けん引車・フォークリフト、
    荷物用車両などの設備に3分の1補
    助。来年度発売を予定している燃料
    電池フォークリフトにはエンジン車と
    の差額の2分の1、新型電動フォー
    クリフト(Liーion電池搭載など)には
    同3分の1を補助する。
     40フィート背高海上コンテナを鉄
    道輸送するための低床貨車に対し
    て、今年度は試作費を計上している
    が、来年度は実証実験費用を要求。
    冷凍冷蔵倉庫への自然冷媒機器導入
    も今年度同様、経費の2分の1補
    助を行う。
     省エネ効果を実証するため、
    エコドライブ(EMS)機器導入補
    助制度も創設。燃費改善事業費
    (資源エネルギー庁との連携)
    し、EMSのほか内航海運の省エ
    ネ船舶建造にも充て、これらによ
    り2030年までにエネルギー消
    費量を原油換算で年間94万キロ
    リットル削減することを目指す。
     LEVOが実施する中小トラック
    事業者向け環境対応型ディーゼ
    ル車補助は今年度と同額
    の約29億円を要求。新規
    に先進環境トラック導入加
    速事業として、大型CNG
    車や中小型ハイブリッド車
    に対して標準車両との差額の2分の
    1を補助。
     経済産業省の予算では、準天頂衛
    生を活用した無人航空機による安全
    な物流事業の実現に向けたデータ収
    集、飛行実証費、隊列走行による自
    動走行システムの開発・実証費など
    も要求した。
    自然冷媒に85億円
    環境トラック補助も継続
    エネ特予算
     特殊車両通行許可の基準が5〜6
    月にかけて緩和され、セミトレーラ連
    結車(バン型など特例8車種)の連結
    全長が17メートルから18メートルへ
    引き上げられ、これにより45フィー
    コンテナの陸上輸送が可能になった。
     荷主企業や物流事業者は「条件が
    整った」として、45フィートコンテナ
    の国内輸送を開始する動きが出てきて
    いるが、なお解決すべき課題もある。
     45㌳国際海上コンテナ輸送の推進
    につなげることを目的に、関東地方
    整備局主催により「第1回タイヤメー
    カー意見交換会」が過日開催され、
    国内の大手タイヤ
    メーカー5社が参
    加した。
     メーカーから「これまで国内では
    輸送できないと認識していたが、基
    準緩和により条件が整ったのであれ
    ば、利用の検討を進めたい」「構造改
    革特区に限らず輸送が可能になったこ
    とは、検討の幅が広がったと感じてい
    る」と、導入に積極的な意見が大勢を
    占めた。
     特に、40フィートより積載容量が
    約13%増えることから「コンテナの総
    本数が減ることは、荷主にとって輸送
    コスト削減につながる」としている。
     その一方、45フィートコンテナに
    対応するには「荷主の出荷・船積みシ
    ステムの変更が必要になる」「陸運事
    業者のシャーシ購入の初期投資が課
    題」などが挙げられた。
     陸上輸送だけでなく「45フィートコ
    ンテナはオンデッキ積載のため、小
    型船が投入される内航フィーダーでは
    輸送できる量に限界がある」ことも指
    摘された。
     45フィートコンテナは、主に北米
    〜中国間で多く利用されているが、
    「仕向・仕入地の選択肢を広げるた
    め、それ以外の地域の情報も欲しい」
    との要望も出された。
     45フィートに関する情報が少ない
    ことや、実際に運ぶ物流事業者の体
    制整備など、普及にはもう少し時間が
    かかりそうだ。
    広がるか45フィート輸送
    初期投資など課題も多く
    仕様
    項目
    チップセッ
    センサーデバイス
    画角
    ディスプレイ
    供給電圧
    動作温度範囲
    記憶ディバイス
    記録フレーム
    カメラモード
    記録内容
    記録形式
    マイク
    時刻設定
    加速度センサー
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    The TRUCK News
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    TheTRUCK2015年10月号84
    低燃費を追求した新型ダウンサイジングエンジン
    搭載の新型「日野レンジャー」QPG-FE2ALAA
    (平ボデー完成車)
     日野自動車㈱は、「日野レンジャー」に低燃費を追求した新型
    ダウンサイジングエンジンを搭載し、VSC(VehicleStability
    Control=車両安定制御システム)を標準装備とした新車型を
    追加設定し、2015年10月1日に発売する。
     今回追加する新車型は車両総重量14トンクラスの「日野レ
    ンジャーFE」で、新型エンジンの搭載と、新型7段トランスミッ
    ションの採用により重量車燃費基準+5%の低燃費(重量車
    モード燃費値6.10㎞/L、平成27年度燃費基準値5.69
    ㎞/L:車両総重量12トン超〜14トン以下)を達成。これ
    によりエコカー減税の対象となり取得税が60%、重量税が
    50%の減税となる。また「日野レンジャーFE」のVSCは先
    進安全自動車(ASV)技術としての「車両安定制御装置」の技
    術的要件を満たしており、装
    着車はASV減税の対象とな
    る。ASV減税は、先進安全
    自動車(ASV)技術を備える
    ラック・バスについて自動車取
    得税、自動車重量税を軽減す
    る特例措置で、VSCを装備
    した日野レンジャーは、取得税
    については取得価額から350
    万円控除、重量税は50%減
    税となる。
     今回新たに搭載したA05C型エンジンは、排気量5.1Lの
    ダウンサイジングエンジンで、小排気量でありながら低回転から
    トルクを発揮し、十分な動力性能を確保しながら低燃費を実
    現している。
     VSCは、横転や滑りやすい路面でのドリトアウトやスピン
    を抑制するために、警報音やエンジンの出力制御、またブレー
    キを作動させることでドライバーの危険回避操作を支援する。
     なお、代表車型の日野レンジャー「QPG-FE2ALAA」の東
    京地区希望小売価格は、標準キャブ・標準ルーフ、リーフサ
    スペンション、平ボデー完成車、最大積載量8.5トン(届出
    最大値)で9,753,480円(税込み)となっている。
    新車型…日野自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    「日野レンジャー」に新車型を追加
    低燃費の新型エンジンを搭載し、VSCを標準装備
     新明和工業㈱は、上開き式テールゲートを備えた軽量タイ
    プの10トン車級「エフゲート付リヤダンプトラック」を2015年
    8月31日に従来型に加え追加発売した。
    「エフゲー(上開き式テールゲート)付リヤダンプトラック」
    は、ダンプ時にテールゲートとデッキ面がフラットになることか
    ら、テールゲートで積荷を詰まらせることなく排出することがで
    き、岩石、瓦礫などの最大径が大きい積荷を運搬するのに適
    している。
     今後インフラ更新等により増加が予想されるコンクリート殻
    等の都市型廃材の運搬需要に応えるため、従来型に加え、
    既に市場で実績のある軽量タイプの10トン車級リヤダンプ
    ラックに「エフゲート」を取り付けたモデルをラインアップ、上開
    き式テールゲート付としてはクラストップの積載能力を実現。ま
    た、これまで「エフゲート」の開閉機構と干渉することから設置
    が困難だった「回転式手動格納式リヤバンパ(オプション)」の
    取り付けについても、ゲート開閉機構を見直すことで、設置を
    ダンプトラック…新明和工業
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    軽量タイプの「エフゲート付リヤダンプトラック」発売
    クラストップの積載能力を実現
    TheTRUCK2015年10月号85
    上開き式テールゲートを備えた軽量型10トン
    車級「エフゲート付リヤダンプトラック」
    最新技術で稼働現場を拡大する新型バッテリー
    フォークリフト「FE30-1」
    可能としている。
     リヤダンプトラックの国内トップメーカーである同社は、ライ
    アップを拡充することにより、用途に応じた選択肢を広げるこ
    で、更なる拡販に努めるしている。
     なお、販売目標は72台(2016年度)している。
    ■エフゲート付リヤダンプトラックの特長
    ⑴上開き式テールゲート付ではクラストップの積載能力…
    テールゲート開閉機構の設計見直しにより、軽量タイプの10
    トン車級「エフゲート付リヤダンプトラック」を新たに製品化。
    既存モデル(一般タイプ)に比べて最大積
    載量を最大300㎏増量しての登録が可能
    になり、クラストップの積載能力を実現。
    「手動格納式リヤバンパ(オプショ
    ン)の取り付けが可能に…「エフゲート」
    の開閉機構と干渉することから設置が困
    難だった「手動格納式リヤバンパ」につい
    て、ゲートの開閉機構を見直すことで、取
     コマツ(大橋徹二社長)は、最新技術を随所に織り込んだバッ
    テリーフォークリフト「FE30-1」を2015年9月1日に発売した。
     コマツは、小型クラスはバッテリー式フォークリフト「FEシリー
    ズ」、中型クラスは油圧駆動式トランスミッションを採用した
    ディーゼルエンジン式フォークリフト「FHシリーズ」を中心に商
    品展開を進めている。
    「FE30-1」は先に発売した「FE25-1」と同様に、バッテリー
    式ならではの環境性能・快適性・低ランニングコストはそのま
    まに、コマツ独自の急速補充電システムにより長時間稼働を
    実現。加えて、耐水性・防塵性を高
    めることで、屋外や粉塵など様々な現
    場環境に対応させている。また、イー
    ジーメンテナンスバッテリーの採用によ
    り、面倒なバッテリー補水作業や、充
    電時にバッテリーフードを開放する作業
    は一切不要。さらに、車両の稼働状
    況を把握する「KOMTRAX」を標準搭
    載することで、稼働の「見える化」を実
    現し、フリート遠隔管理と現場改善の
    り付けを可能にした。これにより、固定式リヤバンパの損傷が
    危ぶまれるような排出作業時には、リヤバンパを格納すること
    が可能。
    ⑶既存モデルに比べ35㎜低床化…構造の最適化により、
    現行の「エフゲート付リヤダンプトラック」に比べ、架装物の床
    面の高さを35㎜低床化。重心が低くなることで、走行時の
    安定性がアップ。
    ⑷既存モデルも引き続きラインアップし用途に応じた選択
    が可能…通常タイプの「エフゲート付リヤダンプトラック」も引き
    続きラインアップすることで、用途に応じて選
    択可能。
    ■主要諸元
    ▽適用シャシ…GVW20トン車級/▽ダンプ
    角度…約53°/▽ダンプ時間…(上昇)20
    秒以内、(下降)20秒以内/▽ボディー長
    …4,900㎜〜5,300㎜/▽主な用途…岩
    石、瓦礫の運搬など。
    支援が行える。
     バッテリー式の特長である「環境性能&経済性」と、エンジン
    式の特長である「長時間稼働&手間いらず」を両立し、バッテ
    リー式フォークリフトの稼働現場を一気に拡大させている。
     なお、公表価格(工場裸渡し、消費税抜き、国内標準仕
    様車)はFE30-1(3.0トン車)で5,840千円、販売目標は
    500台/年(国内のみ、初年度)となっている。
    ■新型バッテリーフォークリフト「FE30-1」の主な特長
    ⑴環境、作業性
    ・新開発の定置式急速充電器…イン
    バータ制御により最適な充電制御をす
    るバッテリーに優しい急速充電システム
    を新たに開発。1時間程度の短時間
    でバッテリー容量の最大80%(残量
    30%から80%まで)まで回復できるの
    で、昼休みや休憩時間などを利用して
    急速補充電することで、1日あたりの稼
    働時間を大幅に延長。
    ・補水不要で手間いらず…充電中に
    バッテリー式フォークリフト…コマツ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    最新技術の採用で稼働現場を一気に拡大する
    新型バッテリーフォークリフト「FE30-1」新発売
    The TRUCK News
    Now
    TheTRUCK2015年10月号86
    内部の電解液がほとんど減らないイージーメンテナンスバッテ
    リーを採用。一般的なバッテリーと違って補水の手間も費用
    もかからない。また充電中に水素ガスがほとんど発生しないの
    で、充電のたびにバッテリーフードを開放する煩わしい作業も
    不要。
    ・バッテリー式フォークリフトならではの環境性能と低ラ
    ンニングコスト…バッテリー式フォークリトのCO
    排出量は
    ディーゼルエンジン式フォークリトに比べて1/3と、環境負
    荷の低減に大きく貢献。また、現場で排出ガスを発生しない
    ので、現場環境を大幅に改善。さらに電気代はディーゼルエ
    ンジン式フォークリトの燃料代の約1/5と、ランニングコス
    トに圧倒的な差がある。
    ⑵ICT
    ・フリート遠隔管理と現場改善を支援するKOMTRAX標
    準搭載…KOMTRAXは位置情報、稼働状況に加え、バッテ
    リー充電状況、消費電力量などユーザーに車両の情報を提供
    し、日々の稼働・充放電状況の「見える化」を実現。コマツの
    サービス網はKOMTRAXを活用し、車両をいつでもベストコ
    ンディションで使用でき、ユーザーに「安心」「信頼」を提供。
    ・車両や充電状況を一目で把握…大型のカラーマルチモニタ
    を搭載し、走行速度やバッテリー残量など車両の状況を一目
    で把握。走行・荷役パワーモード設定や車速制限などのセッ
    トアップも容易に行える。ボタン操作により稼働時間、充電
    操作性を実現し、同時に燃費も20.4%(同社従来車比)
    上させている。
     さらに、高度なエンジンコントロールとDOC(Diesel
    OxidationCatalyst=ディーゼル用酸化触媒)の採用によ
    り、DPF(DieselParticulateFilter=ディーゼル微粒子捕
    集フィルター)レスを実現し、後処理装置のメンテナンスを不要
    している。
     今回のモデルチェンジでは、環境負荷の低減とエンジン性
    能の両立、さらにオペレーターに対する各種サポート機能を標
    準搭載し、安全装備の充実が図られている。
     なお、主要機種の希望小売価格(京都工場渡し消費税別)
    は、定格荷重2,500㎏(FDE25T)3,894千円、定格荷重
    3,000㎏(FDE30T)4,605千円となっている。
     ニチユ三菱フォークリフト㈱(本社・京都/二ノ宮秀明社長)
    は、新型エンジンを搭載したディーゼル式フォークリフト「グリ
    ディア」(2.0〜3.5トン積)を、2015年9月1日から全国の
    ニチユ三菱販売店を通じて販売開始した。
     環境意識の高まを背景に、フォークリトに対する排出ガ
    スの規制も強化されており、同時に物流現場においては高い
    操作性と安全性が求められている。
     これらに対応するため、今回のモデルチェンジでは新開発
    「GREENADVANCEDDiESEL」エンジンを搭載している。
    コモンレールとEGR(ExhaustGasRecirculation=排出
    ガス再循環)の採用により、排出ガス規制2014年基準に
    適合する自然吸気エンジン(ターボレス)を開発。これにより、
    オペレーターの繊細なアクセルワークにリニアに反応する高い
    電力量、電力料金や積算CO
    排出量などさまざまな情報を確
    認できる。
    ⑶耐環境性・安全性
    ・雨天の屋外や粉塵など様々な現場環境に対応…密閉構
    造のモータ・コントローラを搭載し、電装品の耐水性・防塵性
    を向上。また車体側の充電プラグ差込口にキャップを標準装
    備し、水やホコリの侵入を防ぐ安心設計になっている。さらに、
    バッテリーフードを閉じたまま充電が可能で、充電中にバッテ
    リー内部に雨水が侵入する心配がなく、車体を屋外に出した
    ままで充電可能。雨天時の屋外走行や港湾・漁港など路面
    の水を巻き上げながらの走行、また粉塵の多い現場でもエンジ
    ン式フォークリフトと遜色のない稼働能力を発揮する。
    ・作業の安定性と快適性を向上…従来のバッテリー式フォー
    クリトよりホイールベースとレッド幅を広げることで、走行ピッ
    チングを大幅に低減し、安定性を向上。振動が少ないバッテ
    リー式フォークリトの特長をより高め、快適な乗り心地を実現
    し、優れた走行・旋回安定性を発揮する。
    ■FE30-1の商品仕様
    ▽車両質量4,590㎏、▽バッテリー電圧72V、▽バッテリー
    容量420Ah/5HR、▽最大荷重3,000㎏、▽荷重中心
    500㎜、▽最大揚高:3,000㎜、▽全長:3,710㎜、▽全
    幅:1,235㎜、▽全高(ヘッドガード)2,215㎜、▽軸距(ホイー
    ルベース)1,650㎜、▽走行速度(無負荷時)15.5㎞/h。
    新型フォークリフト…ニチユ三菱
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    排出ガス規制2014年基準に適合の新エンジン搭載
    ディーゼル式フォークリフト新型「グリンディア」発売
    TheTRUCK2015年10月号87
    排出ガス規制2014年基準に適合の
    「GREENADVANCEDDiESEL」
    エンジン
    ダンプなしに積荷を排出できる「スライドデッキ」の新モデル
    ディーゼル式フォークリフト新型
    「グリンディア」
    積載重量の増加も実現した。
     また、荷台に残った積荷を容易に掃き出すことができるフラッ
    トレールや、排出時間を従来に比べて約2分短縮できる大
    容量ポンプを新たにオプションとして設定し、多様なニーズに
    対応できることになった。
    「スライドデッキ」は、近年普及が進
    むバイオマス発電の燃料用チップの運
    搬などに適していることから、更に機能
    を高めた新モデルの投入により拡販を
    進め、市場での存在感を高めていく
    している。
     なお、販売価格は6,313千円(標
    準仕様、シャシ代除く)、販売目標は
     新明和工業㈱(大西良弘社長)は、「スライドデッキ」の新モ
    デルを2015年8月24日に発売した。
    「スライドデッキ」は、床面に敷き詰めたレールユニッを後方
    にスライドさせることにより、木材チップ、肥料、穀類などの
    積荷を、ボディーをダンプさせること
    なく排出できる装置である。これに
    より、不整地や屋内などのダンプが
    制限される場所での積荷の排出をよ
    り安全に行うとができる。
     新モデルでは、ボディーの低床
    化により従来に比べて荷台容積を
    約2.2リューベ増やしたほか、標
    準仕様で約190㎏の軽量化を図り
    積荷排出装置…新明和工業
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    ダンプなしに積荷を排出できる「スライドデッキ」新モデル発売
    低床化・軽量化により積載可能容積・重量ともに増加
    「グリンディア」の主な特長
    ⑴新型クリーンディーゼルエンジンの搭載
     特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準(エンジン出力
    19kW以上37kW未満)に適合。従来車のエンジン排気量
    はそのままに、ターボレスによる低回転域での力強さを実現。
    らに、燃費は同社従来車比20.4%の低減を実現し、高性
    能と低燃費を両立。
    ▽新型「GREENADVANCEDDiESEL」エンジン(型式:
    D04EG)の主要性能…総排気量3,331㏄、定格出力
    36kW/2250rpm、最大トルク177Nm/1800rpm。
    ⑵後処理装置のメンテナンスフリー化
     後処理装置(DOC)を新規搭載し、DPFを用いることなく
    特定特殊自動車排出ガス規制に適合。これにより、後処理
    装置フィルターのメンテナンスが不要。
    ⑶トルコン車(オートマチック式)、ダイレクト車(クラッチ
    式)を継続ラインアップ
     前後進の切替・変速は、従来同様、①トルコン車、②ダイ
    レクト車を選択可能。
    ⑷各種サポート機能の標準装備化
     従来車ではオプション又は特型仕様だった以下装備を新た
    に標準装備。
    ①スピードリミッター(HI/LOW切替スイッチ付)最高
    速度をHI/LOWそれぞれ任意で設定可能。
    ②POWER/SOFTモード切替…出力重視のPOWER
    モードと燃費重視のSOFTモードを搭載。作業に応じて切替
    が可能。
    ③平均燃費計…平均燃費をモニターに表
    示。省エネ運転をサポート。
    ④簡易荷重計…積載荷重をモニターに表
    示。過積載による転倒等の危険を未然に
    防止。
    ⑤リアアシストグリップ(ホーンボタン付)
    バック走行時の運転姿勢を安定させるた
    め、ヘッドガード右後方部にアシストグリップ
    を装備し、安全運転をサポート。
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    TheTRUCK2015年10月号88
    展示会に出展された新明和の「スライドデッキ」
    モデルチェンジで新登場の大型路線バス「日野ブルーリボン」大幅な燃費向上を実現する「日野ブルーリボンハイブリド」
    120台(2016年度)としている。
    ■スライドデッキの特長
    ⑴ボディーの低床化により荷台容積をアップ…構造の見直
    しにより「100㎜」の低床化を実現。これまでと同じ全高で容
    積を「約2.2リューベ」増加(荷台内法寸法:長さ9,500㎜×
    幅2,300㎜の場合)
    ⑵軽量化により積載重量をアップ…従来に比べ最大「約
    190㎏」の軽量化を実現。積載重量を
    最大「200㎏」増量(シャシ仕様により
    異なる)して架装車両の登録が可能。
    ⑶フラットレールにより、床面清掃
    が容易に…オプション設定のフラッ
    レールでは、荷台に残った積荷を容易
    に掃き出すことができ、作業時間の短
    縮に貢献。
    ⑷大容量ポンプで排出スピードを向
    上…駆動に必要な油圧ポンプに大容
     日野自動車㈱は、大型路線バス「日野ブルーリボンⅡ」「日
    野ブルーリボンシティハイブリド」をモデルチェンジし、ディ
    ゼル車を「日野ブルーリボン」して2015年9月1日に、ハ
    ブリド車を「日野ブルーリボンハイブリド」として2015年
    12月1日に新発売する。
     今回のモデルチェンジでは、エンジンの小排気量化とAMT
    (機械式自動変速機)の採用、また「日野ブルーリボンハイ
    リッド」はEV走行も可能な新ハイブリドシステムを搭載する
    ことにより大幅に燃費を向上させている。「日野ブルーリボン」
    は燃費基準値に対して+13%(車両総重量14トン超16ト
    ン以下のAMT搭載車、車両総重量クラスやトランスミショ
    ンによって異なる)「日野ブルーリボンハイブリド」は+20%
    量ポンプをオプション設定。排出時間は、標準ポンプで約7
    分が、大容量ポンプにより約5分まで短縮(積荷の種類、
    性状、積込状態によって異なる)。
    ■主要諸元
    ▽適用シャシ…GVW25トン車/▽荷台内法寸法…長さ
    9,500㎜、幅2,300㎜、高さ2,000㎜(内法高さはシャシに
    より変更可能)/▽荷台材質…(前煽り)普通鋼板・厚さ3.2
    ㎜、(後煽り)テールゲート/▽デッキ
    …アルミ合金型材・厚さ6.4㎜/▽
    最大積載容積…43.5リューベ(内法
    高さにより異なる)/▽最大積載重量
    …約11,600㎏(シャシ仕様により異
    なる)/▽主な用途…木材チップ、お
    がくず、バーク(樹木の皮から作った
    土壌改良材)、RPF(古紙およびプラ
    スチックを主原料とする固形燃料)
    どの運搬、廃棄物の運搬。
    の低燃費を達成、これによりエコカー減税対象となる。減税
    は、「日野ブルーリボン」は+10%の区分に該当し取得税が
    80%、重量税が75%の減税、「日野ブルーリボンハイブリド」
    は+15%の区分に該当し取得税重量税ともに免税となる。
     今回「日野ブルーリボン」に搭載した4HK1型エンジン、「日
    野ブルーリボンハイブリド」に搭載したA05C型エンジンは、
    ともに排気量5Lクラスのダウンサイジングエンジンで、小排
    気量ながら低回転から高トルクを発揮し、十分な動力性能を
    確保し、低燃費を実現させている。また新たに採用した6段
    AMTは、電子制御による自動変速でエンジンの燃費の良い
    領域を適切に使用することで燃費を向上させる。
     また、ホイールベースを延長してノンステップエリアを拡大す
    大型路線バス…日野自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    大型路線バスをモデルチェンジして新発売
    ディーゼル車、ハイブリッド車ともに大幅に燃費向上
    TheTRUCK2015年10月号89
    フルモデルチェンジのいすゞ大型路線バス「エルガ」
    利便性と安全性を向上させて登場の「エルガ」広々室内空間を実現させた大型路線バス「エルガ」
    るとともに新型客席シートの採用などにより乗客の利便性、
    快適性を向上させている。さらに、設置の簡単な車いす用ス
    ロープや車いす固定装置を採用し、車いすの乗客にも優しい
    バスとなっている。
    「日野ブルーリボンハイブリド」は、今回新たにエンジン
    とモーターの間にクラッチを配置することでエネルギー回生効
    率を向上させるともに、発進時にはモーターのみによるEV
    走行(EV走行時もエンジンはアイドリングで稼働)を可能にし
    た。また、ハイブリドシステムの高電圧によって乗客や車外
    に対して危険を及ぼすことを防止する対策を十分に実施してお
    り、2014年6月以降の新型自動車に適用される「バッテリー
    式電気自動車に係る協定規則(第100号)に適合している。
     なお、代表車型の東京地区希望小売価格(税込み)は、
    路線・都市型仕様、乗車定員(座席27人+立席51人
    +乗務員1人)の日野ブルーリボン「QRG-KV290N1」
    25,752,600円、同日野ブルーリボンハイブリッド「QSG-
    HL2ANAP」で30,612,600円、年間販売目標台数は日野
    ブルーリボンシリーズ全体で600台としている。
     いす自動車㈱は、大型路線バス「エルガ」を15年ぶりにフ
    ルモデルチェンジし、2015年8月18日より全国一斉に発売
    した。
     新型「エルガ」では、ノンステップエリアの長さ・通路幅・室
    内高、および後方段上部の室内高を拡大し、広々とした室内
    空間を実現することで、利便性・安全性を更に向上させた。
    また、優先席まわりの安全性向上、反転式スロープ板の採用
    による車いす乗降の簡易化・時間短縮化も図っている。さ
    に、新たな車いす固定装置により作業の省力化が可能になる
    など、バリアフリー・ユニバーサルデザインをレベルアップした
    車両となっている。
     また、環境性能・燃費性能の向上にあたり、軽量コンパク
    トな250馬力の4HK1-TCSエンジンを採用。トランスミショ
    ンはAMT(自動クラッチマニュアルトランスミション)とATの
    2種類で、運転経験の少ない人でも運転しやすい車両となっ
    ている。
     なお、東京地区希望小売価格(税込み)は、6速AMTの
    「QRG-LV290N1」で26,099,280円、6速ATの「QPG-
    LV290N1」で27,157,680円、目標販売台数は600
    台/年としている。
    「エルガ」の主な改良点
    【バリアフリー・ユニバーサルデザイン】
     優先席を前向きにし、伝い歩き棒を新設するなど優先
    席まわりの安全性を向上。また、反転式スロープ板の採
    用により、車いす乗降の簡易化および時間の短縮を図っ
    た。作業を省力化する、巻き取り式ベルトによる新たな車
    いす固定装置を採用。
     床をフラットにするた
    め、左前タイヤハウス上
    部へ燃料タンクを移設。
    これにより、優先席を前
    向きにすることができ、ノ
    ンステップエリアを拡大。
    それに伴い、乗車定員数
    も増加。
    【エクステリア】
    大型路線バス…いすゞ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    大型路線バス「エルガ」をフルモデルチェンジ
    広々室内空間の実現で、利便性と安全性を更に向上
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    TheTRUCK2015年10月号90
    シェア拡大を狙いタイ市場に新規投入された「FUSOブランド」車種
     クリーンでシンプルなスタイルを追求し、新しい外観デザイン・
    ニューフェイスとした。
     ディスチャージヘッドランプを採用することで視認性を向上。
     全長は変更せず、ホイールベースを延長することでノンステッ
    プエリアを拡大。また、フロントオーバーハングおよびリヤオー
    バーハングの短縮、アプローチ角度およびデパーチャー角度の
    拡大により、ワンステップ車並みの走破性を確保。
     室内高アップのため、全高を現行ノンステップ車より高く、
    現行ワンステップ車より低くしたことにより、快適な空間と走破
    性を確保。
     大量輸送に適した11.1mクラスを新たに設定。これにより、
    これまでにない広いノンステップエリアを確保。
    【インテリア】
     室内高アップや側窓エリア拡大によって、より開放的な室内
    空間を実現。
     客席シートのグリプ幅を拡大。また、新デザインの樹脂製シー
    トバックの採用により、軽量化を実現。
     室内灯、車外照射灯など灯火器にLED式ランプを採用し
    たことで、長期間交換不要で、メンテナンスコストの削減ととも
    に、メンテナンス性も向上。
    【エンジン】
     軽量コンパクトな250馬力の4HK1-TCSディーゼルエンジ
    ンを搭載、2ステージターボにより、全回転域において高効率
    なターボ効果を発揮し、燃費向上に貢献。
     排出ガス後処理装置として、DPDと尿素SCRを採用。
     重量車モード燃費は平成27年度重量車燃費基準を14ト
    ン超車AMTで+10%を達成、14トン超車ATで+5%を達
    成。また、九都県市低公害車指定制度の平成21年基準「優」
    低公害車に適合。
     ボディ構造の見直しとエンジンの小排気量化により、車両全
    体で約600kgの軽量化を図り、燃費性能を向上。
    【トランスミッション】
     AMT/ATの2種類を展開。AMTではMTベースにもか
    かわらずクラッチ操作が不要となり、アクセルとブレーキの2ペ
    ダルでの運転操作が可能。またATのようにクリープを利用し
    た微速走行が可能。年齢や性別を問わず、運転経験の少な
    い人でも操作がしやすい。
     AT車の操作パネルに予後診断機能を追加。これにより、
    オイルやフルターの状態をモニターし、最適な交換時期をサー
    ビスインジケーターで告知。
     三菱ふそトラック・バス㈱(MFTBC)は、「FUSOブランド」
    の中型トラック「FI」(FI1217C、FI1217R)と大型トラック
    「FJ」「FZ」(FJ1523CRMC、FJ2528R、FZ4928T)
    の5車種をタイ市場に導入した。
     2015年5月にタイで販売を開始した大型トラック「FJ」
    のミキサー車に加えて、耐久性と燃費に優れた
    「FUSOブランド」を拡大することで、ユーザーへ
    の幅広い選択肢を提供できることになった。同車
    種には、2年保証を含むアフターサービスと、24
    時間対応のロードサービスが付随する。
     追加導入モデルはFI1217C(4×2)ダンプ、
    FI1217R(4×2)カーゴ、FJ1523CRMC(4
    ×2)キサー、FJ2528R(6×2)長尺カーゴ、
    FZ4928T(6×2)トラクターの最新鋭FUSOト
    ラック5車種となる。
     同車種はイド・チェンナイの最新鋭の工場で
    生産し、タイに輸出。タイでのMFTBC車両製造と販売は、
    TanChongInternationalLimited社の100%子会社である
    FusoTruck(Thailand)Co.,LTD社(FTT社)が担当する。
     MFTBCのミャエル・カンパー取締役副社長兼セールス・
    カスタマーサービス本部長は、「私たちにとってタイはアジアの
    タイ市場…三菱ふそ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    「FUSOブランド」車種の追加でタイ市場シェア拡大を狙う
    中型トラック「FI」と大型トラック「FZ」を導入
    TheTRUCK2015年10月号91
    日産自動車の電気自動車「e-NV200」運転のしやすさと室内空間の広さを実現した「e-NV200」
    「e-NV200」は走るだけでなく電力の供給も可能だ
    タイFUSO本社前に並べられた大型トラック「FJ」1523CRMCミキサー車
    戦略的成長市場のひとつです。FTT社との緊密な
    協力のもと市場シェアの拡大につなげていきたいと考
    えています。最新モデルは当社のポートフォリオを強
    化し、お客様により多くの選択肢を提供します」と述
    べている。
     FUSOトラクは、成長市場においてユーザーニー
    ズにマッチするように開発された車両である。車両総
    重量9〜16トンの中型トラッ「FA」および「FI」
    車両総重量25トン以上の大型トラッ「FJ」「FO」
    および連結総重量49トンの大型トラッ「FZ」の合
    計5車種で展開しており、顧客へ幅広い選択肢を
    提供できることになる。
     2013年の販売開始から、現在世界13ヶ国で展開されて
    おり、2014年は同社の最大の輸出国であるイドネシアにも
    導入し、販売台数を拡大している。
     同車は、ドイツのダイムラー社が100%出資するイドの子
    会社、DaimlerIndiaCommercialVehiclesPvt.Ltd.(DICV
    社)のオラガダム工場で生産され、厳しい走行条件下での厳格
    な試験を行ない、高い耐久性を実現させる車両となっている。
     ちなみに、FusoTruck(Thailand)Com.,LTD(FTT)
    は、TanChongInternationalLimited(本社・シンガポール)
    が100%出資のMFTBCの販売、製造会社で、2009年
    に設立されている。
     なお、今回導入した「FJ」(1523CRMC)はGVW15トン
    のタイ市場仕様となっている。
     日産自動車㈱は2015年9月2日、電気自動車「e-NV200」
    を47都道府県の自治体に3年間無償貸与する「電気自動車
    (e-NV200)活用事例創発事業」を開始した。
     本事業では、「静粛性や給電機能を活かした各種作業車両と
    しての活用」「災害時の蓄電池としての活用」「中山間地域
    でのガソリンスタド減少対策」といった、より良い街づくりや行
    政課題の解決等の一助となる活用方法を考案した自治体に対
    して、「e-NV200」を3年間無償貸与し、同車を実際に活用し
    てもらう。これにより日産は、「e-NV200」の特長を活かした活
    用事例を積み上げ、全国に水平展開することにより、電気自
    動車の更なる普及を目指していく。
     日産は、ゼロ・エミ
    ションリーダーとして、
    EVの普及促進をはじ
    め、EVを活用したゼロ
    エミション社会の構築
    に向け包括的な取り組
    みを継続的に行っていく
    している。
    e-NV200無償貸与…日産自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    「電気自動車(e-NV200)活用事例創発事業」を開始
    電気自動車(EV)の無償貸与を通した事例開発
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    TheTRUCK2015年10月号92
    松江城天守の国宝指定を記念して寄贈された電気自動車「e-NV200」
     日産自動車㈱は2015年8月19日、島根県松江市が
    管理する松江城天守の国宝指定を記念して、電気自動車
    (EV)「e-NV200」を松江市に寄贈した。松江市役所にて
    同日行われた寄贈式では、日産の片桐隆夫副社長と島根日
    産自動車及び日産サティオ島根の櫻井誠己社長より、松江
    市の松浦正敬市長に記念キーが手渡された。
     今回寄贈されたEV「e-NV200」は、走行時のCO
    排出
    量がゼロという特性が、水と緑豊かな自然と歴史的な文化遺
    産や伝統に恵まれた国際文化観光都市である松江市に適し
    たモデルである。松江市には、今後同車を松江城天守国宝
    指定のPRイベントや同市の環境保全活動イベントなど、環
    境にやさしい街づくりの取り組みに役立ててもらことになる。
    なお、松江市は次世代自動車充電インフラ整備促進事業と
    して、EVの導入を促進するため、急速充電器の設置も進
    めている。
    「e-NV200」は、多目的商用バ
    「NV200バネット」をベースに、
    e-パワートレインを組み合わせるこ
    とで、「NV200」の室内の広さや
    多用途性と、EVならではの滑らか
    な加速と静粛性を兼ね備えたモデ
    ルだ。また「e-NV200」は、最大
    1500Wの電力を供給するパワープラグによって屋外での電
    源供給も可能で、走る蓄電池としてさまざまなビジネスシーン
    に役立てることができる。また、5人乗り・7人乗りのワゴン
    タイプの設定により、乗用ユースとしても利用できる車両でも
    ある。
     日産は、ゼロ・エミッション領域におけるリーダーとして、
    EVの開発、販売を行うだけではなく、EVを普及させ、持
    続可能なモビリティ社会を構築するために包括的な取り組
    みを行っており、リチウムイオンバッテリーの生産・リサイク
    ル・再利用から、充電インフラの整備にいたるまで、多岐
    にわたっている。さらに、ルノー・日産アライアンスとして、
    世界各国の政府や自治体、企業などと、既に100件を超
    えるゼロ・エミッションモビリティに関するパートナーシップを
    締結している。
    電気自動車(EV)寄贈…日産自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    松江城天守の国宝指定を記念して
    松江市に
    CO
    排出量がゼロの電気自動車「e-NV200」を寄贈
    用される女性用仮設トイレの普及活動に対しての受賞となる。
     コマツでは、労働力不足が懸念される国内の建設業界に対
    して、女性の現場進出を支援するために「女性の建設現場へ
    の進出支援ワーキングチーム」を発足し、建設機械メーカーと
    して出来る取り組みを検討している。この活動の一環として、
    建設現場で働く女性の大きな悩みのひとつがトイレの問題であ
    ることに注目し、コマツレンタル㈱がトイレメーカーと共同で、
    多種多様な現場環境に対応するため、都市型・簡易型の2
     コマツ(大橋徹二社長)は、「日本トイレ大賞」において、「女
    性活躍担当大臣男女共同参画担当大臣賞」を受賞した。「日
    トイレ大賞」は、「内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推
    進室」が主催となり、全ての女性が暮らしやすくなる空間へと
    転換する象徴となるトイレ」に関連する優れた取り組み事例を
    選定することで、女性が輝く社会づくりに資することを目的に
    実施されたもの。応募総数は378件で、このうち28案件に
    賞が贈られた。今回コマツが受賞した案件は、建設現場で使
    日本トイレ大賞…コマツ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    女性用仮設トイレ普及活動が「日本トイレ大賞」受賞
    国内の建設業界で女性の現場進出を支援
    TheTRUCK2015年10月号93
    女性用仮設トイレの内部(左・都市型、右・簡易型)(左)都市型タイプの外観と洗面台、(右)簡易型タイプの外観とフィッティングボー
    ⑴多様な建設現場の環境に合わせて、都市型と簡易型の
    2種類を用意。従来型のトイレに対する女性の意見を踏ま
    えつつ、現場環境や導入コストなども考慮したラインアッ
    プとした。
    ⑵両タイプ共通の機能として、2重ロック、着替えの出
    来るフィッティングボード、洗面台、便座除菌クリーナー、
    2連ペーパーホルダー、擬音装置、暖房便座(電源が必要)
    を備えている。
    ⑶「都市型」タイプは上下水道と電気を利用し、洗浄便座
    など一般のトイレ同等の機能を備えている。
    ⑷「簡易型」タイプはポンプ式簡易水洗のため、上下水道
    接続のない現場にも設置でき、都市型と比較して安価で
    の導入が可能。
    種類の女性用仮設トイレを開発。安全、清潔さはもちろん、
    現場で働く女性の意見を取り入れ、安心感、快適性を重視し、
    着替えなども出来るシンプルかつ機能的な空間となっている。
    このトイレを、女性が活躍している建設現場、特に東日本大
    震災の復興工事が行われている東北地区に積極的に導入し
    てもらうためのキャンペーンも行った。
     コマツではこの他にも、女性による建設機械やフォークリフト
    などの運転資格取得を支援するために、コマツ教習所㈱宮城
    センタで「女性専用教習コース」を実施しており、受講環境の
    整備や託児サービスの提供などを行っている。今後も建設現
    場の活性化と、ダイバーシティの両方の観点から、女性の現
    場進出を支援する活動を継続していくしている。
    ■コマツ女性用仮設トイレの特長