低床トレーラーとは?種類・寸法・積載量や特車申請まで解説
「背の高い重機や機械を運びたいものの、通常のトラックやトレーラーでは高さ制限を超えてしまう」という場合に活躍するのが、低床トレーラーです。低床トレーラーは、荷台の床面を低く設計することで、重機や大型機械など高さのある荷物を運びやすくしたトレーラーです。ただし、種類によって荷台の高さや寸法、最大積載量が異なるため、運ぶ荷物に合った車両を選ぶ必要があります。
この記事では、低床トレーラーの特徴や高床トレーラーとの違い、種類ごとの寸法・積載量の目安、特殊車両通行許可(特車申請)までわかりやすく解説します。
| この記事でわかること ・低床トレーラーの構造的な特徴と輸送におけるメリット・デメリット ・セミトレーラーや16輪など種類別の寸法・積載量と得意な輸送シーン ・運行に不可欠な「特殊車両通行許可(特車申請)」の基準と手続き ・運搬する荷物に応じた低床トレーラーの選び方 |
目次
低床トレーラーの基本知識|高床トレーラーとの決定的な違いとは?

低床トレーラーとは、荷台の床面を通常よりも低い位置に設計したトレーラーのことです。
高床トレーラーとの大きな違いは、地面から荷台までの高さである「荷台地上高」にあります。低床トレーラーは高床タイプよりも荷台地上高が低く設計されているため、高さのある貨物を積載した際にも車両全体の高さを抑えやすいことが特徴です。
荷台地上高を低くすることで、建設機械や産業機械など高さのある貨物を積載した場合でも、積載時の全高を抑えやすくなります。
▼トラックにおける低床・全低床・高床の違いや寸法について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
トラックの低床とは?全低床、高床の寸法や違い|メリット・デメリット・用途を解説
低床トレーラーが活躍する主な輸送シーン
低床トレーラーの主な用途は、高さや重さがある大型貨物の運搬です。
具体的には、パワーショベルやブルドーザー、クレーン車といった大型の建設機械の輸送シーンで頻繁に利用されます。
また、工場で使われる大型の工作機械やプラント設備、変圧器といったインフラ関連の重量物など、一般的なトラックでは運べない特殊な荷物の運搬にも欠かせません。
これらの貨物は高さや重量があるため、一般的なトラックや高床トレーラーでは輸送が難しく、低床トレーラーが適しているケースがあります
高床トレーラーと比較してわかる低床トレーラーの構造的な特徴
低床トレーラーが低い地上高を実現できるのは、その特殊な構造に理由があります。
一般的な高床タイプのセミトレーラーと比べ、低床トレーラーはタイヤの直径が小さい専用のタイヤを使用しています。
さらに、トレーラー前方の連結部分(グースネック)がガチョウの首のように曲がっており、荷台部分がその段差の下に位置することで、地面に近づけています。
こうした構造によって荷台地上高を抑え、高さのある貨物を積載しやすくしています。
低床トレーラーを利用する3つのメリット

低床トレーラーの利用には、主に3つの大きなメリットが存在します。
第一に、高さのある貨物の輸送が可能になること、第二に、走行時の安定性が高いこと、そして第三に、スロープを使った積み込み作業が効率化できる点です。
これらのメリットは、特殊な貨物を安全かつ効率的に運搬する上で重要な要素となります。
メリット①:一般的なトレーラーで運べない高さのある貨物も輸送できる
低床トレーラーの大きなメリットは、貨物を積載した際の全高を低く抑えやすい点です。
道路法に基づく車両の一般的制限値では、高さは3.8m(高さ指定道路では4.1m)と定められています。低床トレーラーは荷台地上高が低いため、一般的なトレーラーでは全高が高くなりやすい大型の建設機械やプラント設備などでも、積載時の高さを抑えやすくなります。
貨物や車両の寸法が一般的制限値を超える場合は、特殊車両通行許可などの手続きが必要になるため、事前の確認が必要です。
メリット②:重心が低いため走行時の安定性が高い
貨物を積載した際、全体の重心が低くなることも低床トレーラーの利点です。重心が低いと、車両は走行中に安定しやすくなります。
特に、カーブを曲がる際や高速道路で横風を受けた場合でも、車両が振られにくく、安定した走行を維持することが可能です。これは、重量物を運搬する際の横転リスクを低減させ、より安全な輸送につながる重要な特徴と言えます。
メリット③:スロープを利用した積み下ろし作業の効率が向上する
荷台の地上高が低いため、積み込みや積み下ろしの作業効率が向上します。
特に、パワーショベルなどの自走式建設機械を輸送する場合、荷台と地面を繋ぐためのスロープ(あゆみ板)の傾斜を緩やかにでき
ます。
傾斜が緩やかであれば、機械の乗り降りがスムーズかつ安全に行えるため、作業時間の短縮と作業員の負担軽減にもつながります。多くのメリットがある一方で、低床トレーラーには導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。
低床トレーラー導入前に知っておくべき2つのデメリット
低床トレーラーの導入を検討する際は、そのメリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
特に注意すべき点は、地面からの振動が荷物に伝わりやすいことと、低い地上高ゆえに段差や悪路に弱いことです。
これらの特性を把握し、輸送する貨物や経路に応じて対策を講じる必要があります。
デメリット①:地面からの振動が貨物に伝わりやすい
低床トレーラーは、荷台を低くするために比較的小径のタイヤを採用する車両もあり、仕様によっては路面からの振動が貨物へ伝わりやすい場合があります。
そのため、路面の凹凸などによる衝撃や振動が吸収されにくく、積載している荷物に直接伝わりやすいというデメリットがあります。
この特性から、精密機械や美術品といったデリケートな荷物の輸送には不向きな場合があります。
対策として、振動を吸収するエアサスペンションを装備した車両を選択することが有効です。
デメリット②:段差や未舗装路の走行には注意が必要になる
荷台の地上高が低いということは、車体の一番低い部分(腹下)と地面との距離が近いことを意味します。
そのため、踏切の通過時や急な坂道、工事現場の出入り口など、大きな段差がある場所では車体を擦ってしまうリスクが高まります。
また、轍が深い未舗装路の走行も困難な場合があります。
安全な運行のためには、あらかじめ通行ルートの路面状況を調査し、障害となる箇所を避けるといった配慮が求められます。
これらのメリット・デメリットを踏まえ、輸送する荷物に応じて適切な種類の車両を選ぶことが重要です。
【種類別】低床トレーラーの寸法・積載量・特徴を比較

低床トレーラーにはいくつかの種類があり、それぞれ寸法や最大積載量、得意な輸送シーンが異なります。
代表的なものとして、一般的なセミトレーラータイプ、さらに床面が低い中低床トレーラー、重量物輸送に特化した16輪トレーラーなどが存在します。
ここでは、それぞれの車両の一般的な諸元や特徴を比較解説し、どのような荷物に適しているかを見ていきます。
| 種類 | 荷台地上高の目安 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 低床セミトレーラー | 約600~800mm | 荷台が低く汎用性が高い | 建設機械・大型貨物 |
| 中低床トレーラー | 約400~500mm※中落ち部分 | 中央部がさらに低い | 高さのある機械・設備 |
| 16輪低床トレーラー | 車両により異なる | 多数のタイヤで荷重を分散 | 重量物・大型重機 |
| エアサス付き低床トレーラー | 車両により異なる | 振動・衝撃を抑えやすい | 精密機械など |
※寸法や最大積載量はメーカー・車種・仕様によって異なります。
一般的な低床トレーラー(セミトレーラー)の寸法・積載量の目安
最も広く利用されている低床セミトレーラーは、トラクターと連結して使用される車両です。
一般的な寸法目安は、つぎのとおりです。
| ・約:9,000mm~12,000mm ・幅:2,500mm~2,990mm ・荷台の地上高:600mm~800mm |
最大積載量は、車軸の数によって異なりますが、およそ20トンから30トンの範囲が主流です。汎用性が高く、多くの建設機械や大型貨物の輸送に用いられています。
▼セミトレーラーについては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
セミトレーラーとは?フルトレーラーとの違い|構造・寸法・種類・メリット・運転時の注意点
さらに床が低い「中低床トレーラー」の特徴と用途
中低床トレーラーは、別名「中落ち(なかおち)」や「ドロップデッキ」とも呼ばれ、荷台の中央部分が一段低くなっている構造が特徴です。
この「中落」部分の地上高は400mm~500mm程度と、一般的な低床トレーラーよりもさらに低く設計されています。
この構造により、特に背の高い貨物を積載しても全高を抑えることが可能です。
主な用途としては、高さのあるコンテナや、全高が特にシビアになる機械類の輸送などで活躍します。
重量物輸送に特化した「16輪低床トレーラー」の積載能力
16輪低床トレーラーは、その名の通り左右に8輪ずつ、合計16個のタイヤを持つトレーラーです。
タイヤの数を増やすことで1つのタイヤにかかる荷重(軸重)を分散させ、法律の基準内に収めながら、より重い荷物を運ぶことが可能になります。
これにより、最大積載量は30トンを超えるものも多く、中には50トン以上の重さに対応できる車両も存在します。橋桁や大型プラントの部材、特大の重機など、極端な重量物の輸送に特化した車両です。
精密機器の運搬に適した「エアサス付き低床トレーラー」の役割
エアサス付き低床トレーラーは、サスペンションに金属のバネではなく、空気圧を利用したエアスプリング(エアサス)を搭載した車両です。
このエアサスが路面からの衝撃や振動を効果的に吸収するため、荷物への影響を大幅に軽減できます。
振動が伝わりやすいという低床トレーラーの弱点を補いやすいため、半導体製造装置などの精密機械、医療機器、サーバー、美術品といった、わずかな衝撃でも故障や破損のリスクがあるデリケートな荷物の運搬に適しています。
これらの車両の多くは、公道を走行するために特別な許可が必要となります。
低床トレーラーをお探しの方へ
トラック流通センターでは、低床・16輪などさまざまな仕様のトレーラーを掲載しています。運搬する重機の重量やサイズ、必要な積載量に合わせて車両をお探しいただけます。
低床トレーラーは特車申請が必要?特殊車両通行許可の基準

低床トレーラーだからといって、必ず特殊車両通行許可(特車申請)が必要になるわけではありません。
道路法に基づく車両の一般的制限値を一つでも超える場合には、原則として特殊車両通行許可を受けるか、特殊車両通行確認制度によって通行可能な経路の確認を受ける必要があります。
低床トレーラーは、車両の仕様や積載する貨物によって幅や長さ、総重量などが一般的制限値を超えるケースがあるため、運行前に車両と貨物を含めた寸法・重量を確認することが重要です。
なぜ低床トレーラーに特車申請が必要になるのか?
特車申請が必要となる理由は、低床トレーラーが車両の大きさや重さに関する「一般的制限値」を超えるケースが多いためです。
道路法では、道路の構造を守り、交通の安全を確保するために、公道を自由に通行できる車両の寸法や重量に上限を設けています。
低床トレーラーは、幅が2.5mを超えたり、積載時の総重量が基準を超過したりすることが多く、これらの制限を超える車両は「特殊車両」として扱われます。
したがって、許可なく公道を走行すると法律違反となるため、事前の特車申請が不可欠です。
特車申請が必要となる車両の基準(一般的制限値)を解説
特車申請が必要かどうかを判断する基準となるのが「一般的制限値」です。この制限値は、車両の寸法と重量について具体的に定められています。
主な項目は以下の通りです。
| 項目 | 制限値 |
| 幅 | 2.5m |
| 全長 | 12m |
| 高さ | 3.8m(高さ指定道路では4.1m) |
| 最小回転半径 | 12m |
| 総重量 | 20t |
| 軸重 | 10t |
| 輪荷重 | 5t |
総重量は、高速自動車国道および重さ指定道路では、車両の長さや軸距などに応じて最大25トンとなります。
低床トレーラーは、特に幅が2.99メートルであったり、車両総重量がこれらの値を超えたりすることが多いため、特車申請の対象となります。
特車申請の基本的な手続きの流れと準備すべき書類
特車申請の基本的な流れは、つぎのとおりです。
| ①通行経路の選定 ②申請書類の作成 ③道路管理者への申請 ④審査 ⑤許可証の交付 |
申請には、主に以下の書類が必要です。
|
・特殊車両通行許可申請書 |
これらの書類を揃えて窓口やオンラインで申請します。
手続きは専門的な知識を要するため、行政書士などの専門家に代行を依頼することも一般的です。適切な許可を得ると同時に、運ぶ荷物に合わせて最適な車両を選ぶことが輸送成功の鍵です。
【用途別】低床トレーラーの選び方
最適な低床トレーラーを選ぶには、運搬する荷物の特性を正しく理解することが最も重要です。荷物の高さ、重さ、形状、そして振動への耐性などによって、適した車両の種類は大きく異なります。
車両選定を誤ると、輸送そのものが不可能になったり、荷物を損傷させたりするリスクがあります。ここでは、代表的な運搬物ごとに適した低床トレーラーの選び方を解説します。
大型建設機械・重機を運ぶ場合
大型建設機械や重機を運搬する車両選びでは、貨物の重さと積み込み方法を最優先に検討する必要があります。まず、運搬する重機の重量が車両の最大積載量を超えないことが絶対条件です。特に重量がある大型機の場合は、車軸を増やして荷重を分散させる16輪などの多軸トレーラーが適しています。
自走可能な重機を運搬する際は、荷台への乗り降りをスムーズにするスロープの有無が作業効率を左右します。スロープの傾斜が緩やかであれば、転倒などの事故リスクを抑えつつ安全に積み込みが行えます。車両の幅や高さが運行ルートの制限内に収まるか、事前に諸元を詳細に確認することが重要です。
高さのある機械・設備を運ぶ場合
背の高い工作機械や大型のプラント設備を運搬する際は、積載時の全高が道路法による高さ制限を超えないよう、中低床トレーラーや低床トレーラーが選択肢となります
一般的な高床車両ではトンネルや高架下などの障害物を通過できず、運搬そのものが困難になります。荷台の地上高が極めて低い車両を活用し、貨物の重心を下げることで、高さ制限の回避とあわせて走行時の安定性も確保できます。
ただし、車高が低い分、道路の起伏や段差で車体底部を擦るリスクがあるため、事前に通行ルートの路面状況を詳細に確認し、安全に運搬できる経路を計画することが重要です。
振動に弱い精密機械を運ぶ場合
振動や衝撃に極めて弱い精密機械を運搬する際は、車両の振動対策が最も重要な判断基準となります。このケースでは、路面からの突き上げを効果的に吸収できるエアサスペンションを装備した、エアサス付き低床トレーラーが有力な選択肢となります。
通常の板バネを使用した車両では、走行中の細かな振動が荷台へ直接伝わり、精密機器の故障や破損を招く恐れがあります。
また、安全な運搬を実現するためには車両性能だけでなく、走行ルートの選定や特殊車両通行許可の取得も欠かせません。事前に適切な許可を得た上で、衝撃を最小限に抑える丁寧な運転技術と、確実な固定ノウハウを持つ専門業者へ依頼することが輸送成功の鍵となります。
低床トレーラーを選ぶ際に確認したいポイント
低床トレーラーを選定する際は、まず荷物の正確な寸法と重量を把握し、車両の最大積載量や荷台寸法に収まるかを確認する必要があります。特に高さのある荷物の場合、荷台の地上高が数センチ異なるだけで通行ルートの選択肢が変わるため、事前の詳細な照合が欠かせません。
車軸やタイヤ数による荷重分散能力、エアサス等の装備有無も、荷物の保護や法規制クリアのために重要な確認事項です。また、トラクタとの適合性や、低床ゆえに発生する段差での車体接触リスクも考慮しなければなりません。特殊車両通行許可の申請が必要なサイズかを早期に判断し、運行までのスケジュールに余裕を持たせることが、安全な輸送を実現するための鍵となります。
条件に合うトレーラー選びでお悩みの方へ
低床トレーラーは、運搬する荷物の大きさや重量、必要な荷台寸法などによって適した車両が異なります。トラック流通センターでは、ご希望の用途や条件を伺いながら、全国の中古トラック在庫から条件に合う1台をご提案します。
低床トレーラーに関するよくある質問
低床トレーラーの利用を検討するにあたり、多くの方が疑問に思う点があります。
ここでは、車両の種類の違いや、法的な手続きである特車申請、そして輸送可能な貨物の寸法や制限に関するよくある質問について、簡潔に回答します。
低床トレーラーと中低床トレーラーは具体的にどう違う?
荷台の形状が異なります。低床トレーラーとは、荷台全体がフラットかつ低い構造の車両です。
一方、中低床トレーラーは、荷台の中央部分が車輪のある前後よりもさらに一段低く落ち込んでいる「中落(中落ち)」構造になっています。この構造により、特に高さのある貨物を輸送する際に、全体の高さをより低く抑えることが可能です。
特殊車両通行許可(特車申請)は自分でできる?
はい、申請者自身で行うことは可能です。
しかし、通行経路の設定や車両の諸元、軌跡図といった専門的な書類を多数作成する必要があり、車両諸元や通行経路などの情報を準備する必要があります。
そのため、手続きに不安がある場合は、行政書士や輸送を依頼する運送会社などへ相談する方法もあります
低床トレーラーでは運べないものはある?
はい、運べないものも存在します。
まず、各トレーラーが持つ最大積載量や寸法を超える荷物は物理的に運搬できません。
また、特殊車両通行許可で認められたルート、重量、寸法といった制限を超える条件での輸送は法令違反となります。危険物など、輸送に際して別途特別な許可や資格が必要な荷物も、対応できない場合があります。
まとめ
低床トレーラーとは、荷台の床面を低く設計することで、背の高い建設機械や大型設備などの輸送を可能にする特殊車両です。
その利用には、高さのある貨物を運べる、走行が安定するといったメリットがある一方、振動に弱いなどのデメリットも存在します。
寸法や最大積載量によって16輪や中低床といった種類があり、運ぶ荷物に応じて最適な車両を選ぶ必要があります。
また、車両や積載物を含めた寸法・重量が道路法上の一般的制限値を超える場合には、特殊車両通行許可などの手続きが必要です。
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