トラックのお役立ち情報

土日祝 営業 [営業時間 9:00-21:00]

0120-918-101

【MaaS】フィンランドの画期的なMaaS 事業者Kyyti

永年培った車体技術で
不可能を可能にします
移動販売店舗車
 3トン車タイプ(拡幅式)
移動理美容車
 「イノベーション」3トン車タイプ(拡幅式13.2㎡)
■物流車
 電動式リフトウィング車
物流車水平脱着ボデー
物流車
   空ドラム缶運搬車
物流を創造する
オオシマからの提案
永年培った車体技術で
不可能を可能にします
オオシマ自工株式会社
〒742ー0023 山口県柳井市南浜4丁目3ー7 
TEL0820ー23ー3800 FAX0820ー23ー3801
http://truck.oshimajiko.co.jp/
エアーを抜いた状態
ゴムベルトの収縮によ
り、薄くなった状態
エアーにより膨らんだ
 状態
約5トンの圧力で固定
(エアーホース∅310㎜)

一般社団法人
電気自動車普及協会
2019
次世代ビークル展
新しいトラックショー
主催事務局:次世代ビークル展運営委員会
開催ご案内
会場:幕張メッセ国際展示場
会期:2019年
10月1日(火曜日)
10月2日(水曜日)
10月3日(木曜日)
特装車とトレーラ展(TTSショー)改題
http://www.truck-x.com

ITV2019年5月号14
 全国の主要なトラック運送経営者約2000社が一年に一度集う「全国トラック運送事業者大会」
が2019年は10月2日、千葉県の幕張メッセで開催されます。昨年6月、私達はこの幕張メッ
セでトラック・トレーラを対象の『TTSショー』を開催しましたが、次回は、全日本トラック協
会が主催する第24回トラック事業者大会に合わせて、新しいトラックショーを、大会会場に隣接
する7ホールで開催することになりました。全国の主要トラック事業者が関東で集うのはほぼ10
年に一度です。新時代に向けた新技術を提案する絶好の機会です。
 第一次産業革命をもたらした蒸気機関の発明から僅か250年足らず、今日では自動車や列車、
船舶や航空機など、あらゆる移動体(ビークル)が加速度的に変化しようとしています。
 その要因のひとつがIoT(モノインターネット)です。あらゆるモノがネットワークにつなが
り、リアルタイムで情報をやり取りすると様々なデータを蓄積することができます。例えば、自
動車をネットワークにつなぐと渋滞や道路工事の有無、事故や路面の状況などのデータをリア
ルタイムで集め、他の運転者と情報を共有することが可能になります。
 更に、人知を超えた働きをするのがAI(人工知能)です。IoTで集めたデータを分析し、その
規則性を見つけたり、実際に機械の制御もします。例えば自動車、立体化された(3D)地図に周辺
車両や歩行者、信号、渋滞、事故、交通規制、路面などの情報をIoTから受け取り分析することで、
AIによる自動運転が可能になります。
 これらの新しい技術を搭載した移動体を私達はITV(アイ・ティ・ビークル)と呼ぶことにし
ました。ITVはIntelligentTransportVehicleの略称ですが、ITにはInformationTechnology
(インフォメーション・テクノロジー)、すなわち情報技術の意味も含まれています。
 私たちは1977年から約30年間東京トラックショーを開催しました。物流が劇的に変化した
この時代、ウイングボデーや冷凍車など様々な車両が開発され、このトラックショーで飛躍的
に発展した経緯があります。
 トラックも既に自動運転や追随走行の技術はほぼ完成のレベルに到達しています。ITVの時代
になれば安全も飛躍的に向上する筈です。さらに排出ガスを出す車両は世界的に生産・販売を禁
止する方向なので、動力は電気に移行せざるを得ません。
 2019年10月に開催する『ITV』では、トラック・バス、トレーラー、特装車などの展示と合わ
せて、加速度的に変化する次世代ビークルの諸問題をユーザーと一緒に考えたいと思っています。
 株式会社ベネッセホールディングスの福武總一郎氏の「未来の子供たちのために、美しい地球を残した
い」の趣旨で設立された一般社団法人電気自動車普及協会(横川浩会長)とは、今回も共同開催となります。
 この時期、最先端の技術を展示する「ITVショー」は必ずや世界に衝撃を与えることでしょう。
関係各位のご支援、ご協力を衷心より願い申し上げます。
         2018年11月吉日
株式会社日新
代表取締役社長横路美亀雄
2019年全国トラック運送事業者大会と同時開催
運送経営者が集う幕張で新しいトラクショー

ITV2019年5月号15
2019
次世代ビークル展 開催概要
【会期・会場】
1.名 称 2019
次世代ビークル展
(英文名:IntelligentTransportVehicle2019)
     《テーマ》時代が変わるビークルも変わる
2.会 期 2019年10月1日㈫、2㈬、3㈭の3日間
3.会 場 幕張メッセ 国際展示場 7ホール(6.750㎡)&屋外会場
4.主 催 ㈱日新・次世代ビークル展運営委員会
5.出展対象①国内および海外の自動車メーカー
②車体メーカー、トレーラーメーカー 
③電気自動車など各種ビークル(移動体)およびロボッ
④関連機器、部品、材料
⑤安全・環境機器およびシステム
⑥各種関連ソフト
6.来場者対象 トラック運送等物流関係者、自動車産業関係者、先端技術関係者、
       海外関係者、および報道関係者など(1万5000人を予定)
【講演会およびシンポジウム】
トラックメーカーの新時代への挑戦
自動運転技術の現状と将来展望に関する講演
次世代ヒークルに関するシンポジウム
■後  援:公益社団法人全日本トラック協会
公益社団法人新潟県トラック協会 一般社団法人静岡県トラック協会
一般社団法人愛知県トラック協会
公益社団法人新潟県トラック協会 一般社団法人静岡県トラック協会
一般社団法人愛知県トラック協会
■協  賛:関東トラック協会
一般社団法人東京都トラック協会 一般社団法人神奈川県トラック協会
一般社団法人千葉県トラック協会 一般社団法人埼玉県トラック協会
一般社団法人栃木県トラック協会 一般社団法人群馬県トラック協会
一般社団法人茨城県トラック協会 一般社団法人山梨県トラック協会
次世代ビークル展運営委員会
〒104ー0061 東京都中央区銀座2ー11ー9 三和産工ビル7階(㈱日新内)
TEL03ー6278ー8905 FAX03ー6278ー8906
直通090ー5538ー2007(横路)
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Eメールyokoro@nissin-news.co.jp

ITV2019年5月号16
展示ホール
展示ホール
③④⑥⑦⑧
中央エントランス
幕張メッセ空撮
7ホール屋外展示場
展示ホール
展示ホール
③①④⑥⑧

⑦ホール
会場
6,750㎡
屋外展示場
中央エントランス
幕張メッセ空撮
会場案内幕張メッセ
国際展示場
7
ホール(6,750㎡)
会場付近見取図
メッセ
駐車場
海浜
幕張駅
幕張イベントホール
国際
会議場
全国トラック運送
事業者大会会場

ITV2019年5月号17
●屋内展示場
5m
5m
25㎡
●屋外展示場
10m
5m
50㎡
*上記の出展料は税別です。ご請求時に消費税分を加算させていただきます。*「屋内・スペース渡し」は国際展示場7ホール(屋内会場)の設定とな
ます。*出展申込み受付期間は2018年(平成30年)11月1日から2019年(平成31年)7月31日(特割は2019年(平成31年)11月31日
締切)までとなります。*特別割引は出展料の10%引きとなります。*床面耐荷重は屋内・屋外とも5t/㎡です。*「基礎小間渡し」の出展料には基
本的なシステムパネルの施工費用が含まれています。*出展位置(会場レイアウト)は、使用面積、来場者動線及び消防規定等を考慮して主催者側で
決定します。*展示スペースが予定の規模に達した場合は、出展受付期間内であってもお申し込みをお断りする場合があります。
〈電車でご来場の場合〉
JR京葉線ー海浜幕張駅(東京駅から約30分、蘇我
駅から約12分)から徒歩約5分。
JR総武線・京成線ー幕張本郷駅(秋葉原駅から約
40分)から「幕張メッセ中央」行きバスで、約17分
〈バスでご来場の場合〉
高速バスで成田空港より約40分。
 京成バスURL:http://www.keiseibus.co.jp/
〈スペース渡し〉基本図
〈基礎小間渡し〉
基本図
出展区分 ペー 料金(円) 単価(円) 展示エ
A 屋外ペー 10m × 5 50 300,000 6,000 屋外展示場
B 屋内ペー 5m × 5 25 400,000 16,000
7ホ
C 屋内基礎小間渡 3m × 3 9㎡ 250,000
28,000 7
幕張メッセ アクセスガイ
【スペース渡し】は、仕切りパネルなど事務局側の施工はありませ
ん。複数のブロックを連続して利用する場合、屋外(50㎡/1ス
ペース)は長手10m面を接続する横付けが基本となります。屋外
(25㎡/1スペース)の組み合わせは原則自由ですが、会場レイ
アウトの都合上、ご希望に添えない場合もあります。(複数スペー
スを使用する場合は申込書に組み合わせ図をご記入くさい)
【基礎小間渡し】は、システムパネルを事務局が施工します。基
本的なパネル施工はバックパネルと左右のサイドパネルになりま
す。複数小間を利用する場合は中間パネルは施工しません。出
展料に基本的なシステムパネルの施工費用が含まれています。
2019
次世代ビークル展 開催概要

出席者全員で一致団結のシュプレヒコール
 ITV・次世代ビークルショーと同時に同じ会場で開
催される『全国トラック運送事業者大会』は、公益社団
法人全日本トラック協会が平成8年から毎年開催して
いる全国規模のトラック運送事業者の決起集会で、今
年の幕張メッセが24回目となります。
 この『全国トラック運送事業者大会』には、各都道
府県トラック協会の主要事業者は殆ど出席されますの
で、参加者は1500〜2000人にもなります。
 前回の第23回全国トラック運送事業者大会は四国
ブロックの担当で2018年10月10日に香川県高
松市で開催されました。
 前回は午後1時から全体会議、1時半から「交通事
故防止対策と健康管理の推
進について」「人材確保対策
と働き方改革について」と題
して、ふたつの分科会が開催
され、熱心に議論が行われま
した。また、午後3時からは、
著名人の記念講演会、4時
10分から全体会議を再開し
て、トラック運送事業者の健
全な発展を目指す10項目
スローガンを採択、大会決議
として閉幕しました。(写真は
過去の事業者大会)
『全国トラック運送事業者
大会』には、全国から多数の
事業者が出席されますが、
ITV・次世代ビークルショーの
会場は通路を挟んだ対面ですので、10月1日の午
後、10月2日の午前、10月3日はご来場頂けます。
 最近のトラック運送業界は、運転手不足に加えて、
働き方改革が経営に大きな課題となって圧し掛かって
います。また、効率輸送を目的のトレーラ化やスワ
ップボデーの導入にも国土交通省は支援しているほ
か、女性労働力の活用にも力をいれています。 車
両メーカーではこれらのニーズに応えて各種技術を
開発、無人運転や電気化の実用化に取り組んでいま
す。今回のITV・次世代ビークルショーは、これら先
進技術を全国のトラック運送事業者にご覧頂く絶好の
機会です。
『全トラック運送事業者大会』(全ト

同じ会場(幕張メッセ)で開催します
2019
次世代ビークルショーは
ITV2019年5月号18

懇親会
全体会議
トラクショ
著名人の講習に耳を傾ける出席者
分科会で学習

主催)と
ITV2019年5月号19

ITV2019年5月号20
時代の変遷に合わせた誌名の改題
 本誌は昭和40年代のはじめ、一般社団法人日本
自動車車体工業会の会員で特装車を手がける複数
の企業が出資して創刊した『特装車』が始まりで、数
年後に当時個人で自動車車体通信車を営んでいた
増田周作氏が編集を引き継ぎ、『特装車とトレーラ』
改題している。
 昭和40年代初頭は高度経済成長期で、鉄道や
道路、河川や港湾の整備などに多額の公共投資が
注ぎ込まれ、都市の復興も盛んになった時期である。
この時期必要となった輸送機材は土砂等を運ぶダン
プや生コンクリートを運ぶミキサー車に加えて建設資
材を運ぶ強化トラックなどである。また、現場で活躍
する油圧クレーン車や生コンを打設するコンクリートポ
ンフ車、電線を張る高所作業車なども次々に開発さ
れた。
 この時期“国造り”に貢献したのがこれらの特装
車で、特装車メーカーが相互に情報を共有する目的
『特装車』が機関誌として創刊されたものと思われ
る。しかし、機関誌の出版は資金や情報源の確保
に加えて、独自の編集ノウハウが必要で、業界団体
としては少し荷が重かったのかも知れない。しかし、
時代のニーズに応えて『特装車』を創刊した当時の関
係者は称賛に値する。
 ほぼ同じ時期、全日本トラック協会はアメリカに「米
国トラック運送事業視察団」を派遣する。当時のアメ
リカは兵
󱢹󱢃󱢠󱣔
站のノウハフを活用した物流がダイナミックに
展開されており、その主役となっていたのが連結車
両、所謂トレーラである。
 本誌の編集を引き継いだ増田周作氏が最初に対
談したのが、団長として「米国トラック運送事業視察
団」を引率した前田源吾愛知陸運社長(当時)で、米
国のトレーラによる大量輸送の実態を生々しく語り、
わが国の方向性も示唆した。
 この対談によって、日本のトラック輸送もトレーラ化
が促進されると確信した増田周作氏は誌名を『特装
車とトレーラ』に改題した。現実に、当時の運輸省は
トレーラ化を積極的に推進する方針を打ち出し、民
間の大手輸送業者や関係団体でダブルストレーラの
試運行も10年間にわたって実施した。
 しかし、日本のトレーラ化は遅々として進まなかっ
た。理由は山坂の多い日本の道路事情に加えて、
道路を管理する道路法・車両制限令と運送を管理す
る道路運送車両法・車両保安基準の一元化が出来
なかったことや、トラックメーカーに比べてレーラメー
カーの資本力、営業力が大きく劣っていたことがあげ
られる。しかし、『特装車』から『特装車とトレーラ』
の誌名変更は当時のニーズには合致していたように
思う。
 昭和46年、本誌は大型の長距離フェリーをセン
ラルフェリーから借りて、東京湾でトラックの乗降を兼
ねたキャンペーンを実施した。鉄道もトラック輸送も飽
和状態が予想されるので、当時の運輸省は長距離
フェリーへのモーダルシフトを進めており、トラック産
業界も関心を示していたからである。
 筆者は昭和48年春、高知の南国野菜を長距離フェ
リーで首都圏に輸送する物流視察に参加したことが
縁で、本誌の編集に参画することになったが、その
後の視察セミナー(呉越会)で、主催者として殆どの
長距離航路に乗船したが、多くのフェリーがトレーラ
社告
本誌を『月刊ITV』に改題します
加速度的に進化する
ITSの先端情報誌に
株式会社 日 新
取締役社長 
横路美亀雄

ITV2019年5月号21
による無人航送となっており、図らずも“トレーラ専門
誌”の役割も担うことになった。
 昭和50年代に入ると、トラックに対するニーズが
大きく変化する。その背景となるのが物流に対するシ
ステム思考の実践である。筆者が当時の日本物流管
理協議会(現在の日本ロジスティクスシステム協会)
主催したセミナーで、ミシガン大学のスマイケイ(E.
W.Smykay)教授の物流管理論を聴講したのは、
昭和46年頃のこと。「経済活動の一端である輸送、
保管、荷役、梱包、情報をシステム的に構築すれば、
商流を根本的に変えることが出来るので、ムダをなく
して大きく経済を押し上げることか出来る。という論
調に目からウロコが落ちた思いがしたものである。
 スマイケイ(E.W.Smykay)教授の物流管理論
の基本になっているのは、ユニットロードである。流
通させる“物”を寸法、重量とも規格化し、それを
組み合わせることでユニット化すれば、荷役も保管も
輸送も画一化できるので、大幅な省力化、効率化で
コストダウンが実現する。日本も11型パレッ(1100
×1100ミリ)をJISで一貫輸送用に定めて普及を図っ
ていたが、フォークリフトも少なくて、トラックはまだ肩
荷役が大勢を占めていた。
 日本のトラック荷役が劇的に変化したのは、箱型ボ
デーの側面をダイナミックに開閉するウイングボデーの
登場である。その元になっているのは日本に進出した
コカコーラの拠点間輸送をパレットで輸送するために
開発されたボデーで、当時の加藤車体工業(現在の
パブコ)日本フルハーフがパテントを取得した。しか
し、原型を考案したのは日通商事の車体エンジニア
である。このウイングボデーの登場で、日本のユニッ
トロードは大きく前進し、保管も立体倉庫でパレットの
まま保管される事になる。
 また、家庭に冷蔵庫が普及したことで、冷凍食品
などコールドチェーンを必要とする食品が大量に流通
することになったことも、物流が大きく変化する要因に
なった。昭和48年には本誌の提唱で日本自動車車
体工業会は東京の絵画館前広場で第1回冷蔵・冷
凍車ショーを開催したが、温度管理車の普及でコー
ドチェーンは大きく前進した。
 新しい物流管理システムやコールドチェーンの普
及で、日本のトラック輸送が大きく変化する兆しが見
え始めた事から1984年7月、本誌は車体産業界
を中心とする第1回トラックショーを晴海の国際展示
場で開催すると同時に誌名を『特装車とレーラ』から
『ニュー・トラック』に改題した。
 元々、日本自動車車体工業会の有志で立ち上げ
た機関誌であったが、この誌名変更で業界誌から専
門誌への質的転換を目指したのである。この誌名改
題に対しては、賛否両論様々な意見が寄せられた。
しかし、隔年で開催したトラックショーは回を追うごと
に拡大して、本誌の読者もトラック運送事業者から荷
主まで広がり、『ニュー・トラック』は文字通り、新しい
トラック情報誌として定着した。
混沌の中での『月刊ザ・トラック』への改題
 誌名を『ニュー・トラック』に改題して24年後、本
誌が大打撃を被ったのは2008年暮れに起きたリーマ
ンショックである。
 東京トラックショーは日新出版が主催、平成元年に
設立した日新企画が運営を担当する体制が2011年
インテリジェント・トランスポート・ビークル

ITV2019年5月号22
まで続いた。筆者は主催者の立場で企画・運営も
担当していたが、現場で采配を振るったのは現在の
於久田幸雄編集長である。極めて小規模の組織で
30年近くトラックショーを開催した例は他にない筈
である。
 2007年に東京ビッグサイトで開催したトラックショー
は市場の好転もあって過去最大規模となり、次の
2009東京トラックショーは、規模を大きく拡大して開
催する方針を固め、会場も確保していた。しかし、
2008年に勃発したリーマンショックは日本のトラック産
業界に深刻な打撃を及ぼし、トラックショーも予定して
いた出展企業は、潮が引くように出展を取りやめる事
態に陥った。
 トラックメーカー4社の内、2社が外国資本となり、
車体産業も破綻が相次ぎトラック産業界は根底から
崩れることになった。当然ながら2009東京トラック
ショーは開催不可となる一方、本誌の読者も一気に
激減、出版の存続も危うい状況に陥ってしまった。
 物事は不思議なもので、悪夢は連鎖を繰り返して
迷路へと続く。2009東京トラックショーは現実には開
催不可の状況であったが、無理を承知で開催を強行
した。結果的に会社(日新企画)は多額の負債を抱
えて事実上経営が破綻した。
 社員全員に解雇を通告したのは2009東京トラック
ショーを開催した翌年の正月で、内外から非難の声
が殺到した。筆者はどん底に落ちた以上、全責任を
一身で受け止め、会社設立当時への“原点回帰”
を考えていた。
 ところが不幸の連鎖は止まることはなかった。間も
なく苦楽を共にしてきた増田周作氏に膵臓ガンが発
覚、手術は成功したが体力は一気に減退、もの事に
対する考え方も大きく変化することになる。
 2011年10月、丸裸になった筆者は多額の負債を
抱えたまま、ほぼ単独で2011東京トラックショーを開
催した。併せて、電気自動車産業展と中古トラックフェ
アも同時開催した。背水の陣で臨んだ2011年の展
示会は出展者の支援もあって成功裏に終わり、多額
の負債も3分の2を返済することが出来た。ところ
が、更に大きな課題が勃発する。
 膵臓がんで価値観が大きく変わった増田周作氏と
筆者の間に大きな亀裂が生じたのである。詳細は差
し控えるが、原点回帰は出来ないと判断した筆者は
増田周作氏を蚊帳の外に置いて出版を継続した。
 筆者は体が減退した増田周作氏を仕事から外すこ
とで、残り少ない人生を悠々自適に過ごしてくれる事
を期待していた。ところが大正生まれの“いごっそう”
は身体は病んでも精神は衰えず、筆者とは別に同じ
事務所で出版を強行したのである。
 2012年6月、筆者が月刊ニュー・トラック7月号
を発行して間もなく増田周作氏は「新創刊」と銘打っ
て、同じニュー・トラックの名称で7月号を読者に送
りつけたのである。驚いたのは、読者と広告主であ
る。同じ出版社から二冊の月刊ニュー・トラックが届
いた訳だから当然である。しかも発行者はどちらも増
田周作となっているので、読者は日新出版に異変が
起きている事は分かるが、内情までは伝わっていな
かった。
 増田周作氏が新創刊7月号を発行した時点で、
筆者が編集する月刊ニュー・トラックは8月号の原稿
を印刷所に入れる段階に至っていた。増田周作氏の
体力を考えると、とても月刊誌を継続てきるとは思えな
かったので、筆者は8月号も予定通り発行した。とこ
ろが、増田オーナーも新創刊2号として8月号を制
作し、読者に送りつけた。しかも、広告掲載料と購
読料も請求したので、筆者の周辺は蜂の巣をつつい
たような騒ぎとなった。
 もともと筆者は月刊ニュートラックを単独発行する気
持ちは皆無だったし、増田周作氏が病を押してまで、
月刊誌を発行するのであれば、筆者が身を引くのが
筋である。
 筆者が増田周作氏と袂を分かって銀座の事務所を
出たのは2012年8月のことである。この時点で日新
企画は、2012年9月、本社を一旦筆者の自宅(東京
江東区)に移し、誌名を『月刊トラック・エックス』に、
社名も株式会社日新に改めて再スタートした。『月刊ト
ラック・エックス』は2014年3月号まで継続する。
 一方の日新出版は、筆者が出たあと新たな体制を
整えて月刊ニュー・トラックを継続、2013年には東京
トラックショーも開催している。これで一旦は終息した
かに見えた日新出版の混乱は、まだ終わらなかった。
 2012年6月、増田周作氏はトラックショーの開催
で縁のあった某氏に日新出版の経営を託して他界す
る。詳しい内容は知らされていないが、日新出版の
経営権は増田家が引き継ぎ、運営は某氏に委託した
のではないかと思われる。某氏は筆者とも旧知の仲
であったが、少し山っ気のある人物である。
社告

ITV2019年5月号23
 もともと出版ノウハウのない某氏は月刊ニュー・トラッ
クの継続は難しいと判断、筆者にも内々に連絡、増
田家を説得して月刊ニュー・トラックを休刊する。同
時に、筆者は月刊トラックエックスの誌名を『ザ・トラッ
ク』に改題、月刊ニュートラックの読者を引き継いだ。
2014年4月のことである。
改めて2017年にTTSショー開催へ
 結果的には、大病で価値観の変わった増田周作
氏を蚊帳の外に置いたことが混乱の元であるが、“業
界ジャーナリズム”を標榜し、攻撃的な生き方しか出
来なかった増田周作氏は、最期の矛先を筆者に向け
ることで“生き甲斐”を見出したのではないかと思う。
その意味では恩返しになったのかも知れない。
 一方、東京トラックショーは2013年に某氏が主体
となって開催したので、この主催権を得たいと別会社
を設立、筆者にも密かに協力要請があった。その時
点では状況が明確でなかったので、回答を避けてい
たが、増田家からの激しい抵抗に合い、トラックショー
乗っ取りは断念したようである。
 水面下でどのような事態が起きていたのか知るよし
もないが、某氏は筆者に2015東京トラックショー開
催を断念した理由として、一通の手紙を示した。そ
の内容は金銭を要求するもので、差出人は有名なあ
る組織とその代表者となっていた。
 某氏はその手紙を筆者に示したあと「実は内心
ほっとしている。2015東京トラックショーは色々あって
開催が難しいと思っていた矢先で、この手紙はトラッ
クショー中止の口実にすることが出来た。と語った。
某氏は増田周作氏が日新出版の後を託した人物であ
るが、大きく人選を誤っていることを確信した瞬間で
もある。
 月刊誌は『ザ・トラック』として曲がりなりにも継続し
ているが、このままでは東京トラックショーも消滅して
しまうのではないか、という危機感が筆者の中に生じ
ていた。時を同じくして、筆者の良き理解者から「水
面下でトラックショー開催の準備進められている。相
手は横路さんの力を借りたいと言ってる。一度会って
みないか。という。半信半疑ではあったが、その人
物を日新の事務所に招き、事情を聞くと、依頼者は
増田家だという。
 某氏が2015東京トラックショーを中止した理由が、
その手紙であることを筆者は知っていたので、経緯
を報告し状況を分析した結果、「俄にトラックショーを
開催することは難しい、沈静化するまでお互い軽率
な行動は慎む。開催する時はお互い協力する。とい
う事で意見が一致した。筆者の知人も同席している
ので、その約束事は崩れないと筆者は考えていた。
 ところが、暫くして相手は筆者を無視して、開催に
向けた準備を進めているという情報が筆者に寄せら
れた。なぜそういう事になるのか、筆者は会談に同
席した知人に食って掛かると、知人も裏切られた想
いがあるので「相手がその気なら、こちらも先手を打
たないと潰されるぞ、会場を押さえて(予約)早急に
出展者を募れ。とけしかけてくる。
 東京ビッグサイトは某氏がトラツクショーを中止した
ばかりなので、予約を受けるとは考えにくいので、幕
張メッセに担当者を訪ねた。幕張メッセはこちらが約
30年の実績を積んでいることを知っているので、会
場を確保することは出来た。
 暫くして、相手主催者の国際総合物流研究所から
面談の要請がきた。筆者が幕張メッセを予約してい
るので、会場がなくて焦っている様子である。
 筆者も開催に自信があって予約しているのではな
いので不安がある。何度か話し合いを続けたが、一
向にラチが開かない。暫くして、国際総合物流研究
所はパシヒコ横浜で2016ジャパントラックショーを開
催するとの情報が伝えられた。私と打ち合わせを重
ねた責任者も会長職を解かれていたので、相手主催
者も内部的に色々な問題があったのかも知れない。
 こちらも2016年のトラックショー開催に向けて、幕
張会場を予約しているので、引くに引けないところに
追い込まれていた。いろいろ手を尽くすが出展が揃
わない。まだ混沌とした印象が色濃く残っているし、
ライバル意識が背景にあるので、出展者にもその不
安が伝わる。一旦は矛を収める形で2016年の開催
を延期、2017年に『TTSショー』として開催すること
を発表した。
ITV展に合わせて誌名も
『月刊ITV』に改題
 一昨年6月に開催したTTSショーは一部には好
評を得たが、全体としては来場者が低調で、出展者

ITV2019年5月号24
ラック協会の浅井 会長が登壇して「次回は、関東ト
ラック協会(千葉・神奈川など8トラック協会)が担当
する番で、2019年10月2日に幕張メッセ国際会議
場で事業者大会を開催する。と発表した。
 筆者は空路東京に戻り、その足で幕張メッセの展
示会担当者に、今年10月2日の会場の空き状況を
訪ねた。幕張メッセ国際会議場に最も近い展示場は
第7ホールであるが、この会場が10日ほど前にキャ
ンセルになって空いたばかりだという。正直、筆者
は宝くじが当たった気持ちであった。このチャンスを
活かせなければ、恐らく本誌の未来はない。予約を
2019年10月1日〜3日、第7ホールに切り替える
手続きをすると同時に、展示会の開催準備に入った
ことは本誌に掲載の通りである。
 展示会の名称をどうするか。将来を展望すると同
時に内容も分かる命名が必要である。幾つかの名称
を思いつくままに編集会議に提示したが、決定的と
言えるものが思いつかない。
 物や人の移動で世界が取り組んでいるものは何
か。その時、20数年前に取材したITS(Intelligent
TransportSystems:高度道路交通システム)の取
り組みが脳裏に浮かんだ。
 ITSはシステムであるから所謂ソフトである。これ
を実現させるためにはハードが必要である。そのハー
ドは加速度的に進化している移動体、すなわちビー
クル(Vehicle)である。
 ここまで来れば結論は簡単でITSのSをビーク
(Vehicle)のVに置き換えれば良い。ITSは
カーナビやETCなど既に一般にも普及し始めてい
る。ビークル(Vehicle)の呼称もRVやEVなど
一般名称として定着している。これで展示会名称
はITV(IntelligentTransportVehicle)
確定した。
 展示会も出版も情報を伝えるという意味では同じ
事業である。前述の通り月刊ニュー・トラックもトラック
ショーの開催に合わせて改題した。本誌をITVに改
題するのはある意味必然である。
 この加速度的変化の時代に『ITV』を掲げる本誌
が、この先どれ程の社会貢献が出来るか、5月11
日に72回目の誕生日を迎える筆者は、それを後世に
委ねるしかない。
(横路)
社告
に迷惑をかける結果になった。展示会を成功させる
為には出展者の募集と来場者の誘致が必要である
が、正直なところ来場者誘致の作戦が思うほどの効
果を発揮しなかった結果である。
 一昨年、TTSショーが終わった時点で、2019
年の会場も幕張メッセに予約したのであるが、どう
にも開催機運が盛り上がらないまま、ほぼ一年が
経過した。
 しかし、世界の技術革新は目覚ましく、AI(人工
知能)やIOT(モノインターネット)があらゆる分野で
実用化となり、トラックに限らず移動する物全体(ビー
クル=Vehicle)が、これまでの常識を超えるレベル
に発展する可能性が現実のものになってきた。
 本誌は海外へもネットワークを広げて、世界の技術
革新も報道しているが、先進的位置にあると思って
いた日本の自動車産業は、世界に遅れを取り始めて
いることも明らかになってきた。とりわけ先端技術が
集結する展示会情報は詳しく掲載しているが、乗用
車は自動運転、電気自動車が展示の中心となり“空
飛ぶ自動車”も商品として売買されている。
 日本でもドローンを宅配に活用するテストが始まって
いるし、離れ島の多い場所では自動車が空中移動で
きれば、橋をかける必要がないので、土地の活用も
大きく変わってくる筈である。
 トラックの隊列走行や無人運転、都バスの燃料電
池化も実現しいるので、燃料電池トラックの実用化も
時間の問題。そこでネックとなっている水素の供給を
促進するために、一般社団法人燃料電池トラック・
バス普及協会を本誌の銀座事務所内に開設する準
備を進めることになった。
 ここ数年移動体を取り巻く技術は加速度的に進化
しているが、一般にはその変化が正しく伝えられてい
ない。
 本誌がこの先、どのような役割を果たすべきなの
か、自問自答は今も続いているのであるが、現状維
持で済まされない事は確かである。
 2018年10月、筆者は全日本トラック協会主催の
全国トラック運送事業者大会の取材のために四国・
高松を訪ねた。この大会は全国の都道府県トラック
協会の首脳が、年に一度集結する大会で、約1500
名の出席者全員が運送経営者である。
 高松での事業者大会が閉幕する間ぎわ、東京都ト

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ITV2019年5月号26
新スタッフ《佐久間翔一》紹介
ることを携わるうちに気づきました。
 今では行政書士の端くれではありますが、日
本の物流業界を適正な特殊車両通行許可申
請によって支えているという自負があります。そ
して、弊所で新しくはじめたサービスが『特殊
車両通行許可申請定額サービス』です。これ
までは経路が変わる、車両が変わるごとに高
額な報酬を運送会社は行政書士に支払ってい
ましたが、『特殊車両通行許可申請定額サービ
ス』では毎月の月額顧問料内で申請依頼し放
題に致しました。嬉しいことに、このサービスが
ご好評をいただき、数社の上場会社様も顧問
契約を締結していただき、事務所も8人体制
へと拡大しました。
 特殊車両通行許可申請業務に身を置くと、
法律と現場での運用面での認識の差というもの
が浮き彫りになってきます。今ではそんな『認識
の差』を埋めるべく、トラック協会でのセミナー
開催をはじめ、現場の声を行政に届けるために
トラック協会と一丸となって国交省への要望書
作成にも関わっております。
 行政と現場の『認識の差』というものは特殊車
両通行許可申請の現場だけにあるものではない
と思います。物流業界に身を置く以上、将来的
には物流業界全体と行政との『認識の差』を埋
められるような役割を担うために、政治へ道も念
頭にこれからも業務に邁進する次第です。
令和の幕開けに相応しい溌溂マン
一歩先の物流業界を感じてもらう活動を
 これまで横路社長のサポート役という形で株
式会社日新の業務をお手伝いさせていただきま
したが、今年10月に開催される2019ITV・
次世代ビークル展を機に、本格的に日新の一
員として参加させていただきました。
 私は現在、特殊車両通行許可申請に特化し
た行政書士事務所を経営しております。行政
書士資格を取得したのはちょど20歳(大学2
年生)のときでした。当時は法学部におりました
ので、何か法律系の資格を取得したいと考え
ていました。その時に出会ったのが『行政書士』
という資格です。
 民間企業や個人と法律の執行機関である
行政との橋渡しとして活躍できる資格です。こ
の資格を使って独立したのが今から3年前で
す。独立した時にはこれと言って専門性はあり
ませんでしたが、たまたま依頼を受けた特殊車
両通行許可申請という業務に魅了されました。
この特殊車両通行許可申請という業務は主
に、海上コンテナ運搬用トレーラーや重量物運
搬用トレーラー、新規格車といった普通のトラ
クよも総重量が重く、全長が長いトラックが公
道を走る際に必要な許可申請を運送会社に代
わって行う業務です。
 車両諸元の入力、そして経路の作成を行う
この申請業務ですが、道路の構造を守り、日
本の物流を支えることに資する奥深い業務であ
 令和がスタートしました。本誌も『月刊ITV』に改題しました。新しい仲間を紹介し
ます。29歳の佐久間翔一です。恐らく次に元号が変る頃には日新の大黒柱となって
ITV産業界をリードしているに違いありません。我々報道関係者には若干なりとも
“正義の心”が必要です。夢は「政治家として国政に携わること」の言葉が私の
心を動かしました。叱咤激励、末永いご支援を宜しくお願いします。 (横路)

ITV2019年5月号27
【プロフィール】
1989年9月6日生まれ
早稲田大学法学部卒
野村證券株式会社
佐久間行政書士事務所
代表行政書士
 話は私と横路社長との出会いにさかのぼり
す。上記『特殊車両通行許可申請定額サービ
ス』をより多くの運送会社の方に知ってもらいたい
との想いで、株式会社日新に訪れました。横路
社長の最初の印象は気さなお父さんと言ったと
ころでしょうか、時折冗談を交えながらも、私が
一方的に話をしているのに対して優しく頷いてく
れました。私の簡単なインタビュー後、物流業
界と行政との間にある『認識の差』問題を横路
社長にお話しした際に深く共感していただき、今
のご縁となりした。日新の仕事に携わることでよ
り多くの物流業界を支えている方たちに出会う
とができ、日々勉強させていただいております。
 横路社長が大切にしてきた会社のお手伝い
ができていることに充実感を感じています。目
指すところは『月刊ITV』を物流業界の必読書
の地位まで押し上げていくことです。そのため
には、『情報の充実化』が必要です。この『情
報の充実化』とは既存の商品紹介コーナーや
運送会社紹介コーナーに加え、物流業界にお
ける法改正や制度改正の情報、また愛読者間
で仕事の交流ができる枠組みを新たに開発す
ることだと考えています。また、定期的に展示
会を開催し、新しい技術や商品を来場者に実
際に見ていただき、感じて頂くことも大切です。
『一歩先の物流業界を感じてもらう』をテーマ
に物流業界に携わる方々への情報発信の場と
なれるような展示会を目指します。
 10月に開催する次世代ビークル展は株式会
社日新の今までの総体性としての性格を持つ展
示会です。来場者の方々にはもちろん、出展
者の方々にも新しい物流の幕開けを感じて頂け
るような内容となっております。改めて、皆様の
ご協力を賜りたく、お願いを申し上げます。そ
して、まだまだ若輩者ではございますが、物流
業界の更なる飛躍のため、私は全力で精進し
ていく覚悟ですので、何卒、ご支援・ご協力賜
ますよよろしくお願い致します。

巻頭
ITV2019年5月号28
「
イチローの引退と
令和の時代
経済ジャーナリスト
大島春行
「時代を読む」󱄨
「イチロー引退の衝撃」
 イチローが引退した。引退して改めて彼の記
録が如何に偉大なものだったかを、我々は思
い知ることになる。10年連続の200本安打、
7年連続の首位打者といった大記録をはじめ、
シーズン最多安打や最高打率、数え上げればキ
リがないほどの偉大な記録だ。おそらく400勝
の金田正一氏や868本の王貞治氏と並ぶような
偉業だろう。引退の際の記者会見でイチロー自
身が述べているように、こうした偉大な記録は
彼の持つ類まれな才能だけでなく、弛まぬ努力
と血の滲むような鍛錬によってのみ成し遂げら
れたのだ。現に子供の頃の彼のバットのグリッ
プは血豆が潰れて赤く染まっていたのですぐ区
別がついたという伝説が残っているという。
 イチローが最も輝いたのは、十年前のWBC、
韓国との決勝戦だろう。この時のWBCには、
松井秀喜ら大リーグ組が球団の意向を受けて不
参加だった中でイチローだけが大リーグから参
戦した。日本のため球団の意向に逆らっての参
戦という物語が出来上がったのだ。しかも決勝
戦では最後の最後で決勝の二塁打を放ってヒー
ローになった。イチローはこれまでに見たこと
のないはしゃぎ振りで勝利の美酒に酔った。
 しかしこの光景に強い違和感を感じたのはわ
たくしだけだろうか。普段は、何か起きても喜
怒哀楽を余り表に出さないことを信条にしてき
た男が、喜びを隠すこともなくはしゃいでみせ
た姿には、妙な不自然さが感じられたのだ。そ
れは何故か、違和感の根底には何があるのか。
「松井とイチロー」
 野球の記録だけをみると、松井は単にホーム
ランをたくさん打っただけの打者で、イチロー
と比べる水準にはない。しかし松井は野球少年
たちの憧れであり、中高年の男女を問わず国民
的な人気者だ。その人気の源はよく打つからで
はなく、彼の生き方が立派だからだ。常にチー
ムの勝利を第一に考え、自分よりもチームを優
先する姿勢が人々の心をうつのだ。それに対し
てイチローは自分を優先する。より高い記録に
挑戦し続けるところにイチローのイチローらし
さがあるのだ。
 この二人の生き方は、どちらがいいとか悪い
とかいう話ではなく、両方ともありなのだ。た
だどちらかというと、松井の方は昭和の時代を
生きてきた中高年向きであり、イチローは平成
生まれの人たちに支持されているのではないだ
ろうか。
 昭和の時代は、会社のために人生を捧げるよ
うな人たちが良しとされたが、今はそういう人
たちは社畜と呼ばれて尊敬されない。大企業で
も当たり前に経営破たんする時代には、むしろ
自分の世界を第一に考える生き方の方がいいと
されるかも知れない。しかしそうは言っても、
日本はまだまだ会社社会だからフォーザチーム
の方が人気があるとも言えるのだ。
 その意味で、WBCでのイチローの大はしゃ
ぎは、自分第一主義の人が役どころを間違えで
フォーザチームの役を演じてしまったことから
来る違和感ということになるだろう。無論イチ
ローはそのことをよく判っている。しかし天性
の器用人間としては、人気を二分する、或いは
自分よりもっと人気のある松井の役割を一度演
じてみたかったに違いない。演じてみたらたま
らなく居心地のいい役割だったことに気付いて
松井を羨ましいと感じただろうと思う。しかし
賢明なイチローはそこに自分の居場所がないこ
とも瞬時に理解しただろう。イチローは自分の
場所に帰らなければならなかった。そして10
年。イチローは前人未到の記録を塗り替え続
け、遂に力尽きて引退した。「自分には人望がな
い」と言い残して。

ITV2019年5月号29
「秋篠宮家の悩み」
 この数ヶ月、秋篠宮皇嗣殿下の長女の婚約延
期問題が世の注目を集めている。
誰であろうと結婚は当事者同士で決めたらいい
のだが、皇室の一員である限りは、国民から祝
福されるような相手でないと困ったことにな
る。そうでないと、一億五千万円の持参金は税
金なのだからどうだこうだという淋しい議論が
出てきてしまうのだ。それが判っているから、
平成天皇皇后両陛下をはじめとして、皆そうし
た批判を受けないよう細心の注意を払いながら
日々行動しているのに、この一家は何を考えて
いるのだろうかという話になっている。
 ただ元々秋篠宮殿下は、新しい時代には皇族
と言えども出来る限り自分のことを優先する生
き方があってもいいのではないかというお考え
をお持ちなのだととらえるべきなのかも知れな
い。つまりイチロー的な生き方だ。
 これに対して今月から天皇になられた令和天
皇はむしろ正反対に、幼い頃より自分を抑えて
来られた。無私の精神こそが天皇の生き方とし
てふさわしいと、ずっと思って来られたのでは
ないか。つまりは松井的な生き方だ。
「王室の道」
 近代国家のもとで王さまの制度を国民に受け入
れてもらうには、気の遠くなるような努力が求め
られる。民主主義と王制とは本来相容れないから
だ。それは日本に限ったことではなく、英国をは
じめとする欧州の王室、タイ、ブータン、カンボ
ジアなども、強弱の違いはあっても例外ではない
だろう。中世の王政を維持しているのは中東、ア
フリカなどの暴力による支配がまかり通っている
非民主国家位のものではないか。
 例えば秋篠宮家の長女の婚約問題では婚約者
の母親が平成天皇に面会を求めたことがリーク
されて不届きな行為だと世の批判を浴びた。美
智子上皇后のご両親は昭和天皇に会いに行かれ
る事は厳に謹んでおられたと伝えられている
が、雅子皇后のご両親も紀子様のご両親もし
ばしば平成天皇に会いに行かれているそうだか
ら、民主国家において不届きという程のことは
ないのではないかとも思う。しかし一方でこの
母親の用件が金銭にかかわる問題だという事に
なると、相当常識を逸脱しているなと思ってし
まうのだ。
 英国でもチャールズ皇太子の次男のお妃の実
家が品位に欠けるアメリカ人だということで話
題になっているが、こういうあたりが民主主義
国家と王制が共存する時に起きる悲喜劇なのだ
ろう。つまり全て民主的に運んでいればいいと
いうものではないし、全てを昔ながらのしきた
り通りに運ぼうとしても立ちいかない。王室が
生き残る道はそのどちらにもなくて、王自身が
国民から敬愛されるかどうかにあるのだ。
 平成天皇が30年余りにわたってご努力され
て来られた核心はその一点にあったし、存じ上
げない立場で申し上げるのは憚るべきではある
が、令和天皇は平成天皇以上にその事を強く意
識されているのではないかと拝察している。そ
の点秋篠宮皇嗣殿下のご家族からは、国民から
敬愛されるよう努力しているという姿勢が余り
見受けられない。このことは問題だろう。ご一
家におかれては、まずは最も身近な国民である
宮内庁の職員や警護の警察官たちの落ち度を咎
めるのではなく、まず日々の仕事振りを褒め労
を労うことを通じて、彼らから敬愛されるよう
になって欲しいものだ。
 明治、大正、昭和、平成と、強い天皇と弱い
天皇が交互に誕生したという説がある事を以前
紹介したことがあったが、その説に従えば今度
は強い番になる。時代は明らかに自分第一主義
に流れていくのだろうが、令和天皇の無私の精
神が、時代の流れに棹さしてどのように花開い
ていくのかを見てみたい気持ちがどうにも抑え
られずにいる。

株式会社rimOnO
代表取締役社長
伊藤慎介
フィンランドKyytiGroupLtd.
ChiefExecutiveOfficer
PekkaMöttö(ペッカ・モットー)
ITV2019年5月号30
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲
地方版ライドシェアサービスで
移動弱者解消を目指す
フィンランドの画期的な
MaaS事業者Kyyti
 平成から令和の時代へと突入し、TheTruckもITVへと誌名変更が行われました。
新誌名を記念して「胎動する次世代ビークルの世界」でも特別に海外企業のインタビュー
記事を掲載することとしました。
ITV第一号の記念すべきインタビュー先はフィンランドで急成長している画期的なMaaS
事業者であるKyytiのCEOを務めるPekkaMöttö氏です。Pekka氏とは3月のヘルシンキ
訪問の際にもお会いしており、次号に掲載予定の「実装が進むヨーロッパのMaaS・スマー
シティ【後編】でもご紹介する予定ですが、3月末に来日される機会がありましたので在日
フィンラド大使館にてインタビューに応じていただきした。
 フンラドのMaaS事業者と言えばMaaSGlobal社が非常に有名になりましたが、都会
からアプローチを始めているMaaSGlobal社に対して、地方や郊外からアプローチを始めた
Kyyti社の取り組みは非常にユニークであり注目に値すると思います。また、在日フンランド
大使館では、日・フンラドの企業連携を推進するBusinessFinland及び在日フンランド
大使館商務部のお二方のお話も伺えましたので、その内容もご紹介したいと思います。

図1:Kyytiが提供するMaaSプラットフォーム
ITV2019年5月号31
伊 藤 まずは会社のご紹介やなぜ地方や郊外
から事業展開されたのかを教えていただけない
でしょうか?
モットー なぜ地方版MaaSから始めたかと
いうと、そこには確実に移動弱者の問題があ
り、すぐにビジネスになりそうな予感があった
からです。だからといって当社は地方版MaaS
だけに特化するつもりはなく、総合的なMaaS
プラットフォーム事業者を目指しています。
 MaaSプラットフォーム事業者として成立
するには3つの要件を満たす必要があると考
えています。1つ目は路線検索機能(Route
Planning)、2つ目は異なるサービスの統合
(ServiceIntegration)、3つ目は決済システ
ム(PaymentSystem)です。路線検索機能で
は、A地点からB地点までの移動方法を示すと
ともに、サービス統合では複数の移動手段の候
補を複数提示し、理想的には各ユーザーの移動
に関する嗜好を読み取り、現在の状況において
最適と思われる移動方法を推薦することも期待
されています。そして、移動方法が決定したら
決済まで行える必要があります。現在、当社が
取り組んでいる事業の根幹は全てこの3つの
要件に関するもののです。これら以外に重点的
に取り組んでいるものとして更に2つがあり
ます。1つ目は公共交通とタクシーの間を埋め
るオンデマンドシェアライドシステムです。地
方の移動課題を解消するためにはこれ以外の方
法がないからです。そして2つ目はデータの
有効活用を可能とする情報システムです。
都市間バスサービスでの成功体験が
 MaaS参入のきっかけ
伊 藤 なぜMaaSの分野に進出することに
したのでしょうか?
モットー MaaS分野に進出する前に都市間
のバスサービスでの成功体験があったことが
きっかけになっています。かつてのフィンラン
ドでは鉄道もバスも高価で都市間の公共交通を

図2:Kyyti社の代表メンバー
ITV2019年5月号32
使うよりも自家用車移動の方が圧倒的に安価で
した。2012年に規制緩和が行われたことを契
機に、新しいバスサービスに参入することと
し、ONNIBUSという柔軟な価格設定でイン
ターネットにて予約可能なフィンランド初のバ
スサービスを導入しました。ONNIBUSは結
果として市場の50%以上を占有することがで
き、長距離バス会社の独占を覆すことに成功し
ました。今では大都市間を自家用車で移動する
よりも鉄道やバスで移動するほうが安価になり
ました。このような新しいモビリティサービス
で大成功し、多くのユーザーから歓迎される体
験したことで、世の中に実際に変化をもたらす
ことが可能であることを学びました。かつての
ビジネスモデルでは旅行代理店や切符売り場な
どの物理的な場所を保有していないと顧客との
接点を持つことができませんでしたが、新しい
技術やシステムを活用すれば、それらがなくて
も顧客との接点を持つことが可能になったこと
が我々の成功につながったともいえます。
伊 藤 新しいビジネスモデルを生み出す際に
政府による支援はあったのでしょうか?
モットー 政府からの支援は全くありませんで
した。我々が自らの力で新しいビジネスモデル
を構築できたと自負しています。規制緩和は行
われようとしていましたが、むしろそれを後押
ししたのが我々の取り組みだったと考えていま
す。規制緩和前は既存のバス停を使うことが許
されなかったため、2㎞離れたところをバス停
にせざるを得ませんでした。その結果、我々の
サービスを利用する乗客も不便を強いられるこ
ととなりました。しかし、多くのユーザーが我々
のサービスを使うようになったことで最終的に
規制緩和が実現したのです。
伊 藤 ONNIでの成功後、なぜMaaSのビ
ジネスに参入したのでしょうか?
モットー ONNIの普及率が飽和状態となり、
フィンランド国内でこれ以上の事業成長が望め
なくなってきたからです。バス事業から鉄道事
業への拡大も図りましたが、行われる予定だっ
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲

ITV2019年5月号33
た鉄道事業の規制緩和が延期となっ
たことで、フィンランド発で盛り上が
りつつあったMaaS事業に着目しま
した。最初は私が所属していたONNI
がKyytiの前身であるTuupと共同
で事業で行うところから開始したので
すが、その後ONNIを主要株主に売却
し、2016年に私がTuupに参画し、
Kyytiという社名に変更しました。
移動課題が顕在化している
 地方・郊外から事業を開始
伊 藤 MaaS事業を始めるに際して、最初か
ら地方や郊外をターゲットにしていたのでしょ
うか?
モットー そうではありません。Kyytiの最初
の狙いはタクシーまたはミニバスを活用したリ
アルタイムかつオンデマンドのシェアドサービ
スを提供することでした。そのシステム開発の
ためにかなりの投資を行ったのですが、システ
ム開発後にどの場所からサービス展開するかを
検討し、最初に展開を始めたのはフィンランド
のオウル(Oulu)という都市でした。Ouluでの
サービス展開の結果として分かったことは、週
末の夜はタクシーよりも安価ということでユー
ザーから好評だったのですが、平日は公共交通
があるためにほとんど使われることがないとい
うことです。そこで徐々に地方での事業展開に
可能性があると考えるようになりました。
 公共交通が充実している都市部では解決すべ
き移動課題が少なく、シェアドサービスは有効
ではないことが分かりました。しかし、地方で
は手厚い公的補助が施されていて路線が固定さ
れているバスだけでは利便性が低く、シェアド
サービスに可能性があると考えたのです。
 実は、ヘルシンキ市内ではKutsuplusとい
うオンデマンド型バスサービスが導入されまし
たが失敗に終わったという前例があります。そ
の理由としては複数指摘されていますが、この
ようなサービスを必要としないヘルシンキ市内
で導入されたこと、現実離れしたコスト構造に
なっていたことが主な要因であると考えていま
す。
伊 藤 ドイツのハンブルグではClever
Shuttle、MOIA、Viavanなどのシェアドバ
ンの実証実験が開始していますが、ヘルシンキ
におけるKutsuplusの経験を踏まえると、こ
れらはうまくいかないとお考えでしょうか?
モットー そういうサービスを必要とするユー
ザーはいるかもしれませんが、手厚い補助を受
けている公共交通と競合しなければならないの
であれば勝ち目はないと思われます。事業とし
て成立するだけの十分なユーザーを獲得できな
いリスクがあります。週末の夜、スポーツ観戦
の試合の開催時、大型船舶が到着する港、空港
など大勢の人が同時に乗り降りする場所であれ
ばペイするでしょうが、公的補助を受けていて
有効に機能している公共交通が平日に提供され
ている場所では事業全体として黒字化させるこ
とは難しいでしょう。

図3:Kyytiが提供している地方版MaaS
ITV2019年5月号34
 しかし、地方ではシェアドバンに代わるサー
ビスがないため十分に勝ち目があります。また
郊外では幹線となる交通サービスから離れたと
ころに移動する際には十分な交通手段がないた
めシェアドバンの潜在需要があります。
地方の非効率な輸送形態を解消する
 地方版MaaS
伊 藤 地方版MaaSについて改めて伺わせ
てください。なぜ成功したとお考えでしょう
か?
モットー フィンランドには350の都市があ
り、それらの都市において行政は何らかの公共
交通を提供することが求められています。この
ような行政向けのサービスとして提案している
のが地方版MaaSです。地方都市の多くでは
通院患者、要介護者、通学生、高齢者がタクシー
を利用する際に料金の大半を行政が負担する制
度を導入しています。しかし、タクシー1台
やミニバス1台を1人の乗客が専有している
ケースが多く、非効率な移動手段となっていま
す。そこで我々が提案するサービスでは相乗り
にすることでコスト削減を実現することを目指
しています。
 フィンランドでは公的補助によるタクシー利
用が全体の約2/3を占めており、他国から
比較するといびつな市場構造となっています。
その残りを法人利用と個人利用が占めているた
め、個人利用のタクシー市場は極めて小さいの
です。
 そのため、フィンランドでは通学用のミニバ
スが唯一の「公共交通」的なサービスといえる地
方が数多くあります。我々はそういったタク
シーやミニバスの空席を個人利用客に販売する
ビジネスを展開しているのです。
伊 藤 公的補助で運行している車両の座席を
相乗り客に販売するということですが、その収
益はどのように分配しているのでしょうか?
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲

ITV2019年5月号35
モットー 収益の分配方法は行政機関
のスタンスによって異なります。ドラ
イバーの賃金も含めた車両の運行経費
を行政が負担するのが基本ですが、個
人の相乗り客に空席を販売した収益を
行政・ドライバー・当社で分配するの
か、大半をドライバーに還元するのか
はそれぞれの行政機関が決めます。当
社への収益分配がない場合は行政に負
担してもらうMaaSプラットフォーム
の利用料が高くなるというビジネスモ
デルにしています。
 現在は、行政が運行経費を全額負担する形で
バス会社やタクシー会社と契約しているので追
加の収益については行政が受け取れないことが
多いですが、契約が更新される際には行政にも
還元される契約内容となる可能性があります。
伊 藤 規制当局である中央政府の運輸通信省
の関与はないのでしょうか?
モットー 中央政府は全く関係ありません。地
方における移動の公的補助は全て地方都市や地
方政府が行っているため、全ての決定権は地方
にあるのです。
最終ユーザーのニーズを満たすには
 絶対に地方版MaaSが必要となる
伊 藤 フィンランドで成功した地方版MaaS
を他国に展開する予定はあるのでしょうか?そ
の場合、国によって制度が異なることへの対応
は必要なのでしょうか?
モットー もちろん他国に展開したいという強
い意欲を持っています。また、国によって制度
が異なるというご指摘はその通りです。一方
で、我々が構築した相乗りのシステムについて
はどの国でも有用だと考えています。我々のシ
ステムでは、インターネット経由だけでなく電
話でも予約できるようになっており、コールセ
ンターとの連携も含めてかなり高度なシステム
となっています。このシステムそのものは他国
への展開が可能と考えており、実は複数の日本
の事業者とも商談を始めています。また、地方
において高齢者などの交通弱者の移動課題を解
決するサービスが必要であることはどの国でも
同じであり、制度的な違いはあったとしても相
乗りのシステムは絶対に必要と考えています。
 一貫して言えることは、このようなサービス
を成立させるためには必ず行政などの補助が必
要であることと、契約関係も含めて事業として
成立する仕組みを構築することです。
伊 藤 日本では路線バスには多額の公的補助
が投入されていますが、多くのタクシーは個人
客を対象にしているケースが多く、タクシー利
用に公的補助が適用されることは一般的ではあ
りません。また、路線バスが事業として成立し
ないエリアについてはデマンド型交通と称して
タクシー会社が運行するケースがありますが、
既存のバス路線と重複がないよう調整が行われ
ています。

ITV2019年5月号36
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲
モットー フィンランドでも同じことがありま
した。先ほども述べましたが、ONNIで新しい
サービスを開始しようとしたときに既存のバス
路線との重複がないように指導されて、2km
離れたところに停留所を設置させされました。
しかし、それだけ距離をとったとしても既存の
バスサービスへの影響が排除できるはずもな
く、結果的に規制緩和が行われてその必要はな
くなりました。
 私の個人的な意見ですが、行政は規制を通し
て既存の事業者を守ることよりも最終ユーザー
の便益を優先すべきと考えます。公的補助を受
けていない事業者は一切行政から支援を受けて
いないと主張しますが、規制が既得権益を守っ
ているのであれば、それは最強の補助金と言え
ます。
伊 藤 なぜフィンランド政府は交通サービス
法の制定などを通して大胆な規制改革を進める
ことにしたのでしょうか?モットーさんの個人
的な見解を聞かせていただけないでしょうか?
モットー フィンランド政府として独占は良く
ないという考え方が浸透しているからではない
かと考えています。今では国内の業界で独占が
残っているのはアルコール事業と薬局だけで
す。交通サービス法は非常に先見性の
ある法律であり、魅力的な新しいサー
ビスを提供しようとする事業者を支援
するスタンスをとっています。
フィンランドでは大胆な規制改革は
 行われたが商慣習に課題あり
伊 藤 規制改革が行われたことで新
規参入者にとっての障害は完全になく
なったと考えてよいのでしょうか?
モットー 規制改革の効果は非常に大きいです
が、商慣行が変わっていないことが大きな問題
です。複数の事業者間で締結されている契約や
協定などが新規参入者にとって深刻な障害に
なっています。MaaSの実現のために交通サー
ビス事業者は予約や発券に必要となるAPI(情
報システムにつなぐための接点)をオープンに
することが義務付けられていますが、各都市の
交通局が非協力的であることでMaaSの導入
が遅れています。このことはフィンランド国内
の多くの関係者にとって想定外の驚きでした。
伊 藤 なぜ交通局はAPIやデータのオープ
ン化に消極的なのでしょうか?
モットー なぜなのかは私にも理解ができませ
ん。交通局が非協力的なのはデータやAPIの
問題だけはありません。鉄道やバスのチケット
を我々のようなサービス事業者に販売する際に
一般ユーザーと同じ価格での取引を求めている
こともそうです。卸値と小売値が同じというこ
とです。したがって我々が鉄道の切符を扱おう
とすると、人件費やシステム費などの経費を勘
案すると完全に赤字になってしまいます。当社
がヘルシンキでMaaS事業を行っていないの
もそのことが理由です。

図4:Kyytiが参画するNordic(北極圏)MaaSプロジェクト
ITV2019年5月号37
 このようにフィンランドでは政府が
大胆な規制改革を進めましたが、各
都市の交通局が非協力的であるために
MaaS全体の推進は遅れている状況に
あります。
 一方、ヨーロッパではMaaSに関す
るオランダの取り組みが注目されてい
ます。国内7つの都市でMaaSの実証
実験のために巨額の予算が投じられよ
うとしています。事業として継続可能
なMaaSを実現しようとしていること
がフィンランドよりも進んでいると思
います。
国境を越えたMaaS連携を進める
 北極圏MaaSプロジェク
伊 藤 北極圏においてNordic(北極圏)
MaaSプロジェクトに参画していると伺いま
したが、そのことについてお聞かせ願えないで
しょうか?
モットー フィンランド、スウェーデン、ノ
ルウェー、デンマーク、アイスランドの5か
国にはNordicInnovationという北極圏独自
の支援機関があり、北極圏各国の事業者を束
ねたプロジェクトを金融支援することで北極
圏において通用する標準を策定しようとして
います。NordicMaaSプロジェクトのことを
我々は“モビリティ版のNMD”と呼んでいま
すが、NMDというのはGSMの前に採用され

ITV2019年5月号38
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲
ていた携帯電話の通信規格でして、北極圏内
であればどの国の携帯電話でも利用できるよ
うにしたローミングの原型ともいえる通信規
格です。
 NordicMaaSプロジェクトでは携帯電話の
ローミングと同じように、どの国のMaaSア
プリを使っていても他の国でそのまま使えるこ
とを目指しています。例えばスウェーデンの
UbiGoユーザーが、ストックホルムの対岸に
あるフィンランドのトゥルクに来た際にKyyti
アプリを持っていなくてもローミングにより
UbiGoアプリをそのまま使えるといったイ
メージです。
伊 藤 NordicMaaSのプロジェクト
が成功したのちはMaaSアプリ同士の
Interoperability(相互運用性)が確保され、
何らかの規格が策定されていくようになるので
しょうか?
モットー プロジェクト後にローミングは実現
するようになると思いますが、規格化まで進む
かどうかは分かりません。ただ、世界全体で
MaaSが広がっていくためには何らかの規格
が必要になるだろうとは思います。
伊 藤 プロジェクトの全体スケジュールはど
うなっているのでしょうか?
モットー 昨年末に開始したところですので、
今年中にプロトタイプとして使えるものが完成
しているといったスケジュール感ではないかと
推測しています。
Kyytiの海外展開戦略と日本への期待
伊 藤 Kyyti社の海外展開戦略について教え
ていただけないでしょうか?また日本を含むア
ジアへの展開についてはどのようにお考えで
しょうか?
モットー 社内で検討の結果、当社としては
ヨーロッパ、北米、日本の3地域をターゲッ
トにすることにしています。北米では1カ所
でサービス展開が始まっており、その他にも複
数候補となっている場所があります。北米の大
きな特徴は公共交通システムを含めて解決すべ
き深刻な課題を抱えていることから、MaaSに
関して大きな予算がつけられており、かなり大
規模な実証が行われつつあるということです。
当社としても大きなビジネスチャンスになると
考えています。
伊 藤 なぜ日本をターゲット市場の一つに選
ばれたのでしょうか?
モットー 日本はMaaSに対する関心が高
く、その実現に向けたソリューションを必要
としている事業者が数多くいるからです。既
に当社にも複数の問い合わせが来ており、そ
の中から具体的な商談につながるものが出て
くることを期待しています。また、日本への
もう一つの期待は、ベトナムへの事業展開の
際に当社とパートナーになってくれる企業の
発掘です。
伊 藤 日本では既に東急とJR東日本がダ
イムラー系であるmoovelのMaaSアプリを
導入すると表明していますし、小田急が独自
のMaaSアプリを開発中です。また、トヨタ
自動車はmyrouteというMaaSアプリを福
岡市で展開しています。Kyytiが日本に進出す
るとした場合にどのような差別化ができるので
しょうか?

BusinessFinlandミッコー・コスクエ氏(左)、
在日フィンランド大使館田中浩一氏(右)
ITV2019年5月号39
モットー Kyytiの特長は独自のブランドを打
ち出さずにソリューションだけを提供できると
いうことです。データを有効活用できる仕組み
に加えて、オンデマンド型のシェアドバンサー
ビスを提供するソリューションも提供できま
す。また、地方版MaaSを提供した実績があ
ることから特に地方や郊外の交通サービスに対
して強力なソリューションを提案できると考え
ています。
伊 藤 貴重なお話どうもありがとうございま
した。
日・フィンランドの官民の橋渡し役を
 担うBusinessFinland
KyytiのモットーCEOの来日を含め、フィン
ランド企業と日本企業の橋渡しを支援されてい
るBusinessFinlandのProgramManager
であるMikkoKoskue氏(ミッコー・コスクエ)
と在日フィンランド大使館商務部の上席商務官
である田中浩一氏にもインタビューさせていた
だくことができましたので、その概要をご紹介
します。
伊 藤 BusinessFinlandとはどういう組織
でどういう役割を果たされているのかをご紹介
いただけないでしょうか?
ミッコー BusinessFinlandはFinproとい
う日本でいうJETROのような貿易や投資を担
当する組織と、Tekesというイノベーション
支援を行う組織が合併したことで誕生した組織
です。旧Finproの担当分野ではフィンランド
企業の海外進出の支援、海外企業のフィンラン
ドへの進出(企業投資も含む)、VisitFinland
という観光振興の3つの機能を担っています。
BusinessFinlandは100%政府支援によっ
て運営している組織でして、旧Finproに所属
している職員の大半は民間出身です。フィン
ランドでの支援組織は日本での経済産業省に
相当する経済雇用省ですが、海外ではTeam
Finlandと呼ばれており外務省と連携し大使館
の中に組織を置いています。
田 中 各国の大使館には商務部という名称で
BusinessFinlandの出先が設けられており、
フィンランド企業やフィンランド本国に関心を
持っている日本企業の窓口となる役割を果たし
ています。JETROと同様、本国の製品やサー
ビスの輸出、海外企業の本国への投資を支援し
ています。
伊 藤 BusinessFinlandが支援したことで
成功した事例があれば教えていただけないで
しょうか?
ミッコー モビリティ分野の担当なのでそこで
の成功事例をご紹介したいと思います。コネク
テッドやモビリティサービスに関連するフィ

図5:自動車及びモビリティ分野におけるフィンランド企業
ITV2019年5月号40
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑲
ンランド企業は100社以上ありますが、その
多くは日本の自動車メーカー、1次サプライ
ヤーと取引関係があります。また、最近になっ
て急速に注目が集まっているMaaSの分野で
はトヨタファイナンスとデンソーが
MaaSGlobalに出資したことが代表
事例です。それ以外にもMaaS関連
では東京において数多くのイベント
を実施するとともに、日本からフィ
ンランドへの調査団の受け入れを数
多く行っています。そういう活動も
あってこの1年間でMaaSに関する
認知度が急速に高まったと感じてい
ます。
 また、デンソーはMaaSGlobal
への出資だけでなく、フィンランド
の数多くの企業に出資するとともに、フィン
ランドにイノベーションセンターを開設して
います。
伊 藤 日本企業がフィンランドに関心がある
場合は、まずは在日フィンランド大使館側では
商務部の田中様に連絡を差し上げれば良く、そ
の後、現地ではミッコー様が現地企業や現地政
府とのパイプ役を務めてくださるということで
すね。ご紹介いただきどうもありがとうござい
ました。

ITV2019年5月号41

ITV2019年5月号42
全電動
Volvo
トラック、
ユーザーへ引き渡し開始
 ボルボ・トラックス社は2019年3月9日、同社の中型FL型全電動
(BEV)塵芥車及び同集配車各1台についてユーザーに引き渡しを開始
した。ボルボブランドのトラック全電動車の本格的普及の先駆けである。
世界の電動商用車研究
ユーザーはいずれもスウエーデン・
イエーテボリ市内企業
 ボルボ・トラックス社は2019年3月9日、同
社の中型FL型全電動(以下、BEV)塵芥車及び同
カーゴ集集配車各1台についてユーザーに引き渡
しを開始した。1台はスウエーデン・イエーテボリ
(ボルボ・トラック社の本社・工場が所在するス
ウエーデン西南部の大都市。英式発音ではゴーテン
バーグ。内のレノバ廃棄物処理企業に、もう1台
は運送企業のTGM社だった。TGM社は超大手の
DBシェンカー社の協力企業として、イ
エーテボリ市圏内13か所のコープ・スー
パーマーケット店への配送を担当してい
る。今回の2台は、今後引き続く納入の
文と写真・
スヴェ
エリクリンドスラン
(国際自動車記者)
訳・構成 
西襄二
ボルボのFL型電動車は、主として都市内で稼働する塵芥車を想定して開発が進められ2軸配列で車両総重量は16トン。一方、より大きな車として3
軸配列のFE型電動車は車両総重量26トンまでカバーする

ITV2019年5月号43
開始の位置づけだ。今回の場合はリース方式で運用
されるので、所有権はボルボ側にある。
 ボルボFL型とこれより一段大型のFE型BEV
の量産は本2019年8月以降に本格化する。製造
はフランス・ノルマンディ地方のブレンヴィル・ウ・
オーネ工場が担当する。この工場では、ルノーブラ
ンドのBEVDZE型及びZEワイド型車が生産さ
れている。
(訳者注:ご高承の通り、現在、仏ルノー・トラッ
ク社は瑞ボルボ・トラック社の傘下にある。塵芥車
の電動化についてはルノー・トラック側で過去10
年に亘って地道な実証テストがフランス国内で継続
されてきた。今回の全電動トラックの量産工場が上
記のフランス国内工場となった背景には、こうした
事情が反映したものと考えられる。)
新たなEU要求基準
 本2019年1月に着任したボルボ・トラックス
社のロジャー・アルム社長兼CEOは今回の引き渡
し式に立ち会った。EUが新たな大型商用車に対す
燃費要求基準の強化を決定したが、ボルボ・ト
ラックスはトラック及びバス全製品ラインでこれに
対応することを明らかにした。新EU基準では、重
量級商用車について、二酸化炭素排出量について
現行2019-2020年規制値に対して2025年迄に
15%、2030年迄に30%それぞれ削減が義務づ
けられる。これまで、ユーロ6として有害ガスに
ついて排出基準が適用されてきたが、今後の焦点は
温室効果ガスとしての二酸化炭素CO
の排出、即
燃費の大幅な改善についても厳しい基準が適用さ
れる。
〝私達運輸産業に属する企業の社会的責任は、気
候変動に関わる分野に及ぶことを改めて認識しなけ
ればならなりません。BEVの製品拡充と普及はこ
の方面に対する当社のコミットメントです。BEV
ボルボFL及びFE型電動車は、基本的にルノーのDレンジシリーズ車(従来のミドラムMidlum車)と共通の技
術で組み上げられている。。EZ表示はゼロエミションであることを示す
FL型電動車の前で充電するのはボルボ・トラックス社のロガー・アルム
部長とボルボ・グループのマーチン・ルンデシュテッツCEO(右)
(表1)ボルボ・トラックの製品系列
車型車両総重量 エンジン出力
FH16大
FH
FMX
FM
FE
FL小

ITV2019年5月号44
世界の電動商用車研究
はエンジン作動音や排出ガスを出さず、都市内の清
掃活動や配送業務をより静かに、よりクリーンに行
うことになります〟とロガー・アルム社長兼CEO
の発言は続けられた。
 ボルボによれば、BEVトラックは新たなEUの
排出ガス及び燃費基準を達成することは勿論、一
充電航続距離(レンジ)や経済性の観点でも実用性
で満足すべき水準にある。試算によれば、FL型
塵芥車の年間稼働を通じて、二酸化炭素の排出を
115,000㎏削減できる。
(訳者注:EUの排出ガス規制は、現在、ユーロ6
でRM、NOx等の有害物質の排出大枠を規制し、
付則として燃費基準を定めている。上記の説明は付
則に関わる燃費規制を意識した表現である。)
静かな運行
 BEVトラックの走行中の車外での騒音は69db
で、ディーゼルエンジン車の79dbと較べて格段
に静かだ。ノイズレベルで10dbの差とは如何程
に形容できるか。数字では僅かなように思えるが、
人間の耳に聞こえる音圧でいえばほぼ半減している
と言ってよい。車室内の効果はもっとてきめんで
す、と電動車の製品管理部長のアンナ・トールデン
は言う。
 電動バスのドライバーの場合は、終日運転に従事
した後に車から降りた時に、心地よささえ感じるそ
うですと続ける。
電動モーターについて
 電動トラックの場合、運行時の車両総重量によっ
て電動モーターは同じ仕様のものを1台か2台を
使い分ける。ざっくり、2軸車ではモーター1台、
3軸社では2台と考えて頂ければ良いだろう。最
大出力はモーター1基当たり200kW(270hp)で
ある。2基搭載なら合計で540hp相当の最大出力
となる。
 シャシの中央部に搭載される駆動系は、2速ギヤ
ボックスが採用されている。(訳者注:後退時はモー
ターを逆転させる。)総じて、駆動系のコンポーネン
トは85%が在来品と共通である。モーター及びギ
ヤボックス類は梯子形フレームの内側に搭載され、
バッテリーはフレームの外側に搭載される。
キャブの下には・・
 通常はディーゼルエンジンが搭載されているキャ
ブの下部には、〝モジュラー・パワーボックス〟が搭
載され、制御系の電源となる24Vバッテリーとそ
の充電器、冷却システム、それにキャブ内のエアコ
ンに加えエアサスやパワーブレーキ系への圧力空気
供給用電動コンプレッサーなどが搭載されている。
こうした車種を問わず電動車に共通の部品類は、モ
ジュラー化されて組立行程での作業性が容易なよう
に配慮されている。
 電動モーターは、通電された瞬間から最大トルク
を発揮する。これで小気味よい加速を発揮する。車
速が50㎞/hに達すると2速ギヤボックスは高速
ギヤへアップシフトする。用途と架装によってはパ
ワーテークオフ(PTO)が必要になるが、これは別
置きのモーターが担当する。用途によって2種類
の部品が用意されている。こうした説明はFL及び
FE型車の製品管理部長のヨーナス・オーデルマー
ムが行っている。
ボルボ・トラックス社で電動車の用途開発を担当するアンナ・トールデン
によれば、運転操作の善し悪しで一充電走行距離は大きく影響を受ける

ITV2019年5月号45
バッテリーは高額
 バッテリーは目下最大のコスト要因である。パッ
ケージとして50kwhが一つのパックになっている
が、車種と用途によるが最大6パックのバッテリー
が搭載される。合計最大出力が300kwhになる計
算だ。目下のところ、業界を横断した標準のバッテ
リーパックは定まっておらず、将来を見通すと各車
ブランド毎に仕様の違う製品が夫々に搭載されてゆ
く可能性が否定出来ない。
 バッテリーは容量が漸次下がってゆくが、80%
まで低下したら車両用としては寿命に達したと見做
される。但し、残存容量は未だ充分に残っているわ
けだから、用途を変えて太陽電池出力の受け皿バッ
テリーとしてとか、病院や商業ビルの非常用電源等
に転用して第二の用途で活用することが可能だ。最
後には、内部の銅やアルミの金属材料を再生して再
利用することも出来よう。ヨーナス・オーデルマー
ムが続けて解説する内容だ。
運転習熟でレンジは拡大できる
 今回引き渡しが行われた2台のEVトラックの
担当運転者には、事前にメーカー側から運転要領の
訓練が行われた。しかし、その内容は多分に概念的
な内容で、実際には稼働地域と稼働環境・交通事情
等による臨機応変な対応が重要だとする。完全に習
熟すると、レンジを20%程度長くすることも可能
であるとボルボ・メーカーは強調する。
 減速時にブレーキペダルの操作を行うが、踏み込
み量の最初の部分では回生エネルギーによる補充電
が行われるから、この特性を活かすことに習熟する
とレンジの拡大が享受できる。もこれは該当する。
(訳者注:わが国の電動乗用車の売れ筋車(日産リー
フ車)の場合、アクセルペダルの操作で走行エネル
ギーの回生・補充電が〝ワンペダル操作でできる〟こ
とが特色となっているが、ボルボBEVはこれとは
どうやら一線を画しているもようだ。車体架装面で
も工夫の効果は期待出来る。温度管理機を搭載する
場合にもこれは該当する。)
 メーカー側は、運転者は〝あとどれ位走行出来る
バッテリー残量があるか〟と気になるものだが、正
確な情報を提供するソフトウエアの改良は今後も継
続するとしている。
満充電後の走行可能距離
 3軸構造のボルボFL型車の場合、満積載での走
行可能距離は1充電あたり最長で300㎞であると
BEV塵芥車の引き渡しに立ち会った(左から)レノヴァ社のハンス・ザッ
リッソン製品開発部長と運転担当のヤザールアイディン、ペーターピュー
デ、ヨナス・グスタフソンの3名
ボルボの中型電動車の引き渡しに立ち会ったボルボ・トラックス社のヨナ
ス・オーダーマルム中型車製品担当部長と架装メーカーレノヴァ社の3
人のオレンジ色のツナギ着用の技術者、TGM社の運転者達(右側)=
筆者撮影=
計器盤にはバッテリーの消耗状態、残存電力、再充電の必要時期など
の表示が行われる(筆者撮影)

ITV2019年5月号46
世界の電動商用車研究
いう。
 ボルボ車の場合、電動車では、これまでのディー
ゼルエンジン、I
󱣣󱣥
シフト変速機、廃棄後処理用ア
ドブルーシステム、などが不要となる。これらの
合計重量はバッテリーパック2個分に相当するだ
ろう。一般的な2軸車の場合、塵芥車架装では1
日当りの走行距離は100㎞程度である。配送用
なら200㎞程度だろう。広域配送用途で3軸車
を想定すると1日の走行距離は300㎞程度だろ
う。
 以上は、従来の市場実績を平均化した机上の想定
である。従って、実車での実証試験が必要になる。
レノバ廃棄物処理企業の場合、ボルボの技術者が終
日電動塵芥車にはりついて実態を記録した結果を
モデル化し、コンピューターで模擬実験も行って
検証を行った。レノバでは稼働中の充電は避けた
い、TGM/シェンカーでは昼休み中の短時間に貨
物の積み込みを行いたい、などの要望が示された。
こうした稼働時の要望を考慮して、塵芥車にも配送
カーゴ車にもFL型車を利用し、どちらにも合計
150kWhのバッテリーパックを搭載することとし
たのである。
販売面では・・
 ボルボの電動トラックの販売は、一般の販社を経
由して行う方針で従来の販売戦力をそのまま活用す
る。但し、用途と稼働条件を十分に調査した上で顧
客共々納得できる仕様と限界をわきまえた判断が必
要となる。
サービス面では
 ボルボの販社サービス工場では、既に先行販売
が行われている電動バスのメンテナンスを実施し
ており、電動車の知識を蓄積している。従って、
今後の電動トラックでの販売増加に伴って実車で
実際に生ずる様々な事象を通じて専門知識の一層
の蓄積が進む筈だ。電動トラックの場合、従来の
内燃エンジン車よりメンテ面では単純化の方向へ
向かう筈だが、夜間にメンテ作業が集中すること
は避けられないだろう。在来の工場は、内燃エン
ジン車を前提とした設備とスキル面での人員配置
である。現在の保有エンジン搭載車輌が当分の間、
メンテの為に工場に入庫し続ける見通しに対して
は十分な態勢といえよう。
ボルボEVを試乗する筆者・スヴェン-エリク リドストラン

ITV2019年5月号47
試乗の印象
 筆者の試乗の印象の第一は、なんといっても運行
中のキャブ内の静かさだった。従来の内燃エンジン
の作動音が無いということは、これまで耳に入らな
かった足回りやボディの立て付けなどに起因する音
が代わりに聞こえるということでもある。
 モーターのトルクは立ち上がりから100%を発
揮するから加速性能には強い印象を受ける。筆者:
ヨーロッパ通信員スヴェン-エリク リンドストラ
ンドの報告である。
主要諸元
 現在納入が行われたFL型電動車は車両総重量が
16トンだ。モーター出力は最大200kWで、電池
パックはリチウムイオンバッテリー(LIB)が3パッ
クで最大容量が150kWh、一充電走行距離(レンジ)
は最大で200㎞だ。
 駆動系統は、前記のモーターの最大出力が
200kW、発生トルクは425Nmに対し、連続定格
出力は約130kWである。ギヤボックスは2速型
が採用されている。
 充電方式は2方式が用意されている。急速充電
方式では150kWDCの直流大電流が使われる。一
方、普通充電方式では22kWACの交流電源が使わ
れる。
(本稿おわり)
ボルボ・トラックス社の全電動連接バスの例。2018年
夏に開催のボルボ・オーシャンレースの観客送迎にイエー
テボリ市内で運行された
(表2)ボルボFL型全電動トラック(EV)主要諸元
車両総重量GVW 16ton
モーー最大出力 200kW
ー形式 ウムンバーLIB
ー容量
200 300kWh
(50kWh ×46
1充電当走行距離 200(最大)稼働条件
充電方式
急速充電 150kWDC
普通充電 22kWAC
パワーレーン 2 速ギヤクス

約2,590件の特許技術を有するトヨタが開発した電動車用モーター
ITV2019年5月号48
対象は約23,740件で車両電動化システム活用の技術サポートも実施
電動車普及への貢献のため
トヨタ自動車が
ハイブリッド車開発で培った
車両電動化技術の
特許実施権を無償で提供
次世代自動車◇トピックス

HV等の車両で重要な部分になるパワーコントロールユニット(PCU)
エンジンやトランスアクスルでは約1,320件の特許技術が採用されている
ITV2019年5月号49
 トヨタ自動車㈱は、電動車の普及に向けた取り組み
の一環として、モーター・PCU(パワー・コントロール
ユニット)・システム制御等の車両電動化関連の技術
について、トヨタが保有している特許実施権(審査継
続中を含む)を無償で提供するとともに、電動車を開
発・製造するために、トヨタが保有するパワートレー
ンシステムを活用する際の技術サポートを実施するこ
とを決定した。

先進のトヨタ・ハイブリッドシステム。A:2ZR-FXEエンジン、B:ハイブリッドトランスアクスル、C:高回転モーター、D:パワーコントロール
ユニット、E:ハイブリドバッテリー
ITV2019年5月号50
 知的財産(特許)に関しては、トヨタは従来よりオー
プンポリシーを基本とし、第三者からの特許実施の申
し込みに対して、適切な実施料(ライセンス料)によ
り特許実施権を提供している。
 車両電動化技術については、様々なタイプの電動
車の開発に応用できる技術のため、電動車普及への
 この車両電動化技術は、トヨタが20年以上にわた
るハイブリッド車(HV)の開発を通じて、高性能化・
コンパクト化・低コスト化を進めてきた先進の技術で
あり、HV・プラグインハイブリッド車(PHV)・電気
自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)等の様々なタ
イプの電動車開発に応用できるコア技術である。
次世代自動車◇トピックス

米国カリフォルニア州で実証実験中のトヨタFC大型商用トラッ
ITV2019年5月号51
貢献の観点からこれまでの知的財産の基本方針を一
歩進め、トヨタが単独で保有する世界で約23,740
件の特許の実施権を無償で提供することにした。あ
わせて、電動車開発に必要なパワートレーンシステ
ムであるモーターバッテリー・PCU・制御ECU等(車
両電動化システム)のトヨタが保有するシステムを活
用する際には、電動車の製品化に向けた技術サポー
トも実施することにした。
 トヨタの寺師茂樹取締役・副社長は、車両電動化
技術を通じた協調という今回の新たな施策を決断した
理由として、「ハイブリッド車など電動車普及の必要性
を感じておられる多くの企業から、トヨタの車両電動
化システムについて、お問い合わせをいただくように
なりました。今こそ協調して取り組む時だ、と思いま
した。特にこれからの10年で一気に普及が加速す
れば、電動車が普通の車になっていくでしょう。その
お手伝いをさせていただきたいと考えました」と語っ
ている。
車両電動化技術に関わる新たな施策
 トヨタが保有する車両電動化技術の特許、および
車両電動化システムの活用に関しての新たな施策の
概要は次の通りとなる。
⑴特許実施権の無償提供
①対象は、トヨタが20年以上にわたるHV開発で培っ
てきたモーター・PCU・システム制御等の車両電
動化技術の特許約23,740件。
〈内訳〉
・モーター:約2,590件
・PCU:約2,020件
・システム制御:約7,550件
・エンジン・トランスアクスル:約1,320件
・充電機器:約2,200件
・燃料電池関連:約8,060件
(2019年3月末時点。2015年1月より無償提
供実施中の燃料電池関連を含む)
②期限は、2030年末まで。

アクアに搭載された“1.5L小型ハイブリドシステム”
東京モーターショーで公開されたHVスポーツカーのコンセプトモデル
「GRHVSPORTSconcept」
電気+ガソリンを燃料とするトヨタの「プリウスPHV」
東京モーターショーに参考出品されたAIを搭載したトヨタのEV
「コンセプトアイ」
ITV2019年5月号52
次世代自動車◇トピックス
今回の新たな施策決定の背景と考え方
 トヨタは、従来より環境問題への対応を経営の最
重要課題のひとつと位置付け、いち早くHVを始め
とする電動車の開発・市場投入に取り組んできた。
2015年には、自動車や工場から排出されるCO
減に向けた長期取り組み目標として「トヨタ環境チャレ
ンジ2050」を設定、2017年には、電動車の普及
に向けた2030年までの販売計画を公表している。
 このようにトヨタは、CO
排出量削減に向けたチャ
レンジングな目標を掲げ、“普及してこそ、環境への
貢献につながる”という強い思いのもと、HV開発で
培ってきたモーター・バッテリー・PCU等の車両電
動化のコア技術を軸として、技術の共有も図りながら
電動車の普及に積極的に取り組んでいる。
 しかし、地球温暖化抑制の取り組みは喫緊の課題
であり、さらなるCO
排出量の削減が求められて
いる。電動車の開発には多くの時間と費用を必要と
③トヨタに申し込み、具体的な実施条件等について
協議の上で契約を締結。
⑵技術サポートの実施
①電動車の製造・販売を目的とした完成車メーカー
が、トヨタが保有する車両電動化システムを購入
する場合に要望に応じて実施。
②技術サポートの内容は、製品化する車両特性に応
じた燃費・出力性能、静粛性といった商品力を高
いレベルで実現するために必要な、車両電動化シ
ステム全体のチューニングに関するアドバイスとな
る。具体的には、車両電動化システムの概要・制
御要領・搭載する車両に適用させるためのチュー
ニング要領等についての詳細な説明など。
③技術サポート実施に関わる費用は有償。
④トヨタに申し込み、具体的な実施条件等について
協議の上で契約を締結。

2020年までに東京を中心に100台以上が運行するトヨタの燃料電池バス(FCバス)「SORA」
水素を燃料とする燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」
ITV2019年5月号53
するため、CO
排出量削減のピッチを上げるために
は、多くのステークホルダーと思いを共有し、協調し
て電動車の普及に取り組む必要がある。
 トヨタは、今回の新たな取り組みがきっかけとなり、
世界で電動車の開発・市場投入の促進につながるこ
とで、CO
排出量削減による地球温暖化抑制に貢献
したいと考えている。
 なお、問い合わせは専用のHPで行うことに
なっている。「2030年までの電動化技術の特許
実施権の無償提供に関する問合せ」は、https://
toyota.jp/cmpn/gp/ma/dc/electrification-
technologies̲jp。「電動車の製品化に向けた有償技
術サポートに関する問合せ」は、https://toyota.jp/
cmpn/gp/ma/dc/technical-support̲jpとなって
いる。

ITV2019年5月号54
イラストレーション
「キープオントラッキン」第1回
絵と文:
佐原輝夫

ITV2019年5月号55
2018年9月、長年の夢だったアメリカ・ルート66を旅してきた。シカゴから
カリフォルニアまで、8州を通る3800㎞の道は、大恐慌のあと楽園カリフォ
ルニアを目指した人々から「母なる道」TheMotherRoadと呼ばれた。現在
は高速道路がとって代わり、旧道はモーテルやカフェの廃墟が繁栄の名残
をとどめている。ここはミズーリ州セントルイスの西。旧ルート66が
いまでも町のメインストリートとして残っている。どんな小さな町
にもあるのが教会とハンバーガーチェーン。無料Wi-Fiの
その店で一息入れ、スマートフォンでその夜の
モーテルと夕食のレストランをさがす。

ITV2019年5月号56
アメカの高速道路には日本のようなサービス
エリアはない。ガソリンと軽油の価格を表示
した巨大な看板が遠くに見えてくると燃料補
給や食事にいったん高速を降りる。たいが
いはコンビニ、ファスフードとガスステーション
がいっしょにあり、大型トラック専門の「トラッ
クストップ」も多い。軽油(緑文字)の3.25
(ドル)はガロン表示で、リッター換算すると
94円/リッターくらい。日本とは桁違いの走
行距離から見れば決して安いとはいえず、
長距離トラックは燃費向上のために涙ぐまし
い努力を積み重ねている。主流は空力的
に有利なコンベンショナル(ボンネット型)とな
り、カーゴの前後端や下回りの整流、ホイー
ルキャップ装着など、細かなことを積み重ね
ている。電気自動車の時代になったら空力
はさらに進化するだろう。

ITV2019年5月号57

ITV2019年5月号64
リース車の会計基準、
変更による影響は?
西 襄二
(文と写真=一部を除く)
 国際化の動きは多岐にわたる。大きな影響力があるのはアメリカとEU
だが、今回は、アメリカの会計基準に影響を受ける事例だ。運送事業者
の多くが導入している、リース車に関わる話題を採り上げる。
運送事業に係わる会計基準研究
関係組織の設立から
今日に至る経緯
 2001(平成13)年2月、経済関係10団体(経
済団体連合会、日本公認会計士協会、全国証券取
引所協議会、日本証券業協会、全国銀行協会、生
命保険協会、日本損害保険協会、日本商工会議所、
日本証券アナリスト協会、企業財務制度研究会)は企
業の財務会計基準の統一・開発を目的に準備組織を
立ち上げ、同年7月に〝財団法人財務会計基準機構
(ASB)〟を設立した(主務官庁は同年1月に旧大
蔵省を改称改変して発足した財務省(MOF))。
 設立の趣意は「本財団は、民間における人材や資
源を結集し、一般に公正妥当と認められる企業会計
の基準の調査研究・開発、ディスクロージャー制度そ
の他企業財務に関する諸制度の調査研究及びそれら
を踏まえた提言並びに国際的な会計制度への貢献な
どを行い、もってわが国における企業財務に関する諸
制度の健全な発展と資本市場の健全性の確保に寄与
することを目的とするものである。であった(設立趣
意書より)。
 その後2009(平成21)年11月に、〝公益財団法
人財務会計基準機構(ASBJ)〟に移行し現在に至っ
ている。
国際会計基準(IFRS)について
 国際会計基準(InternationalFinancialRepor-
tingStandards:IFRS)とは、英国ロンドンを拠点と
する民間団体〝国際会計基準審議会(International
AccountingStandardsBoard、IASB)〟が設定
する会計基準のことを指す。
 経済の国際化の進展に伴い、世界の地域、国と
企業間で統一した会計基準で企業運営を行う合理性
を主張した動きはEU圏内で始まり、2005年時点
でEU域内での採用から世界の100を超える国で
採用されるまでになったとされる。この時点の記録で
は、経済大国と認められているアメリカ、及び日本は
IFRSを導入していなかったが、夫々に長年培ってき
た米国会計基準や日本会計基準があり、そう簡単に
英国発の色濃いIFRSの導入とはいかない素地があっ
たというべきだろう。
 経済の国際化とは、単に貿易が盛んになって国際
間取引が拡大するに留まらず、企業の国際化という動
きの中でいわゆる多国籍企業の成長・拡大により、そ
うしたグループ企業内の会計基準を統一すべきとの考
え方も高まっていったといえよう。そして、ステーク
ホルダーの多国籍化も損益状況の把握に同じ尺度を
使いたいとの要請を強めた。

ITV2019年5月号65
 ここから先は、経済圏毎の強さと影響力の綱引きと
いう側面での事情も加わって着地点探しが議論される
ことになる。
最近の動き
 近年、経済の総合規模は別としても多国間で統一
基準を先行させたIFRSの影響力は無視出来ないとし
て、日本もアメリカも上場企業の場合はIFRSを意識
した国際統一の会計基準へ移行する意識は高まる動
きを示してきた。
 そうした背景に立って、本年3月22日にASBJ
内の企業会計基準委員会において、「全てのリースに
物流に欠かせないトラックの導入に運輸企業は自社で買い取って運用するか、リース物件として導入するか選択肢がある。この
写真中のトラックでどれ程の割合がリース物件だろうか。

ITV2019年5月号66
ついて資産・負債を認識する会計基準の開発に着手
すること」が決定された。これが新聞では「リース取
引、資産計上へ」などと報道されたのである。読者の
中にもこれが目にとまったという方もあると思う。
 これをどのように解釈すべきか、ということから身
近な例で読者の多くが関わりのある運輸業が運用する
トラックなどの場合は、どの様な影響があるのか、な
いのか、を具体的に明らかにしたいというのが今回の
筆者の調査の動機となっている。
 ここで現在の日本のリース会計に関する会計基準を
復習するならば、上記のASBJ内の企業会計基準委
員会による『リース取引に関する会計基準』のほかに
ASBJ・日本公認会計士協会・日本税理士会連合会
・日本商工会議所の四団体が作成した『中小企業の会
計に関する指針』、中小企業庁などが主導する「中小
企業の会計に関する検討会」による『中小企業の会計
に関する基本要領』があり、多くの中小企業で適用し
今後の動きと対応
 わが国会計基準を国際会計基準と整合をとる、と
いう必要性の認識は大筋関係者間の合意がとれて前
記の「全てのリースについて資産・負債を認識する会
計基準の開発に着手すること」が決まったわけだが、
具体的な検討とどこをどのように変更して整合をとる
かは今後の作業にかかっている。
 当面は、リース車の扱いに変更の必要は直ぐに
ているものと思われる。
 前記の〝改訂に向けた開発に着手〟とニュースになっ
ているのは、ASBJの『リース取引に関する会計基準』
で、他の二つについては対象外となっており、特に『中
小企業の会計に関する基本要領』「国際会計基準の
影響を受けない」と明記されているので今回の報道事
項の影響はないと考えられるという。
 この『中小企業の会計に関する基本要領』によれ
ば、リースはオペレーティングリースのみならずファイ
ナンスリースについても、賃貸借処理(オフバランス
処理)又は売買処理(オンバランス処理)が可能として
おり、双方を任意で選択可能となっている。
 結論としては、上場企業以外の多くの中小運輸企
業にあっては、この〝基本要領〟に準拠して賃貸借処
理を行っている場合には、今回の報道についての影
響はないというのがリースビジネス関係者の一致した
見解である。
は生じないが、上記の開発の成果によってどのよう
に影響が生ずるか、今後の動向を注視することが
必要だ。
 中小企業にあっては会計業務に顧問契約で専門家
を機用している場合も多いと思われるので、細かい
事項については個別に相談されるのがよいだろう。
 なお、本稿とりまとめに当り取材に協力頂いた 
三井ファイナンスリース㈱、いすゞリーシングサー
ビス㈱、ロジ・ソリューション㈱の各社に謝意を表
します。
(本稿おわり)
運送事業に係わる会計基準研究
業  種
中集企業者
(下記のいずれか満たす
小規模事業者
資本金の額又は
出資の総額
常時使用す
従業員の数
常時使用す
従業員の数
①製造業、建設業、運輸業
その他の業種(②④を
3 億円以下 300 人以下 20 人以下
②卸売業 1 億円以下 100 人以下 5 人以下
③サ 5000 万円以下 100 人以下 5 人以下
④小売業 5000 万円以下 50 人以下 5 人以下
中小企業の定義
(出所:中小企業庁HP)

仕様
項目
チップセッ
センサーデバイス
画角
ディスプレイ
供給電圧
動作温度範囲
記憶ディバイス
記録フレーム
カメラモード
記録内容
記録形式
マイク
時刻設定
加速度センサー
質量
内容
AmbarellaH.264画像圧縮チップ
フルHD5MCMOSセンサー
約105度
LCD3インチ4:3モニター
DC10-30V
−10℃-+70℃
SanDiskSDカードClass10以上
読み書き速度15MB/s以上推奨
(最小容量:4G、最大容量:32G)
1920×1080(フルHD1080P/30F)
1280×720(HD720P/30F)
システム起動時に自動録画
解像度:3M、5M、8M
手動写真撮影、加速度センサー、セルフタイマー
日付、時刻、画像、加速度、GPSデータ(速度含む)
専用プレイヤー用独自フォーマット(記録モード)
内蔵デュアル高感度マイク
GPS信号による自動設定
GPSが無効の場合、内蔵時計を使用
内蔵
本体:192g、シガー電源アダプター112g
これは凄い!
製造販売元:株式会社日本ヴューテック http://www.nvt.co.jp/
営業本部:〒211ー0066川崎市中原区今井西町93ー3 TEL.044ー722ー2211(代) FAX.044ー722ー8488
本社:〒211ー0063川崎市中原区小杉町3ー239ー2 【サポート:TEL.044ー722ー2211】
常時録画
エンジン連動録画
イベント録画
センサー検知時録画
GPS搭載
Googleマップ連動
日付、時刻、速度を記録
音声録画
車内の音声を記録
VFーDVRー001
FULLHD5メガピクセル
ドライブレコーダー
FULLHD5メガピクセル
VIEWTECのドライブレコーダーVIEWTECのドライブレコーダー
FULLHD5メガピクセル
こんな使いかたも
自分の運転をチェック
旅行の想い出に
レース走行を記録

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号68
安全装備を大幅に拡充して発売された「日野プロフィア」
 日野自動車㈱は、大型トラッ「日野プロフィ
ア」を改良し、「サイトアラウンドモニター(右左
折時警報システム)」や「可変配光型LEDヘッ
ドランプ」の全車標準装備をはじめ、安全装
備を大幅に拡充して2019年4月1日に発
売した。
 日野は、商用車メーカーの社会的責務と
て安全技術の開発・普及に取り組んでおり、
大型トラックにおいては被害が大きなりやす
い高速道路走行時の安全対策から装備を拡
充してきた。このたび、さらなる安全性を追求
し、一般道における出会い頭事故等の対策として、「サイトア
ラウンドモニター」を新たに搭載。車両左右前端に設置したセ
ンサーが接近する車両や歩行者を検知し、警告音でドライバー
に注意喚起する。
 また、国内大型トラック初となる「可変配光型LEDヘッ
ランプ」の全車標準装備や、「オートヘッドランプ」の標準化に
よって夜間の安全運転をサポートしている。
 進化したドライバーモニターⅡ」は、従来から検
知していたわき見、瞼の開閉状態に加えて、ドラ
イバーの運転姿勢崩れも認識し、前方不注意を
検知すると警報で知らせる。モニターカメラの性能
向上に加え、カメラ取付位置を変更することで、
サングラスやマスク着用時でも検知する能力を向上
させている。
 さらに、ハンズフリー機能付Bluetooth搭載オー
ディオを標準装備し、ステアリングを握ったまま操
改良…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大型トラック「日野プロフィア」を改良
あらゆるシーンの予防安全対策で安全運転をサポート
作できる等、快適性も向上させている。
 今回発売する「日野プロフィア」は、PCS(プリクラッシュ
セーフティシステム)、VSC(VehicleStabilityControl、車
両安定制御装置)、車線逸脱警報を標準装備しており、一
部車型がASV減税の対象となる。また、J-OBDⅡ(Japan
On-boarddiagnosisⅡ)に対応したモデルとなっている。
いすゞ自動車㈱は、中型トラック「フォワード」を改良し、
2019年3月29日より全国一斉に発売した。
 今回の改良では通信端末を標準搭載することによりコネク
テッド化し、車両コンディションの遠隔把握と同データを活用
した高度純正整備「PREISM(プレイズム)の実施が可能と
なる。また、安全性向上アイテムの追加、高度OBD対応等、
改良…いすゞ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
「フォワード」全車をコネクテッド化
高度純正整備「PREISM」に対応

ITV2019年5月号69
今回のフォワード改良により、いすゞの全トラクシリーズがコネクテッド化した
通信端末を標準搭載することによりコネクテッド化した「いすフォワード」
総合的な商品力強化を実施する。
「フォワード」改良の概要
⑴遠隔データを活用した高度純正整備「PREISM(プレ
イズム)で稼働を最大化
 これまでオプションとして展開していた通信端末をフォワー
全車に標準搭載。車両心臓部のコンディションを、インター
ネットを介してユーザー自身で把握可能となる。ユーザーと同
時に、いすも車両の詳細データを把握。これにより、2015
年より大型トラッ「ギガ」で展開を始め、2018年には小型ト
ラッ「エルフ」にも展開した「PREISM」がフォワード全車で実
施可能となった。
 「PREISM」は、車両コンディションデータの活用により“未
然に防ぐ・すぐ直す”をコンセプトとした高度純正整備で、休
車時間の短縮に貢献するサービスである。また、いすゞのキャ
プティブファイナンス会社であるいすリーシングサービスとのメ
ンテナンス契約により、いすゞが責任を持って「PREISM」を
実施する「PREISMコントラクト」の提供も開始。車両の稼働
最大化に貢献する安心のサービスとなる。
⑵安全性能の向上と法規対応で更なる商品力強化を実施
 アクセルとフットブレーキを同時に作動させた場合にブレーキ
を優先させる、ブレーキ・オーバーライド・システムを全車に
標準装備。また、車両総重量8トン未満の車型にサイドアン
ダービューミラーを標準装備した。これにより、フォワードのす
べての車型にサイドアンダービューミラーが標準装備された。
また、エンジンと排出ガス後処理装置に各種センサーを追加・
変更し、排出ガス性能にかかわる装置の故障診断の要件強
化(高度OBD規制)に対応させている。
■希望価格と販売目標
◇車型:2RG-FRR90T2
◇主な仕様:平成28年度排出ガス規制適合/平成27
年度重量車燃費基準+10%達成/GVW8トン車/
ショートキャブ/エアサスペンション/キャブ付きシャシ
◇エンジン:4HK1-TCS、154kw(210PS)
◇トランスミッション:6速Smoother-Fx
◇東京地区希望小売価格:8,046,000円(消費税抜)
◇目標販売台数:16,500台/年(フォワード全体)

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号70
安全性と利便性を向上させて登場の「日野レンジャー」
 日野自動車㈱は、中型トラッ「日野レンジャー」を改良し、
2019年5月6日に発売する。今回の改良では、進化した「ド
ライバーモニターⅡ」「オートマチックハイビーム」を標準装備
するとともに、ハンズフリー機能付Bluetooth搭載オーディオ
を全車標準搭載し、安全性と利便性を向上させている。なお、
「ドライバーモニターⅡ」はカーゴ系車型に標準装備(建設系
車型はオプション)「オートマチックハイビーム」「オートヘッドラ
ンプ」はLEDランプ装着車に標準装備(一部車型[消防・高
所作業車など]は除く)となる。
 日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全装備の
開発と普及に取り組んでおり、中型トラックにおいては業界
をリードする高い水準の安全性能を実現している。このたび
機能を向上させたドライバーモニターⅡ」
は、モニターカメラの精度を向上させると
もに、カメラの設置位置をインパネ内か
らより顔を認識しやすいピラーに変更して
いる。これにより、ドライバーの顔向き・
眼の開閉状態に加えて、運転姿勢崩れ
も認識することが可能となる。また、サ
ングラスやマスク装着時の検知能力も向
上し、前方不注意を検知すると警報で知
らせることになる。
改良…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
中型トラック「日野レンジャー」を改良
安全性と利便性を向上させ運転をサポート
 夜間の運転視界支援として、ヘッドランプのハイビーム・
ロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」およ
「オートヘッドランプ」を標準搭載し、「可変配光型LEDヘッ
ドランプ」もエアサス車にオプション設定している。さらに、ハ
ンズフリー機能付Bluetooth搭載オーディオを標準装備し、
ステアリングを握ったまま操作できる等、利便性も向上させて
いる。
 今回発売する「日野レンジャー」は、「PCS(プリクラッシュ
セーフティシステム)」「VSC(車両安定制御装置)「車線逸
脱警報」を標準装備しており、全車ASV減税の対象となる。
また、J-OBDⅡ(JapanOn-boarddiagnosisⅡ)に対応した
モデルとなる。

ITV2019年5月号71
高い冷凍性能と環境性能を実現したサブエンジン式輸送用冷凍機「TU100SC
/TU100SB」シリーズ
 菱重コールドチェーン㈱(本社:東京都千代田区/安藤憲
生社長)は、低環境負荷、高い架装適合性、優れた操作性
視認性を実現したサブエンジン式輸送用冷凍機「TU100SC/
TU100SB」シリーズを発売した。
 開発・製造は三菱重工サーマルシステムズ㈱で、新冷媒
を採用した標準1室モデルのTU100SCに加え、荷室を2
〜3室に分割し異なる温度に調節可能なTU100SCmulti
及び中温輸送に適したTU85SCをシリーズとしてラインアッ
プし、シリーズそれぞれに、現行冷媒(R404A)を踏襲した
TU100SBも同時にラインアップした。
 「TU100SC/TU100SB」シリーズは室外ユニットの風
路の最適化及び熱交換器の大型化により、冷凍能力はクラ
ス最大の10,700W(TU100SBの場合)を発揮する。
 地球環境負荷低減のために、現行冷媒対比GWPが約
1/2の新冷媒(R452A)を採用するともに、スタンバイ駆
動用モーターにはIE3(プレミアム効率)モーターを搭載した。
なお、GWPはGlobalWarmingPotentialの略で、CO
を1とした係数で、値が小さいほど環境性に優れることになる。
 キャビンでのコントローラ操作性視認性向上のために、フル
ドット液晶キャビンコントローラを採用し、大型文字の日本語
表示で庫内温度、設定温度を標準1室モデルはもちろん2
〜3室の温度を同時に表示するmultiモデルにおいても、
瞬時に確認でき、プリセット機能やファンクションスイッチを搭
載することでドライバーの負担を低減している。
 近年トラックの厳しい排出ガス規制適合のために架装ス
ペースが狭小化・複雑化している状況でも容易に取付可能と
すべく、コンデンシングユニット外形寸法は1,589(左側取り
付け用は1,689)×609×695㎜とし、重量も435㎏と軽
量コンパクト性を実現している。 菱重コールドチェーンと三
菱重工サーマルシステムズは、今後も高い冷凍性能を発揮し
ながら、地球環境とドライバーにやさしい輸送用冷凍機をお客
様に提供することにより、豊かで持続可能な社会の発展に貢
献して行くしている。
冷凍機…菱重コールドチェーン
話題のニュートラック新製品情報・新情報
コンパクトで高い冷凍性能と環境性能を実現した
サブエンジン式輸送用冷凍機シリーズを発売
 大煌工業㈱(山下将弘社長)、極東開発工業㈱(髙橋
和也社長)、大林道路㈱(福本勝司社長)は、このたびダ
ンプトラックのボデーに計量装置の搭載で積載重量表示が
可能な「スケールダンプ」を開発し、トライアル運行を行うこ
とになった。
 近年、安全指向やコンプライアンス重視の観点から過積
載防止の活動や取締りがより一層強化される傾向にある。今
回の新製品は、ダンプトラックのボデー前後に三点(前側に
一点、後側に二点)のロードセル(計量装置)を搭載し積載物
の重量表示を可能とするもので、過積載の防止を図り、車
ダンプ…大煌工業・極東開発・大林道路
話題のニュートラック新製品情報・新情報
計量装置を搭載し積載重量を表示し
定積載での運行を実現する「スケールダンプ」を開発
両の定積載での安全運行をサポートする。
 今後はトライアル運行を通じて製品のブラッシュアップを行
い、2019年夏頃の市場投入を目指している。なお、販売
目標台数は年間300台を予定している。
 大煌工業・極東開発・大林道路の各社グループでは、社
会インフラを支えるべく、今後も安全と信頼をキーワードとした
事業活動と製品開発を積極的に進めていくとしている。
「スケールダンプ」の主な特長
⑴三点のロードセルで積載物の重量を計測
 ボデー下の前側に一点、後側に二点の計三点に搭載し

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号72
計量装置を搭載した「スケー
ルダンプ」(プロトタイプ)
たロードセル(計量装置)で積載物の重量を計測することが可
能。(前側のロードセルは専用シリンダ部に搭載され、計測時
にはシリンダを伸ばして測定を行う)
⑵積載物の重量が一目でわかり、確実な作業をサポート
 ロードセルで計測された積載物の重量はボデー上の外部表
示計とキャブ内表示計(1DIN)にデジタル表示される。ドライ
バーにも積込作業者にも一目でわかりやすく、確実な定積載
作業をサポートする。
⑶低速走行時でも計測が可能
 ロードカッターによる積み込み作業等の低速走行時(5〜8
㎞/h)でも計測が可能。(ただし、高精度での計測は停車状
態による測定が必要)
⑷既存車両にも装着可能
「スケールダンプ」は、新車のほか、既
存の車両にも後付けが可能。(仕様や年
式、また車両の状態によっては装着がで
きない場合もある。また、装着可能でも、
トンとなり構造変更等が必要になる場合
もある)
⑸環境負荷の低減にも寄与
 積載量を目視することで、定積載を守
りながらも車両の積載能力を最大限有効に活用でき、安全
かつ効率的なオペレーションを実現。そのため、車両毎の稼
働率を向上させ余剰な運行台数を削減できるほか、過積載に
起因する道路の損傷が少なく
り、通常外の車両劣化も防
げるため、環境負荷の低
減に大きく寄与する。

ITV2019年5月号73
フルモデルチェンジされたプレス式塵芥収集車「PressMaster(プレスマスター)PB7型・中型車」
 ㈱モリタホールディングスの連結
子会社である㈱モリタエコノス(本
社:兵庫/白井幸喜社長)は、「より
安全に使いやすく」をコンセプトに
フルモデルチェンジした「プレス式塵
芥収集車PressMaster(プレスマ
スター)PB7型中型車」の販売を
2019年3月22日より開始した。
 プレスマスターPB7型は、安全
性の改善、ゴミ収集の効率化と負
担軽減を目指したプレス式塵芥収集
車である。今回フルモデルチェンジ
た中型車は、同社独自のハイマウントリアパネルに表示器類
を集約し、後方からの視認性を高め安全性を向上させている。
 また、従来製品と比べ投入口を低く設計しているため、ゴ
を投入口の高さまで持ち上げる際の負担を軽減するととも
に、作業時間も短縮でき、作業員の労働環境改善に貢献さ
せている。ボディとテールゲートは、剛性などの基本性能を高
め、デザイン性を大幅に向上させたことで、実用性と美しく力
強いデザインを兼ね備えた製品となっている。
 プレス式塵芥収集車プレスマスターPB7型の適用車種は
4〜8トン車(中型車クラス)となる。目標販売台数は、Press
Masterシリーズで400台/年間で、販売価格(税別)は、
PB782Eが14,023,000円〜、PB787Eが14,143,000
塵芥車…モリタエコノス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
安全性改善とゴミ収集の効率化・負担軽減を目指し
プレスマスター中型車をフルモデルチェンジ
円〜、PB7102Eが14,286,000円〜、となっている。

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ITV2019年5月号74
【運行イージ図】運行スケジュール(例)しては、月曜〜金曜で、(18:30)トラクタがトレーラの連結拠点で
ある関西GW(厚木GW)に到着、(19:30)ヤマト運輸のトレーラを連結し出発、(3:00)厚木GW(関西
GW)に到着、(3:30)ヤマト運輸のレーラを切り離し、各社の拠点へ出発
ヤマトグループ「関西ゲートウェイ」での出発式。左から、ヤマト運輸㈱:福田靖・執行役員ネトワーク事業開発部長、日本郵便㈱:
山本龍太郎・常務執行役員、西濃運輸㈱:小森紳司・専務取締役、国土交通省:橋本雅道・近畿地方整備局道路部長、一
般社団法人全国物流ネトワーク協会:森日出男・会長、国土交通省:後藤浩之・近畿運輸局自動車交通部次長、日本通運㈱:
佐久間文彦・取締役常務執行役員首都圏支店長、ヤマト運輸㈱:西出敏之・常務執行役員関西支社長
 一般社団法人全国物流ネットワーク協会(東京都渋谷区
/森日出男会長/全流協)とその会員企業である西濃運輸㈱
(本社:岐阜県大垣市/神谷正博社長)、日本通運㈱(本
社:東京都港区/齋藤充社長)、日本郵便㈱(本社:東京
都千代田区/横山邦男社長)、ヤマト運輸㈱(本社:東京都
中央区/長尾裕社長)の4社は、2019年3月28日より、
関東〜関西間での幹線輸送における、スーパーフルトレーラ
SF25を活用した共同輸送を開始する。同日、その出発式が
ヤマトグループ「関西ゲートウェイ」で開催された。
 なお、SF25を活用した共同輸送の取り組みが、この日、
改正物流総合効率化法の対象として国土交通省より認定を
受けた。ちなみに、改正物流総合効率化法
とは、流通業務(輸送、保管、荷さばき及び
流通加工)を一体的に実施するとともに、「輸
送網の集約」「モーダルシフト」「輸配送の
共同化」等の輸送の合理化により、流通業
務の効率化を図る事業に対する計画の認定
や支援措置等を定めた法律である。
 物流業界では、主に幹線輸送を担う大型
トラックドライバーの不足や高齢化が進んで
いる。労働人口の減少などにより人材確保
は一層困難になることが見込まれる中、国土
交通省は、トラック輸送の省人化を推進する
ため、2016年9月に「ダブル連結トラック
共同幹線輸送…全流協
話題のニュートラック新製品情報・新情報
スーパーフルトレーラを活用した共同幹線輸送
「関西ゲートウェイ」で出発式を実施
実験協議会」を設立し、車両長の基準を最大25メートルま
で緩和する実験を実施するなど、国家的課題である物流業
界の人手不足への対応を進めている。
 全流協では会員企業11社で組織される「スーパーフル
レーラSF25の共同利用を考える研究会(座長ヤマト運輸)」
を設立し、SF25の共同利用について調査・研究を重ねて
きた。そのような中、2018年10月19日、石井啓一国土
交通大臣に対し車両長基準緩和について提言し、2019年
1月29日、国土交通省により車両長基準が緩和された。
 このたび、規制緩和と会員企業の協力により、関東〜関
西間での幹線輸送におけるSF25を活用した共同輸送が実

ITV2019年5月号75
連結車の車両長が21mから25mに緩和されたことで実現したダブル連結トラック
走行実験を行う日本梱包のダブル連結トラック
セレナe-POWERチェアキャブスロープタイ
デイズルークス助手席スライドアップシー
現したもの。全流協と各会員企業は、今後も物
流業界全体の課題解決に向け取り組みを推進し
て行くしている。
■取り組みの概要
⑴取り組み内容
 西濃運輸、日本通運、日本郵便のトラクタが、
ヤマトグループの関西ゲートウェイ(関西GW)
厚木ゲートウェイ(厚木GW)でヤマト運輸のトレー
ラを連結し、幹線輸送する。合計6台のSF25
が両拠点の間を相互に運行する。
⑵メリット
 SF25の導入により、積載量が従来の大型
ラックの2倍となり、1度に大量の荷物を輸送
できるようになるともに、異なる事業者のトレー
ラを連結し1台の車両として運行できることか
ら、事業者の壁を越えた輸送の効率化につなが
り、物流業界全体の課題である人手不足への
有効な解決手段となる。また、車両台数が削減
できることでCO
の排出量低減にも貢献する。
 日産自動車㈱と㈱オーテックジャパンは、2019年4月18
日から20日までインテックス大阪で開催された「バリアフリー
2019」に、ライフケアビークル(福祉車両)5台を出展した。
 日産自動車グループでは、ユーザーの生活のいろいろなシーン
で役に立ちたいとの意味を込め、福祉車両を「ライフケアビークル」
(LV:LifeCareVehicles)と呼称し、個人ユースから施設での
利用までに対応できる幅広いラインアップを取り揃えている。
 今回の「バリアフリー2019」では、電動パワートレイン
「e-POWER」を搭載した「セレナe-POWERチェアキャブ
スロープタイプ」をはじめ、「セレナチェアキャブスロープタイ
プ」「デイズルークス助手席スライドアップシート」など、計
5台を展示した。
 日産は、「ニッサンインテリジェトモビリティ」の取り組みの
もと、クルマの「電動化」「知能化」に向けた技術開発を進め
ている。ライフケアビークルにおいても、「ニッサンインテリジェ
トモビリティ」を具現化する先進技術の搭載を推進している。
 出展車両としては、①セレナ・e-POWERチェアキャブス
ロープタイプ車
いす1名サー
仕様、②セレナ
チェアキャブス
ロープタイプ車
いす2名仕様、
③NV350キャラバン・チェアキャブ車いす1+1名仕様、④
ノート・e-POWER助手席回転シート、⑤デイズルークス・
助手席スライドアップシート、となった。
福祉展…日産・オーテックジャパン
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大阪で開催の「バリアフリー2019」
先進技術搭載の福祉車両5台を出展

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Now
ITV2019年5月号76
車いすに乗ったまま後席に乗車できる「N-BOXスロープ仕様」
2019年4月より販売を開始した新型陸上競技用車いす「翔〈KAKERU〉
社会福祉団体に贈呈された「マツダフレアワゴン
車いす移動車」
 Hondaは、2019年4月18日から20日までインテックス
大阪で開催された総合福祉展「バリアフリー2019」(主催:
社会福祉法人大阪府社会福祉協議会、テレビ大阪、テレ
ビ大阪エクスプロ)に、「FunforEveryone.Honda〜移動
の喜びを一人ひとりに〜」のテーマのもと、さまざまな福祉車
両・福祉機器を展示した。
 N-BOXシリーズは幅広い層のユーザーから好評で、2018
年度(2018年4月〜2019年3月)に239,706台を販売。
登録車を含む新車販売台数において2年連続となる第1位
を獲得している。N-BOXスロープ仕様(2018年4月発売)
は、車いすに乗ったまま後席に乗車できる「車いす乗車モード」
への切り替えを簡単な操作で可能とし、荷室の床を引き出す
とそのままスロープになるほか、手すりをワンタッチで設置でき
るなど、車いす利用者、介助者の双方にとってシンプルな使
総合福祉展…Honda
話題のニュートラック新製品情報・新情報
総合福祉展「バリアフリー2019」に出展
高齢者・障がい者の快適な生活を提案
い勝手を実現させている。Hondaブースではそのほかにも、
コンパクトなボディーながら車いす利用者も含めて最大6名が
乗車可能な「FREED+(フリードプラス)」や、Honda独自
の手動運転補助装置「Honda・テックマチックシステムDタ
イプ」など、各車両の特長を生かした福祉車両のラインアップ
を展示した。
 また、2019年4月より販売を開始した新型陸上競技用
車いす「翔〈KAKERU〉」を展示したほか、加齢や疾病など
により歩行能力が低下した人のリハビリ補助を目的とした機器
「Honda歩行アシスト」や、障がいを持つ人の自動車運転
再開に向けた能力評価サポートなどを目的として、全国の病
院などで活用されている簡易型四輪ドライビングシミュレーター
「Hondaセーフティナビ」を体験いただけるコーナーを設けて
いた。
 マツダ㈱は、2018年9月22日に「MAZDAZoom-
Zoomスタジアム広島」の累計来場者数が1,800万人を達
成したことを受け、「社会福祉法人広島市手をつなぐ育成会」
(広島市西区)「マツダフレアワゴン車いす移動車」を贈
呈することを決定。2019年4月9日に同球場で開催された
「広島東洋カープ対東京ヤクルトスワローズ」の試合開始
前に、マツダの稲本信秀取締役専務執行役員(中国事業・
車贈呈…マツダ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
「Zoom-Zoomスタジアム」1,800万人達成を記念し
社会福祉団体にマツダ車を贈呈
国内営業・法人販
売統括)より、贈呈
先の代表者に目録
を渡すセレモニーを
行った。
 この取り組みは、
マツダが広島市民球

ITV2019年5月号77
南アフカで生産される「日産ナバラ」2018年モデル(参考写真)
ロスリン工場の式典には、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領、日産
のアフカ・中近東・イド担当のペイマン・カーガー専務執行役員、南アフリカ
日産のマイク・ウィトフィールド社長が出席した
場の命名権取得の際に、社会貢献活動のひとつとして広島
市に提案したもので、来場者数が100万人を達成するごと
に、広島市社会福祉協議会により選定された社会福祉団体
にマツダ車1台贈呈するもの。
 今回の贈呈にあたり、稲本専務は「『MAZDAZoom-
Zoomスタジアム広島』の累計来場者数1,800万人達成を
お祝い申し上げます。このたびお贈りするマツダ車を通じて、
贈呈先の皆さまの絆を深める一助になることを願っています。
今シーズンも同球場での熱戦が、多くの方を歓喜させ、地域
を元気づけさせると強く信じています。マツダは、地元に根ざ
した企業として、これからも地域発展に貢献するよう、努めて
まいります」と語った。
 日産自動車㈱は2019年4月10日、ピックアッ
トラック「ナバラ」新型車の生産準備のため、
プレトリア・ロスリンにある南アフリカ日産の車両
組立工場(ロスリン工場)に30億ランドの投資を
行うことを発表した。
 ロスリン工場では現在「NP200」と「NP300」
を生産しており、南アフリカ国内のほか、パンア
フリカ地域の45ヵ国に向けて輸出している。今
後、新型「ナバラ」の生産が加わることにより、
日産の小型商用車(LCV)製造拠点としてのロス
ン工場の機能が拡大することになる。
 ロスリン工場における新型「ナバラ」生産は
2020年に開始される予定で、工場での直接的
な雇用に加え、現地のサプライチェーン全体で
約1,200名の新たな雇用を創出することになる。また、ロス
リン工場の現在の年間生産台数35,000台に対し、市場
状況次第によっては「ナバラ」の生産が年間約30,000台加
わると見込まれており、生産体制を現在の1シフトから2シフ
トに増やす予定となっている。
 今回の発表では、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ
大統領、日産のアフリカ・中近東・インド担当のペイマンカー
ガー専務執行役員、南アフリカ日産のマイク・ウィトフィール
ド社長が出席し、ロスリン工場で式典が行われた。
 ラマポーザ大統領は、「自動車産業はすでに南アフリカの製
造業で最も大きな産業であり、年間GDPの約7.0%と、製
造業生産高の3分の1を占めています。日産が『ナバラ』
ここで生産することを大変嬉しく思っており、このような重要な
モデルを確保した同社の従業員に祝辞を述べたい」とコメント
した。
 また、日産のカーガー専務執行役員は、「アフリカは日産の
海外生産…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
30億ランドの大規模投資を実施し
「ナバラ」を南アフリカ共和国で生産
中期計画『日産M.O.V.E.to2022』の実現に向け重要な市
場です。日産はアフリカ・中近東・イド地域におけるプレゼ
ンスを倍増したいと考えています。すでにアフリカでは、エジプ
ト、ナイジェリア、南アフリカで生産工場を有し、現在アルジェ

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ITV2019年5月号78
南アフカ日産の車両組立工場「ロスン工場」ロスン工場の組み立てライン。生産能力は今後大幅にアップする
ナバラに試乗する南アフカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領
リアに工場の開設を計画しているなど、日産はこの地域で存
在感を増しています。今日の発表は、世界でも重要なマーケッ
トであるアフリカが継続的に成長していることを改めて示してい
ます。また、南アフリカでは、長期的な投資が可能となる安
定した市場環境が政府によって整えられています」と述べた。
「ナバラ」生産に向けた投資により、ロスリン工場はさらに
近代化が進み、フレキシブルな製造ラインや新しい設備を導
入することになっている。今後は、作業員の研修や技能向上
を実施することになる。
 日産は、中小企業のサプライチェーンやスキル開発を
支援する現地政府機関である自動車産業開発センター
(AutomotiveIndustryDevelopmentCentre:AIDC)と協
力し、新型「ナバラ」の生産準備を段階的に展開・支援する
ため、15の黒人所有企業を新たに選定した。生産を拡大し、
現地調達への支出を増加していくにあたり、これらの企業と
提携して行くことになる。現在までに、日産はAIDCと協力
し、黒人経済力強化政策(BroadBasedBlackEconomic
Empowerment:BBBEE)の新規事業プログラムにより総予
算の16%を黒人所有企業に投じ、8社の新たな部品メーカー
と関連会社を生み出している。日産は合計318のBBBEE
サプライヤーと取引がある。これは南アフリカにおける日産サ
プライヤー全体の約34%に相当する。
 南アフリカ日産のウィトフィールド社長は、『ナバラ』は南ア
フリカに最適のモデルです。南アフカ政府による自動車生産
開発プログラム(AutomotiveProductionandDevelopment
Programme:APDP)の大きな支援も受け、その生産を行う
体制は整っています」と述べ、「自動車の車両は、すでに南ア
フリカの総輸出の約14%に上ります。『ナバラ』の生産は小
型商用車(LCV)の輸出拠点としてロスリン工場
の機能を拡大し、自動車産業にさらに貢献するな
ど、APDP次期フェースの目指すところに一致し
ています」と語った。
「ナバラ」は、2016年のインターナショナルピッ
クアップ賞をはじめ、発売以来、世界中で数々
の賞を受賞している。2018年の「ナバラ」グロー
バル販売台数は231,435台(前年同期比6%
増)で、日産のピックアップトラックとして最も売れ
ているモデルとなっている。

ITV2019年5月号79
複数のユーザー間で地点情報を共有(サービスイージ)トラク専用カーナビアプリトラクカーナビ」のダウンロードページ
 ㈱ナビタイムジャパン(本社:東京都港区/大西啓介社長)
は、2019年4月4日より、AndroidOS向けトラク専用カー
ナビアプリトラクカーナビ』で、トラックドライバー同士の共有機
能を拡充し、複数のユーザー間で地点情報を共有でるになた。
 これまでは、お互いの現在地や目的地、到着予想時刻、
走行軌跡などの情報をリアルタイムに共有が可能だったが、
ユーザーより地点情報も共有したいとの要望が多く、このたび
の機能拡充に至ったもの。
 地点情報の共有では、複数のユーザーでグループを作成
し、地点情報を同時に共有できるようになる。また、グルー
プに所属するユーザーであれば誰でも地点情報を追加・修正
でき、「休憩場所」「搬入口」「荷渡地点」などのタグを付け
て管理したり、メモの入力(最大140文字)も可能になる。ユー
ザーは、最大3つのグループを作成でき、目的や参加メンバー
に合わせて利用できる。
 今回の対応により、従業員間で取引先やその周辺の待機
機能拡充…ナビタイム
話題のニュートラック新製品情報・新情報
「トラックカーナビ」の共有機能を拡充
複数のドライバー間で地点情報の共有が可能に
場所を共有するなど業務で活用できるほか、トラッドライバー
同士で大型車が駐車可能な飲食店や休憩所などの有益な情
報を共有する場としても利用できる。
 共有機能は、最大50名のユーザーと情報を共有でき、パー
トナーの位置情報の確認を無料で利用できる。なお、自身
のルート情報や走行軌跡、地点情報などの共有、音声案内
などの一部機能は会員登録(有料)が必要になる。
 『トラックカーナビ』は、今後もトラッドライバー同士が情報
を共有できる“つながる”トラックの機能を強化し、利用者の
業務をサポートして行くしている。
 なお、iOS向け『トラックカーナビ』でも順次対応する予定と
なっている。
 パイオニア㈱は、このたび「IntelligentPilot」でドライバー
の疲労や居眠りに起因する自動車事故を防ぐため、眠気やわ
き見の検知が可能なドライバーモニタング機能を搭載した通
信型2カメラドライブレコーダー「TMX-DM03」をラインアッ
運転支援…パイオニア
話題のニュートラック新製品情報・新情報
先進運転支援システム「IntelligentPilot」に
眠気を検知する通信型ドライブレコーダーを追加
プに追加した。これにより、ドライバーの状態をリアルタイム
に把握し、さらなる安全運転支援が可能となる。
 自動車事故の原因となっているドライバーの疲労や居眠りな
どに対する対策が注目されており、2018年6月1日には、

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Now
ITV2019年5月号80
ドライバーモニタング機能を搭載した通信型2カメドライブレコーダー「TMX-
DM03」
「TMX-DM03」では眠気やわき見の検知が可能となった
旅客業や貨物業者に対し、点呼簿の記録事項として睡眠不
足の状況を追加するなどの規則改正が施行されている。
 同社では、2017年4月より既販車向けの先進運転支援
システム「IntelligentPilot(インテリジェトパイロット)を提供
している。同システムは、デジタル地図などを活用した「事故
リスク予測プラットフォーム」と常時通信型IoTデバイスを連携
させ、運転時の事故発生を未然に防ぐなど、安全運転支援
の実現を目指すもの。
「TMX-DM03」の主な特長
⑴赤外線対応の車室内カメラにより、ドライバーの眠気
やわき見を検知するドライバーモニタリング機能を搭載。
「眠気検知機能」:AIを活用したアルゴリズムにより、まぶ
たの開閉時間だけでなく、まばたきの回数や顔の傾きなどを検
知し、リアルタイムに眠気を判断して警告。
「わき見検知機能」:顔の傾き角度・時間を検知し、リアル
タイムにわき見を判断して警告。
※同製品は、JungoConnectivityLtd.(イスラエルJungo社)
ドライバーモニタングソフトウェアを採用している。
⑵前方カメラにより、ドライバーの危険運転を検知する
安全運転支援機能を搭載。
「前方車両接近検知機能」:同一走行レーンの前方車両と
の距離が接近したことを検知し、注意喚起。
「片寄走行検知機能」レーンに偏った走行を検知し、注意
喚起。
⑶高度な安全運転支援を実現。
・事故リスク予測による注意喚起・警告:デジタル地図デー
タやプローブデータ、事故発生地点、天気などの各種データ
と、ドライバーの運転傾向などから事故のリスクをリアルタイム
に予測し、事故リスクが高い場合のみ注意喚起・警告。
・AIスコアリング機能「YOURSCORING」:デジタル地図デー
タとGPSの位置情報を用いて、ドライバーごとの潜在的なリ
スクまで診断。
 パイオニアは今後、「IntelligentPilot」の機能や端末のラ
ンアップを拡充するともに、海外での展開も視野に、さ
ざまな自動車関連事業者へ同システムの活用を提案すること
で、交通事故削減に取り組んで行くとしている。
「TMX-DM03」の主な仕様
・通信方式:LTE/3G
・GNSS:GPS/QZSS/GLONASS/Galileo内蔵
・センサー:3軸加速度センサー/3軸ジャイロセンサー
内蔵
・画面サイズ:2.4インチ液晶(タッチパネル)
・撮影素子:約200万画素CMOSセンサー(車室内カ
メラ、前方カメラとも)
・記録画角:水平130°垂直67°対角158°(車室内カ
メラ、前方カメラとも)
・記録媒体:microSD(microSDXCメモリーカード対
応)

ITV2019年5月号81
車両のライフサイクルコスト低減と稼働率最大化に貢献する「日野リトラクス」
日野製エンジン・トランスミッションのリビルと販売
DPRの洗浄とビルト部品も手がけている
 日野自動車㈱の子会社である日野ユートラック&エンジニアリ
ング㈱(本社:群馬県安中市/若林昌也社長)は、2019年
4月1日付で社名を「日野リトラクス株式会社」に変更した。
 これまでリユース系の事業を通じて、ユーザーの稼働を支え
トータルサポートの一翼を担っていたが、このたびリビルト部
品製造・販売とリユース部品販売に特化し、事業を強化す
る。高品質低価格なリビルト部品・リユース部品の提供を通
じて、ユーザーの車両のライフサイクルコスト低減および稼働
率最大化に貢献して行くことになる。
 日野は、「もっと、はたらトラック・バス」をスローガンに掲げ、
その実現に向けて「安全・環境技術を追求した最適商品の
提供」「最高にカスタマイズされたトータルサポート」「新たな領
域へのチャレンジ」の3つの方向性に注力している。ユーザー
や社会にこれらの価値を継続的に提供して行くために、多様
化するユーザーニーズにきめ細かく応えるべくグループを挙げて
チャレンジを続けて行くしている。
社名変更…日野リトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
日野ユートラック&エンジニアリンが
「日野リトラックス」へ社名変更
■会社概要
・会社名:日野リトラックス株式会社
・設立:2012年4月1日
・資本金:450百万円
・出資比率:日野自動車100%
・代表者:代表取締役社長若林昌也
・事業内容:リビルト部品製造・販売、リユース部品販売
・従業員数:170人(2019年3月31日時点)
・電源電圧:本体DC5V(付属のシガーライター電源ケー
ブル接続時)
・最大消費電流:1.5A(付属のシガーライター電源ケー
ブル接続時)
・内蔵バッテリー容量:750mAh
・動作温度範囲:-10℃〜+60℃(バッテリー動作を除く)
・外形寸法(W×H×D):約128㎜×約54㎜×約53㎜
(ブラケット部除く)
・質量:約180g(ブラケット部除く)
・その他:Wi-Fi/Bluetooth
■Jungo社について
 2013年にシスコシステムズの自動車ソフトウェア部門の
分離により設立したCiscoInvestmentsが投資保有する会
社。同社は、取得した映像を端末内のソフトウェアのみで解
析し、ドライバーの状態を高精度かつリアルタイムに検知・判
断するソフトウェアを開発、提供している。日本では㈱ユビキ
タスAIコーポレーションが代理店となっている。

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ITV2019年5月号82
沖縄県うるま市に開設した新センターの式典の様子
小型の水電解式水素発生充填装置「SimpleFuel」とFCフォークリフト(イージ写真)
 公益財団法人自動車リサイクル促進センター(東京都港区
/中村崇代表理事/JARC)は、2019年4月1日、「新・
自動車リサイクルコンタクトセンター」を沖縄県うるま市に開設
した。
 JARCは、全国8,140万台の自動車ユーザーおよび自動
車販売店や整備店をはじめとした約6万事業者からの問合せ
や事務窓口としての機能を全国に複数設置している。コンタ
トセンターを利用する人の多様なニーズに応え、よりきめ細
やかなサービスの提供を行うため、ワンストップ型機能の実現
を目指している。そのため、2年前から機能統合の検討・準
備を行い、このたび新しいコンタクトセンターを沖縄県うるま市
に開設するもの。 JARCは、新たなコンタクトセンターを日
本のリサイクル制度を支えるサービス拠点として、多くの利用
者とのコミュニケーションの結節点の役割を果たしながら、循
環型社会の実現に寄与して行くとしている。
 JARCは、自動車のリサイクル及び適正処理の促進に関
トヨタ自動車㈱は、再生可能なエネルギーである太陽
光発電の電力を活用し、水素を製造・貯蔵・供給でき
る小型の水電解式水素発生充填装置「SimpleFuel(シ
ンプルフューエル」を愛知県豊田市の元町工場に導入し
た。「SimpleFuel」は、米国IVYSEnergySolutions
とPDCMachinesの2社が共同で製造している。
 この「SimpleFuel」は工場敷地内にある太陽光で発
電した電力を利用して、水の電気分解により低炭素水素
を製造し、さらに圧縮・蓄圧した上で、燃料電池フォー
クリフト(FCフォークリフト)に充填するまでの工程を一貫
して対応できる水素ステーションである。水素の製造量
は、最大99N㎥/日(約8.8㎏/日)で、FCフォークリ
ト7台〜8台分の充填ができるとともに、サイズもコ
ンパクトなため、小さいスペースでも容易に設置でき、工
自動車リサイクル…JARC
水素ステーション…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
話題のニュートラック新製品情報・新情報
JARCが沖縄県うるま市に 
新・自動車リサイクルコンタクトセンターを開設
再エネ由来水素ステーションを元町工場に導入 
工場CO
ゼロチャレンジに向けて水素利用を推進
する各種事業を行うことにより、資源の有効な利用の向上と
環境の保全に貢献することを目的とする公益法人である。特
殊な自動車を除き、トラック、バスなどの大型自動車、キャン
ピング車などの特種自動車、工場等私有地内で使用されて
いるナンバープレートがない構内車も含む、ほとんどの四輪自
動車を対象にリサイクル事業を行っている。

ITV2019年5月号83
「SimpleFuel」の内部構造
場内でFCフォークリフトに充填する用途に適している。
 現在、元町工場では、FCフォークリフトの導入拡大に伴
い、2018年3月に水素ステーションを稼働している。今後
の水素の需要増を見据え、「SimpleFuel」の活用により、供
給面での対応を図り、元町工場におけるCO
排出削減に貢
献するともに、新たな技術や知見の蓄積を進めていきたいと
している。
トヨタは、工場でのCO
排出量削減に向けて、現在使
用しているエンジン式フォークリフトをFCフォークリフトに置き
換えていく予定で、まずは元町工場において、㈱豊田自動
織機製のFCフォークリフトを2017年に2台、2018年に
20台導入している。今年は環境省の「二酸化炭素排出抑
制対策事業費等補助金(再エネ水素を活用した社会インフラ
提携…MONET
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MaaS事業の価値とサービス向上を目的に 
MONETが日野・Hondaと資本・業務提携
 ソフトバンク㈱とトヨタ自動車㈱の共同出資会社である
MONETTechnologies㈱(モネ・テクノロジーズ、本社:
東京都港区、宮川潤一CEO、/MONET)は、日野自動
車㈱および本田技研工業㈱と、MaaS事業の価値向上とモ
ビリティサービスユーザーへのサービス向上を図ることを目的
に、2019年3月28日に資本・業務提携に関する契約を
締結した。日野とHondaは、それぞれMONETに2億4,995
万円を出資し、9.998%の株式を取得する予定である。
 今回の提携についてMONETTechnologiesの代表取
締役社長兼CEOである宮川潤一氏は、「この提携によって、
日野のトラックやバスから得られる人や物の移動に関する車両
のデータと、Hondaの乗用車などを活用したモビリティサービ
スから得られるデータが連携できるようになり、MONETのプラ
の低炭素化促進事業)を活用し、「SimpleFuel」を導入した
ほか、FCフォークリトをらに50台追加した。
 なお、トヨタは愛知県をはじめ、関係自治体、企業ともに、
「あいち低炭素水素サプライチェーン推進会議」を通じて、
再エネを活用し「つくる・はこぶ・つかう」という水素のサプライ
チェーン全体の低炭素化を推進している。今回の再エネ由来
水素を製造し使用する取り組みは、愛知県が制定した「低炭
素水素認証制度」により、認定を受けている。
 トヨタは2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」
のひとつとして、「工場CO
ゼロチャレンジ」の実現に向け、
工場での水素利用を目指して水素エネルギー活用技術の開
発・導入を進めている。この一環として、元町工場において
「SimpleFuel」やFCフォークリフトの導入・利用を推進して
おり、今後も、「工場CO
ゼロチャレンジ」の実現に向けて着
実に取り組んで行くしている。

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号84
トヨタが発表した企業向けEVプラトフォーム「e-PaletteConcept」
大学生向けの「NISSANe-シェアモビ」サービス
 日産自動車㈱は2019年4月11日、カーシェアリング
サービス「NISSANe-シェアモビ」のサービス拡充の一環と
して、生活協同組合連合会大学生協事業連合(大学生協
事業連合)と共同で大学生向けのサービス利用促進を行う
発表した。
 「NISSANe-シェアモビ」はEVとe-POWERを使ったカー
シェアリングサービスである。提供するクルマは「日産リーフ」
「ノートe-POWER」の上位グレードで、電動駆動車ならでは
の力強い加速感を味わえ、最新の運転支援機能を搭載して
いるため、運転に不慣れな利用者にとっても安心して利用で
きる。
 自動車の運転免許を取得する際、多くの大学生は在学中
に教習所に通い、免許証を取得する。近頃は免許を取得し
た後に運転機会が少ないまま社会に出る人も多く、久しぶり
に運転する際に不安を感じたり、慣れない運転で事故を起こ
カーシェア…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大学生協事業連合と共同で
大学生向けに「e-シェアモビ」サービスを拡充
してしまう危険もある。
 今回、日産は大学生協事業連合と連携し、大学生に向け
「e-シェアモビ」の利用促進を行う。大学生にとってより身
近に利用できるよう、大学のキャンパスや居住エリアから近く、
トフォームはさらに進化していきます。MONETは、今後も多
種多様なデータを連携していくことで自動運転社会に向けた
高度なMaaSのプラットフォームを構築し、安心・快適なモビ
リティサービスの実現を通して人々の暮らしを豊かにすること
目指します」とコメントした。
 日野自動車の下義生社長は、「日野自動車はトラック・バス
の専業メーカーとして、長年にわたり、事業者の皆様ともに
人と物の移動を支える会社として歩んでまいりした。お客様
と社会のご要望を具現化した商品・サービスを通じて新たな
価値をお届けするのが我々の役割であり、MONETへの参
画は、これをらに加速するために最良の選択であると判断し
した。この連携を通じ、我々が目指す"自由に安全に効率
的に人と物が移動する「豊かで住みよい持続可能な社会」"
の実現に向け邁進してまいります」と述べた。
 本田技研工業の八郷隆弘社長は、「Hondaは、MONET
との連携を通じて、モビリティサービスの社会受容性・顧客
受容性獲得のための普及活動、モビリティサービスの実証実
験、関連法令整備に向けた渉外活動などをよりスピーディ
に推進し、日本のモビリティサービス産業の振興と日本におけ
る交通関連の社会課題の解決を目指してまいります」と語って
いる。
 今回の提携により、MONETは日野およびHondaと連携し
て、安心・快適なモビリティ社会の実現に向けて、移動にお
ける社会課題の解決や新たな価値の創造を目指すとしている。
■MONETの株主構成および出資比率
・ソフトバンク株式会社…10億500万円(40.202%)
・トヨタ自動車株式会社…9億9,500万円(39.802%)
・日野自動車株式会社…2億4,995万円(9.998%)
・本田技研工業株式会社…2億4,995万円(9.998%)
(2019年5月末までに出資が完了する予定)

ITV2019年5月号85
今回導入した「CHAdeMO(チャデモ)規格による出力100kWのEV用超高
速充電器
利便性の良い駐車場エリアのステーションを活用し、対象の
大学生には一定時間、無料で利用できるクーポン券を特典
に設定。まずは、既に近隣でステーションを開設している東
京都、神奈川県内の大学生協で入会促進活動を始め、今
後ステーション数の多い東名阪エリアを中心に順次、各大学
生協へ拡大を予定している。
 また、4月下旬からは人気車種である「セレナe-POWER」
をサービスのラインナップに追加予定で、多人数乗車で荷物
の多い際に便利なミニバンタイプにより幅広い利用用途に応
えることになる。
 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)と日産自動車㈱、兼松㈱は、米国カリフォルニア
州で2015年から実施中の電気自動車(EV)の利用範囲拡
大を目指す実証事業において、「CHAdeMO(チャデモ)」規格
による出力100kWのEV用超高速充電器を導入し、運用
を開始した。従来の2倍の出力で充電できることで、EVの
充電時間の短縮を図ることになる。
 あわせて、EVドライバー向けスマートフォンアプリ
「DRIVEtheARC」に、充電ステーションでの充電予約機能
を追加。同アプリを通じて特定の充電器での事前予約が可
能となり、充電時の混雑緩和による快適なEV利用につなが
ることが期待されている。
 今回のハード、ソフト両面の強化を通じて、従来から取り組
んでいる急速充電器の設置などによるEV行動範囲拡大の
有効性の実証やさざまなEV行動データの収集・分析の精
度向上を目指す。また、電池容量が異なるEVの運転・充
電行動の多面的な分析のほか、充電器の予約から利用まで
ドライバーの行動の分析にも新たに着手し、EVの利用距
離延伸の可能性評価に取り組む。これにより、ドライバーにとっ
てのEVの利便性向上につなげて行くことが可能となる。
 世界的に電気自動車(EV)普及の動きが広がる中、米国
は早くからEVに注目し、さざまな取り組みを実施している。
特にカリフォルニア州は、2030年までに500万台のZEV
(ZeroEmissionVehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定
台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率の
EVやプラグインハイブリド車などの販売を義務付ける(ZEV
規制)ほか、EV購入者は優先レーンの通行許可が得られる
といった優遇措置を充実させ、現在米国において自家用EV
の販売台数が最も多い州となっている。一方、EVの普及が
進む同州でも、EVは充電インフラが比較的整備されている
都市部での近距離移動などを主とする、限定的な使われ方を
実証事業…NEDO・日産・兼松
話題のニュートラック新製品情報・新情報
米国カリフォルニア州でのEV実証事業に 
チャデモ式超高速充電器を導入
されているのが現状である。
 このような背景のもと、NEDOのプロジェク(事業期間:
2015年度〜2020年度)において、日産自動車、兼松は、
米国カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム
情報サービスの提供を通じてEVの利用頻度向上と行動範
囲拡大を目指す実証事業に2015年から取り組んでいる。
2017年11月14日には、海沿いのモントレーから山間部の
レイクタホまでの約530㎞区間内の25カ所に出力50kW
のEV用急速充電器55基を設置し、実証事業を本格始動
している。

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号86
次世代交通サービスMaaSのイージ図
EVドライバー向けアプリに充電ステーションでの充電予約機能が追加された
 今回、今後のEV車載電池の大容量化を踏まえ、日本発
の充電規格「CHAdeMO(チャデモ)に対応した超高速充電
器を1基設置した。これにより、EVの充電時間のさらなる
短縮が図れることになる。超高速充電器の出力は、EV車
載電池の受電性能と充電器維持費の効率性を考慮して、既
設充電器の2倍となる100kWとし、市場の状況に応じて
今後の出力増強も視野に入れている。さらに2019年5月
に、同様の超高速充電器1基を追加設置する予定となって
いる。大容量で超高速充電が可能な電池を搭載するEVと、
超高速充電非対応の中・小容量電池を搭載するEVの運転・
充電行動を比較することで、電池容量の違いを考慮したEV
の運転・充電行動の多面的な分析を可能にしている。
 また、2017年11月からEVドライバー向けに提供してい
るスマートフォン用リアルタイム情報アプリ「DRIVEtheARC」
に特定の充電ステーションで充電予約ができる機能を追加
し、提供を開始した。スマホアプリからの事前利用予約によ
り、利用者が増加している都市部の充電ステーションでの充
電時の混雑緩和を目指すともに、充電器の予約から利用ま
でのEVドライバーの行動を分析することで、EVの快適な利
用環境と利用距離延伸の可能性を探るとしている。
 今後は、異なる電池容量のEV運転・充電行動に対して
「DRIVEtheARC」が与える影響の分析や、運転・充電行
動データの集積と分析を進めることで、充電ステーションの混
雑予想情報の精度を高め、全体最適案内の機能拡張を行う
予定となっている。また、EVドライバーの運転行動統計情
報など、本実証事業で得た情報を通じて、日産自動車と兼松
は、EVのリアルタイムデータの蓄積やビッグデータビジネスの
検討を進めるとしている。
 日刊工業新聞社は、自動車や鉄道、飛行機、自転車等
の移動手段をITで統合し、移動ルートの検索・予約・支払
いまでをひとつのサービスとして提供するMaaS(モビリティー・
アズ・ア・サービス)に関するセミナー「次世代交通サービス
MaaSが実現する豊かなモビリティー社会」を2019年5月
講演…日刊工業新聞社
話題のニュートラック新製品情報・新情報
次世代交通サービスMaaSに関するセミナーを
名古屋の“ウインクあいち”で開催
14日㈫に名古屋市中村区のウインクあいちで開催する。今
後の日本のモビリティーサービスの在り方、将来を探る内容と
なっている。
 MaaSは、都市部での交通渋滞の緩和や環境負荷の低
減、過疎地の交通弱者の解決等に貢献するものとして期待
されおり、地方自治体や企業、研究機関は連携
を加速させ、MaaSの実現を図っている。
 今回の講演会では、MaaSを巡る状況やそれ
を実現するための産官学の役割、エコシステム
の形等について、東京大学生産技術研究所次
世代モビリティ研究センターの須田義大教授が
解説する。また、MaaSをはじめとする新しいモ
ビリティーサービスの開発を進めるデンソー、NTT
ドコモ、JR東日本の戦略、実証実験の取り組
み等を各社が講演する。その他、経済産業省か
らは、新たなモビリティーサービスの社会実装を
通じた移動課題の解決、地域活性化を目指した

ITV2019年5月号87
日本包装技術協会が発刊した大幅刷新の「新・包装技術便覧」
「スマートモビリティチャレンジ」についての講演もある。
 講演の詳細は、◇基調講演「MaaS進展に向けた産学
官の役割」…東京大学モビリティ・イノベーション連携研
究機構長、生産技術研究所・次世代モビリティ研究セン
ター:須田義大教授、◇講演⑴「デンソーが目指すモビ
リティ社会とそれを実現する取り組みについて」…デン
ソーMaaS開発部MaaS基盤開発室:梶岡繁室長、◇
講演⑵「社会課題解決に寄与するMaaSの実現に向け
て」…NTTドコモ執行役員法人ビジネス本部IoTビジネ
ス:谷直樹部長、◇講演⑶「IoT・BigData・AIによる『モ
ビリティ革命』の実現」…東日本旅客鉄道技術イノベーショ
ン推進本部:中川剛志次長(JR東日本は2018年7月
にグループ経営ビジョン「変革2027」を発表し、その中
「モビリティリンケージ・プラットフォーム」により「シー
ムレスな移動」の実現を主導していくことを発表。講演で
は、JR東日本におけるIoT・BigData・AI等による技
術開発の取組と同時に、2017年9月に設立した「モビ
リティ変革コンソーシアム」についてご紹介する)、◇講
演⑷「IoTやAIが可能とする新モビリティサービスの社
会実装に向けて」…経済産業省製造産業局自動車課:眞
柳秀人課長補佐(戦略総括)、となっている。
■開催概要
・主催:モノづくり日本会議/日刊工業新聞社
・開催日時:2019年5月14日㈫12:30〜16:30
・開催場所:ウインクあいち5F・小ホール1
     名古屋市中村区名駅4丁目4-38
・参加費:無料
・定員:230名(定員に達し次第締め切り)
・申込み先:http://form.nikkan.co.jp/r/c.do?1luZ̲
1t1V̲2IT̲aes
 公益社団法人日本包装技術協会(JapanPackaging
Institute=JPI)はこのたび、内容を大幅刷新した「新・包装
技術便覧」(A5版2,500ページ・上製本)を発刊した。
 平成7年に「包装技術便覧」第4版が出版されてから約
24年が過ぎ、その間に包装技術はめざましい進歩を遂げて
いる。包装技術便覧の内容にも見直すべき点が増えてきたこ
とから第5版として「新・包装技術便覧」を発行したもの。
 包装業界をとりまく社会環境や国際情勢なども大きく変化し
ており、便利な包装容器を開発し、ユーザーに提供するだけ
では社会に受け入れらない状況にもなっている。使用済み包
装資材の処哩では環境負荷を軽減することが求められ、同時
に資源の有効な再利用の立場からリサイクル可能な包装資
材が要求される時代となり、生活者に対しては輸入品も含め
安全な包装資材を提供することが義務化されている。このよう
な技術的進歩と社会情勢、国際情勢の変化を踏まえ、「新・
包装技術便覧」では、編集・執筆の陣容を一新し、新たな
企画内容により発刊したものである。
 改訂の方針は、①理論と実用性のバランスに配慮する、
②今後10余年間の使用に耐える内容を目指す、を前提にし
ており、「新・包装技術便覧」では、包装の理論、実務と最
新の動向などについての実例を挙げ体系的な解説が行われて
便覧…日本包装技術協会
話題のニュートラック新製品情報・新情報
包装の理論と実務をまとめた
「新・包装技術便覧」発刊
いる。これにより、包装関係者に広く活用されることはもちろ
ん、広く社会のために役立てることができる便覧となっている。
「新・包装技術便覧」は、書店では販売していないため購
入はJPIのホームページにある購入フォーム(http://www.
jpi.or.jp/syuppan/18/01.html)を利用いただきたい。定価
は69,000円(消費税別/送料2,000円)となっている。

The TRUCK News
Now
ITV2019年5月号88
2006年の初開催以来14回目となる「モータースポーツジャパン2019」「日野
レンジャーダカールラリー2018参戦車」が出展された
日野ブースでは車両展示のほかにグッズ販売も実施。来場者の人気となっていた
解説では、砂漠地での苦労話から炊き立てのご飯
が活力になったエピソードまでが語られた
ファンとの交流を行った菅原義正ドライバー(左)
菅原照仁ドライバー(右)
グリドウォークでは多くのファンが間近で日野レンジャーをカメラに
収めていた
抽選で選ばれた10名の来場者に同乗体験走行を実施した
トヨタま吉とレクサスま吉が日野ブースにやってきた運転席への乗車体験では子供から大人まで大人気で長い列がで
きていた
 日野自動車は、2019年4月6日㈯〜7日㈰、NPO法人
日本モータースポーツ推進機構の主催で東京お台場で開催され
「モータースポーツジャパン2019フェスティバルインお台場」
に、「日野レンジャーダカールラー2018参戦車」を出展した。
 菅原照仁ドライバーによる「HINOレーシングトラックデモ」
は、お台場の特設コースを日野レンジャーが所狭しと駆け回り、
多くのモータースポーツファンにその迫力を伝えた。デモ走行
の解説で菅原義正ドライバーは「ラリーの魅力は(サーキットのよ
うに同じ場所を走るのではなく)まっすぐに進むこと。様々な国
イベント…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
お台場で開催の「モータースポーツジャパン2019」に 
日野レンジャーダカールラリー2018参戦車が登場
や文化に触れられることです」と紹介。車重1トンを切るレーシ
ングカーも多い中、車重約7トンであるとの日野レンジャーの
紹介に対してギャラリーからは驚きの声が上がっていた。
 抽選で選ばれた同乗体験走行の来場者は「こんなにワクワ
クするとは思わなかった。貴重な体験ができて嬉しい」と喜ん
でいた。また、日野自動車ブースでは運転席の搭乗体験を行
い、スケール感や目線の高さなどを来場者が体感した。
 会場周辺は桜やチューリップが見ごろを迎え、好天に恵ま
れて2日間で10万人を超える来場者で賑わっていた。

調印を終え固い握手を交わすNontakaew学部長(左)と小山会長
(右)。後ろの肖像画は校名の由来となった「科学技術の父」モンクッ
(ラーマ4世)
ITV2019年5月号90
 MH(マテリアル・ハンドリング)教育プログラムや
物流工学でのイノベーション研究を主な活動とする日
本マテリアルハンドリング協会(MH協会=JMHS)
は、2019年3月21日、タイのモンクット王工科
大学北バンコク校(KingMongkut'sUniversity
ofTechnologyNorthBangkok=KMUTNB)
において、両者が協力して実施する「タイの物流
工学教育コースプラン@KMUTNB(Logistics
EngineeringEducationCoursePlan@KMUTNB
inThailand)のMOU調印セレモニーを行った。
 セレモニーは、KMUTNB構内の会議室で行わ
れ、MH協会から小山彰会長、安藤康行副会長、
越野滋夫専務理事(日本MH協会・日本包装技術協
会専務理事)が出席。KMUTNBからは、工学部の
UdomkiatNontakaew学部長、ロジスティクス学
部の●●●●●(ティーラサック)学部長をはじめ同校
のロジスティクスに関係する教授や准教授ら多数が参
加した。
 KMUTNBは、今年で60周年を迎えるタイ王国
を代表する国立の工科大学で、大学の名称はタイに
おける「科学技術の父」と言われるモンクット王(ラー
王立モンクット工科大学でMOU調印セレモニーを実施
「“TSH”をセットにすることで物流は一流になる」
小山会長が発言
MH
協会がタイで
教育事業を展開
海外◇物流トピックス

教育事業の実現を喜ぶコアメンバー。左から、KMUTNBの●●●●●ロジスティクス学部長、Nontakaew工学部長、MH協会の小山会長、
安藤副会長
今年60周年を迎えたモンクト王工科大学北バンコク校(KMUTNB)
タイを代表する工学系大学だ
ITV2019年5月号91
マ4世)に由来している。
 日本の物流系協会が海外の大学と提携し、本格
的な教育事業を展開するのは日本初のものと思われ
る。その意味でも、今回のMOU締結は大きな意義
を持つものである。
 冒頭の挨拶でNontakaew学部長は、「日本は物
流の先進国として世界的に認められています。今回
このようにMOUを締結し、日本のMH協会との知
識と技術の交流をさせていただくことを非常に嬉しく
思います。われわれの大学では46年前にロジスティ
クス学部を設立していますが、MHのカリキュラムを
オープンさせることははじめてのことになります。タ
イの物流業界に従事する人の70%が本校の卒業生で
す。今後、MHに関する知識と技術をさらに発展させ
ることでタイのMHのリーダーを育てていきたいと思
います。これから手を組んで進めていく内容としては
様々なものがあります。今回のカリキュラムでの研修
をきっかけに、将来的にはインターンシップを含めた
人材育成に貢献していくことができます。また、生徒
だけでなく先生方にとっても良い機会となり、タイの
MH発展に貢献することで、より大きな進歩が期待で
きます。今回の調印式を皮切りに、日本とタイがより
親密にMHで交流できることを誇りに思います。日本
MH協会を通して日本とタイの関係を強化できると信
じています。日本MH協会が私たちを信頼していただ
き誠にありがとうございます」と語った。

MH協会を通して日本とタイの関係を強化したいと語るNontakaew工学部長
一流の物流を実現するには“TSH”のキーワードが大切だと語る小山会長
ITV2019年5月号92
 続いて小山会長が、「このような素晴らしいキャンパ
スに招いていただきありがとうございます。お集まり
のKMUTNBの皆様にお礼いたします。いま学部長
から過分なお言葉をいただき、私たちとしてもありが
たいお話でこの教育プログラムを積極的に進めて行く
考えです。先ほど学校の素晴らしいプロファイルをご
紹介いただき、今年が開校60周年だと知りました。
私どもMH協会は設立63年になります。私どもが少
し古いですが、ほぼ同じで、それも何かのご縁だと
思います。これからの交流の中でいろいろな話が出
てくると思いますが、日本の物流で最大の問題となっ
ているのが高齢化と人材不足です。これが今後もっと
もっと深刻化することになると考えています。タイの
皆さんの場合はまだ若いのでこの5年、10年先で
もその問題がクローズアップされることはないでしょう
が、もっと先、50年以上先には必ずタイでも高齢化
はやってきます。そうなってから解決策を考えるのは
もはや遅く、それは今考えていかなければならない問
題です」とし、高品質な物流を実現するための3つの
キーワードを次のように説明した。
「これから具体的なカリキュラムを進めていく上
で、ボクとして3つのキーワードがあると考えていま
す。それはTSHです。何を意味しているかというと、
Tはテクノロジーで、Sはシステム、Hはハート、つ
まり“心”です。それが揃ってはじめて物流は一流に
なると思っています。タイのケースを考えると、Tと
Sは今後素晴らしい勢いで発展していくことは間違い
ありません。問題はHです。つまり、ハードとソフト
は進化を続けるわけですが、最後はそれらを使う人の
気持ち、マインド“ハート”です。それが大切なんで
す。このTSHがセットにならないと本当に良い物流
はできません。先日も中国で話したんですが、その
国に行くとボクはそこでポテトチップスを買うんです。
どれだけ製品としての形を維持しているかを見るため
です。日本はほとんどのポテトチップスが割れていま
せん。中国やタイではかなりの確率で割れてます。ポ
テトチップスをいかにして早く運ぶかではなく、それを
最後に食べる人の気持ちをどこまで考えているかとい
うことなんです。物流の使命と責任というのは工場で
生産された物をそのままの形と品質でお客様に届ける
ということなんです。そういうことをカリキュラムを進
める中で理解していただければと思っています。テク
ノロジーとシステムはいくらでも進歩しますが、ハート
の部分は教育を進めて行く中ではじめて理解できるも
のです。そういう所をタイの皆様と一緒になって進め
ていきたいと思ってます。私たちが学ぶことも多いと
思います。これからよろしくお願い致します」と語った。
 この小山会長の挨拶についてNontakaew学部長
は、「新たなロジスティクス教育を始める前にここで学べ
ました」とコメンし、参加者全員の笑いを誘っていた。
海外◇物流トピックス

MOU調印セレモニーに参加した関係者たち。左から4人目がMH協会の越野専務理事(日本包装技術協会専務理事)。その左隣が本誌の於久田編集長
進行についての具体的な打ち合わせをするメン講師を務める安藤副会長(中央)と実施を
予定している講座の主な内容(写真下)
ITV2019年5月号93
 それぞれの代表挨拶に続き、MOU調印
セレモニーが行われた。今回KMUTNB
で実施されるカリキュラムは“物流工学に
関する基礎知識”を中心にするもので、「ロ
ジスティクス管理」として、そのコンセプト
から物流システムや物流サービス、在庫管
理、原価計算、KPI(KeyPerformance
Indicator)管理、「物流管理」として、
RFID&パレットレンタルシステム、包装デ
ザイン、輸送・積載システム、MH設備
などとなる。また、カリキュラムは、基本
KMUTNBの学生を対象に行われるが、
受講料を支払えば学生以外の一般者も聴
講することができる。
 メイン講師は、MH協会の安藤副会長
で、ホンダ、YKK-AP、JPR、山九、
IHI他から講師を招いてそれぞれの分野の
専門的な講義を行う予定となっている。
 なお、安藤副会長は、元日産自動車サ
プライチェーンマネジメント本部のGMで、
物流エキスパートとして日産で40年の経
験を持っており、製造業別ロジスティクス
戦略計画立案についての専門家である。
(本誌:於久田幸雄)

ITV2019年5月号94
トラックユーザーNews
トラックユーザーNews
 平成に入って、元年にベルリンの
壁が崩壊し、2年に東西ドイツが統
一、3年にはソ連が崩壊、5年に
はEUが発足。いきなり海外との垣
根がなくなった。物流も例外ではな
かった。一方、国内は不況に見舞
われ、苦しい時代ではあったが、こ
こにきて企業業績は上方修正が相次
いでいる。平成から令和へ。物流産
業が持続的発展を遂げるため、荷主
企業とのパートナーシップ確立がカ
ギを握る。
◇平成1ケタは規制緩和の嵐
 平成1ケタ台は、規制緩和の嵐
が吹き荒れた。第二次臨時行政調査
(通称土光臨調)により行政改革の
議論が高まり、物流分野はまずトラッ
ク運送事業の規制政策が見直され、
平成元年12月に貨物自動車運送事
業法と貨物運送取扱事業法のいわゆ
る物流二法が成立。免許制から需給
調整規制をはずした許可制へ、運賃
は認可制から事前届出制へと移行。
これにより、事業参入の垣根が低く
なり、過剰供給による歪みを生んだ。
 これだけにとどまらず、経済企画
庁や公取委が物流規制の見直しを求
め、外圧もあって同13年にトラッ
クの最低車両台数は全国一律5台
に、15年の鉄道事業法を含めた物
流三法改正時に運賃および営業区域
規制が事実上、撤廃された。
 運輸省(当時)は8年12月にすべ
ての事業分野の需給調整規制撤廃
方針を打ち出し、自動車ターミナル
法、海上運送法、倉庫業法、港湾
運送事業法が順次改正されたが、ト
ラック以外はその後大きな弊害が起
こらず現在に至っている。
◇2000年以降、大型提携・買収
相次ぐ
 平成初期から始まった国内貨物輸
送量の減少、供給過剰や荷主の物
流コスト削減要請による運賃低迷の
中で、企業同士の連携、提携が模
索され、2000年以降は合併、買
収も相次いだ。
 平成6年に特積み9社による幹線
共同運行が始まり、16年に日本通
運と西濃運輸が幹線輸送で提携、
18年には特積み12社出資による
ボックスチャーターが事業開始、21
年に再び特積み10社が共同運行を
開始。幹線以外でも、17年に共同
配送会社コラボデリバリー設立、28
年に多摩ニュータウンでヤマト運輸が
佐川急便と日本郵便の荷物の一括配
送を開始した。
 提携は、日立物流と福山通運、
山九と西濃運輸、センコーと阪急交
通社などに続き、19年に日本通運
と日本郵政が宅配便事業で、25年
には西濃運輸と福山通運が震災対応
とエコデリバリーで、28年には日立
物流とSGホールディングスが将来
の統合を視野に入れた資本業務提携
した。
 経営統合は、17年にロジネット
ジャパン、27年にC&Fロジホー
ルディングスが誕生。
 企業買収は、16年にハマキョウ
レックスが近鉄物流を、SBSによ
る雪印物流や東急ロジスティックな
ど、18年は住友倉庫による遠州ト
ラック、21年にはセイノーホールディ
ングスによる西武運輸、SGホール
ディングスによるワールドロジ、セン
コーによる東京納品代行、トールホー
ルディングスによるフットワークエク
スプレスと続き、その後も23年の
日立物流によるバンテックを始め多
数のM&A、25年の日本通運によ
るNECロジスティクス、パナソニッ
クロジスティクス、27年の日本郵政
によるトールホールディングスなど、
枚挙にいとまがない。
◇労働時間削減は令和に行動が本
格化
 労働時間問題は、平成30年間
の一貫した課題だった。平成2年に
所定内44時間制となり、トラックは
46時間に猶予。4年には時短促進
法が施行され、6年には所定内40
時間制に移行したが、ここでもトラッ
クは44時間制となり3年間猶予さ
れたものの、40時間制移行を巡っ
て侃々諤々の議論が続いた。最近
では、27年の電通過労自殺事件に
平成時代の物流
幾多の試練を乗り越え

ITV2019年5月号95
物流の重要性が再認識された緊急支援物資輸送
提供:運輸新聞
端を発し、翌28年のいわゆるヤマ
トショックから残業時間の多さに焦点
が当たり、29年に全ト協が長時間
労働抑制の自主行動計画を策定、政
府も自動車運送の働き方改革連絡会
議を発足した。翌30年6月には働
き方改革関連法案が成立。12月に
は国土交通省がドライバーの長時間
労働改善ガイドラインを策定し、荷
主に対して荷待ち時間削減のための
発注量平準化などを提言。今年に入
り、加工食品業界で翌々日配送が広
がりつつある。ホワイト物流推進運
動も始まり、課題解決のための行動
は令和時代に入って本格化すること
になる。
◇下がり続けた物流コスト
 物流コスト問題は昭和から続いて
いたが、平成に入って高コスト構造
是正のやり玉に挙げられた。発端
は、平成6年。まず経済企画庁の
委員会が物流コストが高いのはイン
フラ(大型車走行の制約)、商習慣
(付帯料金が不明確)、営業区域な
ど公的規制に問題があると指摘。同
年に通産省(当時)が内外価格差調
査で「日本のトラック運賃は米国の3
倍」と発表し、これが一人歩きした。
その後も経済審議会などで議論さ
れ、9年に策定された初の総合物流
施策大綱でも、コストが前面に押し
出されていた。
 トラックの供給過剰、折からのデフ
レにより、運賃は下がり続け、売上
高物流コストは平成初期には9%だっ
たのが、17年以降は6%前後まで
下がり、それに伴い、ドライバーの
年間所得は6年には470万円だっ
たのが、24年には400万円まで落
ち込み、ここ数年間でやっと少しだ
け上昇しつつある。
◇荷主の物流への向き合い方に変化
 バブル経済崩壊後、荷主企業は
「物流費をいかに抑えるか」に注力し
た。リストラやリエンジニアリングが
流行った時、それを運賃叩きと曲解
する企業もあった。しかし、それだ
けでは無理があるとし、多くの企業
は統廃合を含む拠点
の見直しや輸送経路
の短縮に注力した。
1つの現象として、
メーカーによる小売
直送、「そうは問屋に
卸さない」問屋中抜
きも起こった。
 物流組織も見直さ
れ、例えばビールメー
カーは地域物流子会
社の統合を含む統括
会社の設立や、グ
ループ全体の物流体
制を構築した。また、
さまざまな業種で物
流部をロジスティック
ス部やSCM本部に
格上げし、需要予測機能の強化や物
流子会社の外販支援など、物流を経
営の根幹に据える企業が次第に増え
ていった。
 同業との共同配送も2000年
代に入り盛んに行われるようになっ
た。これが高じて、物流拠点の共
同利用などに発展。平成20年代に
は、例えば住友電工とパナソニック
によるモーダルシフト、朝日新聞と
パナソニックによる共同ラウンド輸送
など異業種による物流共同化もみら
れるようになった。
 物流現場の環境を改善するための
ホワイト物流推進運動が今後展開さ
れるが、総物流コストが上がらないよ
うにするため、荷主による物流改革
はさらに進むと思われる。
◇進化を遂げつつあるロジスティク
 平成3年1月に発生した湾岸戦
争は、日本のバブル経済崩壊の一因
となっただけでなく、物流からロジス
ティクスへの流れをつくった。ロジス
ティクスとは、荷主からみると「売れ
るかどうかわからないものをつくらな
いマネジメント」だが、物流企業は、
始めは輸送・保管・荷役・流通加工
など一連の作業を受託、これが平成
10年代に3PLに発展した。物流
子会社から始まったが、3PLを標榜
する企業は次第に広まり、荷主に対
して「物流改革を提案する」ことに力
を入れた。
 3PLからLLP(リード・ロジスティ
クス・プロバイダー)への発展系はみ
られるものの、3PL自体は今や提
案が当たり前に行われることもあっ
て、声高に叫ばれることはなくなっ
た。代わって、最近では1つの業種
の物流を囲い込む物流プラットフォー
ムの形成、あるいは最先端技術を活

ITV2019年5月号96
協定署名式の石塚氏(左)と門馬氏
日野レンジャー
トラックユーザーNews
トラックユーザーNews
用して物流に新しい価値を生み出す
Logistics4.0などが芽吹いてきて
いる。
◇面的な広がりをみせる国際物流
 平成時代の物流で大きく進展した
のは間違いなくグローバル化。中国
の改革・開放政策が本格化した平
成4年以降、多くの企業が中国に進
出。それに合わせて貿易の自由化が
叫ばれ、日中フォワーダー協議も7
年から始まり、外資規制撤廃を求め
た。紆余曲折があったが、13年の
中国のWTO加盟、15年のCEPA
(中国・香港経済貿易緊密化協定)
締結を機にようやく動き出した。
 民間の動きはそれより早く、フォ
ワーダーを中心に進出が加速度を増
していった。その後、チャイナリス
クが叫ばれ、国土交通省も21年か
らアセアン諸国との物流政策対話を
精力的に行っている。
 わが国物流企業の現地法人数
は、24年時点は中国31社、アセ
アン283社だったのが、2年後に
は中国385社に対してアセアンは
327社に広がっており、タイ、マレー
シア、インドネシアから最近はベトナ
ムあるいはCLM(カンボジア、ラオ
ス、ミャンマー)に拠点を持つ企業、
フォワーディングだけでなく現地でロ
ジスティクスを手がける企業も増えて
いる。
 日野自動車は、中型トラック「日野
レンジャー」を改良し、5月6日に発
売する。
 進化した「ドライバーモニターⅡ」
や、夜間の運転視界支援としてヘッ
ドランプのハイビーム・ロービームを
自動で切り替える「オートマチックハ
イビーム」を標準装備、ハン
ズフリー機能付Bluetooth
Ⓡ搭載オーディオを全車標
準搭載し、安全性と利便性
を向上させた。
「ドライバーモニターⅡ」
は、モニターカメラの精度
を向上させるとともに、カメラの設
置位置をインパネ内からより顔を認
日野レンジャーを改良し
5月6日に発売
 新エネルギー・産業技術総合開発
機構(NEDO)と南相馬市は10日、
福島ロボットテストフィールド(RTF)
などを活用したロボット関連人材育成
などに関する協力協定を締結した。
 これにより両者は連携を強化し、
2017年度に開始したDRESSプロ
ジェク(ロボット・ドローンが活躍す
る省エネルギー社会の実現プロジェク
ト)や人材育成講座などで、国内外
の優秀な人材が集う環境を同市に整
備し、ロボット関連人材育成の推進
やロボット関連産業の活性化を図る。
 協定署名式で石塚博昭NEDO理
事長は「ドローンは産業競争力強化に
向けた新技術の先駆けであり、象徴
的な存在。各種ロボットの性能評価や
ドローンの飛行試験などを実施してき
た。国内外のロボットメーカーやユー
ザーに、昨年度策定した『ロボット性
能評価手順書』や福島RTFのさらな
る利用を促したい」とあいさつ。
 門馬和夫南相馬市長は「東日本大
震災で子供が半減するなど人口が減
少した。日本初、世界初のこの取組
みを復興の起爆剤にしたい。子供達
に夢を与え、世界に挑戦する人材育
成につなげたい」と話した。
 また、NEDOは、3月1日に行
われた同一空域・複数事業者の同時
飛行について「災害調査、警備、物
流、郵便の4つの利用シーンを想定
し、900メートル×600メートルの
スペースで合計10機のドローンを
15分間目視外で自律飛行を行った
が、成功した」と報告。
 来年度以降、国内外のドローン事
業者が福島RTFで運航試験を実施
できるように、運航管理システムの
API(インターフェースの仕様)を順次
公開する予定としている。
南相馬市と協力協定
ロボット関連人材を育成
NEDO
日野自動車

ITV2019年5月号97
齋藤社長
後藤社長
日名子副社長
赤間支店長
柱のない広く高い倉庫内
1期、2期分をつなぐ通路
提供:運輸新聞
識しやすいピラーに変更。ドライバー
の顔向き・眼の開閉状態に加えて、
運転姿勢崩れも認識できるように
なった。
 PCS、VSC、車線逸脱警報を標
準装備し、全車ASV減税の対象。
J-OBDⅡ(9月から適用となる車載
式故障診断装置搭載の義務化)に対
応している。
東京地区希望小売価格は「2PG-
FD2ABG」が消費税抜き1137万
円、など。
 日本通運仙台支店は、かねてから
懸案となっていた卸町物流センター
の増築工事が完成し、16日、竣工
式を行った。
 同施設は鉄筋コンクリート造(一部
鉄骨)4階建て(事務所4階建て)。
倉庫面積は1万5000坪で同社東
北エリア最大級のロジスティクスセン
ターとなる。
 エレベータ5基、垂直搬送機5
基、LED照明設備の環境配慮型物
流施設で、各階の有効高さ6メート
ル、1.2階には全天候型トラックバー
ス・ピッキングスペースを完備、1階
は高床・低床ホームを兼ね備え、あ
らゆる入出庫に対応できる構造。
 また、自家給油スタンド、非常用
発電設備も完備した緊急災害時にも
強い拠点。
 交通アクセスは東北を縦貫する国
道4号線をはじめ仙台空港への「仙台
東部道路」、海の玄関口・仙台国際
港を基点とする「三陸自動車道」など
絶好のアクセス環境。
 距離に応じフレキシブルに輸送モー
ドを選択して最適なサプライチェーン
を提供できる立地となっている。
 神事後の直会で齋藤充社長は、自
らも2009年から12年まで東北地
区の責任者として同センターの増築
問題に係わった感慨を込めて「卸町
物流センターは、もとは長町事業所
で仙台市の中核的な拠点だったが、
1990年代に区画整理事業で収容に
かかり、現在の卸町に移ってきた。
その第1期工事が2000年に完成。
その後、短期的なスパンで2期工事
を行う予定だったが、経済環境や東
日本大震災の影響で延び延び
になり、実に19年後に竣工
となった。長町はもともと仙台
の中核拠点としてオペレーショ
ン力も非常に高い店で、その
DNAをきちんと受けついでい
る卸町で東北エリア最大級の
設備を手に入れたわけで、一
層お客様のお役に立てるもの
と確信している」と建築主あい
さつを行った。
 施工者謝辞で鹿島建設日名
子喬取締役副社長執行役員は
「今回の増築工事にはいろいろ新し
い工法も駆使して造り上げている。
この施設を末長く使っていただける
よう見守らせていただきたい」とあい
さつ。
 乾杯の発声では、日通不動産後
藤康弘代表取締役社長が「今回の増
築で特筆すべきは2階のトラックバー
ス。奥行33メートルの広いスペー
スで、トラックの出入や接車にも余裕
がある」と紹介。
 手締めは赤間立也執行役員東北ブ
ロック地域総括兼仙台支店長が「卸
町物流センターは物流拠点として申し
分ないロケーションに位置し、お客
様のニーズに十分お応えしうるものと
確信している。これを機会に今まで
以上に地域に貢献できる企業を目指
仙台支店卸町物流C竣工
日本通運
東北のゲートウェイ
グローバルビジネスを加速

ITV2019年5月号98
左から栗栖氏、長尾氏、小菅氏
空撮した全景
トラックユーザーNews
トラックユーザーNews
し、従業員一同がんばりたい」と決
意を表明した。
 陸海空多彩な輸送モードで「東
北から世界へ、世界から東北へ」
グローバルビジネスを加速するメガ
ファンクションセンターとして、ま
た、食品・飲料関連の共同配送業
務など「東北からつなぐ、東北へつ
なぐ」ゲートウェイセンターとして、
顧客に高品質な物流サービスを提供
していくという。
 ヤマトホールディングスは11日、
羽田クロノゲートで物流業界紙記者
向け懇談会を開き、1日付で同社
社長に就任した長尾裕氏、ヤマト運
輸社長に就任した栗栖利蔵氏、ヤマ
トロジスティクス(YLC)社長に就任
した小菅泰治氏が今後の抱負などを
語った。
 はじめに長尾社長は、「今年はヤマ
トグループが100周年を迎える節
目の年だが、我われを取り巻く環境
は非常に速いスピードで変化してい
る。当社がこれまで保有してきた経
営資源を、100周年以降の未来にど
う再配置するか。お客様の立場に立っ
て、当社グループがどういうサービス
を提供していくかという方向性を早く
打ち出したい」と方針を語った。
 宅急便事業とYLCが提供するロ
ジスティクス事業を「これからのヤマ
トグループの2つの軸、中核となる
事業」と指摘。
 宅急便事業に関しては「これから先
の持続的な質的成長を遂げることが
できるようなモデルチェンジを、早い
タイミングで実現することが当社とし
ての大きな命題」との見解を示した。
「宅急便の物量の約半分を占める
大口のクライアントに対し、宅急便だ
けでなく、顧客のサプライチェーンの
上から下までカバーできるような、い
わゆるソリューションビジネスにどう
舵を切るか。我われの持つリソース
をうまく組み合わせながら、いい価値
提供ができそうな顧客セグメントを早
いタイミングで整理して見つけ出すこ
と」の必要性を説いた。
 栗栖氏は、「中計の最終年度の今
年は成果を出していく年。働き方改
革についてはまだまだやるべきことは
たくさんある。仕事の仕方や内容を
いかに変えて、働きやすい環境を作っ
ていくかが非常に大事」と見解。
 社員に対して「きちっとしたコミュニ
ケーションを図ること、役職員には、
先々のことを考え今何をすべきか、
3年、5年後はどうあるべきかを考
えて、計画を立てていくことを訓示し
た」と語った。
 小菅氏はヤマトHDの常務執行役
員として、法人アカウントのマネジメ
ントの責任者の役割も兼ねる。「YLC
はいわゆる3PL事業の会社であり、
そこにヤマトグループの総力を結集し
て新たな3PL、新3PLを構築でき
れば、より、もう1つの事業の柱に
なっていける。お客様の中に深く深く
入り込んで、課題を解決していくこと
が重要」と指摘。
 就任の訓示では「顧客にしっかり向
き合い、顧客にとって何が一番いい
ことかを常に頭の中心に据えて営業
活動を行うことと、庫内のオペレー
ションの効率化・省人化をグループの
中で率先して推進していくこと」を強

ITV2019年5月号99
松本物流審議官
提供:運輸新聞
調したと語った。
セールスドライバー(SD)の労働
環境の整備などに対応し昨年導入し
た、配達に特化した社員「アンカー
キャスト」に関して長尾社長は「3月
末で5000人を超えた。1万人とい
う初期の目標を掲げてきたが、かな
り順調に進んでいる。当初想定と違
い、20歳台の若い女性なども活躍
している」とした。
 また、「Eコマースは宅配便とは親
和性が高い領域なのは間違いない。
PUDOなど新しい受取の仕方を組み
合わせながら、昨年と一昨年で当社
の不在率は1%ずつ削減され、トー
タル2年で絶対数として2%落ちた。
これは逆にいうと、サービス提供力
が2%上がったとも言える」とした。
ホワイト物流推進運動に関して、「気
をつけなければいけないのは、物流
側の供給力が小さくなっていることに
対して危機感を持たなくてはいけない
ということ。この状況が続くと、お客
様の側でどんどん自営化されて、本
来、物流業界がなすべきことがなくな
る可能性がある。サービスに対して
適正な対価をいただくと同時に、トー
タルコストをいかに上げないご提案が
できるか、知恵を絞らなくてはいけな
い」と語った。
 環境優良車普及機構(LEVO)は、
「低炭素型ディーゼルトラック等普及
加速化事業」の申請受付を今月下旬
(予定)から2020年1月31日ま
で行う。
 今年度から天然ガス自動車(車両
総重量12トン超のトラック)が加わ
り、中小トラック運送事業者を対象
に、天然ガス自動車の導入を支援す
る。経年車の配車(スクラック)は不
要。補助額は、高速走行を主体とし
た使用で、平成27年度重量車燃
費基準適合ディーゼルトラックと比較
して概ね10%以上のCO
削減を図
る場合、標準的燃費水準の車両との
価格差の2分の1、同5%以上は3
分の1。申請台数は1事業者1台。
予算額は、従来の低炭素型ディーゼ
ルトラックと合わせて29億6500
万円。
 5月20日から6月5日の間、札
幌から鹿児島まで全国9ブロックで
14回公募説明会を開く。公募の概
要は、LEVOホームページに掲載。
 また、「物流分野におけるCO2削
減対策促進事業」の公募を12日から
開始した。公募期間は5月14日ま
で。
 具体的には、①IoTを活用した
物流低炭素化促進事業は、港湾の
シャーシ共有化システムや倉庫での
バース予約調整システム、オープン
型宅配ボックスの情報システムなど
が対象。予算額は3億4000万円。
 ②トラック輸送高効率化支援事業
は、連結トラックやスワップボディコ
ンテナ車両が対象。予算額は、前年
度の1億円から2億5千万円に増
加。
 ③モーダルシフト促進支援事業
は、船舶における低炭素機器導入
で、高効率プロペラ機器など継続す
るが、新規に空気潤滑システムなど
3機器を追加。予算額は5500万円。
 ④高品質低炭素型低温輸送シス
テム構築事業は、海上・鉄道用鮮度
保持コンテナが対象。通常の保冷コ
ンテナとの差額の2分の1。実施は
21年度まで、予算額は4億円。
天然ガストラック追加
中小事業者の導入を支援
LEVO
 総合物流施策大綱(17〜20年
度)に基づく推進プログラムに掲げ
る施策について、関係省庁の局長
クラスによる総合物流施策推進会
議は3月、実施状況を検証した。
国土交通省の松本年弘物流審議官
は9日の会見で「プログラムに盛り
込まれた99施策は概ね着実に実
施されていることを確認した」とし
つつ、サプライチェーン全体の商
慣習見直しと、企業の垣根を超え
た共同物流を促進していく考えを
示した。
 99施策のうち、目立った成果に

ITV2019年5月号100
富永社長
トラックユーザーNews
トラックユーザーNews
提供:運輸新聞
 福岡運輸(本社=福岡市)は、顧
客からFAXで送られてくる発注
依頼書をAI(人工知能)OCR(光
学的文字認識)処理することで、作
業工数を約70%削減、作業人員
は3分の1にまで削減できたと発
表した。
 今年1月から3月まで、AIソ
リューション「AMY(エイミー)
を開発・提供するAutomagi(オー
トマギ、本社=東京)と共同で、受
注管理業務における入力効率化に
向け、AI画像ソリューションの実
証実験を行ってきたもの。
 福岡運輸にFAXで送られてくる
発注書はフリーフォーマットが多
く、スタッフが目視で確認し、必
要項目を自社の受注入力システム
に手入力しているため、入力ロジッ
クが担当者によって異なっていた
り、手動での入力に手間がかかる
などの課題があった。
 また、こうした受発注管理の業
務では、各担当者に属人化されて
いる傾向もあり、標準化の面から
自動化する必要性が高まっていた。
 今回、オートマギ独自の前処理
技術によって発注書の文字を識別
し、認識された顧客・商品情報な
どをクラウド上でマスタ突合する
ことで、高精度に文字情報を認識
し、自動で抽出・入力させた。
 システムの実証実験を行った5
事業所において、認識精度は最大
で93%に達したことを確認。こ
れにより、合計25人で行ってい
た受注入力業務は、作業工数で約
70%削減、作業にあたる人員は
3分の1の8人程度にまで削減で
きた。
 今後、精度をさらに向上させて
導入事業所の拡大と効率化を進め
るとともに、商用開発を視野にオー
トマギがこれまで培ってきた深層
学習(ディープラーニング)による
画像認識の技術をもとに、様々な
業務の自動化、高度化に広げるべ
く、両社で取り組んでいく。
 福岡運輸の富永泰輔社長は「物流
業界はデジタル化が遅れており、
その分IoTやAIの導入効果が大き
い。今後の労働力不足を見越し、
これからも積極的に新技術を取り
入れ業務の効率化を図りたい」とコ
メント。業務効率化により捻出し
た人員余力を「働き方改革の推進
(労働時間の適正化)「人員配置の
最適化(人員減少への対応力強化)
などに活用していく方針だ。
作業人員3分の1に
AIOCRで業務削減
福岡運輸
ついて、松本物流審議官は清涼飲
料水などの納品期限緩和、ダブル
連結トラックの基準緩和と共同運
行の実現、荷主と運送事業者の協
力による取引環境・長時間労働改
善に向けたガイドライン策定を挙
げた。
 これに、今回新たにホワイト物
流国民運動の展開、物流・商流の
見える化と物流・商流データプラッ
トフォームの構築など7施策を追
加した。
 さらに、「着実に実施されている
とはいえ、プログラム策定後間も
ないこともあり、道半ばだと思っ
ている」として、具体的にサプライ
チェーン全体の商慣習見直しと共
同物流の促進を示した。
 商慣習見直しは、「リードタイ
ム延長と発注量の平準化、システ
ムやデータの標準化に関係者が力
を合わせて取り組む必要があると
思っている」との考えを示した。
 その手法について、「ホワイト物
流国民運動の中でも掲げており、
またスマート物流サービス(物流・
商流データプラットフォーム構築)
の中で並行して標準化の取り組み
を進めていきたい」としている。
 リードタイム延長は、「キユー
ピーが翌々日配送に取り組んでお
り、味の素も今度の10連休で試行
的に行う」ことを挙げるとともに、
「急ぐ貨物以外のものは、荷主の
意識を変えていただくことをホワ
イト物流推進運動で呼びかけてい
る。当然、物流事業者もわかって
いると思うので、積極的に提案し
てほしい」と述べた。
 会見ではこのほか、昨年度実施
したシベリア鉄道利用促進パイ
ロット事業について「今年度は日欧
間でのパイロット輸送を検討して
いる」こと、スマート物流サービス
「昨年、参加公募が少なかったこ
とから現在、研究開発計画を見直
しており、できるだけ早く再公募
したい」との考えを示した。

ITV2019年5月号102
2019年版ガイドブックに掲載した座談会での石野さん
(2018年12月撮影)
石野さんのデザインを元に製作したモバイルモスク
イラストで本誌を彩った石野さんお別れの会
心の通うデザインを貫いた73年の生涯
幽冥禄
 3月14日、耳を疑いたくなる一本の電話が筆者
の携帯に入った。
「私は毎月イラストでお世話になっています石野
潔の姉で御座います。実は先程外務省から連絡が
ありまして、石野が訪問先のジュネーブで急死し
たらしいのです。詳しくは解らないのですが、解
剖して問題なければ、火葬して帰国することにな
ると思います。取り急ぎご連絡です。
 石野さんは「月刊ニュートラック」の時代から毎
月イラスト原稿を投稿頂いているので、お付き合
いは20年近くに及ぶ。表現力豊かなイラストの割
にご本人はシャイな性格で、打合せ中も自分の考
えを押しつけるようなところは殆どなかった方で
ある。しかし、筆者の朧
󱢉󱢽󱣎󱢓
気な情報を咀
󱢞󱢘󱣄󱢏
嚼して、出
来上がってくる作品は、目を見張るほど素晴らし
いものばかりで、繊細なタッチは今にも動き出す
のではないかと思わせるほどのリアリティがある。
 石野さんは日野自動車の商品デザインを手掛け
て来られた方で、自動車産業界でも知名度が高く、
日野大型トラックが永年トップシェアを継続して
来たことにも大きく貢献している。また、日野自
動車をリタイヤ後もデザイン学校で教鞭を執って
来られたので、若い世代にもファンが多い。
 一昨年になるが、2020東京オリンピック・パラ
リンピックに向けて“モバイルモスク”開発の相談
が本誌に持ち込まれた。「おもてなし」を標榜して開
催する今度のオリンピックなのに、大挙して押し
寄せるイスラム教徒(ムスリム)が一日5回お祈り
するモスクが日本には極めて少ない。そこで、移
動式のモスクを開発することになり、いち早く相
談したのが石野さんだった。
 石野さんは我々YASUプロジェクトの説明に耳
を傾け、使用目的や車両の大きさなどメモして帰
られると、数日後には完璧なデザインが出来上がっ
てきた。
 そのデザイン画に基づいてオオシマ自工が開発

ITV2019年5月号103
人柄がにじみ出た祭壇の遺影
石野さんデザインで作られた数々の車両模型
したのがダブル拡幅のモバイルモスクで、豊田ス
タジアムでの報道発表には内外から多くのメディ
アが押しかけ、世界に150を超えるメディアから
発信されて話題になっている。(本誌2018年9月号
参照)
 好天の4月13日、シティホール志村(東京・板
橋区)で執り行われた石野潔さんお別れの会には、
日野自動車やデザイン学校、校友など石野さんと
親交のあった方々100余名が参列、在りし日の石
野さんを偲んだ。
 お願いしたいイラストがあったので電話で話し
たら「ジュネーブのモーターショーから戻ったら銀
座に行くから、少しだけ待って…」が最期の会話に
なったが、「生涯を終える時はピンピンコロリがい
い。と話していた石野さん、自分の人生も最期ま
でデザインする見事な生き様であったように思う。
 享年73歳。戒名は「浄道院法潔信士」。ありがと
う石野さん、合掌。(横路)

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
1.プロローグ
 私の父は大正4年に小樽で生まれ、当時の小樽中
学(現在の小樽潮陵高等学校)に学んだ。生前の父
からは「北海道は良いところだ!」「北海道は食べ物
が美味しい!」などと北海道を賛辞する言葉を何度
も聞かされた。料理を作ることの好きだった父親は
「糸コンニャクと真
󱢿󱢡󱣊󱢔
鱈子の和え物」や「白子の酢の物」
など北海道の料理を調理してくれたので、子供心に
いつの日か北海道へ行きたいと思っていた。
 入社してから製造、設計、開発など技術系の仕事
をした後、長く海外業務を担当して“知命(50歳)”
の年齢が近くなったころ、新任の社長から北海道の
支店長が急に退職するので札幌支店に赴任すること
を命ぜられた。新入社員時代からお世話になってき
た上司の命令に逆らうこともできず、数日後には論
語の“五
󱢕󱢙󱣆󱢅
十知
󱢢󱣂󱢃
(五十にして天命を知る)”と、厳し
い冬に向かう札幌に支店長として赴任した。
2.初めての小樽
 札幌に赴任後、すぐに挨拶廻りが始まった。担当
者の運転で札幌と小樽を結ぶ札樽自動車道を利用し
て小樽へ向かう。高速道路から雄大な石狩湾の景色
を車窓から見ながらあと少しで高速道路が終わりに
『
ロマン、ロマンスを
感じる“小樽・余市”ぶら
漫
󱢞󱢟
ろ歩き
 高視聴率を記録したNHKの朝ドラマ「リタとマッサン」を視聴して、異国
情緒の漂う小樽とマッサンとリタが過ごした余市に行きたくなった。質の良い
日本製ウィスキーを造るという男のロマンの実現に、遠いスコットランドの
グラスゴー大学に留学し、まだ国際結婚も難しい時代に英国人女性リタとの
ロマンスを実らせ、“日本のウィスキーの父”と呼ばれる明治生まれ日本男児
から、気骨と挑戦心を持つ大切さを教わる。
ITV2019年5月号106
ゲンケートジャパンコンサルティング
井上元
“元さんの従心こばなし”

なる頃、担当者から「これから訪問するお客とは現
在、大きな問題が生じています!」と突然の報告を
聞かされた。実は「大型冷凍トレーラの断熱厚さを
間違えて製造してしまいました。前支店長は“俺は
知らん!”と言ってお客を訪問することもなしに退
職したので、お客様は大変怒っています」と説明を
受ける。国内の営業を経験したことのない新任支店
長にはいきなり難問を抱えての小樽訪問になった。
 数名の歴代総理大臣経験者の署名が額に納められ
た大きな社長室に通される。利尻島出身の社長は故
郷の想いでや、所有する自慢の大きなクルーザ艇で
小樽から利尻島まで航行する楽しさを語ってくれ
た。そろそろ失礼をと考えたその時、社長が厳しい
眼になって、「なあ!新支店長。断熱厚さを間違えた
トレーラはどうしてくれるのさ?」、「初めての荷主
から受けた高級な冷凍マグロの輸送用に新しいト
レーラを発注したのだがどうしてくれる?」ときつ
い言葉が飛んでくる。高価な冷凍マグロはマイナス
60度の低温で、完全に温度管理された状態での輸
送が求められるので、「指定した断熱厚よりも厚みが
薄く製造されたトレーラは使用できない!」と強い
口調で話された。
 「新しくもう一台、造る?」「内張り材を取り外し
て、内部のウレタン発泡材を剝がして、再度の発泡
工事をしなおす?それなら中古トレーラだ!」と畳
み掛けて言葉を発してくる。即座の回答もできない
ので、「数日後に回答させていただきます!」と言葉
を残し、這
󱢼
ふ這
󱢼
ふの体
󱢧󱢃
で社長室を退散する。
 数日後、重い足取りで再度、小樽を訪問する。海
外担当時代に中国新疆省のウルムチへ向けて出荷し
た大型冷凍車で類似したトラブルがあったことを紹
介し、当時、必死で考えた「注文(オーダーメード)
服屋の話」をすると、社長は大いに気に入ってくれ
て、難しいトラブルも何とか解決し以降、社長から
は何度も追加の注文を頂いた。まさに「災い転じて
福となす」を知ったはじめての小樽訪問だった。
3.久しぶりの小樽
 単身赴任した札幌での生活を終えてから20年以
上が過ぎ、年齢も“知命(50歳)”から“従心(70歳)
になると無性に北海道が懐かしく感じられて小樽へ
向かった。
 小樽駅の駅弁売りを懐かしく感じながら、駅の左
手にある三角市場を久しぶりに覗いてみる。いく
ら、タラコ、昆布、鮭、蟹、ホタテなどの海産物や
魚介類が狭い店内にびっしりと並んでいる。政府の
外国人観光客誘致政策の影響からか、札幌に赴任し
ていた頃に比べ、隣国からの外人観光客の多さに驚
いてしまう。
ITV2019年5月号107
昭和を感じる懐かしい小樽駅の駅弁売り
小樽三角市場。小樽市内にはたくさんの市場がある
風格を感じる小樽駅

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
 駅を背にして海に向かって坂を下って行くと日本
銀行旧小樽支店が右手に見えてくる。1900年前後
に商業を中心に発展した小樽は「北のウォール街」と
呼ばれ、赤煉瓦の東京駅や日本銀行本店を設計した
辰野金吾の建築による日本銀行小樽支店は厳
󱢉󱢕󱢞
かなル
ネッサンス様式が採用され、内部には大正の臭いが
強く残っている。小樽湾を見下ろす丘の中腹にある
小樽商科大学は、北海道の経済界に数多くの経済人
を輩出している。雪の結晶をモチーフにした小樽市
の市章と、世界経済に大きな影響力を持つユダヤ人
の祖国、ダビデの星を模
󱢊󱢠󱢪
ったイスラエル国旗が似て
いることで何かの縁があるのかもしれない。
 小樽運河の手前にあるオルゴール館に入ってみ
る。古い大きなオルゴールが奏でる音色を聴いて散
歩の疲れを癒す。店内にオルゴールの組み立てキッ
トを販売していた
ので、定年後の
暇な時間に製作し
ようと、気に入っ
た曲目のオルゴー
ルを選んで購入す
る。しかし従心の
年齢になっても未だに製作する時間がなく、オル
ゴールはキットのまま箱に入ったまま、箪笥の肥
󱢔󱣅
状態になっている。
 小樽には三角市場にはじまり鱗夕朝市、南樽市
場、中央市場、手宮市場など市内にはたくさんの市
場がある。北海道の市場では入口でスチロフォーム
の容器にご飯を買い、イクラやタラコなどの魚卵や
新鮮な刺身をご飯の上に買い求めてオリジナルの海
鮮丼を食べることができるのも北海道観光の楽しみ
のひとつである。
 美味しい刺身や魚卵は夜の楽しみに残して、鱗友
朝市市場で「焼いた宗八カレイ」「カスベの煮こごり」
に「かじか汁」を注文する。酒はとりあえず「サッポ
ロビール」でスタートする。
 北海道の市場には真ガレイ、ナメタカレイ(地元
ではババカレイ)、宗八カレイ、黒ガレイ、赤ガレ
イなど関東に比べて豊富な種類のカレイ(鰈
󱢊󱣍󱢃
)が店頭
に並び、札幌に単身赴任中には市場でいろいろなカ
レイを買い求め、自宅で調理して楽しんだ。カレイ
は北海道で最も美味しい魚のひとつと感じている。
 「かじか汁」や軟骨の付いたエイの鰭
󱢳󱣍
を煮た「カス
べ」は北海道では一般的に食べられるが、関東で口
に入ることは少ないので、久しぶりの北海道の味が
現職時代を懐かしく思い出させてくれる。
 異国ロマンあふれる小樽運河沿いを漫ろに歩
く。過去には交通渋滞の緩和を図るため運河をす
べて取り壊す予定となった小樽運河は、旧い石造
りの倉庫や建築物と合わせて小樽観光の目玉とし
て多くの観光客の人気になっている。たくさんの
ITV2019年5月号108
雪の結晶を
モチーフにし
た小樽市章
イスラエル国旗イスラエル国旗
に描かれた
“ダビデ星”
小樽オルゴール堂
多くの観光客でにぎわう小樽運河
市場内には小さな商店が並び鮮魚店、青果店、食堂が立ち
並ぶ

観光客でにぎわう光景に、旧いものでも価値があ
ることを知り、高齢になった我が身の価値は何な
のかと考えてしまう。
 廃館が決まった裕次郎記念館に近い小樽港にはロ
シア船が入港し、中古自動車や古タイヤを山のよう
に積み込んでいる。近くにはロシア語の書かれた商
店も数多く立ち並んでいる。岸壁脇の飼料工場には
海外では使用されない日本固有の大型のスクリュー
式飼料運搬車が出入りを繰り返している。
 右手には小樽港から関西、九州方面へ日本海航路
を航行する大型フェリー埠頭があり、たくさんのト
レーラが駐車場で乗船を待っている。内地とは異な
り輸送効率が良く、世界の主流となっているトレー
ラが、北海道では欧米のように輸送の中心になって
いることを実感する。
 オルゴール堂を右に右折して境町通り商店街に入
ると、プリンの有名な「おたる」を反対から読んで店
名とした「ルタオ」でソフトクリームを食べる。空気
の澄んだ北国の青空の下で食べる濃厚な味のソフト
クリームを食べながら、「ルタオ」と同様に、「どさん
こ」を反対から読んで札幌のサッカーチームを「コン
サドーレ」と命名した北海道人は、反対読みで命名
するのが好きなのかもしれない。
 混雑を避けて北市硝子店の前から見晴らし坂を
登る。小樽は神戸、横浜らの港町と同様に市内に
は坂道が多く、父が住んでいた大正時代には積雪
の多い小樽での冬の生活はどんなに難儀だったか
と想像する。
 観光客の訪れない丘の上からは小樽湾が一望で
き、碧い海の先には遠く雄冬海岸や増毛の町がかす
んで見える。坂道に面して歴史的な古い建物が建
ち、大正、昭和のノスタルジーを感じる。
 小樽駅からバスに乗車して高島岬へ向かう。現役
時代に数年間を北海道で生活したが、道内でバスを
利用したことに初めて気がついた。
 終点の祝津で下車して坂道を登り“小樽鰊御殿”
に入館する。大きな番屋内にはにしん漁の道具や
写真が展示されている。子供の頃、父親から「小樽
の浅瀬には鰊が押し寄せて産卵するので海が真っ
白になるのだ!」「鰊がたくさん獲れて浜に溢れ、
魚の好きな猫でさえ鰊を食べることに飽き、魚を
またいで通るので鰊を“猫またぎ”と呼んだ!」と
説明を受け疑心難儀に思っていたのだが、祝津の
浜が鰊でいっ
ぱいになった
写真や、鰊の
産卵で海が
真っ白になっ
た写真を見て
父の話が嘘
でないことが
ITV2019年5月号109
小樽港近くにはロシア語を掲
げた商店が並ぶ
海上から見た小樽港。正面の小高い丘は天狗山。左は日
本海航路のフェリー埠頭
海外では使用されない日本固有の
大型スクリュー式飼料輸送車(藤本
運輸㈱ 小樽市)
乗船を待つトレーラ。欧米のように道内では輸送効率の良い
トレーラによる輸送が主流となっている
大正のノスタルジアを感じる旧板谷亭

ボデー架装業、整備業、部品販売業と運送業へのアーカイブ
判った。
 昭和33年を境にぷっつりと不漁になった鰊が近
年は昔のように、北海道の浜が産卵で真っ白な海に
戻っているニュースを聞いて嬉しく感じる。  
 祝津港から海上タクシーに乗って小樽港に戻り居
酒屋へ直行する。大振りのボタンエビや厚
󱢁󱢤󱢑󱢘
岸産の牡
蠣の刺身、積丹産の海水うに(雲丹)、小樽産のガサ
エビ(シャコ)など北海道の美味な品を次から次へと
胃袋に放り込んでいく。
 酒は根室産の「北の勝」の冷酒にはじまり、銘柄を
増毛産の「国稀」に変えると札幌赴任中に休日、「国稀
」を醸造する増毛の本間醸造までドライブして買い
求めた酒饅頭の味が懐かしく思い出されてきた。
4.異国ロマンスを感じる余市
 小樽駅から函館本線に乗車して約20分で余市駅
に着く。札幌赴任中には函館への出張時には、駅前
を通る国道5号線を何度も車で通過していたが、初
めて国道の反対側にあるニッカウヰスキー余市蒸留
所を訪れた。ニッカ蒸留所に興味を持った理由は勿
論、NHKの朝ドラマ「リタとマッサン」を視聴した
からである。現職時代には一度も見ることのなかっ
た朝のドラマだが、時間に余裕のできた離職後の生
活になって毎日、朝ドラを楽しんで見ている。
 ニッカウヰスキー余市蒸留所は旧社名を「大日本
果汁株式会社」と称したが、1952年に社名をニッカ
ウヰスキー㈱に改名している。余市の近郊にはフ
ルーツ街道と称した道路が走り、余市はブドウ、リ
ンゴ、サクランボなどの美味しい果実類が収穫され
る。ニッカウヰスキー㈱もウィスキーを本格的に製
造する以前には、余市産のリンゴを搾ったリンゴ果
汁を主ビジネスとしていたようだ。
 小樽、余市で収穫されたブドウを醸造して造られ
「おたるワイン“ナイアガラ”」は、デザートワイン
として世界で評価の高いハンガリー産の貴腐ワイン
にも劣らない甘くフルーティーな味が素晴らしい。
 ニッカウヰスキー㈱を創設した「竹鶴政孝」は
1894年(明治27年)に広島県の竹原町に生まれた。
同町からは元総理大臣の池田勇人を輩出し、政孝は
勇人の一年先輩にあたる。竹鶴は大阪の壽屋(現:
サントリー㈱)に入社後、スコットランドのグラス
ゴー大学へ留学し、ウィスキー製造法を日本人とし
て初めて学んだ。帰国後、日本で最初の本格的国産
ウィスキーを余市で製造し、“日本のウィスキーの
父”と呼ばれている。
 正孝はグラスゴー大学留学中に英国人女性「ジェ
シー・ロベルタ・カウン(愛称:リタ)」と知り合い、
交際に反対するリタの家族を押し切って現地で結婚
した。まだ海外へ旅客機が飛んでいない時代に、数
十日間をかけて船で英国に渡り、英国北部のスコッ
トランドに単身留学して男のロマンとしてウィス
キー造りに挑戦する姿に、明治生まれの日本男児が
持っていた気骨と挑戦心に脱帽する。
 現在のような周囲を見渡せばカタカナ英語や、幼
少期から英会話学校に通って英語が学べるような環
境でない時代に、英語の本場で女性を口説いて結婚
し、異国人を珍しい目で見る戦前の日本に外人女性
ITV2019年5月号110
高島岬の“鰊御殿”
“日本のウィスキーの父”竹鶴政孝が設立したニッカウヰス
キー余市蒸留所

を連れて帰国した度胸にも感心する。
 豊かになった現在、幼年期から子供に英会話を習
わせる親も多いが、大きな夢を持つことの大切さ
や、単身で海外に渡って学ぶ度胸や挑戦心を持つ教
育が必要なことを正孝が教えてくれる。
 一方、リタ夫人も敵国人となる夫を信じて結婚し、
戦時中も日本に住み続けた行動は、二人のロマンス
や波乱に富んだ生涯を題材にした朝ドラマ「リタと
マッサン」が高視聴率を記録したのも当然と思える。
 竹鶴は北海道の余市が気候、風土がスコットラン
ドに似ていることから、ウィスキーの製造拠点とし
て工場を建設した。工場内には大きなポットスティ
ル(蒸留釜)をはじめとしてウィスキーの製造法が詳
しく説明されている。竹鶴が使用した応接室やリタ
と生活した家屋も展示されている。
 見学の最後にはウィスキーの試飲コーナーがあ
り、高級なシングルモルトウィスキー「余市」と安価
な「ハイニッカ」などを比較して飲むことができる。
 日頃、美味しいと思って飲んでいる「ハイニッカ
」だが、高級品の「余市」と並べて試飲すると、品質
に大きな差があることを知る。ウィスキー造りで品
質にこだわった竹鶴の功績もあって、近年は日本の
ウィスキーは世界でも人気が高いことからモルト原
酒が不足になり、「日本製高級シングルモルトウィス
キーの製造、販
売が難しくなり
そうです!」との
説明に、慌てて
土産品コーナー
で「余市」を一本
購入する。
 工場前の幼稚園名は「リタ幼稚園」、綺麗な花が植
栽された道路には「リタ道路」の名がつけられてい
る。余市の町が今でも“リタとマッサン”を愛し続
ける様子が町中のあちこちに感じられる。
 竹鶴正孝が美味しい国産ウィスキー製造に男のロ
マンを追い、リタとのロマンスを実らせたスコット
ランドを次回の旅行では訪問先に加え、若き日に政
孝が必死で学んだスコッチウィスキーを本場で味わ
いたい。
ITV2019年5月号111
“リタ”と“マッサン”が生活した住居
“リタ”の名前のついたリタ幼稚園
“リタ”の名前のついたリタロード。現在でモ“リタとマッサン”
は余市町での人気が高い
ニッカウヰスキー余市蒸留所
内のポットスティル(蒸留釜)
“マッサン”こと竹鶴政孝が使
用した応接室

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