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【対談】海外動向が示唆するモビリティカンパニーの方向性

株式会社rimOnO
代表取締役社長
伊藤慎介
株式会社国際経済研究所
シニアフェロー
宮代陽之
TheTRUCK2018年9月号20
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
海外動向が示唆する
モビリティカンパニーの
方向性
 今年に入ってからヨタ自動車の豊田章男社長は、トヨタ自動車が「自動車メーカー」から「モビリ
ティカンパニー」に変革するというメッセージを強く出されています。1月のラスベガスのCESにおいて
e-Paletteを発表した際の発言を皮切りに、5月の決算発表、6月末にコネクティド機能を搭載した
新型クラウンと新型カローラの新車発表会など、繰り返し「モビリティカンパニー」という言葉を強調さ
れています。
 その背景には、自動運転技術の進展などによって、世界の自動車産業が大きな変革期に入って
いることがあると考えています。実際、ダイムラーとBMWは3月末にモビリテサービスに関する両社
の事業を統合して合弁会社を設立すると発表していますし、ォードは7月24日に新会社「フォード・オー
ノマズビークルズ」を設立し、自動運転車の量産化に取り組むことを発表しました。大手自動車メー
カーによるこれらの動きをみると、グーグル、ウーバー、バイドゥなどの異業種が自動車周辺のモビリティ
ビジネスに急速に参入してきていることへの強い危機感があるのではないかと推測しています。
 そこで、ヨタ自動車において35年間ご勤務されており、現在はヨタ自動車系のシンクンクであ
る株式会社国際経済研究所においてモビリティビジネスについての調査・研究・コンサルティングに
従事されている宮代陽之シニアフェローから、モビリティに関する世界動向についての考察を伺うとと
もに、自動車メーカーがモビリティカンパニーに変革するためには何が必要となるのかを伺いたいと思
います。

TheTRUCK2018年9月号21
伊 藤 宮代さんは数年前から自動運転や都市
交通などを研究されていらっしゃいますが、ト
ヨタ自動車の豊田社長が自動車メーカーからモ
ビリティカンパニーに変革するとご発言される
など、宮代さんが研究されている方向に時代が
近づいていると感じています。しかし、自動車
メーカーの方とお話ししていると四輪車をどう
するかという発想から抜け出せないと印象を持
ちます。一方で、海外ではダイムラーとBMW
がモビリティサービスで合弁会社の設立を決め
る、アメリカでもGMが自動運転車の量産に
向けて新会社を設立する、フォードが次世代モ
ビリティの新会社を作るなど従来の自動車メー
カーのあり方を大きく変えていく取り組みを加
速しています。宮代さんは都市交通や街づくり
などについて色々と調査されていますが、海外
の動向を踏まえて日本の自動車メーカーはどう
していくべきかとお考えでしょうか。
宮 代 世界の自動車メーカーがモビリティに
ついて新しい取り組みを始めた理由は、アメリ
カ、ヨーロッパ、日本というそれぞれの地域に
よって違うと考えています。
 まずはヨーロッパですが、ヨーロッパの主力
メーカーであるドイツの自動車メーカーがモビ
リティサービスに乗り出す前に、様々な取り組
みが行われてきた歴史があります。例えばパ
リ市における自転車シェアのサービスである
Velibʼや、自転車の延長上で始まったAutolibʼ
という路上で電気自動車を借りて別のスポット
に自由に乗り捨ててよいというカーシェアリン
グサービスです。Velibʼが始まったのは2007
年ですから、それから10年近い歴史があり現
在では成功しているとみられています。パリ市
がこのような取り組みを始めた背景としては、
市内に駐車スペースが限られている一方で、多
くの人がクルマを所有していながらもさほど
使っていないという現状がありました。そこ
で、パリ市としてはシェアしてみようという
発想でまずは自転車で始めて、電気自動車で
もやることにしたのです。ただし、パリ市が
始めたときには自動車メーカーは一切絡んで
いません。電気自動車のケースでも、パリ市
の公募で最後まで残った二社はTransdev(ト
ランスデブ)という様々な公共交通サービスを
展開している会社と、Bolloré(ボロレ)という
会社でして、両社とも自ら電気自動車を製作
してサービス展開までするコンセプトで始め
ました。
 このようなサービスを実際に展開していく際
にカギを握るのは、乗り捨てによって特定の場
所に車両が偏ってしまうことになった際に、ど
のようにして車両を回収して再配置するかとい
うノウハウです。たまたまコンペの最終結果が
出る前にトランスデブ社の方にインタビューす
る機会に恵まれたのですが、彼らはカーシェア
リングスポットの配置と偏った車両の回収ノウ
ハウが今後のモビリティサービスにとって重要
になると既に気づいていました。回収のために
学生バイトを活用する、お客様自身が元のス
ポットや事業者が指定した駐車スポットに返却
してくれた場合には利用料金を安くするといっ
た方法を色々と考案し、実際にビジネスとして
成立させることを“インテグレーションビジネ
ス”と言っていました。今では、インテグレー
ションという言葉は当たり前になっています
が、彼らは既に当時からそういう構想を持って
いたのです。
 したがって、モビリティサービスのコンセプ
トについて先行していたのはフランスだと考え
ています。パリ市のモデルが成功したことでド
イツなどヨーロッパの他の都市も注目するよう
になり、パリ市がカーシェアリングを始めた
のとほぼ同時期にダイムラーがCar2Goとい
うカーシェアリングサービスを始めました。
Velibʼという自転車シェアで先行する成功事例

TheTRUCK2018年9月号22
があったことで徐々に自動車メーカーが自らモ
ビリティサービスに取り組むようになっていっ
たのではないかと思います。
伊 藤 パリ市が都市交通政策の一環として導
入したモビリティサービスが最初のきっかけと
なり、そこに新興企業が実際にビジネス展開し
て成功したことによって、ようやく自動車メー
カーなど大手が動き始めたという経緯だったの
ですね。
宮 代 ヨーロッパの都市ではガレージを持た
ずに路肩に駐車する路上駐車が一般的です。し
たがって、クルマの数が多いと路肩がクルマで
塞がれてしまいます。パリ市などの都市交通政
策の実施主体からすると、路肩のスペースを空
けられることは交通政策や都市の美観の視点か
らは大きなメリットにつながりますので、その
ために個人所有の乗用車を都市から減らせる
シェアリングに取り組む意義があったのだと思
います。今のパリ市では環境派の市長が就任し
ていますので、更に自家用車を街から締め出し
ていく、電気自動車ではないクルマの販売をゼ
ロにする、などと色々なことを言い出していま
す。しかし、そういう発言につながる前提とし
て都市に増えすぎた自家用車の問題があったこ
とは確実です。更に、国連などによると2050
年には欧米の人口の7、8割は都市に住むとい
われており、都市化による渋滞や駐車スペース
の欠如は更に深刻化すると思われます。その問
題は中国やインドなどでも同じです。したがっ
て、渋滞、駐車スペース、大気汚染、インフラ
の整備コストなどの問題を解決するために都市
から自家用車を締め出していく傾向は更に強
まっていくと思われます。
伊 藤 モータリゼーションが行き過ぎたこと
による負の部分がクローズアップされてきたと
いうことなのですね。
宮 代 そうです。モータリゼーションがもた
らす負の部分が都市にとって実感できるレベル
になってきたということです。
伊 藤 その傾向はアメリカでも同じでしょ
うか。
スラム街解消の一環として「移動」
 注目が集まった
宮 代 アメリカでも同じような傾向となって
います。高速道路網を始め、アメリカでイン
フラが大規模に整備されたのは50年前ですの
で、都市部を中心としてインフラの老朽化が深
刻になってきています。また、アメリカだけの
問題ではなく、ヨーロッパにも共通して言える
こととして、都市化が進むと貧困層が増えると
いう問題があります。貧困層の多くは自家用車
などの移動手段を持たないため固まって住むと
いう傾向があります。ただし、市内中心部は地
価が高いので、少し離れた場所に離れて住むこ
とになり、そこにはバスも地下鉄もないので固
まってスラム街を形成するようになっていきま
す。1960年代にフランスで起きた問題は、ア
フリカからの移民が虫食いのようにパリ市内に
スラム街を形成し、学校に行けない/行かない
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪

TheTRUCK2018年9月号23
子供たちが大人になってスラム街がどんどん犯
罪の温床になっていくという現象でした。
 そこでフランスでは世界で初めて「移動権」と
いう自ら移動する権利を保障することとし、貧
困層が学校に行ける、働きに出られる状態を作
り出したのです。その後、ドイツやアメリカで
も移動権とは言いませんが、実質的に同様のこ
とを認めるようになっていきました。こういう
流れになった背景としては、都市が魅力的にな
ればなるほど富裕層だけでなく貧困層も都市に
流入してくるという現実があり、流入してきた
貧困層が孤立しない対策を考える必要に迫られ
ていき、その対策を講じてきた結果としてモビ
リティサービスが発展してきたということだと
捉えています。
 一方、日本では都市やその周辺に多くの人が
居住していて、大勢の人が都心に通勤していま
すが、公共交通機関が毛細血管のように張り巡
らされ、それらを安価で利用できる仕組みが早
期に作られていきました。そして、日本では貧
富に関わらずすべての人が鉄道、バス、地下鉄
を利用しますので、欧米の都市が抱えたような
課題を意識することなく今に至ったのだと思い
ます。
伊 藤 貧困層に移動権を与えるということは
治安を良くするという政策とも
リンクしているように思いま
す。例えば、ニューヨークのブ
ルックリン地区という場所は犯
罪に合うリスクがあるといわれ
て昔は近づくこともはばかれる
場所でしたが、今ではどちらか
というとお洒落なスポットに
なっています。移動権と治安の
解消には関係性があると見たほ
うが良いのでしょうか。
宮 代 私は1988年から90年にニューヨー
クに住んでいましたが、当時はハーレム地区な
どの治安が悪い場所があり、ニューヨーク市に
は犯罪に巻き込まれかねないという緊張感があ
りました。しかし、治安を改善するための対策
として二つのことが行われました。一つは犯罪
を徹底的に取り締まるためにかなり警察官を増
やす、取り締まりを厳しくするという直接的な
対策です。もう一つが街を綺麗にして街の景観
を良くするとともに、バスの割引などを組み合
わせたモビリティの改善です。後者の取り組み
によって、低所得者層が域外に出かけられるよ
うになって社会参画が進み、結果的にスラム街
が無くなっていったのです。
 この成功事例は全米にも共有されており、現
在、ロサンゼルス市では“マイクロトランジッ
トプロジェクト”という取り組みを進めてい
て、まさに低所得者層も利用できるモビリティ
サービスを公募しています。そこには、単なる
弱者救済という意味だけではなく、低所得者層
が社会参画できる仕組みを作ることで街を良く
していけるという確信があるのだと思います。
伊 藤 ロサンゼルスではドーナツ化現象で都
市の機能がどんどん周囲に拡散していきました
が、低所得者層の移動問題に取り組むことで都

TheTRUCK2018年9月号24
心回帰を狙っているということでしょうね。
「都市の経営」が行いやすい
 社会システムがある欧米
宮 代 欧米の都市では、都市の魅力を高めて
いくと低所得者層も流入してくることが経験的
に分かっているため、どうやってセーフティー
ネットを張るかということも含めて都市政策を
実施する裁量の余地が地方自治体に与えられて
います。欧米では自動車関連の税金、車両の登
録料、免許更新料、駐車違反の罰金など、自動
車関係の財政収入が市町村に入るようになって
いて、それが財政上の重要な収入源になってい
ます。一方、日本では多くの制度が中央集権的
になっているため、地方自治体の裁量の余地は
欧米と比べて少なかったり、国、県、市町村で
案分されたりすることが多いです。
伊 藤 自動車関連税制に代表されるように、
確かに日本では、常に国と地方で財源の取り合
いや調整などが行われていますね。
宮 代 欧米では都市の経営がしやすいように
税制や財政が設計されていますが、日本では税
制や財政がすっきりしておらず、都市の経営が
やりにくい面があると感じています。
伊 藤 要するに、欧米の都市では自動車を買
えるだけの収入がある所得層から税金・罰金・
使用料などを徴収し、それらを財源としながら
個人所有の乗用車移動についての一定の制限を
課すと同時に、低所得者層も含めて移動しやす
い仕組みを作っているということなのですね。
その結果として、新しい都市交通政策やモビリ
ティサービスが次々と誕生しています。しか
し、日本では「都市の経営」やそれを前提とした
税制や財政の仕組みがないため、欧米の都市と
比べて都市交通政策やモビリティサービスで遅
れてしまっているということでしょうか。
宮 代 そうです。したがって、日本でモビリ
ティに関する新しい取り組みをやろうとすると
ツールを作るところから始めないといけないか
もしれません。フランスでは移動権を認めた際
に、その財源の確保のために企業に課税しまし
た。従業員の中には出勤する際に自家用車でな
く公共交通機関を利用する人もいるだろうとい
う理由で、従業員数を根拠にして企業収益の
3%程度を徴収し、それを財源として公共交通
機関を整備していくことで低所得
者層であっても移動できる環境を
作っていきました。
 一方、ドイツには再生可能エネ
ルギーで発電した電力を地産地消
で売電している“シュタットベル
ケ”という地域電力公社があるの
ですが、地方自治体が株主となっ
ている公社なので売電した収益を
地域に還元する必要があります。
実は、ドイツの自治体では、シュ
タットベルケからの配当金や税収
などをもとに、公共交通への補助
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図1:多様なモビリティサービスが展開されているサンフランシスコ市
TheTRUCK2018年9月号25
も行っています。財政に頼らずに赤字を補填す
る財源を持っているわけです。
伊 藤 行政が果たすべき基本的な機能である
所得やリソースの再配分を、地方自治体が主体
的に行えるようになっているからこそ、モビリ
ティサービスに必要となる取り組みが行えるわ
けですね。
宮 代 日本でモビリティサービスが導入さ
れ、事業として成立するかどうかは、地方自治
体が自らの裁量権による権限や財源をどれだけ
持てるかということによると考えています。都
市部における公共交通機関の多くは黒字です
が、地方では財政が苦しいためにどんどん縮小
せざるを得なくなっていますが、高齢者などの
移動弱者の移動を担保しようとすると権限や財
政がなければ方策を取るのは非常に難しいと思
います。
「新興企業に機会を提供することで
 モビリティの課題解決を狙う欧米の都市
伊 藤 パリ市のVerib
ʻやAutolibʼの事例を含
め欧米の事例を見ている
と、地方自治体がスター
トアップや新規事業のプ
レイヤーにチャンスを与
え、彼らと組んでいくこ
とでモビリティに関する
課題を解決しようという
姿勢が垣間見えます。そ
して、そういった新興プ
レイヤーがその街で成功
すると、国内の他地域や
海外に展開していくとい
う流れができているよう
に感じています。参考になる事例があればご紹
介いただけないでしょうか。
宮 代 新興プレイヤーにチャンスを提供して
オープンに新しいサービスを取り入れている代
表格がサンフランシスコ市です。サンフランシ
スコにはケーブルカーや路面電車があります
が、そもそも坂が多いので大掛かりな公共交通
網を作るのが難しく、郊外までをつなぐ鉄道が
1、2本しかありません。そのため、公共交通
網に空白が沢山あり、その結果として自動車の
移動分担率が8割を超えるといった状態になっ
ています。したがって、公共交通の空白を埋め
るラストワンマイルのサービスにどんどんチャ
ンスを与えるのが手っ取り早いと考えているの
だと思います。最近一斉に入ってきて注目され
たのが(図1)の左上にあるE-Scooterです。
SPIN、LimeBike、BIRDといったサービス事
業者が乗り捨て自由の電動スクーターを貸し出
すサービスを始めたら、住民にものすごく受け
ました。ただ、今では歩道上に乗り捨てられた
スクーターが散乱したり、歩行者が危険な目に
あったりしたことで、規制しようという流れに

TheTRUCK2018年9月号26
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
なっていて、提供事業者を5社に限定し台数
の上限も設定しようとしています。ただ、ユー
ザーの需要は引き続き期待できることから、既
存の3社を含めて12社が応募していると聞
いています。
 サンフランシスコ市のやり方で注目すべきな
のは、まずは新しいプレイヤーにチャンスを与
えてみて実際にユーザー需要があるどうかを確
認し、需要があることが確認されたところで規
制を導入するという点です。しかし、日本の場
合にはユーザー需要があるかどうかを確認する
前に安全性や既存事業者との利害調整を理由に
制限をかけてしまい、新しいサービスがなかな
か導入されない、広がらないという結果になっ
ているように思います。
「呉越同舟」による社会実験を行う
 哲学が有力な新サービスを生む
伊 藤 パリ市やサンフランシスコ市の取り組
みは、地域産業の振興という視点で見た場合で
も興味深いです。都市の交通課題の解決策とな
る新しいサービスをスタートアップなどの新興
プレイヤーに門戸を開くことで、そのサービス
が成功して他地域に展開するようになると、そ
のスタートアップがどんどん成長して都市に雇
用や税収が生まれるという好循環を狙ってい
ます。実際にウーバーは世界的な大企業に成
長し、サンフランシスコ市内のかつては若干
治安の悪かった場所に本社を設けています。
Autolibʼもパリ市で成功したのちにロンドン、
米インディアナポリス、シンガポールなどに
サービス展開しています。しかし、日本では地
域産業の振興というと、工業団地に企業を誘致
する、スタートアップのインキュベーションオ
フィスを設けるといった古典的な政策ばかり
で、新しい都市交通政策によって新しいビジネ
スを創出するといった取り組みはほぼ皆無であ
ると思います。
宮 代 サンフランシスコ市としては市内で始
まったサービスが普及拡大することでスタート
アップが成長してほしいという考えなのでしょ
うね。(図1)に示したサンフランシスコ市内で
展開されているモビリティサービスには、電動
スクーターや自転車のシェアリング、カーシェ
アリング、ライドシェア、オンデマンドバス(乗
合バン)、自動運転車、デリバリーサービスな
どがありますが、その大半がスタートアップで
す。これだけのスタートアップを受け入れて住
民の反応を見ながら、その良さを殺さずにむし
ろ活かしていくような発想で規制を運用してい
ます。
伊 藤 オンデマンドバスのChariotはフォー
ドに買収され、自動運転車のCruiseはGMに
買収されるなど、サンフランシスコ発のスター
トアップが大手自動車メーカーを動かす流れに
なっています。
宮 代 ウーバーが自転車シェアリングの
Jumpを買収しています。ウーバーの競争
相手であるLyftも二輪車ビジネス最大手の
Motivateを買収しています。欧米ではユー
ザーの需要をつかんだモビリティ関連のスター
トアップが買収されるという流れが普通になっ
てきています。
 先日の筑波大学石田名誉教授の話では、ス
マートシティチャレンジで選定されたコロンバ
ス市では、連邦政府が4000万ドルの資金を
投入した結果、民間から5億ドルの資金が投
入されたとのことでした。日本とは全く違う規
模で活動が行われていることに注目すべきと思
います。
伊 藤 連邦政府が集中的に資金投入した結

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3
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図2:都市交通の先駆者を目指すウーバー
TheTRUCK2018年9月号27
果、その10倍以上の資金が民間から流れ込む
というのは目に見える景気刺激策でもあります
ね。しかも2020年までに10億ドルを目指
すということでしたので、それが実現すれば
20倍以降の経済効果になります。
宮 代 サンフランシスコ市の事例でもコロン
バス市の事例でも共通して言えることは「呉越同
舟」だということです。予め事業者を絞り込ま
ず、市外の企業であっても、スタートアップ企
業であっても、どういうサービス内容であって
も、まずは受け入れてみて住民に使わせてみる
わけです。ユーザーである住民が様々なサービ
スを体験することによって、どのサービスの使
い勝手が良いのかが分かっていき、良いものは
伸び、その他は淘汰されて
いきます。このような自由
競争の原理を入れているこ
とが特長です。
伊 藤 街まるごとでデ
ザインシンキングをやっ
ているような状況です
ね。チャンスを公平に与
えるというところが日本
よりもフェアですね。日
本の場合は既得権益の意
識が強いので、既存の事
業者が優先される傾向が
あるように感じます。
宮 代 ウーバーのようなライドシェアの成長
企業が生まれた背景には、こういう行政の哲学
が大きく影響しています。
あらゆる移動ニーズを取り込む欧米企業
宮 代(図2)はウーバーの取り組んでいる事
業領域を図示したものですが、彼らは四輪乗用
車のライドシェアサービスであるUberPool
から始まり、現在は二輪の世界にも進出してい
ます。Jumpという電動自転車のシェアリン
グ会社を買収し、E-ScooterのLimeBikeに
出資しています。最近始めたUberRentとは
クルマを持っていない人がライドシェアサービ
スを提供できるようウーバーがクルマを貸し出
すサービスです。また、日本でも始まってい
ますが、UberEatsのようなデリバリーサー
ビスも提供しています。業務提携したmasabi
というのは公共交通にスマホで乗車できるモバ
イルチケットを展開している企業でして、彼ら
は電子決済のサービスも提供しています。
 こうやってウーバーが提供している様々な
サービスを俯瞰してみていくと、ウーバーのア
プリ一つで様々なサービスを利用できるように
することで都市内外の移動は全てウーバーで完
結することを目指していることが分かります。
更に彼らは空の世界にも進出しようとしていま
す。“フライングタクシー”という概念で垂直

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図3:ダイムラーが手掛けるモビリティビジネスの全体像
TheTRUCK2018年9月号28
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
離発着できる乗り物を開発し、飛行しながら移
動できるサービスも提供していく考えです。現
在、機体の開発者を選定するための公募プロ
セスが始まっていますが、興味深いのは乗り
降りの利便性にこだわっていることです。身
長180㎝程度の乗客が屈んで乗り込まなくて
も良いような乗り込み口にすることを要件にし
ており、異なる乗り物をできる限りストレスフ
リーで乗り換えられることを目指していること
が分かります。
 都市交通の利便性を上げたい行政があらゆる
サービスに対して機会を与えようとする哲学に
ついて先ほど述べましたが、逆に企業側も可能
性があるサービスであれば次々と手掛けていこ
うという姿勢を持っているのです。
 フォードはオンデマンドバスのChariotや
自転車シェアリングのGoBikeを買収してい
ます。フォードよりも大胆に買収を繰り返し
ているのがダイムラーです。(図3)はダイム
ラーが手掛けているモビリティビジネスの全
体像ですが、自ら始めたCar2Goというカー
シェアリングサービスに加えて、マルチモーダ
ルサービスアプリのmoovelやタクシー配車
のmytaxiというスター
トアップを買収してい
ます。実は、2014年に
mytaxiを買収した頃から
自社にないビジネスはど
んどん買収するという姿
勢を明確にしています。
なぜダイムラーがこれほ
どまで大胆な買収戦略を
実行できたかというと、
DFS(DaimlerFinancial
Services)というファイ
ナンスの関連会社が実行
部隊になったからです。
メーカーのスピード感だ
と時間がかかることが分かっていたので、金融
のスピード感で進めるという賢い判断をしたの
ですが、更に彼らが賢いのは、モビリティサー
ビスの競争は決済システムを握ることだとわ
かっていたことです。実際、DFSはルクセン
ブルクにあるPayCashというスマホ決済の
会社を買収し、Mercedespayという自社の
決済システムを作りました。中国のAlipayや
WechatPayの発想に近い考え方です。
伊 藤 ダイムラーと同じようなことを日本で
やろうとしても、そもそもグループ全体の未来
を決めるような買収戦略をファイナンスの関連
会社に担わせようという経営判断がされない気
がします。加えて、個別の企業を買収するかど
うかの判断の際に、買収したら本当に儲かるの
かと問われて、最終的に買収を取りやめそうな
気がします。どうしてダイムラーはここまで大
胆な経営判断ができるのでしょうか。
宮 代 ダイムラーは買収戦略について明
確な哲学を持っています。イギリス発の
mytaxi、ルーマニアのClevertaxi、ギリシャ
のBlacklaneのいずれの買収にも共通してい

ᵴᵵᴾᵫᵭᵧᵟᴾἻỶἛἉỹỴဇᵣᵴἉἵἚἽ
(෗┿ฟ඾䠖MOIA HP)
5
ᝍᓙễʈӳဇᾔᾥἉἵἚἽᵆᵏᵖ࠰ẦỤἡὅἨἽἁỆ৲λᵇ
zᡫࠝʴˌɥƕʈǕǔٻ׹ȜȇǣƴŴࡈࠗƷLjᚨፗ
㻙᪂ᖿ⥺䜾䝸䞊䞁㌴䜢෽䛠ᗙᖍ䝇䝨䞊䝇
㻙඲ᖍ䛻ㄞ᭩ⅉ䚸㼁㻿㻮㟁※䚸䡭䡬䢍䢖䡹䢀䚸㼃㼕㼒㼕䜒ᶆ‽⿦ഛ
zܤ࣎ज़ȷȗȬȟǢȠज़᣻ᙻßࣛᢘàᆆѣƷ੩క
(ฟᡤ䠖ྛ✀㈨ᩱ䜢䝧䞊䝇䛻ᅜ㝿◊సᡂ䠅
図4:フォルクスワーゲンが発表したMOIAのEVシャトル
TheTRUCK2018年9月号29
るのは既に一定の市場シェアを占有している会
社だったということです。自社が製造している
自動車に、買収した会社が提供しているサービ
スやアプリを足すことによって、ダイムラーは
グループとしてより強い会社になれると考えて
いるのです。逆にゼロからサービスを生み出し
て、オペレーションまでを全て内製化しようと
は考えていません。
 トヨタ自動車の場合はタクシー配車アプリの
ジャパンタクシーに出資はしますが、買収まで
は考えていませんし、実際にそうしようとする
と大騒ぎになるでしょう。しかし、ダイムラー
が実際にやっているのはそういうことでして、
高い市場シェアを占有しているモビリティサー
ビス会社をDFSが買収することでダイムラー
本体とのシナジーが働き、お金が回る仕組みが
作れると考えているのだと思います。
伊 藤 自動車メーカーからするとモビリティ
サービスが充実すればするほどクルマが売れな
くなる可能性もあることから、収益源を食い合う
カニバリゼーションを恐れてモビリティサービス
には積極的に進出しないという経営判断を下して
もおかしくないですが、な
ぜ欧米の自動車メーカーは
これほどまで大胆にモビリ
ティサービスに踏み出そう
とするのでしょうか。
宮 代 ヨーロッパの自
動車メーカーは、いわゆ
るGAFA(グーグル、アッ
プル、フェースブック、ア
マゾン)の勢いの凄まじさ
は強く感じていると思い
ます。急激に成長したウー
バーやリフトについても同
じような感覚で捉えている
はずです。そして、こういう新興企業が現れて既
存の業界を一気に押し流すという恐怖感は以前か
ら持っていたと思います。少し前までは都市の
ニーズに合わせてCar2Goのような自社サービ
スを着実に展開する戦略だったのですが、ウー
バーが急成長し、グーグルが自動運転車などで交
通の世界に乗り出してきたので、一気に買収も含
めた戦略に加速したと考えています。
“乗り物”にこだわった王道を突き進む
 フォルクスワーゲン
宮 代 ローマ帝国のようにモビリティビジネ
スを支配することを目指しているダイムラーに
対して、全く違う戦略をとっているのがフォル
クスワーゲンです。フォルクスワーゲンはク
ルマ屋の王道を行くような会社でして、モビ
リティサービスやMaaSに取り組むと宣言は
したのですが、実際に何をしたのかというと
MOIAという新しいブランドと別会社を立ち上
げてオンデマンドバスを提供するための電気自
動車シャトル(EVシャトル)を作りました。こ
のEVシャトルが極めて豪華でして、コミュニ

I.D. 䝅䝸䞊䝈䠖㟁ື㌴䝁䞁䝉䝥䝖䠋⮬ື㐠㌿ᑐᛂ
6
ᵴᵵᣃࠊὉᣃࠊἴἥἼἘỵểỉ᧙Ừụ૾
1.I.D. Crozz(SUV)
2020㔞⏘ணᐃ
୍඘㟁500km㉮⾜
2.I.D. Buzz(Bus/Van)
2022㔞⏘ணᐃ
୍඘㟁480km㉮⾜
3.I.D. Vizion(Bus/Van)
᏶඲⮬ື㐠㌿ᑐᛂ(‘30)
ḟୡ௦䝰䝡ᥦ᱌
4.I.D. Concept
2020㔞⏘ணᐃ
WE䡟ᑐᛂ(?)
5.I.D. R Pikes Peak
2018Pikes Peakᅽ຾
䝖䝹䜽≉ᛶ䞉㓟⣲⃰ᗘ↓㛵ಀ䛾EV≉ᛶ
(ฟᡤ䠖VW HP I.D. Series䚸䛺䜙䜃䛻ྛ✀ሗ㐨䜘䜚ᅜ㝿◊సᡂ䠅
図5:フォルクスワーゲンが展開するI.D.シリーズ
TheTRUCK2018年9月号30
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
ティバスによく使われている日野自動車のポン
チョというミニバスと同じくらいの大きさな
のですが、乗客の座席が6席しかないという
贅沢な作りになっていま
す。要するにこのEVシャ
トルは飛行機のビジネス
クラスに近い、乗客のパー
ソナルスペースを確保し
たプレミアムな乗合シャ
トルなのです。
 もう一つの特徴は開口
部の高さが175㎝ある乗
降口です。開口部が広い
ことは、腰をかがめるこ
となく乗降できるという
意味で乗客にとって嬉し
いことですが、短時間に
乗り降りができるという運行面でのメリットも
大きいのです。モビリティサービスを考えると
きにカギを握るのが停車時間なのですが、これ
だけ広い乗降口をとり、車内スペースがゆった
り取られていると一人当たりの乗降時間を相当
短くできるのです。
 フォルクスワーゲンが更にすごいのはMOIA
のEVシャトルをハンブルグ市に一気に200
台投入すると宣言していることです。大量導入
してみることで実証のための実証ではなく、
ユーザーの需要があるかどうかを本気で判断し
ようとしているのだと思います。
 そしてフォルクスワーゲンが最近発表したの
が“We”というシェアリングサービスのための
ブランドです。電気自動車のカーシェアリング
はI.D.というシリーズの電気自動車を使うと
いっていますが、I.D.には乗用車やSUVのモ
デル以外にも昔のフォルクスワーゲンバスに
そっくりなI.D.Buzzなどバスやバンのモデル
も展開しようとしています。そしてこれらの車
両は全て自動運転に対応していくとのことです
ので、MOIAのEVシャトルの延長線上には自
動運転化が想定されているといえます。
 Weシリーズに最近加わることが分かったの
がパーソナルモビリティです。彼らは二輪や三
輪のパーソナルモビリティをシェアリングサー
ビスに加えようとしていて、Streetmateとい
う電動スクーターとCityskaterという三輪電
動スクーターを発表しています。Streetmate
というのはちょい乗りができるように立った
ままでも乗ることができる電動スクーターで
して、シェアリングで使いやすいことを考
えて設計されています。もちろん椅子を出せ
ば座ったまま乗ることもできます。一方で、
Cityskaterはコンパクトに折りたためる電動
スクーターでして、電車やバスに持ち込むこと
を想定しています。
 要するにフォルクスワーゲンはサービスから
ではなく、ハードウェアという形からモビリ
ティサービスに入ろうとしているのです。サー
ビスから入ってくるウーバーやE-scooterの
スタートアップなどと差別化するために、フォ

ᵴᵵᣃࠊὉᣃࠊἴἥἼἘỵểỉ᧙Ừụ૾
7
䐠䝰䝡䝸䝔䜱䝃䞊䝡䝇䠖㒔ᕷ஌ྜ⛣ືᨭ᥼(MOIA)
ᇌɥǓᲣ $GTNKP*CODWTI*GNUKPMKႝЏǓ
䐡㟁ື㌴䜹䞊䝅䜵䜰䠖I.D.䝅䝸䞊䝈䝅䜵䜰ᑓ⏝EV
཯ႝЏǓᲣᳺ9'᳻ૼǵȸȓǹ2(
Micro Mobility䠖䝏䝵䜲஌䜚⛣ືᡭẁᥦ౪(WE䡟䝃䞊䝡䝇P/F)
ǸȥȍȸȖ+&5VTGGVOCVGȷ+&%KV[UMCVGT፼˺
<Cityskater
䜚␚䜏᫬
()>
<Streetmate/Cityskater>
<Cityskater
⾜᫬()>
<Streetmate
╔ᗙ᫬()>
<Streetmate
஌䜚㐠㌿᫬
()>
(ฟᡤ䠖VW HP/䝥䝺䝇䝸䝸䞊䝇(2018-07-04)௚ྛ✀ሗ㐨㈨ᩱ䜘䜚ᅜ㝿◊సᡂ䠅
図6:フォルクスワーゲンが取り組む新しいモビリティビジネス
TheTRUCK2018年9月号31
ルクスワーゲンはまずは魅力的なハードを開発
し、それをサービスと連携させることによって
新しい世界を切り拓こうとしています。MOIA
のEVシャトルが典型例です。ジュネーブモー
ターショーでStreetmateやCityskaterが発
表されたときには何を狙いにしていたのかが分
かりませんでしたが、ちょい乗りができるス
クーターが借りられることで駅からちょっと離
れた場所に行ける、持ち運びができるスクー
ターを所有することで異なるモビリティサービ
スに乗り換えていく負担をできる限りなくす、
といった新しい価値を提供しようとしていると
感じています。
伊 藤 そもそもフォルクスワーゲンが二輪
車や三輪車を作っていたイメージがないので
すが。
宮 代 その通りです。ヨーロッパメーカーで
はBMWやプジョーはバイクなどの二輪車を
展開していますが、フォルクスワーゲンは四輪
車しか作っていません。だからこそユニークな
車両を提案することができたのだと思います。
サービス提供するライバル企業よりはタイミン
グが一歩遅れますが、ハードウェアで提案する
からこそ、彼らは必ずそこに工夫を一つ二つ加
えてきます。モノで見せることがメーカーとし
ての使命であるという哲学が徹底しているのだ
と感じています。
なぜ日本企業はフォルクスワーゲンの
 ような戦略をとれないのか
伊 藤 宮代さんによるダイムラーとフォルク
スワーゲンの解説を伺うと、ダイムラーのよう
な戦略的な経営スタイルは日本企業にとって
ハードルが高いと感じますが、一方でフォルク
スワーゲンのような“モノ重視”の経営スタイ
ルであれば日本企業もやれそうな気がするので
すが。
宮 代 私もそう思います。フォルクスワーゲ
ンのように実際にハードウェアが作ることがで
きれば自動車メーカーとしてすごく面白いだろ
うと思います。商用車も含めて挑戦できると更
に良いと思います。
伊 藤 それでは実際に
同じようなことができな
いのはなぜなのでしょう
か。
宮 代 セダンとかSUV
とかバスといった今のク
ルマの形からいったん離
れて移動のあり方を問わ
れる機会がほとんどない
からだと思います。ある
状況において自分が移動
するとしたらどういう乗
り物が良いのかというと

μᧈ ዻ঺ܭՃ Ј৑ί˴ủờᵦᵮᵇ
ᡫѮᩓ៻
ᵐᵎᶋ
ᵆᵏᵎɲᵐᵎᵎᶋᵇ
ᵏᵓᵎᵎӸ
ᵆᵏᵎɲᵇ
ʮාி҅ዴ
ᵆᵣᵐᵑᵏᵇ
ᵨᵰிଐஜ
ᡲራᵪᵰᵲ ᵏᵖᶋ ᵖᵎӸ
ἯὊἚἻἲỼἾὅἊ
݈ޛἻỶἚἾὊ
ែዴἢἋ ᵏᵏᶋ ᵖᵎӸ
ᣃփἢἋᵩᵋᵡᵐᵖᵏ
ᣃփἢἋ᝻૰᫾
ἅἱἷἝἘỵἢἋ ᵕᶋ ᵑᵎӸ
ଐ᣼ἯὅἓἹ
ଐ᣼ᐯѣ៻
ἡỶỺὊἋὁἆὅ ᵒᵌᵖᶋ ᵏᵎӸ
ἂἻὅἛἡỶỺὊἋ
ἚἺἑᐯѣ៻
ἑἁἉὊ ᵒᵌᵒᶋ ᵓӸ
ἊἵἣὅἑἁἉὊᵀ҉
ἚἺἑᐯѣ៻
ỼὅἙἰὅἛἉἵἚἽ
ᵆᐯѣᢃ᠃ᵇ
ᵒᶋ ᵏᵎӸ
ᵣᵸᵏᵎᴾᵤᶍᶐᶓᶑᴾᵬᶍᶐᶕᵿᶗ
ᵣᵿᶑᶗᵫᶇᶊᶃᴾᵬᶃᶕᶑ
᠉ᐯѣ៻ ᵑᵌᵒᶋ ᵒӸ
ἒỶἡ἖ᴾἲὊἨᾧ
ἒỶἡ἖
ឬݱ׹ἣὊἏἜἽᵣᵴ
ᵐᵌᵓᶋ ᵏӸ
ἅἲἋᵆɟʴʈụὸ
ἚἺἑ៻˳
ἴἥἼἘỵ἖ὊἽểἇỶἌज़
(ฟᡤ䠖ྛ♫HP䜢ᇶ䛻ᅜ㝿◊సᡂ)
8
図7:様々な乗り物を定員・全長で比較した図
TheTRUCK2018年9月号32
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
ころから検討する機会が与えられればもっと
ユニークな乗り物のコンセプトが出てくるは
ずです。
それから、海外ではウーバーや自転車シェアリ
ングなどの普及によってシェアの概念が常識に
なっていますのでシェアリングサービスを前提
としたマルチモーダルの概念が浸透しています
が、日本では公共交通がものすごく発達して
いるので公共交通がカバーできないエリアに
その他のサービスを“つなぐ”というのが日本
版のモビリティサービスに概念になってしまい
ます。メインが公共交通で、それをつなぐため
の“二次交通”としてのモビリティと位置付け
られてしまうと、そのモビリティが移動の基幹
を担うという概念ではなくなってしまうため、
メーカーとして本気で取り組みにくいのだと思
います。
伊 藤 なるほどですね。やはり交通事情の違
いがハードウェアとしての新しいモビリティへ
の取り組みにも大きく影響しているということ
ですね。
既存の様々な乗り物を比較することで
 新しいモビリティが見えてくる
宮 代 ハードウェアとしてのモビリティを考
えるときに速度とサイズ感から考えることが重
要になってきます。(図7)は当研究所で分析し
た様々な乗り物の比較表ですが、新しいモビリ
ティを検討するときには既存のハードウェアの
比較から始めることが肝要だと考えています。
 まず鉄道から見ていきますと、首都圏のほと
んどの通勤車両の場合は一車両20mが十両編
成で運行しており、一両の定員が150人です
ので一編成で全長200mに1500人程度が乗
車していることになります。同様にLRTの場
合は二両編成で全長18mに定員80名、コミュ
ニティバスは全長7mで30名、そしてパーソ
ナルEVのコムスの場合は全長2.5mで1名
となります。
 通勤電車の代表格である山手線の場合は3
分ごとに1500人を輸送していますので、こ
れを他のモビリティに
置き換えるとすると、
コミュニティバスの場
合は50台のバスで輸
送することになり、3
分÷50台=3.6秒ご
とに乗降してもらうこ
とが必要となります。
(図8)自動運転ミニバ
スの場合は定員10名で
すから150台となり、
コミュニティバスの1
/3の時間の1.2秒ご
とに乗降が必要です。
コムスに至っては仮に
二人乗りが可能になっ

ἴἥἼἘỵ἖ὊἽểἇỶἌज़
9
(෗┿ฟᡤ䠖ᒣᡭ⥺E235-JRHP䚸᪥㔝䝫䞁䝏䝵䞊᪥㔝HPEZ10-DeNAAutomotive HP䚸䝁䝮䝇2ே஌䜚-Ha:moHP
ᩥ䠖ᅜ㝿⤒῭◊✲ᡤసᡂ)
ᡫѮᩓ៻ᾉᵏዻ঺ίᵐᵎᵎᶋᵇ
ᾂЎ൑ỆẆᾀᵊᾄ὿὿ʴử᠞ᡛ
ἅἱἷἝἘỵἢἋ
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ᵏᵓᵎӨᵆᵔᵎᵎᶋᵇ
ᵐʴʈụឬݱ׹ Ὸ󰜌 ῰῕
ᵕᵓᵎӨᵆᵏᵌᵖᴾᶉᶋᵇ
ᾋᾀӨỉʈᨀỆᚩẰủỦ଺᧓ᾍ
ኖᾂᅺ
ኖᾀᅺ
ኖᵎᵌᵐᵒᅺ
˂ỉ἖ὊἽỆፗẨ੭ảỦỆỊὉὉὉ
図8:鉄道を他の乗り物に置き換えると
TheTRUCK2018年9月号33
ても750台が必要となり、0.24秒ごとの乗
降が必要です。しかも750台が連なると車間
距離がゼロでも1.8㎞になりますので鉄道の駅
間を超えてしまいます。(例えば山手線の駅間の
場合は0.5㎞〜2.2㎞)
 このように比較していくと、東京のように
大量の人員を輸送しなければならない路線を
小型のモビリティで代替することは難しいこ
とが分かります。したがって、東京のような
場所で新しいモビリティの活躍の場を作るに
は大量輸送している人員を少しずつ分散化す
るようなことを考える必要があります。一編
成1500人の大半が乗降するような駅の場合
は車両よりも駅側がパンクしかねないので、
その乗降客を前後の駅で3分割して400人ず
つ降りてもらってコミュニティバスや自動運
転バスなどで輸送すればひょっとすると混雑
解消につながるモビリティサービスが提供で
きるかもしれません。
伊 藤 車両の輸送力と乗降時間という目線で
様々なモビリティを比較するというのは非常に
面白いですね。鉄道が運休するとタクシー乗り
場に長蛇の列ができる理由も良くわかります。
宮 代 日本でモビリティサービスを検討す
る場合には、大量輸送を可能としている鉄道
の良さを前提にして、かなり突っ込んで検討
していかないと解は見えてこないように思い
ます。例えば、新宿のように混雑する鉄道の
乗換駅に代替となるバス路線を敷設してもか
えって乗り降りに時間がかかって解決策にな
りません。乗降客の少ない一駅前で降りても
らって別の駅に輸送するのであれば解決にな
るかもしれませんが、そのためには可能性の
ある輸送ルートや輸送手段を乗客のニーズと
最適に組み合わせられるような実験を重ねて
いくことが必要となります。パーソナルモビ
リティから路線バス程度の車両まで様々なバ
リエーションの車両を用意して、顧客ニーズ
と合致する路線や頻度を見つけていくという
試行錯誤を繰り返すことが必要でしょう。も
し、日本で最適解が得られるソリューション
が開発できれば、おそらく世界のどこに持っ
て行っても使えるもの
になると思います。
伊 藤 仰っている発
想はインターネットの
ようなネットワークシ
ステムと似たような概
念ですね。ハードウェ
アにもシステムにも柔
軟性を持たせておくこ
とで、輸送量の変化に
合わせて柔軟に対応が
できる強靭なシステム
ができればこれまでの
都市交通のあり方を大
きく変えられる可能性

ޛӝࠊʩᡫ˳ኒᙸႺẲଐࠝỉᆆѣ৖െ
10
(ฟᡤ䠖ᒣཱྀᕷබඹ஺㏻䛻㛵䛩䜛ᕷẸ䜰䞁䜿䞊䝖ㄪᰝ(ᖹᡂ2810)
図9:山口市における市民アンケート調査
TheTRUCK2018年9月号34
があります。ただ、実際に実現しようとすると
規制の問題や既存サービスの既得権益の問題を
乗り越えていく必要がありますね。例えば、午
前中にバスの運転手だった人が午後からタク
シーを運転することは認められていません。
宮 代 ウーバーのようなサービスは点と点を
直接結ぶ際には最適かもしれませんが、東京の
ように大量の乗客が大量輸送機関によって移動
するような場所では最適解にはなりえません。
むしろ渋滞を増やす結果になりかねないと思い
ます。日本では、個の移動を制限し、乗合を活
かしたほうが全体としての乗客の満足度は上が
るのではないかと思っています。
 実際に様々な乗合の組み合わせを実証してい
くようになると、今の社会システムのままでは
色々と不都合が発生すると思います。理想的に
は運転者も車両もサービス事業者ももう少し自
由に役割を変えられるようにしたほうが様々な
都市の特性に対して最適な解決策をもたらせる
ように思います。
伊 藤 車両について
もトヨタ自動車が発表
したe-paletteのよう
に乗客も荷物も運べる
ほうが最適解をもたら
せるような気がしま
す。朝夕は乗客の輸送
ニーズが高いですが、
出勤・登校してしまえ
ばそこからは乗客より
も荷物を運ぶニーズが
高まるように思います。
宮 代 仰る通りです
ね。石田先生も仰っ
ていますが、貨客混載
を本気で進めるのであればバスに荷物を積
むよりも宅配車で乗客を運ぶほうが確実に
サービスとしての満足度は上がると思いま
す。スイスでは郵便車が人も運んでいます
し、イギリスでもスコットランド地方では
郵便車がバスにもなっていて人が乗れるよ
うになっています。
お金に転換していない移動を顕在化
 させることで新サービスが見えてくる
宮 代 先日、たまたま山口県で講演する機会
があったのですが、山口市における住民の日常
の移動手段のアンケート結果(図9)を見ていた
らとても興味深いことに気づきました。買い物
や通院はほとんどの方が自動車で行っているの
ですが、大半の方がご自身で運転しているもの
の、友人や家族に連れて行ってもらっている
ケースが10%を超えていたのです。このアン
ケートをとったのが2年前ですので、高齢化
が進んで免許返納率が高まるとあっという間に
2割を超えてしまうと思います。
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪

TheTRUCK2018年9月号35
 しかし、モビリティサービスの観点で見る
と、これは潜在的なサービス化の可能性があ
るということを意味します。現在は家族や友
人が自分の時間を使って無償で送迎している
のですが、そこにショッピングセンターの無
料送迎サービスや介護施設の送迎サービスな
どを組み合わせていき、空席だらけの路線
バスと融合させていくと、様々な輸送ニーズ
に合わせて柔軟に対応する新たなモビリティ
サービスの可能性が見えてきます。そうやっ
て顕在化していない移動の負担を見える化
し、束ねていくことができれば、送迎してい
た人は移動に使っていた時間を働く時間や子
供を育てる時間に振り替えることができるか
もしれません。今では同じような課題を日本
全国が抱えているように思います。
伊 藤 冒頭では、ヨーロッパやアメリカの
都市において、貧困層が移動の自由を持って
いないことが、スラム街など都市の影の部分
を生んできたという話がありましたが、その
話をこれからの日本に置き換えると、高齢者
のように自分で移動することが困難な人達が
増えていくと、地域の影の部分が増えていき
全体として社会不安に繋がるような気がして
なりません。
宮 代 高齢者の問題が移民のような低所得層
と違うのは、高齢者は声をあげない可能性があ
るということです。つまり行動に移せないとい
うことです。低所得者層の場合は不満がたまる
と犯罪行為や暴動などにつながりやすくなりま
すが、高齢者の場合は不満が顕在化しないまま
本人や家族がちょっとずつ不幸になっていくと
いうことになりかねません。
 したがって、運転手の時間給よりも安いコス
トで使うことができるモビリティサービスが
あって、差額を地域コミュニティや家族が負担
することができれば、多くの人にとって意味の
ある解決策になると思います。また、利用者に
とってもお金を払えばサービスが利用できると
いう感覚になれば、送迎してもらう後ろめたさ
はなくなり、趣味やスポーツや友人との交流の
ために積極的に家を出ようという気になると思
います。そうやって、地域内の交流を活発にし
て人の移動が活性化すれば、健康寿命の維持に
もつながります。
 実は個人的見解として、モビリティカンパ
ニーになるということはそういうことだと考
えています。少子高齢化が進むと家族が支え
あう“自助”では限界があります。また、医療
費や介護保険料が急増している中で公的機関
による支援としての“公助”も限界を迎えつつ
あります。そうなると最後に残るのは地域住
民同士で支えあう“互助”しかありません。
そういう互助の仕組みも含めて地域コミュニ
ティを維持していくための取り組みを企業が
支えることができれば、地域の維持発展とと
もにビジネスも維持発展できると考えていま
す。そこには確実に移動のニーズも含まれる
はずですが、それ以外のニーズにも対応して
いくことが求められます。
伊 藤 宮代さんの仰る通りと思いますが、こ
ういう話を自動車業界の人にすると自分たちの
やるべきことではないと思われる方が大半であ
るように思います。互助までは考えなくても良
いですが、少なくとも四輪車に閉じることな
く、都市交通のあり方や新しいモビリティや
サービスの可能性などを一旦ゼロベースで考え
ていくことは求められると思います。豊田章男
社長が仰っているモビリティカンパニーになっ
ていくためには何が求められるのかをお話しい
ただけないでしょうか。

TheTRUCK2018年9月号36
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
モビリティカンパニーになるとは
 どういうことか
宮 代 これもまた個人的な見解となります
が、まずは移動の形が新たに問われている中
で、クルマをどうしていくのかを考えていくこ
とではないでしょうか。これまでは商用車と乗
用車、タクシーとバスなどをきっちりと住み分
けて、それぞれがお互いの領域を侵さないよう
に取り組んできたのですが、乗合などが増えて
いってタクシーとバスの境目が分からなくな
り、貨客混載によってトラックとバスの境界が
無くなっていき、自家用車が乗合などにも使わ
れるようになると、もう一度移動のあり方とそ
れに適した手段という視点からものづくりを考
えなければならないと思います。そういう視点
に立てばフォルクスワーゲンのように二輪車に
も自然に取り組むようになるでしょう。
 必ずしも二輪車にこだわっているわけではな
いので、コムスのようなパーソナルEVでも構
わないのですが、乗り物を見ただけでどういう
シーンでどういう使い方をするのかが分かるこ
とが大切になります。先ほど述べたフォルクス
ワーゲンの電動スクーターの場合は乗り方のイ
メージ画像を見ただけで使い方のシーンがイ
メージできます。Cityskaterの場合は電車に
持ち込めるなと思えるわけです。トヨタ自動車
がモビリティカンパニーになるときにはものづ
くりの会社として絶対にモノから離れて考えて
はいけないと思います。
 モノは必ずサービスとセットになっていきま
すが、サービスまでを全て自社でやろうとしな
くても良く、むしろそこは得意な会社に任せた
ほうが良いと思います。また、コネクティッド
が当たり前になっていくと、移動に関する情報
は常にデータとして入ってきますので、乗り物
のソフトウェアは随時アップデートが求められ
ますし、ハードウェアの形そのものもどんどん
変えられるようになっていくと考えています。
そうなるとこれまでのように一度のモデルチェ
ンジをしたら、7年間はずっと変わらないと
いったことでは通用しなくなっていくのではな
いでしょうか。トラックでいう架装と近い世界
になっていくように思います。
伊 藤 トラックの場合はメーカーがベースと
なる車体を提供して、架装メーカーがそれをダ
ンプカーや冷凍車にするといった形でユーザー
のニーズにマッチした車両にカスタマイズして
いきますが、そういうカスタマイズが進むとい
うことでしょうか。
宮 代 ユーザーの意向に応じてハードウェ
ア自体をある程度柔軟に変えられるように
なっていくと思います。そういう取り組みを
既に始めているのがドイツのアーヘン工科大
学発で生まれたStreetScooterというベン
チャー企業です。
 ドイツの宅配事業者であるDHL・ドイツポ
ストでは日本と同様にアマゾンの宅配便の増
加に困っています。しかし、ドイツで使われ
ている宅配用のバンには後部車輪を格納して
いるホイールアーチが荷室に出ているため、
荷室を段ボールで埋めることができずに無駄
な空間が残ってしまいます。そこで、荷室を
全て段ボールで満たせるバンを開発してほし
いと大手自動車メーカーに頼んだそうなので
すが、どこも作ってくれなかったことからベ
ンチャー企業であるStreetScooterに依頼し
たのだそうです。
 DHL・ドイツポストからの依頼がきかっけ
となり、StreetScooterは様々なユーザー
ニーズに応えた車両を開発するようになって
います。宅配向けに開発した車両の派生形と
して開発したゴミ収集車、パン屋さんからの
リクエストを受けてパンのラックをそのまま

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図10:ユーザーニーズに応じた車両を開発するStreetScooter社
TheTRUCK2018年9月号37
搭載できるようにするためにタイヤを小さく
して床を下げることでスロープを緩くしたト
ラックなど、様々な車両を開発しています。
(図10)
伊 藤 StreetScooterの事例もそうです
が、前述のフォルクスワーゲンのMOIAなど
を見ていると、トラックの世界で普通にやって
きたことがトラックよりも小さな車両や乗用車
などで起き始めているということですね。
宮 代 都市におけるモビリティサービスの事
例と共通していますが、特定の地域の特定の
ユーザーニーズに合致する車両を開発したら、
実はその車両を他の地域や他のユーザーにも販
売できるといった可能性が出始めています。し
たがって、商用車と乗用車の境目もいったん取
り払って商用車の良いところを取り込んで乗用
車を作ったらどうなるかといった発想を持つこ
とが重要です。
伊 藤 グローバリ
ゼーションや標準化
に慣れすぎたために日
本企業は全体最適な一
般解を最初から求めよ
うとする傾向が強いで
すが、むしろ個別最適
な特殊解を出すとこ
ろから始めたほうが一
般解に近づきやすい時
代に入っていると思い
ます。ハーバード大学
のオンライン交換日記
のようなところから始
まったFacebookが
世界的企業になったこ
とがその代表例です。
 これから電気自動車が増えていけば、エンジ
ンと違ってパワートレインの配置の自由度がは
るかに高まりますので、特殊解を出しやすく
なっていくと思います。ただし、複数の特殊解
に対応しようとすると個別対応が増えていきま
すので、パソコンのOSのように共通部分を設
け、その上にアプリや周辺機器のようなユー
ザーニーズに応じたカスタマイズ部分を設ける
方向になっていくのだと思います。
宮 代 先ほど申し上げた通り、日本には潜在
的に乗合のニーズが高いので、乗合を前提とし
た乗り物を日本発で提案するチャンスはものす
ごく多いと考えています。フォルクスワーゲン
のMOIAはクラフターというバンをベースに
オンデマンドEVシャトルを開発しましたが、
彼らのようにタブーを設けずに様々な乗り物の
可能性を追求していくことができれば、きっと
日本の強みが活かせると思います。曖昧さを活
かすというところに日本人の特長があるので、
規制も含めて曖昧さが少ないと魅力的な提案が

TheTRUCK2018年9月号38
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界⑪
生まれてこなくなってしまいます。
伊 藤 日本では過当競争が行き過ぎていて、
どの街に行っても同じような表情ですし、メー
カーもライバル社のヒット商品に追いつけ追い
越せとやるので似通った商品になりがちです。
しかし、曖昧さを活かす社会システムにするこ
とでむしろ街やモノやサービスにおいてそれぞ
れの特長を活かすような方向にもっていきたい
ところですね。
 世界の動きが非常にスピーディーなので急ぐ
必要がありますが、海外の事例から学ぶだけで
なく、日本の先進的な事例を海外にどんどん紹
介できるようにしていきたいものですね。本日
はどうもありがとうございました。
(略歴)
宮代陽之(みやだい はるゆき)
1983年工販合併後の第一期生としてトヨタ自動
車入社
以降、主に海外畑を中心に、法務・渉外・広報・
営業・事業企画を渡り歩く。一時的に人事部門も
経験。
海外経験は、米国留学(2年間)、欧州本社(TME
の前身)5年間、トルコ工場(1年強)など
2008年夏より国際経済研究所にて勤務
調査研究分野は、中東・アフリカ地域の経済・政
治・イスラム分析から始まり、近年は、「モビリティ
と社会システム」をテーマに「都市と交通」「電動
化」「自動運転・モビリティサービス」「スマートシ
ティとエネルギー」などに関心対象を拡げる

5台積󱜵車両運搬車
(扉󱞜󱝩車両、󱞝󱝍󱝰󱝓󱞣車対応OP装着車)
5台積󱜵車両運搬車
(扉󱞜󱝩、側方󱞅󱝖󱝍󱝝󱞚󱞅󱝸荷役対応低枠型)
小型󱞉󱝍󱝩軽自動車3台積󱜵車両運搬車
大型3台積󱜵車両運搬車
(󱞝󱝍󱝰󱝓󱞣車対応󱝡󱝍󱝸装着車)
4t、5.5t󱞉󱝍󱝩2台積󱜵車両運搬車
(󱝗󱞇󱝧󱞗󱞣装着車)
小型󱞉󱝍󱝩2台積󱜵運搬車
(後柱昇降式、WB延長改造車)
小型󱞉󱝍󱝩2台積󱜵運搬車
(󱝙󱝍󱞌󱝍󱝑OP)
5台積載車両運搬車
(F󱝨󱞓󱝳󱝛󱝏󱝳󱞇仕様OP装着車)
素早い対応 徹底追求
お客様の信頼のために最高の品質を
本   社 〒136ー0071 東京都江東区亀戸1丁目7番3号 パークノヴァ亀戸20
TEL03ー3683ー0391(代表)FAX03ー3636ー1105
八千代工場 〒276ー0004 千葉県八千代市島田台815番地
TEL047ー488ー2511(代表)FAX047ー488ー2514
http://www.hosoyashatai.co.jp/
詳しい情報はウエブで検索

特殊車・特装車メーカー研究
ゴールドホファ社の本社事務棟外観
ゴールドホファ社の本社工場外観(部分)
前面道路の先にはスーパーマーケットなども立地している
超・大型貨物輸送車と
空港の地上機材に特化
 ドイツの商都・フランクフルト市から南南東におよそ
250㎞の地点に古く美しい地方小都市のメミンゲン市
が位置している。その中心部からおよそ2.5㎞の郊外
に目指すGOLDHOFERゴールドホファ社はあった。
わが国風に言えば郊外の商工業団地の一角である。
 わが国では生産されていない特殊用途車に特化し
た製品を世に送り出している当社は、この地で1705
年に農機具を作る家業としてゴールドホファ氏が鍛冶
屋を開業したという。以来、農具メーカーとしてめん
めんと、かつ着実に実績を重ねてきたが、1942年
にいわばリヤカーのような自動車でけん引する簡単な
農業用トレーラの製品化を行う。それからの発展は急
ピッチで、1962年に今日の主力製品であるモジュー
ル式のトレーラの先駆けとなる製品を世に送り出した。
8月号で紹介した特大重量貨物(超大型変圧器)の輸送に供された
油圧駆動の多軸車は、ドイツに本社工場があるゴールドホファ社
から日立物流に納入された「特大重量物用運搬車」だ。この製造
企業を現地に訪ね取材した。
文と写真 
西襄二
TheTRUCK2018年9月号40

SCHOPFショプフ社の大型旅客機にも対応するプル/プッシュトラクタの例(G)
主要製品のトレーラ、HDMに用いられるタイヤはここに展示されている
5種に絞られている(詳細省略)。人物は左がエリヒ・トラウブ氏(広報
担当)、右がミヒャエル・フェネバーグ氏(営業技術担当)
 1975年には超大型トレーラの製品化に成功
し、1989年に油圧駆動のモジュールの製品化の
先駆けを行っている。これが電子制御の高度な活
用で100台単位の連結状態での進路と駆動力制
御を可能として今日に至っている。このグループ
の製品はドイツ語では〝シュヴァーラストモデュール
Schwerlastmodule〟、英語では〝HeavyDuty
Module〟、略してHDMと称している。この分野で
は、2012年に積載重量500トン級まで大型化が進
んでいる。
 永く家族経営で個人企業として発展してきたが、
2000年に株式会社に改組した後、2013年には空
港の地上作業支援機材(GroundSupportEquip-
ment:GSE)の総合メーカーであるSCHOPFショ
プフ社をM&Aにより傘下に取得して2大事業部門
を活動基盤とした。
 2017年に持ち株会社を設立し現業を担当するゴー
ルドホファ社とショプフ社がその下に位置し、ゴールド
ホファ社の下にゴールドホファ・アメリカ社を従える体
制としている。日本にもゴールドホファ・日本社を置
いて営業・サービス全般を担当している。
 ショプフ社はシュッツガルト市に近いバーデンビュル
テンバーグに所在しているので今回の取材対象からは
外した。以下はゴールドホファ社の現況である。
納入先の諸要望
きめ細かに対応
 ゴールドホファ部門の本社工場敷地は100K㎡(東
京ドーム2.13個)、従業員は約620名(平均年齢
は35才から40才の間との説明)、直近決算(2017
年7月期)では売上高が190Mユーロ/年(1ユーロ
130円換算で247億円/年)だという。利益につい
ては取材時に公表しなかったが、総じて中規模ながら
高収益な企業という印象を受けた。高度な技術力が
外では真似ができない独自製品を生み出して業績を伸
ばしているといえよう。
 わが国への導入では日本通運、電材ロジスティク
ス、宇徳運輸などが先行し、今回の日立物流への納
入は最新の動きである。サービス面では納入先の要
TheTRUCK2018年9月号41

世界の特装車研究
目下需要が伸びている超大貨物(この場合は風力発電用ブレードの一部)用トレーラ台車(G)
超大ブレードは回転軸への取り付け部分でしか支持出来ないので、このような大きなアタッチメトを必要
とする
員をドイツに招いて訓練し、必要に応じてドイツから
サービスエンジニアを派遣しているという。勿論サー
ビス部品は円滑な運用を支える重要な部分で、滞りな
く供給されている。
 今回の取材時には納入出荷待ちの製品を相当台数
を見たわけだが、対応してくれた広報部門のエリッヒ・
トラウブ、営業技術のミヒャエル・フェネバーグの両
氏の説明を要約すると、目下、伸び代の大きい製品
は風力発電関係機材の運送であるという。こうした背
景により生産能力の拡大を計画中でもあるという。
 大きな堅造物の場合、現場での組み立て作業を可
能な限り絞り込んで工場等で予め組み立てて工期を
短縮することが求められるようになっている。超大・
重量物輸送の重要はまだまだ伸びるであろう。
〈お断り:一部の(G)を付した写真はゴールドホファ
社の提供による〉
TheTRUCK2018年9月号42

Rの小さい道路で倒して積載しては曲がれない場所ではこのように大きく仰角をつけて周囲との干渉を回避する(G)
超大貨物の幅方向のはみ出しに備えたエクステンションバーも内蔵され
ている
グーネック部分にも通常のセミトレには見られない配管と配線が組み込ま
れている
一見、多軸ながら一般的セミトレーラに見えるが、セミトラクタからの油圧供給でステアリングと治陸駆動機能が搭載されている
TheTRUCK2018年9月号43

特殊車・特装車メーカー研究
ブレーキ系統はWABCO製品によるが、一般道路を走行する際
のEBS機能はトレーラ側のステア機能を使用する場合はカップリ
グの接続変更で機能を殺す。その他の細かい仕様については紙
幅の関係で省略するので読者の皆さんで読み解いて頂きたい
こちらのトレーラはHDMに近い諸機能を搭載している。複輪単位でステア機能を持つ
中央に見える5連の装置は〝LashCouplingラッシュカプリング〟と言って各種のアタッチメトの搭載に利用される
TheTRUCK2018年9月号
44

カップリングの配列も美的に見える
アクスルはBPW製のほか、GIGANT製も指定により採用される  走行速度によって積載重量に格差が設けられている
ラッシュカップリングを近くみる
フルトレ式の組み合わせも要望によって仕上げられる
TheTRUCK2018年9月号45

特殊車・特装車メーカー研究
出荷を待つ製品群
こうした単純な高所作業台車も要望で対応する
HDMの動力源はこうしたパワーモジュール
PMが組み合わされる
(本稿おわり)
TheTRUCK2018年9月号46

完成したモバイルモスクカー1号車。左が企画したYASUPROJECTの井上康治社長、右が開発したオオシマ自工の
秋元徹郎社長
TheTRUCK2018年9月号48
 2020東京オリンピック・パラリンピック開幕まで後2年となった7月
23日、愛知県豊田市の豊田スタジアムには、内外の報道関係者約300名
が出席して、珍しい『モバイルモスクカー』の発表に驚嘆した。この『モバイル
モスクカー』は、世界三大宗教のひとつであるイスラム教徒の人達が来日
した際に、“おもてなし”としてお祈りの場を提供する目的で株式会社
YASUPROJECT(東京・銀座、井上康治社長)が企画、オオシマ自工
株式会社(山口県柳井市、秋元徹郎社長)が製作したもの。
世界初『モバイルモスクカー』が完成
全世界に報道されて話題沸騰
W
杯やオリンピックで
ムスリムをおもてなし
世界初『モバイルモスクカー』

モバイルモスクカーの走行姿勢
数分で拡幅完了。50㎡近いスペースが出現する
TheTRUCK2018年9月号49
 日本にはイスラム教徒が少ないのでお祈りをするモ
スクが少ないが、2年後に開催する東京オリンピック
パラリンピックでは、大勢のムスリム(イスラム教徒)
が来日する。しかし、1日5回のお祈りを習慣にして
いるムスリムにとっては、モスクの極めて少ない日本
は、居心地が悪いに違いない。また、ISのイメージ
があるのでイスラム教に対する間違った解釈をしてい
る人も多い。そこで、モバイルモスクカーで、来日
するムスリムを暖かく迎え入れることで、イスラム教
に対する偏見を払拭して世界平和に貢献することが主
な狙い。
 ムスリムはお祈りする時間は概ね決まっていること
と、事前に手足を洗うなどの作法があるほか、男女
が同じ場所でお祈りすることもない。
 これらの条件を事前に調査したところ、短時間に大
勢のムスリムが使用できるようにする為には、広い空
間が必要となる為、ベース車両は大型低床3軸車(日
野プロフィア)とし、室内は50名程度が同時にお祈
りできる広さが必要となることから、左右拡幅式ボデー
を新たに開発する必要があることや真夏の使用を考慮
して、空調を装備する必要も生じてきた。
 オオシマ自工は電動式リフトウイング、水平式脱着
ボデー、ドラム缶積載車など物流車両のほか、移動
式の理美容車、店舗車、商品展示車等で拡幅車両
の製作が豊富であることから、『モバイルモスクカー』
の開発に着手、油圧シリンダーにより、折り畳んだ床
を水平にすると同時にボテーも左右に拡幅する新方式
を考案した。これによって、幅約2.5mの荷台は約6
mに広がり、約50㎡の部屋を創出、自動格納式階
段も備えているので、ムスリム50名以上が同時に短
時間でお祈りすることが可能となった。

テープカットで報道発表がスタート。中央が小幡鋹伸名誉顧問、右隣が横路(本誌)
大村秀章愛知県知事
八木哲也衆議院
太田稔彦豊田市長
小幡鋹伸名誉顧問
TheTRUCK2018年9月号50
世界初『モバイルモスクカー』

モバイルモスクカーの構造断面図
後部はひさしと階段が自動でセッされる
モバイルモスクについて井上社長と懇談する元プロ野球選手
の山崎武司氏(中央)と自動車評論家の国沢光宏氏(右)
スマトラ沖地震で被災した子供たちを支援しているチームミライ
ズが招待したインドネシアの学生や社会人。
拡幅時ボデー断面
走行時ボデー断面
TheTRUCK2018年9月号51
 室内は4機のエアコンを備えているので季節に関
係なく使える事、車体は前後4本のアウトリガによっ
て常に水平を保つことが出来るほか、左右どちらに集
中荷重がかかってもバランスを保つことができる。
 また、この『モバイルモスクカー』の大きな特徴は、
目的場所に到着後、数分で拡幅を完了することが可
能なので、あらゆる現場でスピーディに対応すること
が出来る。
 7月23日、豊田スタジアムでの発表会には、日
本の報道関係者の他に、海外メディアにも呼び掛け
た事から、国際色豊かな発表イベントになった。また
豊田スタジアム前社長で株式会社メイダイの創業者で
もある小幡鋹伸会長のご助力を頂いた事から地元から
大村秀章愛知県知事、太田稔彦豊田市市長、八木
哲也衆議院議員のほか、世界各国の大使館関係者の
出席もあって大いに盛り上がった。
 この『モバイルモスクカー』を企画したモバイルモス

モバイルモスクの室内で礼拝を開始
空調の利いた広いお祈りスペースにビックリの大村愛知県知事(左)
小幡名誉顧問(右)
モバイルモスクを称えるレバノン大使館関係者
TheTRUCK2018年9月号52
クプロジェクト実行委員長の井上康治社長は挨拶の中
で次のように述べた。
「世界には多くのイスラム教徒の皆様が活躍してお
られる。皆様が様々なシーンで礼拝をスムースに行う
ためには移動式の礼拝施設が必要だと考えて、大型
世界初『モバイルモスクカー』

報道発表会も盛大に終わって小幡鋹伸名誉顧問による乾杯
お礼を述べる井上社長(中央)と秋元徹郎社長。右はオオシマ自工の秋元大介取締役営業本部長
TheTRUCK2018年9月号53
トラックでのモバイルモスクカーを計画した。実現に
当たっては、コンサルの立場で助言頂いた日新の横
路社長、製作に当たったオオシマ自工の秋元社長の
献身的なご支援があった。また、海外への理解と協
力のために、政府関係者をはじめ多くの皆様のご助
力があり、この一号車の報道発表となった。心から感
謝している。2019年には日本でラグビーW杯が開
催され、2020年には東京オリンピック・パラリンピッ
クが開催され、多くのイスラム教徒が来日する。また、
このモバイルモスクカーは既に海外でも注目されてい
る。私はこのモバイルモスクカーが世界平和に貢献
すると確信している。
 7月23日、豊田スタジアムでの報道発表は、テー
プカットのオープニングセレモニーのあと、モバイル
モスクの具体的な説明とムスリムによる使用体験、来
賓挨拶などがステージカーを活用して行われた。
 このモバイルモスクカーについては、国内の新聞・
テレビが大きく報道したほか、世界でも200局以上
が取り上げた事から、海外からも多くの引き合いを得
ている。
 また、このモバイルモスクカーは、空調の効いた
広い室内を短時間で実現出来ることから、多目的な
用途の拡大も見込まれている。
(秋林路)

TheTRUCK2018年9月号54
続々と実用化へ向けて開発される新エネルギー車。
EV(電動トラック)やFC(FuelCell水素燃料電池トラック)など‥‥
▼ 三菱ふそう「e̶キャンター」試験導入されたヤマト宅急便仕様。
  ドライバン/冷凍バン/パワーゲートの3仕様が関東地域に配備。モーター135kw、
                    バッテリー66kwh、100㎞走行/1充電。

TheTRUCK2018年9月号55
石野 潔
◀左の絵は来年から実証実験予定の
「トヨタFC3トントラック」
 水素7㎏搭載/200㎞走行、基本パワートレインは「MIRAI」を流
用し強化。動力・冷蔵/冷凍ユニットの電源をFC化、太陽光発電
/FC発電機と組み合わせたエネルギーマネジメントシステム導入意
図。コンビニ店舗に水素ステーション併設。
▼ 下の左絵は17年秋に・ヤマト運輸・セブンイレブンにそれぞれ25台納
  入された量産ふそう
「eーキャンター」
▼ 下の右絵は13年春にヤマト運輸に実証運行提供された
 「日野/トヨタ低床EV冷凍集配車」
 長い開発の歴史があるEVを始め、新エネルギー車は街を行き
交う商業車で以外と早く実用化して行きそうだ
新世代のトラック‥‥新エネルギー車は各社によってエネルギー源は異なり最新で
は三菱ふそうがキャンターEVを実用化し、トヨタのFC技術は北米の試験車や国内
路線バスに続き3トントラックを実用化を前提に公開した
 新エネルギー車は配送や物流,店舗や工場の省エネやCO
排出削減とともに充
填充電インフラ設置が課題。新エネルギー車の開発〜実用化は車両メーカーのみ
の単独開発から物流業者や流通小売業者等大手荷主顧客と協業開発しハード・ソフ
ト両面からの確実な新たな事業開発のやり方へ舵を切ってきている。一方、物流を
動かす現場の人手対応は事業開発の大きなニーズを迫られているロボットやドロー
ンは現場では未だ夢の世界である。

TheTRUCK2018年9月号56
▼ VOLVO・FLELCTRICAL 中型FLベースの電動冷凍車
           GVW16tde他にゴミ収集車も用意。185kwモーター、
           100〜300kwhバッテリー、最大300㎞走行/1充電。

TheTRUCK2018年9月号57
▲MANはe-Mobility計画に沿って前回はGTSベースのEVトラクターを出展、
今回は6つの物流企業のパートナー実証試験を受ける車両を出展予定。
◀左の絵 
「DAFCFELECTRICTRUCK」
 今年の5月に発表されたオランダトラックメーカー(パッカー
グループ)DAF社の都市及び近郊走行向け電動トラクタ
レーラー。ベースは中距離向け
CFトラクター
。オラン
ダの商用車電化研究グループの
「VDL社」
の協業サポー
トによる。GVW9.7t、GCW40t可能、210kwモーター、
170kwhバッテリー、200㎞走行/1充電。(トレーラーは
2軸シングルタイヤ)
▼ 下の左絵は今春に発表された
「VOLVOFL中型電動冷凍トラック」
▼ 下の右絵は18年実証実験の
「MANeTRUCK」
  MANGVW18〜26tの大型GTMがベース。250kwのモー
ター、120〜250kwhバッテリー、最大250㎞走行/
1充電。
 今秋は「ハノーバー商業車ショーIAA2018」
開催年である。
欧州では2010年頃から「RenaultEV」などショーモデルとして出展
されてきたEV電動トラックだが、ここ数回のIAAでは「Mercedes
BENZ」が中型〜大型トラックでの電動化プロモーションの攻勢をかけ
てきている。今年のショーでも下図の「EV電動化トラック」を始め数々
出展されるであろう。

TheTRUCK2018年9月号58
 トヨタ自動車㈱はかねてより、水素を将来の有力な
エネルギーと位置付け、水素社会実現に向けた取り
組みを続けている。米国カリフォルニア州において
は、ファーストエレメント・フューエル(FirstElement
Fuel)社のステーション運営を資金面で支援してい
るほか、ロイヤル・ダッチ・シェル(RoyalDutch
Shell)社とは水素ステーション網の拡充に向けた協
力を進めている。また、日本ではすでに東京都で
FCバスの販売を開始しており、今後2020年の東
京オリンピック・パラリンピックまでに、東京都を中
心に100台以上のFCバスの導入を予定している。
トヨタFC大型商用トラック改
大気汚染対策へのさらなる貢献を目指す米国カリフ
次世代自動車◇ニュース

TheTRUCK2018年9月号59
さらに、トヨタグループとしては、FCフォークリフト
など燃料電池の幅広い応用を含めた技術開発・商品
展開を推進しており、水素社会の実現に向けてのさ
らなる取り組みを進めている。
 その関連で、燃料電池(FC)大型商用トラックの実
証実験を2017年夏から米国カリフォルニア州で行っ
ている。このたび、同実証実験で大きな動きがあっ
たので本号で紹介することにした。
 トヨタの北米事業体であるToyotaMotorNorth
America,Inc.(TMNA)は、現地30日(米国時
間:2018年07月30日)、米国の研究機関であ
るCenterforAutomotiveResearch(自動車産
業の課題や米国経済への自動車産業の影響などを研
究・分析する独立機関)が主催するイベントにおい
て、航続距離や居住性を向上させたFC大型商用ト
ラックの改良型を公開した。TMNAは、昨年夏から
カリフォルニア州で行っている実証実験に、今秋より
今回発表した改良型が追加導入することになる。
 同実証実験は、トヨタの物流施設から排出される
CO
をゼロにすることを目標とした『トヨタ環境チャレ
ンジ2050』の取り組みの一環で、1台目の実験車
は実際に港湾エリアの貨物輸送を行い、これまでに
良型を追加投入
ォルニア州の実証実験を拡充

「MIRAI」のFCスタック2基を搭載したFC大型商用トラックの心臓部。2号車は、FCユニットの配置を工夫するなどの改造が行われている
TheTRUCK2018年9月号60
約16,000㎞を走行している。
 今回の改良型は、これまでの実証実験で得た様々
な結果を活かし開発が進られてきた車両である。具
体的には、居住性と操縦性を向上させる取り組みと
して、運転席のスペースに簡易ベッドを備えたスリー
パーキャブを採用したほか、FCユニットの配置を工
夫し、ホイールベースを延長することなく先代より広
い車内空間を確保している。また、水素タンクの本
数を4本から6本に増やし、通常走行における満充
填時の推定航続距離を約320㎞から約480㎞に伸
長させている。
 同プロジェクトのアンドリュー・ランド(Andrew
Lund)チーフ・エンジニアは、「私たちは、テストコー
スやロサンゼルス市の公道でFC大型商用トラックの
性能を評価することにより、トラックの組立工程や車
両性能の改善点をリストアップしてきました。改良型
の開発においては、実験車としての性能を向上させ
るだけでなく、実用化も視野に入れる必要があったの
です」と語っている。
 現在、ロングビーチ港やロサンゼルス港では環境
負荷の高い16,000台以上の貨物輸送トラックが走
行しており、その数は2030年までに約32,000台
に増加すると推定されている。また米国全体では、
43,000台以上の貨物輸送トラックが大気汚染物質
を排出しながら港湾エリアを行き来しており、周辺の
コミュニティにとって深刻な課題となっている。その
ような課題の解決を目指し、トヨタは、水素利用の拡
次世代自動車◇ニュース

シンプルな改良型FC大型商用トラックのコックピット。居住性と操縦性などが向上されている。(写真右下)「TOYOTAFUELCELLⅡ」のエンブレム
TheTRUCK2018年9月号61
大に取り組んでいる。カリフォルニア州においては、
FC大型商用トラックの実証実験に加え、バイオマス
から水素・電気・水を生み出す発電施設「Tri-Gen(ト
ライジェン)」の建設も予定している。
 TMNAの電動車・先進技術部門のクレイグ・スコッ
ト(CraigScott)シニアマネージャーは「FC技術の
大型商用車への応用可能性を検証するという目標は
達成することができました。今後は、FC大型商用ト
ラックの実用可能性について検証します。私たちは、
水素利用の拡大を通じて、ロサンゼルス港のみなら
ず、米国や世界における大気汚染対策に取り組んで
いきたいと考えています」と述べている。
 今回の改良型FC大型商用トラックは、居住性と操
縦性を向上させたほか、満充填時での走行距離を約
480㎞に伸長させたことで実用化にさらに近づいたこ
とになる。今後、実証実験でのテータを基にした研究
開発が進み、FC大型商用トラックが量産化されれば
ラック輸送の世界が大きく変化することになるだろう。
港湾での大気汚染対策と
FC技術の大型商用車応用を検証
 米国カリフォルニア州ロサンゼルス港で、FC技
術の大型商用車への応用可能性を検証するため

米国研究機関“CenterforAutomotiveResearch”主催のイベントで
公開されたFC大型商用トラック改良型。イベントには多くの関係者が
集まった
専用工場で製造されるFC大型商用トラック改良型
TheTRUCK2018年9月号62
にTMNAが昨年夏より行っている実証実験には、
「MIRAI」のFCスタック(発電機)2基と12kWhの
駆動用バッテリーを搭載したFC大型商用トラックが
利用されている。この初代車両は、約500kWの出
力と、約1,800N・mのトルク性能を確保し、貨物
を含めて総重量約36トンでの走行が可能で、通常
運行における推定航続距離は満充填時で約320㎞と
なっている。
 実証実験の開始に先立って(2017年04月19日)
次世代自動車◇ニュース
行われたイベントには、CARB(カリフォルニア州大
気資源局)やCEC(カリフォルニア州エネルギー委員
会)などの州政府関係者が出席していた。
 席上、ロサンゼルス港の港湾開発を担当する
TonyGioiello(トニー・ジォイエッロ)港湾局副局
長は「港湾貨物輸送へのFC技術応用を検証するこ
とができ大変うれしく思う。これまでロサンゼルス港

FC発電所と水素ステーションが併設される「Tri-Gen(トライジェン)
実証試験走行中の初代実験車。港湾エリアの貨物輸送を実際に行いすでに約16,000㎞を走行している
TheTRUCK2018年9月号63
は、関係者とともに大気汚染物質の削減を主導して
きた。FC大型商用トラックは、『港湾大気浄化行動計
画』の長期目標達成に向けたさらなる解決策となり得
る」と語り、CARB(カリフォルニア州大気資源局)
MaryD.Nichols(メアリー・D・ニコルス)局長は「今
回の港湾におけるFC大型商用トラックの実証をきっ
かけに、他社による後続の取り組みを期待したい。
CARBは、よりクリーンで燃費に優れた大型トラック
の拡充につながる最適な規制とインセンティブを検討
しており、今回の実証実験の進捗に注目していく」
将来への期待を語った。また、CEC(カリフォルニア
州エネルギー委員会)のJaneaA.Scott(ジャネア
A・スコット)氏は「カリフォルニア州が温室効果ガス
削減、大気改善、化石燃料依存低減に取り組むうえ
でFCVが果たす役割は大きく、CECとしてもFCV
普及を後押しするインフラ拡充に取り組んでいる。
CECはこの最先端技術を大型商用トラック実験車に
応用するトヨタの取り組みを称えたい」と述べている。
 トヨタの実証実験は、FC技術の応用拡大に向けた
取り組みであるとともに、カリフォルニア州の港湾に
おける環境対策への貢献の一環でもある。2006年
に策定された「港湾大気浄化行動計画(PortsClean
AirActionPlan)」を通じて、ロングビーチ港やロ
サンゼルス港は大気汚染物質の削減に取り組んでき
たが、今でも大気汚染物質の多くは大型商用トラック
から排出されているなど課題は残る。今回、FC大
型商用トラックの改良型が追加されたことにより、FC
技術応用による課題解決がさらに加速し、さらなる環
境改善に貢献することが期待できる。

TheTRUCK2018年9月号64
PWSの冒頭で開会挨拶する VDA新会長 ベルンハルト・アッテス氏
(筆者撮影)
2018IAA商用車展
今回スローガン
〝DrivingTomorrow〟
出展傾向を展望すれば・・
この9月の下旬、ドイツ・ハノーバー市国際展示場を会場として
〝2018IAA商用車展〟が開催される。西暦偶数年に開催さ
れる世界最大級の商用車ショーとして恒例の一大イベントだ。
今回の出展傾向について展望してみよう。
西 襄二
世界のトラック業界研究
VDAドイツ自動車産業協会
が主催、世界最大級商用車展
 今年もIAA商用車展の開催時期となった。今回で
通算第67回を数えるこのショーは西暦奇数年の乗用
車展、同偶数年の商用車展が交互に開催されて伝統
を積み上げてきた。回数表示は乗用車展・商用車展
を通じて符番される。
 主催者はVDA(VerbandderAutomobilindu
strie/GermanAssociationofAutomobile
Industry)ドイツ自動車産業協会で、出展企業は在
欧州の全商用車メーカーに加え、一部の米・中在住ト
ラックメーカーが集う。そして、トレーラ、ボディ架
装企業とコンポーネントサプライヤー、その他商用車
に関係する広範囲なビジネスに参画している多くの企
業が一堂に集うこのイベントは、毎回、筆者の知る限
り世界最大級の商用車ショーであり続けている。この
商用車展について筆者は、過去9回にわたりその詳
細を誌上でリポートしてきた。
 本年7月11日、VDAは欧州を始め世界各地
で報道活動を行っている著名なメディアの代表者等
120名を独フランクフルトに招いて9月のショーに

TheTRUCK2018年9月号65
先立つプレスワークショップ(報道関係者研究会。以
下、PWS)を開催した。東アジアからは筆者のほか
に中国から女性記者の2名が招かれた。
 当日の企画は冒頭に主宰者VDAとして現下の商
用車界を展望してどのような出展傾向が予想されるか
解説して見せた。
 次いで、主要メーカーから商用車を取り巻く現在の
社会的要請と技術開発動向をそれぞれの立場から発
表し、そこから9月開催のショーの出展傾向を示唆す
る内容であった。本稿では、PWS当日の模様を抄録
し9月のショーの出展傾向を展望してみたい。
VDAベルンハルト・マッテス会長
世界の商用車産業は堅調に成長と・・
 本年5月現在、西欧の大型トラック販売は堅実な
1%の成長を見せた。2008年以来の高水準といえ
る。小型商用車では4%の伸びを記録した。
 大西洋を挟んだ対岸の北米市場では、前年の
2017年の高水準を維持している。年初からの5ヶ
月間の販売は前年後半期より実に18%の伸びを示し
ている。
 中国は世界最大の自動車市場に成長しているが、
商用車分野では本年も前年同期比で12%増と二桁
の伸びを示している。
 2017年に深刻な不況に見舞われたブラジルでも
市況は回復基調にある。
 世界第三の市場規模に成長したインドでは、前年
同期比実に49%増を示している。
 トラック及びトレーラのこうした伸びはトレーラ販売
とボディ架装業界にも刺激が波及して堅調な伸びを示
している。
 アメリカ発の貿易戦争が今後どの様に世界経済に
影響をおよぼすことになるか予測出来ないが、リスク
であると同時にこれ迄の成長傾向の腰を折るかどうか
未だ見通しは難しい。
 前回のPWSは、英国の国民投票でEUからの脱
退派が多数を占めるという国民投票結果が報じられた
その日に開催されていた。今年に予定されている脱
退の行方は依然不透明だが、商用車業界にどのよう
な影響をもたらすであろうか。
環境負荷の軽減は
商用車業界の継続課題
 環境負荷軽減の為の各メーカー毎の対応策は一様
ではないが、「EU委員会が定めるEU標準」に従うこ
とでは認識を共有している。これによれば、2018
年比で2025年迄にCO
排出量を15%削減し、
2030年迄に更に30%削減する目標を打ち出してい
る。これが達成出来ない場合の罰則もこれまでにない
厳しいものとなる見通しという。
 こうした厳しい目標の達成は、各トラックメーカー
(OEM)毎に全製品が排出するCO
絶対量の上限
を視野に入れて製品構成(ポートフォリオ)を組み立て
ることが要求される。極低排出車(ExtremelyLow
EmissionVehicle)やゼロ排出車(ZEV)などをどの
様に戦列に配置するか、ここに各OEM企業の戦略
が生まれる。
 軽量商用車(LCV・いわゆるバンVanと小型トラッ
ク)は乗用車と共にEU委員会の上記提案(2017
年11月)で全製品の排出総量規制の対象であり、
2018年を基準年として2030年迄に30%削減す
る目標を打ち出されている。ここには電動化への一層
強いインセンティヴがはたらくことになる。天然ガス車
の普及も加速するだろう。ガス燃料車にはバイオ由来
燃料の利用も可能だから、CO
ニュートラルなトラッ
クには関心がたかまろう。車両重量の軽量化も大きな
課題だ。
 EU委員会当局では、上記の大目標の展開にあた
り細目規則等の作成調整作業に入っている。
 IAA-CV展では会場内の試運転場などで、この方
面の試乗車が用意される筈である。
ディジタル化と自動化運転では
 GPSと道路地形情報を組み合わせた高度なクルー
ズコントロールは、大型長距離運行車の燃費向上と
運転者の運転操作支援の度合いを一層高めるだろう。
 ディジタル化は車と運行管理者を結んで広範な情報
を瞬時に交換することが可能になってきている。仮に
車の側に運転者が気づいていない不具合の兆候があ

TheTRUCK2018年9月号66
都市内配送の効率化、低公害化、静音化も大きな課題ドイツ南部メ
ンゲン市にて:筆者撮影)
現在、幹線輸送は単車か単独連結車が主役だが、デジタル技術とコネ
クティヴィティの活用で隊列走行の実用化が始まる見通しドイツ南部メ
ンゲン市郊外のアウトバーンにて:筆者撮影)
れば、これを見逃さず基地に帰着した時点で必要な
整備を行う準備を整えることが可能となる。つながる
(コネクテッド)のイメージの一つである。そして、
アップタイム(稼働率)の高水準維持を支援することに
つながる。
 一方で、運転支援システムも実用化が進む。車線
内走行維持(レーンキープ)と車線変更(レーンチェン
ジ)時の車両周辺の安全確認は大型車には欠かせな
い重要機能で、運転支援の観点で普及が強く望まれ
ている。交通事故の90%は人的原因で発生している
と言われるから、運転の主役はあくまで運転者である
との基本認識は維持されつつ、ディジタル技術による
支援で交通事故の劇的減少効果が期待される。
 物流と人流の双方で、交通手段の最適選択と組み
合わせによる高度な効率化が進むだろう。各種交通
手段(モード)の選択と組み合わせが効率良く可能とな
る筈だ。
続く物流量増加傾向
対応策は総合的に
 物流需要は今後も増加傾向が続く見通しだ。これ
はeコマース(いわゆる通販ビジネスの利用)の拡大
で消費者向け小口貨物の増加が特徴である。この方
面では日本の事例が参考になる。
 幹線部分の対応策は車輌の大型化が最有力だ。連
結長大化に加え、実証実験が進んでいる隊列走行が
これに加わる。同一メーカー車での実用性は実証さ
れ、複数メーカー車による隊列走行の実用化にチャレ
ンジする。隊列走行(3〜4両の大型トラックを自動
で数十メートル以内の車間距離で走行する形態)では
凡そ10%の燃費低減が見込まれる。隊列走行には
法規上の枠組み整備も課題だ。
 一方で、ディジタル化(Degitalization)の高度活
用には道路や地域に関わるインフラ整備も欠かせな
い。ドイツでは「インダストリー4.0」と称する国家的
合意に基づくインフラ整備を推進中で、ディジタル化
のカバーエリアを拡大する施策が進行中だ。通信技
術では5G方式への移行も喫緊の課題だ。
 コネクテッド、自動化運転、いずれも運輸システム
のディジタル化の具体像であり、これが実際に機能す
るには各メーカーの商品への落とし込みが肝要。これ
を支える新ビジネスと新企業群も今度のショーで見て
頂けると思う。
 皆さん、9月のIAA-CV展でお会いしましょう。
(以上、VDA会長・ベルンハルト・マッテス氏の開会
挨拶から。)
PWSに参加した各社代表は
出展計画の背景と概要を表明
 PWSに登壇したOEM企業からは、9月のIAA-
CV展への出展計画の概要が表明された。誌面の都
合で詳細におしらせ出来ないが、胆に当たる部分を表
にして報告しておこう。
世界のトラック業界研究

TheTRUCK2018年9月号67
(本稿おわり)
企業名
分類
PWS出席者役職
氏名
各社の取り組み姿勢・出展計画など
VW
トラック&バス
OEM
CEO
アンドレアス・レンシュラー
・運輸業界にパラダイムシフトが問われている ・物流量は
増加傾向続く ・EV化も進展 ・デジタル化で効率向上、
安全性向上                 
VWLCVOEM
取締役
ハインツ・ユルゲン
・小型商用車の代役は無い ・同一地区内に複数の宅配車
が走っている(合理化の余地) ・EV化の推進 ・保有全
期間のコス(TCO)が評価の決め手 ・車両そのものに加
え、ビジネスモデルとしてCO
ニュートラルとなるように提
案を強化
SCANIAOEM
副社長
ケント・コンラドソン
・スマート&インテリジェントな運輸システムに向けて商品
力を高める ・ドライバー不足はこの先も続く、女性と若
者の参入を促す魅力ある製品へ ・専業大トラ・バスメー
カーとしてトップチームを自認して取り組む
MANOEM
取締役会議長
ヨアキム・ドレース
・都市が求めるもの、社会が求めること、運輸企業が求め
るもの に対して調和ある商品で提案を強化する。 
・環境負荷の低減、事故の撲滅は今後も最重要課題 
・TCO(保有全期間のコスト)の極小化 ・ドライバーが求
めるもの&ことの実現
Daimler
トラック&バス
OEM
部長
ステファン・ブックナー
・電動化、自動化、コネクテッド、未来図から製品へ 
・電動化の開発も推進。eACTROS、eCITAROなど 
・高効率、燃費の良さは勿論、これを実現する為にドライバー
を支援する高度デジタルシステム、危険を回避することに
も通じる。安全性然り
Daimle
小型 商用車
OEM
部長
フォルカー・モミンヴェグ
・電動車eVito100台、2018年に市場投入する(レンタ
ルシステムで・・)=2017年〜38台のeCANTER車を
28社で試用=有用性を実証 ・小口貨物物流の合理化に
全力で取り組む ・[BENZ+コマース企業]で協働する
IVECOOEM
IVECO部門長
ピエール・ラフッテ
・わが社は全領域の用途で先ずディーゼルを極める ・EV
化も重要テーマだが、バッテリーのリサイクル問題が未解決
で課題は大きい ・NG(天然ガス中のメタン成分燃焼)車と
ディーゼル車、これらが経済性と環境性能の両立を果たす
現時点のベストソリューションと信ずる。ここにバイオメタン
も加えて長距離運行車の環境負荷を低減する
VOLVOOEM
バス部門担当
ウォルフガング・プレズィンガー
・大志あるオペレータと荷主の要請に応えて 全製品領域で
の最新技術投入 ・都市部路線にEVバス投入
OPELLCVOEM
LCV部門長
トビアス・シュトゥーヴァ
・PASグループ入りで新たな展開(グループの全需比シェア
は約29%(2017年) ・グループ力を挙げて、コネクティ
ヴィティ、電動化、運転の自動化などの最新技術を高める
HeuliezBus
EV-BUS
OEM
製品企画部長
ジャブドメンニコ・デマルティニ
・2015年からEVバス参入 ・都市内ゼロエミッションバス
(EV)は普及段階へ
KRONEトレーラ
取締役部長
ジェロ・シュルツ・イズフォート
・Logistics4.0(ドイツの国策Industiry4.0に呼応した呼
び方)として、最新動向に対応する ・トレーラの長大化は
物流量増大への基本策 ・サイレントデリバリーを実現する
騒音を出さない車への展望 ・マイクロデポ(小さな配送拠
点)とラストマイルを自転車で対応する考え方
DAFOEMPWS不参加
IAA-CV展出展予定企業の動向について

アイドルも登場のイベント(写真は愛知県トラック協会)
トラック輸送の理解度を深めるために全国各地で開催される「トラックの日」イベント(写真は大阪府トラック協会)
TheTRUCK2018年9月号68
全ト協◇ニュース
平成30年度「トラックの日」ポスターの
グランプリ決定
全ト協と都道府県トラック協会が実施する
「トラックの日」ポスターとして積極的に活用
トラックは生活(くし)と経済
 わが国の国内貨物輸送量は48億トンで、トラッ
ク輸送はその内の9割を占めている。トラック輸送
は、わが国の基幹産業として国民生活と経済を支
えるライフラインの役割を担っている。
 公益社団法人全日本トラック協会(全ト協)と47
都道府県トラック協会は、平成4年から10月9
日を「トラックの日」と定め、毎年全国各地で多彩な
イベントを繰り広げ、緑ナンバーのトラックの役割・
重要性を社会にアピールしている。

グランプリを獲得した岐阜県の吉田純氏デザイ(作品A)のポスター
働くトラックも人気の的(写真は栃木県トラック協会)
グランプリを獲得した東京都の高橋純氏デザイ(作品B)のポスター
TheTRUCK2018年9月号69
 このたび、平成30年7月2日に開催された
「第63回広報委員会」において、「トラックの日」
ポスター応募作品の中から、グランプリ2点が選
定された。応募作品総数は153点となり、その中
から岐阜県の吉田純氏(作品A)と東京都の高橋純氏
(作品B)がグランプリに選ばれ、賞金50万円が
授与された。平成30年度の全国統一テーマは「ト
ラックは生活(くらし)と経済のライフライン」となっ
ている。
 全ト協会では、トラック運送業について多くの方
に知ってもらうため、「トラックの日」の10月9日前
後に、今年も全国各地で様々なイベントが開催され
ることになる。
 次ページ以降に、平成29年度「トラックの日」
各都道府県トラック協会の主な活動と過去の「トラッ
クの日」ポスターを掲載する。ポスターはその時代
の状況が反映されていて興味深い。
のラフライン

■平成29年度「トラックの日」各都道府県トラック協会の主な活動
TheTRUCK2018年9月号70
全ト協◇ニュース

平成16年度ポスター
平成18年度ポスター②
平成22年度ポスター
平成26年度ポスター
平成17年度ポスター①
平成19年度ポスター
平成23年度ポスター
平成27年度ポスター
平成17年度ポスター②
平成20年度ポスター
平成24年度ポスター
平成28年度ポスター
平成18年度ポスター①
平成21年度ポスター
平成25年度ポスター
平成29年度ポスター
TheTRUCK2018年9月号71

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号86
 先日、報道関係者を集めての試乗会が行われた日野大型
ハイブリッドトラック(試乗会レポートは前号に掲載)の発表資
料が届いたのでその詳細情報をここに掲載する。
 日野自動車㈱は、CO
排出量削減に向けて、大型トラッ
クにハイブリドシステムを搭載した「日野プロフィアハイブリ
ド」を開発した。この車両は、25年以上にわたるハイブリッド
開発の実績を基に、これまで難しいとされていた、高速走行
が多い車両で燃費効果の発揮できるハイブリドシステムを実
現。すでにディーゼル車で好評を得ている先進安全技術も備
え、環境性能と安全性能を高次元で融合させた革新的な大
トラックとして、2019年夏に発売するものである。
 日野は、豊かで住みよい世界と未来を次の世代につなぐた
め、2017年10月に「環境チャレンジ2050」を策定。その
中で「新車CO
ゼロチャレンジ」して、製品走行時のCO
排出量90%削減を掲げている。この達成のためには、日野
車全体のCO
排出量の約7割を占める大型トラックの
燃費性能を向上させることが必須と考え、技術開発を進
めてきた。大型トラックは、高速道路での定速走行が中
心で発進・停止の頻度が少ないことから、これまでハイ
ブリドには不向きされていた。日野は、その質量の大
さゆえに下り坂での減速エネルギーが非常に大きいこと
に着目。3D地図情報などをもとにルート上の勾配を先
読みし、AIが走行負荷を予測し最適なハイブリド制御
を行うという、世界初の技術を採用した新ハイブリドシ
ステムを開発。これにより、減速エネルギーを効率的に回生
し活用することで、大型トラック特有の走行条件における燃費
効果を実現させている。日野社内試験では、ディーゼル車に
対し約15%のCO
削減
効果が得られている。
 ユーザーにとっては、
積載性や航続距離といっ
トラックとしての基本
性能および使い勝手は
ディーゼル車と同等のま
ま、燃費低減による運
行経費の節減が見込め
る。さらに、モーター走
行による走行中の騒音
や振動を低減し、ドライ
バーの疲労軽減にも貢
献できる。また、外部への給電機能も備えており、災害時の
非常電源装置としても活用することが可能となっている。
■新ハイブリッドシステムに採用した主な技術
⑴AIを利用した勾配先読みハイブリッド制御【世界初】
GPS等による自車位置情報と3D地図情報から、走行ルー
トの勾配を先読み。それをもとにAIが走行負荷を予測し、
燃費の最適化及びバッテリーマネージメントを行う。
⑵ブレーキ協調回生制御…フットブレーキ操作時、減速エネ
ルギーを最大限回収するために、回生ブレーキが優先されるよ
うな制御を行う。
⑶リチウムイオンバッテリーの採用…大容量バッテリー
で、大型トラックの大きな減速エネルギーの充電が可能。
ハイブリッド車…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
画期的システム搭載の大型ハイブリッドトラック
世界初AI活用の勾配先読みハイブリッド制御採用
25年以上のハイブリド実績を基に開発された「日野プロフィアハイブリド」
メーター内のマルチインフォメーションディスプレイに回生(充電)・アシス(放電)などの状
態を表示

TheTRUCK2018年9月号87
 三菱ふそうトラッ・バス㈱(MFTBC)は、ダイムラー・トラッ
ク・アジア台湾(DTAT/本社:台湾、ジョー・ウォンCEO)
が記念すべき1万台目のFUSOブランドのトラックを納車した
ことを発表した。
 2018年7月25日の納車に際し、台湾・桃園市にて、
1万台目の納入先である國普混凝土公司(GuoPuConcrete
IndustryCo.Ltd)で記念式典が開催された。DTATは、出荷
5千台ごとに「幸運なお客様」を招いて記念式典を開催している。
 DTAT社のジョー・ウォンCEOは、「台湾は私たちが初め
て参入した国際市場の1つです。1958年以来、FUSOブ
ランドは強力なプレゼンスを築き上げながら、DTATの設立を
含め、台湾での事業に専心してきました。2017年のDTAT
操業開始から1万台目となる車両を大切なお客様に引き渡す
ことができ、大変うれしく思います」と述べている。
 台湾でのFUSOブランドの歴史は、1936年に小型バス
「B46」で市場への初参入を果たして以来となる。1958年
に販売網を構築して以後、台湾はイドネシアに次ぐアジア第
2位の輸出市場へと成長を遂げている。現在、FUSOブラン
ドは台湾市場において、商用車ブランドとして25年以上にわ
たりトップシェアを誇っている。台湾全土に30以上の販売サー
ビス拠点を展開し、70以上の直販店で車両サービスを提供
するなど、その販売・サービスネットワークは、台湾市場の商
用車ブランドの中で最も広範なものである。DTATのディーラー
ネットワークは今後も拡大を続ける予定で、台湾北部の新竹
市や蘆竹区には次世代の工場が建設中となっている。
 DTATは、台湾でのFUSO製品の販売活動を統合する
とともに、将来のさらなるカスタマーサービス向上を目指し、
2016年7月に設立し2017年に操業を開始している。同
社は、MFTBCと台湾の商用車販売大手である順益貿易股・
N有限公司(ShungYeTradingCo.,Ltd.)による合弁会社
で、FUSOブランドを台湾で展開する販売会社である。小
型・中型バスに加えて、小型・中型・大型のトラックを含め
たFUSO製品全般の独占輸入・卸売を行っている。
台湾での納車…三菱ふそう
話題のニュートラック新製品情報・新情報
台湾で1万台のFUSOブランド車の納車を達成
台湾市場で25年以上連続でトップシェアを誇る
 UDトラックス㈱は、中東市場で販売している新興国向
け大型トラック「クエスター」に、6×4(後輪2軸駆動)
GVW40tモデルを新たに追加し、中東市場においてニーズ
の高い積載重量の大きなモデルを導入することで、大型トラッ
ク市場において、さらなる拡販をめざすとしている。
「クエスター」は、UDトラックスが初めて新興国向けに特化
して開発した大型トラックで、長年にわたり培ってきた大型
ラックに関する技術と経験を活かし、各国の市場ニーズに合っ
た大型トラックを提供する、というコンセプトの下に開発された
中東市場…UDトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
中東市場で大型トラック「クエスター」
重荷重(高積載)仕様のGVW40モデルを追加
台湾でFUSOブランド1万台の納車を達成(納車式)
中東市場に大型トラック「クエスター」のGVW40tモデルを新たに追加

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号88
車種である。中東市場には、2016年に導入され、強固で
耐久性の高いシャシー、様々な架装に対応できるフレキシビリ
ティ、UDネトワークによるアフターセールスサポートが高く評
価されている。
 今回、「クエスター」に新たに追加された6×4(後輪2軸
駆動)のGVW40tモデルは、中東の顧客が特に重視する「積
載量」に着目し、従来のモデルラインアップと比べ、積載量を
拡大している。また、ダンプ車をはじめ、コンクリートミキサー
車、タンクローリーなど幅広い車型に対応することができると
共に、日本企業ならではの品質と熟練技術、ボルボ・グルー
プが保有する世界最高レベルの技術、そして何より「現場」
での長年の経験による地域に根ざしたユーザーニーズが反映
された商品となっている。
 中東では、インフラ開発、そして「2020年ドバイ国際博覧
会」の開催などにより、建設需要が底堅く推移している。それ
に伴い、大型トラック市場も堅調で、1970年代初頭から中
東地域に参入しているUDトラックスは、こした市場の状況
に合わせ、新しいモデルを追加し、主に建設関係のユーザー
を中心としたニーズに応えるとしている。
 中東地域担当のムラット・ヘドナ、マネージングダイレクター
は、今回のモデル追加に関して「中東では、様々な地形、
高い気温のみならず、重量物の輸送に耐える性能が求めら
れます。我々は新しいモデルが、お客様のニーズを確実に満
たせる様に、実際の使用状況と同じ環境下でテストを繰り返
してきました。実績のある低燃費エンジンと、UDトラックスの
品質を兼ね備えるクエスターは、中東市場において、新しい
効率性の基準を示すものと確信しています」と述べている。
「クエスター」の6×4(後輪2軸駆動)の信頼性は高い
大型トラック「クエスター」はタイの工場で生産されている

TheTRUCK2018年9月号89
 日産自動車㈱は2018年7月31日、アルゼンチンにある
ルノーのサンタ・イザベル工場(コルドバ州)で「NP300フロ
ンティア」の生産を開始した。ピックアップ車両の需要は世界
的に高まっており、アルゼンチンは同モデルを生産する5番
目の国となる。
 アライアンスパートナーであるルノーのサンタ・イザベル工場
で「NP300フロンティア」を生産することは、2022年までに
小型商用車の販売台数を2016年度比で40%増やす中期
計画の達成に向けた原動力となるものだ。
 「NP300フロンティア」は、タイ、キシコ、スペイン、中国、
してアルゼンチンで生産されており、中南米では「NP300
フロンティア」として38の市場で販売されている。
 アシュワニグプタ、ルノー・日産自動車・三菱自動車小
型商用車事業担当アライアンスSVPは、「日産のピックアッ
トラックは、180カ国で約1,500万人以上のお客さまにお
乗りいただいてます。ピックアットラックは全世界で成長著し
いセグメトであり、日産の強みとなっています。本日の生産
開始は、この地域のお客さまにとって素晴らしいニュースであ
るともに、日産とアライアンスにとっても大きな機会です。日
アルゼンチン…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
アルゼンチンで「NP300フロンティア」の生産を開始
コルドバ州のサンタイザベル工場でオフライン式を挙行
産とアライアンスは中南米市場において高いプレゼンスがあり
ます。そして、ピックアップトラックの需要が高まり続けている
中、この新生産ラインを稼働させることにより、この地域のお
客さまにより早く確実に商品を提供できるようになります。と述
べている。
 日産の小型商用車は、その優れた機能性に加えて、オン
ロードやオフロードの場面での乗り心地の良さから高い支持を
アルゼンチンで生産が開始された「NP300フロンティア」
サンタ・イザベル工場で挙行されたオフライン式典

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号90
得ている。日産は、日産車をより魅力的なクルマにするアプ
ローチ「ニッサンインテリジェトモビリティ」のアプローチで、
「NP300フロンティア」にも先進技術が搭載されている。
 日産は、80年以上にわたってトラックやバンを開発し生産
してきた経験があり、その耐久性と機能性で高い評価を得て
いる。そして現在では、世界で販売されている日産車の6台
に1台が小型商用車となっている。
 日産は、中南米地域においてトップ3に入る自動車メーカー
になる目標を掲げている。コルドバへの6億ドルの投資によ
り、最大3,000名の雇用が創出され、新生産ラインの年間
生産能力は年産7万台に達する見込みとなっている。同工
場では、アライアンスパートナーであるダイムラー向けの1トン
ピックアットラックも生産する予定である。
 アルゼンチン政府代表者と日産関係者が出席し、7月30日
「NP300フロンティア」のオフライン式が挙行され、同国で初
めて組み立てられた「NP300フロンティア」が初披露された。
 式典には、アルゼンチンのマウリシオマクリ大統領のほか、
コルドバ州のユアンシアレッティ知事などの同国政府高官が
出席。日産自動車からは西川CEO、ラテンアメカマネジメ
トコミッティ担当のホセバルス専務執行役員、アルゼンチ
ン日産社のディエゴビグナッティ社長が出席したほか、アルゼ
ンチンルノー社のペラエスガンボア社長も出席した。式典で
西川社長は、日産のグローバルでの持続的な成長を目指す
中期計画「NissanM.O.V.E.to2022」を達成する上で、中
南米は重要な地域であることを強調した。
 バルス専務執行役員は、「3年前、日産はアルゼンチンへ
の投資を決めました。現地法人の設立や車両の生産をアル
ゼンチンで行い、この地域でトップ3に入る自動車メーカーに
なるための投資を行うと発表しました。そして今日、我々はそ
の公約を実現し、日産『NP300フロンティア』の生産を開始
しました。今日、我々はアルゼンチンとの約束を果たしました」
と述べた。
 コルドバ州にあるサンタイザベル工場の本プロジェトに、
日産は6億ドルの投資を行い、最新ピックアップトラックの組
立ラインと専用テストコースを設置。このプロジェクトにより、
約1,000名の直接雇用と、2,000名の間接雇用を創出す
る。また、日産はアルゼンチンのサプライヤーと連携してシナ
ジーを生み出し、将来的には現地ベンダーとの協業も増やし
ていく予定である。
 サンタ・イザベル工場での生産開始に伴い、アルゼンチン
日産は、タイ、中国、メキシコ、スペインに並ぶ日産「NP300
フロンティア」のグローバル生産拠点のひとつとなり、アルゼ
ンチンにおける主要自動車メーカーとしての地位を固めること
になる。
 新しい組立ラインの年間生産能力は7万台になる予定で、
日産とルノー、そしてアライアンスパートナーであるダイムラー
にも車両を供給し、その50%は輸出される予定である。ブラ
ジルが、アルゼンチン製の日産「NP300フロンティア」の最
初の輸入国となる。
 コルドバで生産される日産「NP300フロンティア」は、日産
の約80年の小型商用車の開発や生産を基に開発されてい
る。中南米に特有の走行条件について、2年間の調査を行っ
た成果も織り込まれている。このプロジェクトでは、世界各国
から集まった日産のエンジニアや品質保証の専門家からなる
120名のチームを組み、日本のモノづくりから生まれる高い品
質や信頼性、耐久性を実現している。
サンタ・イザベル工場の「NP300フロンティア」生産
ライ

TheTRUCK2018年9月号91
 TOYOTAは、ハイエースならびにレジアスエースに特別仕
様車スーパーGL“DARKPRIMEⅡ”を設定し、ハイエース
は全国のトヨペット店(東京地区は東京トヨタおよび東京トヨ
ペット、大阪地区は大阪トヨタ)、レジアスエースは全国のネ
ツ店を通じて、2018年8月6日に発売した。
 今回の特別仕様車スーパーGL“DARKPRIMEⅡ”は、
最上級グレード「スーパーGL」をベースに、外装は、ダークメ
キを施したフロントグリル、バッドアガーニッシュを特別装備し
たほか、内装には、ルーフ、ピラー、セパレーターバーにブラッ
ク色を採用するなど、質感を向上させている。
 また、スライドアのスカッフプレートに車名ロゴ&イルミネー
ションを特別装備したほか、SRSエアバッグ+プリテンショナー
&フォースリッター機構付シートベル(助手席)を標準装備
し、より魅力的な仕様とた。外板色には、特別設定色スパー
クリングブラックパールクリスタルシャイ(オプション)を含む全
5色が設定されている。
特別仕様車…TOYOTA
話題のニュートラック新製品情報・新情報
ハイエースとレジアスエースの特別仕様車を発売
ダークメッキを施したフロントグリルなど質感を向上
レジアスエース特別仕様車スーパーGL“DARKPRIMEⅡ”(4WD2700ガソリン・
ワイドボディ)
特別仕様車スーパーGL“DARKPRIMEⅡ”の運転席
ハイエース特別仕様車スーパーGL“DARKPRIMEⅡ”(2WD2800ディーゼル
標準ボディ)

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号92
 いすゞ自動車㈱とトヨタ自動車㈱は、2018年8月3日、
資本関係を解消することに合意し、トヨタは、その保有する全
ての株式を今後売却する予定である。
 なお、今後も両社は、要素技術レベルの共同開発を継続
するなど良好な関係を維持していくとともに、今後の取引の可
能性についても常にオープンな姿勢であることに変わりはない。
 2006年11月、いすゞとトヨタは、
ディーゼルエンジンを中心とした両社
の開発・生産の分野における相互
の経営資源の活用や、技術面の補
完を図り、相互にシナジー効果を発
揮する枠組み、ならびに協業案件の
検討を進めることで、基本合意し、
あわせて、トヨタはいすゞの株式を取
資本関係…いすゞトヨタ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
いすゞとトヨタが資本関係を解消
今後も両社は共同開発の継続など良好な関係を維持
得した。
 その後、市場環境の変化により当初検討していたプロジェ
トの一部が中止になるなど、具体的に協業が進展しないま
ま現在に至り、そのような事業実態を勘案し、今回、出資関
係を見直すという合意に至ったもの。
 今後も、「100年に1度」と言われる自動車業界の大変革
の時代を生き抜くために、いすゞは商
用車市場、トヨタは乗用車市場にお
いて、それぞれが競争力を向上させる
取り組みを加速させていくしている。
〈トヨタが保有するいすゞの株式〉
・株数:50百万株
・出資比率:5.89%(発行済株式の
総数に対する割合)
 日産自動車㈱は2018年8月3日、日産が保有するバッ
テリー事業とバッテリー生産工場を、再生可能エネルギー事
業者であるエンビジョングループに譲渡する株式譲渡契約をエ
ンビジョンと締結した。この契約は、日産がバッテリー事業の
譲渡に向けて民営投資機関と進めていた取引を解消したこと
を受けて締結されたもの。
 エンビジョンは、日産自動車の子会社であるオートモーティ
ブエナジーサプライ㈱(AESC)や北米日産会社が保有するス
マーナのバッテリー生産事業、英国日産自動車製造会社が
保有するサンダーランドのバッテリー生産事業を譲り受けること
で合意している。
 この合意を受けてエンビジョンは、日産の追浜や厚木、座
間にあるバッテリーの開発や生産技術部門を取得することに
なる。
 日産の山内康裕チーフコンペティティブ・オフィサー(CCO)
は、「世界的な新エネルギー分野におけるリーディングカンパ
株式譲渡…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
エンビジョングループにバッテリー事業を譲渡
日産のバッテリーの開発や生産技術部門を取得
ニーであるエンビジョンと最終合意に至りした。これにより日
産は、中期計画『NissanM.O.V.E.to2022』で定めた目標
の達成に向けて、電気自動車の更なる開発と生産に集中す
ることができます。そして、エンビジョンが、新会社のオーナー
日産のリチウムイオンバッテリーモジュール

TheTRUCK2018年9月号93
して同社を長期的かつ力強く運営し、競争力あるバッテリー
事業会社として成長させるものと確信しています。」と述べた。
 また、エンビジョングループのレイジャン(張磊)CEOは、
「安全性と信頼性の高い先進的なバッテリーを生産している
日産のバッテリー事業に参画し、とても嬉しく思います。エン
ビジョンは、質の高い人財とマネージメトを有するバッテリー
事業の取得により、我々の事業を包括的なエネルギーシステ
ムに取り込んで、モノとインターネットを結ぶIoTの領域にお
いて革新的な価値を生み出すことができます。今後、新会
社への投資を通じて事業を拡大し、スマート物流やV2G、
及びスマートシティの実現に向けて取り組んで参ります」と述
べている。
 エンビジョンへの経営権移転後も、AESCならびに追浜、
厚木、座間にあるバッテリーの開発や生産技術部門、さらに
米国スマーナと英国サンダーランドのバッテリー生産工場に勤
務する全従業員は引き続き雇用され、新会社の本社および
開発拠点は引き続き日本に置く予定となっている。
 日産は、第一段階として2007年に設立した高性能リチ
ウムイオンバッテリーの開発・生産を担うAESCの株式のう
ち、日本電気㈱(NEC)およびNECエナジーデバイス㈱が
保有する49%を取得することでAESCの全株式を取得する
ことになる。
 NECは、同社の保有するAESC株式を日産に譲渡すると
ともに、バッテリーおよび電極の開発・製造を行う同社の子
会社NECエナジーデバイスをエンビジョンに譲渡する旨を発
表している。
 取引は、今後、労働組合との協議や規制当局の承認を
経て、2019年3月29日までに完了する見込みだ。なお、
AESCの100%子会社化ならびにエンビジョンによるNEC
エナジーデバイスの全株式の取得等を条件としている。本取
引における財務条件は開示されていない。
 なお、日産とエンビジョンが株式譲渡契約を締結するにあた
り、日産が新会社の株式または持分の25%を保有すること
で合意している。
トヨタ自動車㈱は、コネクティドカー
から取得されるビッグデータを活用し、
道路の保守点検に活かす技術につい
ての実証実験を、全国で初めて豊田
市と2018年8月1日より開始した。
 一般的に、道路は日常のパトロー
ルや定期的な調査により、維持管理
されている。道路の状態を把握するこ
とは、生活の利便性を保つだけではな
く、事故の未然防止や地震等災害発
生時の避難ルート確保などの安心・安
全を提供することにつながる。
トヨタはこれまで、車両に搭載してい
るテレマティクス機器を通じて収集した
データを統計処理したうえで、災害発
生時の安全な走行のために「通れた道
マップ」して情報を提供してきた。
 今回、さらに、車両の挙動情報を
分析する技術を応用することにより、
実証実験…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
車両データ活用の道路保守点検実証実験を豊田市と開始
コネクティッドカーから得られるビッグデータを活用
コネクティドカーからのビッグデータを活用する実証実験の概要図

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号94
 横浜ゴム㈱はこのたび、天然ゴムの産地であるタイの大
学と共同で2013年から行っている天然ゴム研究の成果を
「TheInternationalPolymerConferenceofThailand
2018(PCT-8)」で発表した。共同研究を行っているのはマヒ
ドン大学とプリンス・オブ・ソンクラー大学の2つで、今回マヒ
ドン大学との研究により、天然ゴムの基となる樹液(ラテック
ス)に含まれるタンパク質の解析および天然ゴムの生合成に
深く関与するタンパク質の特定に成功した。これにより天然ゴ
ムの生合成への理解が深まり、品質や生産に関わる研究を
加速化していくことが可能となる。
 天然ゴムはパラゴムノキから採取したラテックスを加工した
原料。タイヤの約30%を占める主要原料のひとつだが、生
産が東南アジアに集中しているため、異常気象や病気によっ
て大規模な生産阻害を受ける可能性がある。今後タイヤ需
要の拡大が見込まれる中、横浜ゴムは天然ゴムの品質向上
はもとより、安定生産に貢献する技術開発を推進することが
重要な責務と考え、将来的には研究成果を天然ゴム農園の
維持・発展に活用していく。
 マヒドン大学との研究では、新鮮なラテックスやパラゴム
ノキの苗木からタンパク質を抽出し、含まれているタンパク質
をナノレベルで分析した。その結果、ラテックスに含まれる
800種以上のタンパク質が解析でき、これらの一部が天然ゴ
ムの生合成や耐ストレス性に関係していることが判明した。さ
らに、異なる品種のパラゴムノキを比較することで生合成を促
進するタンパク質や阻害するタンパク質の特定に成功した。
これらは生合成のバイオマーカーとしての活用が期待できる。
 ソンクラー大学とは天然ゴムの基礎研究を行っており、季
節や地域、品種、加工法の異なるラテックスを分析し、ゴム
天然ゴム研究…横浜ゴム
話題のニュートラック新製品情報・新情報
タイの大学と天然ゴムの共同研究を加速
品質向上と天然ゴム農園の持続的発展に活用
路面の劣化状態を数値化することが可能となり、実用化に向
けて開発を進めている。
 今回の豊田市における実証実験では、車両の挙動情報よ
り算出した道路劣化の指標値と実際の路面状態との整合性
を、より広域の一般道で検証する。さらに、豊田市の道路
保守点検業務をより高精度かつ合理的に実施できるような行
政サービスの支援に向けて、本技術のさらなる改善を図ると
ている。
■実証実験における役割
◇豊田市…定期点検や日々の道路パトロールにより取得した
路面情報を提供するともに、本技術の道路保守点検業務
への適用の可能性について、検討を行う。
◇トヨタ自動車…コネクティドカーにより取得した車両データ
(交通情報プローブや車両挙動データ)「モビリティサービ
ス・プラットフォーム(MSPF)」上で抽出・ビッグデータ分析を
行い、道路劣化情報として提供するともに実態との相関を
分析する。
 今後、トヨタは、コネクティドカーを活用した、街や道路
に関する様々な事象の検出技術の向上を図り、自治体の行
政サービスをサポートできるよう、開発を進めて行くことになる。
天然ゴムのメン産地であるタイでの採取状況ラテックスがタンパク質によって凝固するモデル図

TheTRUCK2018年9月号95
の物性や化学特性の違いの有無を長期間評価している。現
在までに天然ゴムは組成から物性まで非常に安定した材料で
あり、外的要因の影響を受けにくいことが分かってきている。
 横浜ゴムグループはCSRの重要課題のひとつに「バリュー
チェーンを通じたCSR活動の推進」を掲げている。同方針の
下、今回の天然ゴムの共同研究に加え、天然ゴム農園での
生物多様性調査や農家の安定収入のために天然ゴム林に
竹や果樹などを混植して育てる「アグロフォレストリー農法」
普及を推進するなど農園の維持を支援している。
 なお、マヒドン大学はバンコクに本拠地を置く国立大学で、
タイの大学ランキングで第1位となっており、天然ゴム研究
でも優れたリーダーシップを発揮している。また、プリンス・オ
ブ・ソンクラー大学は天然ゴム栽培が盛んなタイ南部で最古
の国立大学で、横浜ゴムの天然ゴム加工会社であるY.T.
RubberCo.,Ltd.(ワイ・ティー・ラバー)が所在するスラタニ
に共同研究先のキャンパスがある。
 日産自動車㈱は2018年8月24日、2018年のペブルビー
チ・コンクール・デレガンスで、印象的なインフィニティのコン
セプトカー「プロトタイプ10」を公開した。
「プロトタイプ10」は電動駆動の大胆なスピードスターで、
ンフィニティブランドが目指す電動パワートレインによるドライ
ビングプレジャーと刺激的なパフォーマンスを提供するビジョ
を示している。
 シングルシーターの「プロトタイプ10」のデザインの企画に際
し、インフィニティは、クラシックなスピードスターのレーシング
ヘリテージから着想を得てクールで先鋭的なデザインに一新。
コンセプトは、インフィニティ「Qインスピレーション」で取り入
れられた新しいインフィニティのフォームランゲージを進化させた
もので、将来のインフィニティブランドのデザインへのヒントを
示している。インフィニティは、2021年以降の全ての新型
車に電動パワートレインの搭載を予定している。
 インフニティのカリム・ハビブ、エグゼクティブデザインディ
クターは、「インフニティ『プロトタイプ10』は、シングルシーター
の高出力レーシングカーが人気を集めた時代に最も刺激的と
れたいくつかのモデルのレイアウを参考にデザイしました。こ
のコンセプトカーは運転することが車の喜びの全てだった、おお
らかな時代からインスピレーションを得ていますが、フォルムや細
部を含めたすべては電動化車両の未来のドライビングプレジャー
とパフォーマンスの表現を提案しています」と語っている。
電動化…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
電動化の未来を示す「プロトタイプ10」を公開
レーシングヘリテージから着想したクールなデザイン
 トヨタ自動車㈱は、法人ユーザーを主な対象としたモビ
リティサービスの体感・発信拠点「TOYOTAMOBILITY
SHOWROOM」を、2018年8月1日、トヨタモビリティサー
ビス㈱の1階(東京都中央区日本橋)にオープンした。
 昨今、自動車を取り巻く環境は大きく変化しており、従来の
「所有」に加え、カーシェアリングをはじめとする「利活用」
ニーズが高まってきている。こした中、レンタカーやレンタリー
スの法人需要は今後も増加が見込まれ、同時に「利活用」
サポートするモビリティサービスが重要となっている。今回、
法人の集積地であり、「利活用」に対するニーズが高い東京に
発信拠点…トヨタ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
モビリティサービスの体感・発信拠点として
「TOYOTAMOBILITYSHOWROOM」をオープン
公開された電動化の未来を示す「プロトタイプ10」

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号96
 UDトラックス㈱は、2018年11月28日㈰に埼玉県上
尾市で開催される「市制施行・体育協会創立60周年記念
第31回2018上尾シティマラソン・上尾シティハーフマラソ
ン(上尾シティマラソン)」に特別協賛する。
「上尾シティマラソン」は、1988年から埼玉県上尾市で開
催されているマラソンイベントである。上尾市の市街地から緑
豊かな郊外にかけてコースが設定され、アップダウンも少ない
ことから好タイムが出やすい人気のマラソンイベントで、本年
度は8,800名のランナーの参加が予定されている。また、
ハーフ部門は公益財団法人日本陸上競技連盟の公認大会と
なっており、毎年、箱根駅伝常連校が多数参加すると共に、
2018年大会には、今年のボストンマラソンで優勝した川内
優輝選手(埼玉県庁)が、招待選手としての参加を予定して
おり、トップランナーの走りを間近で体感することもできる。
 UDトラックスは、「最小限のエネルギーで、さらに遠くへ力
強く走る」という長距離ランナーを連想させる理念を商品づく
のコンセプトとして掲げている。また、1962年5月に上尾工
場で操業開始して以来、上尾の地を本拠として成長し、様々
特別協賛…UDトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
UDトラックスが第31回上尾シティマラソンに特別協賛
8,800人のランナー参加の人気マラソンイベント
新たな拠点を設立することで、同社が提供するモビリティサー
ビスに対する理解促進を図っていく考である。
 「TOYOTAMOBILITYSHOWROOM」では、モビリティ
サービスの体感・発信の場として、デモ体験やコンテンツの
説明によりサービスについての理解を深めていただくだけでは
く、アンケートでのユーザーの意見をサービス開発・提供に
生かすなど「お客様との双方向コミュニケーション」を実施して
いくとしている。関係部署および2018年4月に新設したト
ヨタモビリティサービス㈱と連携をすることで、ユーザーニーズ
を早期に捉えた、迅速かつ柔軟なサービス開発・提供につな
げていきたいとしている。
 なお、「TOYOTAMOBILITYSHOWROOM」はグループ
各社の総力を結集し、順次、コンテンツの拡充を予定している。
■新施設の概要
・名称:TOYOTAMOBILITYSHOWROOM
・所在地:東京都中央区日本橋浜町2丁目12番4号
・オープン日:2018年8月1日
・営業時間:9:30〜17:30
・定休日:土日祝※年末年始、ゴールデンウィーク、お盆等
の不定休あり
・フロア面積:約370㎡
・ホームページ:https://t-mobility-showroom.jp/
トヨタ-ショールーム外観
トヨタ-ショールーム内観(一部)
上尾シティマラソン(2017年大会)に参加したUDトラクスの従業員

TheTRUCK2018年9月号97
な企業活動を行っている。こうした背景もあり、UDトラックス
では、日ごろから支援を得ている上尾市民への感謝の気持ち
を込めて、2013年から6年連続で「上尾シティマラソン」
特別協賛している。
 特別協賛開始から6年目となる今年は、大会会場にUD
トラックスのフラッグシップ大型トラッ「クオン(Quon)」を展示
するともに、特設テントを開設、選手が身に着けるゼッケン
には「UDトラックス」の文字が刻まれる。さらに大会の役務車
両の提供と共に、大会に参加する子供たち1,600人に対し
て、UDトラックスのロゴ入りネックウォーマーを進呈することに
なっている。
 UDトラックスは、上尾シティマラソンへの特別協賛を通じ
て、上尾市の企業市民として上尾市のさらなる発展に貢献し
ていくしている。
 欧州日産は、「日産リーフ」の内蔵蓄電池を利用した欧州
で最大規模の蓄電システムが、オランダのヨハン・クライ
フ・アレナスタジアムで稼働を開始したと発表した。稼働
初日にはアムステルダム市会議員である
ド・コック氏により竣工式が執り行わ
れた。
 同蓄電システムは、Amsterdam
ClimateandEnergyFund(AKEF)
とINTERREG(国境を越えた地域間
協力の促進を目的とする戦略的プログラ
ム)の後援のもと、日産、イートン社、
BAMグループ、MobilityHouseAG
社、ヨハン・クライフ・アレナによる企
業提携により実現している。
 3メガワッ(3,000kW)の内蔵蓄電
システムは、スタジアム、訪問者、周辺地域住民、オラン
ダの送電網に効率的に電力を供給することが可能となって
いる。イートン社の電力変換装置と「日産リーフ」の148個
蓄電システム…欧州日産
話題のニュートラック新製品情報・新情報
日産リーフの内蔵蓄電池を利用した大規模蓄電システムが
アムステルダムのヨハン・クライフ・アレナで稼働開始
「上尾シティマラソン」は好タイムが出やすい人気のマラソンイベントだ
大規模蓄電システムを採用したオランダのヨハン・クライフ・アレナスタジアム

The TRUCK News
Now
TheTRUCK2018年9月号98
に相当するバッテリーを組み合わせることにより、持続可能
なだけではなく、電気自動車の電力供給のためのサーキュ
ラー・エコノミーも実現したことになる。
 ヨハンクライフアレナのヘンクファンラーン、イノベー
ションディレク
ターは、「この
蓄電システム
のおかげで、
スタジアムは持続可能でスマートな方法で
電力を供給できるようになりました。停電
時には膨大な電力を使用でき、オランダの
電力網の安定に繋がっています。ヨハン・
クライフ・アレナは環境に優しい革新的な
スタジアムの先駆けとなっています」と述べ
ている。
スタジアム内に設置された大規模蓄電システム

仕様
項目
チップセッ
センサーデバイス
画角
ディスプレイ
供給電圧
動作温度範囲
記憶ディバイス
記録フレーム
カメラモード
記録内容
記録形式
マイク
時刻設定
加速度センサー
質量
内容
AmbarellaH.264画像圧縮チップ
フルHD5MCMOSセンサー
約105度
LCD3インチ4:3モニター
DC10-30V
−10℃-+70℃
SanDiskSDカードClass10以上
読み書き速度15MB/s以上推奨
(最小容量:4G、最大容量:32G)
1920×1080(フルHD1080P/30F)
1280×720(HD720P/30F)
システム起動時に自動録画
解像度:3M、5M、8M
手動写真撮影、加速度センサー、セルフタイマー
日付、時刻、画像、加速度、GPSデータ(速度含む)
専用プレイヤー用独自フォーマット(記録モード)
内蔵デュアル高感度マイク
GPS信号による自動設定
GPSが無効の場合、内蔵時計を使用
内蔵
本体:192g、シガー電源アダプター:112g
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本社:〒211ー0063川崎市中原区小杉町3ー239ー2 【サポート:TEL.044ー722ー2211】
常時録画
エンジン連動録画
イベント録画
センサー検知時録画
GPS搭載
Googleマップ連動
日付、時刻、速度を記録
音声録画
車内の音声を記録
VFーDVRー001
FULLHD5メガピクセル
ドライブレコーダー
FULLHD5メガピクセル
VIEWTECのドライブレコーダーVIEWTECのドライブレコーダー
FULLHD5メガピクセル
こんな使いかたも
自分の運転をチェック
旅行の想い出に
レース走行を記録