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【対談】松波太郎 日本エレクトライク 新社長

TheTRUCK2018年2月号20
転倒し難い三輪EVの特長を
活かして量産化へ
世界の環境に貢献する
“エレクトライク”を目指して
 少子高齢化がピークを迎えるこの時代、多くの中小経営者の悩みは後継者の育成であ
る。後継者育成で最も難しいのが“信頼”の構築である。経済の三原則である物・金・
人の内、モノと金はその仕組みをつくれば、能力があれば誰でも継承できるが、“人”につ
いては“信頼”がなければ継承は難しい。そこで同族経営が浮上してるが、核家族化の
時代なので、家族であっても“信頼”の構築は容易ではない。日本エレクトライクは東科
精機と日本ヴューテックを経営する松波登氏が環境貢献を目的に立ち上げた三輪電気自動
車のベンチャー企業で、“エレクトライク”は転倒し難い三輪EVとして注目を集め、2015
年には国土交通省型式認定も取得して自動車メーカーとしても名乗りを上げている。しか
し、“エレクトライク”が広く普及するには至らなくて、現在は海外での量産化に活路を求
めている。折しも、昨年後半から約10年ぶりに電気自動車ブームが再来しており、ここ
に来て“エレクトライク”に明るい見通しが出てきた。このチャン
ス到来を機会に社長交代したのが松波会長で、日本エレクトライ
クを後継したのは長子の松波太郎氏である。父子の信頼関係は
松波会長の『夢』を伝えることで構築されている。
新婚の二人はスキーで
 意気投合
秋林路 先ずはご結婚、お目出
とう御座います。
松 波 有難うございます。多
くの皆様に祝福頂いて嬉しく思っ
ています。
秋林路 人生には折々に節目が
訪れますが、その中でも結婚は大
きな出来事だし、子々孫々の未来
に繋がる出発点でもあります。相
思相愛のおふたりなので、必ず良
い家庭を築かれると思います。将
来の夢など2人で話すことありま
すか。
松 波 はい、一見大人しい女
性ですが、意外にはっきり物事を
語ってくれるので、会話は弾みま
す。
秋林路 それは何よりです。お
互い育った環境が異なるので、
黙っていてはハートも通じ合えま
せん。思いやりさえあれば、どん
な重い話も乗り越えられるもので
す。新婚なので今が一番楽しい時
期ですが、お二人共通の趣味あり
ますか。
松 波 昔から冬はスキーに
行ってたのですが、彼女も私に合
わせてスキーを始めたので、休日
はゲレンデにいる事が多いです。
秋林路 私も子供達が中学を卒
フレッシュ対談

日本エレクトライクの松波太郎新社長
カメラ:澤邉優子
TheTRUCK2018年2月号21
業する位まで、家族4人でよくス
キーに行きました。下の子(女)
途中からスノーボードに変わりまし
たが、私はバランスが保てなくて、
ついて行けませんでした。マイカー
を三菱のパジェロに買い替えたの
もその目的でしたが、その当時を
懐かしく思い出します。
 太郎さんは富士スピードウエイ
等で行われているアマチュアの
レースにも参戦していたので、モー
タースポーツも好きですよね。
松 波 はい、最近は少し遠の
いていますが、20代は良く通い
ました。
秋林路 プロのレーサーになる
気はなかった?
松 波 そう思っていた時期も
ありますがなかなか厳しかったで
すね。レースを始めたのは、私が
高校の頃に父(松波登会長)が、千
葉県のゴーカート場に連れて行っ
てくれたのがキッカケで、免許取
る前にジムカーナ場で運転も教え
てくれたりと、自然にクルマ好き
になりました。
秋林路 お父さんは家業がクル
マ関係だし、ご本人も若い時分は
ラリーに打ち込んでいたので、息
子にもクルマに親しんで欲しいと
思ったのでしょうね。その意味では
子育て上手だったかも知れません。
松 波 子供の頃は父がどんな
仕事をしているか詳しくは知らな
かったのですが、仕事に熱心に取
り組んでいることは子供心にも伝
わってきました。それと交友関係
も世界的に有名なレーサーとか、
政治・財界の皆様とも真面目にお
付き合いしていました。大学も私
と同じ東海大学でしたが、産学連
携で三輪電気自動車の開発も始め
ていましたので、何事にもアク
ティブだなと思っていました。
秋林路 太郎さんがお父さんが
経営する東科精機と日本ヴュー
テックに入社して間もなくの頃に
一度インタビューしましたが、そ

2007東京トラックショーでは松沢成文神奈川県知事(当時)が三輪EVに試乗
松波太郎新社長
TheTRUCK2018年2月号22
の時に「お父さんの事をどう思っ
ていますか」と訊ねたら「尊敬して
います。」と返って来たので、正直
ビックリしたんです。核家族化が
進んで親子の関係が難しい時代で
すから、息子さんにそのように思
われている松波社長(当時)を羨ま
しく思ったものです。
松 波 入社して間がなかった
し、会社のことも社会のことも良
く分かっていなかったですから
ね。(笑)
秋林路 今はどうですか。
松 波 勿論、尊敬はしていま
す。ただ双手を挙げてという状況
ではないですね。いつも近くに居
るのでアラも見えてくるし、私と
意見が異なる場合もあります。た
だ、どんな場合も突き進むし、不
可能に見えることも実現させます
から、やはり経営者として凄いな
と思います。
秋林路 とくに松波会長の積極
経営は並外れていますからね。日
本エレクトライクを立ち上げた時
は、日本に三度目の電気自動車
ブームが訪れた時期で、自動車
メーカーも量産型の電気自動車を
発売しました。ベンチャーで電気
自動車をつくる動きもあちこちで
出てきました。日本エレクトライ
クもそのひとつだった訳ですが、
産学協同で三輪電気自動車を開発
した経緯も知っていましたし、私
が主催する東京トラックショーに
出展して、当時の松沢成文神奈川
県知事さんも来場して試乗されま
したので、私も少しだけ資本参加
して、その活動を見て来たんです。
松 波 そうですね。日本エレ
クトライクを立ち上げ後しばらく
経ってから私も参画しているので
すが、これ程難航するとは思って
いませんでしたね。
好タイミングで社長交代
秋林路 リーマンショックで経
済が低迷するなど電気自動車に

松波登会長
TheTRUCK2018年2月号23
逆風が吹いた事も確かです。で
すから当時立ち上げたEVのベン
チャー企業は今ではほとんど姿を
消しています。それでも松波会長
は海外で量産されている三輪自動
車(BajajAuto社・インド)に着
眼して、その輸入車を電気自動車
に改造する事で活路を求めた訳で
す。何時までも手造りに拘らな
かった点は大正解だったと思いま
す。
松 波 それでも“エレクトラ
イク”の課題は山積しているんで
す。
秋林路 自動車は大量生産、大
量消費の代表的産業ですよね。自
動車メーカーは大資本で大量生産
するから一台当たりのコストが
下って、一般庶民でも乗れるよう
になりました。それを手造りしよ
うとすれば、部品代もハネ上がる
し、コスト高になるのは当然で
す。しかも日本は軽自動車大国で
すから軽の車両価格がべらぼうに
安いんです。その軽と比較される
と“エレクトライク”は太刀打ち
できない。
松 波 それでも“エレクトラ
イク”は軽自動車にはない魅力が
あるし、ようやく大手宅配業者さ
んにも1台採用頂き好評も得て
います。また、移動図書館とか、
静かなので住宅街での牛乳・新聞
配達などにも向いています。
秋林路 そうですね。用途が合
うとコスト高であっても重宝され
ます。ただ、ある程度量産しない
とコストパフォーマンスは出て来
ないし、広く普及させることは難
しいと思います。この点が“エレ
クトライク”の課題だと思います。
松 波 “エレクトライク”は
三輪車なのにカーブで転倒しにく
い特長があるし、評価もされてい
ます。それで自動車メーカーに在
籍中にEVの開発、販売に当たっ
ておられた有能な方に役員として
参画頂いて、グローバルな視点で
の量産化と販売に向けて動き始め
ています。
秋林路 その活動は松波会長さ
んから内々に伺っていますので、
出資者としても期待しているとこ
ろです。とくに東南アジアでは同
タイプの三輪車が沢山生産されて
いるし、このクルマが排ガスを垂
れ流しして大気汚染の原因にも
なっています。大気は地球上を
漂っているので一国の問題ではな
いですよね。あの三輪車がEVに
切り替わるだけで、大きな環境改
善になります。
松 波 この三輪車のEV化は
世界的にも“エレクトライク”が
一歩リードしていますので、安全
性の高い機能を前面に押し出して
販売展開すれば、本来の目的が達
成できる可能性が見えて来ます。
秋林路 “エレクトライク”の
量産車がラインナップするのは早
くても二年先だと思います。日本
は2020年に東京オリンピック
開催を迎えるので、世界も日本の
環境改善への取組みに注目します
ので、出来れば国の支援を得て、
ぜひ成功させて欲しいと思ってい
ます。
松 波 その点は、父が会長に

日本エレクトライクの本社。この奧で各種試作が行われている。
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TheTRUCK2018年2月号24
退いても現役は変わらないし、資
金コントロールの面でも頑張って
います。
秋林路 そういう意味では、日
本エレクトライクは非常に良いタ
イミングで社長を交代したと思い
ます。いずれはそういう部分も含
めて太郎社長が手腕を発揮する事
になるのですが、会長のそばに居
てその取り組みを学ぶ事は、将来
必ず役に立ちます。
松 波 その点は謙虚に学びた
いと思います。
秋林路 日本エレクトライクの
社長就任、結婚披露が続きました
が、何か豊富はありますか。
松 波 正直いうとまだ実感
が湧いて来ないんです。ただ私
も33歳だし、年齢的には本腰を
入れて経営に取り組まなければ
ならないと思っています。幸い
東科精機と日本ヴューテックは

後2輪の駆動に2モーターを採用しているのでアクティブコントロールが出来る。
TheTRUCK2018年2月号25
業績が好調に推移していますの
で、第三の柱として立ち上げた
日本エレクトライクを出来るだ
け早く安定路線に乗せたいと思
います。ただ、これは
私ひとりで出来ること
ではないので、父をサ
ポートして下さってい
る多くの皆さんに変わ
らぬご支援を頂きたい
と思っています。
秋林路 会社の経営
は孤独ですが、内助の
功はとても大切です。
暫くは新婚生活を楽し
んで、一日も早く世界
の環境に貢献する“エ
レクトライク”を見せ
て下さい。本日はお忙しいとこ
ろ有り難う御座いました。

株式会社rimOnO
代表取締役社長
伊藤慎介
株式会社JTBコーポレートセールス
ソーシャルソリューション事業推進霞が関第一事業部
営業第一課チーフマネージャー環境マーケットプロデューサー
黒岩隆之
TheTRUCK2018年2月号26
スイスから学ぶ
新しい交通サービスの可能性
訪日外国人観光客が急増しています。約10年前の2007年に837万人だった訪日観光客
は、2013年から急増し、昨年は2400万人、今年は2800万人を超えました。
JTBというと海外のパッケージ旅行会社というイメージが強いですが、そういう中で
黒岩さんは訪日外国人観光客向けの様々な革新的な取組をされています。旅館にシェア
電気自動車を設置し、宿泊客向けに2次交通手段を提供するサービス、成田空港や
羽田空港に降り立った観光客が手ぶらで観光できるラゲージフリーのサービスなどです。
黒岩さんの取り組みの背景には、スイスで行われているマルチモーダル交通サービスで
ある「スイス・モビリティ」がモデルになっていると聞いています。
このところ、自動車業界ではMaaSことモビリティ・アズ・ア・サービスというキーワードが
もてはやされ始めています。自動運転、カーシェアリング、ラドシェアリング、マルチモーダル
交通サービスなど、移動に関する様々なサービスを総称している言葉です。
黒岩さんが取り組まれている日本版スイス・モビリティはMaaSの先駆けのような取り組み
ですので、今回は黒岩さんからスイス・モビリティとは何か、JTBがなぜそれに取り組む
のかについて伺ってみたいと思います。
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界④

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TheTRUCK2018年2月号27
伊 藤 まずは、なぜJTBがインバウンド向
けサービスに注力されているのか、その背景か
ら教えていただけますか。
黒 岩 そもそもJTB(ジャパン・トラベル・
ビューロー)の設立は1912年で、今年3月
に107年目を迎えます。設立当初は訪日、つ
まり外国からのお客様を日本に歓待をして、日
本国内にお金を落としてもらう国策事業からス
タートしています。
 当時は旅行者の方に船で日本に来ていただ
き、現在の東京を中心としたエリアの観光や、
外国人の方が切り拓いた箱根、伊豆、日光など
に鉄道を使って訪問していただくための宿の手
配やチケット販売から始まりました。
 その後、日本人が欧米やリゾート地などの海
外旅行に行くことがブームになっていったた
め、JTBは海外旅行のパッケージ商品などの
企画、販売へとシフトしていき、パッケージ旅
行で有名な会社となりました。
 インバウンド観光は、我が国
の力強い経済を取り戻すための
成長分野として小泉内閣で制定
され、そこから我が国は観光立
国を目指すようになりました。
経済波及効果の大きい観光は、
急成長を遂げるアジアをはじめ
とする世界の観光需要を取り込
むことにより、地域活性化、雇
用機会の増大などの効果を期待
されています。
 JTBにとって、インバウン
ド観光客を対象としたビジネス
を推進することは、業態変革ではなく原点回帰
です。創業時の原点に立ち返っているような状
況だと思います。元官僚の伊藤さんを目の前に
して言うのは失礼かもしれませんが、小泉内閣
以前の政府は観光産業がもたらす経済効果を低
く見積もっていたように思われます。
 一方、ものづくりについては国内に製造拠点
を置くよりも人件費の安い中国や東南アジアな
ど海外にシフトすればコスト削減ができるよう
になりました。日本でものをつくる必要がなく
なることに加え、地方は人口減少と高齢化が進
展し、人口構成比が変わってきています。若者
が少なくなってきたため、工場はロボット導入
やAI化を進め、地方に職がないという状況に
なっています。
 東京一極主義で空洞化が進んでいる状況の中
で、地方の産業をこれから支えていく大きな
ファクターとして観光産業があると考えていま
す。定住人口が減った分を交流人口で埋めてい
くことが観光庁の狙いですが、定住人口の減少
とともに税収が減ってしまうとなると、社会イ
ンフラを維持する費用を外国から来るお客様に
頼らざるを得なくなっていきます。
伊 藤 地方で観光産業がもたらすメリットは
何ですか。
黒 岩 宿泊施設への雇用のほかにも飲食物も
地産地消でまかなっていけば、地域の農業と直

TheTRUCK2018年2月号28
結していきます。実はスイスがそういうことを
やっており、自国の商品を輸出するよりも観光
客に来ていただき、現地で消費をしてもらうこ
とで、非常においしいスイスワインが飲めるよ
うにしているわけです。生産量をあえて抑え、
輸出しないスキームで、「そこに来なければ味わ
えないもの」をアピールし、食べ物に関しては
地産地消を徹底的に進めています。
 スイスでは観光産業が地域経済の下支えとな
る仕組みをきちんと構築していますが、日本も
大いに学ばなければいけないでしょう。地方創
生の大きな一翼を担う産業として、観光産業と
いうのは大きなポテンシャルがあることが統計
データにも如実に表れています。
 また、中国人の観光客は、以前話題にもなっ
た「爆買い」に象徴されるように日本人には到底
太刀打ちできない大金を使われる方もおりま
す。観光立国を目指す意味では、「日本人相手
の商売から外国の方対象の商売へのシフト」
キーワードになるかと思います。
 更に、日本人の中でも東京から地方への交流
人口を拡大していく必要があると思います。
󱢠󱢴󱢫󱢊
中戦略で観光客を取り込む
伊 藤 アジアの経済はここ10年、20年成
長が目覚ましく、日本よりも相当な勢いで富裕
層化しています。そこにインバウンドを取り込
むビジネスチャンスがあったということでしょ
うか。
黒 岩 確実にあります。地政学的に日本を中
心とする周りの国は、幸か不幸か富裕国があま
りありませんでした。後進国といわれてきた中
国は20数年前に北京に行っても馬車が走って
いました。それが今や経済大国です。
 十数年前には、今のようにタイの観光客が日
本で大金を落としてもらうことになろうとは全
く考えが及びませんでした。
 ヨーロッパはイギリスなどが早くから経済大
国となり成熟していますので、フランスやスイ
スがまさしく観光立国となりました。ヨーロッ
パの各国は陸続きですので基本的に陸路からの
入国が可能です。ところが日本は島国なので、
陸路による入国はできません。そのため、入国
が空港か海港に限られ、ビザ要件が観光客の数
に大きく左右されるようになっています。
 そういう中で近年、日本を取り巻く国が非常
に豊かになっていきました。アクセスビリティ
に関して、日本にはたくさん空港ができました
し、LCCを使えば高い料金を払わなくても飛
行機で気軽に来られるようになりました。これ
により日本はこれから観光産業で稼いでいける
だけの十分ポテンシャルがあるところまでに
なっています。
 そこでJTBとしても日本人を海外にお連れ
する「発地型」ビジネスモデルから、海外のお客
様に日本に来ていただく「着地型」のビジネスを
重視するようになりました。国内にお金を落と
していただき、それを経済発展や地方創生にい
かにつなげていくか、これからその戦略を練っ
ていくところまで来ています。
伊 藤 うちの事務所の近くではよく中国人の
パッケージ旅行客をよく見かけますが、大きな
観光バスに乗せられて中国人が経営する中華料
理屋でランチを食べているようです。そういう
姿を見ていると中国人観光客が必ずしも日本企
業に経済効果をもたらしているように思えない
面もあります。
黒 岩 仰る通りの面はあります。インバウン
ドが好調なため「JTBさんは儲かりますよね」
とよく言われるのですが、残念ながら、実はそ
れほどでもありません。インバウンドのお客様
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界④

TheTRUCK2018年2月号29
の多くはJTBから航空券を買っていませんか
ら。
 日本のお客様が海外に行かれる際の航空券は
JTBから購入していただくことが多かったで
すが、近年では日本の旅行代理店を介さず、エ
クスペディアなどのオンライン・トラベル・エー
ジェンシー(OTA)から直接購入されるケース
が増加しています。
 しかし、海外から来られるお客様は大多数が
海外の旅行代理店から航空券を購入されていま
す。インバウンドが増えたからといっても、実
はJTBのシェア率は15%くらいなのです。
伊 藤 そんなに少ないのですか。それは驚き
ですね。
黒 岩 弊社では発地型ビジネスモデルに重点
を置いていましたから、在外支店の役割は日本
から来たお客様をお迎えする、受け入れをする
ことが主業務でした。中国の方を日本にお連れ
するという業務は存在していませんでした。
伊 藤 逆にアウトバウンド(日本発の海外旅
行)だとどれくらいのシェア率なのですか。
黒 岩 それでも25%程度です。インター
ネットの普及によってオンライン・トラベル・
エージェンシーが台頭し、ホテルやエアライン
が直接お客様とつながってしまったことが大き
いですね。
伊 藤 それでは、インバウンド観光客を取り
込むうえでどういうことを考えていらっしゃる
のでしょうか?
黒 岩 店舗運営を進めながら、オンラインで
も取り込むことが一つです。これからはオンラ
イン・トラベル・エージェンシーを利用して個
人旅行で来日されるお客様が増えていくと考え
ており、「旅
󱢠󱢴󱢫󱢊
中戦略」と私は呼んでいますが、旅
の最中にいかにお金を落としていただけるかを
狙っていきたいと考えています。
 例えば、日本文化の体験の旅など、お客様が
望まれるサービスのご提供です。また、レンタ
カー、乗り合いタクシー、カーシェアリングと
いったモビリティ・サービスにどう結び付けて
いくかも重要です。シェアリングエコノミーの
時代において、我々がアグリゲート(パッケー
ジ化)する仕組みを作っていけるのかが今後の
勝負です。
旅館に電気自動車用充電器を設置した
 ユニークな取組とは
伊 藤 次にモビリティ、移動と関係する話に
ついてもう少し詳しくお聞きしたいと思いま
す。象徴的なものとして、JTBでは充電スタ
ンドの補助金を使いながら、旅館に充電器を設
置し、観光客が使えるモビリティ・サービスを
提供されていますが、どういうサービスなのか
をお聞かせください。
黒 岩 今から6年くらい前ですが、本格的
な電気自動車の普及促進を目指す経済産業省は
充電インフラづくりに着手しました。
 そこで浮彫りとなった課題は、電気自動車の

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TheTRUCK2018年2月号30
走行距離と充電時間です。ガソリン給油のよう
に数分間で満タンにできないため、充電イン
フラ網構築は必須条件となりますが、そこで
JTBができることは何かを考えました。
 充電時間が長い電気自動車の特性上、目的
充電の代表格に当たる、宿泊施設は充電の親
和性が非常に高いだろうと考え、まずは旅館、
ホテルの宿泊施設に充電器を入れていくべく
お声がけを始めました。
 熱心に旅館やホテルに電気自動車の有用性を
説きましたが、そもそも当時では見たことも運
転したこともない乗り物です。宿泊施設側が手
弁当で投資して充電器を付けていただく必要性
はなかなかご理解いただけませんでした。
 そこで考えたのが、宿泊施設に無償で充電
器をご提供するビジネスモデルです。運のよ
いことに国からの手厚い補助金が予算化され
た事に加えて、ステークホルダーとなる自動
車メーカー4社から資金を提供していただ
くことができました。ただ、JTBは土地を
持っていませんので、宿泊施設には充電器の
設置場所と電気自動車の駐車場を無償でご提
供いただく代わりにこちらは充電器を提供す
ることにしました。本来であれば数十億円の
投資をしなければいけないものですが、非常
に安く充電器を仕入れたことで実現できたわ
けです。
 自動車メーカーは電気自動車を販売する際
に、お客様に対して充電インフラを使うための
会員サービスを提供しなければいけませんの
で、そのサービスのインフラ提供をJTBが担
うことにしました。JTBでは2,600器の充電
器を所有しており、それらの全てがネットワー
クにつながっているので会員サービスが提供で
きたのです。
伊 藤 すべての充電器がネットワークにつな
がっていることは素晴らしいですね。
黒 岩 観光客が訪問するとCO
を出します
し、ゴミも出るわけです。だからといって、環
境負荷につながるから人が観光地に行かないよ
うにするという話にはできませんし、そうなる
とビジネスが成立しません。矛盾はあります
が、可能な限り環境負荷が小さいツーリズムを
作っていかなければならないと考えています。
 そのためには、大量輸送に向いている一次
交通機関としての列車やバスで長距離は動い
ていただき、なるべくマイカー
を使わないツーリズムを作って
いく必要があります。そうする
と駅やバスターミナルから目的
地までを移動する二次交通、三
次交通がどうしても必要になり
ます。
 そこで、旅館に充電器を設置
し、電気自動車を置いてカー
シェアリングという形で回すこ
とができれば、自家用車で来て
いない観光客の人たちが現地で
の車移動に利用することが可能
となります。路線バスが2時間
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界④

TheTRUCK2018年2月号31
に1本しか通らないなど、二次交通が非常に
脆弱な地方では、旅館の軒先に止まっている車
が使えれば非常に便利です。レンタルサイクル
と同じような仕組みですね。
伊 藤 利用料金はどのくらいですか。
黒 岩 施設さまで自由に設定できますが、
15分、30分、3時間単位など地域特性に応
じて設定が可能となります。(例:6時間4,000
円等)こうやって誰もが使えるクルマを置くこ
とで、観光客の移動だけでなく、旅館やホテル
の従業員の方の通勤用や送迎車、社用車をカー
シェアリングに切り替えていきたいと考えてい
ます。
 世の中の乗用車は9割以上の時間は駐車し
ているといわれています。10%しか稼働して
いないということは、残りの9割はコストに
なっているだけです。旅館の送迎車も同様で、
お客様がチェックインした後は眠っている状態
です。宿泊しているお客様が夕食までに近くの
観光地を回る際やお買い物に足が欲しい際に、
旅館に置いてある社用車をぷらっと貸すことが
合法的にできれば、非常に便利です。
 こういう仕組みが便利だということは以前か
らわかっていたのですが、合法的に貸し出す仕
組みがありませんでした。それをカーシェアリ
ングという仕組みにしてしまえば三方良しとい
うか、全ての課題が解決できます。
伊 藤 でもわざわざ電気自動車にする必要は
あるのでしょうか。
黒 岩 旅館、温泉街は山間部等の僻地にある
ことがほとんどです。近年はガソリンスタンド
の閉鎖が増えていて、私が知る限りでは半径
20㎞以内にガソリンスタンドがないというよ
うな宿泊施設もあります。ガソリンを入れるた
めだけにわざわざ20㎞、往復で40㎞走行す
ることもしばしばあるそうです。
 ところが、電気自動車にしておけば、夜間に
旅館で充電器につないでおくだけで翌朝には満
タンになりますので手間がかかりません。イニ
シャルコストは高いのですが、ランニングコス
トは非常に低く、電気代はガソリン代の10分
の1以下です。地方、特に島嶼部のガソリン
はリッター190円もしますのでよりメリット
が出しやすくなります。
 私がヒアリングしたところによると、那須塩
原の宿泊施設では1台だけでも1か月5~6万
円程度のガソリン代がかかっているそうです。
一方で、旅館は高圧電力契約をされているとこ
ろがほとんどですので電気自動車が1台増え
ても電気代の基本料金が大幅に上がることはあ
りません。ということは1年間のガソリン代
全てがほぼコストカットにつながるわけです。
 お客様に移動の足を提供することによって、
旅館から離れた風光明媚な滝を見に行くとか、
体験型のツーリズムも提供できます。トレッキ
ングもいいですね。自然や環境にやさしい仕組
みであるだけでなく、地域活性の一つの柱にな
り、宿泊施設に対してコスト削減やお客様の利
便性を提供するソリューションになります。

TheTRUCK2018年2月号32
伊 藤 充電器を無償で設置することで、
JTBはどこで儲けを出すのですか。観光パッ
ケージで回収していくことになりますか。
黒 岩 例えば富士山では山頂から5合目ま
では自家用車の乗り入れを全面的に禁止してい
ます。ところが昨年から燃料電池自動車と電気
自動車に関しては乗り入れを許可するようにな
りました。こういう流れは新しいツーリズムを
生む可能性につながります。
 これまでは5合目まで行こうとすると満員
の定期バスに乗って行くしかなかったですが、
これからは電気自動車さえあれば自分たちで行
けることになり便利になります。また、登山す
ることが難しいご老人や足腰の不自由な方でも
おいしい空気の吸える五合目まで行っていただ
くことが可能になります。
 インバウンドの観光客は自家用車で日本に来
ることはできません。そういうお客様がこれか
らは年間数千万人の頻度で来日されるわけで
す。1次交通は電車なりバスで移動していただ
き、地域の2次交通は電化された車両を使う
ことによってCO
を抑制しながら自由に観光
していただくツーリズムが作れます。外国人観
光客だけではなく地域住民の移動の足にもなり
ますので、地域の課題解決と地域活性化につな
がっていきます。
 JTBではこのようなサービスを全ての電気
自動車メーカーと提携し、観光客以外のお客様
も含めてサービス提供していますので、電気自
動車が売れユーザーが増えれば充電器の利用
料がJTBに入ることになります。こういう取
り組みによってMaaSのようなモビリティ新
サービスの一翼を担うことはできるのではない
かと考えています。
オンデマンド交通で地域経済を支える
伊 藤 電気自動車以外ではどのようなモビ
リティ事業を推進していらっしゃるのでしょ
うか。
黒 岩 その他にモビリティに関して進めてい
るのは「オンデマンド・ライドシェア」です。
NTTドコモ、函館未来大学、未来シェアと一
緒に組み、地域経済や地域移動を支える二次交
通として乗合バスを使うツーリズムに取り組ん
でいます。
 人口減少に伴い、地方の公共交通機関である
バスや電車はどんどん縮退していますが、一方
で高齢者は免許返納を推奨されています。そこ
で、1時間に1本、2時間に1本程度の路線
バスを運行させる代わりに、乗る人のニーズに
合わせてバスを動かしていくのが「オンデマン
ド・ライドシェア」です。乗降のデマンドがあ
る場所を選んでバスを走らせていきます。30
人が乗る場合は大型バス、5人であれば小さい
車を動かしていくなど、フレキシブルに対応す
ることができます。
 今乗りたい、ここに行きたいという要望を全
部吸い上げ、AIを活用して最適ルーティング
化していき、乗り合いを発生させていきます。
乗客が一時的に借り上げる形のタクシーに比べ
て、オンデマンドバスは同じ方面に行く人たち
で乗り合いすることでコストシェアをし、安価
に運行することができるわけです。
 これから国土交通省がタクシーの定額料金の
実証実験を開始しますが、我々ではそれに先立
ち実証実験を行う予定です。
伊 藤 具体的にはどのような料金イメージと
なりますか。
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胎動する次世代ビークルの世界④

6$9峘ણ৷ق౞ਟ崟崏崊¼177崱崛嵊¼-7%ك
6$9峘ણ৷ق౞ਟ崟崏崊¼177崱崛嵊¼-7%ك
TheTRUCK2018年2月号33
黒 岩 タクシーの定額料金に近くなると思い
ます。東京23区内で1日タクシーを貸し切
りにすると1台あたり数万円かかりますが、
乗り合いとすることで、海外から来ているお客
様、もしくは地元住民のお客様に対して例え
ば、1日5,000円で乗り放題にするといった
料金設定が可能です。公共交通機関のようでい
て公共交通機関ではないため、超えないといけ
ない法律の壁や、既得権益との調整などは出て
きますが、実際にサービス
提供できるようになれば地
方の地域住民や外国人観光
客の方々には重宝されると
思います。
伊 藤 アメリカのUBER
のようなライドシェアにつ
いてはタクシー業界が反対
していますが、一方で中国
人観光客による白タクが横
行しているといううわさを
聞きます。
黒 岩 日本に来る中国人
観光客は、自家用車で日本
に来ることはできません
し、中国はジュネーブ協定
に加盟していないため日本
でレンタカーを借りること
ができません。一方で、バ
ス路線はわかりにくいうえ
に荷物が多いと乗りにく
く、最終的にはタクシーに
乗る以外に選択肢がありま
せんが、タクシーは彼らに
とって料金が高いと感じる
ようです。
 そこで、中国国内で利用
している中国版UBER(滴滴出行)のようなラ
イドシェアサービスを日本でも内緒で使えな
いかということで、非合法な白ナンバーのタ
クシーが地方や都内で走り回っているのが実
情です。
 先日訪問した河口湖では、駅前に大勢の中国
人観光客が待機していましたが、地元のタク
シー運転手は彼らを素通りして日本人だけを乗
せていました。中国人観光客が白タク紛いの

TheTRUCK2018年2月号34
サービス待ちであることは地元のタクシー運転
手の間でも周知の事実になっているようです。
せっかくの収益機会を白タク紛いのサービスの
せいで失っているのは大変残念です。
伊 藤 確かにそうですね。機会損失をなくし
つつ、地元経済にも貢献する仕組みがあるとい
いですね。
黒 岩 実際、オンデマンド・ライドシェアの
仕組みは、二次交通を観光客と地元住民に提供
することで移動の問題を解決できる仕組みで
す。ただし、この仕組みを現行の法律で導入す
る場合に壁があるのであれば、実は旅行商品に
するという道があります。
 特定多数のお客様に対し、空港からホテルま
で行く送迎バスをJTBが仕立て、お客様に自
由に乗っていただくといったサービスを提供し
たりしますが、これと全く同じ考え方ですね。
 旅行会社が旅行商品として販売することに関
しては現行の法律で対応できます。一方で、タ
クシー事業者が乗り合い料金を設定するには法
律に基づいて運用を変える必要がありますし、
途中で乗ってくる人のために料金メーター
10個も20個も付けるのかといったメーター
の扱いのような話も議論になりそうです。
 地方における移動の問題の解決策となるだけ
でなく、人が動けばそこにお金が落ちるため、
経済の活性化をさせる一つの手段としても意味
のあるこの仕組みを我々が提供していくことは
大きな使命だと考えます。
シェアが進めばクルマの形も変わる
伊 藤 オンデマンド・ライドシェアを行う上
で車両側に求められる要件はありますか。
黒 岩 知り合い同士で乗り合いをする場合
は通常のセダンで大丈夫ですが、全く知らな
い男女が狭いセダンに横に乗り合う形になっ
てしまうと乗り合いが成立しなくなります。
したがって、トヨタのジャパンタクシーや日
産NV200といった座席の間に余裕のある5
人乗り、7人乗りの車である必要があるでしょ
うね。そうやってユーザー側のニーズに応え
ていくとクルマのデザインも変わってくるか
もしれませんね。
 これからは、メーカー側の発想でプロダクト
アウトでクルマを販売していくのではなく、
サービス・プロバイダー側にクルマの仕様を合
わせていくようになっていくのではないでしょ
うか。まさしくそれこそがMaaSのあるべき
方向性だと思いますが、そういった方向性は今
回実証する予定のオンデマンド・ライドシェア
や既に実証を始めている貨客混載にも当てはま
ります。例えば、ヤマト運輸の配達員が配
達できない荷物は、乗り合いタクシーの運
転手が代わりに配達して、1個あたりいく
らと決めた手数料を受け取ればいい。そう
いう仕組みにすることで地元経済が回って
いきます。
 JTBとしては、住んで良し、訪れて良
し……の街づくり、都市づくりのシステム
という観点でも取り組んでいかなければな
らないと思っています。今やOTAなどの
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胎動する次世代ビークルの世界④

TheTRUCK2018年2月号35
インターネットビジネスの進展によって旅行代
理店としての飯の種がなくなる瀬戸際まで来て
いると私は考えています。私どもJTBとして
は、IoTやAIを活用しながら地域に貢献する
社会システムに入っていかない限り、存在意義
が薄れていくのではないかという危機感を持っ
ています。
人と荷物を分離することで
 新しい観光需要を創出する
伊 藤 ところで、オンデマンド・バスという
と導入している地方自治体が数多くあります
が、実態を聞くとオンデマンドとは程遠く、一
日前に予約しないといけない、週末は運行しな
いなど不便極まりないというケースもあると聞
きます。その点について、黒岩さんはどう見て
いらっしゃいますか。
黒 岩 仰る通り全然オンデマンドになってい
ないと思います。一方で、路線バスには膨大な
補助金を投入して空バスで運行するということ
が起きています。それらを統合し、ユーザーの
ニーズに合致した形で運行するとともに、コス
トシェアして安く使えるようにしていかなけれ
ばならないと思います。
伊 藤 外国人観光客がスーツケースを持たず
に観光できるようにすることで、思い付きで途
中下車して観光していただくようなことを狙っ
ているという話を伺ったことがあります。な
ぜ、そういうことを狙っていらっしゃるので
しょうか。そこに潜在的な需要があるのでしょ
うか。
黒 岩 1次交通である鉄道や高速バスの場
合、乗客の移動料金は支払っていただいていま
すが、乗客が持ち込んだ荷物の料金については
別途支払っていただくようなことはしていませ
ん。ですので、通勤電車に大きなトランクを持
ち込まれるなど運送事業者としては料金を収受
せずに荷物を運ぶ結果になっています。
伊 藤 それは確かに機会損失ではありま
すね。
黒 岩 私は成田空港からのアクセス特急が走
る北総線沿線に住んでいるのですが、朝の通勤
電車に乗ると成田空港からの外国人旅行者が5
人掛けのシートに荷物を置いて2〜3人しか
座っていないといった光景をよく目にします。
地元の住民からするとエッと思うわけです。
 観光客を受け入れる側にとって面白くない話
ですし、外国人観光客にとってもあえて早朝に
到着する便に乗りたかったわけではなく、単に
航空料金が安いからその便になっただけで、
まさか6時台の特急電車に乗ると通勤の日本
人がそこまでたくさん乗ってくるとは思っていな
かったはずです。こういうことが頻繁に起きると
車内トラブルにつながる可能性が高くなります。
 今後、外国人観光客が4,000万人や5,000
万人が訪れるようになったら更に深刻になりま
す。だからといって、そのために駅のホームの
長さを伸ばしたり、車両を長くしたり、運行時
間を短縮したりすることはもはや東京の鉄道で
は無理だと思います。
 その結果、どうなるか――、人と荷物があふ
れてしまいます。その解決策として荷物を別に
動かすことを考えなければならない。そもそも
なぜ荷物を持ってホテルに行きたいからという
と荷物を早く預けたいからです。ところが、日
本のホテルの場合、通常、チェックインは15
時以降でないとできません。
 実は訪日する外国人観光客のうち、団体旅行
ではないお客様の大半はジャパン・レール・パ
スを購入しています。5日間で3万円〜4万

2
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खञ؛ऒोमॹ५ॸॕॿش३ঙথधखथ੅ਢ૭ચਙ॑ଦൟखؚঽே॑௫खाऩऋैु඿ిऩ൒ষऋ௫
खीॊऒध॑॥থ७উॺधघॊ൒ষ॑௫ख॒दुैउअधःअ਄ॉੌा؛५ॖ५भ৆ਿਃঢ়ृড়৑੫
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५ॖ५؞ঔঅজॸॕभ໪ਏ
TheTRUCK2018年2月号36
円でJRの一部の新幹線や特急、バスが乗り放
題なのですから。
 しかし、東京・大阪間を移動する場合、大き
な荷物があるため途中下車しないまま真っすぐ
大阪、京都まで行ってしまう観光客が大半で
す。乗り放題のチケットなのですから、本来で
あれば、途中下車をしたとしても運賃は変わり
ません。
 もし、荷物が別に移動して手ぶらになれば途
中下車して立ち寄りすることができます。例え
ば、焼津で降りればおいしいマグロがあります
ので食事をとってから関西方面に向かうことが
できます。このように立ち寄りをするようにな
ると、必ず何か消費が発生します。ジュース一
本購入するだけでも4000万人が100円を支
払えば40億円の経済効果となり
GDPに大きなインパクトをもた
らします。
 実際には1回の立ち寄りで
100円ということはなく、多い
人は1万円、2万円と使うわけ
です。荷物があるため今はその
消費が生まれていないのです。
 単純に荷物と人の流れを分ける
ツーリズムを作るだけなのです
が、そういうことを全体としてう
まく回る仕組みを作っていけば地
域に対して社会貢献できる仕掛け
ができるのではないかと考えてい
ます。まさしくスイスが取り組んでいるスイ
ス・モビリティはそういう仕組みなのです。
スイスモビリティで大成功した
 観光立国スイス
伊 藤 スイス・モビリティの中身について、
もう少し詳しく説明していただけますか。
黒 岩 スイスの国土は九州の面積に匹敵しま
すが、モータリゼーションが発達する前から鉄道
網が張り巡らされ、バス路線網も非常に発達し
ています。ツェルマットのような4,000m級の山
まで電車で行くことができて、ホテルは3,000m
級の位置にあります。これは第二次世界大戦前
に出来上がっていたインフラの名残です。
 そして、そういう交通インフラを日本でいう
昔の国鉄にあたる企業がほぼ独占しています。
一つの会社が全ての交通インフラを独占又は提
携しているため、全てを網羅したフリーパスを
簡単に作ることができます。
 しかし日本では同じようにはいきません。か
つてある地域でバスのフリーパスをJTBが中
心になって作りましたが、相当骨を折りまし
た。運行会社間での運賃の分配が問題となり、
現場ではドライバーの目分量か乗車人数を記述
して記録していたのですから(笑)。
伊 藤 いつの時代ですかって言いたくなりま
すね。
黒 岩 日本では構築できない仕組みをスイス
は既に完成しています。ツェルマットのような
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界④

ইজشঃ५
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ٴছ।ش४१شঅ५قക৑؞૬௃ك
হ୻⋇ ५ॖ५؞ঔঅজॸॕ
TheTRUCK2018年2月号37
有名な観光地には世界中から人が訪れますが、
ツェルマット以外の地方にはなかなか人が行き
ません。
 実は、ツェルマットから奥へ行けば行くほど
牧歌的ですごくきれいな景色がたくさんありま
す。そういう場所へアクセスするために最初は
サイクリングロードを作ったのですが、その
後、トレッキングやカヌー、ローラースケート
などでアクセスできるようにしていきました。
 公共交通機関で移動してきた結節点である
バス停や駅から観光地までつながるトレッキング
コースを有機的に結び付けているわけです。こ
れによってバスと徒歩によるツーリズムが可能と
なるのですが、そうなると荷物が邪魔になります。
 乗ってきた電車から自分は降りますが、荷物
は貨客混載で次の駅まで運ばれていき、そこで
係の方が下ろしてくれるわけです。その荷物は
次の宿泊施設のスタッフが取りに来てくれ、お
客様が宿に到着すると荷物が届いているという
仕組みです。今もやっているかわかりませんが、
スイスエアラインでは成田空港で荷物を預ける
と、スイスの空港でピックアップしなくても目
的地のホテルまで届けるサービスを展開してい
ました。自転車を借りる場合も、インターネッ
トで事前に予約を入れることができます。仮に
トレッキングやサイクリングに疲れ
てしまって途中でギブアップしたい
場合は次の結節点まで行くとバス 
に乗れる仕組みも作られています。
 そうやってスイス国内をあらゆる
移動手段を使って観光できるように
するためにインターネットで予約で
きるプラットフォームを作ったのが
スイス・モビリティです。当初は
10人くらいで構築された仕組みで
すが、現在では推定で年間600億
円の売上となっています。人力で移
動するアウトドア・アクティビティ
と公共モビリティを組み合わせて、安いコスト
でサービスを提供するというのが大きな特徴で
す。今まで人が行かなかった名所にも人が動き
出すようになる回遊、周遊の仕組みですね。こ
のようなスイス・モビリティの仕組みは私が日
本で実現したいと考えている仕組みの大きな目
標になっています。
伊 藤 日本では具体的にどのように実現した
いとお考えなのでしょうか。
黒 岩 日本の場合、公共交通機関は網の目の
ように張り巡らされていますし、道路網も同じ
ように整備されています。そういう意味でスイ
スがよいお手本になると考えました。日本でも
地方にどう観光客を回遊、周遊させていくかが
大きな答えになるでしょう。
 ただ、日本では交通事業者が都道府県ごとに
分かれていて、観光政策も都道府県ごとにバラ
バラです。横串を指すプラットフォームは国が
やればいいと思うのですが、交通事業者が全て
民営化された今ではなかなかそれもできない。
バスの乗り放題チケット1枚作ることもなか
なかできませんし、JRも地域会社ごとに分社
化されていますのでJRが音頭を取るというわ

TheTRUCK2018年2月号38
けにもいかない。そこで誰ができるのかという
と、色が付いていない旅行会社であるJTBこ
そ横串でつないでいけるのではないかと。そこ
にJTBの使命があると考えています。
伊 藤 スイス・モビリティが面白いのは、モ
ビリティというと移動体というイメージがある
ので、自動車とか鉄道とか飛行機とかイメージ
するのですが、自分で動くサイクリング、ハイ
キング、スケート、カヌーまでをモビリティと
定義していることです。この発想は斬新です
ね。黒岩さんのおっしゃる通り、アクティビティ
という目で見ると、自分で移動することも含め
て全てをパッケージ化できることはものすごく
大きな魅力ですね。
黒 岩 最近では予約をしないで旅をする人が
増えています。「マイクロモーメント」と呼ばれ
ていますが、SNSやOTAなどのインターネッ
トサービスの普及によってその時の気分で旅行
の計画を決める人が急速に増えています。
 例えば、熊野古道にガイドの予約もなしに来
られる外国人観光客がかなりたくさんいらっ
しゃいます。実は、そういう方々にその日に予
約できるサービスを提供したところ月に400
万円の売上となりました。そういったマイクロ
モーメントのニーズを取り込むことができれば
地域にとっておおきな経済効果をもたらすと思
います。
 更に、私は通勤も「旅」だと考えています。家
から会社に通うだけではなく、アフター5に
1か所どこかに行ってみることができれば「旅」
になります。NTTドコモさんが展開されてい
る自転車のシェアリングなんかもそうですが、
電車に乗るという縦の動きしかなかったもの
が、自転車が介在すれば横の動きも出てくる。
 途中で立ち寄りすればお金が落ちますので、
そういう仕組みを旅行会社が介在して作るこ
とができれば、「旅行」していないお客様からも
フィーを頂ける可能性が出てきます。このように
JTBがハブになって様々な移動サービスを多く
のユーザーに展開していくことができれば新しい
収益の柱を作れるのではないかと考えています。
シェアすれば97%の乗用車は
 不要になる
伊 藤 近年、日本の自動車産業は海外から追
い込まれていると感じています。自動運転、ラ
イドシェア、コネクテッドカーなどがどんどん
海外で進んできたことをきっかけに、最初は乗
り気ではなかった日本の自動車メーカーもよう
やく重い腰を上げつつあります。10年前は日
本が最先端だった電気自動車ですが、ふと気が
付いたら海外にどんどん追い越されてしまい、
ドイツ勢が宣言したことで世界的なEVブーム
になってしまいました。今では、何となく日本
が取り残されてしまっているような雰囲気に
なっています。
 自動車産業は日本経済を支える背骨のような
産業のため、ここでつまずいたら観光産業で盛
り上げたとしても全体として盛り返すことは難
しいと思います。そこでお聞きしたいのです
が、黒岩さんがサービスや観光の視点で自動車
産業を見られている中で、産業界は何が課題で
これからどうしていけばよいのか示唆していた
だきたいのですが。
黒 岩 実証実験を行ったオンデマンド・ライ
ドシェア「SAV」では、長い期間を経て、ある
程度の利用効率とログが取ることができまし
た。その蓄積を使ってシミュレーションしたあ
る都市では約20万人の人口に対して10万台
もの自動車が使われています。そこで全ての自
動車を「所有」から「共有」に切り替えると何台の
クルマが必要になるかと仮定してコンピュータ
The Next Vehicle World
胎動する次世代ビークルの世界④

TheTRUCK2018年2月号39
で計算したところ、たった3,000台あればい
いという結果を導き出しました。
 97,000台がいらないということは、その分
の駐車スペースも不要になります。その中には
一等地にある駐車場もありますので、そういう
土地の有効利用が可能になります。
 実は、仮にそうなっても自動車メーカーはあ
まり困らないと思います。海外に販売をしてい
けばいいのですから。しかし、販社は確実に厳
しくなりますね。更には、エネルギーを供給し
ているガソリンスタンドも同様です。
 一方で、次世代のモビリティ・サービスを
展開する会社してどこが最適かというと、プ
ロダクトを安く仕入れることができる自動車
メーカーや自動車ディーラーに強みがあると
思います。彼らはクルマを売るのではなく、
クルマを使った新しいサービスを提供する
「サービス・プロバイダー」に変革をすればい
いと思います。
伊 藤 自動車メーカーではなくなるわけですね。
黒 岩 サービス・プロバイダーの視点から考
えれば、サービスに適したクルマとしてどうい
う車がいいのか――。例えば、デザインを統一
し、用途に応じてソフトを変えた、エアコンや
カーオーディオ、或いはシートのない廉価版の
車づくりをしていかないといけないでしょう
し、そういう市場を見たクルマづくりを追求し
ていかなければなりません。
 海外で実験しているような完全自動運転車を
日本で売ろうとしても意味がありません。なぜ
かというと日本の路上ではどんなに技術が進ん
でも人が飛び出してくるので危ないからです。
だからと言って、日本はできないと諦めてしま
うのか、ヨーロッパだったらできるものを日本
はやらないでいくのか、官民含めて進めないと
日本はどんどん置いて行かれると思います。
伊 藤 そうですね。海外のほうが積極的にやっ
ているのは間違いないですね。どうしても日本で
は産業構造によって今あるものを維持しようする
力学が働きやすい。今年はそこを変えていく取り
組みを起こしていきたいと考えています。
黒 岩 そうですね。できる範囲で外から変え
ていくくらいの勢いでやっていかないと間に合
わないと思います。オリンピックは一つの大
きな変革点だと思いますが、2020年のオリン
ピックはもうすぐですので。
 JTBでは「第三の創業」を標榜して、今まで
のビジネスモデルからの転換を考えている最中
です。店舗からインターネットでの受注に切り
替えるといった形態変化ではなく、仕組み自体
を一から変えていくつもりです。レッドオー
シャンに飛び込む覚悟で、エクスペディアのよ
うなメガ・オンライン・トラベル・エージェン
シーとも競争できるよう向かっていきますが、
勝つことは難しいかもしれません。
 やはり彼らとは違う意味合いで我々の存在意
義を作っていかなきゃいけないと思います。
JTBは日本の旅行会社なので日本をどうしてい
くのかにこだわっていきたい。グローバリズム
を考えながらも、日本の地方創生を推進し、観
光立国を推進する、原点回帰しながらJTBを
そういう会社にしていきたいと考えています。
伊 藤 素晴らしいお考えに伺うことができ
て、有意義な対談となりました。本日はどうも
ありがとうございました。

移動、物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービス(MaaS)専用の次世代EV“e-PaletteConcept”
TheTRUCK2018年2月号40
モビリティサービス専用EV“e-PaletteConcept”
車両制御インターフェースの開示で他社開発の自動運転制御キットが搭載可能
自動運転機能と自由度の高い車両設計によりトラック輸送の合理化にも期待が
次世代自動車◇ニュース

長距離輸送には大型の“e-PaletteConcept”を利用し、集配作業には、中
型サイズの“e-PaletteConcept”を利用するなど、トラック輸送の合理化にも
期待されている
TheTRUCK2018年2月号41
 トヨタ自動車㈱は、2018年1月9日㈫〜12日
㈮に米国ネバダ州ラスベガスの展示会場Sands
ConventionCenterで開催された世界最大の家電
ショー「2018InternationalCES」において、移
動、物流、物販など多目的に活用できるモビリティ
サービス(MaaS)専用の次世代電気自動車(EV)
“e-PaletteConcept”を出展した。
 CESは、消費者テクノロジービジネスに取り組
む人たちが世界から来場するB2B展示会で、市
場に導入される次世代のイノベーションが一堂に
集まることで知られている。主催はConsumer
TechnologyAssociation(CTA)で、ビジネスリー
ダーや先駆的な思考の持ち主を中心に、世界中から
55,000人以上が来場した。
 e-PaletteConceptは、電動化、コネクティド、
自動運転技術を活用し、移動や物流、物販など様々
なサービスに対応することで、人々の暮らしを支える
「新たなモビリティ」が提供できるMaaS専用次世
代EVである。将来は、複数のサービス事業者によ
る1台の車両の相互利用や、複数のサイズバリエー
ションをもつ車両による効率的かつ一貫した輸送シス
テムといったサービスの最適化を目指すものである。
また、サービス事業者のニーズに対応した内装を設
定することで、例えば移動中にサービスを提供し、
より有意義な移動時間へ変化させるなど、e-Palette

自由度の高い車両設計により多彩な仕様への対応が可能だ
車両制御インターフェースの開示による自動運転の仕組み
TheTRUCK2018年2月号42
Conceptが新たなモビリティサービスの創出に貢献
することを想定して開発されている。
 トヨタの豊田章男社長は、「自動車産業は今、電動
化、コネクティッド、自動運転などの著しい技術の進
歩により、100年に一度の大変革の時代を迎えてい
ます。トヨタは、もっといいクルマをつくりたい、す
べての人が自由に楽しく移動できるモビリティ社会を
実現したいという志を持っています。今回の発表は、
これまでのクルマの概念を超えて、お客様にサービ
スを含めた新たな価値が提供できる未来のモビリティ
社会の実現に向けた、大きな一歩だと考えています」
と語っている。
 トヨタは、初期パートナーとして有力企業とアライ
アンスを締結することで、より実用性の高い車両仕
様の検討や、e-PaletteConceptを活用した新た
なモビリティサービスを実現するモビリティサービス
プラットフォーム(MSPF)の構築を推進する。モビ
リティサービスパートナーとしてはAmazon.com,
Inc.、DidiChuxing、PizzaHut,LLC、Uber
Technologies,Inc.、技術パートナーとしてはDidi
Chuxing、マツダ㈱、UberTechnologies,Inc.
とアライアンスを組むことになっている。これらのア
ライアンスパートナーは、サービスの企画段階から参
画し、実験車両による実証事業についても一緒になっ
て進めていく予定だ。
 今後、2020年代前半には米国を始めとした様々
な地域でのサービス実証を目指すとともに、2020
年の東京オリンピック・パラリンピックで、一部機能
次世代自動車◇ニュース

“e-PaletteConcept”を活用したMaaSビジネスにおけるMSPF
TheTRUCK2018年2月号43
を搭載した車両でのモビリティとして大会の成功に貢
献していく計画もある。
 トヨタは、モビリティサービスプラットフォーマーと
して、クルマの新しい魅力・新価値を創造し、それ
が生み出すバリューチェーンを拡大することで、人々
の暮らしに役立つモビリティ社会に貢献することを念
頭に事業活動を行っている。e-PaletteConcept
は、それを実現する社会性の高いモビリティのひと
つであり、今後、本格的な実用化に向けた取り組み
を続けていくとしている。
e-PaletteConceptの特長
①低床・箱型デザインによる広大な室内空間を実現
 荷室ユニット数に応じて全長が異なる計3サイズの
車両を用意し、低床・箱型のバリアフリーデザインに
よるフラットかつ広大な空間に、ライドシェアリング仕
様、ホテル仕様、リテールショップ仕様といったサー
ビスパートナーの用途に応じた設備を搭載することが
できる。
 用意される3サイズは、4m〜7m前後の全長が想
定されている。なお、CES2018出展モデルは、全
長4,800㎜、全幅2,000㎜、全高2,250㎜となった。
②車両制御インターフェースの開示
 トヨタが培ってきた安全性の高い車両制御技術を
用いて開発した車両制御インターフェースを自動運転
キット開発会社に開示する。自動運転キット開発会社
は、自動運転キットの開発に必要な車両状態や車両
制御等を、MSPF上で公開されたAPIから取得する
ことができ、開発した自動運転キッ(自動運転制御
ソフトウェアやカメラ・センサー等)をルーフトップ等
に搭載することが可能となる。
 また、車両制御インターフェースは、外部からのサ
イバーセキュリティ対策に加え、自動運転キットから

オンラインショプでユーザーが興味を持つアイテムを載せたショプカー
「REALE-COMMERCE」
加工用の機械を搭載し、オーダーメドのアイテムを目的の場所まで届
ける「FABLAB」
ピザ窯を搭載し焼きたてのピザをデリバリーできるピザ屋仕様の
“e-PaletteConcept”
TheTRUCK2018年2月号44
の車両制御指令コマンドの安全性を一定のルールに
基づき確認するガーディアン機能を備えている。さら
に、MSPF上に整備されたOTA環境を用い、自動
運転キット上のソフトウェアを常に最新の状態に更新
することができる。
 ちなみに、API(ApplicationProgramInterfa
ce)はプログラミングの際に使用できる関数で、
その関数を呼び出すだけで機能を利用できる。ま
た、OTA(OverTheAir)は無線通信を経由し
て、ソフトウェアの更新を行うことができるシステ
ムである。
③ビジネスを支えるMSPF
 車両情報は、車両に搭載されたDCM(データコミュ
ニケーションモジュール)から収集し、グローバル通
信プラットフォームを介して、TBDC(TOYOTABig
DataCenter)に蓄積。その車両情報に基づき、車
両をリースや保険等の各種ファイナンス、販売店と連
携した高度な車両メンテナンスなどとあわせて提供す
るとともに、MSPF上で、車両状態や動態管理など、
サービス事業者が必要とするAPIを公開し、モビリ
ティサービスに活用できる。
 また、自動運転キット開発会社が、自動運転キッ
の利用やソフトウェアのメンテナンス更新といった自
動運転に関するモビリティサービスをMSPF上で提
供することで、サービス事業者は安全なモビリティを
次世代自動車◇ニュース

フレキシブルなプラットフォーム“e-PaletteConcept”はクルマと人とコ
ュニティを相互につなげるモビリティ社会実現のためのツールになる
ベッドを搭載した快適な室内スペースを提供できる移動型モバイルホテ
ル仕様の“e-PaletteConcept”
機動性を活かしお客のニーズにより営業展開できる移動レストラン仕様
の“e-PaletteConcept”
TheTRUCK2018年2月号45
利用することができ、自ら自動運転キットを選ぶこと
も可能となる。
 トヨタは、サービス事業者や開発会社とオープンに
提携し、新たなモビリティサービスの創出に貢献する
ことになる。
トラック輸送への展開に期待
 内外装を事業者の利用目的に合わせてカスタマイ
ズできるe-PaletteConceptは、トラック輸送業
界にとっても優れた効率化と利便性を提供できるも
のとして期待できる。例えば、長距離輸送では大
型のe-PaletteConceptを利用し、物流センター
から先の集配作業には、中型サイズのe-Palette
Concept、もしくは機動性に優れる小型EVなどを
利用することができる。さらに、自動運転が可能な
e-PaletteConceptを利用すれば、ドライバーが不
要となり人手不足に悩むトラック輸送業界の課題解決
にもつながるものと考えられる。
 初期パートナーにアマゾンやピザハットなど配送業
務を主体とする企業が参加していることも自動運転に
よる宅配システム構築の大きな力になるだろう。オー
プン化される車両制御インターフェースにより自社に
合った自動宅配システムを確立することも可能で、
集配業務の合理化に大いに貢献できるものと言える。
 自由度の高い車両設計により、自動運転のシャトル
バスや移動ショップ、移動オフィスなどに利用される
ことになるだろうが、やはり経済活動と密接な関係に
あるトラック輸送分野での今後の活躍に期待したい。

水素を充填するFCバス。東京オリパラ時には100台以上が稼働する
予定
米国で実験走行が行われているFCトラク。左はFC乗用車のMIRAI
TheTRUCK2018年2月号46
立するもの。
 新会社では、FCV普及初期における水素ステーショ
ン事業の諸課題を踏まえ、インフラ事業者、自動車メー
カー、金融機関等がそれぞれの役割を果たし、協調する
ことで、FCV需要の最大化が狙える水素ステーションの
戦略的な整備と、それを踏まえた着実なFCVの普及、
及び水素ステーション事業の自立化を目指すことになる。
■新会社の取り組み
▽水素ステーションの戦略的な整備
 新会社は、事業期間を10年と想定し、第1期とし
てまず4年間で80基の水素ステーションを整備するこ
とを目指す。着実な整備基数目標達成のために、表記
11社のメンバーだけでなく広く新会社への新規参画を
募る。
 自動車メーカーのトヨタ自動車㈱、日産自動車㈱、本田
技研工業㈱、インフラ事業者のJXTGエネルギー㈱、
出光興産㈱、岩谷産業㈱、東京ガス㈱、東邦ガス㈱、
日本エア・リキード㈱、金融機関等として豊田通商㈱、
㈱日本政策投資銀行の計11社は、2017年5月から燃
料電池自動車(FCV)向け水素ステーションの本格整備を
目的とした新たな協業についての検討を行い、このたび
新会社を2018年春に設立することで合意し、設立に係
る契約を締結した。
 新会社は、水素・燃料電池戦略協議会「水素・燃料電
池戦略ロードマップ」(2016年3月22日付改訂)の官民
目標(2020年度までに水素ステーション160箇所の整
備、FCVの4万台普及など)を踏まえ、表記11社を中
心にオールジャパンでの協業によりFCV普及初期におけ
る水素ステーションの整備を加速させる目的で新会社を設
水素ステーションの本格整備を目的とした新会社を
2018年春に関係11社が合意し契約を締結
次世代自動車◇ニュース

水素ステーションの本格整備を目的とした新たな協業により全国各地での水素ステーション整備が加速するとみられている
移動式の水素ステーションもすでに開発されている。右は移動式水素ステーションの水素供給を行うディスペンサー
TheTRUCK2018年2月号47
 新会社は、国の補助金政策、自治体の普及に向けた取
組み等を総合的に勘案しながら、独自に「水素ステーショ
ン整備計画」を策定し、日本全国で多くのユーザーにFCV
を使ってもらうための環境を整備する。
▽水素ステーションの効率的な運営への貢献
 オールジャパンで水素ステーションを整備・保有する新
会社は、インフラ事業者に委託する水素ステーション運
営業務を通じて水素ステーションの整備情報や運営情報
を収集し、その情報を有効に活用することで、水素ステー
ションの効率的な運営などロードマップ目標の実現に貢献
する。具体的な内容としては次のものがある。
①FCVユーザー利便性の向上…FCV需要に応じた営業
日数拡大など、ユーザーが快適に水素ステーションを
利用できるように、既に新規需要創出活動を実施して
いる一般社団法人水素供給利用技術協会(HySUT)と
も連携し、水素ステーションの利便性向上を目指す。
②水素ステーションのコストダウンや規制見直しへの対応
新会社は、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)、
HySUT等の外部機関と連携し、水素ステーション機
器等の標準化や規制見直し等の検討を通じ、コストダ
ウンを目指す。
▽新会社で取り組みを進めるための関係各社の主な役割
・インフラ事業者…水素ステーション整備への投資・建設
を行うとともに、新会社から水素ステーションの運営業務
を受託し、新会社と共に水素に関する普及啓発に取り組む。
・自動車メーカー…新会社による水素ステーション最適配
置への取組み、水素ステーションの利便性向上への取組
み、水素に関する普及啓発活動への取組みなどを新会社
に業務委託し、資金拠出することで活動を後押しする。
また、普及初期において新会社と共にFCV普及拡大に
取り組む。
・金融機関等…新会社に出資し、その出資金を水素ステー
ション整備費用の一部に充当。水素ステーション事業の自
立化までに必要な資金の拠出を通じて、インフラ事業者
の初期投資負担を軽減し、広く水素ステーション事業への
新規参入を促す。
◇   ◇   ◇   ◇
 今後、新会社を軸に幅広く水素ステーション事業者や
投資家へ本事業への参画を求めながら、水素ステーショ
ン事業の早期自立化及びFCVの普及拡大、ひいては我
が国の持続可能な水素社会の実現に貢献できるよう、取
り組んで行くことになる。

排気量10リットル未満クラス9連覇を果たした菅原照仁ドライバーの日野レンジャー
TheTRUCK2018年2月号48
日野レンジャーがダカール
連続27回完走、菅原義正氏連続35回参戦の3つの記録更
業界トピックス
菅原照仁氏がクラス9連覇を達成。
 父義正氏は連続出場の世界記録を更新
 日野自動車㈱は、2018年1月6日〜20日に
ペルー、ボリビア、アルゼンチンの3ヵ国に渡っ
て開催された、“ダカールラリー2018”のトラッ
ク部門に日野レンジャー2台で参戦。菅原照仁ド
ライバー(45歳)が、同部門の排気量10リットル
未満クラスで優勝し、チーム史上最多となるクラス
9連覇を達成した。また、排気量が10リットルを
超えるエンジンを搭載した大型トラックが上位を占
める中、中型トラックである日野レンジャーの機動
性、および菅原照仁氏のドライビングテクニックと
豊富なラリーの経験を活かし、前回の8位を上回
る6位に食い込んだ。
 ダカールラリーは、冒険心に溢れたフランス人の
青年ティエリー・サビーヌによって1978年に創
始されている。創生期には、フランスの首都パリを
スタートしてセネガルの首都ダカールにゴールする
ことから、パリ・ダカールラリー(通称パリダカ)
と呼ばれていたが、主戦場となるアフリカの政情
不安により、2008年の大会中止をはさんで2009
年より南米大陸に舞台を移し、現在はダカールラ
リーと称されている。
 競技者は、2週間をかけて約1万㎞にわたる砂漠
や砂丘、土獏、荒野などの道なき道を走り続け、総

日野チームスガワラのメンバーとゴール地に駆けつけたサポーター達
TheTRUCK2018年2月号49
ラリー2018でクラス9連覇
新を達成。トラック部門の総合順位も前回を上回る6位に…
合タイムを競う。カテゴリーは、2輪、クワッド(4
輪バギー)、4輪、UTV(2017年大会より新設)
トラックの5部門で、完走率が5割に満たないこ
とから「世界一過酷なラリー」と言われている。毎回
約50ヵ国から300台を超える競技車両が集まる
世界的に注目される一大イベントである。
 今回の2018年ラリーを振り返り菅原照仁ドラ
イバーは、「コース設定の厳しさは予想以上で、多く
のチームがトラブルを抱えていました。しかし、今
回の順位は相手のミスや幸運ではなく、それだけ車
両が進化した成果だと思います。自分にとって20
回目のダカールラリーで、このような結果を出すこ
とが出来て良かった。現在のポテンシャルを出し切

業界トピックス
1月4日:サスペンションストロークを計測される
1号車
1月8日:順調に初日を終えた
“ダカールの鉄人”菅原義正氏
1月11日:難関のペルー最終ステージ
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月4日:重量チェックのため軸重を測られる
2号車
1月10日:本格的な砂丘ステージ
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月11日:ノートラブルでSSを終えて
アレキパに着いた日野レンジャー2号車
1月7日:リマをスター
(1号車:菅原義正/羽村勝美組)
1月10日過酷なコースが続くペルーステージ
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月13日:ラ・パスのビバークで整備される
日野レンジャー
TheTRUCK2018年2月号50
れたと思いますし、満足度は高いです」とコメント
している。
 また、「ダカールの鉄人」こと菅原義正ドライバー
(76歳)は、1983年に当時のパリ・ダカールラリー
の二輪部門に初参戦して以来、同ラリー史上最多と
なる連続35回出場の世界記録を更新している。今
回はラリー序盤のステージ2において、車両が砂
丘でスタックし無念のリタイアとなったが、菅原義
正ドライバーは、「常々、ダカールラリーは『人生の
学校』だと言ってきましたが、ラリーの神様がまだ
僕を卒業させてくれないようです。気持ちを切り替
えて、次回改めて頑張ります。今回はコース設定も
難しい中、照仁はよく頑張ったと思います」と語り、
息子の成績を称えるとともに、自身は早くも次回ラ
リーへの参戦に意欲を燃やしている。
 さらに今大会では、日野が1991年に日本の商
用車メーカーとして初めて同ラリーに参戦して以
来、連続27回目の完走も達成した。2018年1月
20日に、アルゼンチンのコルドバで行われたゴー
ルセレモニーに駆け付けた日野の市橋保彦代表取締
役会長は、「チームのメンバーから今回のラリーの様
子を聞いて、改めてダカールラリーが『世界一過酷』
であることを実感しました。そのようなラリーに、
日野が27回も参戦を続けてきたことや、照仁さん
がクラス9連覇を達成しただけでなく、中型トラッ
クの日野レンジャーで海外の大型トラックと互角に

1月14日:ボリビアの高地を舞台に後半戦
がスタート(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月17日:アルゼンチンの山間地を快走
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月18日:最大の難所フィアンバラ
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
1月15日:アシスタンストラックのドライバー
とサルタ行きの出発時間を打合せ
1月17日:右前輪をバーストさせたまま
ゴールした2号車
1月19日:サン・ファンのビバークで
日野レンジャーを迎えるメカニックたち
1月15日:未明にサルタに到着した
日野レンジャー。終盤戦に向けて気合が入る
1月18日:2号車の点検を進める
カニックたち
1月20日:ラリーはゴール地コルドバに到着
(2号車:菅原照仁/高橋貢組)
TheTRUCK2018年2月号51
戦って総合順位で6位に入ったことを、日本のト
ラックメーカーとして誇りに思います。これからも
菅原義正さん、照仁さんと共に『チーム日野』一丸と
なって挑戦を続けていきたい」と述べた。
リトルモンスターと称される“HINO
 ダカールラリーマシン”の優れたポテンシャル
 世界に誇る耐久性を持つ日野レンジャーをベー
スにしたHINOダカールラリー用マシンは、中
型車でありながら排気量が倍近くある大型モンス
タートラックと熾烈な戦いを繰り広げるその勇姿
から“リトルモンスター”の異名でライバルたちに
恐れられている。HINO車の持つポテンシャルを
最大限に引き出し過酷なレースへと挑む高性能ト
ラックだ。
 ダカールラリー2018に出場した2台の日野
レンジャーは、2017年大会で実績を積んだ車両
をもとに改良。菅原義正氏の駆る1号車のサスペ
ンションは、ダカールラリーに参戦当初から採用
していた信頼性の高いマルチリーフスプリングに
変更され、菅原照仁氏の駆る2号車は、トラン
スファーを高出力対応モデルに変更し、リアのみ
LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)
式のディファレンシャルギヤに変更。さらに、フ
レームとリアボデーに補強を加え、ハイスピード

業界トピックス
ゴールセレモニーのパレードに参加した日野チームスガワラ
息子、照仁氏のクラス連覇を称える“ダカールの鉄人”菅原義正氏。義正氏はダカールラリー史上最多となる連続35回出場の
世界記録を更新した
TheTRUCK2018年2月号52
での耐久性を向上させている。チームは、耐久・
信頼性重視の1号車、一方2号車は高出力・ハイ
スピード重視とし、2台の役割を明確にした。夏
季トレーニングとして、2号車でシルクウェイラ
リー、1号車でラリーモンゴリアに参戦し、確か
な手応えを得た日野チームスガワラはダカールラ
リー2018に挑んだ。
【エンジン】
 日野自動車のフラッグシップエンジンともいえる
A09Cエンジンがダカールラリーにデビューして
5年目となる2018年大会では、高出力化すると
耐久性が犠牲になるという二律背反の厳しい条件
の中で、2号車のエンジンのさらなる出力向上に
挑戦した。ターボ特性の見直しとエンジンの吸気
効率を向上させたカムシャフトとの組み合わせに
より、ターボ回転数を押さえつつ、たくさんの空
気をエンジンに送り込み、平地だけではなくダカー
ルラリー特有の高地ステージでも高い信頼性を確
保しながらも低回転から高回転までの全域で高出
力を発揮できるよう改良され、最高出力は700ps
の大台に達している。

ゴールセレモニーでパレードを行う2号車とカニックたち
優れたドライビングテクニックにより、前回の8位を上回る6位に食い込んだ菅原照仁ドライバーをねぎら
市橋保彦日野自動車会長
TheTRUCK2018年2月号53
【サスペンション】
 日野チームスガワラの2台の日野レンジャー
は、全く異なるサスペンション方式が採用された。
1号車は往年のマルチリーフ式に変更、2号車は
新世代のテーパーリーフ式スプリングをチューニ
ング。一見、真逆の特性を狙ったサスペンション
構造だが、ドライバーの走行特性と相まって、凹
凸の激しい悪路をしなやかに吸収していることが
夏季トレーニングで確かめられた。さらに2号車
は今回初めて、旋回した時のリアアクスルのステ
ア角(舵角)がゼロになるように改良されたこと
で、コーナリング中に急なステアリング操作を行っ
ても車両の挙動が安定し、コーナリングスピード
の向上に貢献させている。
◇   ◇   ◇   ◇
 日野はこれからも、世界最高峰のラリーへの挑戦
を続けることで、世界中のユーザーやモータース
ポーツファンと感動を分かち合い、活動を通じて
培ったチャレンジスピリットと技術力を活かして、
ユーザーに役立つ商品・サービスを提供し続けて行
くとしている。

TheTRUCK2018年2月号56
最新モーターショー―④―
新エネルギー[水素〜燃料電池〜電気]動力のトラックを描く
先代の乗用車で開発した水素技術を適応した1994年「武蔵9号」、日野レンジャー液体水素保冷車
「Caterpillar」、「Wabco」等大手メーカと協業し2020年生産予定。
「NIKOLAONE」 2016年9月に新エネルギーのクラス8セミトラクターの事前予告を
行った(本誌16年12月号)。その後同年12月に水素燃料電池実車を正式発表した。
320kwhバッテリー/1200mi等驚異的な基本諸元は12月号参照。

TheTRUCK2018年2月号57
石野 潔
武蔵工大(現:東京都市大学)の水素(左絵)〜水素ハイブリッ
(右絵)トラック。
水素燃料のエンジンは1807年に初めて開発された。1970年武蔵工大が日本初の水素燃料
エンジン運転を成功させた。その後乗用車を主に数々の水素自動車の開発〜試作を行ってきた。
トラックでは日野自動車の協力で1986年に「デイキャブレンジャー」に水素エンジンを搭載し
「武蔵7号」として成功させた。
「TOYOTAFCTRUCK」詳細は先月号参照
2017年秋にロスアンゼルス港にてフィジビリティースタディーの一環として公開されたクラス8
級の水素燃料電池短距離セミトラクター。600hpで80000ポンドを牽引。200mi走行/日
のテスト実施中。キャブバックにタンクを背負う。
2010年日野デュトロベースの水素エンジンハイブリッドトラック
車両/キャブベースは「Kenworth」(トヨタとは無関係)

TheTRUCK2018年2月号58
M3新型:エンジン:東風カミンズ220hp、
     4×2、7.65m冷凍冷蔵ボデー
最新モーターショー―④―
「TESLA-SEMI」 噂に登っていたが満を持して昨年11月に発表されたクラス8電動セミトラクタ。
長距離用ハイルーフと短距離用ノーマルルーフを用意。
来年発売予定!
アップル創業者・故「S・ジョブス」には未だ追いついていないと言われている‥‥‥‥‥
車両/キャブベースはFreightliner「cascadia」
ThorTruck「ET-One」(右下絵) 2人の若者が立ち上げたロスアンゼルスに
拠点を置く交通ラボが発表したクラス8電動セミトラクタ「ET-One」試作車。テスラ同様来年発
売予定。諸元詳細は不明だが航続300mi/1回充電。

TheTRUCK2018年2月号59
・テスラモーター「CEOイーロンマスク」自らトラックの前でプレゼンテーション。
既発売の廉価版乗用車「モデルX」ではバッテリーの供給遅延、生産準備不足で悪評
を買った。株主や投資家へのパフォーマンスかという噂もあったが、ダイムラーから
チーフトラックエンジニアを招聘し、300/500mi2仕様航続距離の電動セミトラ
クターを完成し提示した。北米や欧州からは既に200台余の予約を受けたとのこと。
          後2軸に4つのモーターを配し、80,000ポンド(36.3t)
          を牽引し、20s/60mphを発揮する。バッテリーは
          1200㎞/h/600miの容量をもつ。
20~30代の若者が創ったベン
チャー企業とその電動トラック。
個性ある外観が特徴!
後2軸シングルタイヤ

世界のトラックショー研究
手前からB1、B6トレーラ敷地の東側に半円形に配置された展示館
B6号館のエントランス。磨き込まれたガラスと床、世界級に恥じない
メンテナンス状態が気持ちいい
B6号館の内部。商用車の都(湖北省)随州に立地する企業群が勢揃いB6号館内部の模様(一部)
 前回に引き続き中国国際商用車展覧会CCVS20177@武漢の
展示についてリポートする。前回はシャシメーカーのグループ(集団)
毎に括ってみたが、今回は主として架装メーカーのグループ毎の
出展に一部シャシメーカーを加えた展示が特徴であった6号館の
模様をお伝えする。
中国国際商用車展覧会
CCVS2017
@武漢
(第2回)
西襄二
TheTRUCK2018年2月号64

HOWOブランドLNG中型シャシに架装されたロードスィーパー。中国重機を核とするグループ企業による架装である。後部に収集物の排出の際に開閉
する油圧操作のドアがある
アジア最大規模の商用車ショー
 前回、中国・武漢市で開催されたこのショーの会
場面積が6万㎡(全屋内・公式ガイドブック記載値)
とお伝えした。東京モーターショーの商用車関係展示
場面積が屋外を含めて約1万2千㎡、タイ国で開催
されるタイトラックショー・TTS展が屋内1万㎡、屋
外2000㎡で合計1万2千㎡であるから、アジア最
大の商用車ショーを謳う主催者の発表は正しい。
 今回紹介する6号館は主として湖北省随州に立地
するシャシメーカー及び架装メーカーに割り当てられ
ており、いわば地域振興の責務を担った企業集団と
いった趣きである。なお、5号館の一部の展示も紹
介する。
大・中型の特装車
 入って直ぐの右手にHOWO大型LNGトラックシャ
シにロードスィーパーが架装されて展示されていた。
中国重機製大トラHOWO車は独MAN車と技術提
携関係にある。キャブ外観がMAN車のイメージに似
ているのはその背景に影響があるといえよう。中国は
世界一の天然ガス車の市場であることも前回触れて
おいた。特装車にもLNG車が普及していることはそ
うした実績があるから当然の展開であろう。
TheTRUCK2018年2月号65

世界のトラックショー研究
中国重機のフラッグシップ車に架装した多目的消防車。銘板記載事項から“干粉水両用消防車”(多目的消防車)であることが
分かる。これもHOWO車に架装されており、架装メーカーは“湖北江南商用特注汽車有限公司”(略称:江特)だ。世界各
地の最新消防車を良く勉強したことが覗われる。
アルミタンク架装で軽量化と最大積載量の増加が
特長と表示されている。車軸にVALXの表示が
あった
北江南商用特注汽車有限公司”(略称:江特)だ。世
界各地の最新消防車を良く研究していることが覗わ
れる。
 先ず、南側壁面に沿って整備された展示場で見ら
れた“干粉水両用消防車”(多目的消防車)。これも
HOWO車に架装されており、架装メーカーは“湖
 次はアルミタンクローリ。
“厦工楚 (湖北)専用汽車
有限公司”の架装。トレーラ
シャシ製造社は不詳だが、ア
クスルは“VALX”のブランド
表示がある。
TheTRUCK2018年2月号66

VOLVOのFM8×4シャシに同じ架装メーカーが架装した重レッカー車。溶接ビードを観察すると熟練度に課題が見られる。溶接工の熟練度を高めるか、
ロボットを導入するか、どちらに向かうだろうか
東風汽車のシャシに架装された灯油用タンクローリ。比重0.7として13.8㎥の積載が出来る。彼の地の交通規制では、この種の車の最高時
速は80km/hに制限されている。表示板から抜粋した
 その隣は同じ架装メーカーによる重レッカー車だ。
シャシはVOLVOのFM8×4である。先進国・地域
のいずれかの架装メーカーとの提携がある筈だが、
実情は不詳。
 次に紹介するのは、中型車架装のタンク車(当地風
表記では“ 油車”)。アルミタンクで車両重量軽減・
積載量増加が図られている。
TheTRUCK2018年2月号67

世界のトラックショー研究
東風汽車の6×4大型シャシに架装された多目的大風量送風機。前部は水タンクが架装されており、大型送風機の先端には多数の吐出用ノズルが設
置されているのが見える。多目的と謳っているのは、目的に応じて使い方と効果を切り替えることが出来る、ということのようだ
 意外な展示車としては、巨大なブロアを搭載した多
目的送風車。東風汽車のシャシに架装され、前部は
タンクが架装されている。ブロアの出口部周囲にノズ
ルが配置されているところから、水滴を霧状に乗せた
高速大量の風を目的物に吹き付けることが出来る。
寒冷地で作動させれば降雪機の機能を発揮するだろ
う。適切な距離からビルの壁面に向けて運転すれば、
外面の洗浄ができるかもしれない。多機能を謳うのは
そうした目的に応じた柔軟な使い方が出来ることを指
していると思われる。
小・中型特装車
 隣接して一群の小型特装車。外観はいすゞエルフ
車に極似のキャブには「中国重機」のバッジが見える
ロードスィーパー。提携関係は無い筈だ・・
 その隣は同じ系列のシャシに架装されたコンクリー
トミキサ兼ポンプ車。隣接して伸縮式高所昇降車など
が出展されていた。更に下水管の保守管理に供され
る高圧洗浄汚泥吸引車も見られた。
 近くの一角ではワンボックス車ベースの特装車の展
示が見られた。FOTONのバッジを付けた4輪駆動ワ
ンボックス車ベースの救急車、その隣にはIVECOの
バッジを付けたキャンピングカーが見られた。急速な
モータリゼーションは、先進国・地域のあらゆるバリ
エーションに習って車利用の文化を採り込もうとする
中国の底知れぬバイタリティを感じさせる。
TheTRUCK2018年2月号68

小型シャシ架装のロードスィーパー。中国重機のバッ
が見える。デザインは日本のいすエルフ車に極似して
いるが特段の提携関係はない
同種の小型シャシ「国Ⅳ排出ガス基準準拠」ディーゼ
ル車)架装のコンクリートミキサー兼ポンプ車。性能は
吐出圧13NPaで水平200m、高さ80mの搬送能力
とあるが、圧送管は別に運ぶようだ
TheTRUCK2018年2月号69

世界のトラックショー研究
湖北潤力
ʗ
用車有限会社はタンク車、腐食性貨物輸送車、多機能塵
芥車、散水車、道路掃除車、汚泥運搬車などが主力製品。アルミタン
ク車、消防車、公共衛生特殊車両なども手掛ける
湖北潤力専用汽車製でJMC(江鈴汽車製)のバッジを付けた小トラに架装さ
れた高所昇降車。わが国の消防用高所梯子車と同様の方式でバケッを利
用して貨物及び人員の昇降に利用される
TheTRUCK2018年2月号70

高圧洗浄/汚泥吸引の複合機能を有する。主として下水管の保守管理に供される
救急装備については基本的な段階にあるように見られる。架装メーカーの明確な表
示は、残念ながらこれらの写真からは見られない
湖北新中緑専用汽車製の“清洗吸汚車”。シャシは底 と表記する
ベース車は北京福田汽車製のFOTON全輪駆動ワンボックス車
TheTRUCK2018年2月号71

世界のトラックショー研究
純正ISUZUバッジ付の小トラに架装した“応急電源車”。これは奥花(AALOO)汽車による架装である
キャブバッククレーンや車両運搬車などが集まった展示場。苦しい姿勢で収めた“展示の規模と内容”この1コマ(7台と10m超の揚程を収める)に筆者の
意気を認めて戴ければ幸いです
 同じ一角に応急電源車が展示されていた。ディー
ゼルエンジン駆動の発電機を搭載していた。こうした
特定用途の特装車の需要家への営業は、わが国の場
合ならシャシメーカー系の販社と架装メーカー系の営
 南側壁面展示場を東奥に歩を進めると、キャブバッ
ククレー搭載の平ボ車や車両運搬車の展示が集中し
ていた。
 平ボ型の車両運搬車はスライド機構を搭載したもの
業部門の力関係で受注形態が影響されることは読者
が良くご存知の筈。彼の地は共産党の支配下にある
から、この方面の実情はどうなっているか関心が持た
れるところだ。
が多い。搭載機能に加えジャッキアップけん引機能を
備えたタイプも見られた。
 他の一角には、応急電源車も見られた。
TheTRUCK2018年2月号72

車両運搬車は当地で“清障車”と表記されている。路
上で故障した車の除去により早い道路交通傷害の復帰
を行うことに主たる用途を見ているようだ。積載搬送と
ジャッキアップけん引の両機能が誇示されていた。シャ
シはFOTONの最新中型車だ
YUEJINバッジを付けた小トラシャシに車両運搬車架
装を担当したのは“湖北 特工程機械有限公司”。
YUEJINはロゴマークから東風汽車集団の車両メーカー
と判断される。
TheTRUCK2018年2月号73

世界のトラックショー研究
これも“道路救援清障車(略称:清障車)”。シャシ名
は不詳
中型の東風天錦シャシに架装された“清障車”。乗用車なら2台積載可能
TheTRUCK2018年2月号
74

これも中型の東風車シャシに架装された塵芥車。当地の表記では“圧縮式拉扱車”
慶鈴汽車製の五十鈴ISUZU車に架装された真空吸引式道路清掃車VACUUMSWEEPER
TheTRUCK2018年2月号75

世界のトラックショー研究
市街地で狭い道路もあって大型車では作業出来ない環境で稼働するシステム車。この場合は小
型電動トラクに90°ダンプ可能なヴェッセルを架装し、対する大型圧縮機能搭載の塵芥車の後
部に受け取り口を設けて、小型車の収集したバラ貨物を大型車に積み替えるという使い方だ
 小型車と大型車の連携で稼働させるシステム車とし
て、バラ貨物の中継輸送車の展示があった。小型車
の方は純電動車とある。深いヴェッセルが90°ダンプ
する構造だ。外観は二世代位前のいすゞ車に極似し
ている。対する大型車の方は東風汽車の6×4シャ
シに圧縮機構を搭載した塵芥車で、後部に小型車か
ら荷受けする受け口を持つ。狭い市街地などでの清
掃作業を想定したものか。
TheTRUCK2018年2月号76

近代的な加工工場であるこをテンポ良く映像を切り替えて来場者に見せる為に、巨匠・小澤征爾が髪振り乱して交響曲を指揮する
映像と音声を利用した場面を切り替えていた。大型モニター画面による珍しい展示。
巨匠・小澤征爾、CCVS会場に登場
 今回の最後に、展示企画の面白い事例を紹介しよう。
 或る部品メーカーの展示場の一角に巨大なモニター
が設置され、ある西欧作曲家のシンフォニーの断続
的な音響が流れてくる。思わず足を止めて見ると、
小澤征爾のタクトに併せて音響が変わる度に、次の瞬
間、この部品メーカーの工場が如何に自動化された
近代的な設備であるか、均質の製品で信頼性が高い
かを映像の切り替えで見せているのである。モニター
の映像ではあったが、あの巨匠・小澤征爾にここで会
えるとは意表を突く展示企画であった。初日の企画で
あり、次の日には既に撤去されていたのは、映像使
用料が高額であったのか。
 今回は架装メーカーの展示に焦点を合わせて筆者
が代表的と見た展示からリポートした。
(次回に続く)
TheTRUCK2018年2月号77